浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

アメリカという国家

2016-03-04 12:45:44 | 国際
 アメリカ大統領選のニュースが毎日伝えられる。共和党はトランプ候補の人気が高いようだ。彼の発言はかなり過激であり、それをアメリカ国民は喜んでいるようだ。
 対して民主党は、サンダース氏がなかなか健闘している。サンダース氏が当選して、格差縮小の政策を推進していけば、日本にも影響が出てくるだろうが、おそらくそれは難しい。アメリカ金融資本の力は強い。

 さて、アメリカという国家を考えるとき、忘れてはならないのは、その建国の過程でいかなる事態が引き起こされたのかを忘れないことだ。多くの日本人はアメリカという国家に幻想を持っている。
 しかしボクは、その過程で先住民たちがどれほどの苦難を強いられたのかを忘れてはいけないと思う。

 ちょうど『現代思想』に、マニュエル・ヤンという歴史家が「この大地はだれのものか」を連載している。そのなかにアンジー・デボAngie Deboの著書が紹介されていた。

 彼女には、白人がインディアンからどれほどの悪知恵や暴力を駆使して土地を手に入れたかを詳細に記したものがある。

 And Still the Waters Runである。残念ながら翻訳はないようだ。その内容紹介に次のような文があった。
 Creek Indian のChitto Harjoが1906年、アメリカ政府が部族の土地を清算しようとしていることに抵抗しているとき、コロンブスの時代からのインディアンの歴史について議論をはじめた。その理由が、下記である。
 
of course, a thing has to have a root before it can grow

 訳せば、「もちろん、物事にはそれが大きくなる以前のルーツがなければならない。」ということだろうが、さらにその理由は、インディアン以外のアメリカ人はインディアンの歴史をほとんど知らないからだ、と記す。

 アメリカという国家の本質を知るためには、アメリカ建国の歴史をきちんと知らなければならない。もちろん、その視点は、先住民からのものでなければならない。歴史は、視点によって見えなくなるものもたくさんあるからだ。
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切り口

2016-03-04 09:34:16 | 
 一方で格差社会が進み、人びとは生きにくさを覚えながら日々を営んでいる。他方では、安倍政権が暴走し、改憲の日程まで視野に入れる。社会の安定が損壊の危機を迎えている。

 そういう現在社会をどう分析し、未来へとつなげていくか。そうした議論が求められている。

 先日も記したが、『社会を消費する人びと』(岩波書店)という本を読み終えたが、有効な分析や未来への展望は見いだせなかった。安田常雄の「テレビのなかのポリティクス」は、安倍政権によるテレビメディアへの抑圧的・統制的な姿勢の淵源を示したものともいえる。
 その後に続く、中西新太郎「消費社会と文化変容ー教養からサブカルチャーへ?」は、平板で羅列的な文でつまらなかった。「教養からサブカルチャーへ」のあとに?がついているように、分析は結論を導き出し得ない。
 そして島薗進の「新宗教の救済思想とその変容ー現代不安論」は、立正佼成会などが苦悶する人々の「現世救済」(現世への執着とそこでの充実)と同時に宗教的共同体の形成、そして1970年代以降に発生してくるオウム真理教や幸福の科学などは、「空しさ」を感じる若者たちを集め、「現世志向」ではなく「現世離脱」へ、同時にその宗教組織に属していてもそこは共同体ではなく、つまり個ではなく、孤の集まりであってあくまで「現世離脱」はそれぞれの孤に任せられる。そういう変容を具体的に示している。

 いずれにしても、掲載された論文の切り口は鋭くはなく、「説明」に終わっている。

 しかし現在の様々な状況を前にして、それを分析し新たな展望を導き出すことは急務である。その意味で、まだ読みかけだが、昨日紹介した『現代思想』はそういう試みが記されている。つまり「切り口」が鋭角なのである。

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倉本聰さんの怒り

2016-03-04 08:11:54 | 政治
 政治的怒り、日本人はあまりこの怒りを表出してこなかった。しかし、怒ることをしなくなったら、政治はどんどん遠くなっていく。そして専制政治、独裁政治へと転化する。

 倉本聰さんの怒りの一端が、下記のサイトで紹介されている。

http://lite-ra.com/2016/03/post-2031.html
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