これは、蝉を主人公にした、森の昆虫や生き物たちの
お話----ユウダチゼミのゴッホ(松山ケンイチ)は
幼虫として土のなかにいるあいだ、同じくユウダチゼミのベアトリーチェ(美波)
と、地上に出て羽化したら、恋人同士になろう!と約束します
ところが、ゴッホはベアトリーチェより一年早く、羽化してしまいます
地上に出たら 年を越す事が出来ない=ベアトリーチェに会えない
となったゴッホは、どうにかして冬を越そうとするのですが。。。
よく一般的に、地上に出た蝉の寿命は7日間ほどと
言われていますが、それまでの間、地中では2~6年を幼虫として過ごすそうです
人間にとってみれば、とっても短い人生----
しかし、蝉に限らず、森の中に棲む昆虫には、それが当然といえる
一生です・・・もし、天敵に襲われれば それがさらに短くなる事も充分あり得るわけですし。。。
子孫の存続、食物連鎖など
森の小さな生き物たちは、人間以上に大きなサークルの中で
自分の寿命をまっとうします
そんな、自然界のたくさんの生き物のなかの蝉。。。。
その蝉が、一生懸命
自然の摂理に逆らってまで、好きな相手に会おうとする一途さは
人間以上に純粋に感じられます
そんな、ゴッホが、寒い冬を越すため目指したのは
「四角い森」=人間の世界です
劇中、虫たちが、「自分たちはなぜ生まれて死ぬのかはわからない_______
ならば、もっと世界は大きく、知らない事であふれている____ 」
といったような歌をうたうシーンが何度かあります
人間の世界は、虫たちが暮らす大きな森に比べたら
四角い小さな限られた世界。。。
そこで、ひずみを感じ 摩擦を起こしながら、暮らす不思議な生き物・・・・
土の中で暮らす、アリや蝉、ミミズや カエルやカマキリ。。。
そんな小さな生き物の棲む 大きな世界に
思いを巡らせたら、人間も同じ小さな生き物にすぎません。。。
そして、知らないことだらけであふれた、世界にいることを
感じたら、すべては敬意に値する事がわかってくるのです
事実、蝉は地上に出てから2・3週間は生き
さらには、一か月以上生きるものも いるのだそうですから。。。。
夏に めい一杯鳴く蝉の声、毎日休まず働くアリ・・
そのすべてが 自然界で創られた神秘そのもの
そしてゴッホを演じる松山ケンイチの
目はキラキラと輝いて 純粋なこころをそのまま表していました
蝉を演じながら、一人の人間を表現する
それがシンクロした時、彼の存在そのものが、一途な生き様を魅せるのです