浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』(イースト・プレス)

2023-11-29 12:46:18 | 

 昨年も図書館から借りたのだが、全部読むことなく返却していたので、もう一度借りて読んだ。とても良い本である。韓国文学の輪郭を学びながら、韓国の歴史、日本との関係までも理解できる。

 韓国のドラマも面白いが、韓国の文学もなかなかのものだ。なぜ「なかなかのもの」なのかというと、それは厳しい歴史を背負っているからである。その厳しい歴史は、もちろん日本と無関係ではない。

 韓国の文学は、その「厳しい歴史」を無視するのではく(無視できないほどの過酷さなのだ)、それを見据えて書かれているからだ。その点で、普遍性をもつともいえよう。

 本書は、韓国の文学を、いくつかの項目、たとえばセウォル号事件、IMF危機、光州事件、朴正煕時代、朝鮮戦争・・・・に分けて、それらをどのように描いているかを書く。紹介されている作品の内容を読んでいくと、いずれの作品にも興味を抱き読みたくなる。

 それはなぜかというと、韓国文学は「時代の限界に全身でぶつかろうとしてきた」からだ。その「時代の限界」とは、しかし今も解決されていないから、「古くなる」ことはない。

 読みたくなったのは、紹介されているすべてではあるが、その中でもぜひ、と思ったのは、ファン・ジョンウン、キム・エラン、ハン・ガン、チョ・セヒの作品である。いずれ時間ができたら、読んでみようと思う。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

確かに・・・「北國新聞」

2023-11-28 07:54:19 | 社会

 石川県には、「北國新聞」という地方紙があるという。それが元首相の森喜朗とぺったりくっついているようだ。石川県にはジャーナリズムはないようだ。

東京五輪の闇をポロリと暴露…馳浩石川県知事に対する、地元紙の「お叱りの角度」が独特すぎた

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

驕るひと

2023-11-28 07:28:25 | 社会

 今まで多くの人と接してきたが、その経験を通して、一流の人物は、決して驕らない、ということである。驕る輩は、実力がないくせになぜか自分はすごい人であるという錯覚をもつ人である。

 愛知県の東郷町長について明らかになった問題は、まさに町長が決して一流の人物ではなく、まさしくトップに立つような人物ではないことを明らかにした。愛知大学出身の彼は、町職員を「三流大学以下・・・」とか、学歴をつかって揶揄していたようだが、では愛知大学は何流の大学なのか、聞きたいものだ。学歴で人間を判断する輩には、ロクなやつはいない。

 地域の人から嫌われているある人物、私が汗を流す畑の近くで、農業をしている輩がいるが、彼は、自分自身が磐田南高校をでて、法政大学を卒業したのだと何度も自慢していた。自慢できる学歴かどうか、私には疑問であるが、農業にはそうした学歴はまったく無関係である。

 一流の学歴をもたない輩が、学歴を問題にするのではないかと思う。

 つまり、一流の人間は、学歴などその人の属性をまったく問題にせずに、その分野でのほんとうの力量をひそかに評価し、学ぶべきものがあれば学ぶという、きわめて謙虚な生き方をしている。他人をさげすむようなことはしないのだ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

勘違い

2023-11-27 20:57:46 | その他

 研究会があった。その研究会(以後、会とする)は、研究という文字を入れるだけあって、確かに研究する人たちが集まって出来た。

 しかし、集まった人たちは、皆が皆専門の研究者ではなかった。いろいろな仕事に就いている人びとが集まった。もちろん専門の研究者もいた。

 毎月研究する人びとが集まり、会員の発表を聴き、終了後は懇親会を行った。会員は、自分自身が調べたこと、研究したことを皆の前で発表した。専門の研究者も、そうでない人びとも、発表された報告にたいして、和やかな質問をした。あるいは専門の研究者からは有益な情報が提供された。

 懇親会では、いろいろなことが語られた。専門の研究者も、そうでないものも、自由に発言した。懇親会の場は、学びの場でもあった。

 学問研究の方法や問題意識をもつことの重要性などが、何となく参加者の胸の中に入り込んでいった。そこで学んだことを土台にして、人びとはそれぞれが自分自身の関心に基づきながら研究していった。そしてその成果を皆の前で発表するようになった。

