前向きな人生の整理整頓

人生も後半、一日が短いです。明日やると思っても、若者のようには明日はたくさんないのかもと気づいた今日この頃

春風に一瞬、こころが舞う

2016年02月21日 17時30分26秒 | 音楽
自ら積極的に働きかけて、現在の若者の文化を取り込もうとは思っていません。
万事後ろ向きなので、気に入らないことの方が多いけれど、否定ばかりする
つもりもありません。

稀に、きらりとする talent に出会うことだってあるのです。

去年のちょうど今頃でした。通院帰りのわたしは少しほっとした気分で買い物をしていました。
2月、暖かな日で心も春めいていつものオレンジだけにしておけば良いのに、ピンクとワイン
3色の色付きリップを買い、浮かれてジーンズやカーディガンを見て回っていました。
ダウンコートの下は薄着なのに汗ばんできて、もうすぐ春が来ると、うきうきしながら・・・・

と、とても耳障りの良い歌声、心地よいメロディが店内に流れています。
わたしは何か、もう永遠に掴めないけれど、いつか感じていた何かが自分のうちに
ほんの一瞬だけ舞い降りたような気がして顔をあげ、振り返りました。

もう青春という枠組みの中にいた頃の春は過ぎてしまったし、若返ることも決してない
けれど、暖かな春の中に誘い出してくれるような、そこにわたしも行くことを許されたような
自分の中に残っている青春の断片を見つめているような不思議な気持ちでした。

けれど、それは刹那でした。おばさんなので大好きなりんご酢っきりを飲んで一息ついて、
帰りの電車の中で、スマートフォンばかりに目を落とす多くの若者を苦々しく見つめていると
そんな感傷はどこかに吹き飛んでいました。静かに僕を見つめる君という歌詞だけが耳に残って。

程なく、土曜の夕方テレビをつけると、涼しげな目元をした、女優の田中麗奈似の女の子が
歌い始めて、あっあの時のあの曲だと、すぐにわかったのでした。
それがこちら
">家入レオ - miss you


さらに時は過ぎ、先日また同じ番組で新曲を歌っているのを偶然見ました。
その曲もどこかわたしたち世代の鼻の奥をツンとさせるような力を持った
メロディーラインがありました。
てっきり、シンカーソングライターということなので、曲も彼女かなと思っていましたが、
何とかいう(調べるのが面倒)わたしたち世代のおじさんのようです。納得。

その曲に家入レオちゃんの歌詞がうまく乗っていると思うのです。
歌声や歌唱法も落ち着くし、何より言葉を大事に歌うのは大切なことだと思います。
歌手って音だけ伝えるのではなくて、何というか、その空間に風を呼び起こすような
そんな存在なのかもしれません。

おかしな言い方ですが、その旋風にこころをかき回されて、あのとき胸騒ぎがしました。
それも、おかしなことに心地よい胸騒ぎがしてわたしは振り返ったのです。
何もなかった、誰もいなかったけれど。

日が落ち始めると2月の冷たい風が吹いているだけでした。