極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

沸騰大変動時代(参)

2024年04月05日 | グラフェン半導体

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編の
こと)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。 


ようこそ「ナノ世界」へ!
❏ 原子層ナノ物質と微小光共振器による高効率波長変換に成功
  ナノフォトニクス素子の高機能化に道

わたし(たち)が「ナノ世界」を強く意識をするようになったのは、
生産現場での問題解決(収率の不安定性)に悩ませいた頃(1989年)
で。丁度、「常温核融合騒動」が取り沙汰されていた「ゆらぎ現象」
頃で、洗浄用ノズル開発中(後の「ナノバブルノズル」。現在の「ナ
ノテクノロジ-」)であり、原子1層程度の厚みしか持たない2次元
材料の活用が、次世代半導体などのいろいろな分野で注目されている。
(「無限延展性」と「閉じ込め効果」とわたしが呼んできたものであ
る)の物質の光への応答が光の波の振幅に比例しない光学現象のこと
を「非線形光学効果と呼び、非常に強い光と物質が相互作用する場
合に起きる、非線形の物質の多彩な応答(現象)を扱う分野で、レー
ザー自体の中でも非線形光学効果は本質的な役割を果たし、その特性
をも支配する。 量子光学と深く関連すると言われている

さて、今月3日、理化学研究所らの研究グループは、原子層ナノ物質
(主にガラスや結晶材料などの誘電体によって作製され、高い光閉じ
込め係数(Q値)と小さなモード体積から光電場を局所的に増強する
ことができる高Q値微小光共振器に転写することで、従来制限されて
きた2次の非線形波長変換が微弱な連続光レーザーでも高効率に発生
できることを実証できたこと公表。
これにより、原子3個分の厚みを持つ単層の2次元材料を微小光共振器
デバイスと組み合わせで、材料固有の非線形光学特性を外部から変え
られることを発見し。この手法を用いることで、ナノスケールの光デ
バイス開発の自由度を飛躍的に高めることができると期待している。
掲載論文
Shun Fujii, Nan Fang, Daiki Yamashita, Daichi Kozawa, Chee Fai Fong, 
and Yuichiro K. Kato, "van der Waals decoration of ultrahigh-Q silica micro-
cavities forχ(2)-χ(3) hybrid nonlinear photonics", 
Nano Letters,10.1021/acs.nanolett.4c00273
【要約】
光学非線形プロセスは、超高速レーザー、顕微鏡、量子情報技術など
の幅広いアプリケーションに不可欠。 多様な非線形過程の中で、二

次効果は通常、高次効果を圧倒するが、中心対称系では例外であり、
二次感受性が消えて三次非線形性の使用が可能になる。 ここでは、
2次と3次の感受率の間のバランスを柔軟に調整できるハイブリッドフ
ォトニックプラットフォームを実証する。 超高Qシリカマイクロキャ
ビティを原子的に薄い二セレン化タングステンで装飾することにより、
わずか数百マイクロワットの電力レベルでの連続波励起によるキャビ
ティ増強第二高調波発生と和周波発生を観察。 二次元材料のサイズ
と位置を慎重に選択し、単一デバイス内での二次および三次の非線形
性の共存が達成できることを示す。このアプローチは他のタイプのキ
ャビティにも一般化でき、新しい用途向けに制御された非線形感受性
を備えたハイブリッド システムの可能性を解き放つた。



❏ ウシオ電機,シール・ラベル印刷向けUV-LEDを発売

現在シール・ラベル印刷業界では,エネルギーコストの急騰への対応
やカーボンオフセットへの取り組みに対応するため,消費電力の低減
が課題となっている。同社はその課題に対し,シール・ラベル印刷機
のUV光源であるUVランプのUV-LED化により高い省エネ効果を発揮する
空冷式のUV-LEDシステム「UniJet iCC_Sシリーズ」を展開しているが,
市場からはさらなる乾燥性の向上,オペレーターの作業効率向上につ
ながる小型化,容易なメンテナンス機構などの要望があった。そこで

同社は,従来品(UniJet iCC_Sシリーズ)比で積算光量を160%増と
大幅に向上させ,同時に同社独自の装置冷却に関する技術により,
装置高さを約40%削減する小型化を実現した新製品「UniJet Sシリー
ズ」を開発した。




❏ メタンの光触媒変換:現状、課題、今後の展望(1)

【要約】
二酸化炭素の28〜34倍の温室効果100年間で、メタンは地球温暖化の
2番目に大きな原因と見なされている。地球温暖化を1.5℃未満に抑
えるには、メタン排出量の削減が必要。メタンの光触媒変換は、エネ
ルギー消費量が少なく、環境に優しい特性があるため、大気中のメタ
ン濃度を緩和するための有望な手段である一方、この変換プロセスは、
貴重な化学物質や炭化水素などの液体燃料を生成できる、メタン、プ
ロパン、および プロパン化合物の原油依存度を低減するが、メタン
変換効率が高く、化成品の高選択性の光触媒開発は依然として困難な
状況である。本稿では、メタン変換のための半導体系光触媒の最近の
進歩を概観し、形態制御、ヘテロ原子ドーピング、ファセットエンジ
ニアリング、助触媒改質などの触媒設計戦略を提示する。光触媒によ
るメタン変換を包括的に理解に、これらの系における変換経路とメカ
ニズムを詳細分析。さらに、メタン変換性能における電子捕捉剤の役
割についても簡単説明する。続いて、地球上の人為的なメタン排出シ
ナリオを要約し、光触媒によるメタン変換の応用可能性について議論
します。最後に、光触媒によるメタン変換の課題と今後の方向性につ
いて述べる。


1.はじめに
温室効果ガス(GHG)による地球温暖化は、人類社会にとって明らかな
脅威であり、早急な対応が求められています。メタンは、世界で2番
目に重要な温室効果ガス排出源として、近年大きな注目を集めてい
る。(1,2)関連する報告書によると、大気中のメタン濃度は産業革命
前から2倍以上(1879年対722ppb)しており、現在のメタン排出量は大
気温暖化の約25%を占めている。COに比べて大気中濃度が低いにもか
かわらず、2(417 ppm)、メタンはCOの28〜34倍強力な温室効果ガスで
ある。100年間の大気の温暖化(単位質量あたり)。メタンは、気候へ
の直接的な放射強制力に加えて、毎年世界中で約50万人の早期死亡の
原因となっている地上オゾンの主要な前駆体でもある。経済的観点か
ら見ると、メタンガスの漏出は、労働力の損失、喘息関連の病気の高
額な医療費、作物の収穫量の低下につながる可能性があり、その結果、
毎年約4,500億米ドルの経済的損失が発生します。そのため、大気中
のメタン濃度を早急に低減することが不可欠であり、パリ協定の目標
である気温上昇を1.5°Cに抑える機会となる。最近、国連環境計画は
、メタン排出量を削減することの重要性を強調するために、世界メタ
ン評価を発表しました。(8)さらに、米国エネルギー省は、石油、天
然ガス、石炭産業からのメタン排出を削減する技術を開発するために、
3,500万米ドルの助成金を発表した。

現在、メタン排出を削減する技術は、メタン回収・貯留技術、直接燃
焼技術、メタン再利用技術に大別されます。キャプチャおよびストレ
ージ・テクノロジーには、いくつかの適用可能な状況がある。例えば、
石油・ガス産業では、メタン回収・貯留技術は二酸化炭素の回収・貯
留技術と部分的に似ており、回収した天然ガスを油田に注入して、加
圧COなどの石油回収を促進することができるが、二酸化炭素の回収・
貯留技術で発生するエネルギー消費、運用コスト、メンテナンス関連
の安全性の問題など、実装上のジレンマに直面する可能性がある。メ
タンを直接燃焼させると、特にメタン空気の流れが希薄な場合、余分
な二酸化炭素の排出、発火しないメタン漏れ、大気汚染物質の排出の
可能性が生じるため、環境に優しくないプロセスであり、段階的に廃
止される予定です。上記2つの技術とは異なり、メタン再利用は、原
油を使わずに化学品を生産し、メタンによる環境汚染を低減する大き
な可能性を秘めています。しかし、メタンは対称的な四面体構造を持
つ非常に安定した分子であり、この非極性構造はメタンに非常に高い
C-H結合エネルギー(439 kJ mol–1)、低分極性(2.84 × 10–40C2m2J–1)、
電子親和性およびプロトン親和性が低い(-1.9 eVおよび543.9 kJ mol–1、
それぞれ)。その結果、メタンの接触変換には通常、高温と過酷な反
応条件が必要です。(16,17)メタンはCOに酸化することができます2ま
たは選択的に酸化されてさまざまな貴重な化学物質(CH3CH3CHの2、C2
H6、および C2H4).気候緩和と環境上の利益の観点から、これらすべ
ての変換プロセスは、短期的にはメタンによって引き起こされる地球
温暖化の一部を相殺することができるが、化学品の生産とエネルギー
の持続可能性の観点からは、価値の高い化学品や燃料への転換プロセ
スは、業界と市場にとって魅力的なメタンの経済的価値をさらに高め
ることができます。しかし、このプロセスは、メタンからCOへの過剰
酸化によって妨げられる、COとしては熱力学的に安定しているが、製
品価値の観点からは望ましくない製品である。したがって、穏やかな
条件下でメタンを高い選択性を持つ貴重な製品に変換することは、依
然として大きな課題となる。

これまでメタン変換には多くの技術が利用されてきましたが、熱触媒
技術、電気触媒技術、プラズマ技術、膜技術など多岐にわたる。ただ
し、従来のCu/Feベースのゼオライト熱触媒などの従来の熱触媒技術
では、通常、強力で高コストの酸化剤(H2O2、N2O)は、大きなメタン
変換を達成する。また、メタンの非酸化的カップリングなど、熱力学
的に好ましくないメタン変換には、基本的に高温が必要です。高温は
炭素またはコークスの形成につながり、触媒の急速な不活性化をもた
らす可能性がある。メタン固体酸化物形燃料電池などの電気触媒技術
も、低温での電気化学的メタン酸化が非常に遅く、燃料電池の生成物
がCOであるため、500℃を超える温度で動作する必要がある。高価値
の化学物質の代わりに。一方、光触媒によるメタン変換は、温和な条
件下でメタン変換を実現するための理想的な方法として浮上している。
まず、グリーンで再生可能なエネルギー源である太陽エネルギーを使
用してメタンを活性化し、一次エネルギー源を化学エネルギーに変え
ます。第二に、光触媒が光子を吸収して生成した高エネルギーキャリ
ア(電子と正孔)は、そのエネルギーや電荷をメタンに伝達することで
メタンを活性化・変換し、熱力学的平衡を破り、室温で上り坂の反応
を起こすことができる。第三に、周囲温度は触媒の不活性化をある程
度回避できます。しかし、メタン分子の固有の不活性、バルク半導体
の欠点、および生成物の過酸化により、光触媒によるメタン変換の効
率と選択性が制限されます。半導体では、電荷再結合(μs)は酸化還
元反応への参加(ms)よりもはるかに高速であり、バルク相および表面
で深刻な電荷再結合を引き起こします。(34)これらの問題に対処する
ために、形態制御、ヘテロ原子ドーピング、ファセットエンジニアリ
ング、助触媒修飾、電子スカベンジャーの利用など、いくつかの工学
的戦略が注目されています(図1)。これらの戦略は、光の吸収を高め、
光生成担体の分離効率を向上させ、メタン吸着と活性化のためのより
反応性の高いサイトを提供し、メタン変換の活性を向上させることが
できる。さらに、ヘテロ原子ドーピング、ファセットエンジニアリン
グ、助触媒修飾などの表面サイトエンジニアリングは、中間体や生成
物の吸着エネルギーと脱着能力を制御でき、目的の製品に対して高い
選択性を実現します。


図 1 
光触媒によるメタン変換の新たな戦略の概要

【掲載論文】
Photocatalytic Conversion of Methane: Current State of the Art, Challenges, 
and Future Perspectives
ACS Environmental Au 2023 3 (5), 252-276
DOI: 10.1021/acsenvironau.3c00002
                                     この項つづく




❏ 全固体リチウムイオン電池の基部素材として有望な候補物質
4月2日、東京理科大学とデンソーはこれまでに報告されている酸化物
固体電解質よりも幅広い温度域で高いリチウムイオン伝導度を持つパ
イクロア型固体電解質の「Li2-xLa(1+x)/3 M2O6F(M=Nb,Ta)」を
発見。

【要点】
  • 全固体電池は安全性、寿命、容量などの点で既存のリチウムイオ
    ン電池の性能を上回ると期待されており、特に硫化物系の研究が
    進んでいるが、有毒ガス発生のリスクがある。
  • 今回、全固体リチウムイオン電池の基幹部材として、幅広い温度
    域で高いイオン伝導度と安全性を兼ね備えた酸化物系固体電解質
    Li2-xLa(1+x)/3 M2O6F (M = Nb, Ta)を発見した。
  • この材料は大気中で安定であることに加え、既報の酸化物系固体
    電解質よりも高いイオン伝導度を示す。
  • 本研究は、安全性が高く、広い作動温度範囲を持つ革新的な全固
    体電池の開発につながる成果となる。





今年は辰年4月12日(金)、実弟の三回忌。(名は「龍作」)。
飛花落下。奥塩津のドライブ・ウエイを駆け抜けよう。


柔らかな皮膚しかない理由(わけ)は人が人の傷みを聴<ためだ
急げ悲しみ翼に変われ
急げ傷跡羅針盤になれ
まだ飛べない雛たちみたいに僕はこの非力を嘆いている









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