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今日あった事、感じた事を自分の言葉で自然体で

『 その日のまえに 』

2006-08-03 11:23:30 | entertainment
『その日のまえに』 重松 清:著

実は、図書館に予約を入れて待つこと9ヶ月余り。
買えば良いのに、ここまできたら借りるんだーと待った。

いざ手にすると、もったいないのでゆっくり読む。

七つの短編からなるこの本は、前半の4編の話が、
あとの「その日のまえに」「その日」「その日のあとに」
の連作で全て繋がっていた。



愛する人の死

死を前に、私には何ができるのか。

なんにもできないんだろうなぁ。

自分の愛するひととの永遠の別れ

それを宣告されてしまったら、

残りの日々をどう過ごすんだろう。

取り乱して、醜態をさらすかもしれない。


もしも、自分が余命の宣告を受けたら

恐怖、不安、絶望???

でも、大切な人たちにちゃんとお別れを

いう時間がもらえたんだとも思う。


・・・なんて書いたものの、きれいごとですな。
実際は、『その日』をどんな風に受け止めるんだろう
と考えながら、ページをめくる。
誰にもに、いつかは必ずやってくる「その日」。

逝くひと、それを送るひと。
どちらの描写も色んな視点で描かれている。
八十歳近い年老いた父親が、娘の危篤のときに、
苦しませないでやってくれ、遠いふるさとに暮らす
年老いた両親がが病室に駆けつける前でも、娘が
苦しいようなら、無理に待つことはせず、延命装置
をはずしてやってほしい-
そして最期のとき・・・目に涙をうかべながら、
じょうぶな子に産んでやれんで、すまんかった。と。
まだ幼い子どもをおいて先立たなければならない
その娘は、夫に「忘れてもいいよ」と手紙を残す。

自分は、死をどのように受け入れるのだろう。。。


最後の「その日のあとで」には、こうあった。

『その日』を見つめて最後の日々を過ごすひとは、
じつは幸せなのかもしれない。
自分の生きてきた意味や、死んでいく意味について、
ちゃんと考える事ができますよね。
どんなに考えても答えは出ないんですけどね。

そして、考える事が答えなんだとも言っている。







すごくせつなかったのは、『ヒア・カムズ・ザ・サン』

トシくんと、母ちゃんのはなし。

設定も何も違うんだけど、トシくんがすごく自分にかぶる。

母ちゃんは「いる」-それだけで、いい。
うまく言えないけど、母ちゃんの役目は「いる」ことなんだ
と思う。~中略~いてほしい。絶対に。これからも。

世界でいちばん怖がりで臆病な奴は、俺だ。

母ちゃんがガンになったことよりも、それを俺に打ち明けな
かった事のほうが悲しい。俺の気持ちじゃなくて、母ちゃん
の気持ちを思うと、ほんとうに、悲しくて、悔しくて、
ごめんなさい、だった。

バカ、母ちゃん。逃げるな。ごまかすな。俺も。

こんなやさしくて、甘ったれで、すぐに逃げ出す息子のことを、
誰よりも理解していたからこそなかなか打ち明けられなかった
母親は、ごめんね、ごめんね、お母さん、病気になっちゃって
ほんとにごめん…と頭を何度も、深々と下げた。

あたりまえに毎日そこにいてくれると思っていた大切な人。

このまま永遠に続くのかと錯覚してしまう日常。

いま、当たり前のように大切な家族がそばで笑っていることが
どんなに幸せなことか、と思う。





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2 コメント

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胸にきました (civico)
2006-08-05 19:11:25
今日の日記に少し書いたのだけど、父が入院しまして、あんまり芳しくないので、それを受け止める自分の心のバランスがとれなくって、泣く事も出来なかったの・・・・

でも、この日記読んだら泣けました。

心が少し素直に動き始めました。

どうもありがとうございました。
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頭では (happy-clover)
2006-08-06 11:19:22
頭ではわかっているつもりでも、実際自分の父が入院したら私はとても取り乱すのだと思います。civicoさんの日記を読んだだけでも、涙が止まりませんでした。親ってどんな時も自分のことより子供のことばかり優先して、子供の幸せばかりを願って・・・代わりなんてナイ大切な大切な存在ですよね。きっとcivicoさんのお父さんも入院中でも自分のことよりcivicoさんのことを心配してるかもしれませんね。だから、仰るとおり、元気な顔を見せるのが一番嬉しいと思うのですが、気丈にそう言うcivicoさんのことがとても心配です。

どうかお父さんが回復されますよう、本当に本当に願っています。

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