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地元の小中学校教職員の教育研究会でなんと小川三夫さんが伊那市に来ることになった
ので聞きに行って来た。
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教員の方々の勉強会のせいか、一般の来場者は殆ど無く、作業着姿で、来ていたのは
私一人だった。
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さて、講演の内容といえば、小川氏の著書「木のいのち 木の心」「不揃いの木を組む」
「棟梁」に書かれていた事がそのまま話されていたが、やはりご本人から
聞くと一味違って聞こえてくる。
気になったフレーズを箇条書きに紹介してみたい。
「肥沃な土壌では千年の桧は育たない」:木曽檜で樹齢600年を越えた頃から
芯が腐り始める
「整理整頓は見えている物の整理と頭の中の整理」
「食事の支度時間は30分」
「訓練しなくても手先が器用な人は頭の中が器用なだけ」:
こういう人はすぐにごまかす。ずば抜けた所が出てこない
「不器用の一心がよい」
「厳しさの無い優しさは甘えになる」
「優しさ思いやりの無い人は、共同生活出来ない」
「弟子の抜き枝を見極めてやる」:抜き枝=木を真っ直ぐに伸ばす為に
払う枝の事。転じて弟子を真っ直ぐに育ててやる為にぬいてやる癖
「執念で物を作る」:工作技術で作らず執念で作ると、必ず出来栄えに
不満が生じる。それを乗り越えようとして進歩が生まれる。
「掃除は段取り、料理は愛情」:弟子に掃除と料理をさせると
その人の仕事に対する段取りや他人に対する思いやりが浮き彫りになる
「他に行き場のある奴は、苦しい時に逃げる」:大卒の入門希望者等
「寸法的に真っ直ぐな物と目で見て真っ直ぐな物の2種類が有って、
目で見て平らになるように削れないとならない」:
寸法的に平らな物は目で見ても平らには見えない。古代建築の多くは
柱の長さを端と真ん中で変えたり内側に転ばす事によって視覚補正が
されている
等々。どれもシンプルだが、核心を突いた言葉だと思う。
小川氏は最初に法隆寺に行った時に、西岡常一でなく、楢光の所へ行けと
言われたが、下の名前を覚えていなかったので、西岡常一棟梁の下で
働くことができた。
記憶力が無いことが幸いして今の自分があると
言われていたが、いろんなエピソードの年月日や名前、
建物の寸法などは何も見ずにすらすらと話されていたので、
相当物覚えの良い方だと思われる。
本当に偉い人は、決して偉ぶらず、地味にしているものだよと
若い頃に諭されたことがあったが、小川氏を見ていると
まさしくそういう方だと感じるぐらい普通のおじいちゃんだったが、
口にする一言一言に説得力があり、誰もがあこがれるカリスマ性を
感じた。