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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ギブ・ミー・チョコレート

2015年02月13日 | 日々草々

 


 

                カラコロと飴玉響く母の部屋 孝行したき時に親はなし

 



時間とともに忘れ去るものと考えていたが間違いに気づく。苦しいそうな顔がデジャブしたりすると、良心の呵責
によるものか「孝行をしたくときには親はなし」が頭をよぎる。そんなとき、両脚が不自由になり床離れできぬこ
とが多くなったが元気な頃、日差し溢れる部屋で、母が飴玉を美味しそうにしゃぶっているシーンが浮かんできた
りする。母の食べもに対する執念はそれはたいしたもので、数多くのエピソードがある。そんなことを話すと、彼
女はいろいろとわたしの知らないエピソードを語ってくれるが、いつも楽しそうに笑っている。なんだ、そんなこ
ともあったんだったけ、と。こちらもつられて笑ってしまっている。そういえば、徳兵衛(回転寿司店)の烏賊の
げその天麩羅をもりもり食べている様子は繰り返し彼女の口からでるエピソードだが、目尻の涙を拭いながらいつ
ものように笑っている自分がいる。 ^^;。

 

  

● 冷戦時代の核熱戦争にかわる、何でもありうる対テロ戦争時代 

過激派組織「イスラム国」が「日本が標的になった」などとする記事を掲載した機関誌をインターネット上に公開。
12日に公開されたイスラム国が発行するインターネット機関誌で、日本人人質事件に触れ、当初、提示した2億ド
ルの身代金要求について「応じないのは分かっていたが、傲慢な日本政府をおとしめるために要求した」などとし
ている。安倍総理大臣の中東支援が「イスラム国への攻撃に使われるのは明らかだ」とし、「すべての日本の国民
はどこでも見つけ次第、標的となる」などと日本を敵対視する姿勢を明確に示しているという。記事では人質解放
交渉の内幕にも触れられ、ヨルダンのイスラム原理主義指導者が仲介にあたったものの、パイロットとの交換を持
ち出したため拒絶したなどと掲載されているという(テレビ朝日 2015.02.13)。彼らの意図が真実なら、わたしが
想定していた筋書き通りとなる。




● 今夜の一冊 推薦図書『吉本隆明の経済学』

昨夜の 「永続敗戦論と長髄彦考 Ⅱ」に掲載したからみで、中沢新一編箸『吉本隆明の経済学』も紹介した恰好に
なっているが? 購読するかどうか迷っていた、これまでの読書履歴からそれはよすことにした。が、中沢は言葉が
巧みで、ほれぼれするところあり、前説を転記しておきたい。

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!

 吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異なる、類例の
 ない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思考の宇宙を、ひとつの「絵」
 として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本
 隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。

 はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 労働価値論から贈与価値論へ
 第5章 生産と消費
 第6章 都市経済論
 第7章 農業問題
 第8章 超資本主義論
  第2部 経済の詩的構造
 あとがき




 吉本隆明にとって、敗戦というのは重大な意味を持っていました。戦前軍国少年だった吉本さんは、日本的価
 値に対して大きな信頼を置いていました。それが敗戦を迎えたとき、一朝にして真逆の方向へ大転換してしま
 った。世の中のひとは「民主主義」や、「新しい日本」という方へ向かって行きましたが、吉本さんはそうは
 考えませんでした。なぜ日本が負けたのか、負けざるを得なかったのはどうしてなのか。日本は必然性をもっ
 て負けた、この必然性は いったいなんなのか。吉本隆明は、大変な切実さでその根本へ深く降りていたので
 した。

 結果、吉本さんの思考は日本人には世界認識の方法がなかった、という考えへと至ります。日本人が民族的に
 優秀であるとか、竹槍で飛行機に勝てるとか、そんなことを言い出していた。そうして戦争へ突入し敗戦を迎
 えました。そのとき決定的に欠けていたのは、世界史というものはどう動いていくか、世界におきることをど
 う認識していくのか、その方法であったのです。価値の生まれるところまで降りていき、世界認識の方法を獲
 得しようと思った、ただひとりのひとが吉本隆明という人でした。

 ここに吉本隆明の偉大さがあります。

 そして吉本さんはマルクスを読み、大きな衝撃を受けました。世界認識の方法において、マルクスはダントツ
 のものを持っていた。マルクスの世界認識の方法、それこそが経済学でした。自分は経済学を始めなければな
 らない、そういって敗戦から数年間、一から、独学で、猛然と経済学の勉強を始めます。アダム・スミスやリ
 カードを隅から隅まで読み、そしてまたマルクスを微細に分け入って繰り返し読んだ。シモンド・ド・シスモ
 ンディやジャン・バティスト・セイにいたるまですべてを勉強し、そしてそこから世界認識の方法を抽出した
 のでした。

 この方法を基に書かれたのが『言語にとって美とはなにか』という書籍です(そこで経済学をやる、とならな
 いのが吉本さんのおもしろいところです)。この本の中で吉本さんは、文学とはなにか、美とはなにかという
 問題に、この経済学の方法論を投入していきました。そこから『共同幻想論』や『心的現象論』などの研究に
 入っていくわけですが、吉本さんの発想の源泉にはいつも経済学がありました。経済学そのものを論じたり、
 語ったり、論文や書籍を書いたりすることはなかったけれども、通底音のように響いています。それは、いろ
 いろな機会に、たとえば「いま消費社会といわれていますが、あれはどういう意味でしょう?」とか、「政治
 家がこんなことを言っていますがどういうことでしょうか?」や、「農業が衰退に向かっていますが、大丈夫
 でしょうか」などの対話の中で、散発的に浮かび上がってきています。

 今から6年前、吉本さんにそんな話をし筑摩書房にもお話して、今回の書籍ははじまりました。まずは吉本さ
 んが話し、書いたものの中から、経済学が主題となっているものを集めて分類していきました。それを持って
 吉本さんに確認したところ、急にね、経済学というのは自分にとってすごく大事だから、この本は自分が書く
 よ、といい出したのです(笑)。そんな時間がどこにあるのでしょう(笑)。エーッ、と思ったけれども、自
 分で書くと言っているのだから仕方ないなあ、まいったな、と思い大事にとっておいたのでした。そんなうち
 に書きものが出来なくなってしまい、そのまま帰らぬ人になってしまった。そうして残された課題にずっと取
 組み、できあがったのが今回の『吉本隆明の経済学』です。自分としてはめったにない書籍のタイトルですが、
 この本に関しては愚直なほどのものを込めた書籍をつくりたかったのです。

 吉本さんの思想の背後にある「経済学」というのは、いままで取り出されたことはありませんでした。このよ
 うな形で、吉本さんの経済学の体系を取り出してみたら、それは本質的に、吉本さんの言わんとする言語の詩
 的構造や、芸術言語論のようなものでつくられた経済学の構造をしていることが見えてきました。これは今読
 んでも新鮮で、鮮やかな示唆をわたしたちに与えてくれます。これまでの経済学の、どこにも属さない「吉本
 隆明の経済学」は現代ますます重要な意味をもっているといえるでしょう。ぜひお読みください。

                             『吉本隆明の経済学』刊行記念イベントより



 

● 環境商品虚像考

窓ガラスフィルムに「断熱効果に根拠なし」として消費者庁が文京区のフィルム製造メーカー「翠光トップライン
」に対し措置命令を下した。このメーカーが製造する窓ガラス用の「シーグフィルム」については、おととしまで
窓に張るだけで「冷暖房効率が30~40%アップ」「夏涼しく、冬暖かい部屋になり、省エネに効果てきめん」
などと、メーカー側が高い断熱効果を強調して販売。
フィルムの断熱効果について消費者庁はメーカー側に説明を
求めましたが十分な根拠が示されず、景品表示法違反の措置命令を出す方針を固めた。今後、メーカー側は、消費
者へ表示の誤りを周知し、再発防止策を求められる。「
シーグフィルム」は1平方メートルあたりの価格が工事費
込みで1万5000円ほどで、東大などの学校や公共施設、高級ホテルなどに納入されているという。

 【符号の説明】 1 光学用フィルム基体  2 被膜  A 冷却流体


「特開2005-262554 高放熱性光学用複合フィルム及びそれを用いた放熱方法」


同社の出願特許を確認すると「光学用フィルム基体1の少なくとも片面に、可視光線透過率がフィルム基体のそれ
より大きく(好ましくは90%以上)、日射熱吸収率及び常温熱放射の波長域における放射熱吸収率がともにフィ
ルム基体のそれより小さく(好ましくは日射熱吸収率が0.01~11%、放射熱吸収率が0.01~20%)、
且つ熱容量がフィルム基体のそれより小さい(好ましくはフィルム基体に対して10%以下の)被膜2を形成し、
この被膜表面に空気、水等の冷却流体Aを接触させることにより、高温となったフィルム基体を放熱させる。光学
用フィルム本来の可視光線帯域の透明度を損なうことなく放熱性が向上したとある。

つまり、位相差フィルム、液晶フィルムなどの光学用フィルムの場合は、ブラスト加工やフィルムにフィンを設け

て放熱性を向上させることは技術的に可能であるが、これらの方法を用いて放熱を行うと光学用として用いるフィ
ルム本来の機能まで失ってしまう。また、フィルムの熱容量を小さくするためにフィルムの厚さを薄くすればよい
が、機械的な強度が低下し、破損しやすくなる問題があったが、これらの従来技術の欠点を解消して、可視光線帯
域の透明度が高く、しかも高い放熱性と冷却効果をもつ光学用フィルムが提供できるというものであるが、同社の
冷暖房効率が30~40%アップ」「夏涼しく、冬暖かい部屋になり、省エネに効果てきめん」との表示が不当
であったということで今回の措置命令となっている。

環境リスク本位制時代の環境商品は、時代の寵児扱いとされるが、多分にムードに流されその商品の機能(あるい
は機構)的価値がないがしろにされることへの警告事例である。先日も、三貴が根拠示さず「がん予防に」と飲料
水販売したとして再発防止を求められていたが、こちらは、健康志向商品(この方面での偽装・不当表示事例数は
多くありそう)であった。

 

 ● 今夜の一曲


 

BUMP OF CHICKEN飴玉の唄」。BUMP OF CHICKEN は掲載してきたから書かないが、「何光年も遙か彼方から
やっと届いた飴玉」は浪速のおばちゃん達の「飴ちゃん外交」の知恵。彼女達の切れ目ないパワー外交はきっと世
界平和を実現するだろうと確信しながらこの楽曲を聴いていた。




● ギブ・ミー・チョコレート!

バレンタインディが明日に迫り、彦にゃんには遠く及ばぬものの、
今朝、彼女に吾を忘れ請求する。微妙な間があ
ったものの、それじゃ、ビバ!でお酒入りのチョコを買っておきましょうと返事を戴いた。有り難い!誰も相手に
してくれないための非常手段というわけだがこれって、焼け跡闇市世代の敗戦から立ち上がる力強さと同じじゃな
いのかとも思えた。捨てたものじゃないと。

   LA TRUFFE NOIRE MELANOSPORUM

 

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社会を変える地図力 Ⅱ

2015年02月12日 | 開発企画

 

 

● 三次元風力マップ 「3D風見鶏」

いつも湖岸を走るとき気づくのだが、滋賀県草津市のランドマークとして知られる琵琶湖岸の風力発電機「くさつ
夢風車」が停止していることだ。同市の説明では2013年4月から停止したままになっている。京都府伊根町などの
事故を受けた安全点検に加えて、保守管理業者が指名停止処分を受け、修繕工事が進まないためという。昨年3月
以降、伊根町や北海道、三重県で風力発電機の事故が相次いだため、経済産業省が全国の施設に一斉点検するよう
通知
した。くさつ夢風車も同年4月16日に停止。国が事故防止対策をまとめた12月から本格的な点検作業に入
り、当初は今年
4月の再稼働を目指していた。しかし2、3月の調査で、ブレード(羽根)の先端にある避雷器3
個がすべて焼け焦げていたこ
とが分かった。東京電力グループの電気設備会社「関電工」(東京都)に修繕工事を
発注しようとしたが、同社は送電ケーブ
ル工事に関する独占禁止法違反で4月25日から60日間、国土交通省か
ら営業停止処分を受けた。市も5月22日から6カ
月間、指名停止処分にある。

関電工は、夢風車の建設工事に関わり、以降も随意契約で保守管理を請け負っている。市は別の業者に委託するこ
とも検
討したが、「ドイツ製で特殊な機器のため、管理は同じ業者が継続した方がいい」(市環境課)と判断。今
後、関電工の指名
停止の解除を受けて、修繕の見積もりや工事に取りかかる。ただ海外の技術者に依頼する可能性
もあり、工期の見通しは
立っていない。本年度当初予算で修繕費680万円を計上しているとまでは京都新聞のニ
ュースで分かっていることなのだ
が、本当にそれだけだろうかと疑問に思い帰ってきている。というのも、当初の
設計と異なり、風力不足だということを琵琶湖博物館での講演に参加した折り、耳にしたことがあったためだ。一
般的に、最低風速は「 カットイン風速 」毎秒3~5メートル(毎時約10~18キロメートル)を下回ると停止
する。周知の通り、発電量は一般的に「 風車の直径の2乗・風速の3乗に比例する」。寿命は15~20年程度で、E
PT(エネルギーペイバック)は半年から1年未満とされている。そこで考えられることが大きく2つある。その
1つが「カットイン風速」を毎秒3メートルを3分の1の1メートル以下の風力発電システムを開発することで、
もう1つは、設置前の風力の三次元マップ化する――これを仮に「"3D風見鶏"事業」と呼称しよう――ことで設
置場所が決定されれば、たちどころに風向、風力のデータが入手でき、それを三次元表示できるマップシステムで
ある。前者は研究開発を集中させれば即座に解決できそうだし、後者は、現在進められている気象観測の三次元計
測とその可視化とリンクさせることで実用化できそうだ。それじゃ、誰がやるのか?それは、現段階でわたしでな
いことだけは断言できる!^^;
 。

  ● 日本全国の風力発電一覧地図

 

● 政府の2020年ZEH目標を66%の新築住宅で達成!

積水化学工業株式会社は、「太陽光発電システム+ホームエネルギーマネジメントシステム搭載住宅の電力量収支
実邸調査(2014)」を実施結果を公表。それによると、2013年1月~12月の間にご入居済みセキスイハイムの内、
3,545邸の2014年1年間の消費電力量・発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型
HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し分析した結果、2014年のZEH達成邸は家電込みで17%
(前年度13%)、平成26年度ZEH補助金の要件【家電の消費電力を除いたゼロエネルギー評価、以下、ZEH
(家電抜き)】による試算では約49%(同46%)を記録。


※ ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー住宅の略、オール電化住宅の場合:消費電力量<発電電力量
※ ZEH補助金:住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)

 

つまり、調査の結果分かったことは大きく3点。第1にゼロエネルギーを達成できた住宅は全体の約17%。これ
は前年よりも約4ポイント増加した(上図参照)。図で青く示した部分。政府は補助金事業として2014年度に「ネ
ット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」を進めているがこの条件に当てはまるのが、青色と黄緑色の部分。黄
緑色の部分は家電の消費電力を差し引いてゼロエネルギーになっている住宅をあらわす。

第2にゼロエネルギーを達成できた住宅の光熱費収支は約11万5千円(10年で115円)の黒字だったこと。
第3にゼロエネルギーを達成できた住宅は、小家族の場合が多く、寒冷地では少ないという傾向がわかった。

 また、調査結果から分かった光熱費の収支を下票に示す。全住宅の売電金額と買電金額を見ると、年間の光熱費収支は
1万7127円の黒字。従って、ゼロエネルギーを実現できていなかったとしても、経済的なメリットは大きい。
ゼロエネルギー住宅の真の強みは売電単価が例え買電単価と同じまで下がったとしても黒字を維持できること。固
定価格買取制度(FIT)が終了したとしても経済的に成り立つという点である(下表参照)。


個人的には、改善のために(1)太陽光パネルの変換効率を25%を最優先課題にすること。(2)雪国対策として、バ
イオマスボイラー(温水利用)・バイオマスガス燃料電池発電の併用を組み込むことなどが大切だろうと考える。 

     

 

● 永続敗戦論と長髄彦考 Ⅱ

「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対
しては敗
北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対して
は盲従を続ける。敗戦
を否認するがゆえに敗北が際限なく続く――それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造
である。今日、この構造は明ら
かな破綻に瀕していると主張する白井聡――日本の政治学者。文化学園大学助教。
専門は、政治学・政治思想。早稲田大学総長を務めた白井克彦の子として1977年東京都に生まれる。2001年早稲田
大学政治経済学部政治学科卒業。2003年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。2006年一橋大学大学院社会学
研究科博士課程単位修得退学。2010年2月一橋大学博士(社会学)。論文の題は「レーニンの政治思想 比較思想の
試み(
The political thoughts of Lenin : toward comparative inquiries of ideas)」。日本学術振興会特別研究員、多摩美術大
学非常勤講師、高崎経済大学非常勤講師、神奈川大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師、文化学園大学服装学部
服装社会学科助教(民族文化論、哲学担当)を経て、2015年京都精華大学人文学部総合人文学科専任教員に就任予
定。
2013年『永続敗戦論――戦後日本の核心』で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞
を受賞――の主張と昨日講演内容は了解できた(彼に工学的教養が備わっているためだろうと憶測している)。従
って、興味を引いたのは岸信介とCIAとの公開文書――巣鴨プリズンを釈放された岸信介(後に首相)は、「強
い男」として米国保守派に見いだされ、同組織のの庇護を受け続けていたが、資料はわずか5枚で岸の政治的プロ
フィルの紹介ばかりで、岸については暗号名すらわかっていない(週刊朝日 2013年05月24日号 )――がないこと
の1点だけであった。


