つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

こだまでしょうか

2011-10-30 07:07:07 | テレビ

「遊ぼう」ていうと「遊ぼう」っていう

「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう

こだまでしょうか。

いいえ誰でも。

大震災の時のACのCMで流され、あまりにも有名になった金子みすずの詩の一節である。
先日NHKの番組で、その金子みすずの詩を紹介していた。

26歳で一人娘を残して自殺してしまった金子みすずが何を思い
何を綴ったのかを、再現ドラマとナレーションで構成していたのだ。

その中で、冒頭の「こだまでしょうか…」を始めとして、数編の
詩を文字と朗読で紹介していたのである。

それを見ていて、とある詩が読まれると、急に胸がこみ上げてきて
涙があふれ出したのだ。思わず眼の下あたりを両手で押さえたのだが、
とめどなくあふれ出てくるのだった。それは、このような詩だった。

夜がくるまで沈んでる

昼のお星は目に見えぬ

見えぬけれどもあるんだよ

見えぬものでもあるんだよ

確かに、それまでの詩で気持ちが高ぶっていたとは思うが、
割合地味な詩の様でもあるのに、突然のごとく起こった現象
に自分でも驚いてしまったのである。

しかし、その詩を改めて読んでみると、自分が目指す絵の核心に
触れているのだ。わたしは、昆虫やら鳥、猫、草木などの命の
営みの、声なき声を描きとめたいとして、描いているつもりなのだが、
ともすればこのことを見失いがちになるのである。

いま、それが薄らいでいたに違いない。そこへ、グサリと「見えぬものでも
あるんだよ」という言葉が胸に突き刺さってきたのである。

そして。「ハッ」とした思いに目を覚まされたのだ。あふれた涙は、悔恨の思いが
募ったものに違いない。

襟を正して初心に帰るつもりです。
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こんなことが…

2011-10-27 03:48:20 | ちょっとした出来事
会社帰りの車の中、フロントガラスが濡れ始めたかと思うと、
大粒の雨が打ち始めた。

「何だいまた雨男に逆戻りか」と思ったが、このところのパターンでは、
車を降りる頃には止んでいるか、かなり小降りになっていて、辛うじて雨男を
免れることが多い。

この日も、買い物すべく寄った大型スーパーの駐車場に着いたころには
パラパラとかなり小降りになっていた。日曜日とあって広い駐車場も
混んでいる。やむなく入口からかなり遠い場所へ留めることにした。
迷わないように、方向を確認する。「丁度宝くじ売り場の正面だな…」と
覚えて、スーパーへ入った。

買い物を済ませ、スーパーを出てきて、駐車場の自分の車の位置を確認する。
「宝くじ売り場の真正面…」と、宝くじ売り場まで行って、真っ直ぐに
車に向かう。雨はほとんど止んでいる、ホッとして何気なく見上げた空に
何と虹が懸かっているではないか。それも今まで見たこともないような
鮮やかさで、クッキリと鮮明なのだ。

しばし、ボーっと眺めていたが、我に返ったようになって携帯カメラで
撮った。そしてまたまた何を思ったのか「買わなくちゃあ!」ととっさに
頭に閃き、脱兎のごとく引き換えし、宝クジ売り場へと向かったのである。

同じように思った人たちがいたのか、すでに2組のカップルが宝クジ売り場に
いて、何やら鉛筆のようなもので書いたり、こすったりしている。
売り場の女性に、「ください!」とわたしが言うと、ロトシックスですか?
それとも○×▼ですか?それとも200円のですか?」と言うので、
何も頭に浮かばず、「普通の宝くじください!」と言い放ったのである。

「当たりますように」例のくじ売り場の女性の声を背に宝くじを握りしめた。

わたしは正直宝くじなるものは、好きではないのだ。あの外れた時の砂をかむような
虚しさは、自分に湧いた俄欲が天にあざ笑われているようなみじめさを
感じるのである。しかし買わなければ決して当たらないという煩悩を試すがごとき
悪魔の罠にも似た仕掛けに、腹立たしさすら覚えるのだ。「そんな手にのるか」
と思いつつも、わかっちゃいるけど人間の哀しさで、もうこんな時は買うしかない
という閃きがあったときは、悪魔にチャレンジしようという覚悟は持っていたのだ。

今、そのチャレンジすべき時と思ったのである。

車に向かいつつ再び虹を見ると、変わりなく鮮やかに懸かっていた。「エ!」
しかし、よく見ると、な何ともう一つ虹が懸かっているではないか。
クッキリした虹を囲むようにもう一つうっすらと虹が見えるのだ。我が人生に
おいて初めての光景であった。

携帯に写し取ると、「ウンやっぱりチャレンジするべき時だったのだ」と
納得しつつ、帰路についた。
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今度こそ…

2011-10-22 05:06:25 | 会社

ついに退職の事を言えなかった翌日、気を取り直して「今日こそ…」と
固い決意のもとに出勤した。

昼食後に言おうと食堂へ向かうと、「ヤバ!」代表も来たではないか。わたしは
今日こそは接触を避けようと、そそくさと弁当を持ってテーブルへと行こうとしたら、
スッと代表が近づいて来たではないか。そしてわたしの目の前に何やら差し出したのである。
「?」と思っていると、「これ」と言うのだ。受け取って見ると数個のコーヒーパックのようである。

「いただいていいんですか?」と言うと、「どうぞ」と言うのだ。
「代表飲まないんですか?」と聞くと、「オレ紅茶党だからコーヒー飲まないんだよ」と
言うのである。ここの従業員のほとんどは普通のインスタントコーヒーを
飲んでいて、生意気にドリップコーヒーを飲んでいるのはわたしただ一人だけなのだった。

「…ありがとうございます、心していただきます」と言うとニッコリ笑ってテーブルへと
向かって行った。多分貰いものの残りであろうが、数個のドリップコーヒーと
数個のシュガーだった。

言えなかった…。
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おいしい水

2011-10-21 04:33:10 | 会社
どういうわけだか、会社で家庭用の整水器なるもののプレゼンテーションを受けた。
このたびの原発による汚染水のセシウムが、その整水器で作りだす水素水により
浄化されたという某メーカーである。

その整水器で作ったという弁当が一人一人に配られ、それを食べつつ受けたのだ。

水は人体の構成上も生活する上においても、全ての根幹に関わる大切なものなので、
煩わしさは感じたものの、会議室に一堂に介して拝聴したのである。

このプレゼンテーションは色々実験をしてくれるので、それを見るだけでもけっこう面白い。
まず、活性酸素と成分がほぼ同じという消毒薬の「イソジン」を取り出し、その水で混ぜると
分解してきれいに透明になってしまうのや、米を研ぐと普通は白く濁るのが、米の表面に
付着している不純物が取れて、やや黄みがかった色になるとかを見せてくれたのである。

今回も前回もその水で作ったというご飯がおいしかったので、実はわたしは購入したかった
のだが、我がマンションの水道の蛇口が規定に合わないので、別途取り付け工事をしなかれば
ならず、断念していたのである。

今回はなかったが、前回、ごま油を分解してきれいに澄んだ水にしてしまったのを見て、
体脂肪やコレステロールが気になる人は購入するきっかけになったようだ。

健康や美容にもいいということなので、我が上司も気になる高血圧を考え、前回購入したと
言い、わたしにペットボトル2本に入れ、持ってきてくれた。

確かにそれで飲んだコーヒーは美味しかったのである。わたしは、ご飯とコーヒーと
焼酎の割り水が旨ければ、何も言うことはないので「ほしい~」と切に思ったのだが、
断念のやむなきに至っていたのだ。

プレゼンテーションが終わって、今一度購入を考えてみようと思って、蛇口のことを
相談すると、別途費用が2万円かかり、穴を開けなければならないと言うのである。
人生の潤いを考えると、購入費10数万円+取り付け費用+穴あけ費、が決して
高価とは思わないが、このたび退職する身としては、ウ~ンとならざるを得ないのだった。

実はいま我が家では、他メーカーのアルカリイオン水を作るのを使っている。
これは前回購入できないとわかったときに買ったものである。まあ、安いということもあって、
体の隅々までの健康には行き届かないであろうが、コーヒーは旨くなったし、ご飯もけっこう
旨くなったので、よし…とすることにしたのだ。

翌日の出勤の出掛けにドアを開けると、ふわ~っとキンモクセイの香りが漂ってきた…。
そうか、そんな季節になったのか…「ン、まあ、よし…だ、よし…」。
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辞めるにあたって

2011-10-16 05:39:42 | 会社
会社を辞める決意をした後、とりあえず上司には伝えたのだが、会社の長である代表に
直接言わなければならないのである。正直これが気が重いのだ。


この会社には、代表の部屋というのはなく、事務所の一番奥に代表が鎮座ましましているのである。
そこへ行くまでに、各部役員3名、事務員7名、課長2~3名をくぐり抜けていかなければ
ならないのだ。大げさに言えば万座の中で会社を辞める旨、申し述べねばならないのである。
ああ~気が重い…。(これがイヤさに辞職を撤回したいぐらいなのだが)(笑)

しかし、決意し上司にも伝えたとあっては、そう遠くないうちに言わなければならないのは
必定なので、腹をくくって「今日言おう」と決心した。

現代表も、わたしには気さくに話しかけてくれるので、かえって言いづらいところもあるのだ。
その日昼食を摂った後に言おうと思い、食堂でコーヒーを飲もうとパックコーヒーを
カップにセットしていると代表がやってきて覗きこみ、「それ、なんのコーヒー?」と声を掛けてきた。
代表はいつも従業員達と一緒に食事するのである。「UCCですけど」と言うと「UCCはわ
かってるけどコーヒーの種類は?」と言うので、「ああ…モカブレンドです」と言った。

「フーン、モカだったらちょっと辛いというか酸っぱいというか…」お、代表コーヒーには
詳しいのかな…。「エエ、モカ系やキリマンジャロは酸味が特徴ですからねえ」と言うと
「そうそうコーヒーによって色々あるからねえ」と言うので「ええ、ブラジルやコロンビアは
苦みが特徴ですし…」と答えると代表が「モンブランとかねえ」と言ったのだ。
「モンブラン??」ケーキでは聞いたことがあるが、コーヒーでは??「ブルーマウンテンとかね」
と続けたので、「ブルーマウンテンはまろやかで旨いですが、とても我ら庶民には…」と答えつつ
コーヒーにステックシュガーを入れた。

すると、目ざとくまた視線を止め、「Kさん砂糖入れるんだ」と言ってわたしの顔を見て
ニヤッと笑った。「エエ、ずっとブラックだったんですけど、会社に勤め出してからなんだか
甘みがほしくて入れるようになったんです」と代表をチラリと見て言うと、「そう…」と言って
苦笑いを返した。

この日、言えなかった…。

コメント (2)
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