羽生選手の憧れでもあり、フィギュアスケートを続ける動機でもあり続けた、エフゲニー・プルシェンコさんが、来日していて、羽生選手にエールを送って下さいました!
初めて「絶対王者」などと呼ばれたのは、他ならぬプルシェンコさんです。それはもう、絶対と言っていいほど勝ち続けた「実績」が出来たからこそ、そう呼ばれるようになったわけですが。
羽生選手が、「人生で一番ときめいた体験」なるものを聞かれたときに、このプルシェンコさんと一緒に、試合の時の公式練習で一緒のリンクで滑ったこと、だと答えていました。
これはおそらく、ソチ五輪の公式練習の時、同じリンクで同時に滑った時のことだろうと思うのですが、その時の羽生選手の顔と言ったら、本当に「五輪の緊張感」なんかよりも、「憧れや夢が実現して嬉しくて仕方がない少年の顔そのもの」でしたし、見ているこっちが恥ずかしくなるくらい、本当に嬉しすぎて照れて困っているような顔でしたので、とても印象に残っています。(笑)
さて、そんなプルシェンコさんの発言だけに、下手にどこかをカットされたりすると、ニュアンスが大きく変わってしまったりすると思うので、なかなか難しいのですが…。
映像も出ていますけど、全部の映像ではなくてやはりカットされている部分があるようなので、全てはわかりませんけれども、映像での通訳さんに出来るだけ忠実と思われた記事と、カットされている部分をも伝えてくれているものを選びました。
まず、こちらのデイリー記事から、プルシェンコさんの発言だけを抜粋。
「私の経験ですけど15回手術を受けました。そのうち3回は背骨で、15回全てが大きな手術だった」
「自分の中にしっかりとした軸があれば必ず回復する。結弦君はしっかりした軸を持っているので、世界にオリンピックで滑りを見せてくれると信じています」
「来るオリンピックで(羽生選手は)勝つことができると思っていますし、私は勝つと思っています」
「五輪には正しいアプローチが必要です」
「4回転を無理する必要はないと思います。
結弦君は、彼が得意なことを全部やっていけばいいのではないかと思う。結弦君にはカリスマ性があり、芸術性が高いし、体もとてもしなやかです。
そして彼は唯一無二の存在なので、きちんとけがを治すこと、そして冷静な頭脳で、とても愛することをオリンピックの場でやれば 結果は決まると思います」
大技4回転ルッツについてやめた方がよいかと聞かれると、
「はい。言いました通り、結弦君がやるべきなのは、4歳から積み重ねてきた仕事をすべき。」「今回は必要とは思いません。他の選手がどうするか見る必要はありますが、3回4回転(ジャンプ)をすれば十分。(羽生の)滑りが違うからです」
「でも、4回転は彼はやってのけると思います。彼はそれができるし、チャレンジせずにはいられないでしょうから」
残された期間で必要なこととして、
「しばらくの間、閉ざされた状態にする、友人、マスコミの皆さんから距離を置く」ことを勧めたそうで、「ピークで、最高潮の状態で(五輪を)迎えてほしい」、と。
ここで「4回転は彼はやってのけると思います。」と言われた時の、4回転は、4回転ルッツのことを指していたのか、他の種類の4回転のことも含んだ言い方にしていたのかどうかが、ちょっと記事や映像の通訳さんの前後の言葉からも、判りませんでした。直前の「3回の4回転」は、サルコウとトウループを指していることが、他の時のインタビューからも解っていますけど。
プルシェンコさんは、羽生選手がどこをどう怪我しているのかなどを、ほぼ的確に見抜いていて、そのうえで発言して下さっていると、私は思います。
また、ご自身が「ジャンプで妥協しないこと」をずっと訴えてこられただけに、羽生選手の気持ちをとても考えたうえで、少しでも気持ちが楽になるように考えて発言して下さっているだろうと、私は思いました。
これらの発言が出た映像(の一部)が、こちらです。
上の記事とほぼ同じですけど、他の発言も確認できます。
このプルシェンコさんの後ろに映っている、メガネをかけている羽生選手が笑顔で青いレノアハピネスを持っている写真、なかなか良いですね!
プルシェンコさんは、羽生選手が五輪で勝つと思っていらっしゃる。
羽生選手には、とてもとても嬉しい言葉ですよね!
