極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

へーリオスの究極美Ⅱ

2012年03月20日 | デジタル革命渦論

 



【水素社会を引き寄せる】

太陽エネルギーを光触媒を使い水素に変換する技術がここにきて再び話題になっている。1つは
光触媒、あの二酸化チタンの酸化金属系半導体を陰極(光電変換層)を電解液(炭酸塩水など)
に浸漬しホロン(光子)を吸収させ発生電荷を陽極に流し循環させることで、陰極側で酸素を陽
極側では水素を電解発生させる方法を改良したもので産業技術総合研究所が研究開発したものだ。
下図に酸化チタンなどn型半導体を光電極として用いた水分解による水素製造の原理を示している。
光電極は対極(陽極)をつなげ、その間に太陽電池のような補助電源を入れて用いる。この補助
電源の作用で対極(陽極)に電荷を送り込み、対極(陽極)で水を還元(電気分解)すれば水素
が生成する。一方、光電極側では水を酸化して酸素を発生させるのだが、この時、低電圧で水を
電解できるので、太陽電池だけで水を電解して水素を製造するより、光電極の性能の向上で低コ
スト化が可能になるのだ。500 nmまでの波長の光、または600 nmまでの波長の光をすべてこの反
応に利用し、補助電源の電圧をゼロに近づければ、太陽エネルギー変換効率の理論的な限界値は
それぞれ8%または15%に達し、太陽電池と水電解を単純に組み合わせたシステムと同等の効率を、
単純な光電極とより、少ない太陽電池で実現できるようになるというのだ。

 


産総研の研究開発はこの電気分解に用いる光電極に新規性がある。上の写真のように三種類の半
導体を積層した構造の酸化物光電極を作製し、高濃度の炭酸塩電解液を用いて水分解による水素
製造を行っている(今回作製した積層光電極の写真と電子顕微鏡写真を示す)。この光電極は導
電性ガラスを基板として、1層目に酸化タングステン(WO3)、2層目に酸化スズ(SnO2)、3層目
にバナジン酸ビスマス(BiVO4)となるように積層してある。それぞれの層に対応した金属イオン
を含む溶液を塗布し多孔質の薄膜を成膜する。下図の三種類の半導体を積層した光電極を用いて
高濃度の炭酸塩電解液中で水分解反応を進行させると、太陽エネルギー変換効率は0.85%、この
光電極を二枚重ねて光閉じ込め構造では、変換効率は1.35%に向上。これは貴金属を添加してい
ない酸化物光電極を用いた場合の効率として、過去の最高データを2倍上回る世界最高値だ。こ
の積層酸化物光電極を用いたシステムにより水が分解され、水素の泡が対極から、酸素の泡が光
電極から生成される。今後は(1)吸収変換波長幅を広くする(2)エネルギーギャップを大き
くする(3)電荷分離効率の向上(4)電解液の炭酸塩の水分解触媒機構の解明の4つの研究開
発を継続させていくという。




そこで、光電極として、低コストな補助触媒等の複合機能をもつ酸化金属系半導体意外にも、従
来からの貴金属や酸化チタン系の光電極やシリコン系、化合物系や色素増感型などの開発も併行
して開発提案されているのでそこのところも注視する必要もあるが、正直、このような電解方法
に実用性があるのか疑問符がつく。例えば、工業的には効率以外にも大面積化とか緻密化がいる
だろしい、燃料電池の開発でもおなじみの隔膜の構造材質やサイズ設計などの課題が山積し
てい
るだろうし、システムの簡素化もコストと密接に絡んでいるはずだ。コンパクトに大面積化する
には、可撓性つまりプラスティク体が求められる。例えば背の高いシリンダーが林立しているイ
ージだ。


もうひとつは、アメリカ合衆国 ブルックヘブン国立研究所と産総研が共同で、常温常圧の水中
で水素ガスを二酸化炭素(CO2)と反応させてギ酸を生成させ、そのギ酸を分解して固体高分子形
燃料電池などに適した一酸化炭素を含まない高圧水素が供給できる高効率二酸化炭素/ギ酸の相
互変換触媒を開発したが、この技術は触媒と水素分子を活性化する新たな配位子の設計指針を見
出し、二酸化炭素とギ酸の相互変換反応のエネルギー効率を大幅に向上できる将来の二酸化炭素
を利用した大規模な水素貯蔵システムの開発が期待できるというからこれは本当にマジックだと
感心。へぇ~そんなことができてまうんだと。

それにしてもギ酸(蟻酸)とは面白い。最も簡単なカルボン酸で、工業的に大量に製造されてい
て、主な利用法には、家畜用飼料(サイレージ)の防腐剤や抗菌剤など。日本では90%未満の水
溶液は毒物および劇物取締法による劇物に該当しない。また、78%未満は消防法による危険物に
も該当しないという。またギ酸の分解は、下記化学式に表されるように2つが競合する分解経路
を持つている。

  HCO2H → H2 + CO2   (1) 脱炭酸反応
  HCO2H → H2O + CO   (2) 脱水反応




水素社会の実現?!まだ半信半疑だが、もしかすると目の黒いうちにそれが見られそうだ。「へ
ーリオスの究極美」それはデジタル革命で贈与経済社会を実現することが目標だ。そう再確認し
た瞬間、熱いもを感じた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする