極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

オリーブの木の下で Ⅸ

2012年08月24日 | 開発企画

 

 




オリーヴ讃歌

さて、今夜で終わりとしよう。
第十三章「大いなるカラマタ・オリーブ」から。

カラマタの位置の位置図

ギリシアのオリーヴ畑を探訪するだけでも、優に一生の仕事になりうる。コルフ島のオリー
ヴの林は
美しい。クレタ島のオリ‐ヴ畑、特にハニア周辺のそれは歴史が古くドラマティッ
クで、地中海農学研究所のオリーヴ研究施設もハニアに置かれている。ハニアは私の好きな
キドニアというまろやかな黄金色のエクストラヴァージンの産地でもある。ラベルには真面
目くさった顔に黒い口髭を伸ばし、ゆったりしたズボンをはいたクレタ人の給が描かれてい
る。だが私は旅のしめくくりに、ペロポネソス半島の南東端、ビザンティンの要塞都市モネ
ンヴァシアに寄って楽しむことにした。と、ローゼンブラムは述懐する。

Kalamata, Peloponnese, Greece.jpg

そして、こうとも形容する。多くの歴史的遺跡と異なり、モネンヴァシアは活気にあふれて
いる。美しく修復された別荘が、一年中人の住みついている崩れかけたアパートと交互に並
んでいる。アテネの人はピレウスから高速艇に乗って来るが、私は車で一時間ほどかけて、
マニ地方から半島の南端を横切っていった。モネンヴァシアは本土と橋で結ばれた小島にあ
り、小さいながらも峨々たる山の、海に面した側に築かれている。旅行者は、石造りのアー
チの門をくぐるまで町の中が見えない。堅固な城壁は核攻撃にも耐えられそうなほどだ。だ
が実は、水の供給源も作物を栽培する畑もないため、敵の軍隊が辛抱強く包囲すれば、いつ
でも落とすことできたと。

エキストラバージンオリーブオイル「キドニア」ギフトボックス

狭い急な路地は観光客だらけだったが、こういうところには旅行者向けのすばらしいレスト
ランがあるものだ。私はゼラニウムとブドウの花があでやかに咲きはこる野外の店を見つけ、
新鮮なスズキを食べながら、急傾斜した石造りの屋根や黄土色のタイルが連なり、花々が咲
き乱れる、眼下の広大なパノラマを楽しんだ。はるか下の方では、地中海が緑と青のありと
あらゆる色合いに輝いている。古びた木製鎧戸の中から心に残る美しい音楽が流れてきた。
モネンヴァシアは六世紀に「上の町」と「下の町」に分かれて築かれた。庶民が住んでいた
「下の町」には、かつて約八百戸の家と四十の教会があり、どの建物も唯一のメインストリ
ートから枝分かれした石畳の狭いジグザグ造に沿って、ごちやごちやと積み重なるように立
っていた。もうひとつの門は小さな砂浜に通じており、今や海水浴客と、水着や裸で日光浴
する人々でにぎわう行楽地となっている。社会的地位の高い人々は、狭間つきの城壁を備え
た山頂の「上の町」に住んだと紹介する。




ローゼンブラムは午後も遅くなってから下の町を探索しそれから上に向かう。ちょっとした
ハイキングになり、連い昔から数知れぬ世代が食品や雑貨を運んだ道を、三十分ばかり息を
切らしながら登っていった。上の町はあらかた廃墟で、崩れた切石が雑然と散らばり、年々
少しずつ風化している。ただひとつ残った聖ソフィア教会は、彫刻を施した石材と木材を組
み合わせた美しい建物で、信者の寄進による豪華な内装で飾られているという。教会の前に
一本のオリーヴの大木を見つける。荒れ放題で埃にまみれていたため、近寄って確かめなく
てはならなかった。カラマタ種だ。教会は七百年前に建てられたから、この木もそのとき植
えられたものかもしれない。これほどひどい姿の木を見るのは初めてだった。幹にはとうに
忘れられた人々の名前が刻みこまれ、特に古いものは1インチの深さに達している。込みあ
った枝は、節でも何でもないところで切断されたせいで切り目が癒えず、病虫の被害に遭い
やすくなっている。大小の枯れ枝がびっしり繁っているさまは、まるでほうきが生えている
ようだ。乱暴に祈り取られた枝もあり、ぎざぎざの醜い先端が樹冠から突き出ている。



古い巨大な幹を切り落としたあとのテーブル状の切断面で、焚き火をした人間がいるらしく、
そこはいまだに黒焦げである。斧をあてた者もいるようだ。さらに頭のいかれた別のだれか
が本に針金を巻きつけ、樹皮を環状に剥いで枯れる寸前にまで追いこんでいる。長年にわた
り、こぶだらけの根からおびただしい枝が生え、幹の養分を吸い取っている。中には樹齢二
十年の木並みに太いものもある。モネンヴァシアの山頂ではめったに雨が降らない。こびり
ついた汚れや露出した根元の岩は、一世代やそこらでこの状態になったものではない。土壌
の栄養分はずっと前に染み出してしまったに違いない。露出しすぎた根は、無数の足に踏ま
れ、樹皮がはがれている。彼は突然、剪定用の鋸と鍬を持ってここで二、三日過ごしたい衝
動に駆られる。窒素入りの肥料とバケツの水を持って、あの急な坂道を登ってもいい。だが
夏も終わりに近い今、そんな必要はないのが見てとれたという。こうした惨めな状態にもか
かわらず、巨大なカラマタ種の木は、また新たな実をつけていたとこの章を結ぶ。
 



さて、オリーブの代表的なご当地料理も調べてみたかっが、これはこれでまた『イタリア版
食いしん坊
万歳』で取り上げていこう。話を締めるのには何がいいか?そこで思いついたの
は今年のアメリカの
異常気象(山火事・大干魃)のこと。そう、オリーブの木を全土に植林
しようという提案だ。1つは牛肉
食偏重を是正し医療費の逓減(それと牛のゲップの二酸化
炭素排出量の逓減もある)。2つめは、ロ
ーゼンブラムも書いているように、オリーブは環
境変動にもしぶとく繁殖するので、この際、世界一の
バイオマス立国をめざす。なにせ、オ
リーブは、食糧にも、燃料にも、日用雑貨品にもなり百パ
ーセント有効利用できる優れもの。
だし、その上3つめのカーボンニュートラルで大規模気候変動防止に役立つ
。自動車や飛行
機は電動機とバイオディーゼルとし、エネルギー源は太陽光、風力、バイオ
で供給できる。
さらに、宇宙や深海開発などの特殊エネルギーとして次世代超小型原子炉や小型核融合炉を
発しておけば万全だ。そんなことを提案しこの項を終えよう。




【続・蓄電ネットワーク構築】




大規模な太陽光などの再生可能エネルギーネットワークの余剰電力を、高効率(空冷式)ヒ
ートポン
プ氷蓄熱ユニットを使い蓄電システムを考案していたが、「高効率空冷式ヒートポ
ンプ氷蓄熱ユニット
」は、すでに三菱電機株式会社と東京電力株式会社とで共同開発済みだ
った。後は、熱電変換素子の
の実用化研究開発の成果をまつばかりだということが遅ればせ
ながら本日確信するに至った(大仰
な物言いだけれどね)。

特開2011-257090

それに、今月20日には、理化学研究所で「低消費電力デバイスに向けた新材料の開発-新し
い原理「量子異常ホール効果」の可能性-磁性トポロジカル絶縁体」が報告されているよう
に、高性能な環境発電素子、モジュールが続々と提案されつつあるデジタル革命渦の進行下
にあり、近い将来にはこのネットワークシステムが世界展開している可能性が大きい。わた
し(たち)はそんな時代に遭遇しているわけだ。従って、このブログテーマを継続しその時
々で提案していこうと思う。 

 

 



       夕暮れの街角のそいた喫茶店

      
あのこが急になぜかきれいになったのは

       あなたとこんなふうに会ってるからなのね

       好きだったのよあなた胸の奥でずっと

       もうすくわたしきっとあなたをふりむかせる

       気のないそぶりして仲間に加わった

            テーフルをはさんであなたを熱く見た

 
                                                      松任谷由実『まちぶせ』



午前中の作業を終え、外出で車のスイッチをいれるとしばらくするとカーステから徳永英明
の『VOCALIST 3』の収録曲が流れてていたが、そのまま車を走らせていた。ジムを終えて、
母親の見舞いを済ませ帰り道、ふと聴き慣れた曲に新鮮な感動が心を包む。音量を上げてい
た。三木聖子のカバ
ァー曲であり、石川ひとみもカバァーしたが、見る見るうちに湖岸沿い
の風景が学生時
代の御堂筋沿いの思い出色に変わっていく。

そういえば、中之島図書館の黄昏時、いつもの時間に、いつもの席に座っていた彼女はいま
はどう
しているのだろう。卒業式の日、偶然、旭屋の二階のレジで出会い、何も言えず僕の
顔をみ
つめ残惜しそうな顔で追っかけていた瞬間が蘇える、時間の長さがさらに、せつなさ
を増長する。



 

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