北の旅人

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「後期高齢者医療制度」は、そんなに悪いか

2008-06-05 17:06:52 | Weblog
「後期高齢者医療制度」をめぐり、さまざまな議論が繰り広げられている。国会でも、野党による廃止法案が提出された。マスコミでは、連日のように「後期高齢者は早く死ねということか!」といった論調の記事や番組が目につく。

確かに、幾つかの問題点や制度の周知徹底がなされていなかったことなどはある。また、年金制度における社会保険庁の信じられないようなデタラメぶりがあり、国に対する不信感が根底にあることも確かだ。

だが、今まで通りの制度を続けた場合、現在の老人医療費、年約11兆円は、膨らんでいく一方なのだ。だから、後期高齢者が1割(年金79万円の基礎年金受給者の場合、地域によって違うが、年間、10000~17000円前後)負担することには原則的には賛成である。

そうでなければ、この制度も成り立っていかないし、現役世代の負担が重くなる。天引きも決して悪いことではない。ただし、ほんとうに守られなければならない弱者に対しては、しかるべき配慮をすることは必要だ。初めから、廃止ありきではなく、問題点があるなら、改善していけばいいのだ。

私は「後期高齢者」にはまだ達していないが、これら反対を声高に叫ぶ人たちに賛同できかねる。民主党をはじめとする野党は、説得力のある対案もなく、「とりあえず廃案せよ!」と叫び、マスコミも、負担増となった後期高齢者を登場させ、新しい制度のマイナス面を過度に強調しているようにしか思えない。野党にしろマスコミにしろ、いかにも「われわれは弱い人たちの味方だ」と言わんばかりなのだ。

この「後期高齢者医療制度」は、ほんとに、そんなに悪い制度なのか。そもそも、少子高齢化が急速に進む中で、2000年の医療制度改革に関し、参議院で関連法案を可決したとき、共産党を除く各政党で「早急に新たな高齢者医療制度を創設せよ」との付帯決議が採択されているというのだ。

野党は、とにかく廃止して議論はそれからだという。だったら、今までに対案を出してから議論すべきなのではないか。それがなくして、ただ廃止を叫び、廃止しなければ福田総理の問責決議案や内閣不信任案を提出すると意気込んでいるが、まさに政局を混乱させ、政権交代へ突っ走ろうという姿勢がみえみえである。民主党の中には、強引な小沢党首ら幹部の考えに対して慎重論も根強いという。

今、大事なことは、少子高齢社会の医療制度を、いかによりよい制度につくり上げていくかなのだ。ポピュリズムは国を危うくする。われわれも、野党やマスコミに煽られることなく、冷静な判断をする必要がある。

どうも、最近の論調を見ていると、高齢者=弱者という図式で見ているケースが多いようだが、必ずしもそうではないのだ。ツアーなどに参加してみると、その多さにびっくりするし、いたるところで、お年寄りのパワーを実感する。お年寄りを大事することはいいことだが、過保護はいけない。

たとえば、70歳以上の高齢者は地下鉄が無料などとして大赤字になった市があったが、高齢者が増えていけば、当然、財政が厳しくなっていくのだ。高齢者も甘えることなく、応分の負担はしていくのが当然だ。もちろん、行政のムダは徹底的に省いていかなければならないということは、言うまでもない。