 「戦後の終わり」がついに来た、となぜ言えるのでしょうか。それは端的には、戦後とは「平和と繁栄」の時
 代であるというこれまで多くの日本人が支持してきた物語がはっきりと失効してしまった、という事実に求め
 られます。バブルの崩壊と冷戦崩壊以降、いわゆる「失われた二〇年」の時代が始まり、新世紀とともに「格
 差社会」や「地方の疲弊」が誰の目にも明らかになってきました。こうした「悪い流れ」の総仕上げが東日本
 大震災と福島第一原発の事故であったと私は考えます(※わたしは第三の敗戦と考えている――これは池上彰
 とも共有する)。とりわけ原発事故は、この国とその社会が抱えてきた暗部をさらけ出す出来事になりました。
 国家権力は腐敗していた、大資本は腐敗していた、そして市民社会もまた腐敗していた。「戦後民主主義」な
 るものは本当は幻だったことがはっきりしました。ゆえにいま、一種の開き直りとして、排外主義や歴史修正
 主義、平和の価値の否定といった傾向が前景化しています。「恥ずかしい国へ」まっしぐらです。私たちは、
 このような正真正銘の悪夢のなかを生きています。この悪夢は一体どこからやって来たのか? もちろんそれ
 が天から降ってきたわけはありません。それは、「平和と繁栄」と呼ばれてきた世界の只中から姿を現したは
 ずです。だからこそ、私たちはいま、「戦後とは何だったのか」ということをあらためて考え直さなければな
 らない、そのような歴史的時点に立たされています。

 
                   
                    "白井聡さんエッセイ「さあ、「戦後」を終わらせよう!」"より

                               

「市民社会が腐敗していた」との表現は直ちに賛同できるものではないが、また、市民の「平和ぼけ」を叱責する
ほどの自惚れ?も持ち合わせていない。「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否
認」を意味するが、国内およびアジアに対しては敗北を否認することにより「神州不滅」の神話を維持しながら、
自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く―それが「
永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。1945年以来、わ
れわれはずっと「敗戦」状態にある。「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ!との主張に、これまでの国家権力
に対抗する大衆の歴史もまた永続的敗北――抵抗なくして自由なし――であった(「永続敗戦論と長髄彦(ナガス
ネヒコ)考」)ことや45年前に独自に考え出した「自立民主制」「創憲論」の必然性を再確認した上で、傾聴に
値すると考えている(これって、やゝこしい言い回しになるねぇ)。

 


● 軍事的解決のオバマ vs 外交的解決のメルケル

 

オランド大統領とメルケル首相は、「ウクライナ危機を外交的(非軍事的)に解決するためにあらゆる可能性の利
用」
を望んでいると強調した。オバマは武器供与を主張したのに対しメルケルは軍事的解決を主張したことが印象
的である(Ukraine crisis: Obama 'may supply weapons to Ukraine' - latest  2015.02.12 The Telegraph)。


● 原発依存に舵取る中国、原発輸出したがるロシア 

中国政府は今年、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させる構えだし、エジプトに原発輸出を
図るロシアがニュースになっている(高浜原発は、原子力村が「合格証」を発行)。過去のもとなった20世紀の
物理学を推進する国はどうみても、先進国とはいえませんねぇ ^^;。

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永続敗戦論と日本書紀

2015年02月11日 | 日々草々

 

 



● 医学と薬学に関する2つの成功例

iPS細胞を使った新たな研究結果が発表された。国立成育医療研究センターの研究チームは、目と脳を
つなぐ繊維状の視神経細胞を世界で初めてiPS細胞から作製したと発表。これにより、目の様々な病気
の画期的
な治療法が生まれるかもしれない。国立成育医療研究センターの東範行医師らのチームが取り組ん
だのは、目と脳を結視神経の作製。視神経細胞は細胞体と繊維状の神経線維からなり、この神経線維が目
の網膜から脳に伸びて
信号を伝える。視神経細胞の作製は難しいとされてきましたが、東医師らは様々な
培養条件を試し、長さ1~2センチの繊維状の細胞を作製することに成功。米国のグループはiPS細胞
を200日かけて丁寧に培養して、全体を網膜にすることに成功。その細胞体は本当にわずかしかできて
いなくて、なおかつ神経線維をほとんどのばしていない。視神経の病気はたくさんあり。どこに起こるか
と言うと、ほとんどはこの細胞体ではなくて、長い長い神経線維に起こる。今回の発見で疾患のメカニズ
ムの解明となり、分子生物学的に検討することができ、今後は、例えば遺伝性疾患のある患者の細胞から
視神経細胞を作製して研究したり、作製した視神経細胞をわざと傷つけて修復方法を探したりすることで
根本的な治療法が見つけることができるかもしれない。また、将来的には患者の視神経を作製し移植する
ことも可能になるかもしれないと、国立成育医療研究センタの東範行医師が語っている。

尚、日本では緑内障の推定患者数が400万人に上るなど、目の病気に苦しむ患者は多いといわれる


 

次に、東京大学の清水敏之教授らのグループは、体内に侵入してきた微生物のDNA配列を感知する仕組
みを解明。これにより自然免疫応答を引き起こすToll様受容体9(TLR9)と呼ばれるタンパク質
の立体構造を明らかにした。
TLR9は重要な創薬の標的であり、DNA配列を認識する機構の解明によ
りこれを調節する抗ウイルス薬、アレルギー薬、ワクチンなどの開発につながると期待される。

微生物由来のDNA配列が結合していないTLR9、微生物由来のDNA配列が結合しているTLR9、
TLR9の機能を阻害するDNA配列が結合しているTLR9の3種の立体構造を明らかにし、TLR9
と微生物由来のDNA配列は2対2の比率で結合して2量体の活性化型を形成する(下図1上)。このD
NA配列はTLR9のN末端側にある溝に結合することにより認識されていることが分かった一方で、T
LR9とTLR9の機能を阻害するDNA配列は1対1の比率で結合し、2量体になることがなかった。
また、このDNA配列はTLR9の馬蹄型構造の内側にコンパクトなループのような形で結合(図1下)。
得られたタンパク質を結晶化し、最終的に、DNA配列が結合していないTLR9、CpGモチーフを有
するDNA配列が結合したTLR9、TLR9の機能を阻害するDNA配列(アンタゴニストDNA配列
)が結合したTLR9、の3つの状態の結晶構造を明らかにした。

 

このように、目の治療と体内に侵入した微生物のDNA配列を感知する仕組みの解明と医学と薬学の逓進
には目を見張るものがあるが、STAP論文不正の小保方晴子氏の2百回以上成功――わたしの実験経験
なら、最初の成功から多くて20~30回程度の成功で確証するものだが――発言には正直言って虚言癖
ではないかと思ったぐらいだが、論文などを詳細に看ていないので2つの成功例の信頼性について口を挟
めないので静観するほかない ^^;。

 

 

● 両島浄化センタのメタン発酵ガスの燃料電池発電

 


長野県松本市の両島浄化センターでは、年間約110万m3のバイオガス(メタン等)の発生している。この
事業は、このバイオガスを有効活用するため、燃料電池を利用した発電設備を導入し、売電により維持管
理費の低減を図るもので、燃料電池発電設備は、下水汚泥より発生するバイオガスから水素を取り出し、
空気中の酸素と化学的に反応させることで電力を取り出す。発電効率が高く、メンテナンスが容易、化学
反応を利用して発電するため、騒音・振動がほとんどなく、排ガスの発生がないなどの特徴がある。本設
備は、電気事業者による再生可能エネルギーに関する特別措置法に基づき再生可能エネルギー発電設備の
認定を受けて2月より稼働。電力発電量は、約168万kWh/年で、一般家庭の約490世帯分の年間電力使用量
に相当する。

下水道からのメタンガスを利用するため、厳密にいうと、バイオマスや太陽光発電といった「カーボンニ
ュートラル」を担保できるかどうかはどうかわからない。つまり、由来不詳がついて回るからだ。輸入し
たものなら、資源乱獲などによる由来不詳のバイオマスであれば、原則として、発電排気ガス中の二酸化
炭素を除外・固定しなければならないといった課題が残件するからだ。例えば、下水処理対象物が国内の
経済圏が50平方キロメートル以内のもので由来確認は容易だろうが、中国産食品汚染のように輸入カー
ボンについては由来遡及が困難となる。「ガスで発電!」とのうたい文句の宣伝がいかにも温暖化ガスを
排出させないイメージをつくろうとも根っこのところが問題として残る。

 

  ● 今夜の一曲

 

 

   My funny valentine
   Sweet comic valentine
   You make me smile with my heart
   Your looks are laughable
   Unphotographable
   Yet you're my favorite work of art

   Is your Figure less than Greek?
   Is your mouth a little weak?
   When you open it to speak
   Are you smart?

   But don't change your hair for me
   Not if you care for me
   Stay little valentine stay
   Each day is Valentines day

   Is your figure less than Greek
   Is your mouth a little weak
   When you open it to Speak
   Are you smart

   But don't change your hair for me
   Not if you care for me
   Stay little valentine stay
   Each day is valentines day



                           "My funny Valentine”                                                               

                 Songwriters: BRADLEY, ROBERT/NEHRA, MICHAEL/NEHRA,
                            ANDREW/FOWLKES, JEFF / DIAZ, TIM


 
   私の愉快な恋人/ヴァレンタイン 
  やさしくて可笑しな恋人/ヴァレンタイン 
   あなたは私を/心から笑顔にしてくれる... 

「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」(My Funny Valentine )は、1937年にリチャード・ロジャースとロ
レンツ・ハートにより作詞・作曲され、ミュージカル『ベイブス・イン・アームス』で発表されたショー・
チューン。代表的なジャズ・スタンダードの楽曲でもある。ヴォーカル・トラックとしてもカバーされて
いるが、マイルス・デイヴィス等によりインスト・トラックとしてもカバーされている。世に出る切っ掛
けは、ある日セントラル・パークを散歩中、子供たちが自分たちで勝手ルールを決めて遊ぶ姿を見ていた
ロジャースとハートは「この子たちに突然、大人と同じ責任を与えられて生きていかなければならなくな
ったとしたら、どうなるんだろうかという会話から生まれる。この話題を元に練り上げ"Babes in Arms"と
いうミュージカルを仕立て開演される。低予算で有名スター不在の舞台ではあったが、公演回数は289回と
中程度のヒットとなる。後に有名となったニコラスブラザーズが歌と踊りを、ヴァン・ジョンソンはコーラ
スメンバーとして出演している。「バレンタイン・ディ」のチョコを期待して軽いノリで聴いてみた。

 

 

● 般若心経 (三蔵法師玄奘訳/故花山勝友氏)を学ぶ Ⅰ

真言宗では、読誦・観誦の対象としている。日用経典(日課等通常行事用の経典)であり儀典でも用いる
(空海の般若心経秘鍵を参照)。繰り返し読誦する場合は、一回目は、冒頭の「仏説」から読み始めるが
22回目以降の読誦では「仏説」を読まず、「摩訶」から読む慣わしとなっている。開祖空海が般若心経
を重視したことで、注釈・解釈を著す僧侶・仏教学者が多く、昭和では高神覚昇『般若心経講義』(角川
文庫で再刊)、平成の現在では宮坂宥洪『真釈般若心経』、加藤精一『空海「般若心経秘鍵」』(各角川
ソフィア文庫)松長有慶『空海 般若心経の秘密を読み解く』(春秋社)などの著作が版を重ねている。
高神の解釈書は、戦前にNHKラジオ放送で行われ、経典解釈として非常に評価が高く多数重版し、異なる
宗派の僧侶や仏教学者からも評価されている。また、浄土宗も、根本経典は浄土真宗と同様に『浄土三部
経』だが、祈願の時と食作法(食事の時の作法)にのみ唱えるという。両親が他界したので、「般若心経」
を学ぶことにした。今夜は、その第1日目となる。


かんじざいぼさつ/
観自在菩薩                  観音菩薩が、
ぎょうじんはんにゃはらみったじ/行深般若波羅蜜多時  深遠な知恵を完成するための実践をされている時                                             
しょうけんごうんかいくう/照見五蘊皆空           人間の心身を構成している五つの要素が いず
                          れも本質的なものではないと見極めて、                         
      
どいっさいくやく/度一切苦厄                  すべての苦しみを取り除かれたのである。
しゃりし/舎利子                          そして舎利子に向かい、次のように述べた。                                 
しきふいくう/色不異空                      形あるものは実体がないことと同じことであり
くうふいしき/空不異色                      実体がないからこそ一時的な形あるものとして
                          存在
するものである。
しきそくぜくう/色即是空                     したがって、形あるものはそのままで実体なき
                                                    もの
であり、
くうそくぜしき/空即是色                     実体がないことがそのまま形あるものとなって
                          いるのだ

じゅそうぎょうしき/受想行識                   残りの、心の四つの働きの場合も、
やくぶにょぜ/亦復如是                      まったく同じことなのである。
しゃりし/舎利子                          舎利子よ、
ぜしょほうくうそう/是諸法空想                 この世の中のあらゆる存在や現象には、実体が
                          ない、
という性質があるから、
ふしょうふめつ/不生不滅                     もともと、生じたということもなく、滅したと
                          いう
こともなく、
ふくふじょう/不垢不浄                      よごれたものでもなく、浄らかなものでもなく                   
ふぞうふげん/不増不減                      増えることもなく、減ることもないのである。)
ぜこくうちゅうむしき/是故空中無色              したがって、実体がないということの中には、
                          形あ
るものはなく、
むじゅそうぎょうしき/無受想行識                感覚も念想も意志も知識もないし、
むげんにびぜつしんに/無限耳鼻舌身意            眼・耳・鼻・舌・身体・心といった感覚器官も
                          ない
し、
むしきしょうこうみそくほう/無色声香味触法         形・音・香・味・触覚・心の対象、といったそ
                          れぞ
れの器官に対する対象もないし、
むげんかいないしむいしきかい/無限界乃至無意識界   それらを受けとめる、眼識から意識までのあら
                                                    ゆる
分野もないのである。
むむみょう/無無明                         さらに、悟りに対する無知もないし、
やくむむみょうじん/亦無無明尽                 無知がなくなることもない、
ないしむろうし/乃至無老死                   ということからはじまって、ついには老と死も
                          なく

やくむろうしじん/亦無老死尽                  老と死がなくなることもないことになる。
むくしゅうめつどう/無苦集滅道                 苦しみも、その原因も、それをなくすことも、
                          そし
てその方法もない。
むちやくむとく/無知亦無得                   知ることもなければ、得ることもない。
いむしょとくこ/以無所得故                   かくて、得ることもないのだから、
ぼだいさった/菩提薩垂                      悟りを求めている者は、
えはんにゃはらみった/依般若波羅蜜多            知恵の完成に住する。
こしんむけいげ/故心無圭礙                   かくて心には何のさまたげもなく、
むけいげこむうくふ/無圭礙故無有恐怖           さまたげがないから恐れがなく、
おんりいっさいてんどうむそう/遠離一切転倒夢想     あらゆる誤った考え方から遠く離れているので、
くきょうねはん/究境涅槃                     永遠にしずかな境地に安住しているのである。)
さんぜしょぶつ/三世諸仏                     過去・現在・未来にわたる”正しく目覚めたも
                          のた
ち”は)
えはんにゃはらみつたこ/依般若波羅蜜多故         知恵を完成することによっているので、

とくあのくたらさんみゃくさんぼだい/得阿耨多羅三藐三菩提 
 
                          この上なき悟りを得るのである。

こち/故知                              したがって次のように知るがよい。
はんにゃはらみった/般若波羅蜜多               知恵の完成こそが
ぜだいじんしゅ/是大神呪                     偉大な真言であり、
ぜだいみょうしゅ/是大明呪                    悟りのための真言であり、
ぜむじょうしゅ/是無上呪                     この上なき真言であり、
ぜむとうどうしゅ/是無等等呪                  比較するものがない真言なのである。
のうじょいっさいく/能除一切苦                 これこそが、あらゆる苦しみを除き、
しんじつふこ/真実不虚                      真実そのものであって虚妄ではないのである、と。
こせつはんにゃはらみつたしゅ/故説般若波羅蜜多呪    そこで最後に、知恵の完成の真言を述べよう。)
そくせつしゅわつ/即説呪曰                    すなわち次のような真言である。
ぎゃていぎゃていはらぎゃて/羯帝羯帝波羅羯帝        往き往きて、彼岸に往き、
はらそうぎゃてい/波羅僧羯帝                  完全に彼岸に到達した者こそ、
ぼうじ/菩提                             悟りそのものである。
そわか/僧莎訶                           めでたし。
はんにゃしんぎょう/般若心経                   知恵の完成についてのもっとも肝要なものを説
                          ける
経典。


● 永続敗戦論と長髄彦考



今日は建国記念日。大津で講演会(白井聡「永続敗戦論」)があるというので車を走らせ聴講する。さて、
建国の祖・神武
天皇らが、東に美しい土地があるという、青い山が四周にあり、その地には天から饒速日
命が下っているという。
そこは六合の中なれば、大業を広げて、天下を治めるにふさわしい土地であろう。
よって、この地を都とすべきだと
宣言し、諸皇子はみなこれに賛成し東征を試みるが、わたしの出生地の
生駒山(富雄)の長髄彦――登美夜毘売(トミヤヒメ)、あるいは三炊屋媛(ミカシキヤヒメ)ともい

自らの妹を、天の磐舟で、斑鳩の峰白庭山に降臨した饒速日命(ニギハヤヒノミコト)の妻とし、仕え

ようになる。中世、戦国の武将山形の織田家(後に織田信長を輩出)や仙台の伊達家が長髄彦の子孫
であ
ると言われている――に迎撃され、迂回し再び交戦しこれを平らげる。このとき、金色の鳶が飛んできて、

神武天皇の弓弭に止まり、長髄彦の軍は眼が眩み、戦うことができなくなったと『日本書記』に記される
が、『永続敗戦論』と『日本書紀』が今夜ここで劇的にクロスすることとなった。実に面白い。わけがわ
からない?これは改めて説明する必要がありそうだ ^^;。

 

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実用バイオ燃料工学

2015年02月10日 | 新弥生時代

 

 

● 真空ミキサーの魅力って?  

寝付けないときに何気なく深夜テレビをつけるとテレビショッピングの番組がやたらと多い。それほど
ネット販売が市民権をえたということだろうが、気になるとなぜこんな商品が販売されるのだろうと興味
が引かれるときがある。今夜は、真空ミキサー(テスコム社製)だ。容器内部を0.3気圧まで下げてから
攪拌することで、酸素による酸化を防ぎつつ、気泡による分散溶解障害を取り除き、口あたりがな滑らか
で栄養価も高い生ジュースができるという。ネット検索してみると2つのメーカーの比較表が掲載されて
いたが、加熱もできる真空ミキサー 「らくっく」(株式会社 エスキュービズム・エレクトリック)とい
う商品も追っかけるように発売されているから、競合のすごさをあらためて感心する。

 

されていたが、加熱もできる真空ミキサー 「らくっく」(株式会社 エスキュービズム・エレクトリッ
の商品は、真空、攪拌機能に加え、加熱(煮込む、蒸す、茹でる)に加え、真空保存の機能を
1台で兼用
できるというものだが、使い勝手という意味で普及していくのかどうか分からないと
いうのが率直な感想
である。それにしても凄い時代に暮らしていることに小さな驚きを感じる毎日だ。

 

 

 

 

● 最新のバイオマス燃料転換生物工学

株式会社IHI、国立大学法人神戸大学、株式会社ネオ・モルガン研究所が、NEDOの委託事業「戦
略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」の鹿児島県内にバイオ燃料用藻類(ボツリオコッカ
ス)の屋外大規模培養※の試験設備を建設し、運用開始するという。目的は将来的に、微細藻由来バイオ
燃料製造に係るコスト低減に資するプロセス全体の改良という。具体的には、増殖性に優れたボツリオコ
ッカス株を活用し、2013年度は100㎡ 規模での屋外安定培養に成功し、加えてコスト低減対策に、増殖性
の高さに加え、藻体径の増大、浮上性の向上といった事業化での製造コスト削減に資する有用形質を集約
した新株の獲得にも成功している。

鹿児島市七ツ島に、国内最大級の1,500㎡にスケールアップした培養池を有する屋外大規模培養試験設備
を設置、安定的な藻体量産技術の確立を進めていくという(2015年3月完成予定)。、屋外大規模培養試験
と並行し、将来の事業実施場所の選定(海外を想定)を進めると共に、燃料製造コスト低減に向けたプロ
セス全体の改良を進める。

※  神戸大学榎本平教授が顧問を務める有限会社ジーン・アンド・ジーンテクノロジー(代表:榎本武)
  が所有する高速増殖型ボツリオコッカス株。なお、NEDO本委託事業の成果を含め、株式会社IHI、株
  式会社ネオ・モルガン研究所と有限会社ジーン・アンド・ジーンテクノロジーは、2011年にIHI NeoG
  Algae合同会社を設立し(代表:藤田朋宏)、藻類を活用したバイオ燃料製造の技術開発に取り組ん
  でいる。

● 微小藻類のインキュベート技術

微小藻類を成長させるための従来の方法の1つとしては、それを密閉遮光システムで従属栄養培養するも
のである。
エネルギー源として光の代わりに有機炭素を用いることによる、従属栄養成長条件下での水生
微小藻類の大スケ
ールでの生産のための技術が開発されている。クロレラ、スポンジオコッカムやプロト
セカなどの藻類からタンパク質
や色素を従属栄養によって生産するためのプロセスが提案されている。加
えて、藻類の従属栄養培養では、光独立
栄養培養よりも非常に高い密度を得ることができるが、限られた
数の微小藻類株のみ従属栄養条件で成長しているから、すべての微小藻類に適用可能というわけではない。
従属栄養条件で微小藻類を成長させる試みは、多くの場合、従属栄養条件で成長可能である株のスクリー
ニング、またはそのような条件下での成長を可能とする生物の遺伝子改変を含む。糖の適切な輸送システ
ムを有し、従属栄養条件で自然に成長可能な微小藻類は、成長速度が遅いか、または商業的興味のある物
質の産生が少ないことが多く、それは、藻類が、代謝の面を制御する環境シグナルとして太陽光を利用し、
光合成によって作り出されるエネルギーを利用するように長い年月をかけて進化してきたことによる。

 



微小藻類を含む光合成生物のほとんどは、自身の成長および生存を最適化するための環境シグナルとして
光を用いる。光シグナルは、赤/遠赤色光の光受容体(フィトクロム)および青色光の光受容体(クリプ
トクロムおよびNPH)を含む種々の光受容体で感知される。光は、生理学的および発達プロセスを制御
する環境シグナルとして働き、無機炭素の還元を促進するエネルギーを供給するが
、特定の条件下では、
光は、有害となる可能性も有する。光阻害が発生するのは、葉緑体によって吸収された光子束が非常に多
い場合(強光条件下)、または光エネルギーの流入が消費能力を超える場合(細胞がエネルギー源として
還元炭素を用いる混合栄養条件下)のいずれかである。混合栄養条件下において、光合成生物は、独立栄
養条件よりも相当に低い光強度にて光阻害を示し、それは、カルビン回路のフィードバック機構により、
合成器官を通して吸収された電子を効率的に使用することができないからである。


吸収された光エネルギーは、色素ベッド内に励起されたクロロフィル分子を蓄積させ、光化学系を損傷さ
せることが
ある。過剰な励起の結果として色素ベッド内に蓄積された励起されたクロロフィル分子はまた、
スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、および一重項酸素などの活性酸素種の発生も促進し得る。具
体的な提案では、従属栄養成長条件下にて、微小藻類を成長させるのに十分な時間、微小藻類をインキュ
ベート――従属栄養成長条件は、炭素源を含有する培地を含み、従属栄養条件として低放射照度光も含み、
微小藻類は、ボツリオコッカス株であり、炭素源は、グルコースであり、低放射照度光は、1~10μモ
ル光子m-2-1などである(下図参照)。

以上の提案を踏まえつつ、ボツリオコッカス株を実用的な培養方法として、このプロジェクトでは様々な
研究開発の成果が用いられ
ている。その1つが「特開2008-099556 閉環状二本鎖DNAを用いた、目的
遺伝子の迅速な抽出・精製・クローニング方法
」があり、遺伝子の分離、精製、クローニング方法」――プ
ローブDNA配列と固層粒子とを含むプローブDNA複合体粒子に閉環状二本鎖DNAをハイブリダイズさせるこ
とで目的遺伝子DNA配列が組み込まれた閉環状二本鎖DNAを、宿主細胞に直接トランスフェクション可能な
形状で固層粒子に回収し溶出溶液で溶出し、これを宿主細胞に導入して、目的遺伝子を迅速に抽出・精製・
クローニングする――ことで、目的遺伝子を含むあらゆる由来、サイズ、配列等の閉環状二本鎖DNAを、
迅速、正確、かつ効率よく分離、精製、クローニングができ、従来数日から数週間必要としたクローニン
グ操作を、わずか1日(24時間以内)で完了するというものである(下図参照)。



リグノセルロース系バイオマスからバイオエタノールを製造する技術として、バイオマスを加圧熱水で処
理(水
熱処理)し、得られた固液混合物を糖化酵素で処理(酵素処理)し、さらに得られた固液混合物を
固体酸触媒で処理(固体酸触媒処理)して、バイオマス中に含まれるセルロース(多糖)をグルコース(
単糖)に加水分解(糖化)し、この
グルコースを発酵(発酵処理)させることでバイオエタノールを製造
する技術が提案されているが、酵素処理後の固液混合物には、液体
として、可溶化された多糖が含まれ、固体
として、可溶化されていない多糖(懸濁態多糖)が含まれる。ここで、固体酸触媒は固体であるが、可溶化
された多
糖は液体であるため、固体酸触媒処理において、可溶化された多糖と固体酸触媒との接触効率は
高く、
可溶化された多糖を効率よく単糖に加水分解することができる一方、固体である、可溶化されてい
ない多糖は、固体酸触媒との接触効率が低く、単糖への加水分解に長時間を要す。
そこで、固体酸触媒処理
の多糖を効率よく加水分解することができ、単糖への加水分解に要する時間を短縮することが可能な糖液
製造装
置、糖液製造方法やバイオマス由来物製造方法が下図のように提案されている

それによると、糖液製造装置110は、リグノセルロース系バイオマスに対して水熱処理を施して、第1
固液混合物M1を生成する水熱処理部210と、第1固液混合物M1Aを酵素で加水分解させ、第2固液
混合物M2を生成する酵素処理部230と、第2固液混合物M2を粉砕する第1粉砕部(後段粉砕部24
0)と、第1粉砕部によって粉砕された第2固液混合物を、多糖から単糖への変換反応を促進する固体酸
触媒で加水分解させ、単糖を含む単糖液を生成する固体酸触媒部250とを備えることで、固体酸触媒処
理で多糖を効率よく加水分解することができ、単糖への加水分解に要する時間が短縮できる。

 

● バイオマスエタノール製造の最新技術

以上、バイオ燃料用藻類(ボツリオコッカス)に関わる技術を俯瞰してきたが、次にバイオエタノール製
造技術を俯瞰してみよう。下図の提案は、キシロースイソメラーゼ遺伝子とアセトアルデヒド脱水素酵素
遺伝子を導入した組換え酵母を、キシロースを含有する培地にて培養してエタノール発酵を行う工程を有
するエタノールの製造方法で、キシロース代謝能を有する酵母おけるキシロース資化及びエタノール発酵
に際して培地中の酢酸を代謝して酢酸濃度を低減
でき、酢酸に起因する発酵阻害を効果的に回避すること
ができ、その結果、キシロースを糖源としたエタノール発酵の効率を高く維持することができ、優れたエ
タノール収率を達成することができる。

 
同様の目的で、今度は、実用的な高効率バイオエタノール生産法を構築するために、異種遺伝子を用いず
に キシルロース発酵能が強化されたSaccharomyces cerevisiae 酵母を開発――遺伝子組換え体の利用は、
散防止措置の必要性等から、実用化の際の障害となることが予想され、同種遺伝子のみを使用するセルフ
クローニングによってS. cerevisiae を改良し、C. glabrata  3163 dgXK1と同等の同時異性化発酵能を有する酵
母株を開発し、この酵母を使用して同時異性化発酵により、リグノセルロース系バイオマスに含まれるキ
シロースを効率良く発酵する方法が提案されている(下図参照)。この方法の成果では
スラリー濃度20%
(w/w)の稲わら糖化液に相当する 5.6 % (w/v) グルコース及び4.2 %(w/v) キシロースを含む培地を用いて
同時異性化発酵を行うことにより、St10 TEF1p-XKS1は、親株St10-1-1C. glabrata 3163 dgXK1よりも早く
キシロースを消費し、48時間発酵で4.3 % (w/v)のエタノールを生産する。St10 TEF1p-XKS1 のエタノー
ル収率は理論収率の85 %であり、3163 dgXK1 の収率(80%)
を上回わる。

また、下図の提案では、バイオマス原料を糖化発酵処理する工程で用いる培養槽内の培養液に、少なくと
1種類―例えばアジ化ナトリウム―以上の殺菌剤を添加してエタノールを生産する、バイオマス原料か
らのエタノール製造方法。リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノールを製造する方法で、エ
タノール製造工程で発生する雑菌の増殖を簡易な方法で効率的に抑制することにより生産性の高いエタノ
ール製造方法を提供している。


特開2015-012857 バイオマス原料からのエタノール製造方法

 

● 大切な酵素糖化用原料の前処理

日本ではバイオエタノールの最小量は、1.5万kL規模と想定されているが、、稲わらでは、毎日50
メートルプール
一杯のロールベールが必要となる計算されるが、稲わらは、嵩密度が小さく、輸送コスト
が高くなるという問題があ
り、稲わらをロールベールに成形し、屋外保管すると、腐敗してしまうという
問題もある。そこで、腐敗防止のために
圃場で十分乾燥させて屋内に保管することが考えられるが、貯蔵
中の腐敗を防止するためには、収穫直後の含水
率が60質量%程度である稲わらの含水率を15質量%以
下程度にまで下げる必要があり、含水率を30質量%以
下にまで下げることは非常に難しく、稲刈り後の
天候が悪い北海道や日本海側の水田のような場所では、稲わらを
そもそも乾燥させることができない問題
がある。また、稲わらを乾燥させることができない地域では、腐敗を防ぐため
に稲わらをラッピングし、
外気との接触を遮断した嫌気状態を保持した状態で屋外に保管する方法があるものの、
ラッピングにかか
るコストが高いという問題がある。そのため、そもそもバイオエタノール製造に必要なバイオマスを
安定
に調達が難しい状況である。



このためセルロースを含むバイオマス原料を加熱と加圧する工程と、得られた酵素糖化用原料を酵素糖化
する工程
と、得られた糖を発酵しエタノールと乳酸とを製造する方法で、含水率が8質量%~25質量%
で、酵素
糖化率が25%以上の酵素糖化用原料で、長期間貯蔵可能な、酵素糖化率に優れ、輸送コストが
低減可能
な製造方法を提供する(下図参照)。

以上、今夜はバイオマス燃料およびエタノールの最新技術を俯瞰してみた。さて、クソして寝るか? ^^;。


 

 

 

 

 

 

 

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省エネ電子デバイス工学

2015年02月09日 | デジタル革命渦論

 

 


● なぜシリコンはデジタルデバイスのコアなのか

人類社会と文明を支える重要な要素の1つのシリコン半導体。シリコン半導体は高度情報化社会のインフラである。
シリコン半導体デバイスが電子デバイスの主役から降りることはない。
世界規模で省エネルギー化が望まれる中、
電力損失を低減する電力変換用パワー半導体の高効率化が進められている。その中で、物理的限界に達しつつある
従来材料のシリコンに代わるパワー半導体に向いた新材料を用いた“次世代パワー半導体”の開発が盛んになって
いる。
半導体産業は30兆円を超える事業規模のそのほとんどをシリコン半導体が占める。シリコン以外の半導体
は、主に化合物半導体で、化合物半導体は発光ダイオードや半導体レーザー、それから一部のマイクロ波ミリ波素
子で商品化されているものの市場規模はシリコンと比較し小さい。

ほかの半導体材料に比べるとシリコンはきわめて安価である。それはシリコンが天然資源としては非常に豊富であ
り、量産効果でシリコンの材料コストは極めて安いレベルに維持されている。
半導体デバイスは高純度の材料を必
要とする。半導体デバイスは基本的に単結晶を利用するので、高純度の単結晶を安価に製造することが求められ、
単結晶を製造するコストはシリコンが圧倒的に低い。
次にシリコン半導体デバイスは、集積密度がきわめて高い。
最先端のシリコン半導体チップは、わずか1ミリメートル角に百メガバイトものデータを詰め込める。10ミリメー
トル角だと10ギガバイトになる。化合物半導体デバイスでこのような密度を実現することは、原理的には可能かも
しれないが工業的に不可能である。

しかしながら、既に数多くの非シリコン材料がメインストリームのシリコン半導体トランジスタに使われている。
例えばゲルマニウム。ゲルマニウムはシリコンと同じIV族の半導体材料であり、1950年代~1960年代の半導体トラ
ンジスタではゲルマニウムが主役であったが、シリコン半導体の性能向上で主役の座を奪われてからゲルマニウム
不在の時代が続いた。
ゲルマニウムが再び注目を浴びるのは、1980年代の後半で、超高速デバイスの研究開発にお
いて、シリコンとゲルマニウムの化合物(SiGe化合物)をバイポーラトランジスタベースに採用で、電流駆動能力
の高いトランジスタが出現する。バイポーラ技術とCMOS技術の両方を駆使する高速デバイスの一部には現在でも
SiGe化合物が使われている。
1990年代後半には、pチャンネルMOSFETSiGe化合物のCMOS技術の開発が盛んとな
CMOS技術はnチャンネルMOSFETとpチャンネルMOSFETで構成されている。nチャンネルMOSとpチャンネルMOS
では、トランジスタに性能差があり、pチャンネルMOSは電流駆動能力はあまり高くなく遅い。一部の高速ロジッ
ク回路では特にクリティカルな部分をnチャンネルMOSだけで組んだりするが消費電力の増大を招き好ましくない
とされる。

