goo blog サービス終了のお知らせ 

法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

会社法下の共同代表取締役制度について

2005-11-24 20:03:15 | Weblog
 以前,『一問一答 新・会社法』の第2章第7節~第13節(Q75~Q127)の読後感として,次のようなことを書いた。

2 共同代表取締役等の登記の廃止

 Q106は,「共同代表取締役,共同代表執行役,共同支配人の登記の制度を廃止したのは,なぜか。」という内容。
例えば,商法第188条は,第2項第9号で,共同代表取締役である旨を登記事項として掲げている。しかし,会社法にはこれにあたるものは存しない(会社法第911条第3項参照)。それもそのはずで,会社法では,共同代表取締役を設置できるとする実体法上の根拠条文が見あたらない(会社法第349条,商法第261条第2項参照)。
要綱も,第2部「株式会社関係」第3「機関関係」3「取締役・取締役会」(7)「取締役等に関する登記」の中でだが,「共同代表取締役,共同代表執行役及び共同支配人の制度は,廃止するものとする。」としていた。

しかし,Q106の4には次のような記述がみられる。

「そこで,会社法では,共同代表制度については,取締役の代表権に対する単なる内部的制限と位置づけ,これを登記事項から削除することとしている。」

この記述は,登記事項からは削除されたが,共同代表を設けること自体は,定款自治の範囲として許容される,と読めないこともない。
考えてみれば,取引上のトラブルの回避ということでは,登記事項から外せば足り,共同代表は認められない,とまでする必要はないようにも思える。
実体法上の根拠条文が削除された以上,定款自治としても認められない,と考えるのが自然だとは思うが・・・。Qの設定の仕方も含め,少し気になる記述ではある。後でキチンと調べてみよう。


 例のごとく,そのままペンディングになっていたのだが,神田会社法(第7版)の該当箇所に目を通したところ,次のように記述されていた。以下,引用。

 改正前商法は,共同代表制度[数人が共同してだけ会社を代表でき,その氏名と共同代表の定めを登記する制度](改正前商法261条)を用意していたが,立法論としては批判が強く,会社法により,廃止された。会社法のもとでもそのようなことを定めることはできるが,代表権の内部的制限となり,善意の第三者には対抗できない(349Ⅴ)。(引用おわり。太字は筆者によるもの)

 確かに,当事者・定款自治の拡大,それに基づく機関設計の規律の柔軟化,などに重きを置けば,会社法に現行商法第261条第2項に相当する規定がないことの意味は,「共同代表取締役制度を設けること自体,強行法的に禁止されるわけではなく,代表権の内部的制限として許容される」と考えるべきなのだろう。
そのように考えた場合は,「会社法では共同代表取締役制度は廃止される」との言辞は,幾分,誤解を与えかねない表現のように思われる。

法務省HP 会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あおぞら銀行の普通銀行への... | トップ | 「ひでゆき君を救う会」の募... »