浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】武井彩佳『歴史修正主義』(中公新書)

2021-10-31 10:11:14 | 

 まず結論から。良い本である。よく考えられているし、いかなる問題があるのかもきちんと提示されている。この問題が簡単に解決できないものであることが記されていて、好感が持てた。

 まず歴史を叙述することは、とてもたいへんであることを記したい。史料をもとに、それもいくつもの史料を突き合わせて、なにが事実であるのかを確定し、それを歴史の全体的な動きの中に位置づけていくことは、集中力と持続力が求められるたいへんな作業である。それにそこで確定される事実に関する今までの研究をきちんと踏まえなければならないから、歴史研究には膨大な時間とカネ(文献を購入したり、調査旅行する費用など)がかかる。ついでにいうと、次々と歴史の本を出す人を、私は信用しない。歴史研究者は、多作とは無縁であるはずだ。

 そのような作業の結果確定された事実についての叙述に対して、いとも簡単にそれを否定したり攻撃する人が出てきた。歴史修正主義者である。

 本書の著者は西洋史の研究者であるから、ホロコースト否定の言説を検討するのだが、著者はこう指摘する。

 歴史修正主義者は、人々に認識の「揺らぎ」を呼び覚ますことを意図している。 実際には明らかに白に近いものと、明らかに黒いに近いものがあるにもかかわらず、その差が曖昧にされ、学術的な知見に基づいて構築された歴史解釈が骨抜きにされてしまうのだ。こうして、長い時間をかけて形成されてきた社会の合意が浸食されていく。社会が歴史的事実と位置づけてきたものの地位は、それほど堅牢ではない。(70頁)

 要するに、「学術的な知見に基づいて構築された歴史解釈」が相対化されてしまう、それが歴史修正主義者が目的とするものなのだ。

 彼らにとって七面倒くさい史料操作は必要ない。主張したいこと、結論がさきにあり、ただそれを事実であるかのように粉飾することだけがかれらの作業となる。 

 歴史修正主義は、過去に関するものであるように見えて、実は極めて現在的な意図を持つ。現在における歴史の「効用」が問題なのであり、いまを生きる人間にもたらされる利益がなければ意味がない。したがって歴史修正主義は本質的に未来志向である。歴史が修正されることで、将来的に取り得る選択肢も正当化されるからだ。こうして過去は 現在と未来に奉仕させられる。(16頁)

 彼らは、歴史を利用するのだ。歴史はそのためのみにある。過去を「修正」することによって、現在、そして未来のために何らかの「効用」を図るのである。

 このような歴史修正主義に対してどう対応するか。実際「修正」されたものが、ネトウヨと親和的な文科省などによって教科書などに反映されることもある。

 私も歴史修正主義者と論争をしたことがあるが、史料を提示してこうなのだ、といっても、まったく受け入れない、学問的な論争にはならない、彼らはまず「信念」があって、その「信念」を揺るがす事実が提示されてもはね返すだけ、事実に対して謙虚でなく不誠実なのだ。徒労だった。

 彼らにどう対応すべきか、この本でも明示されているわけではない。だが、きちんと問題点が示されている。

 もう一度、この問題を考える契機にはなるだろう。一読を勧めたい。

 

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見放されるメディア

2021-10-30 20:06:26 | メディア

 Twitterを私はしないが、いろいろな人のそれは見る。

 最近、新聞購読をやめたと書き込む人が増えている。その理由として、新聞がジャーナリズムではなくなり、単なる情報提供、あるいは官報化していることが挙げられている。その対象とされている新聞名は、朝日新聞であり、毎日新聞である。両社とも一定の信頼を持たれていた新聞社であるが、最近の傾向として信頼を裏切る記事が増えているようなのだ。

 私はもう小泉政権時代にそれを感じ、長年購読していた朝日新聞の購読をやめた。そして時に(それぞれ一ヶ月間)カネを払って、朝日新聞、毎日新聞をデジタルで購読したことがあるが、記事を読んで、やはりカネを払う価値はないと判断し購読をやめた。

