日本のシティポップが世界で再評価されているようですが、先日ブログに書いたバトルフィーバーのOP曲などの戦隊ものの楽曲もクオリティが高く、再評価されて良いと思います。
戦隊ものに限らず(特に一昔前の)日本のアニメやドラマのOP/ED曲は、音楽の教育を受けてきた手練れの商業音楽家がキャッチーなものを全力で作っている感じがあって好きなものが多い。今回好きなものをいくつか挙げてみる。
この後の文章は、中途半端な音楽知識を振り回し俺はこんなところがわかってるんだぜ、センスあるんだぜ俺、が延々と続き鼻につきますのでご注意ください。まあ鼻につこうが本当に好きだから書く。
サビ前のメンバー紹介の所がかっこいい。戦隊ものの楽曲の中ではこれが傑出している。
Aメロから子供の声のコーラスで合いの手が入っており、それがサビ前のメンバー紹介のところになると前面に出てきてメンバー紹介をする。
メンバー紹介とき、バッキングは刻むベースのみというところがかっこいい。また特に二人目の「バトル・コサック♪」の所のちょっと外した音程のチョイスがよい。
よくこんな楽曲の構成が作れるものだと感心してしまう。手のひらの上で自由に曲が作れる手練れが意図をもって工夫をこらしたものを世に出している感じがする。
この曲はとにかくベースラインがかっこいいので
この動画のショートカットも改めてつけておく。1:19のタムの音に合わせたガッツポーズが最高。
今回調べて初めてわかったのが、戦隊ものの曲のほとんどを渡辺宙明という方が作曲しているという事。音楽大学ではなく東京大学に入り、個人的に作曲家に師事して作曲を学んだらしい。
曲の序盤で主題を弦楽器隊がリピートするところの壮大で勢いのある感じがかっこいい。秀吉のオープニングテーマが大河ドラマの中で一番好き。
最初に管楽器ソロで主題のメロディが始まり、次に弦楽器隊が主題をリピートする展開なのだけど、弦楽器隊が主題をリピートする前の助走部分の8音の部分の「さあ行くぞ感」からかっこいい。
妖怪ウォッチが大河ドラマのパロディをした回があったが、秀吉OPをネタにしていた。数ある大河の中から秀吉を選んだのは制作の誰かがこの曲を好きだったのだろう、そうだろう。
作曲者の小六 禮次郎は東京藝術大学の作曲科出身。さすが。倍賞千恵子の夫。
曲もそうだが、映像もやりたいことやってる感に溢れておりかっこいい。
まず、杉良太郎が敵に円形で囲まれているのを上から映した画で始まるのが、いつもとちがったことやるぜ感に溢れている。次に0:44で居合斬りした中村竹弥の名前が出た次に0:46で斬られた相手が倒れるところがよい。曲は複合拍子の複雑な進行だが超かっこいい。自衛隊など腕のある吹奏楽隊が演奏しているのを聴くと鳥肌が立つ。
作曲者の玉置宏樹は東京藝術大学音楽学部器楽科出身。さすが。
イントロがとてもよい。ピチカート音のアルペジオとその音程とは無関係に掛け声的に入る「ハァ~トキャッチ!」のコーラスの組み合わせのセンスがいい。このフレーズは曲の最後にも現れてビシっと締める。音楽知識のしっかりした手練れが作ってる感あり。イントロを作ったのは編曲者の方だと思う。昭和音楽大学出身。
これは曲そのものも良いのだけど、人間の動きをモーションキャプチャした振り付け、カメラの移動、前向きな歌詞、これらの組み合わせがセンスが良くて気持ちがよい。
映画フラガールのような女性が前向きに頑張る姿に私は弱いのだが、このエンディングテーマも似た感じで、みていると涙がでてくる。
リハなんてない毎日だから アドリブ勝負元気に Yeah! Yeah!
渡る世間は友達ばかり そろそろスタンバイ OK?
この曲は主題のギターとサックスが良いのに加え、イントロのシンセストリングスのフレーズがかっこいい(ここは編曲の中村さんが作ったのではなかろうか)。生楽器の主題と電子楽器のバッキングがうまく合体している。松任谷由実の
Valentine’s RADIOでシンクラヴィアの硬いシーケンスフレーズに無理やり絡みつくアコースティックピアノの組み合わせが気持ち良かったのに近い。
この曲がかっこいいのはコーラスのメロディ。不安定な和音が連続しており都会っぽい響き。作曲者は舘ひろしとのことだがどの部分まで作ったのだろう。おそらくサックスフレーズのメロディを鼻歌で歌い、残りはコーラス部分も含めて編曲者が作ったのではないだろうか(YMOのライディーンも高橋幸宏が鼻歌で作った主旋律を坂本龍一が曲に仕上げたらしい。坂本さんが作ったであろう対位法的に裏で流れるメロディがあるからあの主旋律がより活きている)。
あぶない刑事以降様々な刑事ドラマがあったが、オープニングの出来であぶ刑事超えをした唯一のものと思う。最後に「そーらのいーろー♪」の「ろー♪」のところに合わせてケイゾクのタイトルが出て、ちょっと遅れて金曜ドラマの文字が浮かび上がってくるところがとてもかっこいい。音ハメだ音ハメ。
曲は中谷美紀が歌う以前から既にあったものだが、中谷美紀版としてアレンジが加えられており、このアレンジ版がキャッチーで一番良い。坂本さんの曲は自身のやりたいことをやったであろう曲よりも、世の中向けにキャッチーなもの(子猫物語など)を作ったときのほうが好きなのが多い。
きっとキャッチーなものはある程度定番のやり方があって、どこそこからの引用をすれば簡単でできてしまうから坂本さん自身はやりたくないのだろうが、パパっとそういう仕事をやろうと思えばできちゃうのがすげー。さすが東京藝術大学作曲科出身。
0:15でOSの起動時の篠原重工のロゴから始まるのがかっこいい。その後のセキュリティチェックのボコーダーボイスもよい。0:22からの起動シーケンス画面がめちゃくちゃかっこいい。ここは佐山善則さんのデザインだと思います。またマニュピュレータの動作確認の際、初期位置を出すために手首がぐるっと一回転する1:07と、動作確認が終わった1:14でグッと握るところそれぞれにしびれました。
で、このかっこいいオープニング映像にばっちりはまっているのが川井憲次の曲。幻の爆撃シーンの音楽もよかった。映像に合わせた音楽を作る力って、通常の曲を作るのとはまた別の能力があるのかもしれない。
10.BLEACHオープニングテーマ 「乱舞のメロディ」 作曲:御恵明希、編曲:シド 最後に曲が終わるのと同期してdentsuのクレジットが出てきてその後BLEACHのタイトルロゴが出てくるところがかっこいい。これも音ハメのかっこよさ。おそらく歌だけで聴いても好きにならなかっただろうが、音ハメのかっこよさのおかげで曲も好きになった。
また、クレジットを前半部分で全部終わらせて、サビからは映像だけになるとか狙ってやっているのがかっこいい。