浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『世界』を読む(1)

2016-03-15 20:09:23 | 
 『世界』の販売部数はどのくらいだろうか。現在の世相から判断して、かなり部数を減らしているのではないだろうか。また読者層も高齢化しているのではないかと思う。

 しかし、高校生の頃から購読している『世界』は、質が高く、信頼がおける雑誌である。こういう雑誌を読むことにより、専門外ではありながら、考えるべき政治や社会に関しての一定の理解をえることができる。

 まず「電力自由化」の問題。わが家はもちろん中部電力から電気を購入している。しかし、中電が原発推進の姿勢を変えないかぎり、中電から購入するのはやめようと考えている。少しくらい高くなっても、である。この問題は、いろいろな議論が行われているが、小澤祥司の文を読むと、もっとじっくりと考えなければならないと思う。「2016年以降続く電気と都市ガスの小売前面自由化は、全体としては既存大手電力会社に利するものではないかという気がしている。もしかすると原子力利権・電力利権温存のために巧みにすり替えられたのでは、という思いすらある」とある。十分あり得るだろう。

 ボクは市民科学研究室の会員でもあるが、そこでスマートメーターの問題点が指摘されている。その部分を紹介する。

各家庭等の電気メーターが次々に「スマートメーター」 に交換されています。国は全ての電気メーターを2020年代の早い時期までにスマートメーターへ交換する方針です。

 スマートメーターは通信機能を持ち、各家庭等の電気使用量データが30分おきに電力会社側へ送信されます。これにより、節電意識の向上や、従来よりも細分化した料金メニューの提供、電気使用量 データを活用した新しいビジネスなどが可能になると、 国などは述べています。 しかし、ほとんどのスマートメーターは電波(電磁波)によって通信します。携帯電話からの電波など、 国の基準を下回る強さの電波を浴び続けることで、がんになるかもしれないと「国際がん研究機関」は表明しています。また、環境中の電磁波に 反応して様々な症状が出る「電磁波過敏症」の増加も懸念されます。

 米国などでは、スマートメーターによる健康被害の訴えが多く出ています。 また、30分ごとの電気使用量データが知られることはプライバシーの侵害であり、この情報が漏れたら空き巣などの犯罪にも巻き込まれかねません。 さらに、電力自由化により小売業者を変更する場合は「スマートメーターの設置が必要」と説明されます。しかし、小売業者変更のためにスマートメーターが必要になる技術的な理由はなく、政策上の理由から小売業者変更に乗じて押し付けているだけです。 スマートメーターとは何か、そして、 その問題点を考えてみませんか?


 『中日新聞』の何時かの記事中に、スマートメーターの設置が遅れていることを非難する文にであったことがあるが、この問題をきちんと取り上げて欲しいと思う。

 一般家庭でも電気をどの業者から購入してもよくなる、ということだが、この問題もきちんと対応すべきことだと思う。
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日本は、すでに独裁状態。

2016-03-15 09:27:32 | 政治
 三権分立が崩壊している、非民主主義国家日本。

http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html
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【本】清水潔『騙されてたまるか』(新潮新書)

2016-03-15 08:58:29 | 
 昨日は冷たい雨。畑に行くわけにも行かず、木曜日の時事問題の講座の準備に時間を費やした。

 昼前に、郵便屋さんが一冊の本を届けた。それがこの本だ。『Journalism』の今月号の牧野洋「印刷メディアの新聞には未来はないが、ジャーナリズムには未来がある」という文、この文章もなかなかよいのだが、そこに著者の清水についての記述があった。『殺人犯はそこにいる』という本もそのなかで推奨されていた。ネットで調べたら、清水は、『騙されてたまるか』も出しているようなので、アマゾンに注文したわけだ。

 すばらしい本だ。ジャーナリストはこうでなくちゃあいけない。奢ることもなく、淡々と自分自身が事実を求めてあちこちを調査し続けるその経験が記されているのだが、その執念、事実に肉迫しようという迫力に圧倒された。

 清水は、桶川ストーカー殺人事件、足利事件などで、やる気のない警察を無視して、ひとりで事実に立ち向かっていく。そして桶川ストーカー殺人事件では犯人グループをつきとめ、足利事件では冤罪を証明している。さらにやる気のない警察を尻目に、足利事件の犯人を特定している。しかしその情報を得ている警察は、動かない。何という給料泥棒かと思ってしまう。

 本書は、静岡県で起きた強盗殺人事件、死者を出した交通事故をおこした日系ブラジル人、彼らは事件後にブラジルに帰国してしまうのだが、彼らを追ってブラジルまで行き、そして犯人に問い詰めることまでやってのける。すごいエネルギーだ。

 清水は、自らの体験から、調査報道の重要性を強調する。公的機関や企業が発表したものをそのまま、「~によると」というように書くことでは真実が隠されることを指摘する。そしてスプークとは、①いずれは明らかになるものを、他より早く報じるもの、②報じなければ、世に出ない可能性が高いものに分ける。もちろん清水は、①よりも②を重要視する。当たり前だ、①なんか視聴者・購読者にとっては、そんなのスクープでも何でもない。ただの自己満足にしかみえない。やはり②だろう。これなしに、ジャーナリズムはあり得ない。

 最近の記者の生態、記者クラブの「悪」を指摘し、「警察記者」にはなるなと警告する。公的機関などが発表することをしきりに報じるだけでは、ジャや-ナリスではないのだ。

 本書の最後はまた感動的だ。今、清水は日本テレビにいる。彼は日曜深夜に放映するNNNドキュメンタリーを制作している。そのひとつ「婚約者からの遺書」が紹介されている。その取材によりどういう事実が明らかになっていったのかを、感動的な筆致で書く。特攻機で死を命じられた穴沢利夫さんと伊達智恵子さんのストーリーだ。そこには、戦争を憎む姿勢がある。

 本書は、ジャーナリズムに身を置く者は必ず読まなければならないものだ。新潮新書、780円+悪税である。

 あまりによかったので、清水の本をさらに読むつもりだ。図書館に『殺人犯はそこにいる』を予約した。

 1日で読んでしまった。それだけ緊張感がある本だ。ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思う。

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