おお!晴れた。煌く木星と金星が、糸で繋がったように、天空と中天に観えている。木星の光度は減ったというものの、肉眼ではっきりと認められる。オリオンの輝きも、シリウスやプロキオンも勇姿を魅せる。プレアデスの乙女達が、衣を翻す。
金星が宵の明星として、西の宇宙に光る。金星はヴィーナス。美の女神とされている。手元の天文年鑑によれば、今年は金環食が観える。金星の日面通過、皆既月食もある。宇宙の移り変わりを知るということは、自然を教えてもらうことに繋がる。
宇宙を観上げ、その様子から、作物の出来を知り、或いは、天変地異を感じる。古来、人々はそうやって、畏怖の念で暮してきた。どんなに科学が発展しようと、所詮は贖えないことである。全てを以前の生活に戻すのではないが、心の通った暮らしも好い。
自分たちの暮らしを、田を耕すことから始めたり、土に触れることに慣れれば、自分が生かされていることに思いがいくだろう。何が大切で、必要なことか。或いは、多すぎる無駄や贅沢より、風の声を聴き、雲の様を読み、木々の話に耳を傾ける。
龍は意外にも、其処に居て、見えないのではないだろうか?大きすぎるので、気づかないだけではないのか?私を乗せた白龍は、やさしい濡れた眼をしていた。髭で掬い上げて、耳の中に下ろしてくれた。途轍もなく巨大な生き物であった。
人間の小賢しいやり方に、自然は時折愛想を尽かす。善も悪もなく、無慈悲な裁断が行なわれるのだ。覆されても尚、人間は立ち上がっていく。手強い神に祈りを捧げる。自然もまた、強かに時を超える。時間だけが止まったように。
鉢植えの枇杷葉と、鉢に芽を出し、育つ南天。この南天の葉は、何故か赤い。植えた覚えはなく、小鳥がした糞から発芽したらしい。