浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

消費税の逆進性

2016-03-19 10:09:07 | 政治
 今日の『東京新聞』記事。

 消費税あるいは付加価値税といわれる税は、貧しい人ほど負担は重くなるという税だ。したがって、そうした税の本質をきちんと理解し、消費税を導入する代わりに社会保障制度を充実させるとか、消費税の逆進性を軽減する施策を導入と同時に行うべきであるのだが、残念ながらにほんはそういうことをしない。日本の税制度の歴史を振り返ると、取りやすいところから取る、という安易な姿勢が貫かれている。公平公正な税という観点はなかった。そういう歴史の中で消費税を導入し、さらに社会保障制度を充実させる方策もなかったから、消費税を増税すると直に国民の消費に影響を与える。5%まではまだよかったが、8%というのはすでに10%と同じような感覚である。これでは消費に向かうわけがない。同時に、社会保険負担は増加するなど可処分所得が減っているのだから、消費が上向くわけがない。

 日本の政策は、官僚が長期の見通しをもって施策をするのではなく、自分の任期中に自分の「出世」のために制度を改変したりするため、弥縫的なものにならざるを得ない。

 高齢社会の日本において、様々な施策目的(国内景気の上昇、社会保障制度をどう樹立するかなど)を考案しながら、税制度も含めて総合的に考えるべきだ。それが欠けているというしかない。

 消費税の10%実施を延期しても、経済的弱者への総合的な対策を立てないかぎり、景気の上昇はありえない。8%であってもである。せめて5%に戻し、日本社会の未来を総合的に設計することでもしないかぎり、経済的低迷から脱することはできないだろう。


消費税10%「経済失速なら元も子もない」 首相再延期を検討

2016年3月19日 朝刊
 安倍晋三首相は、来年四月に予定される消費税率の10%への引き上げを再延期する検討を始めた。十八日の参院予算委員会で「消費に力強さがない。世界経済が不透明さを増している。経済が失速しては元も子もなくなる」と述べた。現在の経済状況の低迷に懸念を示し、増税の延期を判断する可能性があるとの考えを示したものだ。 (新開浩)

 首相は予算委で、二〇一四年四月に実施した消費税率8%への引き上げについても「予測よりも消費が落ち込み、影響が続いているのも事実だ」と、経済のマイナス要因になっていることを認めた。同時に「現下の経済状況はしっかりと注意深く見ていきたい」と強調した。

 首相は一四年十一月に、消費税率10%への引き上げを一五年十月から一七年四月に延期すると発表し、衆院を解散した。その後は、リーマン・ショックや大震災のような重大事態が起きない限り、増税は再延期しない考えを繰り返し強調してきた。この日の予算委でも「リーマン・ショック級の事態にならない限り、予定通り引き上げていく」とも述べた。

 だが再延期の判断材料となる重大事態をめぐっては、首相は今年に入ってリーマン・ショック級に加え「世界経済の大幅な収縮」も要因として繰り返し言及。その後も「日本経済の根底が崩されては意味がない」と、増税よりも経済状況を優先させる発言を強めている。

 首相は最近、増税の判断は「その時の政治判断」を強調。五月二十六、二十七両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で世界経済の現状を見極めるとみられる。

 与党内では首相が増税の延期とともに、夏の参院選と同時に衆院解散・総選挙を行うとの観測が広がる。首相は衆参同日選に踏み切るかどうかも視野に入れながら、消費税増税を再延期するかどうか最終判断するとみられる。
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