GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「またも3万人を越えた自殺者」

2012年03月20日 | Weblog
 毎年この時期になると昨年度の自殺者の数が発表される。2011年の自殺者は30,651人、14年連続で3万人を超えた。前年を1,039人(3.3%)下回り2年連続で減少し、3万人を越えた1998年以降、最も少ないとか。しかし、一日平均で84人も死を選んでいる。気になるのは19歳以下が622人・12.7%増、20代で3,304人・2.0%増、と大幅に昨年を越えたことだ。とくに職業別でも学生・生徒が1,029人(10.9%増)もいる。子供を持つ親にとってこれ以上の不幸はない。
何故、生きることより死を選ぶのか? 他に選択肢はなかったのか?

 先日wowowで放送されていた「タイタニック」の沈没シーンを思い出した。そして、こんなことを考えてしまった。自殺者をタイタニック号の沈没に例えてみよう。タイタニック号の船体は、防水隔壁で16の区画に区分され、そのうちの2区画(船首部では4区画)に浸水しても沈没しない構造になっていて不沈船と呼ばれていた。しかし、巨大氷山は右舷船首におよそ90mにわたって断続的に損傷を与えた。これがいけなかった。結果、右舷船首部の6区画にもたらした浸水は防水隔壁の限界を超えたのだ。

 多くの人は一度くらいは「もう死んでしまいたい」と思った経験があるだろう。しかし、ほとんどの人は死を選ばずに辛くても生きる道を選択する。2,3区画、心への浸水を経験するが、防水隔壁が自らを守るのだ。防水隔壁となるのは、親の温かい愛情であったり、先生やクラブの先輩や友人の励ましの場合もあるだろう。そして、自身の心の強さもあるだろう。もし、16区画だったタイタニック号が4区画以上の浸水で沈没するなら、32区画、48区画もあったなら、6区画の浸水でも決して沈没しなかったのではないだろうか。

 最近の子供たちの心の区画が少なくなってはいないだろうか。仮に16区画のうちの4区画が生死を分けるとするならば、25%以上が心浸水すれば危険となる。沈没する子供たちの心の区画は、1)友人、2)スポーツ・趣味、3)学校、4)家族と考えれば、一つでも心浸水すれば、死を選択する可能性が高くなると考えていいのではないか。

 友人も一人ではなく5,6人も親友がいたなら、スポーツで友人たちとレベルを上げようと競い合っていたなら、趣味も幾つかあって、それぞれに友人がいて楽しい発表の場があったなら、家族でも母や兄弟姉妹や父との絆がもっと堅固なものだったら、、心の区画はもっともっと多くなり、少々の心浸水にも防水隔壁が自動的に閉鎖して沈没を防ぐのではないだろうか。

 心の区画とは、人と絆の数であり、防水隔壁とは絆の厚みと云えるかもしれない。絆は決して時間の長短で生まれるのではなく、いかに人と共感し合う濃密な時間を過ごしたかに尽きる。つまり濃密な時間の共有でしか絆は生まれないと思う。例えば甲子園球児達が大人になった今も、その頃の仲間と関係が続いていたならば、誰か一人は防水隔壁となって浸水を防いでくれるのではないか。
 死を選ぶしかないあまりにも悲しい選択は、心の区画の貧困さが大きな原因に思えてならない。周囲の大人たちにお願いしたい。このことを意識して子供たちと濃密な時間を過ごして欲しいと。 

 


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