ここでpチャンネルMOSのソースとドレインをシリコン(Si)からSiGe化合物に置き換えるとSiSiGeの格子定数
の違いによりチャンネル領域に圧縮応力が働き、キャリア(正孔)の移動度が上昇。この結果、pチャンネルMOS
の電流駆動能力が増加する。「歪みシリコン(Si)」技術は、2000年代の始めに90ナノメートル世代の高速CMOS
ロジック回路に導入され、20ナノメートル/22ナノメートルといった最先端のCMOSロジックとして、歪みシリコ
ン技術が標準利用されている。
パワー半導体の世界でも、シリコン以外の材料が入り込みつつあり、1つはシリコ
ンと炭素の化合物(SiC化合物
「シリコンカーバイド」と呼ばれる)、もう1つはガリウムと窒素の化合物(GaN
化合物「窒化ガリウム」と呼ばれる)である。いずれもシリコン単体に比べると、高効率で高耐圧のパワー半導体
を作れる。ダイオードやMOSFETなどの製品が既に商品化されている。

 

このほか、発光デバイスは非シリコン材料が主流であり、窒化ガリウム(GaN)化合物、ガリウムひ素(GaAs)化合
物、ガリウムひ素リン(GaAsP)化合物、ガリウムインジウムひ素リン(GaInAsP)化合物などが発光デバイスに使
われているものの、
Si(シリコン)は半導体材料として優れた性質を持ち、モーターや電気自動車などの電力変換
用に使う場合、性能の伸びしろが少なくなっている。これ以上の大幅な改善は難しい。
そこで、SiC(炭化ケイ素、
シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャプ半導体に注目が集まる。これら半導体が備
える優れた性質を生かすと、モータなどに必要不可欠なインバータを小型化し、損失を低減でき、発熱が少なく、
高温に耐えるため、冷却システムの容量も少なくてすむ。つまり限られた電力を有効利用できることになる。SiC
GaNよりも、製品化がいち早く進み、既に2010年10月には三菱電機が自社のエアコン「霧ヶ峰ムーブアイ」の一部の
機種にSiCショットキーバリアダイオード(SBD)を採用したのが最初である。
同社は鉄道車両に開発中の1.7kV/1.2
kAという大電力用途のモジュールを、2012年7月に開催されたTECHNO-FRONTIER 2012で展示――8個のSiC SBDと4
個のIGBTを組み合わせたもの。ダイオードにSiCを採用するだけでも「インバータ部で損失を30%低減できる他、
モータ部で同じく40%、『全速度電力回生ブレーキ』では機械的損失エネルギーをほぼほぼ全て回生電力として回
収可能だ。これら全ての効果を合わせると、SiC採用で鉄道車両として30%の省エネ実現できる見込みですでに一
部の鉄道車両で実用化されている。

汎用品の製品化も進み、ロームは2012年3月に、SiC SBDSiC MOSFETを内蔵した1200V、100Aの箱形モジュール
の量産を開始、2012年6月にはSiC SBDSiC MOSFETを3端子のパッケージに収め、その後も、信頼性を高めた
品種を製品化している。
その次世代パワー半導体の新材料として、炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)の
2つ有り、近年、SiCによるMOSFETGaNによるHEMTといったデバイスが実用化している。酸化ガリウムは液
晶用トランジスタなどで使用されるIGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛の酸化物)と同様の酸化物半導体の1つ。
バンドギャップは、
シリコンの 1.1、SiC/GaNの3.3~3.4に対し、4.7~4.9と極めて高く、パワー半導体材料向で
あることを示す指数であるバリガー性能指数が、シリコン=1に対し、SiC=340、GaN=870に対し、酸化ガリウム
は 3444と圧倒的な値を誇る。ここにきて
、新たな半導体の開発は、ウエハー→素子→システムの順に開発が進み、
SiCの開発では既に素子からインバータなどのシステムへと焦点が移っているものの、3
つの工程全てに改良余地
があり、Siパワー半導体では実現できない領域を開拓しつつ、Siを置き換えていくには少なくとも素子のコスト低
減が大きな課題となっている。



その対策として、(1)ウエハーの大口径化と(2)品質向上が鍵となる。
2012年7月に開催された応用物理学会
主催の「SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会 第7回個別討論会」で、
トヨタグループは、SiCパワー半導体
を車載用途提供には、(1)作製する素子に応じた結晶欠陥の影響解析とウエハー製造時の欠陥制御、(2)結晶
欠陥を前提とした素子の開発が大きな課題だと指摘されている。例えば、
SiC SBDについてチップサイズと歩留ま
りの関係を試算すると、5ミリメートル角(50~100A級)チップの生産初期の歩留まりは、ウエハー表面の平均転
位欠陥密度EPD(エッチピッド密度)に大きく依存している。
EPDが3千個/平方センチメートルという高品位な
ウエハーを利用すれば80%を実現でき、EPDが1万個/平方センチメートルという低品位なウエハーでは同一の条
件で歩留まりは50%まで低下するとのこと。
車載用の目標は、7ミリメートル角(200A級)から10ミリメートル角(
400A級)で、歩留まり80%である。EPDが3千個/平方センチメートルのウエハーのキラー欠陥密度は1個/平方セ
ンチメートル、1万個/平方センチメートルのウエハーのキラー欠陥密度は3個/平方センチメートルだという。

このキラー欠陥密度を0.1個/平方センチメートルに引き下げれば、車載級の目標を達成できるとのこと。ウエハ
ーの表面欠陥は、歩留まりに単純な影響を与えるだけでなく、ウエハー品質がSiC酸化膜のTDDBTime Dependent
D
ielectric Breakdown)に与える影響も加速試験するが――TDDBとは時間に依存した酸化膜の破壊を意味し 酸化膜
が破壊されると素子自体が出荷後に機能しなくなる。故障率1ppb(10億分の1)を達成できる時間が長いほど信
頼性が高い―
150℃で動作するSi素子の酸化膜は優秀で、1ppbが30億年に達する。これに対して、EPDが2万個/
平方センチメートルのSiC酸化膜を250℃で動作させると、わずか4カ月。3000個という高品位ウエハーでも10年。
車載SiCの目標特性が3000万年だとされる。

このように、EPDが平均転位欠陥密度と呼ばれるように、表面欠陥の種類を考えずに、数だけを見ているのに対し、
どのような欠陥が寿命に影響を与えるのか調査すると
SiC SBDの場合はらせん転位が起こると寿命が2桁下がり、
刃状転位では1桁下がるという
SiC SBDの特性と欠陥の種類の関係を発表されている。市販のSiCエピタキシャル基
板を購入し、その上にSiC SBDを形成したところ、ダイオードの逆方向特性に大きなばらつきが生じ、製品として
出荷できないレベルが発生、歩留まり低下する現象を解析した結果、SiC SBDの逆方向電流リーク特性の不良モー
ドが3種類に分類でき、それぞれに関係する結晶欠陥が異なっている。(1)この
低耐圧の原因は、マイクロパイ
プやパーティクル欠陥、(2)高リーク電流の原因はスジ状欠陥だと分かった。このほか、貫通らせん転位や貫通
刃状転位などのピット状欠陥は、致命的な影響を与えないものの、欠陥密度とリーク電流に高い相関があることも
分かった。

今後、製造するSiC素子のサイズ(耐電流量)が高まるにつれて、トヨタグループの研究が明らかにした欠陥制御
の考え方が広がっていくものと考えられる。
素子製造メーカーは、量産する素子の種類に応じて、どの結晶欠陥が
キラー欠陥として働くのか、キラー欠陥の影響を閉じ込めるプロセスとは何かといったノウハウを蓄積する必要と
なる。また、ウエハーメーカーには顧客の注文に応じ、特定のキラー欠陥を低減するウエハーづくりが求められる
と予測されている。
 

 




● グリーンMEMSセンサが実現する省エネ社会


このように劇的な省エネ、ダウンサイジングを実現させてしまう『デジタル革命渦論』は、パワー半導体領域だけではない。
従来の機器の効率向上や断熱による省エネに変わる、ICTを駆使したマネジメントによる先進的な省エネ手法が注
目されている。この手法は、多くのセンサーを配置したセンサネットワークの構築に、これまでは(1)センサ
の大きさや(2)バッテリー交換等の隘路により普及が進んこなかった。
NEDOMEMS技術研究機構が、2011年
度から、グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクトで、センサネットワーク用センサデバイス
の共通課題の(1)無線通信機能、(2)自立電源機能及び(3)超低消費電力機能を搭載する革新的なグリーン
MEMSセンサーの開発と、このセンサを用いたネットワークシステムの実証実験を行ってきた。

具体的には、無線通信機能、自立電源機能及び超低消費電力機能を搭載した(1)電流・磁界センサ(2)塵埃量
センサ(3)ガス(CO2、VOC)濃度センサ(4)赤外線アレーセンサがその対象として
、これらのセンサを用いた
センサネットワークシステムを店舗、オフィス及び製造現場等で、環境計測、エネルギー消費量等の把握(見える
化)、エネルギー消費量の制御(最適化)することで、10%以上の省エネ効果を実証確認できたという。

 

ということで、今夜はパワー半導体とグリーンMEMSを取り上げてみた。 

 

 

 

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中東の地獄絵図

2015年02月08日 | 時事書評

 

 




● 『21世紀の資本論』 論争

高橋洋一は、『国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法』 (2015.02.05、ダイヤモンドオンライン
で、(1)先進国と比較し、日本政府のバランスシートは、政府資産が巨額(世界一)で、換金可能な金
資産割合がきわめて大きい。(2)日本の場合、政府資産額が大きいので、債務額をグロスで見るか、ネ
トで見るかは大きな違いがある。(3)資産のうち外貨債権が100兆円以上あり、それが最近の円安で20
兆円程度の含み益が出ていることが大きく関係している(政府短期証券売却、特殊法人など廃止または民営
化すれば換金可能)。(4)日本銀行のバランスシートと連結させると日銀券 200兆円は、形式的に利息負
担ゼロで返済義務がない負債で、債務超過額は490兆円から290兆円逓減すると主張しているが、要するに、
国民が必要なものを生産する気構え(これを景況)があれば、それを政府が助産すれば、年間50兆円の徴
税権の担保で20年でペイできる計算になる。

しかし、このことが成立するには「非デフレ」がつまり、価格下落を伴う生産性向上を「反転」する政府会
計規律の整備が大前提――このブログを指摘掲載してきたが――となることは言うまでもない。

 

ところで『21世紀の資本』のトマ・ピケティ 来日 し講演で、日本への注文として、消費税増税と法人税
減税を批判したというが、そのほかに、累進税の上限引き上げや相続税の引き上げ、納税番号制導(あるい
はマイナンバー制度)入など考えられるが富裕層を支持基盤とする共和派体質が濃厚な自民党政権では、
延(サボタージュ)は避けられないだろう。ただ、法人税の適正な引き下げは、国際的な競合の中では賛成
であり、高度な資本制は推進すべきと考えている。その適正な税利率引き下げを巡って、個人的提案として
地域格差是正法人税率制――つまり、国内企業を対象――例外として海外企業は全国一律の税率を設定――
として3つの税率に逆差別化するというもの。例えば、A地区:首都圏とし、40%(但し、海外企業は、
15%※)、:名古屋・大阪・北九州圏を対象とし、20%、C地区:A・以外を対象として、
5%とする――の
提案を行っている(『地域繁栄型法人税制』(「ソフトパワー制御思考」2014.12.19))。

 

 

● ロスト・スコアからTPP締結まで

TPP(環太平洋経済連携協定)の日米交渉で輸入牛肉と豚肉の関税を大幅に引き下げる方向で大筋固まっ
たことを受けて、国内調整が本格化するという。
日米交渉では、輸入牛肉の関税について、現在の38.5%か
ら約9%に、安い豚肉については1kg482円から50円に、10年ほどかけて引き下げる方針が固まったが、輸
入量が急増した時に緊急的な制限の発動条件については詰め切れていない。日米両政府は近く実務者協議を
再開したうえで、今月中にも閣僚会合を開き、大筋合意を目指す方針。一方、日米合意をにらんだ自民党慎
重派の動きも活発化する見通りだという。



ロスト・スコア(失われし20年)は、敵対的貿易関係に入った80年代後半の経済状況に端を発した日米
経済構造協議(第二の敗戦)によりもたらされたと考えている一人だ。その結果、湾岸戦争への加担、英米
流金融資本主義(新自由主義)の浸潤(格差拡大)、半導体不平等協議、米国社OS導入、裁判員制導入、
さらなる農産物輸入枠の拡大(遺伝子組み換え食物の浸潤によるリスク増大、食糧自給率低下)などの矛盾
を抱えた。なにも米国側による不況だけではなく、日本の財政国家官僚による、デフレ是正のサボタージュ
による格差拡大、デフレ不況が大きく影響したが、このほか知財権、医療制度などの問題があるが、ここで
は、再度、食糧安全保障に関して指摘しておきたい。個人的には基本的な食糧品は輸入する必要はないと考
えている。もっとも大切な課題は、初期投資への資本集中形成――この場合、営農形態が、公営、民営、民
間の3組織形態に共通するプロジェクトファイナンスにおけるノンリコースローン(非遡及型融資)の運用
にあることは、これまでも指摘してきたことであり、「第二の農地解放」が実現すれば、
豚肉も、牛肉も輸
入する必要はなくなると考えている。


 私は「逆農地解放」を実施すればいいのではないかと考えている。戦後、GHQが行った大地主から土
 地を取り上げ、小作農に分け与えるという
政策は、非常にまずかった。農地を分割したために非効率な
 生産になり、意欲のある農家が大規模農業を経営する余地を著しく狭めた。そして、サラリーマンとし
 て安定した収入を得ながら農業を副業とするだけの兼業農家を多数生み出した(中略)少なくとも、生
 産性が低いままで土地を 持ち続けるインセンティブがある税制は抜本的に見直したほうが良い。また、
 農地をいい加減な運用で他用途に転換することを認める現在の農地法の規制も抜本的に見直すべきだ(
 中略)景観規制を強化して、農地は基本
的に転換できないということにし、仮に転換する場合は、それ
 
でに減免されていた税金をすべて過去に遡って転売利益の範囲内で課税するという制度なども導人す
 べきだ。これが、平成の「逆農地解放」だ。「土地を解放して小規模農家から大規模農家へ」という標
 語になるだろうか。兼業農家にも専業農家にもただの農家というレッテルを貼って、同じように扱い、
 結果的に日本の農家と農業をだめにしている農業政策は即刻やめたほうがいい。


                                  
「逆農地解放」を断行せよ
                                  古賀茂明『日本中枢の崩壊』

 
ここで、「GHQの農地解放政策が非常にまずかった」という見解には、米国側の意図は別として、歴史体
験として、まずは自営農業というスタートは革命的な試みであり、資本制への漸近法として妥当であり、問
題は営農の成長過程での是正のありようが問題だったが、ゴールとしての「逆農地解放」についてはおおむ
ね賛同する。そうときまれば即刻実行しすれば、競争力のともなって自給率はあがる。すでに、日本は高度
な農産物産出工学立国である。自信をもってこれは断言できる!^^;。


※ 下図は新しい営農法の1つのモデル 



● 中東の地獄絵図

邦人人質事件のテロ非難決議を「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎共同代表が退席した問題で、
同代表は6日、ブログを更新し、退席理由を説明。山本氏は、非難決議に3つの修正を提案したが、反映さ
れなかったことが退席理由だったと説明。その上で、政府対応について「人質の存在を知りながら総選挙ま
で行った」と批判し、安倍晋三首相の中東訪問を「人質の生命が危険な状態に置かれる事を鑑みることなく
行われた」と断定し、検証が必要とし、また、2003年のイラク戦争についても「『(イラクに)大量破
壊兵器がある』と決めつけ、『大量破壊兵器が見つからなかった』国を破壊し、放置した」とし、「生み出
されたイスラム国や地域の混乱に関してイラク戦争から総括する必要があるのではないか」などと持論を展
開したという。

1月28日には、山本氏は「安倍首相がイスラエルで演説したのは、完全に挑発。日本の船長としてふさわ
しいのか」と主張し。また、21日には「2億ドルの支援を中止し、人質を救出してください」と安倍晋三
首相宛にツイートしている。これに対し、自民党の高村正彦副総裁は、記者団に対し「日本政府が(イスラ
ム国対策の)人道支援をやめるのは論外だ。身代金を払うこともできない」と語っている。

5日、ヨルダン空軍による報復攻撃が開始された。イラクからの報道では、軍は、拠点都市であるイラク北
部モスル周辺も空爆し、イスラム国の指揮官を含む少なくとも55人が死亡したとしている。一方、オバマ
米大統領は5日、ワシントンで開かれたキリスト教関係の会合で、過激派「イスラム国」を念頭に「神はテ
ロを許さない」と述べ、宗教をかたった暴力行為を非難した。イスラム国に関し「宗教の名の下に、残忍で
冷酷な死をもたらすカルト集団」と指摘。「言葉にできない残虐な手口で、クルド民族ヤジド派といった少
数派を恐怖に陥れている」と批判したという。

重大な局面にきたというのが実感である。毎日、”中東の地獄絵図” が流されているが、これが静かに人
の精神を浸食し犯すことを恐れる。そう遠くない "
そのとき" には、 倒閣運動に立ち上がらずをえない事態
に迫られるかもしれない。これは大変哀しいことだが、いたしかたないように思っている。、



● 北近江の野鳥観察を楽しむ


 

   ● 今夜の一曲

 

 

   人影も見えない午前零時

   電話ボックスの外は雨

   かけなれたダイアル回しかけて

   ふと指を止める

   冷たい雨に打たれながら

   哀しい物語を想い出した

   あなたの帰り道交差点

   ふと足を止める

   レイニーブルーもう終わったはずなのに

   レイニーブルー何故追いかけるの


   あなたの幻消すように

   私も今日はそっと雨


   レイニーブルーもう終わったはずなのに

   レイニーブルー何故追いかけるの


   行き過ぎる車のヘッドライトが

   ひとりぼっちの影をつくる

   あなたの白い車捜しかけて

   ふと瞳をふせる・・・

 

                                                                                                『レイニーブルー』
                                                                          
                                                                           作詞:大木 誠
                                                                        
作曲:徳永 英明
                                                                         編曲:武部 聡志


徳永英明(1961年2月27日~)は、日本のシンガーソングライター、作曲家、俳優。本名、永英明。福岡
県柳川市生まれ、兵庫県伊丹市育ち。身長 175cm。所属レコード会社はユニバーサルミュージック。公式フ
ァンクラブは「TONY'S CLUB」である。徳永の徳の字および英の字は正しくは、戸籍と同じ旧字体である。
Rainy Blue」(レイニー ブルー)は、1986年1月21日に発売された徳永英明のデビュー・シングル。発売
元はラジオシティレコード(後にアポロン音楽工業→バンダイ・ミュージックエンタテインメント)。1997
年11月1日に再発売された。Gracenoteへの登録が「レイニー ブルー」であることから、近年は通常「レイ
ニ ブルー」と表記される。徳永がバイト先の軽井沢で知り合った大木誠と共に作り上げた楽曲。秋谷銀四
郎がプロデュース。
レコード化の際に歌詞を一部変更。元のバージョンはライブで歌われることがあり、
1990年発売のライブアルバム『徳永英明Live』に収録された。1997年にリアレンジされ「Rainy Blue 〜1997
 Track〜」として再リリースされた。

ガソリンの残量が切れないところまで走ろうと、「湖北野鳥センタ」までの湖岸を疾す。丁度、大鷲(Stell-
er's sea eagle
が山本山の雑木に留まっているたので、センタの望遠鏡で観察。嘴の黄色が鮮やかにこちら視
ているようだったが、
倍率の関係でとても小さくしか見えない。北近江の風物詩に出会えたことは幸運だっ
たことをふたりで確認し合った。
その帰り道の車で流れていたのがこの曲だった。外は上天気だというのに、
"レイニーブルー"のように哀しい心象が続いているのだ。


 

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社会を変える地図力

2015年02月07日 | デジタル革命渦論

 

 

● 社会を変える地図力

 

5日の夜、NHKの「クローズアップ現代」の『地図力が社会を変える』で、地形図などから様々
な情報を読み取り、土地活用や防災計画のアイデアを生み出す力、「地図力」が、今、世界中で個
人の「地図力」を高め、防災強化や新たな産業創出を目指す取り組みが進んでいること。この傾向
に拍車をかけたのは、レーザー光を空から照射して作る3D地図で、地面の凹凸をミリ単位で立体
画像に起こすことができ、その情報量はこれまでの地図とは比較にならないという。既に米国は、
地域の3D地図情報をオープンデータとして公開し、教育現場が利用を始めたり、様々なベンチャ
ー企業が新ビジネスを創り出したりと、国を挙げて活用・地図力強化が進んでいる。日本でも企業
や自治体が活断層の発見・水源の保全・森林管理などで活用を進めているが、まだ始まったばかり
で手探り段階だ。3D地図の活用は地図力をどのように向上させ、社会を変えるのかと、ズームア
ップしその最前線に迫る特集を放送していたが、このブログの「スマートキャンティ 森林監視シ
ステム」(『如月に香る蝋梅』2015.02.04)としてボーイング社の新規考案を紹介したばかりで、
ただちに録画し、今夜その内容を確認することに。

 

● 3D地図とは

 

三次元ベクトル場の二次元面上での視覚化は、古来より多くの試みがなされている。典型的には、
2つの成分を座標値に変換し、その交点を二次元面上にプロットし、各交点に残る第3の成分の属
性を付記する仕方(例えば、町内案内図)が知られているが、これだと第3の成分の違いを簡単に把
握できない。この点、第3の成分の属性的特徴を図形表示すること(例えば、市街案内図)もなさ
れているが、それでも情報の局在化を免れることはできず、属性の連続的な変化が分からない。そ
こで、二成分の連続的特徴(例えば、海岸、河川、湖沼等の外形線)と、第3の成分の属性等値線
(例えば、等高線)を記入する仕方が汎用されているが、やはり、属性の変化状態を直感的に視認す
ることが難しい。

ここで、より具体的に,地形図を考えてみる。

解析図化機によるメッシュ測量では、地形を格子状に分割し、それに標高値を付与してDEM(デ
ジタルエレベイションモデル「Digital Elavation Model」)のデータを得る。これを計算機で処理し
て、例えば地形の高度、傾斜角、斜面方位、ラプラシアン、流域区分、水系等に関するパラメータ
を計算し、面上に分布する計算結果を対応する画像に変換できる。
航空機レーザー計測では、更に詳
細な情報を含むデータが得られるが、これらのデータは、地形図にすべて盛り込まれる訳ではない。
例えば、
高低及び傾斜に関する情報を取り出し、等高線として地図に記入する。だが、そこから立
体的な地形を想像
することは容易でない。

斜め上方から光を当てた陰影図として立体感を出す画像もあるが、これだと特定方向の傾斜が強調
される。
この点、グレイスケール(明度の段階)あるいはレインボウカラー(色相の段階)で表示
した地形画像は、地
形の幾何的特徴とその分布状態を直感的に視認でき、有用であるが、効果的な
立体視感が得られない
。地上開度又は地下開度のいずれかをメガフィルタとして用い、これにより
画像を処理することもあり、これだと
比較的大域での地形の特徴を補足できるが、立体視感の点で
物足りず、特に局所的な立体視感に不満が残る。




ここで、地形図に立体視感を与える従来方法について述べる。

1.ステレオマッチング画像、三次元画像

基本的に視差を使用した画像で、2枚の写真を用いる。赤/青フィルター、偏光フィルター、回折格子、また
はレンティキュラーレンズによる場合など様々な方法があるが、いずれも特定の方向から見る必要
があり、
また眼鏡を必要とする。しかも、拡大、縮小が難しい。三次元画像は、特定方向から見下
ろした画像で、影
の部分が見えず、また遠くが小さく、近くは解像度が不足するので、判読に不向
きである。しかも画像作成
に時間を要する。

2.等高線による表現

等高線は山地の地形表現に好適だが、急傾斜(例えば、急崖部)或いは緩傾斜もしくは平坦地(平
野部)で、段階的に高さを割り当てられた等高線が極度に集合、離散し、地形の判読に時間がかか
る。傾斜の角度及び向きを等高線の間隔の変化から推測することになり、従って単純な拡大、縮小
に馴染
まず、場合により作り直しが必要になる。等高線が混み合うと隙間がなくなり、崖記号で置
換する。この作業
は手間を要し、またベクトル化の障害になる。小さな凹凸は、各等高線に高さを
付与しないと判読できない。


3.二次元的な標高値を有する画像データの集合

航空写真測量による図化作業では、特定の高度を連ねた等高線情報を直接取得し、等高線間の高度
は与
えない。航空機レーザー計測或いは解析図化機によるメッシュ測量の場合には、DEMデータ
を取得し、そ
れに基づき等高線の二次元的な分布を求め、必要に応じ等高線のスムージングを行う
が、最終的に等高
線に含まれない情報、例えば、等高線間の三次元的幾何情報が使用されずに残る。

●課題

従って、3次元座標で表された大量のデジタル画像データに基づく地形の凹凸部の高低及び傾斜を、
等高線に代え、色調で表現することにより視覚的に立体感を付与可能な立体画像作成装置及び立体

画像作成プログラムを提供することをその課題とする。また、地形の高低及び勾配の度合いを一目
で立体的に把握できる傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、
及び視覚化処理プログラムの提供を課題とする。

●手段

この課題を解決に関わる立体画像作成装置は 所定範囲の地表の標高値が付与された三次元のデジタ
ルデータ(X、Y、Z)を記憶した第1の記憶手段と、デジタルデータを読み込み、地表面を復元
して各格子の高
さと座標とを第1のDEMデータとして生成するDEMデ-タ作成部と、第1のDE
Mデータを連結する地表面
の着目点の第1のDEMデ-タから複数方向毎に、一定範囲内までの最大
頂点となる第2のDEMデータと水平線とがなす角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化した地上開
度を求め、この地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像Dpを得る地上開
度画
像作成部と、一定範囲の前記第1のDEMデータ上に空気層を押し当てた立体を裏返した反転
DEMデータ
の着目点の第1のDEMデータから複数方向毎に、一定範囲内までの最大頂点となる
第3のDEMデータと水平線とがなす第2の角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化して地下開度を
求め、この地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画像(Dq)を得る地下開度
画像作成部と
地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)とを重み付け合成し、この値に応じて
階調表現した第1の合成画像(Dh)を出力する第1の合成部とを備えている。



この体画像作成プログラムは、コンピュータに、所定範囲の地表の標高値が付与された三次元のデ
ジタルデータ(X、Y、Z)を第1の記憶手段に記憶する第1の手段、
デジタルデータを読み込み、
地表面を復元して各格子の高さと座標とを第1のDEMデータとして生成するDEMデータ作成部
と、第1のDEMデータを連結する地表面の着目点の第1のDEMデ-タから複数方向毎に、一定範

囲内までの最大頂点となる第2のDEMデータと水平線とがなす角度ベクトルをそれぞれ求めて平
均化した地上開度を求め、この地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像(
Dp)を得る地上開度画像作成手段、前記一定範囲の前記第1のDEMデータ上に空気層を押し当
てた立体を裏返した反転DEMデータの前記着目点の第1のDEMデータから複数方向毎に、一定
範囲内までの最大頂点となる第3のDEM
データと水平線とがなす第2の角度ベクトルをそれぞれ求
て平均化して地下開度を求め、この地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画
像(Dq)
を得る地下開度画像作成手段、地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)とを重み
付け合成し、この値に応じて階調表現した第1の合成画像(Dh)を出力する第1の合成手段とし
ての機能を実行させる。



●効果

この方法では、1枚でも立体感のある画像が生成できる。また、三次元のデジタルデータであるD
EM(Digital Elavation Model)データをもとに、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを
求め、平面分布をグレイスケール画像として保存。地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾
斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することによって、尾根や山頂部分が白っぽ
く、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせ
により、1枚でも立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜
の度合いを把握させることができる。


このテレビ放送のなかで、情報技術ベンチャー Mapdwell社のエドワルド・バーリン氏が紹介され
ていた。こ
の企業は3D地図を利用し、住宅や工場などの屋根の角度、高さから太陽光発電の発電
予測量とそれに関わる設備投資効果を即座に計算するサービスを展開している――放送録画のボス
トンの住宅に太陽光発電設置した場合10年で元が取れ計算を即座に計算していた。また、ボスト
ン市の住宅全体にソーラーパネルを導入した場合、原子力1基分の2.2ギガワットの発電量を賄
えるというから、日本と比べ米国が先行していることを知ることになる――これはいつものことだ
が。


 

● ポスト・オールバイオマス&オールソーラーシステム完結論

昨夜の掲載で、2つの完結論が終了した。つまり、セカンドライフステージ、大きな課題(仕事)
を果たしたこ
とになる。ファーストライフステージも曲がりなり新規事業(テレビ電子部品製造)
の立ち上げることに成
功したから、米国流に言うと、主体的に企業化(成功/失敗の有無を問わず
)に加わることが人生の大きな目標としていることからしても満足すべきものであろう。この2つ
めの再生可能なエネルギー事業開発は、個人的に関わっているのでこの成果も満足すべき水準にあ
ると考えている。今後の第3ステージのベンチャー事業については追々考えていくこととして、今
夜は、体調もいまひとつだが自分自身を祝福したいと思う。

  ● 日本全国の太陽光発電一覧地図

 

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ドライマウスからスマートキャンティ

2015年02月06日 | 環境学・環境思想

 

 

【ドライマウスからスマートキャンティ 】

最近、朝起きて口の中が乾くドライマウスに悩まされている。お酒の飲み過ぎのときも似たような症状
になる。また、糖尿病もそのような症状を伴うと聞いているがどうもそれでない。一般的には、以下の
ような症状があるといわれるが、「口臭がする-彼女から酷い!と指摘されている」「口の渇きが3カ
月ほどつづいているかな?」「口の中が少し粘つくことがあり、話しにくくなることもある」という程
度のことで苦痛と言うほどではない。

・口の乾きが3カ月以上毎日続いている。
・あごの下が繰り返し、あるいはいつも腫れている。
・乾いた食べ物を飲み込むときに、しばしば水を飲む。
・水をよく飲む。
・夜間に起きて水を飲む。
・乾いた食品がかみにくい。
・口の中がネバネバする。
・口の中が粘って話しにくい。
・口臭がする。
・義歯で口の中が傷つきやすい。
 

 

ところで、ドライマウスの原因としては、「糖尿病」「放射線障害」「脳血管障害」「老化」「筋力の
低下」「更年期障害」「薬の副作用」「シェーグレン症候群」「ストレス」などがあり、単独原因で起
きることもあれば複合して起きることもあるといい、
最も多いのは、薬の副作用によるドライマウス。
"生活習慣病のデパート"という人々が増える中、薬を複数服用している人は当然その危険性も高くなっ
てくる。
そのほか、食生活がやわらかい食べ物中心となり、子ども時代からよくかまないためにドライ
マウスの低年齢化も進むとも。唾液はあごや舌の筋肉をしっかり動かすと分泌が促進されるが、あごや
舌の筋肉を使わないでいると、唾液がどんどん出ない状態へと、すべてが悪循環となり、免疫力が低下
して風邪などの感染症にかかりやすくなったり、味覚障害を起こしたりしやすくる。
ドライマウスは単
に口の中の病気ではなく、疾患のサインとして全身疾患にも結び付くこともあるので、たかがドライマ
ウスと思わず、検査治療を受けるべきだという。そこで、素人判断で、携帯用の加湿器を持ち歩こうか
と考え、通販で注文することに。なに、原理は超音波発振子で簡単に噴霧できるから原価は千円もしな
いはずだ(下写真参考)。と、寝床から彼女から追い出されながら洗面所までの間で考えていた。

  特開2010-243037 携帯型加湿装置

歯磨き、洗面を済ませ、テレビのスイッチ入れると、ちょうどNHKの「まちかど情報室」で、キャビ
ノチェ株式会社製の「水やりのタイミングを教えてくれる棒」が紹介されている。それじゃ、この俺の
ドライマウスのセンサに使えるじゃないかと半ば冗談に、半ば真剣に考え?いつものように朝食のおに
ぎり2つを食べ、室内ウォーキングをこなし、3月から開始する胡椒菜園に使えないか検討するために
この水分計をネット検索しその構成する技術クラスト背景を調べてみる。
                                            

 【符号の説明】

1 土壌用水分インジケータ 2 本体部 3 吸水材 4 水検出シート 5 吸水用開口 6 表示部 
7 蒸散用開
口  8 案内線

この水分センサ土、つまり壌用水分インジケータ1は、水を透過しない材質により中空で、長手方向に配置した
吸水用開口5、他端の近傍に配置した蒸散用開口7と中空の内部を視認できる表示部6をもった本体部2と、本
体部の内側に充填された吸水材3を配置し、吸水状態と乾燥状態で色調が変化する水検出シート4を備
、土壌に挿し込むべき深さの目安となる案内線8を設けているものだが、従来、土の湿り具合は「p
F値」と呼ばれる値で表わされ、このpF値は、土の中の水が土の毛管力により引き付けられている強
さの程度を表す圧力の単位。十分に水を含んでいる土の場合、pF値は小さくなり、植物の根が水を吸
いやすいことを表している。逆に土が乾燥してくるとpF値は高くなり、水を吸いあげるには高い力が
必要となり、畑地の場合、通常pF値は1.5~2.7(成長有効水)でこれ以下では水分過多となり、
これ以上では水分不足となる。

通常、植物がストレスを持たないpF値は、育成する植物の品種に差はあるもののpF1.7~2.3
の範囲であり、インジケータは、植物に応じて適切なpF値を超えた時に土壌が乾燥しすぎていること
を表示する必要があるが、(1)水分量の測定に電池が必要で、電池が切れた時には測定ができなくな
る。(2)また、デジタル表示を読み取らなければ水分量がわからないため、土壌の乾燥度や水遣りの
要否を簡単にわからなかった。これに対し、充填された吸水材による吸水状態と乾燥状態とで色調が変
化する水検出シートで判別出来るという構造になっている。

毛細管現象による吸水力を高めるため精錬漂白加工で油分が除去した綿布――白色のT/Cブロード布
に、吸水状態で赤、乾燥状態で白の色調を示すハイドロクロミックインクを塗布することで予め作成
――この吸水材3と水検出シート4を本体部2の管内に挿入し、本体部2の両端を封止した。を用いて、
使用状態において植木鉢等の容器の縁から表示部6が露出するよう本体部2は、全長5~40cmで、
土壌への挿し込み内径は4~8mm程とすという簡素な構造体である。

ここまできたら、水発色(ハイドロクロミックインク)を定義してしまえ!ということでネット検索を
続ける――低屈折率顔料と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した
透明性金属光沢顔料と、樹脂と、液媒体とから少なくともなる塗料や印刷インキ等に用いることのでき
る変色性塗布液――を塗布(含浸)させたものである(特開2009-074013 変色性塗布液 パイロットイン
キ株式会社 )。

 特開2014-107247 燃料電池システム
 【符号の説明】

10 フォークリフト 12 荷役装置 19 荷役モータ 23 走行モータ 24 燃料電池システム 
25 燃料電池 26
水素タンク 27 燃料電池ユニット 29、31、32、33、35、36 管
路 34 気液分離器 40 キャパシタ 41 制
御装置 42 霧化器 43 排気管 44 導入通路
45 ベンチュリ孔 46 ベンチュリ通路 47 下流側通路 48
膨張室 49 排気口 50 導水
路 51 導水路ノズル 52 貯水部 53 回収路 54 回収路ノズル 55 電気式 
ヒータ 56
超音波振動器

ここまできたらもう少し踏み込もう。ドライマウスは人体だけではなさそうで、これは燃料電池も燃焼
稼働中から停止状態になれば適切な湿潤が必要であることが指摘され超音波加湿などの機能が付加され
ているのが現状であることを知り、なるほどと感心する。

【オールバイオマスシステム完結論 13】 


● スマートキャンティに振動発電を組み込む

   コキノダイナス(赤鬼)のアバター

珍しく、コキノダイナスの家をアルマティが訪れているのは、ヘーリオスが今日からしばらく留守にす
るとのことで歓送会に出席してのこと。ベゴニア、プロンシャス、ヤコシ、クスネボーボシが加わり話
しに花を咲かせている。



コキノダイナスが、「3・11の福島第一原発事故から元菅直人首相や孫正義ソフトバンク会長らの決
断から太陽光発電を筆頭とした再エネの大躍進ですっかり様変わりしたが、バイオマス発電や風力発電
の伸びは後塵を拝している。そこで、ヘーリオス君にサポートしてもらったというわけだが、順調に仕
事が進んだようだが?」と質問すると、ヘーリオスは、「"マートキャンティ"というモデル郷土での技
術的課題はほぼ押さ切きたと考えていますから、オールバイオマスシステムはもう少しっすると実現す
るでしょう。それに、残件の"振動発電"の実用化についてはアルマティさんに研究を進めてもらってい
ます。
」と返答した。

 アルマティのアバター

それを受け、アルマティは、これまでの経過を語りはじめた。「「振動発電体方式」が『デジタル革命渦論』の基本
性に沿っているのでということで引き受けたのだが、風力発電や水力発電をスマートキャンティに組
み込むことが可能かを調べているところだが」と言ったところで、クスネボーボシが「それは
電磁誘導
を利用する方式と圧電素子を利用する方式と静電誘導を利用する方式の3つあるんだろう?」と念を押
すと、アルマティはバックパックに手を突っこみゴソゴソし4つの手のひらサイズのもの取り出し目の
前のテーブルに置きこう切り出した。

   

「これは手のひらサイズのマイクロタービンだよ。普通のスチームタービンから比べれば遙かに小さい
ね(右上写真参照)。このぐらい小さければ故障しても予備が1つあれば簡単に入れ替えることができ
るから、出力の高性能化が課題となるが、このぐらいダウンサイジングできれば、バイオマス発電の小
型が進み、量産効果が効くので製造コストの逓減は簡単だし、ネット販売できる。これって面白いと思
わない、凄い技術だよ!?」。そう言い終わると、次に、直径が15センチメートル×高さ20センチ
メートルの物体を手のひらに載せ替え説明をはじめた。

 

 

「これが、電磁誘導式微振動発電機(上図(上)参照)で、強力な永久磁石製の軸芯とコイルと円筒形の
バネで構成され、筒の下に大きなコンデンサ、そう、キャバシターと非接触式送伝用電磁コイルが組み
込まれていて、受伝用電磁コイルと一対で非接触で蓄電装置側に送れるのだよ。発電源は何でも良いが、
無指向性の垂直軸型風車は小型形状でも風向に左右されないから自動ブレード収納型風車軸の(上図(
下)
参照)の回転力を1次元振動に変換し、この発電機に伝達されるのだ。」と言うと、手でこの小さ

な発電機を振ってみせ終えると、また、次のシート状の物体を手のひらに乗せて説明を始める。

 へーリオス(舳離雄)のアバター

 

「これは、永久磁石のように、ある種の誘電体が電界をなくしても残留する荷電体で、通常、エレクト
レット誘電体
と呼ばれているものを電極とスペーサーとで構成された静電誘導を利用する微振動発電体
(上図参照)。一般
的に、半永久的に電荷を保持するエレクトレット誘電体が用いられ、エレクトレッ
ト誘電体と、これと距離を置いて
配置された電極との相対位置を振動等によって変化させることで、電
荷が電極に静電誘導され発電が行われる。ただ、変形を繰り返す金属製の電極は、機械的な疲労で部分
的にクラックや破断が生じると、電極の電気抵抗が上昇して、振動発電体の発電出力低下するので、こ
れを簡素な
構造で製造性や信頼性の高い振動発電体の製造開発が活発化している。このシート状のもの
を、往来の激しい道路や防波堤などに敷設すれば移動体の振動や、波力による振動を電気エネルギー変
換できるというもの。例えば、エアー緩衝材(プチプチ)のようなものを貼り付け、屋根材として使え
ば、雨による振動とか風によるカルマン渦による振動を効率良く電気変換できるかもしれない。」と言
い終えると、一同大きなため息をつき小休止状態にはいったと、思ったら、また、アルマティが最後の
物体を手のひらにのせしゃべりだした。

  クスネボーボシのアバター

  

「さて、これが、圧電素子方式の振動発電装置だ。小さいだろう。これで自然界の微弱なエネルギーを電気エネ
ルギーとして取り出し、蓄積するエナジー・ハーベスティング技術として注目されているんだ。理論的にはどのよ
うな微細な振動もエネルギー変換できるからマイクロレベルのパッケージデバイスとしてあらゆる場面で使えそ
うで、体内へ埋め込めば、マイクロ電池として応用できる。例えば、コキノダイナスの大きな声で発電可能だ。」
(一同笑)「小川のせせらぎも発電可能だと、そんなことで今日の話は終わりますがよろしいか?」と言いながら
広げたサンプル4つを元のバックに詰め込んでいる。


 ヤコシ(薬師) のアバター

「ということで、今晩の話はこれで終わることになるんだが、"オールバイオマスシステム" もあっけ
なく片付いた
たということになるんやがなにか他にあるか」とコキノダイナスが一同に尋ねるとヤコシ
が、" 手のひらサイズの
化学プラント”について、スマートキャンティの関連で補足説明を加えた。つ
まり、『デジタル革命』により生命情報科学が進歩し相当量の遺伝子解析が明らかにされつつあり、木
質バイオマス原料を効率よく分解処理できる微生物や酵素が発見や生物工学でつくり出されるが、それ
は大きな工場でつくられるのではなく、喩えれば、四畳半程度の小さな研究室から生まれ、製造される
時代に入ったことを意味することの説明であった。

                                      (この項つづく)

 

  



 

 

 

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如月に香る蝋梅

2015年02月04日 | 滋賀のパワースポット

 

 

       しらじらと障子を透す冬の日や/部屋に人なく駐梅の花      窪田空穂

 

 




● 沙沙貴神社 如月に香る蝋梅

眼精疲労が酷く、今日はマイピーシーとできるだけ向かい合うのはよそうと考え、天ぷらうどん頂いた後、
正午
前、早春の訪れを告げる沙沙貴神社の蝋梅(ろうばい)鑑賞にと二人で湖岸道路を南下する。沙沙貴神
社は、滋賀県近江八幡市安土町常楽寺にある神社。式内社で旧社格は県社だが、少彦名命――神話の時代に
「少彦名神」がササゲの豆の鞘に乗り海を渡って来た伝説から「ササキ神社」が始まったと伝えられている
――を主祭神として計四座五柱の神々を
祀り、「佐佐木大明神」と総称する。佐佐木源氏の氏神であり佐々
木姓発祥地に
鎮座する。神代(かみしろ)に少彦名神を祀ったことに始まり、古代に沙沙貴山君(ささきや
まきみ)
が大彦命を祭り、景行天皇が志賀高穴穂宮遷都に際して大規模な社殿を造営させたと伝わる。


後にこの地に土着した宇多源氏によって宇多天皇とその皇子であり宇多源氏の祖である敦實親王が祭られ
それ以降佐々木源氏の氏神とされ、子々孫々が篤く崇敬していた。婆沙羅大名の佐々木道誉や江戸時代天保
年間に消失した社殿を再建した丸亀藩主京極高明、日露戦争203高地の戦いで有名な乃木希典もその一人
である。現在も宇多源氏・佐佐木源氏(佐々木家、六角家、京極家、朽木家、黒田家、馬淵家、堀部家、青
地家、曲直瀬家、森川家、三井家など二百二十余姓)末裔の篤い信仰を集めるという。

ところで、境内の蝋梅(ロウバイ)は中国原産の落葉低木。ろう細工のように光沢があり花が梅に似ている
ことからこの名で呼ばれる。1975年に京都御苑に咲いていた「素心蝋梅」1本を株分けしてもらったの
を機に、地元の氏子から寄贈された「満月蝋梅」を加え計20株が本殿や楼門の周りで枝を広げるていると
いうもの。この花は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木。1月から2月にかけ黄色い花を付ける落葉広葉低
木。花の香りは強い。名前に梅がついているためバラ科サクラ属と誤解されやすいが、別属である。
唐の国
から来たこともあり唐梅とも呼ばれ、中国名も蝋梅であったことにちなむ。本草綱目によれば、花弁が蝋

のような色であり、臘月(ろうげつ、旧暦12月)に咲くからこの名がついたとされる。また、花やつぼみか
ら抽出した蝋梅油を薬――抗菌効果や皮膚の再生効果があるとされ、また開花前のツボミを乾燥させた蝋梅
花は解熱効果、鎮痛効果があるとされ古くから漢方薬として利用――として使用する。ソシンロウバイ(素
心蝋梅)、マンゲツロウバイ(満月蝋梅)、トウロウバイ(唐蝋梅)などの栽培品種がある。よく栽培され
ているのはソシンロウバイで花全体が黄色。
ロウバイの基本種は、花の中心部は暗紫色で、その周囲が黄色
である。

土壌をあまり選ばず、かなり日陰のところでもよく育ち開花する丈夫な花木である。繁殖は、品種ものの一
部を除き挿し木が一般的だが実生からの育成も容易。種まきから最も簡単に育てられる樹種である。晩秋に
なると、焦げ茶色の実(果)がなっているので、もらってきて播くといい。タネはアズキくらいの大きさ
である。寒さに遭わせたほうがよく発芽するので、庭に播き、5ミリメートルほど覆土しておくと、春分を
過ぎてから生えてくる。本葉が開いたら上広げてやると言う。花言葉は、慈愛、優しい心。

 



もう1つ、この神社にはなんじゃもんじゃの大木が植えられている。ナンジャモンジャとは、見慣れない立
派な植物で、怪木や珍木に対して地元の人々が付けた愛称。特定の植物の種名ではない。ヒトツバタゴを指
すことが多いが他の樹種の場合もあり、あんにゃもんにゃとも呼ばれる。「ナンジャモンジャ」と名付けら
れる植物の樹種は、ヒトツバタゴのほか、ニレ、イヌザクラ、ボダイジュなど様々。「ナンジャモンジャ」
と称される理由について、民俗学では、元々は占いや神事に利用されていたもので、植物名で直接呼ぶこと
が憚られたものではないか、とみる説などがあるといわれる。

ところで、この花の香り(樟脳や白檀の香りに近いので「華佗膏」に添加されているとか)が余りにも良く
、花を2、3房持ち帰り、焼酎(宝酒造)に加え口に含んでみる。香りは申し分ないが、樟脳の匂い(クス
ノキ目ロウバイ科)が気になりネット検索すると、強い毒性を示す「カリカンチン(Calycanthine)」と呼ば
れるアルカロイドが含まれている。「カリカンチン」は、哺乳動物に対し、ストリキニーネ様の作用を示す
――ウサギ摘出腸管、子宮に対して、強い興奮作用を示す。また、麻酔ネコ、イヌに対し、心拍抑制による
血圧降下作用が認められる。致死量は、静脈注射で、マウスに対し 44mg/kg ラットに対し17mg/kgである。
ということで、気ついたが後の祭り。
 

 

【オールバイオマスシステム完結論 12】 

 

  


● スマートキャンティ 森林監視システム

森林管理は、多数の異なる態様を含む森林部門。これらの態様は、森林管理の環境、経済、行政、法律、及
び社会的な側面が含まれ、木材の摘出、樹木の植栽、樹木の再植栽、森林の中に道路や通路を切り開くこと、
森林火災の予防、森林の健康維持、及びその他好適な活動などのさまざまな技術から構成されるが、下図の
新規考
案は、森林管理作業を実施する方法及び装置である。森林の状態を評価するための情報を生成に使用
するツールには、例えば非限定的に、クリメータ、データレコーダ、インクリメントボーラ、ウェッジプリ

ズム、直径テープ、全地球測位システムデバイス、タリメータ、ラップトップパソコン、及びその他の好適
なツールが含まれる。これらのツールは、あるエリアに存在する樹木の数を予測する、樹木の健康状態を識
別する、樹木の年齢を識別する、樹木の間隔を識別する、土壌サンプルの組成を識別する、及びその他の好
適な作業等の様々な作業を実施するために、森林管理人員によって使用される。


この情報を元に、情報の解析を行って森林の状態を識別する。この森林の状態は、森林のインベントリーで
ある。この森林のインベントリーにより、木材の価値、木材から得られる期待キャッシュフロー、
既存の森
林地の規模、余暇的利用の影響、火災の危険性、森林の成長及び価値を上げるための改善、木材を伐採すべき期
間、及びその他の好適な結果等の結果が得られる。現在、森林の状態を評価するための情報を収集するプロセスは、
非常に時間がかかり複雑である。例えば、情報の収集には、森林の特定位置に対して森林管理人員が何万、または
何十万ものセンサの読取値や観測結果を得ることが必要である。追加の位置があれば、さらに多くの情報が
収集される。さらに、この情報を所望の期間内に所望の頻度で収集すると、必要な時間及び労力も増加する
諸問題を解決するシステムである。

 
JP 2014-113148 A 2014.6.26

 【符号の説明】

100 森林管理環境 102 アセット 104 森林 106 位置 108 無人航空輸送手段 110
無人航空輸送手段 
112 無人航空輸送手段 114 衛星 116 無人航空輸送手段 118 無人航空
輸送手段 120 地上ベースのセン 
サユニット 122 地上ベースのセンサユニット 124 地上ベースのセン
サユニット 126 サポートシステム 127 地上ベースのセンサユニット 128 地面 129 水域 
130 樹木 132 無線通信リンク 134 制御ステーション 136 森林マネージャ
 

上記の「特開2014-113148 森林センサの展開及び監視システム」( ザ・ボーイング・カンパニー)に対し、
風力発電システムを組み込んだ場合の分散型電力管理システム(下記の図の「特開2015-008588 発電制御シ
ステム」(株式会社東芝))が、予測された電力需要予測の結果から、現在の発電システムでの発電状況か
らでは電力の供給が厳しいと判断された場合には、発電制御システム全体における不足電力と、風力発電シ
ステムでの発電量予測データと、を比較することで、不足電力の大きさに応じ、発電システムと小型風力発
電システムとに分担可能なシステムが提案されている。

 
JP 2015-8588 A 2015.1.15

【符号の説明】

1…気象予測データ取得部、2…電力需要予測算出部、3…風力発電量予測算出部、4…発電システム、
5…発電システム用の電力制御部、6…不足電力算出部、7…風力発電システム、9…小型風力発電システ
ム用の電力制御部、15…需要電力予測データ、16…発電量予測データ、17…現在の電力需要データ
18…発電システムに割り当てる不足電力量、24…発電制御システム、31…小型風力発電システム、
32…発電量予測データ、33…小型風力発電システムに割り当てられた不足電力量、35…小型風力発電
での発電電力、38…発電制御システム全体における不足電力


近年、改めて、有限な資源(石油、天然ガス、ウラン)に依存しない再生可能なエネルギーを用いた発電とし

て、太陽光発電と共に風力発電が注目されているが、周知の通り風力発電は、風力を風車(ブレードとも呼
ばれる)で回転運動を行わせて、風力エネルギーを回転エネルギーに変換し、回転エネルギーによって発電
機を回転させ電気エネルギーを取り出す。しかし、風力発電では、発電量が風況に応じて変動し、電力供給
源としての評価は今ひとつという段階?にある。そこで、近年、予測精度が非常に高くなっている気象予測
システムを用いることによって、風向や風力等を予め予測して、風力発電での発電量を精度良く予測するこ
とができれば、電力供給源としての価値は高まるものと考えられ、無指向性である垂直軸型風車は小型形状
でも風向に左右されることがない構成のため、一般家庭や集合住宅などにおいても十分に設置することが可
能な小型風力発電装置であり、気象予測システムと組み合わせることができれば貴重な発電装置となり得る
ことに着目する。

発電所における発電システムと、中型や大型の風力発電システムと、居住地域に設置された小型風力発電シ
ステムと、を統括して制御する発電制御システムに関するものであって、気象データから予測される電力需
要や風力発電システムと小型風力発電システムにおけるそれぞれの発電量予測データを算出するとともに、
予測された電力需要の予測結果から、発電システムからの電力の供給だけでは厳しいと判断された場合には、
風力発電システムと小型風力発電システムを用いて不足電力を分担させるようにした発電制御システムの提
供を目的とする。

発電制御システム24では、気象データ14から予測される電力需要や風力発電システム7と小型風力発電
システム31におけるそれぞれの発電量予測データ16、32を算出し、予測された電力需要の予測結果か
ら、発電システム4からの電力の供給だけでは厳しいと判断された場合には、風力発電システム7と小型風
力発電システム31とで発電している発電電力20、35を用いて不足電力38を分担させる。これにより、
不足電力38を効率的に解消できるようにし、気象データ14を基に算出した予測される電力需要や風力発
電量を用いて、風力発電システム7と小型風力発電システム31とでそれぞれ発電している発電電力20、
35を効率的に不足電力38の解消に役立るというものである。

それでは、最新の垂直型風力発電はどのようなものがあるのだろうか?下図の「特開2014-156838 風力発電
機 」は、鳥の羽ばたき運動を模擬した平行回転翼を風力発電機に応用する。平行回転翼は複数の回転翼を基
本的
に風の流入方向に向けたまま、周期的に遥動させる機構を備えている。そのため、直線翼垂直軸風車に
応用した場
合は小さな床面積に設置でき、平行回転翼を回転させたままで、風の流入方向に対して最適な迎
角をとるように回転
翼の傾斜角を制御できるので、風の向きに合わせて発電機本体の向きを調節する機構は
必要としない。また、強風
時には、全ての回転翼を風の流入方向と平行にして気流を受け流すことができる
ので、破損防止用のブレーキ装置
も必要としない。そして、強風時にも強度と危険速度の許す範囲内で発電
を継続できる平行回転翼を利用した風力発電機が提案されている。

しかしながら、機構が複雑すぎる感があり、堅牢性あるいはメンテナンス性の側面で故障が生じないか不安が残るが
(理想を言えば20年間のメンテナンスフリーが理想的)、実績次第では、小型化で弱風対応可能な垂直型風力発電
装置として世界展開できる製品として普及する可能性をもつ(参考までに、別の新規考案を下記に掲載しておく)。

※ 特開2014-025473 垂直軸型風車の集風装置  株式会社ピーエス三菱

理想的には、以前にもブログ掲載した「振動発電体方式」が『デジタル革命渦論』の基本特性に沿っている
ので、その
原理応用の風力発電(それ以外には、波力、水力、潮流発電にも応用できるが、微振動発電体―
電磁誘導を利用する方式、圧電素子を利用する方式に大別される――耐久性に不安点が残る
)が個人的には
望ましいと考えている。今夜は下記の新規考案を掲載し、この辺で切り上げよう。


※ 特開2013-128392 振動発電装置および振動発電装置の制御方法  国立大学法人東北大学
 

 

 

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中東にスマートキャンティ建設

2015年02月02日 | 贈与経済

 

 

 

【たまには熟っくり本を読もう】

 

● 日中食品汚染 Ⅴ 第1章 見えない食品の恐怖


                              食品と食品添加物の境界

  日本の食品添加物区分法は独特で、指定添加物(438品目で、食品衛生法で指定し
 たもの)、既存添加物(36
5品目)、天然香料(植物の種類の数ほどの品目数)、一
 般
飲食物添加物(72品目)の4つに分けられている(いずれも2014年2月現を)。
 こんなにも複雑で、あまり意味
があるとは思えない区分をしている国は日本以外にない。
 科学的な基準によって分けられているかというとそうではなく、あまりの種類の多さに、
 行政上の管理がついていか
ないので便宜的に分けたとしか思えないやり方だ。

  たとえば既存添加物は、食品添加物を作っているメーカーに与えた既得権益のような
 もので、指定添加物と中身に
人差はない。「長年使用されていた実績があるものとして
 厚生労働大臣が認めたもの」と、理解しがたいがもっともらしく付けられている。
 長年使われていると実績になり、そのまま使用が許されるというわけだ。なぜ、食品衛
 生法にもとづく指定添加物にしないのか? 霞が関行政の謎のひとつとしかいいようが
 ない,
  用途分類としては、増粘剤、着色料、防腐剤、凝固剤、漂白剤、光沢剤、酸化防止剤、
 甘味料、発色剤など18種類あり、そのほかに製造用剤として使われる添加物が数多くあ
 る。結着料や消泡剤、抽出溶剤、日持向上剤などはなくてもよさそうなものだ。

  我われは肉、魚を生きたまま食べることはほとんどなく、死んだものを調理して食べ
 る。死んだものといっても自然の色をしているが、見た目が良くない場合もある。そこ
 で、赤、酋、白など人工着色をし、いかにも鮮度がよく、味もよさそうに演出するのが
 着色料だ。明太子、いかの塩や、ハム、ウインナーソーセージ、カッブ麺、チョコレー
 トなどにはとくに重宝されている。ジュース、スープ、漬物、ケーキ類などにも幅広く
 使われていることはご承知のとおりだ,

  
                          危険添加物が政府公認リストに


  では中国では食品添加物をどのように定めているのだろうか。食品添加物は国が定め
 た規格GBの対象となり、名称、成分、使用基準が「食品安全国家標準、食品添加剤使
 用標準」に定められている。
  最新の「使用標準」は2011年6月、中国国家衛生・計画生育委員会(旧衛生部。
 日本の厚労省にあたる)が発
布したもので、全部でA4判186ページ。驚くのは、そ
 の種類の多さである。この資料に掲載されている食品添加物を数えると1802種類
 香料はあまりにも多いせいか別扱いされて、天然香料が400種類、合成香料がなんと
 1453種類にもなる。そのほか、カビ用製剤52種類、食品加に助剤37腫煩が加わる。

  年間760万トンもの食品添加物を製造する国だから、種類もケタ外れに多いという
 ことか。もちろん、これらの食品添加物がみな人体に危険というわけではない。しかし、
 このように許可されている鮪煩が多いということは、やはり、使用量を間違ったりすれ
 ば危険であるばかりでなく、そもそも問題のある食品添加物が存在しないはずがなかろ
 う。

  中国で食べる中華料理は概して、どのレストランで食べてもそこそこうまい。つい食
 べすぎてしまうが、いつの頃からか、あのおいしさには秘密があるのではないかと思う
 ようになった。食品添加物の腫煩の多さを考えると、おいしさの素は、中華料理用に開
 発された調味料や香料などの食品添加物にあるような気がする。
  おいしいからといって食.へてばかりではいけない。禁止されているはずの食品添加
 剤があふれているし、そもそも許可されている食品添加剤そのものに危険性がないのか
 といった不安や、限度量を超えて使われていないのかなど、疑問は消えない。

  何よりも、世間で危険性があるとされている食品添加剤が、政府公認のリストに多数
 含まれていることが不安を増幅させている。ほんの一例だがサッカリン(18種類)、チ
 クロ(18種類)、グルタミン酸ナトリウム(1種類)、BHT(13種類)、BHA(11
 種類)アセスルファムカリウム、キシリトール(7種類)など、発ガン性や危険因子を
 持つと指摘されている化合物が載っている。また安息香酸、ソルビン酸、着色料のター
 トラジン、サンセットイエロー、カルミン、ア了フンサス、ライトブルー、甘味料のア
 セスルファムカリウムなどは、中国でも最も危ない食品添加物として敬遠されているに
 もかかわらず、市販されて
いる。

  これらの化合物の一部または全部を使っている食品添加物の数を中国政府の資料(国
 務院食品安全委員会資料)か
ら調べたところ、はっきりと使ってはいけないリストに挙
 げられている食品添加物が47、あまり頻繁に使ってはならないものが22あった(具体名
 は略す)。

  しかし、決まりを破って使う事件が頻繁に起こり、当局も困り果てている。外食の機
 会が日本より多い中国ではそれだけ食べる人のリスクが高くなるというものだ。最近の
 中国の新婚夫婦は自炊を避け、外で食べることが流行になっている。家に食器がない家
 庭さえあるそうだ。中国で
レストランに入ると、かならずといっていいほど若いカッ
 ルが食事をしている姿を見かける。だが、中国の若夫婦
を心配ばかりしてはおれない。
  食品添加物や加工前剤など
を使った食品は中国人だけでなく、わたしたち日本人も、
 同じくらい口にしているということを忘れてはならない。

  日本の食料自給率が低いということは、そのまま世界の食品添加物をロにしているこ
 とを意味する。日本人がロに
する食品添加物の随順を数えるのは不可能だが、おそらく
 世界でもっとも多いはずで、それだけリスクも高まるというものだ。


                                              得体の知れない食品

  最近の中国からの輸入食品には、あきらかな傾向があ精肉や生食用の青果物が減り、
 本体が見えにくくなった加工品
やさまざまなツマと端もの類の輸入が増えているの
 ツマとは刺身のツマと同じように、中心となる食べも
のを際立たせるための脇役、かな
 らずしも必要ではないがあった方がいいようなもの、食べない飾りとでもいうようなも
 のだ。端ものとは文字どおり中途半端な、半人前のも
のであるが、それなりに重宝がら
 れる存在だ。

  中国は食の文化が厚く歴史もあるので、そのような脇役としての食材が豊富に存在す
 る。中国の露天商が並ぶ街角
を歩くと、日本では見かけることのない干した植物や魚介
  類、動物の一部分と思わしき物体がテントの屋台や店の隅っこにおいてある。
   日本人がまず驚くのは、爪がついた鶏の足の先ではないか。わたしもはじめて良したときは、
  できることなら、二度と良べたくないと思ったものである。八角、ラージャオなどの
 香辛料、乾燥
ナマコに豚顔皮、とぐろを巻いた鴫の腸、でしたミカンの皮、冬虫夏草(
 偽物が多い)、乾燥朝
鮮人参、干したカエルやヘピ、カイコの幼虫、サソリなど、何で
 もアリだ。

  これらを含め、日本はさまざまな中国食材を輸入している。サンザシの実、クコの実
 桂皮、塩クラゲ、松の実乾燥メンマ、緑豆など、その種類は数えきれないほどである。
 食材や
料理の主役ではないが、一定の役割を担っていしかし、問題はこうしたツマものより、
  原材料が見えない加工食品が増えていることだ。まさに得体のしれない食品が幅広い
 分野で使われるようになりつつある。

  表2は、2つの日本企業が中国から輸入した食品のうち、ペーストやパウダー(粉末
 )の一例を示したものだ。
ここから主な原材料はわかるが、加工過程で使われた添加
 や危険な農畜産物が混じっているかどうかはまったく不
明だ。日本の食品表示法では加
 工食品の原材料は全体に占
める量が多い方から上位3番目まで記せばよく、5%未満
 あれば表示する必要がない,典型的なザル法といわれて
いる所以である。

 

 たとえば100グラムの大豆パウダーに5グラム未満の遺伝子組換え大豆の粉を混ぜて
 いても、それを表示する義
務はない。重さであって質ではないので、劇薬の農薬DD
 (ジクロロジフヱニルトリクロロエタン、有機塩素系殺
虫剤)で汚染された4グラムの
 大豆の粉も隠れてしまうこ
とがある。パウダーやペーストはこうした危険性を伴う食
 の形態であり、汚染の隠れみのともなる。
 

                                         高橋五郎 箸 『日中食品汚染』

                                                   (この項つづく)


 

● 引き寄せられる混沌 : 軍事的紛争加担の愚

 菅義偉官房長官は2日午後の会見で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに
 日本人2人
が殺害され事件に関して、政府としては身代金を用意せず、犯人側と交渉す
 るつもりはなかったこ
とを明らかにした。イスラム国は1月20日にインターネット上
 に投稿した映像の中で、拘束していた
湯川遥菜さんと後藤健二さん解放の条件として、
 身代金2億ドルを要求していた。菅官房長官は会
見で、身代金を用意していたかについ
 て記者から問われ「それは全くない。百%ない」と明確に
否定した。さらに、イスラム
 国と交渉する気は「全くなかった」と述べたという。(ロイター 2015.02.02)

@参考
 

「イスラム国」日本人人質殺害事件の全貌が明らかになりつつある。ネット上ではいろいろ
流されているが、今日時点の感想では、安部と日本政府の中東外交の稚拙さ、前のめり、あ
るいは意図的な挑発?それはないだろうが、気になるところだ。詳しいことはもう少し待た
なければならないだろが、中東の歴史的背景考慮すればもっと違ったアプローチがあっただ
ろう。ここ彦根市と水戸市が友好関係を取り戻すのに百年要している。まして、イスラエル
とパレスチナ紛争は殺人の連鎖反応が沈静化しない上に、アラブの春は新たな紛争と新たな
圧政を惹起させ、シリアは内戦中、そこにイラク国家再建の失敗と「イスラム国」の出現
ある。"覚悟の千年戦争"との喩えは、ブログ掲載したことがあるが、本気で安定化を望む

ら関係国と合意の上で、「平和と連帯のホームブランド建設プロジェクト」と銘打って世界
各国
の専門技能をもったボランティアと中東諸国の若者が参画するモデル郷土を建設。その
実績を元に
賛同を得た地方でインプラントしていくというものだ。それは大がかりな都市と
いうものではなく、スマ
ートーキャンティ(1ユニット数百戸程度の環境配慮した分散都市)
を日本が率先して贈与するという案だ。

尚、参画政府は同伴すれど、金はだすが、口(行政支配)も手(軍事支配)もださないこと
を原則とす


※ 「スマートキャンティ」建設運動に敵対し、武力侵害された場合はどうするか?国連に提訴→国
   連軍派遣→本格的な防衛活動に移行→停戦→国際裁判公開→是正活動に移行。以上の手
   順を構想している。

【オールバイオマスシステム完結論 11】 

 

  

● オゾン叩解処理技術と木質バイオマス発酵工学

さて、今夜はオゾン発生技術を利用して木質バイオ(主にリグニノセルロースを標的として)
の前処理について考察してみた。また、オゾン発生方式は大別すると無声放電方式、電気分
方式、紫外線ランプ方式等がある。工業的用途で最も一般的な方法は無声放電方式。無声放
電(Silent discharge)とは下図に示すように平行電極間に誘電体(dielectric)を、設け、この
間に酸素ガス、乾燥空気等を供給し、両極間に交流高電圧を印加する際に観察される放電現
象である。さらに無声放電の一種である沿面放電(surface discharge)が図2。誘電体を挟ん
で片側に面電極もう一方に線電極を放電電極、面電極を誘電電極と呼ぶ。この両電極間に交
高電圧を印加すると放電電極と誘電体の間で放電。この際、写真1に示すように線電極の周囲に
沿って青白い放電が観察される。

 

ネット検索結果、既にこれに関する新規考案は提案されている。それは、 先回紹介した「
特開2014-173198|リグニンの分解方法」であり、今回の リグノセルロースから幅が1μm
以下、長さが5mμm以下の微細繊維状セルロースを製造する微細繊維状セルロースの製造
方法で、リグノセルロースをオゾン雰囲気下で脆弱化させるオゾン処理工程と、リグノセル
ロースを機械的に粉砕する粉砕工程と、を備える微細繊維状セルロースの製造方法で、経済
性に優れ、リグノセルロースを十分に解繊して分解抵抗性を低下させることができ、高収率
で糖やエタノールとすることも可能な微細繊維状セルロースの製造方法、並びに、この微細
繊維状セルロースを用いた高強度特性を有する高強度シート及びナノ複合材料の提供という、
独立行政法人産業技術総合研究所の 「特開2012-193353|微細繊維状セルロースの製造方法」
である。

 

つまり、微細繊維状セルロースの製造方法は、リグノセルロースをオゾン雰囲気下で脆弱化させる
(1)オゾン処理工程と、リグノセルロースを機械的に粉砕する(2)粉砕工程で構成された、バイオマ
スから細繊維状セルロースを製造するもので、このうち(1)のオゾン処理工程がメタン発酵やガス化
の高効率に適応できるのではないかというもの。

このオゾン処理工程は、リグノセルロースをオゾン雰囲気下で脆弱化させる工程で、リグノ
セルロースをオゾン雰囲気下におくことで、主にリグニンの炭素・炭素二重結合をオゾンと
反応させ分解させる。
これにより、リグノセルロースの細胞壁の強固な積層構造が脆弱化さ
れ、機械的粉砕(粉砕工程)の効率化が図られるが、オゾン処理を促進させる媒体や触媒が
混合使用――
オゾン処理用媒体としては、水の他、アルコール、ベンゼン、炭化水素等の公
知の有機溶媒で、
酸化チタン等の光触媒が用いられる――するというもの。

オゾン処理工程限定してその実例を紹介すると、以下の通りとなる。

リグノセルロースとして、針葉樹であるスギを用いた。まず、予備粉砕工程において、カッ
ターミルを用いてスギを粉砕し、3mmのサイズの木粉を得た。次に、1L容丸型フラスコ
に水分量を30,40,50,60%に調整した20gの木粉をそれぞれ投入し、各フラス
コを、オゾン発生装置(エコデザイン社製、型式ED-OG-R5)を備えたエバポレータ
ーに取付け、0.5L/minの酸素流速で、約6g/hのオゾンを発生させて、1時間オ
ゾン処理し、それぞれ処理物を得る(オゾン処理工程)。尚、
比較例として、オゾン処理を行
わなかったこと以外は、実施例同様にして処理物(3mmのサイズの木粉)を得る。

実施例(3)で得られた処理物についてはその画分を、処理物の固形分量に対して200倍
の水で、吸引ろ過装置を用いて水可溶分と残渣とに分離した。そして、水可溶分に含まれる
固形分量(水可溶分量)の処理物の固形分量に対する割合を求めた。 得られた結果を下表
2に示す(尚、実施例1,2の詳細は割愛)。

