極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

デフレ・パワハラ・下流老人

2015年07月14日 | 時事書評

 

 

   工期に余裕は一切ない。一度でも天変地異起きれば、
                 (新国立建設は)間に合わなくなる可能性がある。


                       大手ゼネコン幹部 

 


● 食物アレルギーの症状を抑える分子の発見?

東京大学は10日、乳幼児に発症が多い「食物アレルギー」に有効なアレルギー反応を抑える物質を発
見した発表。体内でアレルギーを引き起こす細胞の中には「プロスタグランジンD2」という物質が存在す
るが、これまでその能力についてはわかっていなかったが、プロスタグランジンD2がアレルギーを抑制
する力を持つことが初めてわかったという。同研究グループでは、この研究が食物アレルギーの治療に
つながり、子供たちが助かるようにしたいという。


この研究の成果が、小児アレルギー発症のの抑制に結実すればハッピーなのだが困惑してしまった。
下図/左の説明では、マスト細胞は骨髄幹細胞に起源を発し、分化ののち,未成熟な前駆細胞と
して血管外組織に定着し,線維芽細胞のSCFに応答して増殖→SCFの刺激によりマスト細胞から分
泌されたⅢ型分泌性ホスホリパーゼA2(PLA2G3)は,線維芽細胞のL型プロスタグランジンD2
成酵素(L-PGDS)と連関してプロスタグランジンD2(PGD2)を産生し→このプロスタグランジン
D2がマスト細胞のDP1を活性化して,マスト細胞の最終の成熟を促進→成熟したマスト細胞は免
疫グロブリンE-抗原の刺激により活性化してヒスタミンなどの生理活性物質を産生し,アレルギ
ー応答をひき起こす。と説明されているのに、今回の報告では、その逆の抑制に機能する



 

【超高齢社会論 Ⅴ: 下流老人とはなにか】 
 

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を
掲載していく。  

  目 次  

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第2章 下流老人の現実 

                                               生活困窮者の現状

  最初に、わたしの問題意識を少し述べておきたい。
  下流老人の問題を、皆さんに知ってもらわなければならないと思ったきっかけは、わたし
 自身の活動にある。わたしはこれまで12年間、生活
困窮者と言われる人々に向き合う相談支
 援の現場で働いてきた。今はN
PO法人「ほっとプラス」という団体を立ち上げ年間約3百
 人の生
活困窮者の相談を受けている。

  相談に来られる方のうち約半数が、「貧困」を抱える65歳以上の高齢
者だ。相談内容は、
 「アパートの家賃が払えない」「病気があるが病院に
かかれない」など多岐にわたる。他に
 も介護保険料未納、健康保険料未
納の方や、何日も食事をとれていないという方も相談にく
 る。無年金の
方たちばかりではない。年金をもらいつつも、支給額が少なすぎて、それだけ
 では暮らせない人たちからの相談も多いのだ。


                          異口同音に「想定外」

 
  そして相談に来られた方々は、異口同作目にこうつぶやく。
  「自分がこんな状態になるなんて思いもしなかった」と。
  静かに、うつむきがちに語る彼らの言葉は重い。
  要するに、老後の貧困は想定外の事態だというのだ。だからこそ、対応や対策が後になっ
 てしまい、より困難な状況を生み出してしまうこと
になる。
  しかし、わたしは下流老人に至るのは想定外だとは思わない。なぜなら多くの相談者に向
 き合うと、本人がどれだけ努力しても、下流に陥る。  

 理由があると実感しているからだ。詳しくは後述するが、下流老人は社会が生み出すもので
 あり、あらかじめ生まれることが決まっているもの
なのだ,それにもかかわらず、多くの人
 々は「自分は大丈夫だろう」と
いう根拠のない自信をなぜか抱く。この意識と現実との乖離
 は相当に危
険であり、だからこそこの問題を他人事にしてはならない。

  では、ここからは現実の声として、下流老人の生活実態の一例を紹介しよう。

  ●ケース1〈飲食店などで働くも、野草で飢えをしのぐ加藤さん(仮名)〉

  加藤さん(76)は、新潟県出身の男性だ。現在は一人暮らしで、埼玉県内の家賃3万5千
 円のアパートで生活している。結婚したことは
なく、生涯独身である。
  なぜ結婚しなかったのか尋ねてみると「人付き合いが得意なほうじゃないし、顔が整って
 いるほうでもないからね」と冗談交じりに話してく
れた。新潟に親族はいるものの、すでに
 疎遠になっており、親しい関係
ではないという。

 「親が生きているころは親戚関係とも交流があったけど、今は誰とも連絡とってないよ」と
 寂しそうに話すのが印象的だった。

  加藤さんは、県内の公立高校を卒業して以降、自衛隊や飲食店、介護職など仕事を転々と
 してきた。

 「自衛隊は上司にいじめられて辞めた。体力がないと務まらないし、訓練は過酷だったな
 何度も疲労で吐いたよ。今であればパワハラってい
うのかな? でも当時はそれが当たり前
 だったからね」

  その後は県内の飲食店に正社員として雇われ、料理人として再出発したという。
  とくに中華料理屋は長かったそうだ。今でもわたしが家庭訪問するたびに、「野菜炒めつ
 くったから食ってけよ。美味いぞ!」と嬉しそうに食事
をつくってくれる。加藤さんの口癖
 は「どんなに美味い料理でも一
人で食べるより.二人で食べたほうがさらに美味い」であり、
 一緒に食事
をさせてもらうこともある。こだわりの隠し味があるそうだが、今もその内容は
 教えてくれない。この料理人の仕事は長く続いた。


※「パワハラ」(職域)、「アカハラ」(研究)、「いじめ」(学校)はデフレ不況の進行とと
もに常態化する。その形態は様々であり、その解決方法も様々であり、事実をオープンにするこ
とが最良の解決策なのだが、複雑な立ち位置やその時の精神状態で、泣き寝入りするか、キレて
暴発する、自殺する、離職するなど社会的弱者は闇から闇に葬られ、最後にたどり着のが、ここ
で言う、”下流老人”というわけだが、改めて、記憶を呼び覚まされ身が引き締まる。





                         正社員の仕事を辞め、親の介護


  ところが、40代にさしかかるとき、重大な転機が訪れる,一番働き盛
りのこの頃に、両
 親が相次いで病気に倒れ、介護が必要な状態になって
しまったのだ。
  当時、加藤さんと両親は、県内で別々に暮らしていた。父親は定置網漁の漁師をして働き
 ながら、膠原病がある母親を助けて暮らしていたそ
うだ。そんな折、肝臓がんが父親に見つ
 かり、約1年程度の命であるこ
とが告げられたという。

  父親は当時、まだ64歳の若さ。

 「酒が好きで付き合いで、若い頃から漁協の連中と飲んでいたからな。それにしても死ぬと
 きは人は間単に死ぬものだと実感したよ」

  加藤さんは、父親の看病のため、正社員の仕事を辞め、母親の面倒も合わせて見るように
 なった,母親も、父親の死の間際からさらに体調が
悪くなり、ほぼ寝たきりの状態になった
 そうだ。それから母親に付き添
い、約10年、母親が亡くなるまで介護を続けてきた。
 「一人息子で、両親に迷惑や世話をかけてきたから、晩年は一緒に過ごしてあげたかった」
 という言葉に、加藤さんの優しさがうかがえる。

 「若い頃は不良でさ、仲間とケyカしては警察に呼ばれて、両親に叱られたよ。それでも見
 捨てずに育ててくれたから、二人への恩を返したいと思ったんだ」
  両親の死後、50代半ばとなった加藤さんは、新潟の実家を引き払い仕事を求めて首都圏に
 来た。
 「新潟を出るのは寂しかったけど仕方ないよ。50代半ばになると当時の新潟では仕事がな
 くてね。始めのうちは県内で就職しようとハローワークに通ったけど、そんな給料じゃ暮ら
 せないという仕事しかなかった。実家を売った金も多くなかったし、結構あせっていたよね」

  その後は、東京都内や神奈川県、埼玉県などで、介護の仕事を中心に働いた。そして65歳
 で仕事をやめた後は埼玉県で生活をしてきた。
 「夜勤とか入れれば介護の仕事は他の仕事と比べて給料がよかったんだよね。当時は介護保
 険ができるかどうかというとき(介護保険制度は2000年に施行)で、人手が足りないか
 ら来てくれってことになってさ。ヘルパーの資格はないけど自分の両親に近い利用者の人と
 過ごせて楽しかったよ)と当時を振り返る。もしかしたら加藤さんは、高齢者施設に入所し
 ていた利用者の姿に亡き両親を投影していたのかもしれない。


                  「こんなに年金が少ないとは思わなかった」

  年金をかけていない時期もあったため、仕事をやめた後の月収は、厚生年金がわずかに9
 万円ほどであった。両親の介護離職による年金加入年数の少なさ、低賃金などから、支給さ
 れる年金は少なかった。これについて加藤さんは、「驚いたよ。まさかと思っていたけど、
 こんなに年金が少ないとは思わなかった。どうやって暮らせばいいんだろうね。でも友人や
 知り合いに聞いたら、同じくらいの年金しかもらってないヤツ結構いるんだよね。

  みんな貯金を切り崩したり、働いたり、息子に頼って暮らしたりしてるよ。俺にはそうい
 う身内いないからな」と言う。
  始めのころは、そんな加藤さんにも貯蓄があったそうだ。
  「500万円ほどあったから、最初は何とか暮らしていけたんだ。でもその後に糖尿病が
 見つかったり、介護の仕事をしていたときに患った腰痛で動けないときもあってね。医療費
 がかかるようになってからは、貯蓄もみるみる減っていったよ。俺も元気なうちは働くつも
 りでいたんだけど、もう身体はいうこときかないよね」と、半ば達観したように語る。

  加藤さんはこれらの困難に見舞われ、貯蓄を使い果たし、ついに生活困窮に至った。わた
 したちのNPOへ相談に現れた当時、加藤さんが語ってくれた生活の惨状は今でも忘れるこ
 とができない。 「月収9万円では、食費や医療費や家賃で精一杯なんだ。年金支給日前に
 なると、本当に生活は苦しかった。だって9万円からアパートの家賃5万円(当時)を払う
 んだよ。もうそれで手元に残る金は4万円。月4万円じやあ埼玉では暮らせないよな」

 「それは苦しい。どうやって暮らしていたんですか?」と尋ねると、ポツリと、
 「野草」一言。
 「野草?」と不思議そうにわたしが首を傾げると、
 「そう。野草。野蒜って知っているか。見た目がエシヤレットとかラッキョウに似た小さな
 野草。一時期はそれを主食にしていてさ。それを食べて暮らすんだよ。よもぎとかふきのと
 う、つくしなんかも採っていたな。野草には救われた。それがなかったら餓死していたかも
 しれないと思うときもあるよ,季節によっては野草が採れない時期もあって、恥ずかしかっ
 たけど部内まで歩いてホームレス専用の炊き出しの列に並んだこともあった」と言う。

  あまりの空腹に、道端の草を食べて飢えをしのぐ。これは遠い国の話でも、昔の日本の話
 でもない。現在の日本の首都圏で実際に起きたことなのだ。
  その後、わたしは生活費や医療費の不足について加藤さんと相談し、生活保護の申請を行
 うこととした。
  現在、加藤さんは月額9万円の厚生年金に加えて、足りない分の約4万円は生活保護を受
 けている。医療費も生活保護から支給してもらい、治療も順調である。家賃滞納していたア
 パートから転居し、低家賃の住宅も薩保した,相談に来られたときは、身長180センチ弱
 なのに、体重は50キロほどしかなく、ガリガリの痩せ型であったが、生活保護受給から5
 年経った現在は、体重66キロまで回復している。



  加藤さんは明るい性格だから、野草生活を乗り越えられたかもしれない。しかし、貯蓄が
 底をつき、ホームレス生活に追い込まれる人、窃盗をして刑務所へ収監される人、自殺を考
 えてしまう人が出てきても不思議ではないだろう,実際に加藤さんですら「もうあと数か月、
 助けを求めることが遅かったら死んでいたと思う。餓死していたね。だって栄養、カロリー
 ってあるでしょ。あれの標準に毎日の食事が全然足りないんだから。全然だよ。そりやあ痩
 せるし死んじやうよね」と諸る。

  また生活保護制度についても「俺は年金受けていたからね,年金受けていても、生活保護
 がもらえるなんて知らなかった」と話す。
  加藤さんに限らず、下流老人の多くは正確な情報が伝わっていないし、孤立して助けを求
 めることが困難な場合が多い。最後に加藤さんに率直な質問をぶつけてみた。

 「下流老人って言葉があるんですけど、加藤さんは下流ですか」
 すると、即座にこう答えた.
 「下流に決まっているだろう、そんなの。中流だったり、上流のわけがない.胆の中は俺み
 たいな老人ばっかりだよ」




次回も、ロングインタビューがつづく。


                                    この項つづく

  ● 今夜の一曲 

三代目JSBがテレビ出演。即興で踊りの振り付けを披露しているのをみて、強烈な印象がやって
きた。やはり、若いというのは良いね。『Summer Madness (feat. Afrojack)』はご機嫌にしてくれる。


 

  

 

 

 

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

欲望という名の複雑系

2015年07月13日 | 地球温暖化

 

 

   私はもともと犬肉は食べないが、あいつらがこんなにわれわれ
         玉林人を罵るから、今年は何としても犬肉祭に行ってやる。

                        批判に反撥する玉林市民    

 

 

   Go green, go driverless! 

● 自動運転タクシで温室ガス94%削減-小型化とライドシェア-

米ローレンス・バークレー国立研究所は、30年には、自動運転の電気自動車タクシーの二酸化
炭素排出量が、現在のガソリン車と比較して最大94%低下する――運転手つきのタクシーより
もはるかに低料金で運用でき、排出量削減の約半分は、利用客に合わせてタクシーを小型化する
ことで達成でき、「米国では大半が1人でタクシーを利用しているので、座席は1~2人分あれ
ば十分です」と、論文の著者ジェフリー・グリーンブラット氏は語る。車両を小型化すれば、エ
ネルギー消費量も温室効果ガスの排出量も抑えられる――と7月6日付「ネイチャー・クライメ
ート・チェンジ」誌のオンライン版に発表した。

 

グーグル社は昨年5月、「順調に行けば数年以内にカリフォルニア州で小規模な試験プログラム
を実施したい」として、百台のプロトタイプを製造する計画を公表し、独自のライドシェア(相
乗り)事業の展開も進めている。イスラエルで開発された同社のナビゲーション・アプリ「Waze」
は、同じ方向へ相乗りしたい通勤者同士をマッチングするサービスだ。まずはテルアビブで試験
プログラムが実施。
ライドシェア・サービスの大手ウーバー社も遅れを取るまいと、米カーネギ
ー・メロン大学と提携して独自の自動運転車の開発に取り組み、5月には市内の公道で試験走行が
行われた。
グリーンブラット氏の論文では、自動運転車によるエネルギー使用量と温室効果ガス
排出量の削減効果は、ライドシェア・システムの一部として導入された場合に最も高いとされる。

また、30年には、太陽光や風力など再生可能エネルギーのシェアが拡大し、自動運転の電気タ
クシーが排出する温室効果ガスの量は、同時期の個人所有ハイブリッド車と比べて63~82%
少なくなると予測している。現在のガソリン車と比較すれば、その差はさらに拡大する。目的地
まで最適なルートを計算、スムーズなアクセルとブレーキを実現し、先行する別の自動運転車の
すぐ後ろを追従することで、空気抵抗を抑えることもできる。個人向けの電気自動車は、30年
になってもガソリン車と比較すれば高価で維持費も高いが、1年間で約6万~11万キロ、米国
のタクシーの平均的な年間走行距離)走行するなら、電気や水素など代替燃料で動く自動車の方
が安くつくという。燃料代が下がって、高い購入額が相殺されるとの試算も行っているが、1台
当たり15万ドルともいわれる自動運転技術のコストを考慮に入れたとしても、自動車自体の燃
費が良く、加えて運転手もいらない自動運転タクシーに軍配が上がる。
 



ところが、グリーンブラットらの研究は、30年に自動運転技術がどれだけ普及しているかを予
測されていず、その鍵を握るのは、ロボット工学というよりは公共政策によるところが大きい。
昨年、トヨタ自動車のヒラリー・ケインは、自動運転技術について意見を述べた際、連邦法や州
法の適用に関して「不確定な部分が多い」と意見陳述しているが、生まれたばかりのこの分野は
政府の規制が最大の障害となる可能性を残している。

ここで問題になるのは2つ。(1)相乗り、(2)自動運転で、小型化というダウンサイジング
は問題にならないが、(1)は日本では自家用車が定着しているため、観光地などは相乗りは、
有効だが限定的だ。また、(2)自動運転もその宿命ゆえ限定的となるだろう。そう考えていく
と、太陽光で水電解た水素やソーラーパネルで充電した電気自動車を使えば、94%の削減は実
現可能(母数が大きい場合)だと考えられるから、彼らの研究はここに包括される。

  
 

● 日本全国の太陽光発電一覧地図:15/02/06:1941/4066 MW → 15/07/12:2296/5320.3 MW

 

 

● 常温超伝導道半ば 低温超伝導リニアーカーは商用化へ

東京大学物性研究所の近藤猛准教授らのグループは、銅酸化物の高温超電導体では、抵抗がゼロ
になる超電導温度よりもはるかに高い温度で超電導電子が作られていることを見いだした。超電
導温度の向上や室温超電導に向けた指針となる。
銅酸化物高温超電導体はすべての超電導体の中
で最も高い超電導温度を持つ。今回、東大物性研究所が独自に開発したレーザー励起型の光電子
分光装置を使い、銅酸化物高温超電導体の超電導電子を高精度に観察。
一般的な超電導体の温度
を上げていくと、抵抗がゼロの超電導状態が消滅すると同時に、物質内の超電導電子はなくなる。
しかし、銅酸化物高温超電導体では、超電導温度より1・5倍高い温度まで上げても、超電導電
子が生き残ることが分かった。超電導電子の形成温度と、超電導になる温度(転移温度)が大き
く食い違う物質例はこれまでになかったという。銅酸化物高温超電導体の新たな特性を明らかに
した。



銅酸化物高温超伝導体は、伝導を担うキャリアを絶縁体に注入することで超伝導を発現。金属よ
りもむしろ絶縁体に近い物質です。その物質でなぜ高い超伝導を
示すのか、未だ謎が多いのが現
状。
絶縁体の瀬戸際で生じる超伝導ならの性質として、ミクロに生成される超伝導電子が十分な
量生成
されて初めて超伝導性が発生することを示し、「高い超伝導を生む源」を同定する上で
指針となる。室温超伝導の夢みてきたこの30年。まだまだ精緻な観察・計測発見の旅路がつづ
きそうだ。



 

【超高齢社会論 Ⅳ: 下流老人とはなにか】 
 

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を
掲載していく。 

  目 次 

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第1章 下流老人とは何か 

                                  下流老人の何が問題なのか?

  ここまで、下流老人のモデルをわかりやすくするために「①収入が著しく少ない」「②十
 分な貯蓄がない」「③頼れる人間がいない(社会的孤立」の3つの「ない]にパターン化し
 て説明してきた。
  これら3つは、下流老人か否かを判断する重要な指標となり得るだろう。この、いわば「
 3ない」状態にある高齢者は、健康で文化的な暮らしを営むことが困難な状況にあると考え
 られる。
  下流老人とは、言いかえれば「あらゆるセーフティネットを失った状態」と.言える,収
 入が低くても、親の遺産なども含め十分な貯蓄があれば問題ない。また、貯蓄がなくとも、
 家族の助け、地域の縁があれば支えあって暮らしていける。しかしそのすべてを失ったとし
 たら・・・・・・。現状において、有効な手立てを講じるのは難しいと言わざるを得ない。

  そして、このような3つの下流老人の構成要素を抱える人々が増えている理由の多くは、
 現在の社会構造に問題がある。詳しくは後述するが、単に「かわいそう」とか、「自分の将
 来が不安」というだけの問題ではないのだ。ましてや個人の「自己責任」や「自助努カ」で
 解決できる問題でもない。
  下流老人の問題を放置すれば、当事者が貧困に苦しむだけでなく、社会的にも大きな損失
 を生むことになる。
  では、下流老人の問題は、社会に対しどのような悪影響を生むのだろうか。以下にいくつ
 か分析してみたい。

  影響Ⅰ 親世代と子ども世代が共倒れする

  まず、身内の誰かが下流老人になった場41’その子どもたちも共倒れするような事態が考
 えられる,親が生活に困ったら、多くの子どもは援助したいと思うのが実情だろう。しかし
 親の面倒を見たくても、経済的事情がそれを許さないという問題もある。

  仮に親世代が高齢期(65歳以上)に入る確率の高い40代前半(40~44歳)の家庭
 を例にとってシミュレーションしてみよう(モデル家庭は、給与所得者の夫1名、専業主婦
 の妻1名、18歳未満の子ども1~2名の
計3~4名とする)。まず40代前半の男性サラ
 リーマンの平均給与はどれくらいなのだろう
か。国税庁の「平成25年分民間給与実態統計調
 査」の「年齢階層別の平
均給与」によると、40~44歳の男性給与所得者の平均給与は5
 68万円
である。
  一方で支出を見てみよう。総務省の「家計調査(2014年平均)」の「全国・2人以上
 の世帯のうち勤労者世帯」で、世帯主の年齢が40~44
歳の1世帯あたりの1か月の実支
 出は、約41万円である(世帯人員
3・75人/18歳未満人員1・65人)。つまり年間
 で約492万円の支出
がある。したがって単純計算した場合、手元に残るのは約78万円と
 なる。

 
 仮に毎月5万円を親に援助するとなると、年間でさらに60万円の支出が発生する。つま
 り子どもの手元には、16万円しか残らない計算になる
のだ。
  もちろんこれはあくまで平均モデルから算出した推定値であるため子どもの数や収入源な
 どによって状況は若干異なるだろう。しかし年数
十万円の貯蓄しかできない状態では、将来
 安泰だとは言えない,親が年
をとるほど医療費や介歳費がかさんで上乗せされてくるし、子
 どもや自
分自身が大きな病気や事故に見舞われる可能性も少なくない。さらに先述した平均
 給りは平均値であるため、より実態に即した中央値で計算す
れば、ほとんど貯蓄できないか、
 逆に赤字になる可能性すらある。


  このように、経済的に依存せざるを得ない高齢者を扶養することは、
現在のごく一般的な
 家庭モデルから見ても、子ども世代に相当な負担を
強いることがわかる。ましてや、現役世
 代の平均給与は敵城傾向にある
だけでなく、正社員に比べ年収が数百万円も劣る非正規雇用
 者の数は
年々増加の一途を辿っている。
  このような社会状況において、家族扶養を前提とした従来型の社会副詞モデルは、もはや
 限界に達していると言っても過言ではないだろう。

  悪影響Ⅱ 価値観の崩壊

  このように高齢者のために若者世代が共倒れするような事態になれ
ば、下流老人を中心に
 して、「高齢者が尊敬されない」「年寄りなんか邪
魔だ、お荷物だ]としか見られなくなる
 社会になる危険性もおおいにあ
り得るだろう。
  高齢者はこれまで家族を養い、社会や経済の発展に寄与してきた存在である。たいていの
 文明社会においては、高齢者は多くの人々から尊敬
される者のはずだ。しかしこのままいく
 と、社会的な役割を十分に果た
してきたにもかかわらず、高齢者が尊敬されない時代が近い
 うちに到来するだろう。

  今はまだ、「長生きすることが素晴らしいIという共通認識があるが、長生きする人間が
 社会の重荷になるのであれば、それは生命の価値自体が軽んじられることにもなりかねない。
  人間は生まれながらにして尊く、価値ある存在として見られなくなる。下流か否かで、「
 死んでもよい命」と「死んではいけない命」があたかもあるように考えてしまう人々も出て
 くるだろう。経済的に自立していない人間を自分たちの生活のために排除することに、何ら
 疑問を持たない者も出てくるかもしれない,

  これはかなり危険なことで、高齢者に限らず、生産能力が低い障害者にも被害が拡大する
 恐れもある,あるいは生活保護受給者や社会保障を受けている人々に対する差別的意識が強
 まり、自立を阻害する要因となる可能性すらあるだろう。
  もともとわたしたちが大事に築き上げてきた価値観、なかでも子どもの頃に教わったよう
 な「命の尊さ」や「生命倫理」が根底から揺らいでしまう時代がくるかもしれない。そして、
 それが優生思想にもつながる危険な考え方を生む土壌を社会に形成してしまう。

  最近は、ヘイトスピーチなども話題になっているが、他の国の人々や価値を尊重しない排
 斥行動も広がる傾向を見せている。ホームレス等を襲撃する中高生も後をたたず、襲撃して
 排除することが素晴らしいことだと語る少年まで現れている状況だ。これらはすべて個人の
 権利や命を軽削する意味で同じだと言える。
  このような価値観の崩壊は、さまざまな教育制度やシステムに影響を与える。みんなが、
 「健康が一番」「長生きは素晴らしい」と目指していたはずのものが崩れ去ってしまえば、
 大きな混乱を招くことになるだろう。下流老人の問題は、そのトリガーとなる危険性をはら
 んでいるのだ。