この中で、ニュース記事にもなっていなくて、思わず笑っちゃったのが、羽生選手がどうしたら2連覇できるのかを尋ねられた時、プルシェンコさんが自分のことを、
「3連覇はもちろんのこと、本当は 4連覇も出来たのかもしれないと思っています。」と答えたこと。
…でも、プルシェンコさんが4連覇したら、羽生選手は金メダリストになれていないですよね。(笑)
ソチ五輪の個人戦、直前の6分間練習で、手術後に入れていた、30年はもつと言われた、現代科学の結晶とも呼べるような高性能の「腰のボルト」が突然折れてしまって、プルシェンコさんは跳べなくなり、まさかの当日直前棄権となりました。
ただ、あの「腰のボルトが折れた事件」は、プルシェンコさん自身が、ソチ五輪当時に語っていたように、神様が、プルシェンコさん本人に、「もう十分だ。」と語られた、そうですから(当時のプルシェンコさんのインタビューより)
他ならぬ神様が、そのことをお許しになったのです。
そしてそれを、プルシェンコさんはしっかりと受け入れ、受け止め、役割を引き受けた。
そこがプルシェンコさんの本当に凄いところであり、神様と特別な深い信頼関係にあったことの証明でもありましたので、むしろ私は、神様からそのような信頼を得ていたプルシェンコさんに、ものすごく感動しました。
そして、その結果、金メダリストになったのは、羽生選手でした。
羽生選手を、金メダリストにしたのは、他の誰でもない、この神様です。
人間の思惑じゃない。
プルシェンコさんに、「もう十分だ」、よくやった、と語られ、折れないと言われていた腰のボルトを当日の直前に折ることをお許しになり、棄権をさせた、その神様です。
全ての、あらゆることをご存じだった、神様です。
その神様が、今回の羽生選手のケガをもお許しになったのなら、そこにはきちんと意味があると、私は思うのです。
これが今の羽生選手にとって、今は一番良いと、あるいは、全ての状況をご覧になった上で、これが一番良いのだと、神様がそう判断された結果として今があるなら、今、これ以上のベストはない。
羽生選手は、周囲がどう見ていようとも、きちんと「本当の神様」に守られていると私は思うし、羽生選手もそれをわかっていると思うから、大丈夫です。
ただ、プルシェンコさんも、この動画映像の13分40秒過ぎから次のように語られました。
「また、次のことも言いたいと思います。 もちろん、競技会というのはいろんな結果があり得るわけでありますけれども、そうなった場合でも、そこで決して人生終わりということは決してありません。人生は今後も続くのです。そして、人生、生きるということは素晴らしいことであるわけです。
そして五輪も、来年の五輪が最後ではないのです。そして、競技会も数多く沢山あります。ですから、今後も、『素晴らしい人生』ということを、みんなで考えたいと思います。ですから、みんな、おなか一杯に食べて、元気になりましょう!」
本当に、これは思いつめやすい日本人には、とても大事なことですね…♪(笑)
こちらはまた、少し違った内容が収められた映像動画です。
ちょっと驚いたのは、次の言葉ですね!
「(8歳の頃) 私を好きになってくれているということ、私を憧れと思ってくれているということ を、とても嬉しく思います。
今では私のほうから、結弦君に学ぶことが多くて、どうやれば自分の考えをお客様に伝えるのかという、結弦君の伝え方に、私は実際に学んでいるのです。」
…羽生選手の「自分の考えをお客様に伝える方法」について、プルシェンコさんは興味深く見てくれているということでしょうか。
… うーん、とりあえず、これは良かったね、羽生選手!(笑)
やはり伝わる人には伝わっている、ということですね。
プルシェンコさんの伝え方も、私にはとても分かりやすいですし、だからこそのあれだけの絶対王者だったといえますが。
羽生選手の、ロステレコム杯での白鳥は、素晴らしかったですしね…!
