2006-0814-yms105
普通なら「年に一度」は不吉だが
七夕だけの逢瀬なら別 悠山人
○紫式部集、詠む。
○詞書の「七日」は、七月七日。世間一般では、年に一度しか会えない恋など、忌避ものだ。そんな恋でも、君に会えないきょうばかりは、羨ましいよ。「おほかたを」は、平王クでは「大方に」。また、ここでは新潮版にしたがって夫宣孝の歌としたが、平王クによると、主要書のうち五書が夫説、二書が紫説である。現代詠では文脈を少しシフトさせた。逢瀬なるやまとことば、久しく聞くことなかりせば、「ゆかし」とぞ思ふ。平王ク歌番号111。
¶ゆゆし=多義であるが、ここでは「忌まわしい。不吉だ。縁起が悪い。」(旺文版「古語辞典」)
□紫105:おほかたを おもへばゆゆし あまのがわ
けふのあふせは うらやまれけり
□悠105:ふつうなら 「ねんにいちど」は ふきつだが
たなばただけの おうせならべつ