 そこに参加していた人びとは、研究会を「市民の学会」と呼んでいた。

 パブリック・ヒストリーということばがある。アカデミックな歴史学の外で行われる歴史実践、という意味合いである。

 その研究会は、アカデミックな歴史学とパブリック・ヒストリーのちょうど境界線上にあったように思う。

 それはそうだ。研究とは、一定の方法や訓練が求められるから、専門の研究者の研究を学ぶ、つまりアカデミックな世界から学びとることも必要なのだ。だから、アカデミックな歴史学との境界線上に研究会はあった。

 だがそうした初心がいつのまにか消えていく。研究会が、「市民の学会」ではなく、アカデミックの世界に入っていく?

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「報道のTBS」の名を使うべきではない!!

2023-11-27 11:11:48 | メディア

 テレビ局は腐敗している。テレビを見ないのは、正解だ。

【TBS、草彅氏の退避認める/嵐ハワイコンサートでは豪華招待旅行/甘すぎる認定

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無思想の怖さ

2023-11-27 10:20:38 | 政治

 昨日の『東京新聞』、「時代を読む」で田中優子さんが「公金とコスプレ」という文を書いている。この題を見れば、自民党の女性国会議員だということがすぐにわかる。田中さんも、この議員の名を書かない。「某自民党国会議員」とする。この人は選挙区で当選したのではなく、中国地方の比例区で、自民党がトップに位置付けていたから当選できた人であり、したがって現在の自民党の政治的立場を明確に示す人物である。つまり、自民党は人権侵犯だと法務局に認定される政党であるということだ。

 彼女がどういう発言をしたかを書きたくはない。その発言について、田中さんは「この公金・コスプレ表現には「差別思想」どころか、「思想」の「し」の字も見当たらない。」とする。

 その通りだと思う。この議員には「思想」はない。「思想」をもっている人に「使嗾」されているのだろう。そしてそのことによって自民党内でちやほやされる。ふつうに考えれば、この国会議員の発言は醜悪そのもので、常識のかけらを少しでも持っている人なら口にしないものだ。しかしこの議員は平気で口にする。

 「無思想」だから、そこになにものかが注入されるとそのとおりに動く、それが怖いのである。

 私はX(Twitter)はやらないが、そこでは差別的なことばが行きかっているという。

 田中さんは、「日本には、政治家を含め、人間への想像力を欠いた誹謗中傷を快楽とし、人の命と心を日々殺している人々がいる。」と末尾に書いている。

 憂うべき日本である。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『現代思想』(青土社)

2023-11-26 13:02:37 | 

 青土社が発行している『現代思想』を、かつては毎月購読していた。今では、特集により買ったり買わなかったり。

 浜松市の図書館も買っているが、臨時増刊号はすべてを買っているわけではなく、12月に発行される「平田篤胤」もきっと買わないだろうから、自分で買うしかない。12月号はすでに注文した。特集は「感情史」である。最近「感情史」に関心を持ち、自分なりに「感情」というものを歴史叙述に活かせるのではないかと思うとともに、人びとの「感情」が歴史を動かす側面もあるのではないかと思い始めたのである。いや人びとの「感情」が歴史の展開に大きな影響を及ぼしているのではないかと考えるようになったのである。

 「感情史」の『現代思想』はまだ発売されていないので、読んだら紹介してみたい。

 さて8月号の特集は「裁判官」である。目次を見たら、木庭顕の名をみつけたので、それだけを読みたくなって図書館から借りだした。木庭顕は「ローマ法」の大家である。もう退官したとは思うが、ものすごい学者で、彼の本を読んでみると、次元を超える記述で、彼の脳の波長と私のとでは齟齬が生じているような感覚をもつ。しかしそれが面白く、「裁判官の良心」という文を読んでみた。裁判では、「良心にもとづいて判断する」事が要請されているのだが、「良心にもとづいて」ということはどういうことかを解き明かしている。その解説がユニークなのだ。

 その内容をかいつまんで紹介するのは難しいので、ここには記さないが、そういう凄い学者がいるのだということだけを記す。

 もう読んだから返却しなければならない。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【本】佐藤正幸『世界史における時間』(山川出版社)

