GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「生まれてきた理由」

2009年11月03日 | Weblog
「生まれてきた理由」が本当に必要な問いだろうか。
「人にはなすべき事がある」本当にそうなのか?

自分の職業も決めてもいない若い時に
生まれてきた理由や
なすべき大儀が必要でしょうか。

坂本龍馬が土佐藩を脱藩し、江戸に向かったとき
明治維新の契機となった「薩長連合」や「大政奉還」という
歴史上の大きなエポックの中心人物になることを予想していただろうか?

誰もが「NO!」と答えるでしょう。

1853年、黒船が浦賀沖に姿を見せ、イギリス、フランスも、日本に迫ってきていた。
朝廷から一般民衆まで熱く論じられた「尊皇攘夷」論は
幕府に対する反体制運動の合言葉として沸き上がってきました。
坂本龍馬は暗殺に向かった勝海舟との出会いから、世界と日本国との関係を学んでいきます。

そんな歴史の激しい潮流の中から西郷や桂と出会い、
自分なりに日本のあるべき姿を見いだします。

その時、彼は生まれてきた理由や大儀を念頭においていたでしょうか?

私は思います。
歴史上の彼の役割は、その後の歴史が決めたこと。
彼は今自分ができること、すべきことを懸命にしただけ。
自分の知識の欠如を知り、藩というしがらみのない龍馬が、
佐久間象山、勝海舟らの有識者から多くの事を学ぶうちに
リベラルな思想を身に付け、議会制民主主義国家を夢見たのでしょう。
(その国家の出現は竜馬の死後から7,80年もかかりましたが…)

皆様がよくご存じの坂本龍馬を一つの例に喩えましたが、
生まれてきた理由や大義、自分の存在意義を優先して考えるのは
ナンセンスのような気がしてなりません。

大切なことは「いまを生きる」ということに集約されるのではないでしょうか。
過去と現在を結ぶ直線上に未来が存在します。

届かぬ夢に憧れた生き方はベターではありません。
大義や夢のような大きくて届かぬ可能性の高いものではなく、
もっと足下の身近な目標達成の経験が、足腰を鍛え忍耐力を付け
洞察力や決断力を磨いていくことにつながり、
実現可能な夢への道のりを自然と示してくれる(「他力」)のではないでしょうか。

柔道を始めた人がいます。
夢がオリンピックで優勝して金メダル獲得です。
しかし、まずは黒帯になるために初段を目指すことです。
二段、三段と経験を重ねるうちに体力と共に
忍耐力や洞察力、決断力、
先輩や後輩、師匠、そして様々な人との交わりの中で教養を蓄え、
自分が目指す金メダルへの道のりが漠然としたものではなく、
明確なビジョンとして自分の心の中に形成されていきます。
夢と目標の区別をしっかり持たなければなりません。

「生まれてきた理由」もまた、夢と同じスタンスでいいと思います。
身近な目標をクリアーしていく過程で
現実的な夢が向こうの方から飛び込んでくるものです。

ある小説のこんな文章を思い出しました。

「人は行きつつある方向からやっていくる」

新しい目標や夢、大切な人との出会いも行くべき道の過程で見つかります。
それが<他力>を信じる生き方だと私は考えています。
今やるべき事が分かっていますか?
これが<いまを生きる>ということだと思います。

教育を受ける目的は「自立」だと理解しています。
私たちが第一の目標とするのも同じく「自立」だと思います。
すべてはここから始まり、ここに尽きると信じています。


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