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中国中間層の親、大学学士に不満

2012-12-18 09:11:50 | 教育
wsj日本版から

米国の学生や企業、教育者らがマスター(修士)の学位は新しい学士号なのかどうか考えているが、中国の富裕層の親たちの心はもう決まっているようだ。

中国の中間層の親の4分の3は自分たちの子が大学院を出ることを期待しており、学士止まりでいいとする親はわずか32%だった。世界的な市場調査会社ミンテルが中国のいわゆる「小皇帝」のライフスタイルに関する調査報告で明らかにした。

 「小皇帝」は同国の一人っ子政策で生まれた子供たちのことで、しばしば両親や祖父母の過保護でスポイルされている。ミンテルは、同国には現在5000万人以上の小皇帝がおり、うち3500万人が中間層の子供と見ている。

  同社の調査は16歳未満の一人っ子を持つ中間層の20~49歳の親1500人を対象にして行われた。ここでは中間層は、北京や上海などの1級都市に住む1 カ月の所得が7000人民元(9万2000円)以上、あるいは天津、成都といった2級都市の同5000元以上の人たちと定義付けられた。そのほとんどはホワイトカラーの事務職で、国営ないし民間の企業に勤めているか、中小企業の自営業者ないしオーナー。

  親が子供の高学歴を望むのは、一つには中国の大卒者の就職が困難だという実情があるためかもしれない。公式統計によると、同国の昨年の大卒者は600万人以上だったが、このうち57万人が卒業後半年たっても職を見つけられなかった。極めて人気のある公務員職の多くは求職の時点からマスターの資格が必要で、 高学歴は中国で「食いはぐれのない職」で生涯にわたって給与・手当を得る上での足掛かりとなりつつある。今年は2万人の政府職員の募集に過去最高の150 万人が応募した。

 子供たちは親から一段と強い期待をかけられているが、最高教育を受けられることには喜びを見いだしているようだ。都市部の子供の3分の2は、有名大学入学者が多い「有名校」に入り、残りは通常の国立学校(19%)と学費が必要な私立学校(9%)に入っている。
 ミンテル・アジア太平洋の戦略マーケティング・マネジャー、ライアム・ラッセル氏は「彼ら(中間層の子供たち)は余り裕福でない子供たちに比べて、勉強がよくできるか、あるいは家族のコネなどで学校に容易に入れる」と指摘した。

  ミンテルの報告は、西側諸国の子供たちと比べると、中国の中間層の子供は学校で圧力を受けていると分析。同社の中国市場ストラテジストポール・フレンチ氏 は「良い大学には小皇帝の全員が試験を通過して入れるだけの十分な余地がない」とし、「このため、大学での成功が良い将来につながっているが、全ての人に とって可能ではないことから、子供の受ける圧力はものすごいものだ」と述べた。

 同氏は、大方の中間層の親は多くの大学が閉鎖されたり新入生受け入れをやめたりした文化大革命の中で育ったとし、このことも子供に高学歴を与えようとする強迫観念を説明できるかもしれないと語った。

記者: Lilian Lin


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