2006-0511-yms036
近寄って見ればこんどは桃の花
桜のように散ってはだめよ 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=桜を花瓶に挿したら、勝手に散ってしまったわ。桃ならどうかしら、と前置いて。桜は遠目に見るもののようね。近くで見ると、やっぱり桃の花ね。新潮版の注は、こうである。「桃を作者、桜を夫の関係あった女性になぞらえ、妻にしてみると一層よく見える女で私はありたい、人の気持を考えないあの女のことなんか私なら未練をもたない、あなたはどう思うか」という寓意だろう、と。平王クは、桜と桃の開花時期を論じ、相変わらずの贈答関係(歌は紫の独演か)を論じる。
¶近まさり=近付くほど長所が見えること。当然、対語は「近劣り」である。歌語
として使えそう。
¶思ひぐま=「【思ひ隈】。思慮が行き届くこと。深い思いやり。」(古語辞典)
□紫036:をりてみば ちかまさりせよ もものはな
おもひぐまなき さくらをしまじ
□悠036:とくべつに つよくもちいも ないこのみ
なみはたてても なみのなかなおり
近寄って見ればこんどは桃の花
桜のように散ってはだめよ 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=桜を花瓶に挿したら、勝手に散ってしまったわ。桃ならどうかしら、と前置いて。桜は遠目に見るもののようね。近くで見ると、やっぱり桃の花ね。新潮版の注は、こうである。「桃を作者、桜を夫の関係あった女性になぞらえ、妻にしてみると一層よく見える女で私はありたい、人の気持を考えないあの女のことなんか私なら未練をもたない、あなたはどう思うか」という寓意だろう、と。平王クは、桜と桃の開花時期を論じ、相変わらずの贈答関係(歌は紫の独演か)を論じる。
¶近まさり=近付くほど長所が見えること。当然、対語は「近劣り」である。歌語
として使えそう。
¶思ひぐま=「【思ひ隈】。思慮が行き届くこと。深い思いやり。」(古語辞典)
□紫036:をりてみば ちかまさりせよ もものはな
おもひぐまなき さくらをしまじ
□悠036:とくべつに つよくもちいも ないこのみ
なみはたてても なみのなかなおり