 何度も書いているが、今は『東京新聞』を購読している。こちらは購読をやめようとは思わない。

 要するに、朝日新聞や毎日新聞が、読売新聞や産経新聞のようになりつつあるということなのだろう。

 購読をやめる人は、期待していたのに、期待外れ、ということなのだ。

 これらの新聞をやめるなら、いっしょにテレビから受信装置を取り外そう。テレビを見なくなると、生活が落ち着く。

 先日見逃し配信でテレビ朝日の「ドクターX」をみた。まったくつまらなかった。わが家ではNetflixやAmazon Primeなどで韓国ドラマや韓国映画を見ているが、今や日本よりも先進の国となった韓国のそれらの質は日本よりずっと高いものになっている。

 国が凋落するということは、あらゆるところで劣化するということなのだろう。

 劣化するテレビ番組をみると、自分自身も劣化するのではないか。だからテレビを棄てよう。受信設備を取り除き、自民党の広報機関であるNHKの受信料を払うのをやめよう。

 

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明日の選挙

2021-10-30 20:06:26 | 政治

 ウソをつく政党による政治にさよならしよう!

 自分の友だちだけに国のおカネをつかう政党にさよならしよう!

 公文書を偽造したり、まっ黒にして公表(?)する政党にはさよならしよう!

 軍事費を大幅に増やそうとする政党にはさよならしよう!

 病院を減らすために消費税をつかっている自民党、公明党にさよならしよう!

 大企業に減税し、消費税を増税して国民を苦しめる政党にはさよならしよう!

 経済成長をストップさせ、働く人の賃金を減らしている政治をおこなう政党にさよならしよう!

 

 明日の投票、賢明な判断を!

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明日は総選挙

2021-10-30 19:21:50 | 政治

 私は、今の日本の政治には、誠実さが求められていると思う。

 まず第一に、国民、とりわけ生活困難を抱えている人々への誠実さである。政治は何のためにあるのか、特定の集団や企業に利益を与えるためではなく、庶民の生活がきちんと立ちゆくようにするためにある。

 この自民党・公明党政権による長期にわたる政治は、少数の利権にあずかる者たちへの利益誘導だけが行われてきた。庶民の生活はないがしろにされてきた。

 私が自民党を、「除民党」と表現する理由である。

 烈しい格差社会で生きていくことが困難になっている人々への誠実な対応、それこそが求められている。

 自民党、公明党にはまったくないことである。もちろん、「維新」にもない。

 明日は投票日、私が期待する選挙結果となるように祈りたい。

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自民党を支える業界団体

2021-10-30 08:03:02 | 政治

 わが家の近くにも特定郵便局がある。そこがもっとも近いので利用している。

 小泉純一郎による郵政民営化に伴い、郵便局員が過重なノルマに喘ぎ、「悪」に手を染めることもやっていたことがかつて報じられた。

 そして今度は、郵便局利用者の金員や局員が営業活動で得た利益を、特定郵便局長の団体が、そのカネを悪用したことが報じられた。そのカネでカレンダーを購入して、自民党の支持者に配ったというのだ。公金の私的利用である。

 最近郵便局員が人員不足でたいへんだと聞いた。郵政民営化により、そこで働く人々の労働が加重され、また賃金も低く、働く人が集まってこないようだ。

 私は、郵便局で働く労働者のことを思い、できるだけ郵便局を使おうとしてきたが、こういうニュースを聞くと足を向けることがいやになってくる。

 郵政民営化を白紙に戻し、働きやすい職場になることを望む。

 

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総選挙

2021-10-28 21:00:29 | 政治

 朝日や日経が、「自民が単独過半数の攻防 与党で過半数の勢い」などというニュースを流している。私にはそれが正しいのかどうかわからないが、もしそういうことなら、わが日本の国民はどうかしている、としかいいようがない。

 こんなに特権階級がのさばって、こんなに庶民が虐げられても、それを良しとする人々が多いということだ。

 日本の政治文化は、まったく進歩がない、絶望的というしかない。

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【本】子安宣邦『「維新」的近代の幻想』(作品社)

2021-10-28 21:00:29 | 

 この本も積ん読にしてあったもの。記されている内容は多岐にわたる。

 だが書名からすると、第一部と第二部がメインだといえよう。あまり委しく書くつもりはないのでメモ程度に記す。

 まず津田左右吉が、維新を薩長の欺瞞的なクーデターであった、ということを書いていたそうだ。知らなかった。私も、同じような考え方をしていて、薩長による作為的な近代天皇制国家こそが、近代日本をダメにしたと思っている。

 そのイデオロギーとして水戸学が挙げられている。通常そうなのだが、それと荻生徂徠の言説を、子安はつなぐ。これは刺激的であった。近代天皇制につながる、近世における天皇再評価は、儒学者たちがその道をつくったのだが、そこに徂徠もいたとは。

 かれらがつくった近代天皇制国家とは異なる国家構想をもったのは、中江兆民であった。

 たしか鹿野政直の本に、「近代日本の国家構想」というような本があったように記憶している。

 この本を読んで、もう一度近代天皇制国家の創出過程を振り返ってみたいと思った。

 内容的にはそんなに緻密ではないが、問題意識を喚起させてくれた。

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私は斎藤美奈子派だ

2021-10-28 11:08:59 | 社会

 私はTwitterを読むことはあるが、自分ではやらない。あんな短い文でいいたいことを正確に表現することはできないと思っているからだ。

 だからこの、斎藤美奈子さんのコラムの結論に賛成。

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【本】亀山郁夫『大審問官スターリン』(小学館)

2021-10-28 07:54:39 | 

 2006年刊。確か書評を読んで買ったものだ。今まで書棚に放置されていた。ふと読む気になって読みはじめ、一気に読みおわった。

 スターリン体制。独裁者スターリンの悪行は知られている。よく分からない支離滅裂な理由を付して多くの人々を殺した独裁者。

 その独裁者には多数の協力者がいた。協力者がいなければあの蛮行を行うことは出来なかった。しかし協力した者が次には殺される。なぜ殺されるのか、その理由が明確でないままに殺された。スターリン体制下で生きぬくということは、とてもたいへんなことだ。

 長期にわたる自民党・公明党政権の下で、官僚やメディア関係者など、独裁的な政治家に自ら進んで忖度するように、スターリン体制下でも同じことが行われた。スターリン体制下では芸術家たちもそうした。

 読んでいて、私が知っている芸術家たちが、スターリンに直訴状を出したり、スターリン体制下で生き延びるために策を弄していたことを知った。なかには、この人もか、という人もいた。ソ連では、生死に直接関わるからやむを得ないかも知れないが、それにしても、この人までも、という感想を持った。

 ツァーリ、スターリン体制、そして現在のロシア。独裁という政治体制が続く。民主主義は、この国にとってはなかなか馴染まない制度のように思える。歴史のなかに刻まれた専制政治から脱け出すことは容易ではない。

 さて、良いことばに出会った。

「もはや、歴史的事実などどうでもよかった。そこには、あってほしい事実が描かれていればよかった。それこそが、スターリン流の社会主義リアリズムだったのである。」(270頁)

 「歴史修正主義」ということばがある。それはここに記された「スターリン流の社会主義リアリズム」と同義である。今の日本にも、それがはびこっている。

 感想としては、「一見相互にばらばらな印象を」受けたが、それは著者にとっては想定内のことである。「エピローグ」にそう書かれていた。

 今年はドストエフスキー生誕200年だそうだ。ロシアは専制政治が続いてきたが、しかしそのなかで世界的な作曲家や文学者を輩出している。独裁国家、専制政治の国家であっても、ロシアはすごい!と私はいつも思う。

 

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悪は悪を呼ぶ

2021-10-28 07:54:39 | 政治

安倍元首相と日大背任事件・籔本雅巳容疑者の“親密写真”

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もう一度、皇族の結婚について

2021-10-28 07:07:00 | 社会

 昨日の『東京新聞』の「こちら特報部」は、小室さん、眞子さんの結婚に関する特集であった。記事は、この結婚に異を唱えることに対する問題を挙げていた。

 私は、この問題をテレビやネット、週刊誌などで騒いでいることそれ自体に、強い異和感を持ち続けていた。

 結婚は、「両性の合意」のみにより成立するのだ。

 私は子どもが結婚するという報告を「ああそう」で受けた。私が結婚するのではない、個人と個人が好きになって一緒にいたいと思うから結婚するのだ。もしうまくいかなければ離婚すればよいのだ。