  悪影響Ⅲ 若者世代の消費の低迷

  高齢者が尊重されない社会であれば、若者が自分の将来や老後に希望を持てるはずもない。
 すると若者は必然的に「貯蓄」に向かうことになる。下流老人にならないために、計画的に
 生活していかなければならないという、強力なインセンティブが働くからだ。
  よく「若者の○○離れ」がニュースで話題になるが、その根底にあるものはすべて自分の
 生活の先行きに対する不安であろう。若者は自動車もマイホームも買わず、生活も質素で禁
 欲的な暮らしをしていると言われる。「老後に備える」ためだけに、貯蓄に精を出す若者は、
 わたしの周囲にも増えている。 
  こうなると本来、一番消費してほしい20~50代の消費意欲は減退したまま、ほ気回復
 は見込めず、経済の好循環は当然生まれない。政府は消費税増税後に、子育て世帯に対する
 給付金や支援策を打ち出し続けているが、一向に効果は見えない。現在の生活に限らず、老
 後の不安が大きければ、消費意欲が減退するのは明白だ。

  本音では、若者は消費をしたいし、欲求がないわけではない,多くは結婚だってしたいし、
 子育てもしたいと思っているはずだ。いつの時代も若者諭が提示されるが、時代によって若
 者の欲求が大きく変わることなど、そうはない。変わるのは社会構造である。"そうできな
  い" 要因や要素に目を向けていかない限りは、打開策は見つからないだろう。現実を見れば、
 若者は禁欲的な生活にならざるを得ない。「自分はああなりたくない」という人たち、つま
 り下流老人が身近に増えるほど、自分の保身を考えて行動するのはある種自然な結末と言え
 る。下流老人の問題は、日本経済の発展を阻害する要因にもなり得るのだ。

  
悪影響Ⅳ 少子化を加速させる

  下流老人の問題は、間接的に少子化を加速させる一因にもなっている。現代において、子
 どもをつくって家族を持つことは、もはや「リスクである」という考え方さえある。
  たとえば子どもを産んだら、大学卒業まで育てきるのに一人あたり1000万~2500
 万円程度はかかると旨われている。
  実際に、文部科学省の「平成24年度子供の学習費調査」や日本政策金融公庫の「平成26年
 度教育費負担の実態調査結果」などによれば、幼稚園から大学卒業までの19年間にかかる教
 育費で最もコストが低い場合は、すべて公立学校に進学するケースで、約1000万円であ
 る。そして最もコストが高いのは、すべて私立に進学するケースであり、とくに理系の大学
 に進んだ場改は約2500万円かかる。

 

  非常にドライに考えれば、その分だけ自分の老後の資産が減ることになる。1000万円
 あれば、自分が十数年は、下流に至らずに長生きで
きるともきえるわけだ。そして、先ほど
 から指摘しているとおり、子ど
もに老後の面倒を見てもらうことは、おおよそ困難と言える。
  そのような前提で出産や子育てを見れば、出産しないというぶ”合理的選択”を積極的に
 とる若者が増えても否定はできないだろう。すでに少
なからぬ若者が、結婚や子どもをあき
 らめていることを考えると、日本
の少子化問題は、いよいよ深刻であり、解決策がないよう
 に見えてしまう。

 
 海外の先進諸国では、少子化対策として、若者支援にも積極的に手を入れている。たとえ
 ばフランス等では、若者に低家賃の住宅支援や家賃
哺助制度を導入し、合計特殊出生率を引
 き上げる政策が重要施策として
行われてきた。これが一定の効果をあげていて、少子化に歯
 止めをかけ
る原動力になっている。
  一方、日本にはこのような有効な少子化対策がなく、下流老人の問題や老後の生活不安が
 シピアに若者を直撃している。今のように出産や育
児に対する負担を個人の努力にほぼ丸投
 げしている状態では、若者が老
後のために子どもは産まないという発想に陥ったとしても、
 何ら不思議
はないのである。


                        下流老人の社会的な問題-まとめ

  これまでに指摘したとおり、下流老人の問題は、高齢者だけではなく、全世代の国民にか
 かわる問題だ。
  これを放置すれば、親子二世代が共倒れになる危険性があり、また高齢者や他者に対する
 尊重の念やこれまでの価値観が崩壊する恐れもある。さらに現役邑代の消費が抑制され、景
 気に悪影響をおよぼしたり、少子化を加速させる要因にまでなるのではないかと述べてきた。
  わたしが提起したこれらの問題は、下流老人が社会におよぼす影響の一部にすぎない,各
 専門家がそれぞれの視点から再検討いただければ、さらにド流老人の深刻さが浮き彫りとな
 るだろう。本書はあくまで問題提起であり、今後の検証は各専門家にも委ねたい


第1章で、この問題を多角的に構造的にスケッチされていることが了解できる。次章では、ロン
グインタビューでリアル体験が語られる。


                                    この項つづく

 

  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超高齢社会論Ⅲ

2015年07月12日 | 時事書評



 

   何でこんなに増えてるのか、分からへんねん。/ 安藤 忠雄  

                                     

 

 

 

● 日中食品汚染 12 中国の食品汚染地図  

【目次】

 第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素
描し終えたので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから
課題を掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。
 

  第2章 中国の食品汚染地図 

                                                      病気に弱いウナギ

  日中ともっとも縁の深い中国の魚介類はウナギだ。中国
産は2012年の国内供給量3万
 7200トンの50%弱を
占める。現在、国産ウナギの供給量は10年前から20%減って1万
 7500トン,それを補うはずの輸入量も毎年減る。一方
、10年前の20%に落ち、1万
 9700トンとなっ
た。
  中国からのウナギの輸入は、輸入量全体の90%、1万8000トンを数える。中国側から
 見ても、日本は世界最大
のウナギの輸出先だ,中国のウナギの輸出量も、じつは毎年減る傾
 向にある。中国の2012年のウナギ輸出量は約
3万トンだが、そのうち、日本向けが半分
 以上を占めてい
る。ちなみに中国のウナギ輸出先の第2位ロシアヘの量は、日本向けの4分
 の1程度にすぎない。

  最近は中国でも盛んに調理されるようになり、トグロを巻いたヘビのようにして盛り付け
 される。し
かしウナギ養殖のそもそもの目的は、日本に輸出することにあった。主な産地は
 南方で、江西、浙江、
江蘇、広東、福建、安徽、湖北などに分布している。
  数あるウナギの種類の中で、通常日本人が食べる純国産ウナギはニホンウナギ。中国から
 輸入されるウナギの主な
鮪類はアンギラ・アンギラ種といって、これを中国では欧鰻という
 ように、原腫はヨーロッパ産のウナギだ。ニホン
ウナギに比べると、やや幅が広くずんぐり
 している。気性
は荒く、ときに共食いまですることがある。ウナギ専門家によると、最近は
 フィリピンなどの東南アジア産系の原種
が増えつつあるという。ウナギの種類は多いので、
 今後さ
らに多品種化か進む可能性もある。

  さてその中国産ウナギだが、大きく3つの理由から汚染
されやすい性質を持っている。
  第一は、ウナギは病気に弱いことから、薬剤を投与しないと首尾よく成長できない。中国
 で養殖するウナギには白
点病、ウーディニウム病、カラムナリス病、白雲病、水カビ病、開
 口病、線虫病、細菌性ホホ病、エドワードシエラ
病などさまざまな病気がある,これらの病
 気のうち、文字
通りいつも目を開き、目元を赤くしている開ロ病には対策がなく、中国の養
 鯉家がもっとも恐れる病気のひとつだ。

  そこでさまざまな治療薬や予防薬の出番となるが、これが逆にウナギの養殖池あるいはハ
 ウス養殖池を汚し、別の
病気を発生させる悪循環を生んでいる。池やハウス養殖池をある程
 度は浄化させようと浄化剤を役人するので、池の
水は深い緑色に淀む第二次汚染が生じやす
 い。これは日本
と違い、水資源の乏しい中国ならではの問題でもある。
 
  その結緊、こんどはウナギ自身も汚染されるという結末
を迎える,ウナギという動物は、
 いつも透明な水を求める
わけではないが、池の水がある程度きれいでないと病気になり、細
 菌を繁殖させる温床ともなる。ウナギの糞は毎日
たまるので、これを処理することが、ウナ
 ギの衛生にとっ
ても欠かせないことだ。

  第二はウナギの飼料によるものだ,飼料の種類や銘柄も非常に多く、全体を掌握している
 者はいないくらいだ。ウ
ナギの飼料の場合も中国では規制があり、認可した原料以外で作る
 ことも使うこともできない仕組みになっている。

  しかしその原料の中に、汚染物質が含まれていることが大きな問題なのだ。

                      ウナギはこうして汚染される

  ではどんなものが入っているのだろうか? これがおよそ問題だと指摘されるほとんどの
 危険因子が入っている。
  具体的には、カビ菌毒素、酸化酸敗物、残留農薬、石油炭化水素、重金属の水銀、ヒ素、
 ナマリ、亜ナマリ、カドミウムなどだ。しかも人体への被害は重大だという。これに似たニ
 ュースは、中国の養殖業団体が作る業界紙自身が眼じたこともある。ウナギに蓄積されやす
 い重金属を調べた中国の資料によれば、順に水銀、銅、カドミウムで、蓄積しやすい部位は
 血よりも魚肉部分、魚肉部分よりも頭のホホの部分、そしてもっとも蓄積しやすい部位が肝
 だという。日本人の好きなウナギの肝は、本当は危ない部位なのである。これは食べないに
 越したことはなさそうだ。

  第三は養鯉池の土壌と水の問題だ。中国の養鯉池は、それまで畑や水田であった場所に穴
 を掘って作ったりすることが一般的だ。最近は、日本の方式と似たハウス養殖施設で政殖す
 る者も増えた。
  前者の露天池の場合、畑や水田の土壌深くに浸み込み、長年かけて堆積した農薬や化学肥
 料の直撃を受けやすい。
  昔の農薬はDDTやBHCなど有機塩素系農薬が多数を占めていたが、農薬の危険性につ
 いて今ほど意識が高くなかったので、大吸にまいていた。今でも残留農薬にはこれらの有機
 塩素系が検出される。化合物なので溶解消滅しないのだ。

  水そのものにも問題がある。養鯉のために使う水は地下水あるいは河川からの引き水だが、
 いずれの場合も一般の農産物を作る際に起こる問題と同じだ。地下水の汚染は深刻だが、合
 わせて地下水位の低下による塩害問題も起きている。河川水であっても季節によっては流量
 が減り、汚染が濃縮されることもある。そのため、田畑から河川へ流れ出した農薬や化学肥
 料、そして重金属などによる養殖池汚染が深刻な被害をもたらしているのだ。

  ある程度の塩分は養殖池の浄化や殺菌に効果的な面もあるが、常水に塩分があると、ウナ
 ギの生育に害を与える。 
  淡水魚であるウナギには、海水魚と追って、そもそも塩分の排出機能がないからだ。
  日本に輸出されるウナギは、一般に厳重な管理のもとで養殖され、安全検査が行われてい
 るが、かといって安心はできない。週刊誌「AERA」(2013年9月9日号)が行った
 日本の外食害におけるウナギ重金属汚染調査の結緊をみると、カドミウム、水銀などがほと
 んどの検査個体から検出され、とくに肝汁からは高度の重金属が検出された。全体的に基準
 値を超えるものは少なかったが、サンプル数が少なく、調査地も東京地区だけだったなど、
 制約があったことは考慮した方がよいと思う。またサンプルには、国産ウナギがかなりの程
 度混ざっていた可能性もある。

                                   この項つづく    

  

  

 

【超高齢社会論 Ⅲ: 下流老人とはなにか】 

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02)。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を読み、その感想を
掲載する。

  目 次

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第1章 下流老人とは何か

                           下流老人の具体的な指標 3つの「ない」

   ②充分な貯蓄が「ない」

   一方、厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の平均 貯
 蓄額は1268万1000円となっている。一見多くの高齢者匪帯が十分な貯蓄を用
意して
 いるように見えるが、実際には
「貯蓄なし」の世帯が16・8%もいる。さらに言えば、4
 割以上の世帯
が、貯蓄額500万円に満たない。また、平均といっても、ごく一部の富裕層
 が平均値を高めているため、多くの人の実際の貯蓄額はもっと低
くなる(統計のなかで「平
 均」という言葉が出てきたら要注意だ。平
均はあくまで合計を構成数で割った数字であり、
 仮に99人の貯蓄額の平
均が1000万円のところに、10原円持ったお金持ちが1人現れれば、
 平均は約2000万円となるからだ。なお同調査では3000万円以上の貯蓄がある高齢者
 世帯が11・6%いる)。


  さらに現役世代について見てみても、内閣府「平成26年版高齢社会白
書」によれば、世帯
 の高齢期への経済的な備えがあると感じている者
は、約2割しかいない。その内訳を見ると
 「十分だと思う」(1・6
%)と「最低限はあると思う」(21・7%)を合わせた「備え
 はある」
とする人の割合は29・3%で、「少し足りないと思う」(16・5%)と「かな
 り足りないと思う」(50・4%)を合わせた「足りない」とする人
の割合は66・9%に
 のぼる。また、若年層ほど「足りない」と答える人
の割合が高くなっている。 貯蓄がない
 と老後をまともに暮らせない社会において、このデータは、
恐ろしい事実ではないだろうか。
 まだ労働期間が短い若者に貯蓄がない
ことは理解できるが、ここには40代や50代の回答
 も含まれている。間も
なく高齢期を迎える人々においても、十分な貯蓄が形成されていない
 の
が現状なのだ。


  ③頼れるれる人間がい「ない」(社会的孤立)

  下流老人の特徴の三つ目は、困ったときに頼れる人問がいないことだ。
  理想の高齢者の暮らしというものを考えてみてほしい。家族に囲まれて、息子や孫たちと
 同居し、日常的にコミュニケーションをとりながら、支えあって暮らしているかもしれない。
 息子や娘と同居していなくても、年に何度も交流があり、お互いの近況を伝えあい、支えあ
 うこともあるだろう,仮にそのような家族がいなかったとしても、近隣住民やお茶飲み仲間、
 友人などと会話をしたり、交流するなど、楽しく潤いのある時間を過ごしているかもしれな
 い。

  じつはこのような気軽に会話ができたり、相談ができるような豊かな人間関係を築いてい
 る高齢者が、下流老人には少ない。いわゆる「関係性の貧困」という状態にあり、社会的に
 孤立している姿が見えてくる。
  前述したように、一人で何もすることがなく、部屋でずっとテレビを見ていたり、一日中
 誰とも会話がないことは、下流老人にはよくあることだ。コンビニの店員と交わす「お弁当
 温めますか?」というやりとり以外、誰とも話す機会がないという方も相談者のなかには多
 い。

  このような社会的孤立の状態は、多くのリスクを生じさせる。
  たとえば、相談する相手がいないために、生活に困窮しても助けを求められず、問題が重
 篤化してから発見されるケースが多い。
  先日も、ゴミ屋敷で認知症になっていた高齢女性を発見し、役所の担当者と保護したこと
 があった,周囲の人々は認知症があることすら知らず、女性が助けを必要としているとは思
 っていなかった。
  助けてくれる家族がいなければ、身体が弱ったときでも、自炊や日常生活全般を自分自身
 で行わなければならない。相談できる人がいなければ、振り込め詐欺などの犯罪被害にも遭
 いやすいだろう。

  また、持病のある高齢者の場合、倒れてそのまま発見されず、手遅れとなることがある。
  室内で転倒して動けなくなり、誰にも気づいてもらえず、後日遺体となって発見されるこ
 ともある。夏場だと、体が腐敗して良っ黒になり、人間としての原形をとどめていないこと
 だってある。
  遺体からは、腐敗した血液などの体液が流れだし、うじ虫やハエが室内を占拠するため、
 異様な腐敗臭が充満する。そのようななかで、遠い親戚や不動産業者と片づけを行うのだ,
 「最近お隣のおじいさんの姿を見かけないな」と思っていたら、じつは部屋でミイラ化して
 いたという事例も珍しいことではない,遺品整理や室内の片づけビジネスが流行るわけであ
 る。 

  このように、わたしたちが出会ってきた高齢者の多くは、人間らしい余生や最期を送るこ
 とができない状態にまで陥ってしまっている。「たとえお金がなくても、楽しく豊かな老後
 を送りたい]という希望すらかなわないのだ。
  このような社会的孤立によって生じる問題は、近年ますます顕著であ今昔であれば世帯住
 宅で、子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だった。しかし、現在は核家族化により
 一人暮らしの高齢者が増えている.

  内閣府「平成26年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らしの高齢者数の仲びは
 男女ともに顕著で、昭和55(1980)年に男性約19万人、女性約69万人であったのが、
 平成22(2010)年には、男性約139万人、女性約341万人にまで増えた。高齢者
 人口に占める割合も、男性4・3%から11・1%、女11・2%から20・3%まで膨ら
 んだ計算となり、今後も急激に増加すると予測されている。

 

  その、一方で、65歳以Lの高齢者における予どもとの同居率は、昭和55(1980)年
 にほぼ7割であったものが、平成11(1999)年に50%
を割り、平成24(2012)
 年には42・3%と、大幅に減少している。

  これからも高齢化が進むのは間違いないが、とくに一人暮らしあるいは夫婦のみの高齢者
 附帯は際なって増加していくことだろう。生活に困
ったときや助けてほしいときに、家族が
 周囲にいない状況が当たり前の
社会になりつつあるのだ。

                                    この項つづく

 

 

  

  

 ● この間の宿題: 
     
     ポータブル浄水器・ソーラ&ジェネレータ・電子レンジとカレーメシ・電動エアーシップ

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電気飛行機時代

2015年07月11日 | 時事書評

 

 

   中国船は我々の6倍の大きさで鋼鉄製だ。
         木造漁船の我々がぶっかっていくはずがない。

                                     ホア ベトナム漁船主

  

 

 

● 中国船の蛮行

ベトナム政府は、先月26日に南シナ海・西沙(パラセル)諸島近海でベトナム漁船が中国漁船
に衝突さ
れ、沈没した様子を撮影した動画を公表した。中国は「ベトナム漁船から衝突」と主張
しているが、動画
では大きな中国漁船がベトナム漁船を追い、体当たりする様子が映っている。
事故が起きたのは、中国が石油掘削をしている場所から南南西約31キロの海上。動画は近くに
いたベ
トナム漁業監視船の船員が撮影していた。沈没した漁船に乗っていた漁民10人は、泳い
で別のベトナ
ム漁船に救出されたという。

顔などに切り傷を負った漁師のビエンさん(28)は事故直後の朝日新聞の取材に「衝撃であっ
という間
に船は沈んだ。救命具をつける余裕もなく海に投げ出された。必死に泳いで逃げた」と
証言。船主のホ
アさん(38)は「中国船は我々の6倍の大きさで鋼鉄製だ。木造漁船の我々が
ぶつかっていくはずがな
い」と憤っていた。損害額は2500万円に上るという(朝日デジタル
2015.07.10)。
 

 

● 日中食品汚染 11 中国の食品汚染地図 

 

【目次】

 第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか


古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素
描し終えたので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから
課題を掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。

 

 

  第2章 中国の食品汚染地図

                       中国も日本も抗生物質大国

  中国は日本以上に規制がゆるいのが現状で、中国人自ら「抗生物質大国」と称してはばか
 らない。2012年、中国では抗生物質が21万トン生産され、3万トンを輸出し残りの18
 万トンを国内で消費している。
  ひとり当たりの抗生物質消費量は、アメリカの10倍以上に当たる138グラムだ。飼料
 を含む家畜向けの使用量は9・7万トン。国内消費量全体の半分以上にも相当する多さであ
 る。
  そんな中国だが、危機感を覚えていることも事実だ。そこで政府は近い将来、家畜向けの
 抗生物質の使用を全面的に禁止する方針を打ち出したが、いまだ実現していない。 
  現在、飼料に使用できる抗生物質の種類は数の上で日本を 上回る24種類だ。
  抗生物質を長年飼料に使用した場合、家畜生産物を良べる人体にはどのような影響が出る
 のだろうか? 一般に飼料中の抗生物質は家畜の体内に残留し、やがて間接的に人体に取り
 込まれる。 

  問題は抗生物質が、規制量以上に家畜の飼料に使用されていることだ。その使用制限が、
 中国では飼料Iトン当たり10~15グラムと決められているが、厳格に守られることはほとん
 どないといわれている。あらかじめ決まった飼料成分が入っている配合飼料を使うこともあ
 るが、抗生物質は後から加えられるため、いくらでも入りうる。この点は、農薬の希釈濃度
 が規定通りにされるためしがないのと似ている。少ない場合もあれば、多すぎる場合もある
 のは普通のことだ。

  中国には畜産のための飼料に陵う成分を定めた「飼料原料目録」という規程があり、そこ
 に書かれている成分以外
は、使ってはならないことになっている。しかし、現実には201
 3年の3月に、揚子江河口に流れ着いた数千頭の
死んだ豚からヒ素が検出されたことが記憶
 に新しい。この
例は目録に記された規定が十分に守られていないことを図らずも証明してし
 まった。また別の「飼料添加剤品種目録」という資料には、飼料に添加することが許される
 アミノ酸、酵素、抗酸化剤、着色料、調味剤などの明細とその量が記載されている。本来、
 これ以外の添加物は使用禁止のはずだが、実際には、さまざまな物質や化合物が使用されて
 いる。飼料成分や添加物を法令に従って使用していたとしても、安全を守れるとは限らない。
 農薬や重金属で汚染された飼料を家畜に与えていれば何の意味もないからだ。

                             ホルモン剤投与の問題

  家畜や家禽の飼養に院われ、生産物の自然な組成や備えるべき栄養素に影響を与え、人体
 にとっても決してよいとはいえない成長ホルモン剤の投与もまた、一睡の食品汚染 しかし
 もっとすさまじいのは、ホルモン剤を注射されて、強制的に若さを維持させられることだ。
 そして妊娠産乳と励むよう仕向けられるのだ。そんなにしてまで搾られた牛乳は、はたして
 健全といえるだろうか,このような牛乳を原材料とした粉ミルクの一部が、子を持つ親から
 汚染されていると敬遠され、やがて脱脂粉乳やチーズ、バターの原材料、あるいは飼料の一
 部になっていく。日本では、こういうことを思いつく農民はまず皆無であろう。

  中には病死した牛、豚、羊などを解体処理して他の精肉に混ぜ、あるいはそのまま売る「
 死肉商売」もあるという。これらがモジュール食品の原材料の一部として輸出されていたと
 しても、決して不思議ではない。
  豚は本当は清潔好きな動物で、細菌やウイルスには弱い体質を持っている。獣医師が少な
 い中国農村ではよく病気になったり、運悪く死ぬ場合も少なくない。わたし自身畜舎の日陰
 に転がる豚の死骸を見たことが何度となくある。それを素人目にはわからないように偽装し、
 巧みにビジネスとして成をさせている,こうした肉が市場などで売られているのが専門家に
 見破られ、大きなニュースになることもある。発覚すれば厳重な処罰を受けるが、実際に見
 つかるのは氷山の一角ともいわれている。


                                       
 ずさんな解体から生じるBSEリスク

  最後に、肉牛の解体の仕方の日中の差について、簡単にまとめておきたい。
 BSEが発見されたのは1980年代、イギリスにおいてであった。当初は原因不明とされ
 たが、後に原因はプリ
オンという蛋白質にあると診断された。そのブリオンをもっとも多く
 含むとされているのが、脊柱など特定の部位
だ。
  2013年5月時点の農水省のデータによると、日本は25カ国あるBSE清浄国のひとつ
 である。これにはアメリ
カ、イタリア、デンマークなどが含まれる。次にリスクが低い「管
 理されたリスク」として27カ国’地域があり、イ
ギリス、カナダ、ドイツ、スイス、フラン
 スなどと並ん
で、アジアでは韓国、台湾の2つが含まれるだけだ。中国は国連加盟国中残り
 100カ国のうち「不明のリスク」の
部類に属し、危険性が否定できない国のひとつである,

  BSEの清浄国に認定された日本では、牛の脊柱など危険部位の除き方や脱骨場所、管理
 方法を厳格に定め、食
肉センターや流通関係者などに徹底した規定の順守を指導している,
  ところが中国では、豚肉と比べると牛肉そのものが大衆化していないことや、牛肉の生産・
 流通・保存管理などの
面で経験が浅く、十分な仕組みができ上がっていない。とはいえ、牛
 の飼養頭数は2011年時点で1億360万頭
と回帰の規模だ。ちなみに豚は、これを上回
 る4億70
00万頭である,ロ本の牛の飼養頭数は乳牛と肉用牛合わせて約410万頭(2
 013年)にすぎない。中国は、日
本の25倍の規模である。天文学的な頭数規模の牛の解体
 管
理がいかに難しいか。日本の比ではないことは明らかであろう。

 
 この数字が.ボすように、牛肉需要は年々高まっておりそれに応じて国産牛の生産・供給
 体制が徐々にでき上がり
つつあろとはいえ、牛の解体というBSE対策でもっとも肝心な点
 に関する取り組みは非常に弱いといわざるをえない。

                                    この項つづく 

 

【超高齢社会論 Ⅱ: 下流老人とはなにか】

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたらす格差
大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう
流老人
とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02)。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は「貧困対策」ではないか!?」 2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を読み、その感想を
掲載するつもりでいたが、今夜から連載していく。まずは、巻頭の「はじめに」から入る。

 目次

 はじめに
 第1章 下流老人とは何か
 第2章 下流老人の現実
 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
 第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
 第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
 第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
 
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
 おわりに


 第1章 下流老人とは何か

                                        下流老人とは、いったい何か

  わたしは埼玉県さいたま市で、生活困窮者支援を目的としたNPO法人を運営している。
 NPOには毎日のように、貧困にあえぐ高齢者から
の悲痛な叫びが寄せられる。わたした
 ちは、そのような方たちが、必要
なサービスや社会福祉制度を受けられるように支援を続
 けているが、こ
こ最近「下流老人」の問題が顕著に浮かび上がってきている。
 
  想像してみてほしい。

 
  朝、薄明かりのなかで目を覚ます。カーテンの隙間から差し込んだ朝
日が、衣類やチラ
 シが散乱したほこりっぽい6畳一問の部屋を映し出
す。体が重く、思うように動けない。
 15分かけてようやくシミで汚れた
布団から起き上がり、顔を洗う。鍋からよそった昨日
 の残りのご飯を少
し食べ、たくさんの薬を飲む,持病があるため薬は欠かせない,しかし、
  薬代が高く頻繁には病院にかかれないため、もらった薬を半分にし
て飲んでいる。
  朝食のあと着替えると、自宅近くにある公園に向かう。そこのベンチで一日を過ごす。
 目の前を若い学生や予ども連れの家族が通り過ぎてい
く。誰にも話しかけられることはな
 い。予どもはおらず、配偶者も数年前に他界した。親族とも連絡は取っておらず、今どこ
 にいるのかさえわからない。

  夕方になると帰宅し、買い置きしておいた安い米と見切り品の惣菜一品で夕食を済ます。
 たまにできる贅沢は、同じく見切り品の傷んだカットフルーツを食べることくらいだ。節
 約のため電気はつけず、テレビの明かりだけ。先月、貯金が20万円を切った。年金はも
 らっているが、十分な額ではない。このままいけばあと数か月で底をつくだろう。その先
 どうすればいいかは、わからない。
  夜9時になると、早々に布団に入る。静かな部屋に、時計の秒針を刻む音が響く。とき
 どき「早く迎えにきてくれよ」と思う。そして、また眠りにつく。

  これは想像上の話だけではない。このような生活を送る高齢者は、実際に存在する。
  たとえば、夏場の署いなか、電気代を気にして、エアコンもつけずに室内で熱中症を起
 こしてしまう人。頼れる家族や友人もおらず、日中は何もせず、年中ひとりでテレビを見
 ている人,インスタントラーメンや卵かけご飯のような粗末な食事しかロにできなかった
 り、3食まともに取れない人。築年数40年のボロボロの家に住みながら、住宅の補修がで
 きずに、すきま風や害虫、健康被害に苦しんでいる人。持病があっても、医療費が払えな
 いため、痛みに苦しみながら自宅療養をしている人。孤独をまぎらわすため、少額のお金
 を持って、一日、競艇場や競輪場に居続ける人。家賃が払えず、近所の公園で生活せざる
 を得ない人。コンピニで弁当を3個盗み、「刑務所へ行かせてほしい一と空腹に苦しみ泣
 きながら懇願する人………

  わたしは現場の実状を知るまで、高齢期というものは、これまでの数々の努力が報われ
 る時明だと考えていた,家族や友人など多くの関係性に恵まれ、余生を旅行や趣味に費や
 し、豊かで温かく、人生の終結に向かっていく……。
  しかし、このイメージと現実には、相当に大きなギャップがあると言わざるを得ない。
  だからこそ、この下流老人の問題をできる限り多くの人に知ってもらいたい,この問題
 を放置すれば、社会が持続可能ではなくなってしまう。それほど重大な「社会問題」だと
 確信しているのだ。

  では、下流老人とは、いったい何か?
  わたしは下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者
 と定義している。 要するに、国が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送ること
 が困難な高齢者である。
  では具体的に、どのような生活レベルの人を下流老人と呼ぶのか よりイメージしやす
 いよう、まずはその指標ともなるべき実像を捉えていこう。


 下流老人の具体的な指標3つの「ない」

  多くの生活相談を受けるなかで見えてくるのは、下流老人には以下の3つが「ない」と
 いうことだ。

 
 ①収入が著しく少「ない」

  まず、ド流老人の特徴は、世帯の収入が著しく低く、その収入では普通の暮らしが営め
 ないことだ。その生活水準は、生活保護レベルか、それより低い状況にある。
  ここでいう「生活保護レベル」とは、「生活扶助費」と「住宅扶助費」をへ合わせた金
 額を指す。生活保護費は、自治体や世帯員などの状況や程度によっても支給額が異なる。
 たとえば、生活扶助費と住宅扶助費の2つの合計額は、首都圏に住む一人暮らしの高齢者
 の場合、月額18万円くらいだ。年額にすると150万円前後。2人暮らしや3人暮らし
 だとさらに増額される。

  加えて生活保護では、医療や介護などの必要なサービスも、医療扶助費や介護扶助費と
 して別に現物支給される,生活に必要な最低限度のサービスが、すべて国から現物で支給
 されるうえ、所得税や住民税などの税金の支払いも減免される。そのため、それらの現物
 給付や控除などを実際の収人として換算すると、額面よりも支給額は高くなる。

  以上が生活保護の人伜だが、この生活保護基準は「ナショナルミニマム]とも言える。
 ナショナルミニマムとは、一国が定める国民の健康で文化的な最低限度の暮らしに必要な
 費用や生活水準を定めたもの」である.。憲法にも定められている、国民の生活の″"最
  低ラインを規定する重要な指標であると言えるだろう。

  要するに、年金などを含めた収入がこのラインと同程度であれば、生活保護で受けられ
 る収入となんら変わらない。つまり。保護を必要とするレベル’なのだ。むしろ年金など
 の収入が、額面上、生活保護と同レベルなら、実際の生活はそれ以下と言えるだろう。収
 入が著しく低いことは、下流化する最大のリスク要因となる。


  ここで言う収入が著しく低い状態というのは、「相対的貧困率」がひとつの目安となる。
 一般に「相対的貧困」とは、対象者が属する共同体(国や地域)の大多数に比べて、貧し
 い状態にあることを指し、「相対的貧困率」とは、統計上の中央値の半分に満たない所得
 しか得られない人の割合をいう。
  経済協力開発機構(OECD)の発表によると、日本は全世帯のうち、約16・1%(
 2012年)が相対的貧困とされている。
  また、2013年の国民生活基礎調査では、一人暮らしの場合、12年の等価可処分所
 得の中央値(244万円)の半分(122万円)未満が、貧困状態ということになる。2
 人世帯では約170万円、3人世帯では約210万円、4人世帯では約245万円に相当
 する。その基準以下の収入しかない場合、日本では「貧困」に分類される。下流老人の所
 得も、織ねこの辺りが目安となる。

  このレベルになると「普通の家庭にあるべきものがない」ケースが増えてくる。前述の
 ように、健康的な食嘔がとれない、十分な医療や介護を受けられないだけにとどまらず、
 洗濯機やエアコンが壊れているとか、壁に穴が空いたままになっている、月に一度の外食
 もできないなど、生活に必要な物やサービスを享受できなくなる。要するに、人間らしい
 暮らし(健康で文化的な生活)の水準を下回るレベルでの生き方を強いられるようになる
 のだ。

  注目したいのは、高齢者世帯の相対的貧困率は、一般世帯よりも高いことだ。内閣府の
 「平成22年版男女共同参画自書」によれば、65歳以上の相対的貧困率は22・o%である。
  さらに、高齢男性のみの世帯では38・3%、高齢女性のみの世帯では52・3%にも
 およぶ。つまり、単身高齢者の相対的貧困率は極めて高く、高齢者の単身女性に至っては
 半分以上が貧困下で暮らしている状況なのだ。
 このように、広く知られている相対的貧困率の指標を用いてみても、一般獣帯よりも高齢
 者世帯の方が貧困状態にある人々が多いと言える。一般に思われがちな「高齢者はみな金
 持ち」というイメージは、明らかに誤りだと.一昌えるだろう。

  ②十分な貯蓄が「ない」

  二つ目に下流老人は貯蓄が少ないか、あるいはまったくない。
 ①のように、収入が少ないなら、生活費などはこれまでの貯蓄に頼らざるを得ない,
 わたしたちも支援を行ううえで、まず、相談に来られる方々の貯蓄額を聞くようにしてい
 るが、「すでに貯金を使い果たしてしまった」「あと50万円程度しかない」など、切迫し
 た状況であることがほとんどだ。

  このように十分な貯蓄がない状態では、健康で文化的な生活を維持できない恐れが高い
 ばかりか、突然の事故や病気、介護などの生活上のトラブルに襲われたときに、たちどこ
 ろに生活が破綻してしまう。そのような予想外の支出は、高齢明にはよくあることだ。
  たとえば、脳梗塞のような大きな病気をわずらい、自宅を離れ、有料老人ホームに人居
 しなければならなくなったとしたら、その際の入居金や必要経費を払えるだろうか。ある
 いはそのような病気がなくとも、旅行や趣味を謳歌して、文化的に楽しく暮らしたいなら、
 相応の蓄えが必要となろう。思い描いた理想の老後、もしくは「普通の余生」を過ごした
 ければ、決して少なくない額の貯蓄が必須な社会にわたしたちは生きているのだ。

  では現実的に、老後の生活にはどれくらいのお金が必要になるのだろうか。
  平成26年総務省「家計調査報告」によれば、高齢期の2人暮らしの場合の1か月の生活
 費平均は、社会保険料などをすべて込みで約27万円。
  つまり65歳になった時点で、仮に年金やその他の収入が月約21万円あったとしても、
 貯蓄額が300万円では約4年で底をつくことになる(不足分6万円切り崩し×50か月)。
 仮に1000万円あっても、14年弱しかもたず、最終的に貧困に陥る可能性があるのだ。


さて、生活実態の報告が次回もつづくことになるが、新幹線焼身自殺事件が起きた同日、厚生
労働省から昨年度の生活実態調査結果――国民生活:「苦しい」過去最多62.4%――を報
告しているがこれは偶然としても、何かしら因縁めいたものを感じたが、この現状を抜本的に
変えることができるのが心配の種である(下図、ダブルクリック)。





                                                                      この項つづく

 

   ● 今夜の一品

 Airbus’s First Electric Plane Crosses English Channel

いやはや、電気飛行機時代の開幕ですね。トヨタも参入するのかな?

  

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超高齢社会論

2015年07月10日 | 時事書評

 

 

 ギリシャの頭に銃を突きつけ、自ら引き金を引けと要求している。

                                                        トマ・ピケティ
 

 




【再エネ百パーセント時代: フェイスブックが新データセンタ全電力風力発電】

米国フェイスブック(Facebook)は、米国テキサス州に同社5つ目のデータセンターを建設するす
るが。同データセンターは使用電力の百パーセント風力発電で賄うとのこと。フェイスブックでは
、2014年に稼働したアイオワ州の「Altoona Data Center」で初めて、地域内の風力発電所からデー
タセンターで使用する電力の全てを調達し、再生可能エネルギーを百パーセント利用したデータセ
ンタを建設している(関連記事)。今回新たに建設するフォートワースのデータセンタも、Citig-
roup Energy、Alterra Power、Starwood Energy Groupなどが運営する2百メガワットの風力発電所
から電力を調達する計画。同風力発電から供給を受ける電力網は2016年に稼働開始予定だ。


 



●  高出力・軽量の「HIT」(パナソニック社製)メガソーラーが採用!

パナソニックは北海道厚真町で7日稼働したメガソーラーに太陽光パネル「HIT」を納入した。
同社は高性能
だが単価の高いHITについて住宅中心に事業展開を進め、低コストなパネルが主流
のメガソーラー向けは
積極的に取り組んでいなかった。だがメガソーラーを建設する立地の狭小化
などで、発電能力の高い太陽
光発電パネルの需要が生まれつつある。HITにも出番が回ってきた。
今回、HITを納入したのは三井物産
プラントシステムが運営する「北道海厚真ソーラー2」。6
240枚のパネルを設置し、出力は1810キロワッ
ト。年187万キロワット時の発電量を見込
む。HIT太陽電池モジュールは、単結晶シリコン基板に薄膜アモルファスシリコンを積層した同社
独自のハイブリッド構造により、高い発電量を実現。同じ発電量を得るにあたり、少ない枚数での
設置が可能。また、温度特性に優れ、夏場の高温時にも出力が低下しにくい。

-----------------------------------------------------------------------------------------
■製品名 : 産業用太陽電池モジュール「HIT」 大型タイプ290A(品番: VBHN290SJ27)
■モジュール変換効率(※2): 18.8%
■公称最大出力(※3) : 290W
■納入パネル枚数 : 6,240枚

  1. ※1:2015年7月10日現在
  2. ※2:太陽電池モジュールの変換効率(%)は、の計算式を用いて
    算出している。

    変換効率とは、太陽光エネルギーから電気エネルギーに変換したときの割合を表す。
  3. ※3:公称最大出力の数値は、JIS C8918で規定するAM1.5、放射照度1,000W/m²、モジュール
    温度25℃での値。

 2013.07.23

  

【超高齢社会論 Ⅰ: 下流老人とはなにか】


秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたらす格差拡
大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう下流老人
とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、日
本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在
が、日本に与えるインパクトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で、
焼身自殺した事件――71歳の林
崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02)。

『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円(生
活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃上限】)である。
資産
の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれば、年金支給額だけでは
暮らしが成り立たないことが明白だといえる。
要するに、生活保護を福祉課で申請すれば、支給決
定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額2万円程度、生活費
が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうしたらいいか途方
に暮れる男性の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧
困問題ー再発防止策は「貧困対策」ではないか!?」
 2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を
読み、その感想を掲載するつもりでいたが、今夜から連載していく。まずは、巻頭の「はじめに」
から入る。

 目次

 はじめに
 第1章 下流老人とは何か
 第2章 下流老人の現実
 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
 第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
 第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
 第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
 
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
 おわりに
 

  本書を手にとっていただいた皆さんに知ってほしいことがある。
 日本に「下流老人]が大量に生まれているということだ。この下流老人の存在が日本社会に与
 えるインパクトは、計り知れない。
  下流老人とは文字通り、普通に暮らすことができない"下流"の生活を強いられている老人を
 意味する造語だ。
  なぜこの言葉をつくったのかといえば、現在の高齢者だけでなく、近く老後を迎える人々の
 生活にも貧困の足音が忍び寄っており、「一億総老後崩壊」ともいえる状況を生み出す危険性
 が今の日本にあるためだ。
  なお、下流老人という言葉に高齢者をバカにしたり、見下したりする意図はなく、日本社会
 の実状を伝える言葉として、創造したものだとご理解いただきたい。この下流老人という言葉
 を用いることで、高齢者の逼迫した生活とその裏側に潜む問題をあらわにしていくことが目的
 である。

  2014.09.26

  本書に先駆けて、2014年にNHKスペシャルで「老後破産」というタイトルの番組が放
 送された。番組では、生活に困窮する高齢者の実態の一部が明らかにされ反響も大きかったよ
 うだが、そこに至るまでの社会背景や雇用、福祉の問題などについてまでは踏み込まれなかっ
 た。
  視聴者は問題の所在の一部は理解できたが、全体像を把握することはできなかっただろう。
  それに続くかたちで、高齢者の貧困の実態について、新聞や週刊誌も相次いで報道している。
 しかし残念ながら、全体を網羅したわかりやすい文献はいまだない。現象の一部だけを切り取
 った報道も多く、だからこそ余計に老後に対する不安ばかりが広がっているのが現状だ。

  各社が報じている以上に、日本の高齢者の格差と貧困は極めて深刻であり、今後も一層広が
 っていくことが容易に予想できる。これは安易な脅しや警告というレベルのものではない。実
 際にすでにはじまっており、そしてこれから誰にでも起こり得る身近な出来事、それが「高齢
 者の貧困=下流化」だ。

  平均的な給与所得があるサラリーマンや、いわゆるホワイトカラー労働者ももはや例外では
 ない。詳しくは本文にゆずるが、現役時の平均年収が400万円前後つまりごく一般的な収
 入を得ていても、高齢期に相当な下流リスクが生じることをお伝えしておきたい
  普通に暮らしてきた人々が、老後を迎えて、普通の生活が送れなくなってしまうような事態、
 すなわち下流に転落してしまうことがはっきりと想定されている。
  多くの人々は老後もこれまでと同様に安心して暮らしたいと考えているだろう。しかし、そ
 うならない可能性が極めて高いのだ。

  では、下流老人とは具体的に誰のことで、どのような状態を指すのか。
  詳細は後述するが、本書では下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れ
 がある高齢者」と定義する。細かな内容や類型については、この定義を基礎におきながら読ん
 でいただきたい。
  下流老人は、いまや至るところに存在する。日に一度しか食事をとれず、スーパーで見切り
 品の惣菜だけを持ってレジに並ぶ老人。生活の苦しさから万引きを犯し、店員や警察官に叱責
 される老人。医療費が払えないため、病気を治療できずに自宅で市販薬を飲んで痛みをごまか
 す老人。そして、誰にも看取られることなく、独り静かに死を迎える老人………

  これらの高齢者の姿は、下流老人のほんの一端である。そして、その実態や背景は、驚くほ
 ど多くの人々に知られていない。あるいは恐ろしすぎて無意識のうちに目を背けているのかも
 しれない。
  わたしは埼玉県を中心に、12年間、下流老人を含めた生活困窮者支援を行うNPO法人の活
 動に携わってきた。そしてその過程で、多くの生活困窮者の惨状を目の当たりにしてきた。こ
 れらの実体験を踏まえ、今回は多くの方たちが不安に思っている「老後の貧困」の深層に迫っ
 ていく。実態を理解し、対策の一部でも知れば、自らの老後に対する備えもできるはずである。
  そこで本書では、現在推定600万~700万人はいるであろう下流各人の実状と、その社
 会的な背景、未来予想図とともに、貧困に対する。
  自己防衛策なども提示していく。自分の老後やこれからの生活における対策としてもぜひ活
 用し、下流に陥ったらどうするか、またそうなる前にできることは何か、と想像しながら、現
 実から目をそらさずに読んでいただきたい。

  本書の構成は、まず第1章で下流老人とは何か、懸念される問題は何かについて、さまざま
 な統計データや資料、相談者の事例などから、問題提起を行う。

  第2章では、下流老人の日常生活がどのようなものか、4人の実例を示すとともに、下流老
 人に至るまでの生活や背景に迫りたい。とくに、現役時代に一般レベルの暮らしをしていた人
 が、なぜ下流に転落するのか、実際の声に耳を傾ける。

  第3章では、多くの相談事例をもとにして、下流老人に至る代表的なバターンを示す。下流
 に至る人々には、多くの共通点がある。それらのリスク要因をパターン化して分析することで、
 防止策や解決策を考える下がかりを探したい。

  弟4章では、下流老人を生み出し、さらに放置してしまっているわたしたちの意識や感情、
 内面に焦点を当てていきたい。下流老人の問題を軽視するのも重視するのもわたしたちの意識
 次第だ。なぜこれまでこの問題がわたしたちの意識や世論に、主要な解決すべき課題として上
 がりにくかったのか、その原因を検討していく。

  第5章では、下流老人を生み出す社会システムや社会福祉制度の機能不全を中心に考察する。
 下流老人を放置する制度上の問題点がどこにあり、何を変えればよいのか、第7章の解決策の
 提示につながるような内容としたい,

  第6章では、下流老人にならないために、わたしたちが個人レベルでできることや考えてお
 くこと、備えておくことを考えたい。多くの人が下流老人に陥る高リスク社会において、わた
 したちはどのように貧困に対抗すべきか、具体的な方法を提示していく。

  最後の第7章では、これまでに受けた相談や、支援を通じて得た経験から、制度や政策に対
 する個人的な提言を行う。あくまで本章は個人的な見解として提示するものだが、これをたた
 き台にして、引き続き読者による議論の発展を期待したい。
  本書を通じて、下流老人の全体像や高齢者の貧困問題をより明らかにし、いずれは高齢者に
 なるすべての人々、多くの読者とともに、解決策を模索していきたい。どうか最後までお付き
 合いいただければ幸いである。


※ ジニ係数(=収入不平等指数)にみる格差は、世界141ヵ国中、日本はジニ係数37.9%
  で73位(因みに、1位はレントの63.2%、最下位はスェーデンの23%)GDP世界3
  位の日本が、格差では68位と色あせてしまう。  

 

 さて、次回は第1章に入る。

※ 高齢化社会論批判」 田中史郎

                                    この項つづく



※ アルミ電解コンデンサ(右)と同等の性能をもちなが
  ら体積が1/1000のカーボンナノチューブ(
CNT)集積化
   マイクロキャパシタ(左)



● カーボンナノチューブ集積化マイクロキャパシタ登場

-アルミ電解コンデンサーと同等の性能で体積を1/1000に-

産総研は、七夕の日、スーパーグロース法による単層カー分なのチューブ(CNT)をキャパシターの
電極に用いることで、従来の材料をしのぐ高エネルギー密度・高パワー密度を実現したと発表。

の優れたキャパシター特性を示すスーパーグロース単層CNTを電極材料とし、リソグラフィーにより
CNT膜をキャパシター電極に微細加工する技術を開発することで、小型で軽量かつ高性能な、今回の
CNT集積化マイクロキャパシターの開発に至ったという。

高電圧・安定動作を実証やスーパーグロース法、CNT高密度化法と、半導体のリソグラフィー技術を
融合させ、カーボンナノチューブ(CNT)デバイスの集積化の研究開発に取り組んできた結果、3次
元で複数のCNTが高密度に配向したカーボンナノチューブ(CNT)カンチレバーや3次元のCNT配線な
どカーボンナノチューブ(CNT)デバイスの集積化を可能にするカーボンナノチューブ(CNT)微細
加工技術が開発されてきた。今後は、電子機器関連の産業界、特にコンデンサー、キャパシター、
電池、半導体メーカーに対してニーズ調査を行うとともに、この技術に興味を持った企業と連携し
た開発を行う。さらに、CNTマイクロキャパシターは集積度・電極デザインの設計により作動電圧、
容量、出力、充放電速度を幅広く制御できることを明らかにしていくとともに、半導体バックエン
ドなどでの量産化技術の開発に取り組み、用途の開拓を進めるとしている。

これは、実に面白い。

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナノシルバーとカレーメシ

2015年07月09日 | 時事書評

 

 

   複雑な歌声を持つ鳥の多くは、知性も高い。 / ダン・メニル



 

  2015.07.07

● ギリシャ危機の行方

「21世紀の資本」が話題となったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏ら5人が、ドイツのメ
ルケル首相に宛てた書簡を公開。この中でピケティ氏らは、ギリシャの財政緊縮策は失敗だった
と指摘した上で、さらなる緊縮策を求めるメルケル首相に対し、「ギリシャの頭に銃を突きつけ、
自ら引き金を引けと要求している」と、厳しく批判。さらに、「銃に込められた弾は、ユーロ圏
の民主主義や繁栄も滅ぼしてしまう」と警告、ギリシャへの頑なな姿勢を改めるよう呼びかけた
という(TBS News 2015.07.08 ).それでは、対案はどのようなものがあるのか? 最近、ネット
で見うけられる言葉が『
ロンドン債務協定』。つまり、ギリシャの債務を棒引きするかわりに、、
期限付きで延長し、棒引き後の債務を返済するというもの。ギリシャには2次産業や2.5産業
が未発達なため、その産業育成手段と資本の移転方法がキーワードとなる。そのようにわたし(
たち)は見ているが、いまのところそれを阻害するのは英米流金融資本主義の精神だろうから、
賢人の精神がためされている。

  2015.07.06 MONEY BOX

 
● 上海(中国)株式市場不安の行方

中国バブル崩壊で、株価が急降下し1万9千円割れ懸念されている。また、世界の鉱業株の時価総額の
うち1430億ドル(約17兆3000億円)相当が消え去っている。世界最大の資源消費国である中国の
需要後退問題に投資家は直面している。
銅やニッケル、アルミニウムなどの工業用金属価格が、
6年ぶりの安値に下落、79銘柄で構成するブルームバーグ世界鉱業株指数 は過去10営業日に
17%低下。新規供給が市場に流入する中、鉄鉱石価格は8日、少なくとも2009年以来の安値を
付ける。下表のように、世界の株式の時価総額に占める上海・深圳・香港で11・7%、つまり、
リーマンショックでの株価下洛は-46%であったから、中国株の時価がゼロとなっても、対リ
ーマンショック比で-14・8%の下洛で、日本の株価2万円とすれば、パニックの連鎖が起き
なければ1万7千円程度となり心配する程ではない。ある意味、中国市場は、赤色官制統制でバ
ブっているため、介入度合いに比例し今後も起こりうると考えれば、、旺盛な消費性向が、収縮
しない限りその程度のリストと考えればいいのではないかと考える。

 

     

 【デジタルアース工学立国論 15: 地震・噴火予知】     

 デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。


   目 次       

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  
 

       

  第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる

   豪雪、潮汐、火山、ダム、鉱山採掘……地殻変動の原因はほかにもある

  地震予測の活動をやっていると言うと、よく「的中率はどのくらい
か一と聞かれる。お
 役所には占い扱いされたが、私たちは、予測が当た
った、外れたということに一喜一憂は
 しない,的中率にも関心はない。

  電子基準点に異常値が出たら、地震の前兆を含む何らかの異変があると見て、それを分
 析して発表しているのである。


  確かに、2014(平成26)年に起こった大きな地震のほとんどの
予測に成功してい
 るが、予測が外れることもある。異常を察知してメル
マガで配信し、地震は起きたが、震
 度5以上にはならず、震度3や4だ
ったこともある。飛騨地方、甲信越にずっと警戒を呼
 びかけながらも、
残念ながら御嶽山噴火の予測はできなかった。
 
  しかし、旨い訳ではないが、予測が外れることにも、理由がある。電
子基準点が異常値
 を見せる地殻の変動は、地震の前兆だけではないから
である。
  火山活動や満潮・干潮の潮汐、豪雨、豪雪、鉱山の採掘、ダム、トンネルエ事、地下水
 のくみ上げなどの影響を受ける場合もある。最近は石
油燃料に代わる資源として、海外で
 はシェールガスの採掘が行われてい
るが、これはかなり危険だと私は考えている。地表を
 かなり乱暴にいじ
るわけで、数値を変動させるだけでなく、地震を起こすトリガーになり
 かねない。

  穴を掘って地中深くに廃棄物を捨てる、ダムを建設して貯水する、こ
うした人工的な作
 業が地震を引き起こすこともあるのだ。中国の四川省
の大地震も、中国のある学者は三峡
 ダムの影響だと言い切っているほど
だ。実際いま、中国が世界一のダムだと自負する三峡
 ダム近くの斜面が
崩落し、非常に危険な状態になっている,地球の地盤というのは、それ
 
ほど頑丈なものではないのだ。むしろ軟らかく、敏感で、いろいろなことに影響を受けや
 すいのである,

  千年も地震のなかった神戸にあれほどの地震が起きた,その原因が、六甲山を掘り崩し
 て空港にしたこととまったく関係がないかというと、そうは言い切れない。江戸時代は江
 戸で異常に地震が多発していたが、東京湾の埋め立てが始まったのは江戸時代からである。
 そこかしこでやっていた埋め立て工事が地震のトリガーになったと考えても不思議ではな
 

※ 米国ではシェールガス採掘に比例しマグニチード3以上の地震が逓増していることは、こ
  のブログでも紹介しているが、あながち否定できない事例として考察する必要がありそう
  だ。



  そんなこと証拠がないじやないかと言われればその通りで、あくまで推測にすぎない。
 しかし、大規模土木工事をはじめ、現代人のやっていることは非自然的なことばかりで、
 その挙句に、いま、異常気候変動も起きているのだ。その意味では、人間の営みはとてつ
 もない影響を地球に及ぼしていると考えるほうが自然だろう,


  私たちは予測が外れることを恐れない――だからあらゆる可能性を
  排除しない


  そう考えると、地殻の変動をもたらすものは無数にある,しかし、異常値が出ているの
 に、地震以外の影響だろうと思い込んで発表せずに大地震で多くの犠牲が出てしまうこと
 だけは絶対に避けなければならない。だからこそ、私たちは予測が外れることを恐れない
 し、あらゆる可能性を排除しない。その姿勢だけは一貫させているつもりだ。

  豪雨・豪雪、火山、ダム、資源採掘・・・・・・数値を変動させるあらゆる影響を排除せず、
 その中から大地震の前兆を見極めることが最も重要だと考えている。地震の情報だけでな
 く、そうした異常値を出すトリガーになりかねない事象、事柄についても、メルマガでは
 できるだけ丁寧に、説明していきたいと思っている。
  メルマガに寄せられた読者の声にもあったが、本当に地球は生きているのである。季節
 変動も大きい。冬は縮まり、夏は膨らむ。まさに地球は呼吸をしているのだ。

  その呼吸の様子が、先端の測量技術で、いまや手に取るように分かるようになった。そ
 の表情から、いかに内部を読み解くか。今後さらに、地震予測の精度や範囲を広げていき
 たいと考えている。

    おわりに

  初版が出版され、電子版のための修正をしているいま、一人感慨にふ
けっている。
  荒木春睨さんに誘われて潮位衛星を使った地震予測の研究を始めてから、13年がたつ。
 最防の10年は前向きの予測ではなく、大きな地震
が起きるたびに、どのような前兆があ
 ったかを後追いでひたすら検証し
続けた。そして、顕著な前兆が見られた地震について荒
 木さんと連名で
論文を発表したが、誰からも注目されることはなかった。海外でも英語
 論文を発表したが、面白いと言われたことはあるが注目を浴びること
はなかった,

  本文で述べたように、橘田寿宏さん、谷川俊彦さんとの出会いがあって、2022(平
 成25)年1月に地震科学探査機構(JESEA)を
設立した。そして、2月から個入会
 員向けにメルマガを配信する事業を
始めた。9月からは、自分流の本格的な全国版地震予
 測を始めることが
できた。さまざまな新聞、雑誌がJESEAの地震予測について記事を
 掲載してくれた。そのたび、私は手持ちのデータをできる限り提供した。テレピ局も何度
 か取り上げてくれた,メデイアのおかげでメルマガ
の会員は増え、会社を維持できるまで
 になった。そして集英社が本書を
出版してくれた。

  だが、いまでも、測量工学が専門で地震の「門外漢」である私が、地震予測に取り組ん
 でいることにはよほどの違和感があるらしい。「異
端」「孤高]の東京大学名誉教授、と
 いわれることもしばしばある。

  私は2000(平成12)年に定年を迎えるまでの34年問、東京大学生産技術研究所
 で写真測量及びリモートセンシングの研究に没頭して
いた。その研究生活の中で、痛感し
 たことがある。それは、社会が解決
を要請している重大な課題に関する研究には、すべて
 の研究者が取り組
むべきであり.学問に境界線はない――ということである。

  地震予測は、まさに「社会が解決を要請している」研究テーマであ
り、あらゆる研究者
 が取り組むべき課題であろう。とりわけ日本は地震
大国であり、一人でも多くの人命を救
 うために地震予測に取り組むこと
は、日本人研究者の使命でもあると思う。
  衛星潮位技術に基づいた「地震の前に地球が微妙に動く様を、潮位衛星により測量する
 ことで地震予測を行う」という発想は"コロンブスの卵"であった。地表に設置されている
 電子基準点から、地下数十キロで起きる地震を予測するのだから、常識の壁を打ち眩るア
 イデアである。

  だがそれゆえに、プレート、活断層、トラフなどの研究をしてきた専門家にとっては受
 け入れがたい発想であるに違いない。
  私は、地震学や地質学の重要性を否定するものではない。それらは地震のメカニズムを
 解明するための、人切な学問である。しかし、だからといって、地表の電子基準点の変動
 と地震発生という事象のあいだの相関分析から類推される地震予測の方法を否定する必要
 はないであろう。

  私は、従来得られてきた地震に関する知見と、新しい地震予測のアプローチを融合した
 いのだ。
  最近はメディアだけでなく、さまざまな人たちの前で講演をして情報提供をしている,
 多くは「動く地球を測量する~地震予測の新しいアプローチ」という演題で、新しい地震
 予測の方法を理解してもらうと同時に、実際の地震についての検証を報告してきた。大人
 向けの講演会だけでなく、神奈川県大井町にある小学校の生徒と保護者、福島県の理科研
 究発表会に参加した高校生など若い匪代を相手に話したこともあった。

  どの会場でも、活発な質問や意見が飛び交った。目を暉かせて「将来地震予測をしたい」
 と熱望する生徒もいた。いかに地震予測が国民的関心嘔であるかが分かる。
  メルマガの会員からも多くの質問を頂戴するが、すべて私がメールで回答している。素
 朴な疑問もあれば専門的な質問もある。また、お叱りや批判もあるが、素直に受け入れて
 いる。現時点での研究の限界や不明点は、本書でも正直に述べてきたつもりだ。地震予測
 をする場合、すべての言葉に根拠になるバックデータを含有していることが最も大切なこ
 とだと思う。したがって、予測が的中しなかった場合でも、一切、言い訳はしない。メデ
 イアが「予測が的中した」と報道してくれても、地震予測はまだ研究の発展途上にあるこ
 とを忘れてはいけない。信頼性と確実性は、まだ達成できていないのである。

  なお、本書の制作時点と刊行される時点では、多少の時差が生じるであろう,地震は偶
 発性をもって刻々と発生するから、それによって新しい知見が得られていく。完全に「最
 新版」といえる検証成果を本書に盛り込むことはできない。しかし、地震予測に関する最
 も基本的な方法と過去の大地震の検証例は列挙している。また、本書で初発表となる検証
 成果を記載できたことは、私にとっても貴重な研究整理の機会となった。
  最後に、編集を担当してくれた集英社新書編集部の千葉直樹氏、構成を担当してくれた
 宮内千和子氏の多大な手助けに対して感謝の意を表したい。内容をチェックしてくれた、
 JESEAの橘田社長と、家内の村井妙子にも感謝し村井俊治たい。

  2015年3月    
                                    村井俊治


今回でこの本を読了する。思い起こせば、2015年の阪神大震災の経験の後、同僚のS氏に
地震システムの開発話を半ば真剣に、半ば冗談に持ちかけて、20年の月日が流れたが、その
成果報告を受けとったことは一度もなかった。6月17日の同僚のY氏通夜のオフ会?とき、
村井俊治氏の活動を紹介し、関連情報をアップしておくから勉強しておいてね、と。いって分
かれたが、次回のオフ会?には何らかのアクションがでてくるかも知れない。

                                     この項了



 

● ナノシルバーネオって何だ

二日ほど前の払暁ころ目を覚ましたため、テレビを点つ何となしテレビショッピングを見ていたら、表記の
商品が紹介されていたので、どんなものかと、いつものように過剰適応してしまった。その結果、次のよう
なことであることがわかったという、どうでもいいのだが、ブログ掲載してしまった。銀だけではなくチタンな
どの化合物でものそれは可能だとわかった。なるほど、面白いものだが、安全性には要注意である。

銀は、細菌、ウイルス、酵母菌、真菌および原虫の細胞において通常利用できる様々な求核基
不可逆的に結合する銀イオンの能力からその広範な抗菌活性をもつ。細胞成分に対する結合は、
通常の再生および成長サイクルを阻害し、細胞の死をもたらし、銀とその化合物は、その強力な
活性を利用し、過去数十年にわたり、包帯、ヒドロゲル、親水コロイド、クリーム、ゲル、ロー
ション、カテーテル、縫合糸や絆創膏などの様々な創傷ケア製品に採用されてきた。また、銀は
金属形態自体では効果を発揮できず、その化合物やは塩であり、これらは、水性媒体と接触する
と、解離し、抗菌作用に利用可能な銀イオンを生成。銀化合物の大多数は、感光性や感熱性でも
のため、安定性に難点がある。さらに、、銀金属は、真空スパッタ法や電気メッキ法により抗菌
カテーテルや創傷包帯上に薄膜として蒸着されて、抗菌表面を形成するが、(1)長期持続性―
銀量を増やすと細胞毒性を高めるため安易に採用できない――と(2)高コストという点で問題
が残る。この課題をを解決するために、特許5566976「抗菌銀組成物」で、織物創傷材料、カテー
テル患者治療用デバイス、コラーゲンマトリックスのデバイス用に ナノサイズに微塵化させ装
量を変えずに表面積を大きくさせ、銀金属担持表面から銀イオン放出を向上させ、安定化剤、
数の銀化合物、還元剤、溶媒で構成された、銀ナノ粒子調製のための組成物が提案されている。

また、特表2010-525091「抗微生物プラスチック及びコーティング」では、銀とゼオライトまたはガ
ラスに担持された銀を組み込むこみ、紫外線硬化樹脂などのプラスチックでコーティングしている。さらに、
特許5538891「抗菌性ポリマー製品、その製造方法および使用方法」では 、銀以外の金属化合物
([Mq+]a[Xz-]b を含有した抗菌菌性ポリマーを用いた抗菌性コンタクトレンズの製造方法と使用方法
が提案されている。

  ● 今夜の一品


昨日の話。カレーメシを買ってきたと電子レンジ加熱したものをもってきて、二人で試食。味は
申し分ない。
しかし、ご飯は蒸らし方がわるいと芯が残る食感がマイナス点となる。価格も2百
円(税なし)とお手頃。これで、ポータブルマイクロウェーブと良質の水があれば、野外での活
動の食事がOKとなり、防災での非常食としては大変重宝で、美味しいものがいただける。

※ ポータブルマイクロウェーブは、非常用浄水器と同じく非常用発電機とセットで商品化し世
  界展開すれば、喜ばれるのではないだろう。また、日清食品などの日常食および非常食の開
  発とコラボなどが考えられる。


    ● 今夜の一曲

昴 麗君 Teresa Teng 星 (HK Live 1982)



   踏過荊輯苦中枚到安静, 踪漣荒郊我雙聊是泥寧。

   満天星光我不怕狂風, 満心是期望, 過黒暗是黎明。

   啊!星光燦爛, 伴我夜行, 給我光明。

   啊!星光引路, 風之語軽軽聴。

   帯著熱情, 我要我理想, 理想是和平。

   尋夢而去,槙怕走崎i嘔嶇險徑。 ・・・・・・  



疲れを癒す時、いつも傍にいるテレサ・テン。何度、君に慰められたことか?!
この曲を聴く時、あの西安、あの南京の風景が、そして、プラント建設した同士達を思い出す。

「さんざめく 名もなき星達よ せめて鮮やかに その身を終われよ ……」。「昴」に中国人
が親しみを
持ったきっかけは、80年代にテレサテンが歌った同曲の中国語バージョン。谷村新
司の歌であり、理想主義に憧れる時代だった。このころ(1982年)心身ともぼろぼろで北京
のホテルで一人で、ウイスキーを注ぎ一夜を明かしたあの頃が、この曲とクロスオーバーする。                                

 

  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地方創生法改正案

2015年07月08日 | 時事書評

 

 

   詰まりは展開の第一歩である。  /   吉川 英治

 

 

 

【日本の政治史論 40: 政体と中枢】    

  
出典:「週刊東洋経済」2015年7月11日号

● 事例研究:「新国立」問題

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場は、日本スポーツ振興セ
ンター(JSC)の有識者会議が計画を承認し、建設に向けて一気に動き出す。2520億円と
大幅に膨らんだ総工費について、事前に見通せなかった建設資材や人件費の高騰のほか、新国立
競技場ならではの「特殊性」があったと説明。ただ都の負担金を含め、膨大な総工費を賄えるか
どうかは不透明なままだと報じられている(読売新聞 2015.07.08)。

コンペが行われた際の建設予算は1300億円。ところが、長い導入路を持つ巨大なザハ氏のデザイ
ンの建設費を、日本スポーツ振興センター(JSC)が試算してみると、3000億円まで膨らんだ。
そこで、ザハ氏のコンセプトを残し規模を縮小。昨年5月には1,625億円という見積もりが出たも
のの、東日本大震災復興などで土建業界の価格の高騰(=業界インフレ)を背景にゼネコンから
「その金額では工事を請け負えない」との意見が出され、最終的に、前回のリオデジャネイロオ
リンピックの5倍の金額
で建築契約が交わされる(上図参考)。リオの5百億円より2千億円高
い額は、年収350万円の所得として約5万7千人分の所得に匹敵する。50年の減価償却+保
全費として、約54億円/年、60年として約45億円/年(私算)となる。60年償却で、年
収換算すれば、1300人/年×6年の雇用に匹敵するが、年間45億円以上の事業収入があれ
ば問題ないが、見込めないなら、早々に売却あるいは解体してしまうのが得策である。逆に言え
ば、リオの規模にすれば9億円/年だから20億円/年程度の事業展開ができれば60年間利益
がでることになる(例:事業利益2億円/年×60年=120億円)。これは経済的側面での評
価だけである。それでは技術的な側面の問題はなにか?渋谷川の流れていた場所。「土壌が軟ら
かく、キールアーチの固定が困難」(建築コンサルタントの森山高至・談)で、
アーチの地下部
分を長くすれば都営地下鉄大江戸線にぶつかり、地下に長さ約3百メートルの鉄骨を埋めて、ア
ーチの両端を結ぶ必要があり、
このキールアーチを造るだけで、1千5百億円の費用がかかる。 

 
ここで、わたし(たち)は建設費の高額を問題にしているのではない。スポーツ振興を満たすた
めの「効率」
つまり、マクロ、ミクロとメゾの三重層を包括する費用効果を試算しておく必要が
あったと考え――政商(フィ
クサー・顔役)や利権者などの構造をできるだけ排除した上で――
それらを踏まえ建設すべきだと考えているわけで、合目的性にかなうなら3千億円でもかまわな
いとまで思っている。とはいえ、2千5百億円が動くとなれば、事業目的にそぐわない、30~
80億円のカネが関係者の懐に転がり込む。との邪推は否定できないよなぁ~と思う(蛇足)。




● 事例研究: 地方創生法改正案

地方創生に関する重要法案が、解散によって閉会した先の臨時国会で可決成立し、法律が施行さ
れたことによって、安倍政権が掲げる地方創生策が具体的に動き出すが、この関連法の特徴をこ
こで考えてみよう。

地方創生に関する法律は2つあり。(1)ひとつは「まち・ひと・しごと創生法」、(2)もう
ひとつは「地域再生法の一部を改正する法律」。前者は、地方創生の理念や全体的な戦略策定の
方法などについて定めたもので、後者は、地域の活性化に取り組む地方自治体を支援するための
ものとなる。



これに対し、むしろ、東京一極集中を促進せよとの反対(大前研一)がある一方で、それを捕捉
補完する
ように高齢者の介護施設を地方に移す提言が、政府の諮問機関からなされている。また、
ふるさと納税制度は税制をゆがめる(越大津市市長 2015.07.08 京都新聞)との指摘もなされて
いるが、前出の大前氏は、「国家が主導して再生した田舎はない」とした上で、「補助をするべ
きは、第2次産業。雇用創出しなければ意味がない」と主張している(「ニュースの視点」 KO
N534「地方創生・安倍首相~人口減少の過程で何があったのか?」2014.09.12)。わたし(たち
)は、またぞろ破綻した欧米流金融資本主義や縁故資本主義的政策に
辟易したはずの、またも失
敗するであろう「国家特区構想」がここでも提案されることを知る。

わたし(たち)の地方創生案はシンプルであることはこのブログでも掲載したように、(1)応
益税の消費税を地方自治体に大幅(上限百パーセント)移譲――中央政府は応能税の所得税、法
人税のみに縮小、(2)法人税を逆格差税率に改正することを提案している。(1)は、例えば
全国知事会の下に地方交付税にかわる「事業支援基金制度」を設立、国(財務省)・民間を含め
た第三者機関で申請審査し運営し、(2)の逆累進率は政府と地方とで原案作成し国会承認を経
て決定する――このようなものを構想している。

いずれにしても、「財源移譲が第一」が大前提である。

 

     

 【デジタルアース工学立国論 14: 地震・噴火予知】    

 デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

   目 次      

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  
 

       

 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる  

                         地球はグローバルに勣いている

 ・「隆起・沈降図」………1年または.2年前の高さからどの程度、隆起・沈降しているか
 を 分析.地城ごとに注意を促す,たとえばこんな具合だ(2014年10月号)。

  今回は北海道、東北を除き、全国的に沈降傾向です。

  淡路島周辺は要警戒

  兵庫県の淡路島にある西淡および淡路一宮は7月に急激な隆起をしていたのが今は急激な
  沈降を沈降しております。その差は西淡で5・
7センチ。淡路一宮で4・5センチです。
  一方、沈降をしていた神戸北は沈
降のピークから3・5センチも隆起しました.と要警戒
  レベルです。

  南西諸島は要警戒
  沖繩の公点は7月5目の週に一斉沈降を示してから全体的に沈降傾向です。引き続き要警
  戒です。

  東北・関東の太平洋岸は引き続き要注意
  太平洋岸は東日本大震災以来隆起傾向が続いていましたが、最近横
ばい状態です。しかし、
  まだ相当のエネルギーが貯まっていますの
で要注意です。

  四国、九州東岸および薦戸内は要注意

  全体的に沈降です。徳島県の木屋平は際立って沈降しており今回で-2・4センチになり
  ました。四国の高知県の伊野はこの1か月で1・
5センチ沈降しました。愛媛県の大洲も
  1・3センチ沈降しました。広島県
の御調(みつぎ)が際立って沈降を示しており、2年
  8か月前と比
較して、‐3・2センチになりました。要注意です。

  長崎県は要注意
  長崎2の電子社命点は2012年1月から-4・2センチと異常な沈降です。1点のみで
  すが、念のため要注意です。


  石川県、福井県などの日本海側は要注視

  大きく沈降しています。念のため要注視です。


 ・「日本列島累積変位マップ」……2014年3月から、新たに日本列
島累偵変位マップを
 3ヵ月に一度紹介し、長い期間にどのくらい異常や
歪みがたまっているかを、マップのゾー
 ンでそれぞれに解説(以下は2014
年9月24日号より。マップは図13)。

  根室地方ゾーン

  まとまって沈降を示しております。この地域は小地震が起きています。

  道南および青森県ゾーン

  まとまって隆起しています。すでに今年石狩南部を震源とする震度5弱の地震が発生して
  おります。

  東北・関東太平洋岸ゾーン
  この地域の太平洋岸は東日本大震災で大きく沈下した地盤が急激に隆起しています。震災
  以来地震常襲地帯になっております。震度5
弱の地震も発生しております。
  
  奥羽山脈・日本海側ゾーン

  太平洋岸とは対照的に沈降しております。地震発生の可能性はあると解釈しております。
  
  首都圏ゾーン

  3月の累積変位図では首都圏は赤い点(「変位レベル最大」の印)が多数付き、5月5日
  に東京都千代田区で震度5弱の地震がありま
した。今回赤は付いていませんが今後の動き
  を注視します。


  甲信越ゾーン

  新潟県、長野県、山梨県などを含むこの地域は隆起しております。
  小中の地震が多発しております。

  東海・伊豆半島・伊豆諸島ゾーy

  太平洋岸に沿って隆起と沈降が混在しています。御前崎周辺とハ丈島以南の伊豆諸島は沈
  降しております。


  北陸日本海側ゾーン

  富山県、石川県、福井県、京都府、滋賀県、岐阜県などは主として沈降傾向にあります。
  琵琶湖の東側が隆起しているのが気がかりで
す。

  四国・紀伊半島・九州太平洋岸ゾーン

  隆起と沈降が混在しています。四国と紀伊半島の岬部は沈降しております。宮崎県の日向
  灘沿岸も沈降しております。


  中国地方ゾーン

  日本海淵も瀬戸内も沈降傾向にあります。四国の動きと連動している可能性もあります。

  九州ゾーン

  九州全城が沈降傾向です。今後の監視を強化します。
  

  南西諸島ゾーン
  沖縄周辺は沈降傾向です。最近異常変動が繰り返されています。

  このほか、とくに要警戒の地域には、地震予測の具体的な情報をトップで扱い、注意を促
 すようにしている。データ的な情報だけでなく、皆
さんに少しでも地震予測の測量技術や、
 地震の起こる複雑なシステムを
理解してもらえるよう、さまざまな特集や地震に関するコラ
 ムを組んで
いる。見やすさ、情報のボリュームに関しては、これからもさらに改良を進めて
 いこうと思う。

  これほどの地震大国に住む皆さんに、少しでも地震に対する知識を蓄えてほしいからだ。 


                                      やる気を支える読者の声


  こうした地震予測の情報を発信していて、一番気になるのは読者の反応である。ときにご
 注意やご批判をいただくこともあるが、JESEA
に届く会員読者の声のほとんどが、私の日
 々の活力になっている。東日
本大震災以来、大きな地震が怖い、自分だけでなく家族や大切
 な大の命
に関わる災害だと強く認識する人々が増えたのか、非常に熱心に誌面を読んでくだ
 さっていると思う。


  利用者の声で一番多いのが、「毎週地震情報が届くので、心の準備が
できる」「科学的な
 データ、グラフなどの説明で、理由なき恐怖がなく
なって、かえって安心感が増したI「自
 分の住んでいる場所、働いてい
る場所の賢常変動を常に意識できて、役に立つ」というもの。
  こうした
声がすでに千通近く届いている。
  印象的なものをいくつか紹介させていただこう。

 「私の両親、親戚のほとんどは宮城県に住んでおり、石巻市で被災した
親戚家族も複数おり
 ます。毎週メルマガを見ることで、地震への恐れと
備えを忘れないようにしたいと思いつつ、
 半分は恐る恐るメールを開い
ています,私は千葉に住んでいますが、大学で勉強した地学が、
 ここに
きてこんなに役立つとは思っていませんでした。日本の国土はこれほどまでに変動し
 ているのですね」


 
「私は、神奈川県の西湘地区に住み、東京に通勤しています。湘南地方はまっ平らで、津波
 が押し寄せたときの被害は甚大です。迫りくる『その瞬間』に備えることで、何とか生き延
 び、また地域の被害を最小限にしたいと切に願っています」

 「毎週の地表変動を見ていると、地球が生きてます」いることを実感させられます。


 「福岡の警固断層地震(2005五年3月20日、玄界灘から博多湾まで分布する警固断層
 の横ずれにより発生したマグニチュード7・0の福岡県西方沖地震)を経験しました,今春
 娘が警固断層直上の中学校に通うことになり、地震の情報がとても欲しいと思っていた矢先
 に、メルマガると知らないとでは大違いです」

 「地震がないことを望むよりヽ地震があることを奮影に受け止め行動できるようになりたい
 と思うよう
になりました」

 「社内での防災意識向上と危険予測に使用する目的で登録しました,購読後のデータとして
 注意喚
起された地域の地震発生の予測の精度に驚いております。」

 「私は静岡県沼津市に生まれ育ち、小学校のころから東海地震、津波を意識しています。東
 日本大
震災の後、警戒警報を出すことによる社会的影響のリスクの大きさを考えれば、地震
 予知は不可能
だという報道も、納得せざるを得ないと思っていました。しかし、もし予兆が
 観測されているなら、後出
しではなく、先に観測情報が欲しいと思います。今回の村井教授
 の勇気ある行動に感謝します。子供たちには、『いつ地震
や津波に遭遇するか分からない。
 緊急時には、いかに自分の命を守るか、常に頭にお
いて。絶対津波で命を落とさないでね』
 と話しています」


 「3月14日の豊後水道あたりが震源地だった地震(伊予灘地震)では、事前に地震
予測の
 レポートを読んでいたおかげで、落ち着いて対処できました。中国地方は安全
だと周囲の人
 たちは思っているようですが、レポートで変動幅が大きいことを知りま
した。」

  地震がよくある地域、そうでない地域に住んでいる方からも、全国津々浦々から参考にな
 る意見、励まされる声がたくさん集まっている。「知ることは大きな安心」と聞くと、ここ
 まで、
手弁当で頑張ってきた苦労が一瞬で報われる気がする。測量工学を長年研究してきた
 ことから、「分かりやすく説明する」ことより、つい専門的なレクチャ
ーになってしまうこ
 とも多々あるのだが、皆さんの勉強意欲に、いつも驚かされている。
 
 JESEAでのメルマガ配信を始めてから、地震大国に住む日本人の意識が少しずつ変わ
 ってきているのを、日々実感している。いたずらに災害を恐れるのではなく
前向きに情報や
 知識を得て、自分も周りの人々の命も守るのだという心意気を感じ、
胸が熱くなる思いであ
 る。

                                   この項つづく


 

● 今夜のデザイン

 



子どもの頃、木に登って遊んでいたという記憶がよみがえる。しかし大人になった今、子どもの
ように身軽さがない分、木に登るというのは至難の業。これは、木に登るためのステップが設置
できる。



  

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ひこにゃん渡米。

2015年07月07日 | 時事書評

 

 
 

  一期一会  /   井伊直弼 『茶湯一会集』

 


● 次世代石炭火力発電の商用化前倒し?!

経済産業省は7月6日、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えた高効率の火力発電技術を実用化
するための工程表(ロードマップ)の原案を、産学官の協議会で示した。石炭のガス化技術と燃
料電池を組み合わせた「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」技術を2025年ごろに確
立することを目指す。

温室効果ガスの排出量を30年度に13年度比で26%削減する政府目標の達成に向け、火力発
電で排出されるCO2の抑制が急務となっている。工程表は今月中にも協議会で取りまとめる。
原案では、石炭からガスを作りガスタービンと蒸気タービンで発電する「石炭ガス化複合発電(
IGCC)」技術を18年ごろに確立し、既に実用化している最新の石炭火力より排出量を約
2割削減。25年にIGFCを確立することで同様の比較で約3割削減できる見込みという。

石炭ガス化燃料電池複合発電システム(IGFC)は、石炭をガス化することにより燃料電池、
ガスタービン、蒸気タービンの3種の発電形態を組み合わせてトリプル複合発電を行なうもので
す。実現すれば55%以上の送電端効率が可能となり、CO2排出量も既存微粉炭火力に比べて約
30%低減することが見込まれる高効率発電技術。IGFCの商用化には安価で高効率な燃料電
池の開発など、まだ乗り越えるべき課題はたくさんあるが、将来の石炭火力発電技術として期待
されている。

水素と酸素を電気化学的に反応させて直接発電する燃料電池は、その高効率と優れた環境特性か
ら脚光を浴びている。その種類は、電解質に用いる材料によって、りん酸形燃料電池(PAFC)、
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)
等に分類される。燃料電池の中でMCFC、SOFCは作動温度が高く、(1)ガスタービンとの組合せが
可能であること、(2)石炭ガスの利用が出来ることから、高効率の次世代大型発電所対応技術
として期待されています。SOFCによる発電は、ガス化した燃料から取り出した水素と空気中の酸
素を電気化学反応させて、水の電気分解とは逆の反応で電気を生み出す仕組みである。燃料を燃
やして発生する熱を電気エネルギーに変換する従来の発電方式とは異なり、ダイレクトに電気エ
ネルギーが取り出せる ため、ロスが低く、高い発電効率を得ることができる。SOFCは、イ
オン伝導性のセラミックスで構成され、化学反応の際に900~1,000℃という高温の熱が
発生するため、ガスタービン複合発電を行うことで、他の燃料電池より高い発電効率を得ること
ができる。燃料としては石炭ガス化ガスをはじめ、LNGやメタノール、バイオガスなども使用す
ることができる。


ここで、(1)燃料消費量を燃焼効率を上げることで二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物を逓
減できる。(2)さらに、排ガスの除去、回収を行えば、再生可能エネルギーと遜色なく温暖化
ガスも除去かのうだという。技術的には可能だが、石炭や天然ガス、シェールガスの消費するシ
ステムに対する反対も根強くあり、福島第一原発事故による節電・省エネなどの対応できている
として、グリーンリベラリズム派の反対は根強い。とはいえ、引き出しが多いことにこしたこと
はない。再エネ百パーセント派のわたし(たち)は、一旦、そのように整理りて、再エネ百パー
セント社会の実現に向けて邁進するのみである。

                                       
 

     

 【デジタルアース工学立国論 14: 地震・噴火予知】    

 デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。
 

   目 次      

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  
 

       

 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる  

                         地球はグローバルに勣いている

  第二章では、人々が感知できる地震以外にも、いかに毎日日本列島が動き続けているかに
 ついてご説明した。隆起・沈降を繰り返す日本の地
表は、一見穏やかに見えて、じつは新た
 な地震を起こすひずみをゆっく
りとため続けている。そうした「満身創痍」の列島のホーム
 ドクターと
しては、いつ、どこでそのエネルギーが閥値を超えて地面を揺らすか、本当に油
 断のならない国だと思っている。

  もちろん日々動いているの日本列島だけでなく、地球の地表もまた動き続けている。衛星
 潮位システムで暖潮すると、地球がいかに軟らか
いか、そして国境を越え、海を越えて地表
 がつながっているかが分かっている。
 

  2004(平成16)年に起きたインドネシア、スマトラ島沖地震(マグニチュード9・
 1)や、2008年の四川大地震(マグニチュ
ード7・9~8・O)では、大変な数の犠牲
 者が出たが、こうした北半
球で起きた巨大地震でも、南半球のオーストラリアやニュージー
 ランドの地表が事前に動いているのが観測されている。
  最近の例を挙げれば、2014年4月13日、ソロモン諸島でマグニチュード7・6の地
 震が起きたが、そのおよそ三週間前から、日本の南
鳥島の電子基準点が賢常な動きを見せて
 いた。一日に上下方向に8セン
チも動いていたのである。我々JESEAでは、4センチ以
 上の動きを
要注意と考えているので、これは非常に大きな変動である。その動きが、ソロモ
 ン諸島での地震後はぴたりと止まった。


  南鳥島の電子基準点は、日本の領土で唯一太平洋プレートにある。震
源地とは4千キロメ
 ートル以上も離れた地点だが、同じプレート上
にあるので、引きずられる形で動いたのだろ
 うと考えられる。

  よく言われるが、震源が深いほど、地震波は遠くまで伝播する。1985(昭和60)年
 メキシコで起きたマグェチュード8・0の大地震
では、メキシコシティーで1万人もの犠牲
 者が出た。震源は350キロ
メートル以上離れた太平洋沖だったにもかかわらず、遠くから
 やってき
た地震波がこれだけの被害を出したのである。メキシコシティー一帯が湖を埋め立
 てた水分の多い脆弱な地盤である一方で、湖底の岩盤が固
いため、地震波の反射と増幅によ
 って、地面が液状化現象を起こしたこ
とが被害を大きくした,

  震源が遠いからといって地震は侮れない,第二章でも紹介したが、2014年5月、遠く
 離れた伊豆大島近海震源の地震が東京都千代田区を一番揺らしたし、2013年9月の鳥島
 近海地震では、埼玉県、茨城県、栃木県などのヒ県が大きく揺れた。このときは地下400
 キロメートル近い深い震源であった。



                    津波はジェット櫓並みの遠度で到達する

  東日本大震災では、地震そのものよりも津波による被害のほうが大きかった。地震によっ
 て生じる津波も脅威である。その意味でも、いまは世界規模での監撹が必要不可欠だ。映像
 で津波の動くさまを見ると、ゆっくり巨大な波の山が動いているように見えるが、実際には
 ジェット機並みのスピードで動いているのである。
  1960(昭和35)年に起きたチリ地震では、本震発生から15分後に約18メートル
 の津波がチジ沿岸部を襲い、平均時速む50キロで伝播した津波は、釣17時間後にはハワ
 イ諸島を襲っている。チリから1万7千キロメートル離れた日本にも、約22・5時間後に
 は到達した。

  地球の一周は約4万キロメートルだが、ほとんど地球の反対側にある国で起きた地震で発
 生した津波が、24時間もかからず時速8百キロ近いスピードで襲ってくるのだ,地震の多
 い日本に住んでいても、これほど津波が速いということを知らない人は多い。波の伝播の仕
 方は、もちろん海が浅くなればスピードが遅くなるのだが、その代わりに津波が高くなる,
  つまり、浅い沿岸部に近づくにつれて、津波の山が巨大化するのである。
 
  先述した2004(平成16)年のスマトラ島沖の巨大地震では、この地震によって生じ
 た津波がインドネシア、タイ、インド、スリランカなどの沿岸を襲い、津波による死者が
 20数万人から30万人にのぼったといわれている。対岸のスリランカは震源から1500
 キロメートル離れているのだが、たった2時間で到達してしまった。単純計算でも1500
 ÷2で、時速750キロ、まさにジェット機並みのスピードで伝播することがお分かりいた
 だけるだろう。このときは、はるかに離れたアフリカのケニアまで津波が到達している,
  ということは、地震のない国であっても、よその国で巨大地震が起きれば、洵でつながっ
 ている限り、安心はできないということである。



              日本とハワイは毎年6センチずつ近づいている!

  大陸はゆっくりと移動しており、我々が住む日本とハワイは毎年6センチずつ近づいてい
 る、ということをご存じだろうか。いまやそんな動
きも先端の測量技術で分かるようになっ
 ている。

  大陸移動説が受け入れられたのは、それほど昔のことではない。1912(大正元)年に
 「大陸移勧説」を提唱したのは、ドイツの地球物理
学者のヴェゲナーだが、この新しい発見
 は当時の地質学者などから、専
門外の学者の異説として批判を浴びた。新しい発見に対する
 専門家の縄
張り意識や中傷は、ずっと異端者扱いを受けてきた私にも経験があることだ。
  その後、1960年代に「プレートテクトニクス」(プレート理論ともいい、地球の表面
 は何枚かの固い岩盤で構成されており、そのプレートに乗って大陸も動いているという地球
 科学の学説)が登場したあたりから、大陸移動説はようやく受け入れられるようになった。
 ほんの数10年前のことである。

  現在、大陸移動説は、超長基線電波干渉法(VLBI)と呼ばれる宇宙天文観測技術でも
 実証されている。
  我々が地震予測を行っている電子基準点を使う地球の測量方法は、地球の外にある人工衛
 星を使うのに対し、VLBIは、地球の外にある動かない恒星を院って地球を測量するもの
 だ。ともに、測量の先端技術といえる。
  やや専門的な話になるが、VLBIは、数十億光年の遠くにある電波星(クエーサー)か
 ら来る微弱な電波をニヵ所に設置した大口径のアンテナで受信し、その時間差を原子時計で
 精密に計測する。この時間差から、三角形の原理を用いて二箇所のアンテナの距離に換算す
 ることができるのだ。

  世界では、米国、欧州を中心にVLBI局が設置され、日本にも、直隆10メートルから
 最大64メートルのVLBIアンテナが15ヵ所ほど設置されている。2014年の時点で
 21カ国が国際VLBI事業に参加し、この観測網を形成している。
  さて、この観測網を使うと、日本とハワイが毎年6センチずつ近づいていることが分かる。
 茨城県つくば市にある国土地理院が設置したアンテナと、ハワイにあるVLBI局とのあい
 だで測られた距離(約5700キロメートル)が、毎年6センチずつ短くなっているのだ。

  日本とハワイの現在の動き方を見ると、年間、ハワイが日本方向(西方向)に10センチ
 ずつ移動しているのに対し、日本は中国方向(西方向)に4センチずつ移動している。この
 差で互いの距離が6センチずつ縮まってきているというわけだ。この比率で近づいていくと、
 計算上は1億年たつとハワイは日本と合体することになる。では、日本が中国にくっつくか
 というと、その可能性は低い。中国もまた別方向に数センチずつ動いているからだ。

  こうした地球のわずかな動きも先端の測量技術で観測できるようになり、大陸移動説が実
 証可能になったのである。世界に分布しているVLBIのあいだの距離の変動を調べるとプ
 レートの大まかな動きを知ることができる。さらにVLBIの観測網が充実すれば、密な間
 隔で地球の動きが測量でき、将来の地震予測に役立つことは間違いない.

  もちろん地殻の変動、地下の異変は複雑で、プレートの動きだけで分かるものではない。
 だからこそ、地域ごとにきめ細かく設置されている電子基準点のデータを、日々観測し、解
 析することが地震予測には重要なのである。

                 メルマガの「警戒」「注意」「注視」の読み方

  東日本大震災の危険サインを公表できなかった後悔から、地震予測の後追い検証をやめ、
 2013(平成25)年にJESEAを立ち上げて、2年が経過した,この問、我々は本当
 に試行錯誤の連続であった。
  週刊で配信している「週刊MEGA地震予測」のメルマガの誌面も、どうすれば読者に分
 かりやすく伝わるか、改良を重ね、その一方でデータの解析方法にも新しい方法を加えるな
 ど、努力を重ねてきた。

  中でも.一番悩んだのは、地震予測の注意をどう人々に伝えるかという点だ。最初は単純
 に短期予報と中期予報、つまり時期的早く来るか、ある程度時間がかかるかという分類で情
 報を出していたが、短期で出したものが遅れたり、中期に分類したものが意外に早く来てし
 まったりと、そう単純にはいかないことが分かった。
  議論の末、2014年、やっといまの情報の出し方に落ち着いた。
 「※地震は極めて複雑な自然現象なので前兆が現れてから地震が発生するまでの期間は、地
 震の規模、震源の深さ・場所、地震の種類、異常変動点の分布・頻度などにより数か月のズ
 レが生じることがあります」という注釈をつけたうえで、次のように分類した。


 「要警戒」……震度5以上の地震が、ほぼIカ月以内に起きる可能性がきわめて高い
 「要注意」……震度5以上の地震が、1ヵ月~3ヵ月程度の期間に起きる可能性が高い
 「要注視」……震度5以上の地震が。3ヵカ月~6ヵ月程度の期間に起き可能性がある


 「要警戒」は、よほど危険な前兆現象がない限り、めったに出さないが、二度のはっきりし
 た異常変動のあった甲信越飛騨地方など、明らかに大きい地震が来るだろうという予測がで
 きたときは、「要警戒」で注意を促した。「警戒」という言葉を使っても、1ヵ月以内に地
 震が起きない場合もある。しかし、1ヵ月以内に来ない場合でも、一度「警戒」を出したと
 きは、取り下げたりしない。それをすると、もう収まったのかと誤解されてしまうからだ,
 
  一度出した情報には責任を持ち、地震が来るまで「要警戒」を解かないという姿勢でやっ
 ている。
  逆に、異常変動の解折から、「要注視{から「要注意」へ、「要注意」から「要警戒」へ
 と切り持えたことは何度もある。
  すでにご説明したように、地震予知というのは、いつ、どこでどれくらいの規模の地震が
 起きるか正確に言い当てて警報を出せるレベルのことだ。しかし、いまの段階では地震予測
 にそうした明快な境界線は引けない。それができるのであれば、我々もすべて「要警戒」と
 して情報を出す。

  しかし、JESEAのこうした経験が3年、5年、10年と蓄鯖されていけば、過去の例
 を参考にさまざまな学習を重ね、予測の時間的な精度は確実にLがると思っている。

                  日本列島の歪みはマップとゾーンで紹介

 メルマガの誌面構成も試行錯誤を重ねてきたが、基本的な構成を紹介すると――

 ・「週間異常変動図」……国土地理院の電子基準点のデータを2週間遅れで7日分公開。各
 地点の7日間で最も高い値と低い値の差が4センチを超えるものをマップに記し、「注意」
 「警戒」の対象としている(黒=変動7センチ以上、赤=変動5センチ以上、黄=変動4セ
 ンチ以上)。
  たとえば、2014年10月1日号では、こんな異常変動を紹介した。
  今回は4センチ超の週間異常変動を示した点が5箇所、そのうち5センチ超の異常変動の
 地点が2箇所ありました。全国的に静謐(せいひつ)ですが、静謐のあとは要注意です。特
 に、最近異常変動が発生していた地域は注意してください。
 4センチ超の地点を下記に示します。単位はセンチです。
 
 福島県 二本松  6・83
 北海道 上富良野 5・67
 山形県 遊佐   4・97
 東京都 母島   4・49
 高知県 物部   4・31

 飛騨・甲信越は要注意
 長野県の山ノ内は他の電子基準点に比べて突出して隆起しております。また、王滝と高遠の
 沈降が大きい値です。御獄山の噴火を考慮しますと引き続き要注意です。

 伊豆半島・伊豆諸島・神奈川県は要注意
 全体的に沈降傾向です,富士山に近い山梨県の上九一色と南部で8月16目に異常沈降してい
 ました,静岡県沿岸部の榛原、浜岡1、静岡3および西部の湖西で一斉沈降しております。
 引き続き要注意です。

 東北地方奥羽山脈地帯は要注意
 今回も山形県の遊佐で4・975の異常変動がありました。遊佐は乱高下していますが今の時
 点では電子基準点の不具合なのか、異常値なのかは判断できない状態ですが、引き続き要注
 意です,

 北海道道北は要注視
 今回上富良野で週間賢常変動がありました。上富良野は4センチ前後の隆起をしていました
 が、6月14日に2センチ急激に沈降したあと4センチ台に再び隆起しています。念のため要
 注視です。

                                   この項つづく
 

 

 ● 今夜の一枚

【ひこにゃん、初の米国本土出張】

われらが、ひこにゃんが17日から米国東海岸のニューポート市で開かれる黒船祭りに参加す
る。ひこにゃんの海外出張は一昨年のパリ以来4回目で、米国本土は初訪問。ニューポート市
はロードアイランド州の港町で、ボストンの南約100キロ。幕末に日本に来航したペリー提
督の出身地だ。2度目に寄港した静岡県下田市とは姉妹都市で、下田市が1934年から開い
ている「黒船祭」にならって「ブラック・シップス・フェスティバル」を毎年開催し、今年で
32回目。下田市と相互に代表団を送っている。彦根市は昨年から下田の黒船祭に参加、今年
大老として開国に踏み切った彦根藩主井伊直弼の生誕二百年にあたることから、ニューポー
ト市から
招待されたというのだ。彦根から参加するのは、大久保貴市長やひこにゃんファンク
ラブの北村昌造
会長ら5人。ひこにゃんはイベント前日の歓迎会や、開幕式典、日本文化を紹
介する催しに登場し、
PRに一役買う。

 

 

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地震の巣の上の原発

2015年07月06日 | 時事書評

 

 
 

  誰も私たちをユーロ圏から追放できないし、私たちもそれを望まない。

                     反対派公務員 サノブロス・ヨルゴズ

 

 

● デザイン多用途型省エネディスプレイ

ちょっと字面だけではどんな表示器を意味するのか理解不可能な事業開発が産官学での開発テー
マが経産省のエネルギー・産業技術総合開発機構より発表されている。その説明よるとこうだ。
「省エネルギーに資するクリーンデバイス(高周波半導体、不揮発メモリ、光エレクトロニクス
技術、低電力LSI、パワーデバイス、環境発電デバイスなどの省エネルギーに資する革新的デバ
イス)を、従来利用を想定してきた機器などだけではなく、様々な製品・サービスへと新規用途
に拡大し、省エネルギー効果を最大限に活用することを目的に2014年度から5テーマの実証事業を
開発する。引き続き、クリーンデバイスを活用したユースケースを創出し、ユースケースの実装
・実証および信頼性・安全性や標準化・共通化の方針策定を行い、クリーンデバイスの用途拡大
に繋げるために、ディスプレイ/サイネージ、医療機器、自動車/プラント、情報サービス、電
源機器、給電装置などの新規のアプリケーションをユースケースとした6テーマを採択しました。
なお、2015年度事業規模は、約20億円、新たなテーマは2015年度から2016年度の2年間の実施を予
定している」というから長ったらしいが、以下の2つ開発概要例を挙げる。

(1)デザイン多用途型省エネディスプレイ

既存のディスプレイにはない特徴(透明性など)を持つ新たなディスプレイを用いた窓や案内表
示や広告、店舗などの窓、百貨店のショーウィンドウのサイネージなどで社会適用性を検証する。

委託先:シャープ株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所

(2)電気光学結晶KTNを用いた革新的光デバイスを活用しレーザー産業分野における幅広い領域
    規市場を創出

電気光学結晶を用いた光デバイスは、レーザーのパワーや方向を高速に制御する光デバイスで、
従来デバイスの100倍の高速化、1/100の小型化、省電力化が可能です。高精度・高性能を要求さ
れる生物用多光子吸収レーザー顕微鏡や医療用診断装置である光干渉断層計などへの適用により
実用性を実証する。

委託先:エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社、国立大学法人埼玉大学、国立大学
    法人大阪大学


 

                                   透明液晶を建材に シャープと産総研  

そこで、窓ガラスのように透明で、カラー動画を表示できる透明液晶ディスプレ。その実用化に
向けた検証を、シャープと産業技術総合研究所(産総研)が開始する。透明液晶ディスプレーが
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「クリーンデバイス社会実装推進事業」の1つ
に採択、同事業がシャープと産総研に委託される(テーマ名は「デザイン多用途型省エネディス
プレイ」)。同事業は2015~2016年度の2年間の実施予定である。 

シャープは「シースルー液晶ディスプレイ」と呼ぶ透明液晶を開発している(上図)。特徴は、
明るい表示を実現するために、一般的な液晶ディスプレーとは異なり、バックライト光を吸収す
るカラーフィルターをなくしたことである。カラー表示は、カラーフィールドシーケンシャル方
式によって実現する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のバックライト光を高速に切り替
え、これに同期して表示画像を高速に切り替える方式である。 

表示画像を高速に切り替えるために、同社は、IGZO技術を用いて高速駆動を実現したとする。ま
た、高速応答が可能な液晶材料、および専用の液晶モードを開発しているという。このほか、カ
ラーフィールドシーケンシャル方式によってカラーフィルターをなくすことで、パネル透過率を
高められるとともに、色再現範囲も広げられるとしている。シースルー液晶の形状は、箱形の
BOXタイプ」と、板状の「スタンドアロンタイプ」の2つがある。前者は、箱の前面に液晶パ
ネルを置き、天井部分にバックライト光源を設置したもの。パネル全面にわたってカラー動画を
表示したり透明にしたりできるという特徴がある。後者は、液晶パネルの裏側に設けた導光板と、
その側面の光源をバックライトとして用いる。板状であるため、設置場所の制約が少ないという
特徴がある。ただし、カラー動画表示は液晶パネルの一部分(バックライト光の拡散部)に限ら
れ、それ以外の部分は透明表示になる。

尚、これらの技術は、株式会社SKRテクノロジーの先駆的知財の上に築かれる。恐るべし、クール
ジャパン。

 

 

      

 【デジタルアース工学立国論 13: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。
 

   目 次     

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

 

      

 

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

                 鹿児島県串木野の異常隆起は桜島噴火の前兆

  鹿児島県というのは、地表の動きを観測している我々にとって、非常に興味深い地域であ
 る。ご存じのように、いまも活発な噴火を続けてい
る桜島を有している県だが、桜島が爆発
 するときの前兆現象として、串木
野の電子基準点が異常に隆起するというパターンを見せる。
 爆発が起
きると、一度隆起した地面がスーツと沈降するのである(図29「鹿児島県串木野の
 隆起・沈降」)。最近は、同じ鹿児島県の鹿屋も桜島爆発に
連動した動きを見せた。突然隆
 起を始め、これは何の前兆かと監視して
いると、上げ止まったところで桜島の噴火が起きて
 いる。火山の噴火にこの二点の地域が敏感に連動しているようである。長年の検証で分かっ
 ていることだが、火山系の前兆現象は、噴火地殻の地域の異常隆起が特徴である。

 

  御獄山噴火の解説でも述べたが、火山活動、とくに噴火があると地震が誘発されやすい。
 至近な例でいえば、2014(平成26)年8月3
日に、鹿児島県屋久島の西にある日永良
 師島の新岳(標高626メ
ートル、屋久島町)が34年ぶりに噴火したのだが、その直後に
 奄美大
島でマグニチュード5・7の地震が起きている。
  地震と火山活動は連動しやすいので、鹿児島県はもちろん、日本列島全域に点在する火山
 の動向、そしてその周辺の地表の異常な動きには注
意が必要である。

  また、とくに心配なのは、桜島の噴火に敏感に反応するかのように隆起・沈降を繰り返す
 串木野のすぐ近くに、再稼働が検討されている川内
原発があることだ(2014四年11月
 7日、原子力規制委員会による安
全審査合格を受け、鹿児島県知事が再稼働に同意した)。
 何度も言うよ
うに、地震は断層のあるなしにかかわらず、さまざまなトリガーで誘発される。
 近年では年間千回以上噴火することもあるという活火山
を抱えるこの地に立つ原発は、揺れ
 動く地表を日常的に見ている我々
らすれば、危険きわまりない存在に思えてならない。
 を注意深く見守っていきたい。

                       日本で一番動いているのは硫黄島

  意外に思うだろうが、日本で一番動いているのが、小笠原諸島の南端近くにある硫黄島で
 ある。東京都に所属しているが、東京からはおよそ
で百キロメートルも離れており、いま硫
 黄島で地震があっても、あ
まりこちらには害が及ばないので、皆さんそれほど関心がないの
 だが、
年間25センチのスピードで隆起し続けている活火山の島である。火山噴火をしなが
 ら隆起を続けているわけだ。


  この硫黄島にも電子基準点がある,この電子基準点は常に異常値を示
し、危険信呼を点灯
 し続けている。硫黄島は昔から隆起し続けていて
昭和30年代の教科書にも「年間25セン
 チ隆起しています」と書かれ
ていたが、その当時は現地での水準測量で測っていたものが、
 いまはこ
うして電子基準点のみで動向が分かる。伊豆火山帯や富士火山帯との連動を関連づ
 ける人もいるが、硫黄島の動きが日本列島にどう影響するか
はいまのところ分からない。デ
 ータの賢常の動向を監視することが、ま
ずは先決だ。



              不気味に隆起を続ける富士山、東京もゆっくり隆起

  最近「富士山噴火」の可能性が騒がれているが、最後に、富士山の隆
起・沈降の動向につ
 いて紹介しよう。

  富士山は、長い明間にわたって隆起を続けている。長い期間隆起し続けているということ
 は、ゆっくりエネルギーがたまってきているという
ことだ。2014(平成26)年のゴー
 ルデンウィーク5月5日の伊豆
大島近海地震で酋都圏が大きく揺れたとき、その直前の4月
 30日に富
士山の基準点のデータが一度だけ異常に跳ね上がった(図30「富士山の隆起・沈
 降」)。




  首都直下地震も皆さんの大きな関心事だが、東京に関していえば、徐々に徐々に隆起し続
 けている,前にも述べたが、東京では断層が見え
づらい。しかし、地震は断層のある場所だ
 けに起こるものではない。隆
起や沈降のひずみをためて、そのひずみが閥値を超えたときに
 地震の起
きる可能性が高いということを、我々は検証研究で把握している。だから、長い期
 間にわたってのさまざまな視点からの監視が必要なのである。



               限定されたところだけ見ていると足をすくわれる!

  こうして日本列島の隆起と沈降の傾向を見てくると、いかに日本の地
表が動き続けている
 かがお分かりいただけたかと思う。

  御嶽山噴火があってから、ここ最近、また「富士山大爆発」「南海トラフ地震」「東海地
 震」「首都直下地震」などについての特集を、メディ
アがこぞって取り上げるようになって
 きた。

  しかし、あえて苦言を呈せば、そうした話題の場所ばかりに注意を向けていると、足をす
 くわれますよと言いたい。我々が、日本列島のホームドクターだとすれば、南海トラフや東
 海だけでなく、患者の全身は至るところ傷だらけで、どこが致命傷になるか分からないから
 である。



  その傷が悪化する前に、さまざまな症状から前兆をとらえ、できる限りの命を救いたいと
 いうのが、私の正直な思いである。
  日本列島はどこもかしこも歪んでいて、しかも地表は目に見えず絶えず動いている、とい
 うことを目の当たりにしていると、やはり原発の存在は最大の危惧である。「原発反対」を
 声高に唱えるつもりはないのだが、地震の少ない韓国などの安定した地盤に比べ、我が国の
 地盤はじつに不安定きわまりない,極論をいえば、ここなら原発を珪てて安全という場所は、
 日本にはないに等しい。

  大震災の津波による福島の原発事故だけでなく、2007(平成19)年の新潟県中越沖
 地震(マグニチュード6・8)では、柏崎刈羽原発で多数の事故が発生し、火災も起き、日
 本中を震憾させた,先に述べた伊方原発も川内原発も、地震によるこうした被害が出ないか、
 稼働の行方が心配である。
  さらにいえば、咳燃料の廃棄物を最終処理する場所も、同様である。フィンランドが地下
 深くに頑健な廃棄物処理施設をつくっているが、あの国は地盤が非常に囚く安定している。
 日本ではいかに深く地中に埋めようが、岩手・宮城内陸で起きた地震のように、崩落や地滑
 りで山が半分消失するような地震が起こる風上なのだ。

  富士山というのは日本を象徴する山だが、我々にとってみると、フィリピン海プレート、
 北米プレート、ユーラシアプレートの、ちょうど交点に当たる場所である。こうしたプレー
 トに囲まれ、すぐ目前の相模トラフは、日本列島が位置する陸のプレートの下に、南方から
 フィリピン海プレートが沈み込んでいる場所である。
  つまり、日本は世界で一番深い海の崖っぷちに立っている国なのだ。
  そして、我々日本人は、日々微動を繰り返す、その超不安定な崖っぷちで暮らしている住
 人なのである。
  そのことを原発関係者を含め、日本の人々にも、もっと認識してほしいと願っているのだ
 が――。


つまり、次の大震災で確実に日本列島が廃虚と化して、世界遺産として登録されるというの最悪
のシナ
リオが現実味を帯びる。と。そう語っているように思える。次回は、第3章に入る。

                                                                  この項つづく

 

  

● ギリシャ緊縮反対 61.32% ユーロ離脱には反対 

国民投票結果、予想を裏切り大差で財政緊縮に否決されたが、反対を投じたい支持者はユーロ圏
離脱には難色をしめしているという。これをカードにチプラス首相はEUとの交渉に臨むわけだ
が、その見通しはいまだ混沌としている。そんな情況に先立つこと、7月2日、「地政学上の重
要性からユーロ離脱でもEU残留は可能」(『高橋洋一の俗論を撃つ!』, ダイヤモンドオンラ
イン)と主張しているが、これは傾聴に値した。つまり、自国通貨のドラクマへの回帰を行いつ
つ、欧州共同体とNATOに残留するのがベターだというものだ。NATOにとどまるというこ
とは、ロシア、中国への接近はないと見る。ギリシャの港湾に接岸する外国船(ロシア・中国)
が多いとの情報があるが、欧州共同体からの除名勧告がない限り、非イスラム圏のギリシャへの
石油・天然ガスラインパイプの接続や軍用艦などの寄港はないと見ている。しかしながら、赤色
官僚独裁国家・中国やプーチンの大ロシアが大胆な支援政策を打ってくる可能性は残されている
とわたし(たち)は考えているがいかに。

  

※ 上の投票には、「ユーロという仕組みそのもの」に投じている。
※ ギリシャの旧通過のドラクマという言葉は、6本の焼き串(紀元前7世紀からは貿易の媒介
  物=貨幣のようなもの?として使われていた)は人間の手につかめないことに由来する。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新原子層集積技術

2015年07月05日 | ネオコンバーテック

 

 
 

  EUとユーロはドイツが一人勝ちするシステムだ。 /  エマニエル・トッド 


 



● 最新原子層集積技術


 原子層集積装置がいよいよ普及実用化される時代を迎えている。原子層堆積法(Atomic Layer
Deposition:ALD)は、反応容器中に置かれた金属や半導体、セラミックス、プラスティックなど、
様々な材料基板表面において、次の4ステップからなる操作により単一原子・分子層を形成する
技術。原理は、(1)反応容器に原料分子ガスを導入し、容器内壁および基板を含むすべての内
表面に吸着・表面反応を行わせる。通常、基板表面は原料分子と反応するOH基などで活性化処
理され、基板との間に金属酸化物や窒素化物の結合が生じる。(2)次に、この表面反応により
生じる反応生成物と余剰の原料分子を、反応容器外にパージする。この時、原料分子にアルキル
基など疎水性構造をもつものを選択することにより、原料分子の二層以上の吸着を防ぎ、(1)
のプロセス後の基板表面には単一分子層が固定される。(3)次に、基板表面に吸着した原料分
子のアルキル基と反応するガスを導入し、(1)(2)のプロセスで表面に固定された原料分子
の表面を、OH基などに変化させる。(4)最後に、この反応による生成物と余剰反応ガスとを
パージする。この段階で、基板表面は金属酸化物や窒素化物、金属などの単一分子・原子層で被
覆され、最表面はOH基などをもう。次のサイクルで再び(1)~(4)を実行するというもの。

 

ALDの特徴hは、上図のごとく、他の成膜方式に比べ、高いアスペクト比をもつ構造体へのコ
ンフォーマル特性(Conformal:精緻な表面再現性)
は、原料分子の表面吸着・表面反応において、
反応ガスにH2O(水)やO2(酸素),NH3(窒素),H2(水素)などの非イオン、中性分子
を用いる結果、深い溝構造などへの廻りこみ拡散ができる事に起因する。このとき、ALDサイ
クルの中で原料ガスとH2Oなどの反応ガスのパージ時間が、反応空間に至るすべての内壁温度
により支配される。たとえば酸化アルミニウムのALDでは、反応ガスとして用いるH2Oのパ
ージ時間を20~60秒に抑えるために、容器を含む壁全体の温度を130℃以上に保持する必
要があり、パージが不完全の場合、容器壁から再放出される原料分解生成物質分子やH2Oが、
微粉末形成などの膜質の欠陥を引き起こす。その対策として、下図の特許は、反応容器の気密を
Oーリングの最適配置することで高め、同容器のパージを短時間で完全に行えるように改良して
いる。


このような装置は、『デジタル革命渦論』の基本特性沿った、ハードウエア分野――半導体・太
陽電池・有機/無機エレクトロニク・ルミネセンス・半導体レーザー・薄膜表示器・発光ダイオ
ード(下図参照)などの進化に欠かせないプロセス工学の1つなりつつある。そのためには、ロ
ール・ツー・ロールによるスループット(高速化)とコンフォーマル(緻密再現性)が鍵になる。
10数年かかって、わたし(たち)が考えていた「ネオコンバーテック」という事業概念が結実
しつつある。

【説明図】発光素子が搭載される樹脂を含む基材で構成されるパッケージを用意する工程と、パ
ッケージの表面を透光性と絶縁性をもつ被覆膜で覆う工程と、被覆膜に部分的に通気性の高い部
分を設ける工程とを備え、耐久性を高め、パッケージの変色を抑制する発光装置とその製造方法
を提供するもの。
 尚、 被覆膜40は、従来知られている薄膜形成法によって形成できるが、薄膜形成法としては、
CVD(Chemical Vaper Deposition)法やスパッタリング法があるが、
特に、被覆膜40の緻密
性を向上させたい場合には、CVD法のうちこのALD法が好適である。
 

    

 

 【デジタルアース工学立国論 12: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。
  

  目 次     

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  
  

      

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

                        山形・秋田は一度隆起して沈降へ

  今度は東北地方の日本海圖、秋田と山形を見てみよう。3・11の地震のときは、東北地
  方全体が傾斜したかのように、太平洋側が沈んで山形や秋田の日
本海側が隆起していた,と
  ころがいまは、沈降の現象を見せ始めている.。
つまり、宮城とは逆の現象が起きていると
 いうことなのだが、すべて沈降している
かというとそうではない。
  とくに山形は顕著で、酒田市の有人島・飛島は隆起しているのに、山形の内陸部、新山な
 どは沈降している。このまちまちな動きが、新たなひずみを引き
起こしているのである。
 (図23「山形県の隆起・沈降」)

 

                                           青森と連動している北海道

  青森県と北海道が連動する動きを見せていることは、2014(平成26)年7月に起き
 た石狩南部地震の解説で述べた。青森と函館一帯の動き方が非常
に似ており、石狩南部の地
 震の前は肖森県に異常変動が現れていた。石狩南部
の地震の後も、津軽t島、下北半島に異
 常変動が見られ、さらに対岸の北海
道・道南のじ飯で瓦センチ以上の変動があったので、メ
 ルマガでは注意を呼び
かけている。
 (図24「北海道道南の隆起・沈降」)
 (図25「青森県の隆起・沈降」)

 

                                  ドカンと沈んで隆起している茨城県も要注意

  震災以降、茨城県、干葉県も大きな地震が多発している地域だ。茨城も宮城と同じパター
 ンで、ドカンと沈んで、その後隆起している場所で
ある。
 (図26「茨城県の隆起・沈降」)

 

  震災以降の傾向でいえば、一番沈んだ場所が一番速いスピードで隆起を開始しているのだ
 が、その中で隆起をせず逆に沈降する部分があると
いうことは、そこにまた新たなひずみが
 生じる,繰り返しになるが、常
にL下左右に動いている地表が「正常な位置に戻る」という
 ことはな
い。茨城で大きな地震が多発しているのも、大震災によって沈んだ地表が一定では
 ない、不安定な隆起・沈降の動きの中で新たな地震のエネル
ギーをためているからである。
  愛媛は大洲に注目、兵庫は淡路島の西淡が急激に隆起・沈降愛媛県と兵庫県は、2014
 (平成26)年の7月あたりから、危険
な動きが加速している地域と見ている。
 (図27「愛媛県の隆起・沈降」)
 (図28「兵庫県の隆起・沈降」)

 


  2012年1月を基点として、愛媛県の大洲が5センチ以上の隆起を見せている。怖いの
 は、このすぐ近くに伊方原発があることだ。いまは休止しているが、稼働をしていなくても
 原発には核物質がある。大きな地震が起こればどんな事故につながるか、それこそ予測でき
 ない。
  そして、我々が注目した地域が、兵庫県だ。とくに淡路島の西淡は2014年の7月あた
 りから急激な隆起を見せ、対岸の神戸北では異常な沈降を示した。果たして8月26日に最
 大震度3の大阪湾地震(震源は淡路島東岸)が起きた。9月に入ると西淡は急激な沈降をし、
 神戸北は隆起をしてもとに戻ったので、この時点で要警戒を解いた。予測より規模は小さか
 った。

  2013年4月13日、我々がJESEAのメルマガ配信を始めてすぐに、淡路島付近で、
 マグェチュード6・3の地震が発生している。兵庫県淡路市で震度6弱、南あわじ市で震度
 5強を観測した地震だが、この地震の2、3ヵ月前から、和歌山県の広川が異常な隆起、沈
 降の乱高下を示していたことで、我々はこの地域周辺に地震への注意を促していた。淡路島
 はこの広川から50キロメートル圏内にある。このころは、まだ解析方法がいまほど充実し
 ていなかったが、震源近くで最も敏感に動く地点の地盤の乱高下から、地震を予測したわけ
 である,
  日本列島全体から見てみると、淡路島を中心に、その近辺、和歌山県、徳島県、播磨灘、
 豊後水道あたりまで、一斉に異常な動きがあり隆起・沈降の傾向があるので、今後もこの一
 帯を注意深く見守っていきたい。
  
                                                                  この項つづく

 

  ● 今夜の一冊


ギリシャがユーロ離脱するかしないかはわたし(たち)が想定したものとは随分乖離しているの
でコメントできないが、リーマンショックの考察を済ませている。「ギリシャ最適再建」のイメ
ジはこのブログで掲載済みだが、日本でも、田中厚史『世界かわら版』のように考えているひ
たちもいる。これは心強いことだ。


 フランスの歴史学者エマニエル・トッドは近著「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」(文
 春文庫・堀茂樹訳)で「EUとユーロはドイツが一人勝ちするシステムだ」。
表現は挑発的
 だが、筆者も同感するところが多い。ドイツが一人勝ちするユーロというシステムを継続さ
 せたいなら、搾り取られる側に所得移転する政策がなければ持続的ではない。
EUで優秀な
 人材は職を求め繁栄する都市に流れる。単一市場はカネと人材を強者が吸い上げ、域内の格
 差を広げる。均衡のとれた発展を望むなら、財政を含めた統合を進め、弱い国に資金が循環
 する仕組みを作るしかない。

 
          「追い詰められたギリシャがユーロ離脱へ暴走すると何が起こるか
           田中厚史『世界かわら版』/ダイヤモンドオンライン、2015.07.02

 

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界緑茶医療革命

2015年07月04日 | 医療健康術

 
 

   朝茶は福が増す。 /  日本のことわざ

 

 

● 水面の冷却効果で14%発電量アップ?!

兵庫県北播磨県民局は2014年4月~2015年3月、小野市浄谷町の浄谷新池の水面で、出力40キ
ロワットのフロート式太陽光発電の実証実験を行いその結果を公表。それによると、屋根上に同
じ角度で設置したパネルに比べ、発電量が14%多かったという。フロート式太陽光は、20キ
ロワットを設置。フロートの中央部分にスプリンクラーを各1台設置し散水に効果などを実験し
ている。(1)庁舎屋上に同じ角度で設置した太陽光パネルと比べ発電量が14%――水面の冷
却効果――多かった。(2)9月の正午から5時間の散水実験では「散水あり」の方が発電量が
多かった。これは、使用したアンフィニジャパンソーラー社パネルが単結晶シリコンで、変換効
率の温度劣化性(低温>高温)による。逆に言えば、化合物半導体系パネルなど温度依存性の低
いものに交換する、あるいは、赤外線カットフィルタやこのように水噴霧による冷却を施せば良
い話でもあり、また、モジュールの高変換効率(25%超)パネルに載せ替えれば良い話である。

● スーパー緑茶の威力って?! 

煎茶1グラムをフードプロセッサ(あるいはすり鉢)に入れ、大葉2枚を千切り入れペースト状
になるまで粉砕。これを30~60分室温放置。お湯を加え1分放置し、茶漉しをつかい湯飲み
に注げばできあがるのが「スーパー緑茶」という(NHKの「ためしてガッテン」)。うまみが
5割多いだけでなく、「エピガロカテキン」で免疫力が高まるというのだから驚く。




まず、エピガロカテキンは、通常、熱湯で緑茶を点てると、カテキンが溶出しこれが苦みとなる
が、低温で点てると、エピガロカテキンの溶出量が逓増し、旨味が増すということが分かってい
たが、このエピガロカテキンをヒト細胞溶液に加えるとマクロファージの活性化(=免疫力が向
上)することが発見される。

さらに、ワサビはすりおろして初めて辛くなり、ニンニクやタマネギも傷つけられると臭いや催
涙成分を生成し、その物質は抗菌作用が強く,これらの現象は植物が自分の身体を守るために持
っている仕組みと考えられているが、お茶でも同じことが起こっていいるという。つまり、新鮮
な茶葉をすぐに加熱処理すると成分はほとんど変化せず、新鮮な時に傷つけ,細胞を破壊すると、
茶葉のポリフェノールが酵素により酸化され抗菌性の強い色素(紅茶色素テアフラビン)が出来
き、このテアフラビンが腸内で脂肪や糖分の吸収を抑制、メタボなどの成人病発症予防に役立つ
と期待されている。NHK製スーパー緑茶では、大葉の酵素が触媒となりテアフラビンがつくら
れるという。これは医療費抑制・健康促進のバーゲンパワーとなりそうだ。


さっそく、チャレンジしてみようと思うが、とにかく、新しい毎日なんだ(ヘミングウェイ『老
人と海』)、という具合に、時間があっというまに過ぎてしまうという、新しい体験をしている
昨今を過している。これにはまとまった休息を必要としている。 
 

    

 【デジタルアース工学立国論 11: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。
 

  目 次    

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに    

     

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

  ・6ヵ月前に「一斉変動」が見られた伊予灘地震(2014・3・14)

  2014(平成26)年3月14日午前2時6分に発生した伊予灘を震源としたマグェチ
 ュード6・2の地震に関しては、す
でに第.章でも解説した。震源の深さはむ8キロメート
 ル、愛媛県西予市で最大震度5強を観測した。この伊予灘地震の予測も、電子基準点のデー
 タの「一斉変動」によって、危険を察知できたのである。
  繰り返すが、伊予灘地震の前兆は、本当に東日本大震災のパターンと酷似していた。20
 13年の6月末から7月はじめに九州、四国、紀伊半島で異常な地殻の変動があった後、伊
 予簾地震が起きるちょうど半年前、2013年9月1日からの一週間にかけて910もの観
 測点で4センチ以上の変動が確認された。不吉な一斉変動である。

  さらに10月、翌年の1月と、九州と四国地方で隆起と沈降の動きがあり、その後は静謐
 状態が続いたが、2012年1月から計算すると、10センチ以上隆起している場所がある。
 かなり危険なサインである。地震の1ヵ月ほど前には、震源にほど近い高知県の平野郎や沿
 岸郎で隆起や沈降が薩認されたことで、私は、メルマガで南海地方への地震の注意を促して
 いたのである。
  地震の規模としては、我々が予測していたものよりはるかに小さかったが、3月に私が出
 演したテレビの番組で「3月末までに南海地方に来ます」と宣言し、それが的中したことで、
 大きな反響を呼ぶことになった。

  南海トラフ地震に関しては、現政府が最も警鐘を鳴らしている地震の一つで、皆さんの関
 心は非常に高い。週刊誌の扱い方も非常に扇情的で、最大30メートルを超える津波が発生
 し、予想犠牲者は30万人を超えるなどと人々の恐怖をあおる形で書きたてているが、先述
 したように、統計や確率計算では地震は予測できない。さらに付け加えれば、我々は、南海
 トラフ地震や首都直下地震といった、人々の関心が集まる特定の地震を予測しようとしてい
 るわけではない,
  地震の規模(マグニチュードで表される)や震源地を予測しているのではなく、あくまで
 地表が拙れる地域と震度(揺れの度合)の予測を目指している,地震大国である日本に住む
 人々が、地震と賢く付きかうには、こうした日々の情報が最も重要だと思うからである。

  ・御嶽山噴火の前兆か? 飛騨地方群発地震(2014・5~)

  序章でも触れたが、2014年9月27日に起きた御嶽山噴火は、火山の噴火によるもの
 としては戦後最大の犠牲者を出した最悪の災害となった。
  JESEAでは、電子基準点のデータから、飛騨地方、甲信越地方の異常をとらえていた。
  2014年の2月と5月に、この地域の電f基準点の20点近くに一斉に異常が見られ、
 同時に、飛騨地方に群発地震が発生したからである。
  最初の2月の観測時点では、電子基準点の異常は降雪が原因かとも思われた。この時期、
 甲信越に2週続けて週末に雪が降り、1メートル以上の積雪が見られたからだ。電子基準点
 のデータは、積雪にも感知する。しかし、雪が原因の異常値であれば、溶けるまで数値は動
 かないが、このときは一日でもとに戻った。この地面のくしゃみのような現象が2月に起き
 5月には小さな地震が多発していた。そこでメルマガで「特集・岐阜、長野県境に群発地震」
 と特集を組んで、この地域の人々に注意を促したのである。

  その後も、群発地震は収束せず、我々は明らかに異常を感じていた。
  やや専門的な話になるが、マグニチュードが1違うと、エネルギーは32倍違ってくる
 マグニチュードが2違えば、32の2乗で、およそ千倍違う計算になる。群発地震というの
 は、せいぜいマグェチュード3か4なので、マグェチュード6の地震とは4桁もエネルギー
 が違う。したがって、群発クラスの地震が千回起きてやっとづフンスがとれるわけである。
 ということは、群発地震が数10回起きても、そこでエネルギーが拡散されて大きい地震が
 来ないという保証はまったくない,

  もちろん、以前、松代や伊東で起きた地震で群発で終わったものもある。しかし、過去に
 そうであったからといって、今回の群発地腹が大きな地震の予兆ではないとは言い切れない,
 2月に2回基準点の一斉変動があったことから、一過性の群発地震では終わらないだろう。
 飛騨地方、甲信越、新潟の一部にかけて、おそらくマグニチュード6以上、震度5以上の地
 震が起きてもおかしくないと予測し、めったに出さない「要警戒]地域として、メルマガで
 配信していた。と同時に、この地域の活火山の動向にも注意を向け、浅間山の噴火にも注意
 を呼びかけていた。ちょうど本書の取材が八月にあり、9月、10月に大きな異変があると
 いう見解も述べていた。