また、ケガからの回復については、15回もの大きな手術から復活してきたプルシェンコさんいわく、
「自分の中に、しっかりとした軸があれば、必ず回復するということです。
そして結弦君、このしっかりとした軸を持っているので、必ず回復して、みんなに、全世界に自分の滑りを、オリンピックで見せてくれると私は信じています。」
この「軸」が何を意味するのか、羽生選手はしっかりとわかっていると思うので、私も大丈夫と思っています。
こちらの動画では、プルシェンコさんが自分の生い立ちについて少しだけ語っています。
そして、
「焦ってはいけない。(他のアスリートと)闘ってもいけない、ということです。」
・・・ですよね。(笑)
もちろん、羽生選手は、とてもよくわかっていると思いますが。
…なんか皆さん、4回転ルッツを羽生選手が入れていたことが、まるで今回の怪我の諸悪の根源かのような議論になってしまっていますけど、
今怪我したからこそなおさら、前回までに「4回転ルッツを試合で成功させておいたこと」は、羽生選手にとっては「やっておいて良かった」と思っているだろうし、とても嬉しいことだったんじゃないかと、私には思えますね。
「4回転ルッツをやめることはいつでもできる」って言っていたのだから、リスクは当然承知の上で挑んでいるわけですし。
ある日もし、致命的な怪我を負って、滑れなくなったとしたら、その時までに「やりたいことをやれていた」「成功させたい技を成功出来ていた」のであれば、後悔せずに済みます。
人は、死を目前にした時に、一体何を後悔するのかというと、「やりたいと思っていたのに、やらなかったこと」「やるべきだったのに、やらなかったこと」を一番後悔するのだそうで、「やったけど、大失敗してしまったこと」を後悔するわけではないと、よく言われます。
羽生選手は、そのくらいのことは解ったうえで、きちんと考えたうえで、色々決断しているだろうと私には思えます。
羽生選手の性格を考えたら、そもそも、他の選手たちが何人も既に跳んできているジャンプを、やれば跳べる可能性が高いのに、そもそも練習さえしない、なんていう選択肢があったはずもなかったように私には思えますし、
練習して跳べてしまうのであれば、しかも(オーサーコーチ曰く)「跳べるときは非常に美しく跳べる」とのことなのですから、頑張ってきたのも自然だし、当然です。
ルッツ以外のジャンプの練習だって、怪我が「起こり得る」のは、何のジャンプであっても、当たり前なのですから、今回は発熱後で体調が悪い中で無理に跳んだのが怪我につながったように見えましたけど、
五輪本番までに、誰がいつ、どこをどのように怪我してしまうかなんて、誰にも全くわからない。(これは今は元気な他の選手たちも同じです。)
今回、ネイサン選手を始め、大勢の選手たちから、そして、既に引退された高橋大輔さんや、こうして一番の憧れだったプルシェンコさんからも、沢山の励ましや応援を羽生選手がもらっているのは、彼らもまた、ベストな演技をしようと努力している中で、それぞれパターンや程度は違っても、「怪我」という試練に、大事な試合の直前に何度もあい、苦しみつつも立ち上がり、痛みを知り、色々な思いに至った「今」があるからこそ、だろうと思うので…。
例えば、最初から4回転トウループしか跳べなかったら、昨シーズンみたいに、直前に「左足リスフラン関節靭帯損傷」が起きた時に4回転が一つも跳べなくなりますが、4回転ループを跳べたがゆえに、勝つことが出来た昨シーズンのように、万が一、どこをどう怪我しても、何かのジャンプは跳べるように、羽生選手はしておきたかったのではないかと私は思います。もちろん、怪我がないのがベストですけど。
今シーズンは、逆に右ひざを痛めて、4回転ループを跳ぶのが一番厳しそうでしたし、だからこそ、ループが跳べない分、羽生選手はより一層、4回転ルッツを跳びたかっただろうと思いますし、前回は実際に成功したのだから、そこは良かったと私は思います。
今回の怪我の影響で、今後どうするかはわかりませんけれども、
4回転ルッツを、
「跳べるし、跳んだ実績があるけど、今回はあえて跳ばない演技で、優勝」するのと、
「一度も試合で跳んだことがなくて、挑戦したこともなく、やはり跳ばないで優勝」するのとでは、
同じ金メダルを取った時に、どちらが理想かといったら、羽生選手なら、迷わず前者が理想だろうと私には思えます。
今回、ルッツの練習時に怪我をしたことにも意味があるだろうとは思いますし、憧れのプルシェンコさんに、ジャンプ以外の他の部分を高く評価してもらえたことは嬉しいだろうし、色々と気持ちも楽になったのではないかな、と…。
五輪で4回転ルッツを入れるかどうかは、五輪の高い緊張感を経験している羽生選手が、自分の理想であり、目指す演技を考えた時に、最後には自分で判断できるだろうし、それまでの怪我の治り方や、その時の羽生選手の精神状態や、怪我回復後の体調などで、決まっていくだろうと思いますし、
神様が、羽生選手のベストへと必ず導いて下さるだろうし、
絶対にそうなるようにと、お祈りしています…!
今は焦らず治療に専念し、今までは見えなかった別の景色や、小さな喜びが沢山発見できるような、幸せな毎日が送れますように…♪