 それは皇族であろうと変わりはない。家柄などを最優先して結婚するなど、好きでもない人と一緒に生活することほど不幸なことはない。誰でも幸福を追求する權利はあるのだ。

 日本社会の一部に、日本国憲法の精神の婚姻の自由、それは日本国憲法だけではなく普遍的なあり方だ、それを否定する人々がいることに驚く。

 一部の批判は、あきらかに人権侵害である。それが堂々と週刊誌などのメディアのなかで行われていたことこそ問題なのだ。

 原理的に考えれば、このような「事件」は、天皇制があるが故に生じる。批判する人々は、どちらかといえば天皇制を擁護する立場の人のようだ。しかし彼らは天皇制そのものを擁護するのではなく、みずからの考えによって自分なりの天皇制の像をつくりあげ、それを基準として判断している。彼らは「主観的天皇制」の擁護者なのである。しかしそれは天皇制に対する敬意でも何でもない。彼らこそ、こう云ってよければ「不敬」なのだ。

 私は天皇制は廃止したほうがよいと思っている。なぜか。明治維新に始まる近代天皇制はきわめて人為的・作為的な制度であるからだ。現代天皇制は、その近代天皇制を継承している。

 眞子さんを巻き込んだこの度の騒ぎは、近代・現代天皇制がもたらしたものだとも言える。

 雑多な誹謗中傷をものともせずに結婚に突き進んでいった二人の勇気と決意に、私は敬意を表したい。

 

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皇族の結婚について

2021-10-27 21:18:02 | 社会

 テレビは小室さんと眞子さんの結婚に関するものがずっと続いているという。

 私はテレビをまったくみないし、家人は韓流ドラマのみを見ていて(Amazon Primeの提供)、どのように報じられていたのかまったく知らない。

 結婚の意思を持つ二人が結婚することに、周りのものが騒ぐことはないのである。騒ぐな!である。

 リテラの記事は正しい。

眞子内親王の結婚に際して佳子内親王が勇気あるコメント! 理不尽なバッシングに負けず「人権」をつらぬいた姉妹に拍手

 

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悪夢の安倍政権

2021-10-27 07:37:31 | 政治

 悪夢?いや、いまだ夢になっていない。あの野郎がやった「アベノマスク」、いまもって税金を無駄遣いしている。

政府配布の布マスク、8200万枚・115億円分余剰 検査院

 『日本経済新聞』の記事。

新型コロナウイルスの対策事業について会計検査院が検査し、介護施設などに配るため政府が調達した布マスク約1億4千万枚のうち、今年3月末時点で約8200万枚(約115億円相当)が倉庫に保管されていたことが26日、関係者への取材で分かった。昨年8月~今年3月の保管費用が約6億円に上ることも判明した。

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良識

2021-10-27 07:32:21 | 政治

 私は、こういう人物を当選させている選挙民、そしてそういう人物を副総裁として祭り上げている政党、いずれも良識のない方々だと思う。日本を悪くしているのは、こういう人々だ。

麻生太郎氏「温暖化もいいことがある」を地元福岡はどう受け止めた? 県は温暖化対策の真っ最中

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メディアの大騒ぎ

2021-10-26 07:51:46 | メディア

 Yahoo!ニュースにアクセスすると、小室さん、眞子さんの結婚に関するニュースが並んでいる。私はこれについての見出しすら無視するが、しかしその多さに驚く。

 彼らの結婚になぜそんなに関心を抱くのか、私は全く分からない。社会的にこんなにも多く取り上げるべき問題なのか。ただ好きになった二人が結婚しようとしているだけではないか。

 同ニュースの「主要」というところには芸能人のニュースが並んでいるが、芸能人に関するつまらない些事が「主要」なのか。

 テレビはいうまでもなく、大宅壮一がかつてテレビは「一億を総白痴化する」といったが、ネットメディアもそれに近いような気がする。

 今は、重大な総選挙の最中である。皇室の結婚問題や芸能人に関わる些事より、総選挙にかかわるニュースのほうが重要ではないか。

 テレビや新聞、雑誌、そしてネットも、自民党・公明党政権を支えようとしているように思える。

 

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