法律の周辺

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国民投票法に係る中央公聴会の開催について

2007-03-23 18:56:22 | Weblog
衆院特別委が中央公聴会,国民投票対象で意見分かれる YOMIURI ONLINE

 加憲論を評価しておられる江橋先生,公明党の公述人として意見を述べられたようだ。
江橋先生は,その著書『市民主権からの憲法理論 増補型改正の提案』(生活社)の中で,憲法改正の方式として,現行憲法の本文はそのまま残したうえで,追加条項を加えていく「増補型改正」を提案しておられる。例えば,試案として挙げられた中に憲法第26条があるが,次のとおり。なお,試案は改正教育基本法成立前のもの。

第二六条 すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。
[削除・改訂案]
2 義務教育は,これを無償とする。
[増補案]
3 政府は,教育を受ける権利及びそれを受けさせる権利を実現するため,教育に求められる多様性に留意しつつ,地域社会と協働して公教育制度を整えて適正に管理運営する責務を有する。公教育制度は,市民の自主的な教育のための施設の設置,運営を阻害するものであってはならない。
[理由] 就学させる義務という観念は,教育が国の利益のために行われ,市民はそれに協力すべき存在であるという観念をもたらす。教育は子ども本人のためにおこなわれるものである。この趣旨を明確にするため,第二項から「国民の義務」という考え方を削除する。こうした発想の転換は,障がい児の教育権の運動,フリースクールの運動などが要求し続けてきたものである。
 第三項では,教育が権利であり,国には義務,責務があることを明確にしている。と同時に,公教育の限界についても明記するものである。第三項は,民族学校,インターナショナル・スクール,私塾などへの差別的な処遇を排除するための規定でもある。政府に求められるのは公教育制度の整備であり,その中身は普通教育制度に限るものではない。なお先住民族文化,少数民族文化,地方文化,地域文化など教育における文化的多様性を保障する必要があり,それらを維持,発展させる特色ある教育が奨励される。


 さて,次の中央公聴会は4月5日。本日の官報号外で告示されている。意見の申出期限は,3月30日の正午まで。出席者には旅費日当が支給されるようだ。

国立印刷局 官報 衆議院公聴会告示


国会法の関連条文

第五十一条  委員会は,一般的関心及び目的を有する重要な案件について,公聴会を開き,真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる。
2  総予算及び重要な歳入法案については,前項の公聴会を開かなければならない。但し,すでに公聴会を開いた案件と同一の内容のものについては,この限りでない。

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