マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

肺炎クラミジア(クラミジアニューモニエ)

2011年11月07日 | 診療
全国的にRSウィルスとマイコプラズマが大流行と言われてからしばらく経ちます。
これまでのところ、RSウィルスでうちに入院になった子はそれほど多くありません。
まあRSウィルスに感染したからといって、全員が入院になるわけでもないですけどね。

それにしても、咳のひどい子の多いこと。

たいていは、咳だけで始まります。
もしくは最初の1日くらい38度後半程度の熱が出るものの、すぐ下がります。
そこからわかりやすいくらい順調に咳がひどくなります。
熱もなくて、元気なのが逆にやっかいと思えるくらい、咳はひどいですね。
そのまま熱がでなかったら、いつか咳もマシになってきます。
その経過が2週間近くになったりしますので、それだけでもやっかい。

咳がひどくなるとともに、熱も上がってくると、やはり肺炎の可能性を考えていくことになります。
レントゲンを撮ることになる子は毎日ちょこちょこおられます。
ところが、レントゲン上ではがっつり肺炎!。。。な子がちっともいません。
熱と咳の割りにこれまたそこそこ元気なことが多いので、
入院を悩むことになるのもこれまた日常になってきております。
さすがに飲み食いができなくなってきていると、早めに入院となるのですけれど。

経過的にマイコプラズマ感染かなと思われるので、
入院になった子で抗体価を追ってみたりするのですが、ことごとく陰性。
そう考えると、確かにレントゲンで典型的なマイコプラズマ肺炎の子もいない。

中学生で、咳がひどく、熱も高いような場合、マイコプラズマの可能性も高いかと、
抗生剤も飲んでもらってみたりしました。
が、ちっとも効いた感がないことや、まだ効くような時間経たないうちから、熱が下がってしまったり。
どうも、治療効果はそれほどなさそう。

少し前の医師会の講演で、マイコプラズマ感染のすべての症例に抗生剤を
処方するのもどうかという話がありました。
基本的に自然に治る風邪ではありますので、重症化する、あるいはしそうな場合に限って、
抗生剤を投与するべきなのではということでした。
感染の拡大を防ぐために抗生剤の内服をという考えもあるようですけどね。

マイコプラズマの確証もない以上、余計に無駄な抗生剤の投与は控えるようにしていました。
もともと、マズイ薬しかありませんので、処方しても飲めないこともかなり多いですからね。
効いてなさそうならなおさらです。

そんな中、入院とその後の経過が長引いたお子さん数名で、
クラミジアニューモニエ(肺炎クラミジア)の抗体が上昇していました。
上昇してくるのに3週間くらいかかりますので、なかなか判断が難しいのですけど。

「性病のクラミジア」とは違いますのでご安心を。
肺炎クラミジアといいますが、それほど「肺炎」になりやすいわけではありません。
マイコプラズマの方が「肺炎」や稀とはいえ全身症状が出やすいはずです。
肺炎クラミジアは気管支炎が多いようですので、
レントゲン撮っても、強めの気管支炎な子が多いのも納得な気がします。

治療はマイコプラズマと変わりありません。
もし飲むとしたら、マズイ抗生剤ですね。
いくらなんでももう少し効いて欲しい気もしているのですけれどね。
いずれにせよ、長引く咳カゼの認識でよいと思っています。
多くは多少咳がひどいものの自然に治るのですから。
持続・慢性感染の話もあるようですが、現時点では気にしなくてもいいでしょう。

咳の子がみんなクラミジアとは言いませんよ。
RS、マイコプラズマや他の咳風邪の子の中にはクラミジアもあるかもねということです。
ご参考まで。
コメント (4)
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