2023-11-25 21:56:14 | 

 たいへん面白かった。あまり詳しく知りもしないで使っていた紀年法。

 キリスト教に基づく紀年法は、教会では10世紀以降、ヨーロッパ全体では16世紀頃からとのこと。それはキリスト教のヨーロッパへの拡大につれてだそうだ。

 紀元前という概念が生まれたのは8世紀。

 1月1日が年の初めとなったのは、18世紀半ば。

 アラビア数字での表記は、19世紀中頃からで、アラビア数字を生みだしたのはインド。アラビアでは、インド数字と呼んでいるとのこと。

 今では、アラビア数字が全世界で使われている。表記が簡単で、ゼロの概念もあるから、紀年も4桁のアラビア数字で表すことができる。

 ローマ数字はローマ字とともに使われていたが、面倒だ。ローマ数字は、Ⅰ=1、Ⅴ=5、Ⅹ=10、Ⅼ=50、Ⅽ=100、Ⅾ=500、Ⅿ=1000を使う。2009年はⅯⅯⅨと表記する。1000がふたつで、10から1を引くので、Ⅸとなる。

 面倒くさい表記法である。まあ、時計の文字盤程度でやめてもらいたい。

 紀元前をBC、紀元後をADで表すが、BCをBCE、ADをCEと表記するやりかたがあるそうだが、これはキリスト教色をなくすためだとのこと。

 なおゼロの概念はインドが生みだし、8世紀には中国へ伝播した。もちろん日本へも。東アジアでは、ゼロの「無」、「空」を肯定的なものとしてとらえ直したとのこと。

 本書には、時間や暦法のことなど興味深い内容がわかりやすく記されている。

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

すべて利権

2023-11-25 21:56:14 | 政治

 ガソリン価格が高いままだ。地方都市に住んでいると、自家用車がないとふつうの生活を営めない。何とかしてくれ!と思う。

 ガソリン価格を下げるためには、ガソリン税を下げればいい。しかし、政府はそれをせずに、石油元売り会社には多額の補助金を投入してきた。

 今、ガソリン税を下げることが議論になっている。しかし財務省は、企業には補助金をばらまくが、消費者である国民からは税金を取り続けることしか考えていない。

 怒れ!!!国民よ!!

ガソリン値下げ「トリガー条項で1.5兆円必要」鈴木財務相の発言に「補助金6兆円出せるのに」…前明石市長も呆れ「小学校の算数の問題や」

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

豊かさ

2023-11-25 17:31:27 | メディア

 最近の『週刊金曜日』の記事には、「豊かさ」があると思う。その「豊かさ」とは、怒り、悲しみを抱く現実社会との関わりのなかで、報じなければならないことを、多様な視点から浮き彫りにしようとしているように思われる。

 昨日届いた『週刊金曜日』11月24日号、今までのなかでとりわけ「豊かさ」を感じた。

 その一つは、ガザに対するイスラエルの許すベからざる蛮行の記事である。今、アメリカの支持を得ながら行っている軍事作戦は、ガザからパレスチナ人を一掃するために行われているもので、それはシオニズム運動が当初から企んでいたことであることを明確に記していることだ。ユダヤ人を迫害していた西欧社会が、このイスラエルの蛮行に「寛容」であることの問題性、しかし今イスラエル国家が行っていることは、ナチスドイツがユダヤ人に対して行ったことと相似形であること。だからこそ世界の良識ある人びとが、どこでもイスラエルを批判しているのである。

 もう一つは、古謝美佐子さんが今度出すアルバムのこと、古謝さんへのインタビューもまた「豊かさ」にあふれている。古謝さんのうたそのものが「豊かさ」にあふれているからでもある。よいインタビューである。

 「福田村事件」についてのインタビューもある。私は映画を見ていない。見ていないのはなぜかというと、ベッドシーンがあると聞いたからだ。この事件を描くのにベッドシーンは必要はないだろうと思ったし、見た人からの感想を聞いて、みなくてもよいと判断した。『週刊金曜日』では、この事件について地元で調査をしている市川正廣さんへのインタビューが掲載されていて、市川さんはこの映画に違和感を持っているという。いろいろな意見があってよいが、見た人の評価は概ね良いからこそ、市川さんの意見は重要だ。

 またイギリス人平和活動家のアンジー・ゼルターさんのことが紹介されている。アンジーさんの『非暴力で世界を変えるー活動家という生き方』という本が来年出版されるという。読まなければならないと思う。

