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本 : 『 言い寄る 』

2008-03-25 00:35:54 | entertainment
週末に読んだ本 『 言い寄る 』

田辺聖子「最高傑作」三部作。30年の時を経て復刊第1弾。

とても可愛らしい装丁での復刊に、思わず手に取りましたよ~


愛してないのに気があう剛。初めての悦楽を教える大人の男、水野。
恋、仕事。欲しいものは手にいれた、31歳の乃里子。
でも、唯一心から愛した五郎にだけは、どうしても言い寄れない。




ってことで、読み出したら面白い、止まらない。
30年以上前に書かれたということ感じさせない話の展開や親しみの湧く
大阪弁がテンポ良く、そして何より共感することがいっぱい。

その日のうちに、三部作を読まずにはいられなかった









第二弾『私的生活』


乃里子は年下の財閥御曹司に求愛され、結婚した。海を見下ろす
高級マンションで2人きりの新婚ごっこ。
誰もが羨む上流暮らしだが、乃里子は思う。わたしは金持が身に
そぐわない人間、と。
そのままにしてある独身時代の仕事場には日記やアルバム。
夫にも見せない私的生活がそこに。結婚の生態を描く傑作。

結婚→離婚。乃里子33歳。わたしの私的生活は、彼に侵されてしまった。
「愛してる」よりも「もう愛してない」と告げることの、難しさ。






第三弾『苺をつぶしながら』


財閥の御曹司と離婚して1年、乃里子はやっと自分を取りもどした。
苺をつぶしながら考える――女の幸福って何かしら?
女と男の理想的距離はどれくらい?でも、もう焦らない。楽しく生きてみるわ。
――現代女性の愛を、真摯に美しく描く傑作長編小説。

人は自分が愛したもののことは忘れても、自分を愛した人のことは忘れない。
結婚生活から「出所」して、ふたたび一人に。乃里子、ピッカピカの35歳。







最初、五郎ちゃんに一途に想いを寄せる主人公のせつなさやとか、
でも気の合う剛との楽しい会話~~~と読み始めたけれど・・・
色々手を尽くしても、一向に女性としては見てくれない五郎ちゃん、
なのに主人公の親友には会ってすぐ口説いていたなんてって、、、
ところが、この気の合う剛ちゃん。遊び人(と今は言わないですね
なのに、乃里子への感情がすごく健気。
言い寄るのラストの頃・・・彼女を待っている剛がかわいく思えた。


気がつけば、3作目が終わる頃には、剛がすごくカッコイイ(中身が)
男になっていて、嬉しかった。
結局は、乃里子と剛のお話なのかしら。。。

ちょっとした会話でも、少しずつすれ違っていく二人の気持ちとか、
絶妙な言い回しで、妙にリアル。さすがだなぁ。

離れているのに、剛のことをあれやこれや思い出したり、誰かと比較
している乃里子や、ひとまわり人間の器が大きくなったと思わせる剛。

どんどん魅力的になっていく登場人物に、すっかり魅了される読者の私。



最初に書かれた昭和48年って、私の想像と勝手な思い込みでは、女性の
ほとんどは20代前半で結婚・出産をし、それから婚前交渉なんてほんの
一部の人たちだけなのかなぁって。恋愛に対する考え方も全然違うのでは
と思っていたけれど、この本を読んで、恋愛の中心となる最も大事なところ
は、今となんら変わらないのですね、と驚きと感心と関心。




何度も読み返したくなる本でした。









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