悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

紫式部集041 世の中は

2006-05-20 03:00:00 | 紫式部集
2006-0520-yms041
世の中はどこもかしこも墨衣
私ばかりが泣いてられない   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=返し。どうして私の小さな袖だけを、濡らしていられましょうか。国中が喪服を着ている、いまこの時に。前歌の「霞む」を受けた「霞の衣」は、さらに「墨の衣」と掛けて繋がる。現代詠の、「いられない→られない」などの短縮形表現は、抵抗感がなかなか消えない。
 ¶ほどなき袖=袖は衣服(喪服)。「ほどなし(程無し)」は、狭い、小さい、低い。
□紫041:なにかこの ほどなきそでを ぬらすらむ
      かすみのころも なべてきるよに
□悠041:よのなかは どこもかしこも すみごろも
      わたしばかりが ないてられない
*now streaming : Jean Coulthard - Dwight Benne(p) | Concerto For Piano And Orch*
 http://69.28.128.148:80/stream/radioio_classical_med

短歌写真150 時として

2006-05-20 02:55:00 | 短歌写真
2006-0520-yts150
時として小雨絶えざる山中に
今を盛りと鏡草かな   悠山人

○短歌写真、詠む。
○きょうもまだ、台風一号の影響下。きのう、山中で、鶯の鳴くのを聞きながら。
 ¶時として=「(下に打消の語を伴って)少しの間も。ひとときも。」(古語辞典)
 ¶鏡草=山吹の別称。英語で Japanese rose。

□ときとして こさめたえざる やまなかに
  いまをさかりと かがみぐさかな

紫式部集040 この春は

2006-05-19 03:40:00 | 紫式部集
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この春はみかどと同じ薄鈍を
召されてさぞやお嘆きでしょう   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=夫の宣孝と同じ年に皇太后が亡くなり、翌春を喪服で迎える。詞書に、「・・・春、いたう霞みたる夕暮れに、人のさしおかせたる」。宮中からの、慰めの便りである。この「人」は誰か、これも諸説交錯。この前に使われている、「薄鈍着たる人」の薄鈍(うすにび)を、現代詠に入れた。初句、平王クでは「雲の上も」。
 ¶薄鈍=うすにび。うすにぶ。鈍色は濃い鼠色。「薄鈍色の衣服。多く
 喪服や僧尼の服として用いる。」(旺文版「古語辞典」)
□紫040:くものうへの ものおもふはるは すみぞめに
      かすむそらさへ あはれなるかな
□悠040:このはるは みかどとおなじ うすにびを
      めされてさぞや おなげきでしょう

image096 車輪梅1

2006-05-19 03:35:00 | images
2006-0519-yim096
title : Rhaphiolepis1
yyyy/mm : 2006/05
notes : 車輪梅(しゃりんばい)特集1。万葉集講座の帰り、文学館の100mほどある車輪梅の生垣が、きれいに花咲いていた。曇天だけれど、撮り始めたらすぐに数十枚。この花木、マイナーながらも、変種がいろいろある。もとは Rhaphiolepis indica で、umbellata(この写真)などなどに分かれたとか。他に人影がなく、黙黙と手入れをしていた職人に感謝の言葉を掛けたら、今がいちばんきれいなんですよ、と、嬉しそうに返してきた笑顔が印象に残った。
*now streaming : Arensky- Dmitry Yablonsky Suite No. 1*
 http://69.28.128.148:80/stream/radioio_classical_med

短歌写真149 汝は薔薇

2006-05-18 05:30:00 | 短歌写真

2006-0518-yts149
汝は薔薇香気に生れ吾をも見ず
気高く咲きて美しく散れ   悠山人

○短歌写真、詠む。
○薔薇盛ん。いまや宝塚定番の、I さんの作品に触発されて。先日、公園で。
□なれはばら かうきにうまれ あをもみず
  けだかくさきて うつくしくちれ
*now streaming : Debussy - Simon | La Cathedrale Engloutie*
 http://69.28.128.148:80/stream/radioio_classical_med


短歌写真148 数多経り

2006-05-17 04:00:00 | 短歌写真
2006-0517-yts148
数多経りつつじの能に夕顔の
光もるらし半蔀よりはも   悠山人

○短歌写真、詠む。
○大隈講堂恒例のつつじ能。一昨年の演目(金春流)を参考にした。
 ¶蔀(しとみ)=「①寝殿造の邸宅における屏障具の一。格子組の裏
 に板を張り、日光をさえぎり、風雨を防ぐ戸。はじめは1枚板。多くは
 上下2枚に分れ、下1枚を立て、上1枚は金物で釣り上げて採光用と
 し、これを釣蔀または半蔀(はじとみ)という。また、屋外にあって垣
 の用をなすものを立蔀(たてじとみ)という。訛って「ひとみ」とも。」(広
 辞苑)
 ¶半蔀(はじとみ)=能演目としては、金春、観世、金剛など各流に伝
 わる。源氏物語の夕顔が、光君と初めて迎える夜に、
    心あてにそれかとぞ見る白露の   
    光添へたる夕顔の花
 と贈れば、君は
    よりてこそそれかとも見め黄昏に
    ほのぼの見えし夕顔の花
 と返す。半蔀は二人の愛の隠喩。
 (大阪・山本能楽堂の、次のURLを参照した。)
 http://72.14.203.104/search?q=cache:GB02rQGrRh4J:www.h6.dion.ne.jp/~asano/hajitomisya.htm+%E5%8D%8A%E8%94%80&hl=ja&ct=clnk&cd=1
□あまたふり つつじののうに ゆふがほの
  ひかりもるらし はじとみよりはも
*now streaming : Hummel / Stephen Hough | Piano Sonata In F Minor Op. 20*
 http://69.28.128.148:80/stream/radioio_classical_med