「風立ちぬ。いざ生きめやも」
主人公 二郎が憧れる、イタリア人飛行機製作者=カプローニ
は作中、何度も二郎に「風は吹いているか。。。?」と尋ねます
二郎の生き方は、
男性ならずとも、こう生きられたらどれだけ幸せか・・・
という程 わき目も振らず、夢に邁進する人生。
子供の頃描いた、飛行機設計者の 夢をそのまま実現し
後に歴史に残るほどの飛行機「零戦」をつくりだして
しまうのですから・・・
「美しい飛行機」を作りたい・・・
それはデザイン、機能性ともに 当時日本が作り得た
中では、最高のクオリティ。
しかし、二郎は人が乗ってそのまま敵地に突っ込むような
戦争の道具を作りたかった訳ではもちろんなく
そこには技術者の大きなジレンマが奥深く漂っていたにちがいありません
人生は矛盾だらけ。。と言えるかもしれません。
生きること、そのものがそもそも矛盾だと
いう言い方もできます。
夢を追いかける。。。なんてスバラシイ事でしょう
夢を見つけられないヒトだっています。
志半ばで諦める人だっています。
しかし、二郎はその夢を実現させたにも
関わらず、自分の設計した夢の零戦が
日本国民の生活を困窮させ、
多くの死者を出し。。。。敗戦という結果を産んでしまうのです
「夢をあきらめるな・・・・」と言うのでしょうか?
それとも、戦争に加担する戦闘機をつくり出した
事を非難するのでしょうか?
いいえ、誰にでもなし得るわけでない大きな夢を
実現した主人公に
ただ純粋に羨望の眼差しを贈る
私たちがいるのは事実です。
わき目も振らず、日々 自分の好きな飛行機の事だけ考える。
最後には、理想とした「美しい飛行機」をつくり出してしまう。
そんな、二郎にはいつも風が吹いていました。
幼い頃から、その勢いは変わりませんでした。
しかし夢を実現したその後に待っていたのが
最悪の結果であった事が二郎をどれだけ絶望させたことか・・・・
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
そこから、立ち上がるには、計り知れない
苦難があったに違いありません。。。。
そして、それを推し量る裁量は、
映画を観た私たちに委ねられます。
自分が抱く夢とは?
「風は吹いているか。。。」の問いに自分ならどう答えるのでしょう。。。
『ひこうき雲』