法律の周辺

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組事務所の敷地の用に供されている行政財産について

2008-08-06 21:12:08 | Weblog
佐賀県,組長に退去勧告へ 応じなければ許可取り消し - さきがけ on the Web

 記事には,佐賀県,任意の退去勧告に応じなければ,河川の公共利用を定めた河川法に抵触するため許可を取り消す方針を決めた,とある。
許可の取消事由は河川法第75条1項・2項に規定されている。佐賀県が許可を取り消し得るかは,これらの事由に該当するかにかかる。中を覗くと,第1項第3号に「詐欺その他不正な手段により,この法律又はこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可又は承認を受けた者」がある。
しかし,組関係者であることの申告がなかったこと自体を「不正の手段」と見るのはちょっと苦しいような気がする。第2項第5号には「前号に掲げる場合のほか,公益上やむを得ない必要があるとき。」とあるが,こちらもしっくりこない。

ところで,昨日の朝日は,件の土地は行政財産と報じていた。
この点,国有財産法第18条第2項柱書には「前項の規定にかかわらず,行政財産は,次に掲げる場合には,その用途又は目的を妨げない限度において,貸し付け,又は私権を設定することができる。」とあり,貸し付け等が可能な場合として,第1号に「国以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し,又は所有しようとする場合(国と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において,その者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。」とある。同条第5項には「前各項の規定に違反する行為は,無効とする。」とも。
上記「(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)」の判断に錯誤があったから,本貸し付けは無効,これも苦しいかな。


河川法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,河川について,洪水,高潮等による災害の発生が防止され,河川が適正に利用され,流水の正常な機能が維持され,及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより,国土の保全と開発に寄与し,もつて公共の安全を保持し,かつ,公共の福祉を増進することを目的とする。

(河川管理の原則等)
第二条  河川は,公共用物であつて,その保全,利用その他の管理は,前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。
2  河川の流水は,私権の目的となることができない。

(一級河川)
第四条  この法律において「一級河川」とは,国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したものをいう。
2  国土交通大臣は,前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは,あらかじめ,社会資本整備審議会及び関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
3  国土交通大臣は,第一項の規定により河川を指定しようとするときは,あらかじめ,関係行政機関の長に協議するとともに,社会資本整備審議会及び関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
4  前二項の規定により関係都道府県知事が意見を述べようとするときは,当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
5  国土交通大臣は,第一項の規定により河川を指定するときは,国土交通省令で定めるところにより,水系ごとに,その名称及び区間を公示しなければならない。
6  一級河川の指定の変更又は廃止の手続は,第一項の規定による河川の指定の手続に準じて行なわれなければならない。

(一級河川の管理)
第九条  一級河川の管理は,国土交通大臣が行なう。
2  国土交通大臣が指定する区間(以下「指定区間」という。)内の一級河川に係る国土交通大臣の権限に属する事務の一部は,政令で定めるところにより,当該一級河川の部分の存する都道府県を統轄する都道府県知事が行うこととすることができる。
3  国土交通大臣は,指定区間を指定しようとするときは,あらかじめ,関係都道府県知事の意見をきかなければならない。これを変更し,又は廃止しようとするときも,同様とする。
4  国土交通大臣は,指定区間を指定するときは,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公示しなければならない。これを変更し,又は廃止するときも,同様とする。
5  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域内に存する指定区間内の一級河川のうち国土交通大臣が指定する区間については,第二項の規定により都道府県知事が行うものとされた管理は,同項の規定にかかわらず,政令で定めるところにより,当該一級河川の部分の存する指定都市の長が行うこととすることができる。
6  第三項及び第四項の規定は,前項の規定による区間の指定について準用する。この場合において,第三項中「関係都道府県知事」とあるのは,「関係都道府県知事及び当該区間の存する指定都市の長」と読み替えるものとする。
7  第五項の場合におけるこの法律の規定の適用についての必要な技術的読替えは,政令で定める。

(土地の占用の許可)
第二十四条  河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ。)を占用しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない。

