東京都知事選挙の候補者選びが慌ただしくなってきた。ここにきて、俄かに細川護煕元総理(75)が腰を浮かしつつある。それも、小泉純一郎元総理(72)のバックアップを受けられればという条件付きということらしい。
自民党は、すでに舛添要一元厚生労働大臣(65)の推薦を決めた。民主党は、やはり、舛添氏に相乗りする方向だったが、細川氏の立候補の可能性が出てきたことで、方向転換し、細川氏の推薦に回るような雰囲気だ。民主党は、相変わらず何とも腰が定まらない。
さて、細川氏が名乗りを上げたとして、どんな展開になるのか。ズバリ言えば、舛添氏が有利になるのではないかと思う。自民党などの内々の世論調査で舛添氏がトップだったと言われる。(細川氏の出馬を前提としていない段階で) 何故か。
細川氏については、
①1993年に、わずか8カ月で総理の座を退いており、すでに過去の人である
②75歳と高齢である
③総理退任理由は、佐川急便からの1億円献金問題だった。いい加減な領収書などを追及されて辞任に追い込まれた。まるで猪瀬氏の場合と似たようものだった
④小泉元総理とともに「脱原発」を掲げ、もう一度権力の座を手にしようというのだろうが、細川氏にはリーダーシップや実務能力に欠ける。あの国民福祉税を突如発表したように、裏で小沢一郎氏が操っていたことは周知の事実だ。確かに脱原発は一つのテーマではあるが、原則的には国政の問題だ。東京都は東電の株主ではあるが。都政には、それ以外の課題が沢山ある。大地震への備え、高齢社会の福祉政策、東京オリンピックなどが山積みだ。
⑤舛添氏は細川氏より10歳若く、政策能力、実務能力、スピディーな動きを感じさせ、国際感覚もある。小泉氏が応援するといっても、民主党が推薦に回るとなれば今の民主党ではマイナスに働くだろう。したがって、細川氏が名乗りをあげれば、舛添氏のプラス面が、より浮き彫りとなる。その上、支援する自民党などにとっては危機感が強くなるので、意外な差がつくのではないか。長年、選挙に携わってきた経験から、そんな気がする。
いま、何故、細川氏か?一度、権力の座に就いた者は、その味が忘れられないのだろうか。陶器づくりなどをして、悠々自適の静かな生活を送っていた細川氏だったが、暇を持て余してまた政治に乗り出したくなったのか。脱原発を目指すなら、いくらでも他の方法があるだろう。細川氏にしろ小泉氏にしろ、今の立場は、後輩を育てる側に回るべきではないか。今の日本には、そんな空気を醸成する必要がある。したがって、ご意見番として発言する方が存在感を示すことができるし、光彩を放つことができると申し上げたい。
東京都民の賢明なる選択を期待したい。