百歳に向かってもう一度世界一周

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敵前に於いて逃亡したる者は銃殺に処す

2011-07-27 14:49:48 | 私の青春時代

 7月27日 (水)  平成17年1月1日より 2,399日目
       歩いた歩数     その距離 m
本日    17
,835 歩      12,485m
総計 33,442,094歩  23,409、466

イラン・トルコ、ギリシャを経てシシリー島カタニアを経てイタリヤ半島ナポリに向かう。後 138,792m

 

 「敵前に於いて逃亡したる者は銃殺に処す」これが私の入隊した最初に受けた講義の言葉だった。軍人は「天皇の防人」であるとの信念で「海ゆかばみずく屍、山行かば草むす屍」の覚悟で歓呼の声に送られて名誉の出征と自負して入隊した者に対して余りにも非情な言葉に唖然とした。

 まさか、これが武勇を尊ぶ帝国軍人の中によもや在るまいと考えても見なかった心に軍隊にも表と裏、夢と現実の違いのあることを知らされ、すっかり動揺してしまった。そして私には軍隊に対する不信と批判の芽が生まれた。

逃亡罪は、陸軍刑法第75条ないし第78条、海軍刑法第73条ないし第77条に規定された罪である。

陸軍刑法第7章第75条には次のように記されている。

『故ナク職役ヲ離レ又ハ職役ニ就カサル者ハ左ノ区分ニ従テ処断ス

  1.  敵前ナルトキハ死刑、無期若ハ5年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス。
  2.  戦時、軍中又ハ戒厳地境ニ在リテ3日ヲ過キタルトキハ6月以上7年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス。
  3.  其ノ他ノ場合ニ於テ6日ヲ過キタルトキハ5年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス。』

 いよいよ練兵場へ演習に出て驚いた。トーチカの攻略法だ。銃を発砲してはならない。発砲すれば敵にわが軍の所在を教えることになるというのだ。練兵場の端からトーチカに向かって匍匐前進。銃を両手で支えて這って行く。尻を挙げるな!敵に見つけられるという。お昼まで這って行った所に印をして昼飯の後、そこからまた這って前進。そしてトーチカの後ろまで這って行き、後ろからトーチカを攻略するのだという。バカバカしくてやってられない。

 初めのいっぺんの攻撃は成功したとしても、相手は警戒して軍用犬を配置して待機、木の上から這って来る兵隊を狙撃する。これじゃ勝ちっこない。そんな事を進言しようものならエライ事のなるから誰も反発しない。ただ這っているだけだ。教官はこれで勝てると思ってやっているのだろうか。情けない話だ。 

 若しあの時、大日本帝国陸軍の成り立ちとか、我が松本50聯隊の光輝ある戦史などの話で初年兵を奮い立たせるような講話がされて居たならば、忠誠心で燃え上がったのではないだろうか。裏話第4話