(河川管理者の監督処分)
第七十五条  河川管理者は,次の各号のいずれかに該当する者に対して,この法律若しくはこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定によつて与えた許可若しくは承認を取り消し,変更し,その効力を停止し,その条件を変更し,若しくは新たに条件を付し,又は工事その他の行為の中止,工作物の改築若しくは除却(第二十四条の規定に違反する係留施設に係留されている船舶の除却を含む。),工事その他の行為若しくは工作物により生じた若しくは生ずべき損害を除去し,若しくは予防するために必要な施設の設置その他の措置をとること若しくは河川を原状に回復することを命ずることができる。
一  この法律若しくはこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した者,その者の一般承継人若しくはその者から当該違反に係る工作物(除却を命じた船舶を含む。以下この条において同じ。)若しくは土地を譲り受けた者又は当該違反した者から賃貸借その他により当該違反に係る工作物若しくは土地を使用する権利を取得した者
二  この法律又はこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可又は承認に付した条件に違反している者
三  詐欺その他不正な手段により,この法律又はこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可又は承認を受けた者
2   河川管理者は,次の各号のいずれかに該当する場合においては,この法律又はこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可又は承認を受けた者に対し,前項に規定する処分をすることができる。
一  許可又は承認に係る工事その他の行為につき,又はこれらに係る事業を営むことにつき,他の法令の規定による行政庁の許可又は認可その他の処分を受けることを必要とする場合において,これらの処分を受けることができなかつたとき,又はこれらの処分が取り消され,若しくは効力を失つたとき。
二  許可又は承認に係る工事その他の行為又はこれらに係る事業の全部又は一部の廃止があつたとき。
三  洪水,高潮その他の天然現象により河川の状況が変化したことにより,許可又は承認に係る工事その他の行為が河川管理上著しい支障を生ずることとなつたとき。
四  河川工事のためやむを得ない必要があるとき。
五  前号に掲げる場合のほか,公益上やむを得ない必要があるとき。
3  前二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において,過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは,河川管理者は,当該措置を自ら行い,又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては,相当の期限を定めて,当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは,河川管理者又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を,あらかじめ公告しなければならない。
4  河川管理者は,前項の規定により工作物を除却し,又は除却させたときは,当該工作物を保管しなければならない。
5  河川管理者は,前項の規定により工作物を保管したときは,当該工作物の所有者,占有者その他当該工作物について権原を有する者(以下この条において「所有者等」という。)に対し当該工作物を返還するため,政令で定めるところにより,政令で定める事項を公示しなければならない。
6  河川管理者は,第四項の規定により保管した工作物が滅失し,若しくは破損するおそれがあるとき,又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該工作物を返還することができない場合において,政令で定めるところにより評価した当該工作物の価額に比し,その保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは,政令で定めるところにより,当該工作物を売却し,その売却した代金を保管することができる。
7  河川管理者は,前項の規定による工作物の売却につき買受人がない場合において,同項に規定する価額が著しく低いときは,当該工作物を廃棄することができる。
8  第六項の規定により売却した代金は,売却に要した費用に充てることができる。
9  第三項から第六項までに規定する工作物の除却,保管,売却,公示その他の措置に要した費用は,当該工作物の返還を受けるべき所有者等その他第三項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。
10  第五項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第四項の規定により保管した工作物(第六項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは,当該工作物の所有権は,国土交通大臣が保管する工作物にあつては国,都道府県知事が保管する工作物にあつては当該都道府県知事が統括する都道府県に帰属する。

国有財産法の関連条文

(この法律の趣旨)
第一条  国有財産の取得,維持,保存及び運用(以下「管理」という。)並びに処分については,他の法律に特別の定めのある場合を除くほか,この法律の定めるところによる。

(国有財産の分類及び種類)
第三条  国有財産は,行政財産と普通財産とに分類する。
2  行政財産とは,次に掲げる種類の財産をいう。
一  公用財産 国において国の事務,事業又はその職員(国家公務員宿舎法 (昭和二十四年法律第百十七号)第二条第二号 の職員をいう。)の住居の用に供し,又は供するものと決定したもの
二  公共用財産 国において直接公共の用に供し,又は供するものと決定したもの
三  皇室用財産 国において皇室の用に供し,又は供するものと決定したもの
四  企業用財産 国において国の企業又はその企業に従事する職員の住居の用に供し,又は供するものと決定したもの
3  普通財産とは,行政財産以外の一切の国有財産をいう。
4  第二項第四号の国の企業については,政令で定める。

(行政財産の管理の機関)
第五条  各省各庁の長は,その所管に属する行政財産を管理しなければならない。

(管理及び処分の原則)
第九条の五  各省各庁の長は,その所管に属する国有財産について,良好な状態での維持及び保存,用途又は目的に応じた効率的な運用その他の適正な方法による管理及び処分を行わなければならない。

(管理及び処分の総括)
第十条  財務大臣は,前条に規定する国有財産の適正な方法による管理及び処分を行うため必要があると認めるときは,各省各庁の長に対し,その所管に属する国有財産について,その状況に関する資料若しくは報告を求め,実地監査をし,又は用途の変更,用途の廃止,所管換その他必要な措置を求めることができる。
2  財務大臣は,前項の規定により措置を求めたときは,各省各庁の長に対し,そのとつた措置について報告を求めることができる。
3  財務大臣は,前項の報告を求めた場合において,必要があると認めるときは,閣議の決定を経て,各省各庁の長に対し,その所管する国有財産について,用途の変更,用途の廃止,所管換その他必要な指示をすることができる。
4  財務大臣は,一定の用途に供する目的で国有財産の譲渡又は貸付けを受けた者に対し,その用途に供されているかどうかを確かめるため,自ら,又は各省各庁の長に委任して,当該財産について,その状況に関する資料若しくは報告を求め,又は当該職員に実地監査をさせることができる。