 今週号の『週刊金曜日』は多彩な内容で、読み応えがあった。

 

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わからないことが多い

2023-11-23 20:25:02 | 社会

 南野陽子の夫が逮捕された事件。清水の「ベイコート清水」の横領事件。このニュース何度も報じられているが、なぜこういうことをする人が社会福祉法人 誠心会の理事長に就任したのか。

 こういうわからないことをもった事件が多いように思う。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【本】斎藤茂男『娘たちは根腐れて』(築地書館)

2023-11-23 08:31:34 | 社会

 斎藤茂男の取材ノートの3である。労働現場と教育現場を取材して歩いて書いたものだ。

 斎藤は、いろいろなところに入り込み、それぞれの「現場」の実態を取材し、それをルポルタージュとして表現していた。それを読んで、私は社会のそれぞれの「現場」の様相、さらに日本社会がどのように病んでいるのかを知ることができた。

 それらのルポルタージュは、連載であった。短い文章で「現場」を具体的に示し、その病理をえぐることなんかできるわけがない。しかし今、そうした連載は少なくなっている。

 さて本書を読みながら、労働現場から離れてからすでに長期間経過した、そうした私にとって、「現場」に対する共感力が減じていることを発見する。それは、斎藤が描いた「現場」がすでに過去の時期のものであることもあるだろうが、それだけではなく、「現場」が自分自身と密接に関わるところではなくなっていることもあるのだろう。

 それはネットや新聞の記事を読んでいても、差し迫った感覚が喚起されなくなっていることと同じである。人間はその置かれている環境に規定されていることを実感する。

 今の日本社会が停滞、いや後退しているのは、「現場」と離れた老人が増えていることにもよるのではないかと思った。「現場」に対するビビッドな感覚がわいてこないのである。

 老人たちが「現場」を認識できるような、あるいは知ることができるような「疑似現場」をつくりださなければならないと思うようになった。「疑似現場」とは、実際の「現場」と何らかの接触を持つことが出来るような集団的な集まりである。

 メディアが「現場」(少なくとも『東京新聞』は報じている)を報じなければ、私たちが「現場」にアクセスしていかなければならない。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【本】鵜塚健、後藤由耶『ヘイトクライムとは何か』(角川新書)

2023-11-22 10:28:10 | 

 私には、在日コリアンの友人がいる。しかし彼は通名をつかい、自らが在日コリアンだということを、私や友人に話したことは一度もない。しかし、私たちは皆、彼が在日コリアンであることを知っている。知っていてもそれをいわないで、中学校時代からずっと仲よくしている。私たちは、彼が自らが在日コリアンであることを言えないでいる状況があることを理解している。私たちの間では、在日コリアンであるか、日本人であるかなんて、まったく無関係である。

 残念ながら、日本社会には、在日コリアンなど外国籍の人に対して排外主義的な言動をする者がいる。ヘイトスピーチ、そしてさらにヘイトクライム。ネットにあげられた怪しい情報を鵜呑みにして、在日コリアンを敵視して、ここに書けないようなことばを叫ぶ人びと。悲しい現実だ。

 本書は、今年8月に出版された。最近のヘイトスピーチ、ヘイトクライムの現状について記され、この問題を考えるに際して有効な内容となっている。

 なぜ在日コリアンという存在があるのか、きちんと理解していない人びとが、突然怪しい情報に飛びつき、ヘイトをまき散らすようになる。

 知識や理解は、とても大切だ。怪しい情報に呑み込まれないために、知るべきことを知る、そのために本書は役に立つ。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今の政治は、こういう人びとのためのもの

2023-11-22 06:27:03 | 政治

さすが年収1億超の “上級国民”…経団連会長が「なぜ内閣支持率上がらない?」発言で批判殺到「パラレルワールドにお住み?」

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これが日本の地方行政

2023-11-18 08:31:56 | 政治

 地方自治体も、地域住民のためではなく、特定の集団のためにカネをつかうのだ。浜松市も同様。特定の集団が失敗したら、地方自治体に尻ぬぐいをさせる。

安倍元首相の“腹心の友”が白旗…加計学園「千葉科学大」経営行き詰まり公立化要望の無責任

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする