満員電車で座っていたら、私の前に立った5歳ぐらいの子どもが乗ってすぐ、「ママ、座りたい」と言った。母親は、「○○ちゃん、座りたいねぇ。いつもは皆立ってくれるのにねぇ」と、大きな声で催促するように言った。
5歳なら立っていてもいい年齢だ。ましてや母親はまだ若い。子どもを連れていたら、みんなが当然立ってくれると思っているらしいので、私は決して立たなかった。私の周りの人たちも、私より若かったけれど、多分私と同じように感じたのか立たなかった。
母親は不機嫌そうに別の車両に移って行った。そこでも同じことを言って立ってもらったのだろうか。
若い人だって、一生懸命仕事をし、疲れて家路に着くのだ。この子が大人になったとき、果たして席を譲れる人間になれるのだろうかと思った。