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読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

人日(じんじつ)

2012-06-10 09:24:47 | 読書
六世紀の中国の書「荊楚歳時記」に「正月七日を人日となし、
七種の菜をもって羹をつくる」とある。
七草粥の起源らしいと言う。
古い占いの書によると、元日から順に鶏、狗、羊、豚、牛、馬を
占い、七日には人を占った。その日が晴れなら人にとって良い運勢
天候が悪ければよくない運勢とされたそうだ。


湯婆子(とうばし)湯たんぽのこと

2012-06-09 09:26:23 | 読書
省エネやクリーンエネルギーが注目を集めるなか、湯たんぽが見直されている。
湯湯婆(ゆたんぽ)は中国語の「湯婆(たんぽ)」の上にもう一つ「湯」を
付けて出来た和製漢語である。永井荷風の「断腸亭日乗」の昭和十六年
正月一日に「炭もガスも乏しければ湯婆子を抱き寝床の中に一日おくりぬ」
とある。荷風は漢籍に詳しく、湯たんぽの本来の漢語、湯婆子を使っている。

魯迅の希望について

2012-06-07 09:34:12 | 読書
魯迅は自己の自伝的小説「故郷」のなかで「希望」について
書いている。
「希望とは本来、有るとも言えないし、ないとも言えない。
これは丁度地上の道のようなもの、実は地上に道はないが
歩く人が多くなると、道ができるのだ」と。
それを希望と言っていいのかどうか、解らないが、
多くの人が歩き、その道が希望と言えるのか、可能性と
言えるだけではないのか、と思う。
高村光太郎の詩「道程」に言う「ぼくの前に路はない
僕の後ろに路は出来る」と言うのも同じ事なのか。

運よく、人からの情報で

2012-05-05 14:05:38 | 読書
三日の日に退院出来て、その翌日、図書館で本のリサイクルが
行われている事を聴いた。それが二日から行われていた事を
知った。この情報は割合、早く入り、まだ運が良かった方かも
知れない。何時もなら、直ぐに図書館に行くのだが、リサイクル
情報を入れてくれた人の話ではまだ雑誌だけがリサイクルされて
いるだけだと言う事だ。本のリサイクルは、普段だとこの一週間ほど
後のはずだ。市の広報では本のリサイクルが三日からとなっており
変だとは思っている。その図書館のホームページでは行事として
本のリサイクルとだけしか表示が無いのだが。


四字熟語のゲームをやり始めたが

2012-03-17 09:05:16 | 読書
脳トレになるのではないかと思い、ネットのあるサイトで
四字熟語のゲームを始め、一週間ほどになる。
第一段階から七段階まで有り、次第に出る漢字の数が増え
それを全部、四字熟語に並べ替えると言うゲームだ。
ところで、今、池宮彰一郎の歴史小説「高杉晋作」上、下巻を読んでいる。
その本で、平均一ページに一つぐらいの割合で四字熟語が出てくる
のに気が付いた。これは、普通の小説では、此れほどではなく
歴史小説ならではの事だろうと思っている。

政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに 警告すること  堤 未果   角川マガジンズ

2012-03-15 10:30:35 | 読書


「ルポ 貧困大国アメリカ」の著者、堤未果氏の最新レポート。
震災後の日本と、911以後のアメリカを重ねて眺めた。

アメリカはこの十年で貧困層を3倍に拡大させた。資金力をつけ
た企業が政府に癒着し(コーポラティズム)、彼らに都合のいい
政治を行わせたためだ。


911後、アメリカはどのような道をたどったのか。日本の
現在と照らし合わせて見ると。

・原発事故について

911の折、救助作業に当たった人たちに健康被害が生じている。
周辺住人にも症状が出た。主に呼吸器系の病気である。政府は当
時「安全だ、ただちに影響はない」と言っていたはずなのだが。

倒壊したビルの粉塵に、アスベストなどの有害物質が含まれてい
た。政府は絶対に本当のことを言わない。生じた健康被害にも、
補償を行うことはない。大変珍しい鼻のがんでも、911の粉塵
と「因果関係はない」と言い切られてしまう。

日本人にも、政府とはうそをつくものだと伝えたい。

原子力村と呼ばれる利権の集まりは、大きな力を持っている。国
際機関への影響力も決して小さくはない。WHOにも民間資金が流れ
こんでいることを忘れるべからず。

(チェルノブイリの被害が過小評価されている理由がそれだ。)

・市場化の動き、TPP

ハリケーンカトリーナで被害を受けたルイジアナ州。ここでは
「過激な市場化」が行われたのだという。復興特区の名の下に、
大資本の参入を容易にした。地元企業の復興は遅れ、地元民の雇
用が大幅に失われた。

