GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「マイウェイ 12,000キロの真実」

2012年01月18日 | Weblog
 

 カン・ジェギュ監督は「マイウェイ 12,000キロの真実」を、戦争の悲劇を描くのではなく、「人間が希望を探し、過酷な状況の中、国籍も境遇も異なる人間を理解し、好きになる、そして失っていた夢を取り戻す」映画だと語る。

 映画「マイウェイ」ではアジアからノルマンディーまでを生き抜いた二人の男の数奇な運命が描かれている。このストーリーは実際のノルマンディー上陸作戦時に撮影された、ドイツ軍の軍服を着た東洋人の写真にインスピレーションを受けて書き上げたそうだ。

      

 「写真では一人しか写っていませんが、(実際の調査の)結論として、朝鮮人と日本人が多かったことが分かっています。互いに複雑な国民感情を抱きながらも、長い旅の果てにきっとお互いを許し合ったと思うんです。そこに凄く惹かれた」
「日本と韓国はとても近い国ですが、もっと心を開いて近づく必要があると思います。夢を捨てずに変わらない男と、旅の中で変化していく男を対比させるのは、当初は意図していなかったことですが、この映画をきっかけにして、お互いをもっと変えていかなければいけないと考えてもらえるとうれしいです」
「戦争というのは、誰かが仕掛け、一方で被害を受けた人たちがいる。そして最後は勝者と敗者が残るわけですが、その末路は、誰もが心に傷を負った敗者なのではないでしょうか」もちろんこの映画も、戦争の加害者と被害者を主人公に物語が出発します。しかし、物語が進むにつれて、それは何も意味がないことだと分かってくると思います。この映画の中に私の戦争への見解はありません。両国どちらかの見解で描くのではなく、それ以上にもっと成熟した映画にしなければならないと考えているからです。人間を理解し、その良さを発見していく過程を描いた映画なので、誰かを非難することに焦点を当ててはいません。日韓の問題は度々起こりますが、未来では友好関係を結ばなければならないと思っています」(カン・ジェギュ)

      

「シュリ」 (1999 監督/脚本)では恋愛を通して、「ブラザーフッド」(2004 監督/脚本)では兄弟愛を通して、南北に別れた朝鮮半島の悲劇を描いた。だが今回の「マイウェイ」では友情というさらに一段上の人間愛を謳い上げた。映画の前半、見ていて日本人としてとても居心地が悪かったが、最後は涙なくして見られない展開となった。二人が極限の状態を何度もくぐり抜けることによって、民族間の激しい憎しみをも昇華していくカン・ジェギュの脚本と演出力に脱帽。監督の熱いメッセージがしっかり伝わってきた。こんなに監督自身のメッセージが伝わる映画は初めてかもしれない。過去の戦争映画では決して得られなかった至高のプレゼントを戴いたような気持ちになったことを最後にご報告しておきます。素晴らしい作品をありがとうございました[m:76]

●グッドラック感動のお奨め度:(96点)←これは歴代最高点!
 ・重要(メッセージ性)×感動面積<10×9=95点>

1)オリジナリティーあふれるストーリーと意外な展開は説得力があり、
  しかも様々な愛と哀愁・切なさが含まれている。(20点満点-20)

2)考え抜かれた自然なセリフ(脚本)に何度も胸を打つ(10点満点-9)

3)今までにない主演者の演技とストーリー展開での登場人物の成長・変貌
  ・怒り・悲しみに胸を打つ(10点満点-10)

4)助演者・脇役らに存在感があり、各シーンに溶け込み表情
  ・セリフを自分ものにしている(10点満点-9)

5)動と静の音楽が各シーンの感動を増幅させて、メインテーマは心に残る(10点満点-8)

6)撮影が新鮮で記憶に残るシーンが随所にある(10点満点-10)

7)テンポのいい編集は心地よい緊張と緩和を生み、
  感動のラストシーンへ導いていく(10点満点-10)

8)違和感のない特殊効果は映画の質を落とさずリアリティーを感じる or
  凝った美術・衣装・時代考証は違和感がなく自然で美しい (10点満点-10)

9)総合点:この映画・DVD・ビデオを見てもがっかりしない、満足度、お奨め度(10点満点-10)