つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

戸惑いながら鑑賞文を書いている。

2006-05-27 00:26:05 | 俳句
心の琴線に触れながら共鳴して鳴るのは、月か電線か、
季節は秋より冬に近い、少し丸みを帯びて凍てかかった月、
僭越ながら上五の月帰るが見事に利いていると思う。
暗天を西へ帰る月と、白く光る電線が奏でる幽玄のうつつ、
思考は現実を離れモノクロームの彼方へ、
心は空想の世界に自由に遊ぶことが出来る、
それへ誘う舞台さえあれば、この句はその舞台となる。
郷愁にみちたメルヘンの空間へ心あそばせたい。ふと思う。
谷内六郎がこの句を描いたらどんな絵になるだろうかと……。(K・S)

月帰る触るる電線奏でつつ

これはこの俳句に対しての鑑賞文である。
私の友人で、映画監督の黒沢明が大好きな人がいる。彼はよく黒沢映画のワンシーンをうれしそうな顔をして語ってくれる。それが微にいり細にわたって「この辺が黒沢はすごいんだよ」と強調して解説してくれるのだ。私は「ホ~」と感心して本物の映画を観るのだが、確かに映画も面白いのだが、彼の解説のほうがもっと面白いので「ウ~ム…」と多少不満が残ってしまうほどなのである。これは
この鑑賞文と俳句の関係に似ているのではないかとふと思った。
そしてある俳句の大家が「選句も作品なり」と言ったそうだが、
この鑑賞文もしかり、まさにりっぱな作品ではないだろうか。私はこの鑑賞文に一票を投じたい。
あわれ名鑑賞文に恐れ入ってしまったあの俳句の作者はissei.kawabataなのなのだ。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 思ひ出ぼろぼろ「ニャンとも... | トップ | 「イ・ヨンエsama」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

俳句」カテゴリの最新記事