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米で銃携帯を認める大学が増加

2012-10-23 08:29:00 | 教育
wsj日本版から
米国では、構内で銃を携帯する権利を学生に認める大学が増えつつある。

 これまでは、学生に構内での銃の携帯を認めるかどうかについて多くの大学が自主的に判断することが認められており、ほとんどの大学は今でも銃の携帯を禁止している。しかし、銃を所持する権利を支持する人々が裁判所や州議会に訴えた結果、公立大学の間では銃所持の権利を認める大学が増えている。

 こうした動きが本格化したのは、2007年にバージニア工科大学で発生した銃乱射事件後のことだ。同事件では32人が死亡しており、銃所持擁護派は学生が武器を所持していれば犯人を止められた可能性があると主張している。

 ジョンズ・ホプキンス大学銃政策研究センターの共同ディレクターを務めるダニエル・ウェブスター氏はこの動きに反対している。同氏は、大学生の間でアルコールや薬物の乱用が広がっていることを考えると、構内での銃の所持が認められれば危険な状況が生じやすくなると懸念する。同氏は「多くの凶器を持ち込むのに必ずしも最良の環境ではない」と述べた。

 同氏は「銃擁護派はバージニア工科大学の銃乱射事件などを正当化の口実に利用して」銃携帯規制の撤廃に向けて成果を上げていると憂慮する。


 しかし、バージニア工科大学で銃乱射事件が発生した当時、同大学の博士課程で学んでいたケン・スタントン氏の考えは異なる。同氏は合法的に教室に銃を持ち込める大学で仕事がしたいと考えてコロラド州立大学で研究科学者の職を得たと語った。事件で友人1人を失ったスタントン氏は、大学の構内でも自衛の目的で外から見えないように銃を携帯することが認められるべきだと考えるようになったという。

 「銃を持っていれば何かが起きた時に反撃できる」とスタントン氏は話す。「バージニア工科大学では、そういう機会が与えられていなかった」

 全米州議会議員連盟によると、現在、24の州では銃に関する政策を個々の大学の判断に任せている。さらに、21の州では法律によって、大学構内で外から見えない形で武器を携帯すること(秘匿携帯)を禁じている。テキサス州議会では今年、銃の秘匿携帯禁止を覆す法案をめぐって激しい議論が起こったが、法案成立には至らなかった。

 一方、構内での銃の秘匿携帯が認められれば、関係ない第三者が銃撃に巻き込まれるリスクが高まると懸念する学生や保護者、学校関係者もいる。39の州のおよそ350の大学は大学に銃を持ち込ませない運動に参加している。この運動を行っているのは銃による暴力の撲滅を目指す団体「銃を持たない子供たち(Gun Free Kids)」だ。  この団体によると、過去2年間に約25の州で大学構内で何らかの形で銃を秘匿携帯することを認める法案が提出された。だが法案が成立したのは2つの州のみで、ほとんどが不成立に終わった。

 しかし、昨年、ミシシッピ州とウィスコンシン州では規制を維持しながら、構内への銃持込みを認めることを学校に義務付ける法律が成立した。ミシシッピ州では構内で銃を携帯するには特別の証明書が必要で、ウィスコンシン州では、学校が特定の建物の入り口に標識を掲げて銃の持ち込みを禁止できる。


 銃を所持する権利の擁護派は裁判でも主張を通している。州は大学に優先するという法律上の原理から、大学ではなく州議会だけが銃を規制する権限を持つ、というのが擁護派の主張だ。

 コロラド州の最高裁判所は今年3月、コロラド大学の銃規制を無効と判断した。また、昨年9月には、オレゴン州の控訴裁判所が州の高等教育委員会には大学構内での武器所持を禁止する権限がないとの判断を下した。

 この2つのケースでは、裁判所は武器を携帯する権利に関する合衆国憲法修正第2条に基づいて学生は構内で銃を携帯することが認められるかどうか検討することは避けた。その代わり、両裁判所ともに、州の法律では大学に銃規制の権限がないと判断した。

 フロリダ州では、ある銃所持擁護団体が学生と教授陣に車に武器を入れておく権利を認めるべきだとして、北フロリダ大学の構内における銃禁止をめぐって訴えを起こした。大学側は法律では学校の敷地内は例外と明記されているとしているが、銃所持擁護派は法律が適用されるのは高校までと主張している。一審は訴えを退けたが、現在、控訴審で争われている。

記者: Joe Palazzolo、Steve Eder


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