  その後も、御嶽山噴火の直前まで、メルマガで飛騨、甲信越ヘの警戒を呼びかけ、地震に
 関するコラムでは御嶽山の噴火の歴史
まで紹介していたのだ。しかし、そこまで危険サイン
 に近接して
いたにもかかわらず、御嶽山噴火の予測には至らなかった。
  あらためて御嶽山に一番近い王滝の電子基準点の日々の高さの変動を調べてみると(図20
 「王滝のグラフ」)、2014年の2
月8日と14日に異常な沈降を示し、その後しばらく
 静謐状態が
続き、6月9日から13日にかけて4センチを超える異常沈降があった,その後
 も4センチ程度の異常変動が頻発していた,おそ
らくこれが火山噴火の前兆であったと考え
 られる。


  さらに、御嶽山周辺に平年の3倍を超す雨量があったのが、水蒸気爆発のトリガー(引き
 金)になったと思われる。

  こうした災害が起きると、非常に悩ましく、苦しい思いに駆られる。噴火に巻き込まれた
 犠牲者のことを思うと深い悔恨を禁じ
得ない。
  地震予測は、本当に精神的にタフな仕事である,忍耐もいる。
  御嶽山噴火の惨事は、我々の気持ちを再び引き締める教訓となった。

 ・北海道石狩南部地震(2014・7・8)

  飛騨地方の群発地震とときを同じくして、北海道の電子基準点
でも異常変動が続いていた。
  函館を中心に、青森県から道南にか
けて、異常値がついたり消えたりを繰り返していたの
 である。最
初はあまりに大きな変動なので、データに何か不具合があるかと思うほどであっ
 た。これは東日本大震災の検証研究でも明らかに
なったことだが、東北地方でも青森県だけ
 は岩手や宮城とは別の
特徴的な動き方をしているのである。青森県は東北地方の動きに連動
 するのではなく、むしろ北海道とつながった動きをする。こ
のことは基準点の動きを見てい
 ると非常によく分かる。


  何度も繰り返される賢常値から、JTSEAでは、道央を中心
に注意を呼びかけていた。
 それが2014(平成26)年7月8
日18時5分ごろに起きた、石狩地方南部を震源とす
 るマグェチ
ュード5・6、最大震度5弱(白老町)の地震である。大きな被害はなかったが
 このときは、北海道に緊急地震速報も出たよ
うである。

 ・長野県北部地震(2014・11・22)

  2014(平成26)年11月22日、長野県北部を震源とす
るマグニチュード6・7、
 最大震度6弱の大きな地震が起きた.。

  飛騨地方群発地震の項でも触れたように、JESEAでは、同年2月26日号のメルマガ
 で複数点に週間異常変動が現れたこと
から「甲信越地方は要注意」とした。4月30日号で
 は白馬の電
子基準点に異常値が出たため、引き続き「甲信地方は要注意一とした。5月7日
 号からは関東甲信越を「要警戒」とし、9月3日
号まで「要警戒」を続けた,その中の主な
 記事として、8月6日号のメルマガから採録しておこう。このとき掲載した週間異常変動図
 (図21「2014年7月10~19日 週間異常変動図」)に
は、震源に近い白馬でも7月12
 日から16目までのわずか5
日間で、8・3センチも沈降したことが示されている。

    この地域(甲信越飛騨地方)は続けて要警戒を呼びかけてきました。この地域では2
  月に2度異常変動が見られたことと、群発地震が起きた
ためです。今回もこの地域では
  長野県の駒ケ根で10・4mの異常変動が
見られました。長野県で4m超の異常変動点の
  数は15点もありました。

   群馬県で6点、山梨県で4点の異常変動点がありました。地震が起きる
可能性が一番
  早いと考えられます。群発地震で済むとよいのですが、心
の準備はしておいたほうがよ
  いでしょう。


  その後、9月3日に栃木県北部地震(最大震度5弱)が発生し、同27日には御嶽山が噴
 火したため、ある程度エネルギーが解放されたと解釈して
「要注意」に引き下げ11月12
 日号まで「要注視」を継続した。

  この長野県北部地震は、前兆が出た後の静謐期間中にも群発地震や御嶽山噴火があったこ
 とから非常に難しい予測となり、結果的に、地震が起きた前
週までしか注意喚起できなかっ
 た。さらに精度を上げ、静謐期間を十分に考
慮して予測しなくてはならないと思わされたケ
 ースである。



                         最近の日本の隆起・沈降の傾向


  東日本大震災を軸に、その前後に起きた大きな地震に関して、前兆がどう現
れたかを解説
 してきた。

  メルマガの要警戒・要注意を「震度5以上に絞っているのは、当然ながら、被害が出やす
 く、命に関わる災害の規模を基準に考えてのことだ。東日本
大震災の余震も含め、震度3、
 4以下の地震は多発している。

  こうした人間が感知できる地面の揺れ以外にも、地表は毎日、微妙に上下左右に動いてい
 る。普通に生活している中ではこうした地表の動きは人間には分
からない。しかし、地震予
 測のために電子基準点のデータを分析していると、
日本列島のどこもかしこもが歪ん
 でいる、そして歪みつつ動いていることを
日々実感させられる。

  いま、日本列島に何か起きているのか、最近のデータから日本の隆起・沈降の傾向をまと
 めてみよう。

                      震災で110センチも沈降した宮城県

  地表がいかに動いているか。宮城県が非常に象徴的である。

  この2010(平成22)年から2014年までのグラフを見ると一目瞭然だが(図22
 「宮城県の隆起・沈降」)、2011年3月11日の地震で、牡鹿が
約110センチ沈降、
 つまり地面が以前より低くなっているわけだ。国土地理院の発表は1・2メートルだが、電
 子基準点のデータからは1・1メートル沈降と出ている。二番目に沈降したのが女川で85
 センチ、その次が志津川、気仙沼と続いて6、70センチ沈降している。つまり太平洋側が
 大震災によって地面が落ち込んでしまっている。



  私が不思議に思うのは、現在宮城県では、沈降したこのあたりに津波除けの堤防をつくろ
  うとしているのだが、地面が沈降していることをまったく計算に
入れていないことだ,たと
 えば7メートルの高さの堤防をつくったとしても、
実際は5・8メートルの高さにしかなら
 ない。これでは5、6メートルの津波
でも、防ぎ切れないだろう。さらにいえば、その広大
 な堤防がどんな地盤に立てられるのかということに
も、行政はいっこうに関心がないようで
 ある。ここ最近の動きでいうと、一度
沈降したところが隆起し始めているのである。場所に
 よって違うが、女川や気
仙沼など、沈んだ地面が20センチ以上隆起する傾向を見せている。

  戻っているならいいではないかと思う人もいるだろうが、上下左右に動いて
いる地表は同
 じようには戻らない。傾斜も隆起の速度も違う。その証拠に、宮
城は沈降したものが隆起し
 ているのに、福島は沈降した後の隆起の速度は小さ
い。すると、福島と宮城のあいだにひずみが
 出てくることになる。

 「累積変位」の説明でも指摘したが、沈降や隆起をゆっくり繰り返しながらこうしたひずみ
 がたまっていき、それがまた地震のエネルギーとなる可能性が高いのである。東日本大震災
 の余震が、宮城、岩手や福島でずっと続いているのも、隆起・沈降によるずれやひずみが原
 因だと我々は考えている。
  累情変位で見ると、大震災以来、東北、関東の太平洋岸にはまだ相当のエネルギーがたま
 っている。2014年10月15日にも、宮城県沖を震源とするマグニチュード4・5、最
 大震度4の地腹が発生したが、日常的に中小の地震が頻発しているので、要注意である。

                                    この項つづく 

 

   ● 今夜のテーマ


【世界緑茶医療革命】

わたし(たち)は、6年前に緑茶で医療の革命―長寿健康社会の実現―と、考えこのブログでと
り挙げてきたが、その間、世界中に緑茶の魅力が広がっていった。抹茶は、いまでは、英語でも
Matcha」として定着した。そして、緑茶二関するアレンジメントやバイオレーションが様々な
地域で展開されている。そして、超高齢社会で嵩む医療費削減のバーゲンパワー・機能性食品の
筆頭として考えていた。その間、いろいろな疫学的臨床試験データや関連知財が集積されてきた。
その集大成として「スーパー緑茶」の登場となった。ビバ!緑茶革命。世界の人々に恵みあれ!、

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

感染症病原体高速検出工学

2015年07月03日 | 環境工学システム論

 

 
 

  キム氏は当時(2015.05.20)、検査・隔離対象者ではなかった。
        症状がなく、遺伝子検査でも確認できない状態だった。

                    
韓国 MERS 疾病管理本郡の分析 

 



S Korea to jail people defying MERS quarantine measures



【感染症病原体高速検出工学                                 

先月末の母の月命日と田中さん七回忌の墓参りの時の話。例により菩提の宗安寺は最寄りの手打
ち蕎麦で昼食を頂いていたとき、鰊蕎麦を食べながら、空港など感染症の検疫体制の話をとりと
めなく話していたら、ふと、感染症病原体のリアルタイムで検出装置があればいいのにねという
ことになったので、遺伝子解析システムのめざましい進化のことをつい熱く語っている自分に気
付き、話を打ち切り彼女を残し、駐車場に止めてある車の施錠を忘れていたと言い訳し、そそく
さと店をでた。



ところで、多種多様な感染症病原体を検出する新しい遺伝子分析方法や、多項目同時病原体遺伝
子検出システムの提案がなされるなか、検疫現場では、(1)非接触方式で、(2)自動サンプ
リングし、(3)自動的にリアルタイムで検出判定できれことが前提となるが、(1)の例とし
て、陰圧状態にした検疫室マジックミラー前で呼吸を大きく数回繰り返すだけで1分以内で、体
温、脈拍などが計測、呼気を自動サンプリングし終えれば退室した被検疫者が出国・入国ゲート
に移動する時には、パスポートのRFIDと照合され検疫結果が出力され、異常を示す症状を保
有した被検疫者は、直ちに処置・隔離プログラムに従うというシステムイメージである。

このように、様々な種類の複数の細胞が含まれると考えられる試料から、特定の細胞のみを検出
するこ
とは、幅広い分野にわたり必要とされ、特に医学、薬学に関連するバイオテクノロジーの
研究開発や臨床
現場で、多数の細胞中の、特定の細胞――感染症病原体に感染した細胞(癌細胞
等)の検出判定できれば高付加価値を生み出す。しかし、特定細胞の存在割合が低い場合、多く
の細胞が存在する試料からこの特定細胞の検出は大変難しい(下の特許説明図の上をダブルクリ
ック参照)。
                     



特開2015-083012  細胞検出方法及び該方法に用いるマイクロアレイチップ

例えば、感染症の一つの、マラリア原虫が赤血球細胞に感染し生じるマラリア原虫感染症がある
が、感染症の検出・診断方法には、(1)血液細胞をスライドガラスに塗抹、乾燥し、ギムザ染
色した後に顕微鏡下でマラリア原虫による感染の有無・程度を観察する方法、(2)イムノクロ
マトグラフィー法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法、(3)
PCR法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法、(4)マイク
ロチャンバーを集積化し、ヒーター等と連結し、ハイスループットに生体試料の生化学反応等を
行うシステムのクロアレイチップ法、(5)(4)を複数のマイクロチャンバーを備えたマイク
ロアレイチップにした方法(上図、特許)があるが、(1)は、所要時間は40分と長く、全血
液細胞の0.01%程度の細胞感染が検出限界で、感度が悪い。(2)は、所要時間が20分程
度と短時間であるが検出感度が悪い。また、(3)は、5時間程度を要し、また操作が煩雑が、
(1)より検出感度は高い。(4)は感度が悪い、(5)の複数のマイクロチャンバーを備えた
マイクロアレイチップ-蛍光標識法は迅速、簡便、高感度――0.0001%程度の感染率でも
検出されるというが、具体的な所要時間(特許では30分以上の所要時間)が、不明であるが、
わたし(たち)がイメージする検出システムでは5分が上限である。従って、複数の病原体を検
査するとなる最長時間を必要とする完成症病原体がBNE(工学的隘路)となる。また、感度を
挙げるためる方法として、採血や耳鼻咽喉の粘膜採取などの接触法を採用せざるをえなくなる。

 

以上、ザックリと考察してきたが、高感度で高速で検出システムに関して独自の構想イメージが
あるので
残件扱いとし、時宜をえて掲載継続していく。

                                                            

 

    

【デジタルアース工学立国論 Ⅹ
: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

  目 次    

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに   

      

 第2章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

 ・4つの電子基準点で異常が鮮明に出た駿河湾地震(2009・8・11

  2009(平成21)年8月11日5時7分に静岡県御前崎沖
の駿河湾で発生した地震で、
 マグニチュードは6・5、最大震度
は御前崎市や焼津巾などで震度6弱を観測した。
  震源は御前崎沖の海底.であるが、その周辺にある、中川根、伊東ハ幡野、富士宮1、静
 岡清水市1の電子基準点の動きを見てほ
しい。駿河湾地震の起きるちょうど1カ月前に、ー
 斉に 大きく隆
起して沈降するという前兆現象が鮮明に示されている。
  マグニチュード7、8クラス以上の巨大地震になると、こうした前兆現象が半年前から出
 ていることが多いが、マグニチュード
6クラスのこの規模の地震の前兆は、3週間~1ヵ月
 前に出ると
いうことも、検証研究で分かってきたのである。
 (図17「駿河浦地震の前兆」)


 

                3・11以降に起きたメガ地震

  紹介したものもあるが、ここでまとめて前兆現象を列挙してみたい。2013(平成25)
 年2月からは、メルマガで地震予測サービスを開始し、大きなクラスの地震に関してはほぼ
 異
常変動を察知し、注意や警告を出すことに成功しているが、もちろん百パーセントではな
 く
中には予測できなかったものもある。
  最初に紹介するのは、あまりに震源地から離れ、しかも震源が深かったために、地震を予
 測
できなかった鳥島近海地震である,こうしたケースにはこれからも出会うであろうし、そ
 の都
度、新しい解析方法を加えるなど、改善が必要だと考えている,この鳥島近海地震は、
 そうした
改善のヒントを与えてくれた地腹でもある。


 ・震源が深すぎてキャッチできなかった鳥島近海地震(2013・9・4)

  2013(平成25)年9月4日9時18分ごろ、東京から582キロメートル離れてい
 る鳥島の近海で、マグニチュード6・
9の鳥島近海地震が起きた。震源は地下400キロメ
 ートルとき
わめて深い。そのためか、マグニチュードは大きいのだが、震度4は宮城県、福
 島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、神奈川県の7県にまたがり、震源に近い伊豆諸島は
 震度2であった。
  我々は、この地震を予測できなかった。
  震源が深すぎて、地表にある電子基準点に前兆が現れなかったのだ。あらゆる地震を予測
 すると標榜してJESEAを立ち上げたのに、前兆現象が出てこない例があったことに、私
 は少なからずショックを受けた。かつて電力会社と協力して162の地震の検証をしたとき
 も、すべて前兆現象をキャッチできたのだ。

  鳥島近海や小笠原諸島西方沖、東海道南方沖などの海域では、しばしば深さ350キロメ
 ートルから500キロメートル前後の深発地震が発生している。このときの地震で鮮明な前
 兆が
出なかったということは、おそらくゆっくりとひずみがたまって起きるタイプの地震だ
 と考え
られた。前に述べた、がん細胞がゆっくりと増殖していくタイプの地震である。その
 症状は
なかなか体の表面(地表)には出にくい。
  そこで、前述した「累債変位」という新しい解析方法を、2014年の3月末から試みる
 ことにしたのである。

 ・千代田区で震度5弱を観測した伊豆大島近海地震(2014・5・5)

  鳥島近海地震が予測できなかったことをきっかけに、新たな解
析方法として「累積変位」
 を試みたことで、明らかになった前兆
現象があった。次に示しているのは、2014(平成
 26)年3
月26日のメルマガで公表した図版である(図18「首都圏に累積変位がたまっ
 ている」)。
  ここに見られる黒い点(歪レベル最
大)は、2年前と比べると、累積したひずみがたまっ
 て、10セ
ンチほど隆起していることを表す。図で見ると明らかだが、東北及び、東京、神
 奈川県、千葉県、埼玉県などの首都圏に、累積の
ポイントが集中しているのが分かるはずだ。

  

  東北地方の隆起に関しては、3・11のときに、太平洋側が沈んで、日本海團が盛り上が
 ったものが、いま、もとに戻ろうと太
平洋剥が隆起し始めているということで説明がつく。
 しかし、関
東地方にこれだけの隆起が見られるのは、それとは別の現象と考えられた。
  これだけ首都圏に同値を超える危険信号が、多数点で点灯しているのは、明らかに異常の
 前兆現象だと確信した。公表すること
への慎重意見もあったが、勇気を出して4月9日のメ
 ルマガで
「首都圏は要注視」と呼びかけた。

 
 その1カ月後の、ゴールデンウィーク5月5日に、伊豆大島近海でマグニチュード6・0
 最大震度5弱の地震が起きたのであ
る。あの3・11を思い起こさせるような大きな揺れが
 関東地方
を襲い、中でも東京の中心地、千代田区の揺れが一番激しかった。震源はは伊豆大
 島近海であったが、まさに首都圏を揺らした地
震であった。
  この地震の震源深さ.62キロメートル,地震学者は、地下深くで起こる地震の予兆が地
 表を見るだけで分かるはずがないという。確かに鳥島近海地震ではキャッチすることができ
 なかったが、「累積変位」の解析方法を新たに加えたことで、震源の深い
地震の賢常もとら
 えることが可能になったのだ。

 
  この地震と、約一週間後に首都圏で起きた地震(最大震度4)
を的中させ、「週刊ポスト」
 が「またも当たった!」と記事にし
てくれたので、ここでも世間の関心を大いに引くことになった。
 が、私としては、当たった成果よりも、新しい解析方法によって異常を見極めることができ
 た喜びのほうが大きかった。

  しかし、こうした週刊誌の記事がきっかけで人々が地震の予測に関心を持ち、メルマガを
 購読してくれれば、日々日本列島がい
かに動いているか、そして地震を生むひずみを育てて
 いるか、理
解してもらえると思う。何度も言うが、地震にはさまざまな顔がある。その顔を
 見極めるには、さらにまだ改良の努力が必要だ。


 ・「一斉変動」で「要注意」を出した沖縄本島北西沖地震(2014・3・3


  地震のがん細胞を見極める「累鯖変位」に関連づけて伊豆大島
近海地震を先に紹介し、時
 系列が前後したが、2014(平成26
六)年3月3日5時11分に、沖縄本島北西沖を震
 源とする、最大震度4の地震が起きている。深さは約で10
キロメートル。震度はさほど大
 きくはなかったが、マグニチュードは6・6と、地震の規模では2014年に日本国内で起
 きた3番目に大きい地震であった(12月10日現在)。

  この沖縄の地震の約3ヵ月前に、我々は異常をとらえていた(図19「沖縄の一斉変動」)。
 沖縄県の北谷町に4センチ以上の異常変動が見られ、ほかの沖縄にある電子基準点がその前
 の週に比べて、2、3センチではあるが、一斉に同じベクトルに動いていたからである。第
 1章の3・11の前兆現象の解析でも説明したが、「同じ日に多数点が一斉変動する」現象
 は、大きな地震が起こる危険サインである。

  異常変動の量は大きくなくても、我々は「一斉変動」という異常現象のほうの危険サイン
 に重きを置き、2013年12月18
日号のメルマガで沖縄地方へ注意を促した。3ヵ月以
 内に、ある
程度大きな規模の地震が来ると予測したのである。
  そして、やはり沖縄の電子基準点の一斉変動は、3ヵ月後に起きたマグュチュード6・6
 の地震の前兆であったのだ。

  当たったか、当たらなかったかという判定では、これは当たったということになるのだろ
 うが、JESEAとしては、そこを強
調するつもりはない。一人でも多くの人が、自分が住
 んでいる地
域の危険サインを認識し、いざというときにパニックにならず、迅速に行動でき
 るようになる。そのことが我々の活動の最大の目
的だと思っているからである。


ここに書かれている著者の言語をアルゴリズム(機械語)に翻訳すれば、予測判定をより高度化
(高級化・複雑化)できるということになると、言う感想をもった。次回も、御嶽の噴火前兆な
どの事例研究が掲載される。
             
                                                  この項つづく  

 ● 今夜の一品

この手があったのかと驚く。それは、清洲桜酒造株式会社が販売している「ブランデー梅酒」。
いつものように寝付きが悪いので、目を覚ましキッチンを物食。それを見つけ、早速ショットグ
ラスに注ぎ流し込み、そのまま煮込む。家で水洗いした梅のへたを取り冷凍し、解凍し、ブラン
デーに漬け込むこと最短1週間で完成。甘味料原則加えないが、氷砂糖などを加え甘口にするの
も好み。透明感がほしいならキッチンペイパーやコーヒーのドリップフィルタなどで濾過すれば
いいだろう。なにっ?もっと透明感がいるってか?備長炭や竹炭で濾過したどうだろうか、やっ
たことないけれど。さらに、ザラメをカルメラにしたものを加えたり、クエン酸(檸檬酸)を少
し加えるのも良いだろう。バイオレーションとして大葉やディル、タイムなどハーブ、クローブ
やシナモンもほんのチット加えるのも良いかも(やったこともないが)。
 医療費削減対策に役立
つことだろう。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下流老人の反デフレテロ?

2015年07月02日 | 時事書評

 
 

  ギリシャ・ユーロ(グレユーロ)は導入後に
        大きく下落する運命であるように思われる。
 

                              ジョン・ノーマンド


 

 

● シャープの次世代太陽電池 NEDOプロジェクトで量産

NEDOは太陽光による発電コストを2030年までに7円/キロワット時に下げる目標に向け、複
数のプロジェクトを推進。このロードマップ実現に貢献に、シャープが実用化を進める高効率バ
ックコンタクト型太陽電池の量産に向けた技術開発が新たにNEDOプロジェクトとして採択。
ここで、バックコンタクト構造とは、電極を太陽電池の裏側に集めて受光面のシャドーロスを無
くす構造のこと。電極を太陽電池の表面に配置した場合、電極の影となる部分は発電が行えない。
こうした影による発電効率の損失をシャドーロスと呼ぶ。また、ヘテロ接合とは単結晶シリコン
基板の表面に高品質アモルファスシリコン膜を形成(ヘテロ接合)することで、太陽光の照射で
生じた正孔(+)と電子(-)が電池内部で結合して消失する現象を低減する。プロジェクトの
実施期間は2015~2019年度を予定している。



それにしても、なぜシャープなのか、なぜ、バックコンタクト-ヘテロ接合が次世代の太陽電池
なのか疑問がつきまとう。前者に関して言えば、この分野で先行していたシャープなどの日の丸
メーカが、ドイツなどの欧米・中国などのメーカーに塵後を拝し遅れを取ったにもかかわらず、
税金を注入するのか、裏返せば、パナソニックや東芝などの日の丸メーカもあるなかで。もっと
も公募・応募のパッケージ?でシャープが手を挙げた正当性は尊重されるべきということはある
が、この方式ではすでにパナソニック、東芝などは既に量産段階にあり、もはや次世代ではない
はずではと思える。グズグズしていると「半導体不平等条約」の轍をこの分野でも踏むことにな
るのではと危惧する。



● 世界最大747メガワットのメガソーラーが米国で稼働 
  「2020年33%」達成へ

今年6月に連系出力579MW、太陽光パネルの設置容量747.3 MWのメガソーラー(大規模太陽光発電
所)「Solar Star」がカリフォルニア州ロザモンドで運転を開始。世界最大規模である。年間発
電量は最低でも1560GWhが見込まれ、なんと一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。
プロ
ジェクトは2013年初めに着手され、米サンパワー製の高変換効率タイプの単結晶モジュール(太
陽光パネル)を170万枚以上、採用した。最後のモジュールは今年3月に設置が終わり、プロジェ
クトの完成となった。架台システムは、太陽の方角に合わせてアレイの向きが自動的に変わる
「追尾型」。



尚、サンパワーは、モジュールの提供だけではなく、EPC(設計・調達・施工)サービスも担当し
た。プロジェクトの進行では、同社の「オアシス」と呼ばれるメガソーラーの開発・施工プロセ
スを簡素化したテクノロジーが使用された。さらにO&M(運転管理・保守点検)もサンパワーが
手掛けるている。
発電した電力は20年の長期電力購入契約に基づいて地元の民営電力会社(Southern
California Edison(SCE
)が買い取る。全購入電力はSCEがカリフォルニア州の「再生可能エネルギー
・ポートフォリオ基準(RPS:renewable portfolio standard)」を満たすために使う。

ところで、現在カリフォルニア州では再生可能エネルギーの導入目標を「2020年33%」から「203
0年50%」に引き上げる法案が出されている。もし、この法案を可決すれば、カリフォルニア州に
Solar Star」を超えるプロジェクトが現れるかもしれないという。

それにしても、恐るべし、オバマ・イニシアティブ!これは大変愉快だ。

 

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅹ
: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

  目 次   

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

     

 第2章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる

                               三つの分析方法から異常を監視
 
  さて、現在JESEAの「週刊MEGA地震予測」
が、具体的にどんな方法で地震予測を
 しているか、ここ
で紹介しておこう。第ニ章で、あらためてメルマガの見方を紹介するが、
 ここでは我々がどんな睨点から地震を
監擬しているか、その方法論を知っておいていただき
 た
いからだ。
  現在我々は、三つの分析方法によって、地震の前兆を観測し、その解析をできるだけ分か
 りやすく情報として
提供している。