日本でも、仙台の漁港で同じ動きを見ることができる。「地元漁
師を七名含む」民間会社に、漁業権が与えられようとしている。

アメリカではまた、教育においても大きな改革がなされた。「落
ちこぼれゼロ法」によって、無能とみなされた教師は解雇される
ことになった。

ルイジアナでは、災害後公立高校が機能しなくなり、かえって就
学率の低下につながった。

TPPについては、アメリカの労働者はかつてのNAFTAの影
を見、日本人に警戒するよう呼びかけている。

NAFTAとはアメリカ、カナダ、メキシコの三カ国で結ばれた
自由貿易協定のことだ。締結以前は、安い輸入品が買えて、暮ら
しが楽になると言われていた。

だがふたをあければ、企業はこぞって賃金の安いメキシコに工場
を移し、アメリカ人の雇用は大幅に減ってしまった。

儲けるのはいつも企業だけ。

日本全国でがれきを受け入れようという声があがっている。だが
それは、助け合いなどという美しいものではなくて、産廃利権に
からむものだと気づいているのだろうか。

東京都が真っ先に手を上げたわけは、東京電力の関連会社がその
仕事を請け負ったためである。



ウォール街デモに参加した若者がこう述べている。「格差のよう
な単純な問題じゃないんだ。1パーセントの超富裕層が、99パー
セントに負担を押し付けて利益を得ている、そんな狂った現実に
反抗しているんだよ」



グローバリズムによって、世界はどんどん狭くなる。企業の活動
は多国籍に及び、国家の枠を超えて利益を得、権力を得ている。

「八日目の蝉」が最優秀作品賞

2012-03-04 09:32:59 | 読書
第35回日本アカデミー賞の授賞式が2日、東京都内で行われ、
「八日目の蝉」が最優秀作品賞、監督賞(成島出)、主演女優賞(井上真央)
など10部門に輝いた。
私は普段、歴史小説以外は読まないが、この小説は図書館に英訳されたもの
が有り、それを借りて読んだ。妻子ある愛人によって子供を産めなくされた女が
その愛人の乳児を拉致し、逃亡を続けながら、その子を自分の子として
育てるが、最後に逮捕され、子供は元の両親に戻されるが、その家庭は
既に崩壊してしまっていると言う内容の小説だった。
この小説を読んでいる丁度その時、NHKで5回ほどのシリーズで原作とは多少、
異なって脚色され、ドラマ化されていた。それに私が気が付いたのはもう、
シリーズが半分以上済んでいたときだった。
テレビとは別に映画化され、それがアカデミー賞を受賞したと言う事だ。

景気文学

2012-02-25 09:27:54 | 読書

景気文学などと呼ばれるものがあるとは知らなかった。市民が景気を語る言葉としては、良いとか悪いとか、まあまあ、とかボチボチなどと言うが、経済の専門家の言葉となると、例えば、日銀の震災以後の景気表現を見ると、「下押し圧力が強い状態」とか「持ち直しの動きも見られる」、「持ち直しのペースが穏やかに」、「横ばい圏内にある」などとなる。これらの表現が文学と揶揄されているのだろう。この伝で行くと、「原発記者会見文学」なども出てきそうだ。

日露海戦の折、秋山真之は「敵艦見ユトノ警報ニ接シ、連合艦隊ハ直チニ出勤・之ヲ撃滅セントス」という定型のあとに、有名な「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」を加えた。それにより、秋山は電文を文学にまでしてしまったと司馬遼太郎が「坂の上の雲」のなかで書いているが、景気文学など

これに遠く及ばないような気がする。

 

日本はハンコの国

2012-02-18 10:27:36 | 読書

司馬遼太郎は日本は記録の国であると書いていた。

永井路子は日本はハンコの国であると書いている。

古代以来、天皇の印、国の印、郡の印、寺の印、個人の印などが

それぞれに有った。

いろいろ有ったが、一時、中途で廃れ、中世には鹿央と言う一種の

サインが公文書に書かれるようになった。が、禅僧が自分の書や画

に印を押すようになって、またハンコが復活した。

室町期、地方の大名のなかで、最も早く印を使い始めたのは

今川氏親だそうである。今川家は京文化にすばやい反応を見せた

大名だったそうだ。

永井路子著「姫の戦国」日本経済新聞社から


ホーミーの事?

2012-01-17 20:09:34 | 読書
「歴史と風土」と言う司馬遼太郎の文庫本(文芸春秋社)を読んでいた。
韓国の旅行社の人と話していて、ちょっとショックを受けたことがあると言う話で、モンゴルには特異な発声法の歌い方が有る。トンビかなんかが鳴いているような声が出ると言う。ホーミーと言うものだろうと、私は、ここまで読んで、そう思った。モンゴルの人たちは、そう言えば、何故あんな声を出すのだろうと考えた。ウィキペディアで調べてみると、ホーミーの歌のコンクールまでもあるという。
司馬遼太郎はこの本の中で「歌い始めると、なにか、人間が、ある種の動物に、架空の獣に化けていくような印象があります。」と書いている。「古代遊牧世界では、軍隊の召集があるときは百キロ、二百キロのところから集まってくる。歌いながら疲れる馬を励ましながら来る。」そういう想像のが出来ると書いている。ホーミーは、疲れる馬を励ますために生まれたと言う事か。