第十一条  財務大臣は,各省各庁の長の所管に属する国有財産につき,その現況に関する記録を備え,常時その状況を明らかにしておかなければならない。

第十四条  次に掲げる場合においては,当該国有財産を所管する各省各庁の長は,財務大臣に協議しなければならない。ただし,前条の規定により国会の議決を経なければならない場合又は政令で定める場合に該当するときは,この限りでない。
一  行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき。
二  普通財産を行政財産としようとするとき。
三  行政財産の種類を変更しようとするとき。
四  行政財産である土地又は建物について,所属替をし,又は用途を変更しようとするとき。
五  行政財産である建物を移築し,又は改築しようとするとき。
六  行政財産を他の各省各庁の長に使用させようとするとき。
七  国以外の者に行政財産を使用させ,又は収益させようとするとき。
八  特別会計に属する普通財産である土地又は建物を貸し付け,若しくは貸付け以外の方法により使用させ若しくは収益させ,又は当該土地又は建物の売払いをしようとするとき。
九  普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託しようとするとき。

(処分等の制限)
第十八条  行政財産は,貸し付け,交換し,売り払い,譲与し,信託し,若しくは出資の目的とし,又は私権を設定することができない。
2  前項の規定にかかわらず,行政財産は,次に掲げる場合には,その用途又は目的を妨げない限度において,貸し付け,又は私権を設定することができる。
一  国以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し,又は所有しようとする場合(国と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において,その者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
二  国が地方公共団体又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合
三  国が行政財産である土地及びその隣接地の上に国以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を所管することとなる各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合
四  国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法 (昭和三十二年法律第百十五号)第二条第二項 に規定する庁舎等についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において,国以外の者(当該庁舎等を所管する各省各庁の長が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。
五  行政財産である土地を地方公共団体又は政令で定める法人の経営する鉄道,道路その他政令で定める施設の用に供する場合において,その者のために当該土地に地上権を設定するとき。
六  行政財産である土地を地方公共団体又は政令で定める法人の使用する電線路その他政令で定める施設の用に供する場合において,その者のために当該土地に地役権を設定するとき。
3  前項第二号に掲げる場合において,当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下この条において「特定施設」という。)を国以外の者に譲渡しようとするときは,当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。
4  前項の規定は,同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。
5  前各項の規定に違反する行為は,無効とする。
6  行政財産は,その用途又は目的を妨げない限度において,その使用又は収益を許可することができる。
7  地方公共団体,特別の法律により設立された法人のうち政令で定めるもの又は地方道路公社が行政財産を道路,水道又は下水道の用に供する必要がある場合において,第二項第一号の貸付け,同項第五号の地上権若しくは同項第六号の地役権の設定又は前項の許可をするときは,これらの者に当該行政財産を無償で使用させ,又は収益させることができる。
8  第六項の規定による許可を受けてする行政財産の使用又は収益については,借地借家法 (平成三年法律第九十号)の規定は,適用しない。

(準用規定)
第十九条  第二十一条から第二十五条まで(前条第二項第五号又は第六号の規定により地上権又は地役権を設定する場合にあつては第二十一条及び第二十三条を除き,前条第六項の規定により使用又は収益を許可する場合にあつては第二十一条第一項第二号を除く。)の規定は,前条第二項第一号から第四号までの貸付け,同項第五号の地上権若しくは同項第六号の地役権の設定,同条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の貸付け又は同条第六項の許可により行政財産の使用又は収益をさせる場合について準用する。

(貸付期間)
第二十一条  普通財産の貸付けは,次の各号に掲げる場合に応じ,当該各号に定める期間とする。
一  植樹を目的として土地及び土地の定着物(建物を除く。以下この条及び第二十七条において同じ。)を貸し付ける場合 六十年以内
二  建物の所有を目的として土地及び土地の定着物を貸し付ける場合において,借地借家法第二十二条 の規定に基づく借地権の存続期間を設定するとき 五十年以上
三  前二号の場合を除くほか,土地及び土地の定着物を貸し付ける場合 三十年以内
四  建物その他の物件を貸し付ける場合 十年以内
2  前項の期間は,同項第二号に掲げる場合を除き,更新することができる。この場合においては,更新の日から同項各号に規定する期間とする。

(貸付料)
第二十三条  普通財産の貸付料は,毎年定期に納付させなければならない。ただし,数年分を前納させることを妨げない。

(貸付契約の解除)
第二十四条  普通財産を貸し付けた場合において,その貸付期間中に国又は公共団体において公共用,公用又は国の企業若しくは公益事業の用に供するため必要を生じたときは,当該財産を所管する各省各庁の長は,その契約を解除することができる。
2  前項の規定により契約を解除した場合においては,借受人は,これによつて生じた損失につき当該財産を所管する各省各庁の長に対し,その補償を求めることができる。

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