上の評価で得られた実施例3の残渣に、濃度が1%(w/v)となるように、固形分1g当
たり40mg
のメイセラーゼ(明治製菓社製)と、200μLのOptimash BG(Genencor
社製)と、100mM酢酸
緩衝液(pH5)とを加え、45℃、48時間振とう(230r
pm)することにより糖化反応を行った。そして、
得られたグルコース、キシロースを高速
液体クロマトグラフィーにより定量した。得られた結果を下表
に示す。なお、表3中、種々
の単糖生成量は、オゾン未処理の原料固形分に対する生成量を意味
する。



このようにして、上表に示す結果より、水分量40%でのオゾン処理物の残渣は、単糖生成
量が最大となることが判明している。また、実施例の水分量40%での処理物の残渣、並び
に、比較例の処理物については、それぞれ固形分30gを計り取り、濃度が2%(w/w)
となるように蒸留水(媒体)を加え、それらにディスクミルを用いた機械的粉砕を5回施し、
微細繊維状セルロースとした(粉砕工程)。実施例の評価においては、粉砕を7回繰返し、
ディスクミルのディスク間隔を、ディスクミル処理の1回目はディスクが擦れ出す間隔から
100μm広めた間隔とし、2,3,4回目は各々1回目のディスク間隔から50,100,
150μm狭めた間隔とし、4回目以降は200μm狭めた間隔とした。さらに、比較例の
評価は、粉砕を10回繰返し、ディスクミルのディスク間隔を、ディスクミル処理の1回目
はディスクが擦れ出す間隔から500μm広めた間隔とし、2,3,4回目は各々1回目の
ディスク間隔から200,400μm狭めた間隔とし、3回目以降は600μm狭めた間隔
とした。ディスクミル回数、それに対応するディスクミル処理時間及び消費電力の一覧を下
表に示す。なお、表中、ディスクミル処理時間と消費電力は、原料固形分に対する累積時間
と累積電力を意味する。


尚、メタン発酵(あるいは糖化、エタノール発酵)及びガス化と関連付けた事例については、今夜に
時点では不詳のため、自動的に残件扱いとなる。以上、バイオマスの前処理を考察してみた。

 

 

  ● 今夜のこの1枚

 新たに発見された古代マヤの水の神殿の空撮写真

 

 

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水中プラズマと木質バイオマス発酵工学

2015年02月01日 | 開発企画

 

【オールバイオマスシステム完結論 Ⅹ】 

 

  

● 水中プラズマ技術と木質バイオマス発酵工学

ようこそ!スマートキャンティへ』 では、木質バイオマスをメタン変換し、精製後、メタン燃料電池
要改質工程)あるいは、ガスタービン発電するシステムを紹介掲載した。ここでは、木質バイオマスメ
タン発酵ガス発電システムの(1)水と原料バイオマスパウダーを混合し、高速発酵を実現する前処理工
程と、(2)(1)の工程で直接、バイオマススラリーから水素ガスを製造する工程で液中プラズマ処理
に導入することが可能であり、液中プラズマ技術の概要とその応用技術を考察してみた。

尚、この分野の専門知識を持っておられる方なら、前工程を必要とするウエット法より直接、木質バイオ
マスを燃焼あるいはガス化する方がエネルギー変換効率が高いと思われる方が多いことも承知の上で(下
図上/下をクリック)、高速で省エネ(=省二酸化炭素排出量)で廉価なシステムを前提として考えてみ
る。前処理でのボトルネックエンジニアリングは「リグニンの分解」にあり、前回では、リグニンが溶解
または分散した液体中にオゾンガスのマイクロバブルを供給し、30℃以上百℃未満の液温でリグニンを分
解する叩解(こうかい)処理方法(「特開2014-173198|リグニンの分解方法」)を紹介している。

 

● 液中プラズマとは

液中プラズマとは液体中の気泡中に温度数千K のプラズマを発生させる技術。この技術を使えば、油や廃
液などの有機溶媒を直接プラズマで分解し、水素を取り出すことができる。日本は水素社会の到来に向け
て、水素自動車を普及させるためにインフラを整備し、水素ステーションを設置中である。そこで、廃棄
物から安価
な方法で水素を取り出し、内燃機関として利用することができれば,従来のエンジンを改良す
るだけで、水素自動車が実現できる。2011年、愛媛大学の液中プラズマプロセスの研究グループらは液中プラズ
マ技術で分解、回収された水素で、水素燃焼型自動車を動かす実験を行い,走行実験に成功している。



液中プラズマ法は,液体内に設置された金属電極に高周波やマイクロ波電力を効率的に投入し,継続的に
安定なプラズマを液体中の気泡の中に発生させる技術。液中プラズマを数10 kHz帯から2.45 GHzの範囲で

発生させる。尚、周波数が低い場合はプラズマ発生前後でのインピーダンス整合、周波数が高いマイクロ
波になると波長が短くなり、実験装置の形状の影響を強く受けるので要注意。高周波の周波数には、13.56

MHz,27.12 MHz,マイクロ波の周波数としては電子レンジに使われている2.45 GHz を利用でき、比較的
価にプラズマを発生させることができる。電極に高周波やマイクロ波を投入すると、金属電極がジュー
加熱され,周囲の液体が気化し気泡が発生、その気泡中にプラズマが発生する(上図1は27.12 MHz の
高周波液中プラズマの様子――液体は左からエタノール,炭酸リチウム水溶液,塩化ナトリウム水溶液で
ある.プラズマが発生した後、電源を切らない限りプラズマは安定に液中で発生する。左から,青、赤、
橙色の発光が観察され、炎色反応のように色によってプラズマ内部の物質を予測することができる。)。
このように、液中プラズマは,気泡内部は気相プラズマであるが、周りを気液界面で覆われているのが最
大の特徴である。 

液中プラズマによって生成される数千K(絶対温度)の化学反応場は、地球上に存在するほとんどの物質
を熱分解させる。この技術を使えば液体から水素を取り出せるが、何から水素を作り出すのかが問題にな
る。下表1は1モルの水素を得るために必要なエネルギーの比較である。水の電気分解による方法はクリ
ーンな水素製造方法として最も有力な方法であるが、水は非常に安定な物質であり、これを分離させるに
は表1に示すように多くのエネルギーを必要とする.天然ガスの水蒸気改質法は大量の水素を製造する方
法として商用向けに確立された技術であり、以下の2つの反応の組み合わせ表記する。



(1)式が吸熱反応で、
(2)式が発熱反応である。総合的には165 kJ/mol の吸熱反応となるので、外
部から熱を加える必要がある。1モルのメタンガスと2モルの水から、4モルの水素と1モルの二酸化炭
素が生成するので、1モルあたりの水素製造エネルギーが水の電気分解と比べて格段に低くなる。都市ガ
スや液化天然ガスなどから改質器を用いて水素を取り出し、これを酸素と反応させて発電する。このとき
の反応熱を給湯として利用する家庭用燃料電池コージェネレーションシステムがすでに市販されているが、
水蒸気改質反応では最終段階で二酸化炭素を排出するので何らかの配慮が必要となる。もしこれを固形化
するエネルギーまで含めて考えると、電気分解と比べて同程度か、それ以上のエネルギーが必要になる。
このため、水素エネルギー社会を実現させるためには低コストで二酸化炭素を排出しない水素製造法の開
発が望まれる。

二酸化炭素を排出しない方法としてメタンガスからプラズマによる熱分解によって水素を取り出す方法も
あるが、熱分解に投入するエネルギーが大きく、分解によって得られた水素は次の分解エネルギーとして
使われる程度であり、そのままでは何も生み出さないのが現状である。民生用のシステムとして熱分解法
を普及させるには,製造コストを低くするか,副生成物として高付加価値の物質を生み出す必要がある。



一方,液中プラズマ法は,様々な液体中で発生させることができるので,油などの有機溶媒を直接プラズ
マ分解する、分解エネルギーのみの比較では最も少ないエネルギーで水素を製造できる。(3)式は n‐
ドデカン(灯油の主成分)がすべて水素とグラファイトに分解する反応である。

  
1モルのドデカンから13モルの水素が生成されるので、1モルの水素を生成するのに必要なエンタルピ
は 27 kJ/molになる.このように,油(炭化水素系の液体)は多くの水素を含み、灯油などを用いた改
質法も提案されているが、液中プラズマ法では炭素成分を一気に固形化までもっていくことができるのが
特徴。また、液中プラズマ法は電気分解と水蒸気改質の問題点を克服できる。同グループ液中プラズマを
発生させる装置として電子レンジを用いる方法を開発している。電子レンジは一般家庭に普及し、将来分
散型電源としての応用が期待でき、上図(下)は電子レンジを使った液中プラズマ発生装置である.マイ
クロ波(2.45 GHz)の発生源はマグネトロンであり、マグネトロンから照射されたマイクロ波をアンテナ
で受信することにより、アンテナ先端でプラズマが発生して溶液が分解される。

 

n-ドデカンでは、プラズマ分解によって約89%の水素と,低級炭化水素であるメタン、エチレン、アセチ
レンなどの可燃性ガスが発生する(上表中の各ガスの割合は発生ガス中に含まれる各成分ガスの体積割合
を示している)。エンジンオイルや食用油を使った実験では、アセチレンの割合が高くなるが、発生ガス
のほとんどは水素ガスである。食用油には酸素が含まれるために一酸化炭素や二酸化炭素が検出される。
食用油およびエンジンオイルでは、それらの廃液を使っても実験を行ったが、発生ガス中に含まれる水素
純度の測定を行い、65~75%の水素純度を得た。若干水素純度が低くなるが、問題なく液体をプラズ
マで分解することができる。今、n-ドデカンの分解について、1モルの水素生成に必要なエネルギーを計
算する。生成された気体成分を下表に示す4種類のみとした場合、以下の化学反応式が仮定される。 
 

これを水電解法のそれと比較すると、単位投入エネルギーあたりの水素量は v / P に生成気体の水素割
合を乗じたもの。一方、水から水素1モルを生成させるのに必要なエンタルピは286 kJ/mol なので,ア
ルカリ水電解法のエネルギー効率を約80% とすると,6.27×10-2 mL/J となる.両者の比をとして上表
2に示す。出力が小さいときはアルカリ水電解法と同程度であるが、出力が増加すると投入エネルギーの
大部分が液体の液温上昇に消費されてしまい、ηは小さくなる。表1で示したように、油分からの水素生
成は,水から作るよりも理論上は1/10 程度のエネルギーで同量の水素を取り出せるが、水温上昇から求
められる電力の14%以下しか化学反応に使われず、水素生成に限れば現状システムでは水の電気分解程
しかない。実際の電子レンジの消費電力基準では、化学反応に消費されるエネルギーは表2のεの値の
さらに70%程度だから、熱の解散を防ぐなどの装置構成の改良でシステム全体の効率向上させるのかが
課題となる。



また、同グループらは、表3のように、100 kW の太陽電池を設置して,そのうち半分の 50 kW が出力と
して得られた場合に、100 kg のセルロースが何時間で分解できるのかを概算で求めた値である。50 kWの
電力で10時間駆動するとセルロース100 kg が分解でき、そのとき発生する水素で35 MPa タンク搭載の
水素自動車に 2.5 台充填可能となる.このとき同時に20 kg の炭素成分が固形化できる。35 MPa の水素
タンクを搭載しているロータリエンジン車が水素のみで走行できる距離は約 150 km である。プラズマ発
生に電力が必要なので、
エネルギー収支を考えれば自然エネルギーでプラズマを駆動させる方法が現実的
であるとする。



この愛媛大学の研究グループは、下図(特開2014-177387「水素化合物分解水素回収装置及びその方法」)
の、水素化合物を水素化合物貯留タンク2から廃熱により加熱し、水素分解装置3に供給し、液中プラズマ
で分解し、分解された水素を含むガスと分解液を水素化合物貯留タンク2に戻し、水素化合物貯留タンク
で水素を含むガスと反応生成物を分離することで、水素化合物の反応加熱時の熱や環境廃熱を再利用して
高効率に水素化合物から水素ガスを安定的に回収し、他の化合物を回収できる実用プラントとしてシステ
ム構成が可能な水素化合物の水素回収装置及びその方法を提案していることから、木質バイオマスの粉体
スラリーから直接、水素製造できるかも知れない。この場合も、(1)熱システム設計と(2)経済的な
バイオマス原料のミーリング設計が重要となりそうだ

開2014-1出来る77387

【符号の説明】

1 水素化合物供給タンク 2 水素化合物貯留タンク 3 熱交換器 4 反応器(水素発生装置) 5 脱
塩素タンク 6 差圧フイルター 9 水素貯留手段 10 電源 11 ソーラパネル 12~19 配管
20 ポンプ 21 隔壁 22 バルブ 30 アルゴンガス供給手段 31 窒素ガス供給手段 32、
33 バルブ 34 流量計 40、50 反応容器 41 超音波発生装置 42 電磁波発生装置 43
気泡 44 真空ポンプ 45 分解ガス排出管 46 分解液排出管 51 液保持タンク 52 ポンプ
53 バイパスホース 55 恒温槽 56 銅管 57 反応容器流入ホース 59 液体排出ホース 60
気液分離器 61、62、63 バルブ 65 フイルター

また、下図(特開2012-101140「粉体可溶化方法及び粉体可溶化装置」)は、攪拌部材4の終端部5を液
中電極14の対向電極として、両電極間に高電圧高周波パルス発生装置17の合成電圧Vが印加される。
合成電圧Vの印加により、水面32近傍のCNTあるいは水面32に浮遊するCNT11が粉体電極とな
って、液中電極14との間で液中プラズマ放電27を発生させる。液中プラズマ放電27により液中電極
14の周囲が沸騰状態に達し、H+やOH-等のラジカルを含む活性水蒸気28が生ずる。活性水蒸気
28及び液中プラズマに接触することにより、浮遊CNT(カーボンナノチューブ)粉体はCNT周囲に
水和層が形成され親水化されることで、CNM等の難溶解性粉体の表面修飾処理を高速化して、大量の表
面修飾処理を低コストで行うことのできる粉体可溶化方法及びその粉体可溶化方法に基づき粉体可溶化処
理を行える粉体可溶化装置が提案されているが、メタン発酵原料の木質バイオマスパウダーの表面改質(
細胞壁を分解し、接触面積を広げ、反応速度を向上させる(叩解処理)ことができそうだ。このように実
用段階に到達するには、反応槽(容器)の設計や微生物(コンテンツ)設計のための様々な実験が必要と
なろうが大切な技術であることは間違いない。

開2012-101140

【符号の説明】

1 溶媒槽 2 蓋体 3 筒体 4 攪拌部材 5 終端部 6 CNT搬入部 7 CNT 8 搬入管 
CNT導入口 10 CNT 11 CNT 12 開閉蓋 13 CNT 14 液中電極 15 絶縁カ

ー材 16 接続線 17 高電圧高周波パルス発生装置 18 接続線 19 回転軸 20 導電性リ

グ 21 駆動モータ 22 連結部材 23 接続線 24 CNT投入検知センサ 25 ねじ部 2

シール部材 27 液中プラズマ放電 28 活性水蒸気 29 修飾CNT 30 修飾CNT 31

32 水面 33 修飾CNT 40 CNT表面修飾処理制御部 41 高電圧高周波パルス発生回路
42
発振器 43 RF電源 44 重畳装置 45 起動SW 46 キー入力装置 47 液晶表示装置
48
稼働状態表示器 50 溶媒槽 51 水 52 水面 53 筒部 54 回転軸 55 攪拌部材
56 対
向電極 57 駆動モータ 58 DLC導入口 59 DLC搬入路 60 高電圧高周波パルス
発生装置
61 接続線 62 接続線 63 接続線 64 接続線 65 接続線 66 導電性リング
67 DLC
68 修飾DLC 69 修飾DLC 70 蓋体 71 液中電極 72 絶縁カバー材 
73 漏水防止シ
ール材 74 液中プラズマ放電 75 活性水蒸気 76 連結部材 77 DLC
78 DLC 79 誘電体

  ● 今夜の一曲

Dmitri Shostakovich - Symphony No. 7 in C major, "Leningrad", Op. 60

 

作品完成直後の1941年12月27日に、疎開先クイビシェフでショスタコーヴィチ家のパーティーに招かれた
隣人フローラ・リトヴィノワは、作曲者の次のような発言を回想している。「ドミトリー・ドミトリエヴ
ィチは言った。『ファシズム、それはもちろんあるが、ファシズムとは単に国家社会主義(ナチズム)を
指しているのではない。この音楽が語っているのは恐怖、屈従、精神的束縛である』。その後、ドミトリ
ー・ドミトリエヴィチは、第7番ではファシズムだけでなくソビエトの全体主義も描いたと語った。」

                                                                              ショスタコーヴィチ 『交響曲第7番』  Wikipedia



朝から悲しいニュースに接し、国なき乾いたナチズム(目的なき破壊運動)のようなイメージが浮かんだ。


                                            合掌

 



嫌気性メタン発酵というテーマといえば、もう30数年前、工場排水の設計時考案していた頃だから、随
分前の記憶になるが、専門知識は殆ど消えかかっていたから、再学習で神経的なダメージも大きい。まぁ、
なんとかなったと、自己満足するしかないが、こんなことを彼女には分からないものだから、わけのわか
らぬ
愚痴も耳に残ってしまう。そんな意味では"内も外も敵ばかり"ということになる。ならば、恵方巻き
頬張り、"一騎当千とて、吾千里を翔る"と開き直る。

 

コメント
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