  まず「週間異常変動」。国土地理院が2週間遅れで公開している七日分の高さ(H)だけ
 でなくXYZのデータを分析し、各地点の七日間で最も高い値と低い値の差が4センチを超

  えろものを、注意・警戒の対象として日本地図の図版入りで紹介している。4センチ以上
 地表が動
くというのは非常に大きな変動であり、そこに何らかの異常があろと見るからであ
 る,


  二つ目は高さの「隆起・沈降量」。1年または.2念前の
高さから地表がどの程度隆起、
 または沈降しているかを
分析するもの。地球の表面は常に上下左右に徴妙に動き続けている
 が、どの地域が異常な隆起現象を見せている
か、あるいは沈降しているかは、地震予測の大
 きな目安
になる,最近は高さだけでなくXYZの「増加・減少」も分析している。
 
   三つ目が、最近取り入れた「累積変位」。この累積変位は、日々のデータの高さ(H)の2年前との
 変位差を6ヵ月間(約180日)累積したものだ。隆起及び沈降の鯖分値であり、長い期間
 にわたってどのくらい異常がた
まっているかを見ることができる、メルマガでは3ヵ月ごと
 に累積変位マップを掲載している(図13「2014年9月24日メルマガ 日本列島累積変位
 マップ」)。このマップを見てもらえば、3・11以降、列島全域にいかに隆起・沈降によ
 るひずみがたまっているか、ひと目でお分かりいただけるだろう。 



  第一章で、3・11の前兆現象として宮城県や岩手県の累鯖変位を紹介した。後追いでは
 あるが、この累積変位の検証が、いままでとらえることのできなかった初のプレスリップ(
 前兆滑りともいう)観測にもつながった,一日ごとの変化は小さいが、長期にわたってひず
 みの値を足していくと、大きな差になり、大地震の前兆を仔細に監視していける非常に有効
 な方法だと思っている。
  こうしたご.つの監睨方法で、電子基準点のデータを見ていくと、いかに地球が軟らかく
 できているかが手に取るように分かる。
  大きな地震の前には数センチの単位で地表が動くのが観測でき、さらにその動きをほかの
 方法で解析してみる。
  と、どの地域にひずみがたまり、どの地域にどのくらいの規模の地震が発生しそうか、地
 球の動きが診断できるのである。

  いまでは50近い人工衛星を用いた衛星潮位システムによって、その精度は格段に上がり、
 誤差はほんの5ミリ程度。数年たてば、1,2ミリにもなろうかという正確さである。座標
 の値にまだ誤差があったころは、当時特許を取った三角形面積の変動率を加えないと精度が
 粗くて使いものにならなかったが、いまは点の座標の動きだけでもかなり正確な情報をつか
 むことができるようになった。

  加えて、地表の診断がスピードアップできるようになったのは、衛星潮位システムの進歩
 だけによらず、2007年ごろを機に、計算機の飛躍的な進歩で、データを分析する複雑な
 計算が短時間でできるようになったためだ。研究を始めたころ、何時間、何日もかけて数式
 と取り組んで格闘していた日々を思うと、まるで別世界に来たようである。メルマガのスピ
 ーディーな配信ができのも、こうした科学の進歩のおかげだ。


つまり、すべからく『デジタル革命渦論』の恩恵に浴しているわけだが、まだまだ、進歩してい
くことをわたし(たち)は、1989年に職域で個人的に『マルチメディア研究会』を発足させ
た当時の想定した思考枠を超えるものではないことだけは言明しておこう。まだ、まだこんなも
んじゃないということを。


                                 3・11前に起きたメガ地震の特徴

  日本は言うに及ばず地震の多発地帯である。地震を経験したことのない外国人であれば、
  震度3くらいであっ
ても「地面が揺れている」こと自体に恐怖し、大騒ぎするが、地震慣れ
  している日本人であれば、震度3、4く
らいの地震ではさほど驚かないものだ。
  しかし、同じ地震でも、さまざまな顔(特徴)がある。私が地震予測の研究を始めたきっ
 かけとなった2003
(平成15)年の十時沖地震に関してはすでに紹介したので、ここで
  は、3・11前に起きた、震度5以上
の特徴的な地震について分析してみたい。
  なお、ここでいう特徴とは、前兆現象に見るそれぞれの現れ方の特徴のことである。


 ・「揺らぎ」が繰り返された福岡県西方沖地震(2005・3・20)

  福岡県西方沖地震は、2005(平成17)年3月20
日10時53分、福岡県北西沖の
 玄界灘で発生し
た最大震度6弱の地震である。地震の規模はマグェチュード7・0。この地
 域には過去にマグニチュード7
クラスの地震はめったになく、歴史的に地震が起こりにくい
 と認識されてきた地域で発生した,その意味で
は地震学者にとっても、想定外の珍しい地震
 であった
といえる。しかし、電子基準点データでは異常が出ていた。

  この地震の前兆現象については、荒木さんともずいぶん議諭したのだが、前兆の現れ方が
 分かりにくく
解析に戸惑ったことを覚えている。
  十勝沖地震は一発できれいな前兆現象がデータに現れたのに比べ、福岡県西方沖地震の場
 合は、グラグラ
と異常変動が出るものの実態がはっきりせず、そのグラグラが何度も続いて
 出るという珍しい現れ方だっ
た。荒木さんはその現象を「揺らぎ」と称したが、その揺らぎ
 が4、5回続いた後、マグニチュード7・0
の地震が発生したのである。 
     この地震は、陵追い険証てはあったが、これまてにない特徴を持った前兆を知る1つの
 パターンとして
とても参ぢになる地震であったと思う。
 (図14「福岡県西方沖地震の前兆」)

 


  ・非常に前兆が明瞭だった中越沖地震(2007・7・16)

  2007(平成19)年7月16日10時13分に発生した中越沖地震は、新潟県中越沖
  (新潟市の南西
約60キロメートル)を震源とする地震である。マグェチュードは6・8最
  大震度は長岡市などで6強を
観測した。中越地方では2004(平成16)年にも新潟県中
  越地震が起きているが、このときもマグュチ
ュード6・8、震源の深さ22キロメートルの
 直下型
地震であった。

  中越地震では、地震で起きた土砂崩れの中に車ごと
小さな男の子が埋まってしまい、二次
 災害が起きそう
な劣悪な環境の中で、消防士やレスキュー隊の方によって小さな命が助け出
 されたニュースは印象的であっ
た。
  中越沖地震も、検証では、非常に明瞭に前兆が出ている。図の矢印に示すように、約2ヵ
 月半前に4セン
チ超の一斉異常変動が見られた。
 (図15「中越沖地震の前兆」)

  

 ・地滑りが特徴的だった岩手・宮城内陸地震(2008・6・14

  2008(平成20)年6月14日8時43分に岩手県内陸部(宮城県仙台市の北約90キ
 ロメートル)で発生した、マグー
チュード7・2の大地震。これは、大きな特徴として、私の
 知る
限り最大級の地滑りが起きた大地震であった。
  同県奥州市と宮城県栗原市において最大震度6強を観測したが、被害地域が山林、過疎地で
 あったので、震度のわりには建物被害
が少なかったといえる。ただ土砂災害はひどく、地すべ
 り、崩落が
起きて、高さでいえば百メートルも滑り落ちたのである。栗駒ダムによって土石流
 は止まったものの、栗駒の旅館が流され
、何人かの犠牲者が出てしまった。被災地が過疎地で
 はな
く、人の住む集落があったなら、あれだけの土砂崩れ、滑落がれば、相当の犠牲者が出て
 いたはずである。

  この地震の前兆現象もクリアに出ている。図の矢印で示すように、約4ヵ月半~4ヵ月前に
 一斉異常変動が見られた、

 (図16「岩手・宮城内陸地震の前兆」)

 


13年周期で大きな地震が発生するとして、2011年の東日本大震災を起点とすれば、20
24年に日本列
島周辺に発生することになる。これは東京オリンピック開催の4年後に当たる
が、その時、福島第一原発はどうなるのか?そのた50ヵ所地殻の原発どうなるのだろうか?
核廃棄物や核汚染物質の中間貯蔵施設はどうなるのだろうか?東京が打撃を受けた場合はどう
なるのだろうか?と、疑問が具体的になってくるから、抽象的な確率論より、議論は白熱を帯
びて面白い。


                                                                                                   この項つづく 

 

  

● ワーキングプアーと後を絶たぬ違法行為

全国展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京
労働局
過重労働撲滅特別対策班、通称「かくと」は、労働基準法違反の疑いで2日にも運営会社
を書類送検す
る方針を固めた。「かとく」は、いわゆるブラック企業対策のため、ことし4月に
発足した組織で、送検を行
うのは今回が初めという(NHK放送 2015.07.02)。これはデフレ脱却
していない証ということになるがいかに。

 

● 東海道新幹線で焼身自殺は、下流老人の反デフレテロ?

神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した、東京都杉並区西荻北、林崎春生容疑
(71)が事件前の6月中旬頃、杉並区の区議に電話で「仕事を辞めて収入が年金だけになっ
た。生活が大変になって困っている」と相談していたことが分かったという(読売新聞 2015.07.
02)。これを受け、『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、
144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃
上限】)である。
資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれ
ば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。
要するに、生活保護を福祉
課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額
2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱え、
どうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹
線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は「貧困対策」ではないか!?」
 2015.07.02)。
ここでも脱デフレで苦しむ下流高齢者像が浮か上がっていくるとしたら、ブログでも掲載してき
た(『"失われた30年"模様』2015.06.24)ように、日本の政体の中枢の崩壊を意味するのかも
しれない。


 
※ 近々、『下流老人』を読むつもりだ。またその感想を掲載する。

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海ハムの畜養工学

2015年07月01日 | 新弥生時代

 

 
 

     とにかく、新しい毎日なんだ。  / ヘミングウェイ『老人と海』 


  だが、と老人は考えた、おれは大丈夫だ。ただ、どうやらおれは運に見はなされたらしい。
  いや、そ
んなことわかるものか。きっときょうこそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ。
  運がつくに越したことはない。でも、おれはなにより手堅くいきたいんだ。それで、運が
  向いてくれば、用意はできてるっていうものさ。(福田恆存訳)

 



※ わたしのお気に入り

   “What kind of a hand is that,” he said. “Cramp then if you want. Make yourself into a claw. It will do
   you no good.” 
   Come on, he thought and looked down into the dark water at the slant of the line. Eat it now and it
   will strengthen the hand. It is not the hand’s fault and you have been many hours with the fish. But
        you can stay with him forever. Eat the bonito now.

                                                                                                            "The Old Man and the Sea", pp. 58
                                                                                                                   

 

  Hemingway in Cojímar

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅸ
: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、

映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

 目 次   

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象

 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

 

   第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる

                              浅い断層図だけでは分からない地下の動き

  JESEAの経営を軌道に乗せる際、メディアの効果が大きかったことは私も認めるし、
 有難か
ったと思う。払の記嘔の取り扱い方もセンセーショナルなものであったが、それが受
 けるのは、そ
れだけ人々の危機意識が高いということでもあろ。
 
 週刊誌だけでなく、東日本大震災の後は、今後、巨大地震がいつ来るかという可能性につ
 い
て、地震学の専門家をゲストに呼んで解説を聞くというニュース番組や特集番組も増えて
 いる。


  彼らは地震学者だから、当然、地震の起きる仕
組みを理学的アプローチから説明する。も
 ちろん
私も、地震の発生メカニズムを理学的に解明することは重要な研究だと思っている。
  第一章で、地震を病気にたとえて、体の表面に出た発疹やくしやみなどの症状から内部に
 隠れている病巣を探る方法だと説明した,このたとえでいえば、地震学者のアプローチは、
 肝臓などの内臓にどのような理由で異変が起こり、病県が形成されるに至ったか、病気の根
 本を追求する作業である。これを追求するには、患者の解剖をしてその組織を調べることが
 最大の近道である。

  地震でいえば、体内の病巣を確認するには、地表の何十キロメートルもドにあるプレート
 や断層がどうなっているか「解剖」してみればいいわけである。
  ところが現実に使える観測機械は、地表の揺れを測る地震計と、地下に埋めてあるひずみ
 計である。この装置のみでは、地球の複雑な構造を解明することは難しい。
  たとえば関東平野はローム層で、火山灰や堆積物で埋まっているため、ボーリングをして
 地下の構造を調べるといっても、せいぜい深くても3千メートル程度であろう。
  地上から2.3キロメートルというのは、地球喫模でいえばほとんど地表である,浅い地
 震でも震源が地下10キロメートルくらいだ,深い地震は、震源が80キロメートル、百キ
 ロメートルというような、とても人間の手の及ばない深いところで起きているのだ。201
 3(平成25)年にカムチャッカで起きた地震は、オホーツク海大陸棚の609キロメート
 ルという深さの地点で発生している,こんな深いところで起きている地震を、地表に現れて
 いる断層や地震計だけで予測するのはほぼ不可能といっていい。

  その意味で、地震学者がよく言う「プレート理論]を信用しすぎるのも私は危険だと思っ
 ている。「地震の起きる仕組み」といって、教科書などにプレート図が載っており、海のプ
 レートが陸のプレートの下に滑り込むことでエネルギーがたまり、ある日、プレートの境界
 でそれが跳ね返り巨大地震を発生させる……。こんな図や解説を見たことがある人は多いと
 思う,地震学の権威という人がそれを説明するのだから、日本人の多くが地震はプレートの
 動きで起きる、それが地震の起きる仕組みだと信じていると思う。

  しかし、この仮説は、あくまで想像にすぎないのである。地球はこれまでのあいだ、隆起・
 沈降や火山噴火、大陸移動などの地殻変動を何度も繰り返してきたと思われる。そんな地球
 の内部を、浅い断層図や、プレートの動きの単純なモデルだけで説明するのは、とても無理
 なことだと私は考えてきた。


                      地震の確率論は当てになるか?

  もう一つ、私がずっと疑問に思ってきたことがある。それはすでにいろいろなところで公
 になり、週刊誌やテレビの特集でも取り上げられてきた、首都直下地震や東海地震の確率論
 である。どちらの地震予測も「この先●年以内に起きる確率は●パーセント」という、人々
 の恐怖をあおるような数字をはじき出し、タイトルに大きく記されていた。
  この地震の起きる確率がどうして出されるのか、私にはずっと分からなかった。そこで、
 この確率論がどうやって導き出されたのか調べてみた。私自身も驚いたのだが、その中身は
 意外なものであった。

  この確率●パーセントという数字に根拠がないかといえば、そうではなかった。「グーテ
 ンベルグ・リヒター則」という法則に基づいて計算されたものだったのだ。
  これは、ドイツの地震学者ベノー・グーテンベルグとアメリカの地震学者チャールズ・リ
 ヒターが1950年代に見出した、地震の発生頻度と規模の関係を表す法則で、「小さな地
 震が起きる確率と、大きな地震が起きる確率との比は常に一定だ」というもの。横軸にマグ
 ニチュード、縦軸に地震の頻度を取って、対数目盛で計算すると、右肩下がりの直線になっ
 ていく。当たり前といえば当たり前なのだが、大きい地震ほど頻度が少なく、小さい地震ほ
 ど頻度が多い。つまり、大きい地震はめったに起きないということを言っているにすぎない
 のである。

  さらにいえば、小さい地震がどんどん起きると、右肩下がりの直線の値も上がっていく。
 その数値が上がれば、大きい地震の数値も底ヒげされる。その確率が何パーセントと彼らは
 言っているのだ。
  理論だけでは分かりにくいので例を挙げてみよう。たとえば1923(大正21)年の関
 東大震災であれば、同じような震源、深さの地震を過去にさかのぼって小さなものから大き
 なものまですべて数え上げるわけである,関東大震災はマグニチュード7・9で、多くの死
 傷粁が出たが、その前後には、近隣で起きたマグニチュード4や5ほどの中小の地震が何千
 とある。こうした小さな地震がたまると、大きな地震が一定の期間内に起きるというのが、
 グーテンベルグ・リヒター則の確率論なのだ。「首都直下地震が何年以内に起きるという予
 測は、そんな統計確率論から導き出されたものであった,

  そういった実態を知って、私は少々落胆してしまった。地球の地下の構造やメカニズムか
 ら導き出された予測ではなく、確率論をベースに出された数宇だったのである。それがまこ
 としやかに公表され、人々がそれを本気で信じて右往左往しているとしたら、これはじつに
 無意味なことだ,
  大体、この確率論は、過去に起きた大きい地震だけを基準に出しているもので、それがな
 いと計算ができないというのも最大の弱点である。
  いまや、週刊誌や新聞で、首都直下地震の確率が高まったと騒いでいるが、何のことはな
 い。2011年3月以来、東日本大震災の余震が中小含めてたくさん起きていることで、確
 率が上がったと言っているだけなのである。


 

              千人以上死者の出る地震が13年に1度起きている

  世界にはいくつか地震の多発地帯がある。スマトラ、ソロモン、チリ。日本もその一つで
 ある。いまの地震の予知・予測の主流は、こうした多発地帯ですでに起きた地震を唯一の手
 がかりにした統計学、確率論なのである。
  しかし、過去に起きた大地震を手がかりにして、これから起きる地震の予測が本当にでき
 るのだろうか。過去に起きなかったところはどうなのかといえば、まったく分からないのが
 この統計学の泣きどころなのだ。いい例が1995(平成7)年に起きた阪神・淡路大震災
 である。千年も大きな地震などまったくなかった神戸に突然起きた。これだけでも、何年説
 などというのは当てにならないことが分かるだろう。
  この阪神・淡路大震災も含め、日本で千人以上が亡くなった大地震は、過去4百年に30
 回起きている,その間隔はじつにランダムで何年説という法則はまるであてはまらない(図
 12「過去400年の大地震」)。

  たとえば、1943(昭和18)年から46年までの4年続けて、鳥取地震(1943)、
 東南海
地震(1944)、三河地震(1945)、南海地震(1946)と、千人以上が亡
 くなる巨
大地震が起きている,さらにその2年後の1948(昭和23)年の福井地震では、
 約3800人
もの人が亡くなっているのだ,ところが、その隆は1995年の阪神・淡路大
 震災まで50年近く
空白があり、その問は千人以上の犠牲者が出るような大地震は起きてい
 ない。

  この時期はちょうど日本の高度成長明で、高速道路をはじめ、さまざまなインフラが超特
 急で整
備され始めた時期である。この大地震空白の時明にそれができたというのは非常にラ
 ッキーであっ
た、
  それに比べて日本史上最悪だったのは、1700年代に起きた元禄地震と宝永地震だろう。
 元禄地震(1703)は、モデルでいえば相模トラフで起きた関東大震災に少し近い,その
 4年後に南海トラフ3連動による宝永地震(1707)が起きたのだ。宝永地震の閲49日
 後には富士山の大噴火が起きて、せっかく復興した東京、当時の江戸にも数センチの火山灰
 が降り注ぎ、再び大打撃を受けることになった。連続するときはこれでもかというほど、最
 悪の事態を呼び込むのである。

  阪神・淡路大震災が起きてから16年後に、東日本大震災が起きた。どうだろうか。昭和
 以降の地震を見ただけでも、統計的な確率計算や、間隔の法則にあてはまっていないのがお
 分かりいただけるだろう。
 「これから●年以内に首都を八二ックに陥れる巨大地震がやってくる!」などと公言するの
 は、我々から見れば、いたずらに人々の恐怖心をあおっているようにしか見えない。いまだ
 地震が起きていない場所に起きる可能性はいくらでもあるのだ。




                       断層のない場所でも大地震は起きる

  もう1ついえば、よく地震学者のいう「断層」のあるなしも、あまり当てにならないと私
 は考えている。、
  1943(昭和18)年に起きた鳥取地震で千人人以上の方が亡くなっているのだが、こ
 こには断層がないのである。首都圏もローム層に覆われて断層が発見されにくいので、直下
 型の地震が来るとすれば鳥取地震がモデルになるといわれている。

  私は土木で力学もやっていたので、断層の力学はある程度は理解しているつもりだ。一枚
 の大きな岩盤があるとすれば、断層というのは、岩盤が壊れた後のひび割れである。確かに
 地震のときは断層のそばはたくさん動くので、被害は大きくなる。地震というのは弾性体の
 破壊なので、塊がばきっと折れたり、あるいは地滑りのように崩れ落ちたりする。であるか
 ら、断層がなくても、ある岩盤が割れれば地震は起きるし、大きな塊が落ち込んでも大地震
 につながる。今回の東日本大震災は、東北地方の大きい塊がドスンと海のほうに動いたとい
 うのが、電子基準点の動きから見た私の見解である。

  さて、このように見てくると、統計論や確率諭、さらに断層からの地震予測も、これから
 起きる地震の予測には、あまり役に立たないのではないか。それならば、いまや驚質的な精
 度を誇る衛星測位システムから得られるデータを利用し、毎日、地殻や地表の異常変動を見
 ながら診断する我々の工学学的アプローチのほうがずっと科学的ではないか。そう自負する
 のだが、皆さんはどう思われるだろうか。

  日本で千人以上死者の出た大地震は、400年間で30回起きているわけなので、確率論
 などではなく、県純計算すれば平均13年に1回ということになる。とすれば、いつ、どこ
 に起きるかは分からないが、目安として今匯紀中にあと六~ハ回、大きな地震が来ると考え
 られる。

  JESEAを立ち上げるとき、「グズグズしていられない」と私が思ったのは、いつそん
 な大地震の前兆が観測されるか分からないからだ。1年後かもしれないし、すぐ明日のこと
 かもしれない。
  以前のように数10年の空白の後、連続して巨大地震や噴火が重なるかもしれない。その
 前兆を見逃すまいと、我々は日々、診断の精度を上げようと試行錯誤を重ねているのである。


工学の「工」は、天(自然の真理)と地(人類)を切り結ぶものと理解している。つまり、「ど
うしたら、(望ましくて)未だ存在しない状態やモノを実現できるか」の追及、或いは「どうし
たら目指す成果に結び付けられるか」という、人間・社会で利用されること、という合目的性を
追求することと心得るが、ここではそのリアルな実体験として語られている。実に面白い。、


                                    この項つづく

 

● 海ハムの畜養工学 

1905年、天然マグロを使った「海の生ハム」は、南勝浦漁港発祥のマグロの生ハムで、あっ
さりとした味
わいに生ハム独特の熟成風味が相まった上品な食材が和歌山の株式会社ヤマサ脇口
水産で開発され、
販売されていることを最近知り、今夜ネット検索するも、結構な値段で通販で
取り寄せることだけはしなかった。

とこれで、同社は当初、マグロの取引をしているユーザの、高級料亭やホテルに販売し、料理長
や食した顧客の支持を得て一般市場へ出回る。マグロの生ハムの販売当初は、地元の料理屋で試
しに置いていたが、思った以上に反響があったという。生ハム料理事例では、(1)マグロの生
ハムサラダ――イタリアンドレッシングや、わさびマヨネーズを加える。(2)マグロの生ハム
サラダ巻き寿司、(3)バルサミコ酢やオリーブオイルでカルパッチョのオードブルなどがお勧
め。勿論、白ワインや日本酒ともベストマッチする南紀勝浦港産の海の生ハム。
 

※  特開2006-061096  生ハム様クロカワカジキ加工食品およびその製造法
※ 
特開2005-341812  生ハム様ビンナガマグロ加工食品およびその製造法
 ● 今夜の一品

【特許開発の概要】

従来から種々の魚肉加工食品として、(1)魚臭を低減に、マグロのような魚肉を、土壌菌を含
有する調味液に浸漬し、乾燥後、燻煙処理する方法。(2)マグロを包含する種々の魚介を、燻
抹調味料を用いて生ハム様にする方法。(3)サケ・マス肉と結着剤を用いて高圧処理した生ハ
ム様の魚肉加工食品の製造法などがあり、ビンナガマグロが最初につづいて、クロカワカジキの
肉質の特性を利用した、生ハムに非常に似た外観、風味、食感を有する魚肉加工食品として開発
される。その製法特徴はつぎのようになる。
尚、( )ないの数字はクロカワカジキ。

(1)生肉塊の塩水浸漬、非加熱乾燥物の少なくとも周縁部に冷燻処理を施してなることを特徴
  とする生ハム様クロカワカジキ加工食品。
(2)0~15(5)℃で25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)℃で冷風乾燥した
  ビンナガマグロの肉塊の少なくとも周縁部に0~40(5)℃の燻煙で燻煙処理を施してな
  る(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ加工食品。
(3) ビンナガ(クロカワカジキ)マグロの生肉塊を、塩水に浸漬し、非加熱乾燥後、少なくと
  も肉塊の周縁部に煙処理を施すことを特徴とする(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ(ク
  ロカワスカジキ)加工食品の製造法。
(4)0~15(5)℃で1~2(5)時間、25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)
  ℃の冷風で12(60)~60(168)時間乾燥し、0~40(5)℃の燻煙で2(24)
  ~90(60時間)分間燻煙処理する(3)記載の製造法。

ということになるが、乱獲による漁獲量逓減するなか、資源保護方法、人工孵化・畜養法の開発
が急がれるほどこの事業は魅力的である。もう、ヘミングウェイの『老人と海』に描かれた世界
はなくなるが、その変わり、美味で、健康的な食品が世界に提供できる日もそう遠くないだろう。、


    

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする