酒田の美術館と言えば、私が子供の頃には本間美術館だけだった。しかも本館のみで、RC造の新館は私が高校の頃に建てられたと記憶している。この本館と言うのは、本間家の別荘を美術館に利用した物である。小学校の美術の時間に、絵の展覧会を見学と称して、琢成小学校からぞろぞろと列を作って、この本館にやってきた。
手の込んだ日本建築である。子供の頃から本物に触れさせる事は教育にとって大事な事である。と、現在の私ならそう言ってはばからない。
大工の娘だった私でも、子供にはその本物の度合いは分からないのが現実だった。
さすがに絵の展示を見る時には静かにしていたが、休憩時間ともなると庭に飛び出して好き勝手なことを行っていた。
花を摘んだり、筍を引っこ抜いたりとやりたい放題である。
それでも足りなくて、放課後本間美術館の裏に行き(その頃、美術館の塀の向こうは田圃が広がっていた。)ざっこしめなどを行っていたのである。
さて、話を日本建築に戻そう。この本間家の別荘の庭は、鶴が降り立ったことから鶴舞園と名付けられた。
その庭を見下ろす別荘は、長い間酒田の迎賓館のような役割をしていた。
改めて見ると、素晴らしい造りになっている。
残念な事に、内部は撮影が禁止で、写真はない。造作の美しさや、2階の壁が表具で仕上げられている事を、初めて知った。昭和天皇陛下が皇太子の頃に、訪れたようだが、酒田にこんな素晴らしい建築があったのだと実感する。建物の棟梁の名前は判らないが、手の込んだ造りは中村昌生氏設計の出羽遊心館が恥ずかしくなる程である。
さて、この鶴舞園の庭は、山田洋次監督の釣りばか日記のロケにも使われた事があった。
庭の作者も詳しい事はわからない。
中央に池を配し、日本の三大名園などに比べれば規模は大きくないが、高低差も手伝って想像する空間が広がる庭園である。
庭園に入るのは有料だが、美術館のチケットで入る事が出来る。
庭の手入れを考えると、有料なのは当たり前だと思う。
池の睡蓮の下には、大きな錦鯉が泳いでいて、池の橋を渡ると尾びれで水面をたたく音が聞こえた。
見る角度によって、絶景ポイントが多々ある庭だった。
真夏でも、緑に囲まれた庭は涼しい。
ただ、私の他の客は、蚊の襲撃を受けたようだ。
東屋の隣にそびえるアカマツの巨木に驚く。いったい何年経ているのだろうか。
酒田に来たら一度は見ておく庭だと言える。
Cakeさんの休暇は、やっぱり優雅に本間美術館。お仕事に戻る前のエネルギー、充分にためて下さい。
優雅に本間美術館と鶴舞園が映っていますが、近くに用事があったついでに急いで寄ってみただけなのです。この日までは、墓参りと買い物以外に外へは出ませんでした。
本間美術館に行って判ったのですが、漢字の使える国でそだったのに、昔の人達が書いた文章が読めないのに腹が立ちます。楷書か、印刷した文字でないと読めないのは何なのでしょうね。