昨年も図書館から借りたのだが、全部読むことなく返却していたので、もう一度借りて読んだ。とても良い本である。韓国文学の輪郭を学びながら、韓国の歴史、日本との関係までも理解できる。
韓国のドラマも面白いが、韓国の文学もなかなかのものだ。なぜ「なかなかのもの」なのかというと、それは厳しい歴史を背負っているからである。その厳しい歴史は、もちろん日本と無関係ではない。
韓国の文学は、その「厳しい歴史」を無視するのではく(無視できないほどの過酷さなのだ)、それを見据えて書かれているからだ。その点で、普遍性をもつともいえよう。
本書は、韓国の文学を、いくつかの項目、たとえばセウォル号事件、IMF危機、光州事件、朴正煕時代、朝鮮戦争・・・・に分けて、それらをどのように描いているかを書く。紹介されている作品の内容を読んでいくと、いずれの作品にも興味を抱き読みたくなる。
それはなぜかというと、韓国文学は「時代の限界に全身でぶつかろうとしてきた」からだ。その「時代の限界」とは、しかし今も解決されていないから、「古くなる」ことはない。
読みたくなったのは、紹介されているすべてではあるが、その中でもぜひ、と思ったのは、ファン・ジョンウン、キム・エラン、ハン・ガン、チョ・セヒの作品である。いずれ時間ができたら、読んでみようと思う。