つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

後ろ姿

2011-08-17 04:12:12 | つらつら思うこと
          後ろ姿のしぐれてゆくか

種田山頭火の有名な句だが、「しぐれ」というのは、時雨とも書いて、
降ったり止んだりする雨のことで、冬の季語になっている。友人の後ろ姿なのか
自分の姿なのか、冬の雨に濡れつつ…歩き行く…。寂しげな姿を詠んでいる。

このように後ろ姿には、その人の心情が映し出されるようだ。よく、“男の背中”に
男の生きざまが出るなどと言われるように、無意識の姿が見えるのかもしれない。

大好きなドラマ「のだめカンタ-ビレ」では、のだめの先輩千秋真一の指揮する背中を
見て、「なぜだろう…きみは才能に溢れ、そんなにも音楽への情熱を持っているのに、なぜ
いつも「絶望」を背負っているんだろう、なぜ…。」と音楽評論家、佐久間学が千秋の背中に
「絶望」を感じ取って胸痛めるシーンがある。これは、ただのフィクションシーンではない、
見える人には見えるリアルな描写なのだ。

では、女性はどうなのだろうか?…。ふと考えてしまった…。
どうも、女性は背中ではないような気がしたのだ。その女性の秘めた哀しみ、孤独、心情は
果たして、どこに現れるのだろうか…。

わたしは、どうも肩から上の後ろ姿に表れるような気がしているのだ。昔だと着物の襟
から上にかけて…。その辺は浮世絵師などとっくの昔に知っていて、哀しみや孤独など
“憂い”としてそのあたりに表れるので、うなじを中心にした浮世絵美人を描いたに
違いない。そして、その後ろ姿からふと横顔をかいま見す「見返り美人」など、それを
熟知していたと思われる。

つまり、女性の秘めた心情は、肩より上のあたりに、得も言われぬ憂いとなって
見えるのかもしれない。

話はちょっとずれるかもしれないが、紙に絵を描いたとき、その絵を裏返して明りに
当てると、絵の狂いがハッキリとわかるのである。これが人の後ろ姿とどこか
似通っている感じがするのだ。

わたしは時折り、人の裏側に映し出される心の陰りを見つめ、そのささやきを
聞きとろうと耳を澄ます時がある。すると…声なき声がかすかに聞こえてきたりする…。


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