極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最新電気自動車モータ技術

2018年05月14日 | デジタル革命渦論

      

                                      

『呉子』

春秋戦国時代に著されたとされる兵法書。武経七書の一つ。『孫子』と併称される兵法書。前四
世紀
楚の宰相であった呉子の言を集録したものという。

序  章


魯の上将軍であった呉子は、中傷によって失脚し、やがて新興旧説を訪れた。『呉子』の言はこ
こから始まる。

1.図  国(とこく)

政治と戦争。戦争手段にうったえるまえに、まず政治を正さなければならない、として、呉子は
戦争を分析、戦争の種類に応じた戦い方、用兵の原則を述べる。

原則は反覆して確認せよ

道を守ることによって、根本原則にたちかえり、正しい超点にたちもどることができる。義を行
なうことによって、大事をなしとげ、功績をあげることができる。礼を守ることによって、わざ
わいを避け、利益を得ることができる。仁を行なうことによって、人民をおさめ、成果をあげる
ことができる。もし、道にそむき、義にもとる行動をしながら、高い地位、貴い身分に安住して
いるならば、必ずその身にわざわいがぶりかかってくるであろう。

だからこそ、聖人は道によって天下を安んじ、義によって人民を治め、礼をもって人民を動かし、
仁をもって人民をいつくしんだ。道、義、礼、仁、この四つの徳を実行すれば、国は興隆する。
実行しなければ、国は衰亡する。からこそ、殷の湯王が夏の暴君梁を討伐したときは、夏の人民
でさえそれをよろこんだ。周の武王が殷の暴君糾を討伐したときは、殷の人民でさえそれを是認
した。賜王や武王の行動が天理と人倫にかなっていたからにほかならない。

 



【モビリティ革命元年:特集|最新電気自動車モータ技術】

デジタル革命の渦は、かの天災物理学者ホーキングの憂いた2つ「人為的温暖化による地球の金
星化」と「遺伝子改変による生態系の紊乱」を解消できるのか?と自問してみた。前者は『エネ
ルギー革命元年』と今回の『モビリティ革命元年』で、トランプパリ協定離脱リスクの影響を除
けば回避(制御)可能と考えている。後者は、『農業革命元年』あるいは、ブログ掲載をはじめ
たばかりの『再生医療革命』を含め未着手の段階で早急にまとめる必要があるが、今夜は、『モ
ビリティ革命元年』の「最新電気自動車モータ技術」としてその関連事業動向と最新技術動向を
特許事例3件を考察する。

 May 11, 2018

● 車載電装システム市場 7年後には35兆円

まず、車載電装システムの世界市場は、2017年は21兆円超、2025年は35兆円規模と予測され
ている( 富士キメラ総研は2018年3月15日)。それによると。電動化や自動運転など、地球環境
あるいは安全にかかわるシステムの需要が拡大――電動化や自動運転など、地球環境や安全にか
かわる技術の導入が加速し、車載電装システムの需要は今後も堅調に推移――すると予測。車載
電装システムの世界市場は、2017年に21兆8,63億円を見込む。内訳はパワートレイン系システム
(エンジンで作られた回転力を駆動輪へと伝える役割を担っている装置類kのことだが7兆6,129
億円、走行安全系システムが4兆77,67億円、HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリ
ッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系システムは1兆9,154億円である。
2025年の
市場規模は、35兆404億円と予測。大幅伸長が予測されているHV/PHVシステムやEV/FCVシス
テムの他アイドリングストップ/回生システム、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転シ
ステムなどどの品目が、2016年から2025年までの年平均成長率で10%を上回ると見込む。これだ
けの実体経済が動くとなるとその波及効果は、その他のデジタル革命の銀河系と相まって飛躍的
な幾何級数的に世界宇宙を覆うことになる。さて、前述の調査会社は、❶ADAS/自動運転シス
テムと❷DMS/ドライバーモニタリングシステムの2つに注目する。

 ADAS:Advanced driver-assistance systems

まず、ADAS市場は、2017年に1兆円台となり、2025年には2兆3426億円と予測する。2017年より、
部分的な自動化を可能にする「レベル2」システムを搭載する車両が増えた。今後も低価格化や
機能向上知名度アップなどにより需要が拡大。
自動運転システムは、条件付きで自動化が可能な
レベル3」システムが2017年より量産車に搭載された。法規制など自動運転に対する課題が解
決すれば、2020年以降にも自動運転車の比率が高まる。また、ドライバーモニタリングシステム
市場は、2017年の200億円弱に対し、2025年は1,000億円を超えると予測。車載カメラやセンサー
を用いて運転者の居眠りを検知するシステムであり、車内への子供放置対策などの用途でも、搭
載率が高まるものと思われる。自動運転レベル3の段階では、ドライバーモニタリングの機能は
欠かせないという。

●  小型モーターやセンター素子の需要が増加

この他に、デバイス&コンポーネンツの世界市場も調査した。合計で2017年見込みは8兆6795億円
。2025年は16兆4,536億円と予測。このうち、センサーモジュール/アクチュエーター市場は2017
年見込みで4兆7,943億円。これに対して2025年は7兆3599億円と予測した。電動化や自動運転に向
けたシステムの搭載により、小型モーターやセンサー素子の需要が増加する。
表示/入力系デバ
イス市場は、2017年見込みの1兆3735億円に対して、2025年は2兆1134億円と予測。HV/PHV/E
V/FCV/
環境対策関連デバイス市場は、伸び率も高い。2017年見込みは2兆51,16億円。これに
対して2025年は、6兆9,803億円と予測した。二次電池やモーター、モータージェネレーターなど
の搭載が増えると予測している。

Mar. 4, 2016
● 電気自動車に交流モータが使われている理由

直流モータは、モータの外側のステータ(固定子)と呼ばれる固定した部分とモータ内部で回転
するロータ(回転子)で構成され、ステータには永久磁石が使用、内部のロータに電気を流すこ
とで、「フレミングの左手の法則」により、力が発生し、ロータが回転する。
ところが直流モー
タの場合、「ブラシ」と呼ばれる部品を通じてロータに電気を流すため、ブラシとロータの接触
部分が摩耗
する。このため耐久性が求められる電気自動車やハイブリッド自動車では、ブラシを
使わないモータ(ブラシレスモータ)として交流同期モータが走行用のモータとして使われる。
交流モータはブラシレスであること以外にも、自動車で使用する場合に大きなメリット――交流
モータの回転スピード(回転数)は交流の周波数に比例し、周波数を高くすればスピードもあが
る。周波数はインバータという装置で直流から交流にする際に自在に変えることができ、電気自
動車やハイブリッド自動車では、バッテリからの直流をインバータで交流に変換する際に周波数
も適宜変え、車輪の回転スピードを制御している。

● 自動車の始動に必要なトルク

自転車は最初動き出すまでペダルを踏み込んでペダルの軸をゆっくりまわし、回転が速くなると
ペダルの軸を回す力は小さくなる、「トルク」とは簡単にいえばペダルの軸を回す力、回転力(
この場合、「ベダルの軸についた柄の長さ(m)」に「ペダルに加えた力(kgf)」を掛けたもの
がトルク(kgf・m)。回転数を下げればトルクは上がり、回転数が上がればトルクは下がる。

れは自動車の場合も同じで、電気自動車・ハイブリッド自動車の走行用モータは、始動や登板時
などにはトルクが必要ですが、常用回転から高速回転域ではトルクは要らず、回転速度が要求さ
れる。

 ● 電気自動車で使われている交流モータの問題点

現在、電気自動車やハイブリッド自動車で使われている交流モータは、ステータ(固定子)に電
流を流すコイル(電機子コイル)が施され、ロータ(回転子)には磁束を発生させる永久磁石(
いわゆる磁極)が取り付けられてる。電機子コイルに電流が流れると永久磁石の磁束により、ロ
ータを回す力が発生します。そしてトルクの大きさ(回転力)は、電機子コイルに流す電流と磁
石からでる磁束の積に比例します(フレミングの左手の法則)。

ここで3つの問題がある。❶1点目はトルクの問題です。自動車の走行モータには、高トルクで
スムーズに発進できるよう、ネオジム磁石などの磁力の強い永久磁石を使用。高速回転ではトル
クは不要で回転速度が求められるため、磁力が強いままだと効率の低下につながる。❷2
点目は
、モータは回転すると発電機になる。これは導線を磁場の中で動かすと、導線に電流が流れる現
象で、「電磁誘導」「フレミングの右手の法則」として知られているが、
モータは、回転速度が
上がると発電が行われ(逆起電力)、電圧が大きくなると、インバータからモータへ流れる電圧
と同じになり、モータはある程度の回転数に達してしまうと、それ以上回転数が上げられなくな
る。
これらの問題を解決にはモータ内の磁界を弱めればいいが、永久磁石自体ではこれが難しく
、「弱め磁束制御」など、誘導電圧を抑えるいくつかの工夫がいる。❸3
点目は磁石そのものの
問題です。ネオジム磁石はレアアースを使用しているため、電気自動車やハイブリッド自動車が
世界中で今後爆発的に普及してゆくと、資源やコストの面から大きな問題となる。

● 理想的な可変磁力モータを求めて
 

したがって、自動車のように高トルクが求められる低速域から、回転速度が求められる高速域ま
で、スム
ーズな加速を実現するためには、磁極(磁力)を状況に応じて調整できる可変磁力モー
の開発が求められているが、 下図のような「磁束変調同期モータ」は、ロータ(回転子)と
呼ばれるモータ回転部分にある磁極(トルクを発生するのに必要な磁束を作る部分)を、ステー
タ(固定子)と呼ばれるモータの外側部分から作る新しい仕組みのモータがある。
ステータ(固定
子)に、電流を流す電機子コイル(図1電機子巻線Wa)のほかに、これとは異なる周期の磁束を発
生させる界磁コイル(図1界磁巻線 Wf)を設ける。
コイルに電流を流すと磁界が発生(アンペ
アの右ねじの法則)。磁束変調同期モータでは、磁界の波を変調して、異なる周期の磁界の波を
作る「磁束変調」という技術を使い、ステータにつけた界磁コイルに直流を流すことで発生する
磁束を磁気的な凹凸を持つロータで変調して、モータ内にN極、S極の磁極を作ります。そして、
この磁極からでる磁束と、電機子コイルを流れる交流によりトルク(回転力)が発生し、ロータ
が回転する(フレミングの左手の法則)。

こうして磁束変調同期モータはきわめて簡単な構造で、❶ロータの部分に磁石を使った通常の同
期モータと同じような磁極を非接触で作ることができ、❷また磁力がステータ側から可変でき、
高速運転においてトルクを弱めたり、またモータ内の磁界を弱めたりできるが、
こうした長所を
持つ磁束変調同期モータであるが、電気自動車やハイブリッド自動車で普及させてゆくには、❸
トルク向上が課題となる。❹
この解決策として、ステータにあるコイルの面積(スロット面積)
を拡大させ、コイルの巻き数を増やすことで磁力を強め、トルクを高める方法が考えられている。
 


この場合、モータ内部のスロット面積は拡大しますが、複数の鉄片から構成される回転子(図2 
回転子鉄片)を内側固定子と外側固定子の二つでサンドイッチのように挟むため、構造が複雑で
堅牢性に欠けるという問題が指摘されている。この「
外転型」の磁束変調同期モータは、ステー
タ(固定子)をモータの内側に置き、ロータ(回転子)は外側にあります(下図3)。回転子は
突極の鉄心で構成され、構造が簡単かつ堅牢です。さらに次世代の電気自動車では駆動輪にそれ
ぞれモータを配置してタイヤを直接駆動するインホイールモータが主流となると考えられ、イン
ホイールモータでの使用を見据えたものである。下に関連特許を掲載しておこう。



❑ 特開2017-225224 線界磁型同期機制御装置 学校法人金沢工業大学 他 

【要約】

下図2のように、簡素な構成で、インダクタンスの変化が大きな場合であっても、必要なトルク
を発生できる状態に巻線界磁型同期機を――巻線界磁型同期機の制御装置は、速度指令と速度フ
ィードバックとの偏差に基づいて電機子電圧を制御する速度制御部と、界磁磁束指令に基づいて
界磁電流を制御する界磁制御部と、速度制御部の演算において用いる負荷角δを算出し、かつ、
磁束指令に基づいて界磁制御部において用いる電機子側換算の界磁電流指令ifd*を算出するシミ
ュレータ100とを備える。シミュレータ100は、負荷角δおよび界磁電流指令ifd*を、巻線界磁型
同期機からのフィードバック信号に基づいて導出可能とする関数テーブルで――維持する。

 ● 鍵となる高品位磁石と導線開発

次世代の線界磁型同期型だけでなく、永久磁石同期型の改良も進んでいる。例えば、下記の特許
事例のように、小型で大出力を得るために高速回転領域で使用で回転電機を用いる場合は、出力
密度の高い永久磁石式が適しているが、2000rpm程度の高速回転領域の場合、❶高速回転時の強
大な遠心力による回転子の破損問がある。例えば、表面磁石型の回転電機の場合、永久磁石は接
着剤で回転子コアに貼り付ける方法が一般的であるが、接着剤のみでは到底遠心力に耐えること
ができず、永久磁石が剥がれてしまう。そこで、磁石外周にバインドを巻き付けるという補強手
法が考えられるものの、磁石外周にバインドを巻き付けると磁気回路的なギャップが広がりトル
クが低下する。その一方、埋込磁石型の回転電機の場合、永久磁石は回転子コアの内部に形成さ
れた磁石スロット内に配置し、埋込磁石型の回転電機の回転子コアには、1極あたり複数の磁石
スロットを形成し、各磁石スロット内に永久磁石が配置され、回転子コアは、磁石スロットの外
側に形成される外周縁部と、磁石スロットの内側に形成される芯部とを備える。外周縁部及び芯
部は、隣接する磁石スロット間に形成される1または複数のセンタブリッジと、最も端の2つの
磁石スロットの、センタブリッジと反対側の縁に形成する2つのサイドブリッジにより繋がる。
このため、埋込磁石型の回転電機において、磁石スロット内に配置される永久磁石は、センタブ
リッジとサイドブリッジとにより支えられているので、高速回転領域では埋込磁石型の回転電機
の方が表面磁石型の回転電機より適している。

ここで、高速回転かつ大径の回転電機で発生する強大な遠心力に耐えるため1極あたり2つのサ
イドブリッジのみならず、1つまたは複数のセンタブリッジによって遠心力を分散させ、かつ各
ブリッジの幅を広くする必要がある。しかしながら、ブリッジの数を増やしたり幅を広げたりす
ると、各ブリッジを介した永久磁石の磁束が漏れる。すなわち、各ブリッジにおける磁束漏れ低
減と耐遠心力の向上を両立させることが高速回転の埋込磁石型回転電機の課題の1つである。

ところで、出力の大きい回転電機では、回転電機さらには回転子のサイズも必然的に大きくなる
と遠心力がさらに増加するが、これに耐え得るうにセンタブリッジの幅を広く取ると、ブリッジ
を局所的に加熱・急冷した際に発生する歪みにより、回転子コアが変形し、回転子コアの寸法精
度或いは占積率の悪化を引き起こし、回転子コアの寸法精度の悪化は良品率の低下を招き、占積
率の悪化はトルクの低下を招く。ちなみに、センタブリッジに歪みが発生するのは、レーザ等を
用いた熱処理によって主相がフェライトもしくはマルテンサイトからオーステナイトへと変化し、
これらの相の格子定数が異なることで体積膨張することに起因する。以上のように、センタブリ
ッジを非磁性化した回転子コアにおいては、特に回転電機の出力が大きな場合には、寸法精度及
び占積率が高い回転子コアを作製技術が十分ではなく、技術開発が求められている。

❏ 特開2018-046703  永久磁石式回転電機及びその製造方法

【要約】

下図2のように、回転子20は、1つの磁極22あたり、並べて配置された複数の磁石スロット
23の外側に
形成された外周縁部と24、複数の磁石スロットの内側に形成された芯部25と、
隣接する磁石スロット間
に形成され外周縁部と芯部とを繋ぐ1つまたは複数のセンタブリッジ
26を備えている。そして、1つまたは
複数のセンタブリッジの一部もしくは全部が非磁性部と
なっているとともに、センタブリッジに、少なくとも1
つのブリッジスロット29が形成するこ
とで、センタブリッジを非磁性化した回転子コアの寸法精度及び占
積率を高めることで高トルク
化を図る永久磁石式回転電機を提供する。

【符号の説明】
1 永久磁石回転電機 2  フレーム 3  シャフト 10  固定子 11  固定子コア 11a  内周面 12スロ
ット 13ティース 14  巻線 20  回転子 21  回転子コア 21a  外周面 22  磁極 23  磁石スロッ
ト 24  外周縁部 25  芯部 26  センタブリッジ 27  連通路 28  永久磁石 29  ブリッジスロット

※特2018-074767 永久磁石同期モータ 日立オートモティブシステムズエンジニアリング株式会社

以上のように構造/構成設計による磁力/トルクの逓増と低下抑制の改良方法とモータ製造法の
提供
がなされているが、永久磁石材料改良による高磁界密度の開発――例えば、下図のように、
新エネルギー・産業技術総合研究機構による「電流を100倍流せる、カーボンナノチューブと銅
の複合材料」のごとくコイル導線材料の改良開発も盛んである(紙面の制約でここでは触れない)。

July 23, 2013

● 廉価で高品位インホイールモータと電動パワーステアリング製造技術を制す

従来の車両用モータ駆動装置として、インホイールモータ駆動装置がある。インホイールモータ
駆動装置は、車輪の駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力す
る歯車減速機とを内蔵し、電動モータの回転出力により車輪を回転駆動するように構成されてい
る。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータおよび歯車減速機をケーシングに一体的に
収容した構造を具備する。
電動モータは、ケーシングに固定されたステータとそのステータの内
側でケーシングに回転自在に支持されたロータと、ロータの回転出力を歯車減速機を介して車輪
に伝達する出力軸とで構成される。


ところで、インホイールモータ駆動装置は、電動モータおよび歯車減速機をケーシングに一体的
に収容した構造を具備するため、電動モータと歯車減速機とを一体的に組み上げた状態で、電動
モータおよび歯車減速機を総合的に性能保証しなければならない。従って、電動モータあるいは
歯車減速機を個別に性能保証することができないというのが現状であったが、より簡便な手段に
より、電動モータあるいは歯車減速機を個別に性能保証し得る車両用モータ駆動装置を提供にあ
つて、車輪を駆動する電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する減速機と、その
減速機の出力を車輪に伝達する車輪用軸受と減速機を収容するケーシングとを備えた構造、つま
り、ケーシングにモータ収容空間を設け、電動モータを簡易ハウジングに格納したモータユニッ
トを、ケーシングのモータ収容空間に配置する。

この様に、車両用モータ駆動装置を構成する電動モータを簡易ハウジングに格納してユニット化
すること
で、電動モータ単体での性能保証でき、また、モータユニットを減速機のケーシングの
モータ収容空間に
配置することで、減速機のケーシングに対する電動モータの組み付けを容易に
する。

尚、モータユニットの簡易ハウジングとケーシングの簡易ハウジングとの対向部位との間に弾性
部材を介
在させた構造が望ましく、このような構造を採用すれば、電動モータで発生する振動を
弾性部材により吸
収することができ、モータユニットの簡易ハウジングから減速機のケーシング
に振動伝播を抑制する。さらに、、ケーシングの簡易ハウジングとの接触部位に、モータユニッ
トを冷却する媒体の流路を形成した構造が望ましく、ケーシングの流路を流れる冷却媒体でモー
タユニットの簡易ハウジングを介して電動モータを効率よく冷却でき、電動モータ単体あるいは
減速機単体での性能保証を個別に行え、このような電動モータのユニット化により、減速機に対
する電動モータの組み付けにおける自由度が増し、電動モータおよび減速機について品質保証の
責任分担を明確化できる。参考に下記に関連特許を掲載しておこう。

❏ 特開2018-070028 両用モータ駆動装置 NTN株式会社

【要約】

下図1のように、車輪を駆動する電動モータ22と、その電動モータ22の回転を減速して出力
する平行軸歯車減速機23と、その平行軸歯車減速機23の出力を車輪に伝達する車輪用軸受24
と、平行軸歯車減速機23を収容するケーシング22とを備えたインホイールモータ駆動装置21
であって、ケーシング22にモータ収容部53を設け、電動モータ22を簡易ハウジング54に
格納したモータユニット55を、ケーシング22のモータ収容部53に配置し、簡便な手段によ
り、電動モータあるいは減速機を個別に性能保証し得るインホイールモータ駆動装置を提供する。


 【符号の説明】

21 インホイールモータ駆動装置 22 電動モータ 23 減速機(平行軸歯車減速機) 24
車輪用軸受 25 ケーシング 53 モータ収容空間(収容部) 54 簡易ハウジング 55 モー
タユニット 70 弾性部材(皿ばね) 71 流路 

尚、図2は図1の平行軸歯車減速機をアウトボード側から見た概要図である。

 ● 今夜の一曲

Ornella Vanoni & Elisa   ” L'appuntamento(逢瀬)

Ho sbagliato tante volte ormai che lo so già
Che oggi quasi certamente Sto sbagliando su di te
Ma una volta in più che cosa può cambiare Nella vita mia
Accettare questo strano appuntamento È stata una pazzia
Sono triste tra la gente che mi sta Passando accanto
Ma la nostalgia di rivedere te È forte più del pianto

今までにたくさん誤りを犯してきたし、そのことを後悔もしている
今日もまた、あなたとの誤りを犯してしまった
でも、もう一度の誤りぐらいで、私の人生が変わることはない
こんなおかしな逢瀬を経験するなんて馬鹿だった
すべてが通り過ぎてしまったいまも悲しくて
泣きたくなるほどあなたに会いたい

オルネラ・ヴァノーニ (Ornella Vanoni ,1934年9月22日 - )はミラノの製薬企業を経営する富
裕な一家に生まれ、ソルボンヌ大学、ケンブリッジ大学に留学。その後ミラノに戻り、1950年代
後半から女優、歌手として活動。1960年、著名な演出家ジョルジョ・ストレーレルの指導のもと
に舞台女優として本格的にデビューした。歌手としても1961年の「Cercami チェルカミ」や、ジー
ノ・パオーリの作曲による「Senza fine 恋に終わりなく」がヒットし、1964年には「Tu si na cosa
grande
素敵なあなた」でナポリ音楽祭に優勝する。またサンレモ音楽祭にも連続出場しAbbracci-
ami forte
強く抱きしめて」(1965年)、「Io ti darò di più 生命をかけて」(1966年)「La music-
a è finita
音楽は終わったのに」(1967年)「Casa bianca カーザ・ビアンカ」(1968年)「Eternità
永遠」(1970年)でそれぞれ入賞している。1970年に彼女の最大のヒットとなった「L'Appuntam-
-ent
o 逢いびき」は2004年の映画「オーシャンズ12」に使用され、また日本ではBS日本の番組
「小さな村の物語イタリア」のオープン・エンドテーマとして親しまれている。


 

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エネルギー革命元年 Ⅴ

2018年04月19日 | デジタル革命渦論

      
                                     

10 地  形

まず「地形」から説きおこしてはいるか、この篇名に、さしたる意味はない。後半は、敗北
の原因、将の責任と役割にふれている。

「地形は兵の助けなり」

地の利は、戦争の有力な補助手段である。したがって、上将――最高指導者たるの道は敵の
力を評価して勝を制する計をたて、その地形が険しいか平らか、遠いか近いかということを
明らかにして戦いに臨むことである。
これを知ったうえで戦う者は必ず勝ち、これを知らずに戦う者は必ず敗れる。
そこで、必ず勝つという見通しがついたならば、主君が戦うなといっても、戦うべきである。
逆に、勝てないという見通しがついたならば、主君が戦えといっても、戦うべきでない。
このようにすれば、当然、主君の機嫌を損ねることもあるだろうが、それはやむをえない。
将たるものは、功績があの生活を保ち、主君の利益をはかることを目的とする。

状況の有効利用と決断、すなわち状況が有利と判断したら、自己の責任において意志決定を
すべきことを強調しているわけである。

 

【特集:根室半島南東沖地震】
2018年4月14日、根室半島南東沖を震源とするM5.4、最大震度5弱の地震が発生。被災された
方々には心からお見舞い申し上げます。 最大震度は震源から北西の中標津町。下図のよう
根室釧路周辺は他の北海道の地域と異なる地体構造(テクトニクスと言う)を有してい
てゆ
っくりと沈降。一方北西側にある雌阿寒岳近くの阿寒2は2016年頃から急激な隆起して
いる。
また襟裳岬近くのえりも1は長期的に隆起。今回の地震の前兆として異常変動は見られず、
長期的なひずみの蓄積が原因だったと解釈。下図は2010年から2017年末まで8年間の隆起・
沈降を表したグラフで中標津(3cm沈降)、阿寒2(8cm隆起)、えりも1(8cm隆起)の8年間
の傾向の違いを示す。



● 参考:地震予測 北海道・青森地区



要注視:北海道釧路・根室周辺(4月ごろまで注視) 4月14日に根室半島南東沖でM 5.4震度
5弱の地震が起きた。
震源周辺の電子基準点には釧路のPv観測点も含め短期的な異常変動はな
かったことから、 長期的にひずみが蓄積して地震が発生したと解釈。(上述、特集参照)

路・根室周辺は沈降が進み、阿寒2の隆起が目立ちます。 根室4と阿寒2の高さの格差は11cm
と大きい。➲
要注意:北海道道南・えりも・青森県(6月ごろまで注意) 青森県は沈降が進
み、
ほぼ東方向の水平変動が見られ、えりものPv観測点で異常が現れる。 

 No.195
【ソーラータイル事業篇:シースルー/低反射カラー太陽電池事例 

4月19日、株式会社カネカは、壁面型太陽光発電システムを、大成建設 気象庁虎ノ門庁舎(
仮称)港区立教育センター新築工事の作業所の仮囲いの壁面に採用されたことを公表。建築
現場での省エネおよび再生可能エネルギーの活用推進に向けて、シースルー太陽電池170Wと
低反射カラー太陽電池190Wの独立電源システムとして導入。本製品は、ゼロエネルギービル
ZEB)向けに開発され、高意匠性や窓などの開口部での採光性を実現する太陽電池となり、
現場終了まで設置される予定。

シースルー太陽電池は半透明のガラス窓の様な意匠を備えつつ太陽光で発電し、作業現場の
内外からの採光性と視認性が確保。低反射カラー太陽電池は太陽光の反射を抑えた特長を持
ち、都市部での光反射問題にソリューションを提供する製品です。多色のカラーバリエーシ
ョンも取り揃えており建築物のデザインに合せた配色を実現。同社は
、戸建て住宅向け太陽
光発電システムに加えて、建築物壁面向けの独自製品の強化に取り組んでいます。ZEBの実
現には、建築物の壁面への太陽電池製品の実装が必要であり、建築物デザイナーの意匠要求
にも応える太陽電池製品が求められている。
今後は、公共建築物等での採用で実績を増やす
とともに、独自の太陽電池製品と設計提案、工法提案を強化し、環境・エネルギー問題への
ソリューションを提供する


※太陽電池が発電した電気をバッテリーに蓄え、必要に応じて使用するシステムを指す。

※大成建設株式会社のコーポレートカラーをイメージした5色の太陽電池が採用。

【関連特許事例】

❑ 特開2018-063917 透明導電性フィルムおよびその製造方法

【要約】

下図のように、太透明導電性フィルム10は、金属細線15の表面15Fにおける黒化処理
層11の反射率を縦軸、金属細線15の無い部分における透明基板14および黒化処理層11
の透過率を横軸にとった直交2次元プロットにおいて、原点と各プロットを結ぶ線と、横軸
とのなす角の角度をθとした場合、θの値が21°以上31°以下の構造/構成によりギラ
ツキを抑えた耐久性の高い透明導電性フィルムを提供するとともに、そのような透明導電性
フィルムを高い生産性のる製造方法の提供。


【符号の説明】

10  透明導電性フィルム    11 黒化処理層    11F  黒化処理層の表面    14  透明基板
14F  透明基板の表面    15   金属細線    15F  金属細線の表面    15T  金属細線の上面
15S   金属細線の側面    16  金属細線層    17   透明導電性酸化物層    18  下地層

❑ 特開2018-058990 セルロース誘導体の製造方法

【要約】

下の構造図のごとく反応助剤の存在下で、シリルエーテルセルロースに芳香族アシル基を導
入するセルロース誘導体の製造方法。反応助剤の例には、p-トルエンスルホニルクロリド
等のスルホン酸誘導体が挙げられる立体障害の大きい嵩高い置換基であるトリアルキルシリ
ル置換基を有するシリルセルロースに、アシル基を導入したセルロース誘導体の製造方法の
提供。



❑ 特開2018-055019 アルカリ現像性を有する硬化性

【要約】

下の構造図のような、アルカリ現像性を有する重合性化合物(a)と、重合開始剤(b)と、
エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)、有
機溶剤(d)から構成される組成物の粘度が0.05Pa・s~5.0Pa・sであって且
つアルカリ現像性を有する重合性化合物(a)100重量部に対して、エポキシ基、または
オキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)を0.1重量部~20重
量部含有することを特徴とする感光性材料で、アルカリ現像性に優れ、かつ当該組成物由来
のアウトガス成分を低減した硬化性組成物、並びにそれらを用いた基材、その基材を構成成
分の一つとする積層体を提供することである。分断された電極層間のリークパスと、結晶シ
リコン基板でのダメージの発生とが抑制された、性能の優れた太陽電池セルと、太陽電池
ルの製造方法とを提供する。



❑ 特開2018-050006 太陽電池セル、及び太陽電池セルの製造方法

【要約】

下図のように、結晶シリコン基板と、半導体領域とを含む太陽電池セルであって、半導体領
域が、結晶シリコン基板の第1主面上にあり、且つ、分離溝によって2つの領域に隔てられ
て電気的に絶縁されており、半導体領域が、半導体層と、電極層とを含み、第1主面から半
導体領域への方向を上方とする場合に、電極層は半導体層の上面側にある太陽電池セルにお
いて、分離溝を挟んで対向する一方の半導体領域の電極層と、他方の半導体領域の電極層と
の最短距離Wtを、一方の半導体領域の半導体層と、他方の半導体領域の半導体層との最短
距離Wnの1.2倍以上10倍以下とする


【符号の説明】

1  結晶シリコン基板 2  真性半導体層  3  受光面側保護層  4  半導体領域
5,6  半導体層 7  電極層  8  絶縁層  9  分離溝  10a,10b  第2電極
11  エッチングマスク




【築城3年落城3分:日本製OLEDS技術の幾末】

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャ
ルなどを手掛けたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが
人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている小寺信良(こでら のぶよし)氏は「国
産有機ELの夢をのせて、これから始まるJOLEDの旅路
(「小寺信良が見た革新製品の舞台裏」
MONOist)で、スマートフォン向け、テレビ向け、ともに韓国勢に市場を押さえられている有
機EL。かつては有機ELの開発に注力していた日本にとって、印刷方式の有機ELを世界で初め
て実現し、量産も始めたJOLEDは最後の希望であったがJOLEDの印刷方式有機ELの可能性と今
後の同社の展開を探るこのシリーズで、有機ELパネルの製造は、スマホのサムスン、テレビ
のLGと、ほぼ韓国企業に押さえられたということになる。かつて日本でも有機ELパネル開発
に力を入れたメーカーはあったが、問題点をクリアすることができず、量産化には至らなか
った経緯をふり返り――
現在の有機ELパネルは、真空の環境でEL層を形成し部材を蒸着させ
る「蒸着法」で作られる。サムスンの場合は、RGBの各色で成膜させたいところに穴を空けた
メタルマスクを用意して、1色ずつ部材を蒸着させていく「FMM-RGB蒸着法」となる。RGBが個
別に発光するため発光効率に優れるが、製造法上、大型化が難しく、
現在の有機ELパネルは、
真空の環境でEL層を形成し部材を蒸着させる「蒸着法」で作られる。サムスンの場合は、RGB
の各色で成膜させたいところに穴を空けたメタルマスクを用意して、1色ずつ部材を蒸着させ
ていく「FMM-RGB蒸着法」となる。RGBが個別に発光するため発光効率に優れるが、製造法上、
大型化が難しいが、
その方法が、部材を蒸着するのではなく「印刷」でRGB発光層を個別に作
るという手法である。JOLEDが世界で初めて、この方法で製品化にこぎ着ける。もともとは「
日の丸液晶」として、日本の持つ液晶開発技術が国外流出することを恐れた国が、産業革新
機構の資本を投下して作った会社であり、JOLEDもその点では同じ構造である。産業革新機構
としては、JDIの液晶ビジネスをうまく育てて、JOLEDという「子」の面倒を見させる目算
狂ったことになる(実は強烈な液晶による垂直統合政策のもとで、生き延びをかけた国内の
有機EL製造メーカーが雪崩を打って韓国、台湾へ自社技術を売り込んでいる)。とはいえ、
プロ用PCディスプレイ向けにパネル供給が決まったことで、投資案件も増えこれによりプロ
/業務用中型ディスプレイが安定供給することで会社とし次のステップへ向かえることにな
る――日本の次のテレビ特需は、2020年の春商戦に、それまでに大型パネルの製造ライセン
スがまとまれば、東京オリンピック・パラリンピックは印刷OLEDで観戦できるかもしれない
が、そのテレビが、国内企業のものとは限らない可能性があり、JOLEDに「日の丸有機EL」の
夢を見ていた者にとっては、その点が少し残念なところであると結んでいる。まさに「築城
3年落城3分」を字でいった辛い経験を国内の関連企業は経験したのだと感慨ひとしきりで
読み終える、これを発条にディスプレイ立国を再興を!ここで再確認したい。

    
高橋洋一 著 『戦後経済史は嘘ばかり』   
第6章 不純な「日銀法改正」と痛恨の「失われた20年」

第10節 長く続いたデフレの結果、「デフレ勝者」が金融機関の経営者にな
ってしまった

長く続いたデフレの中で、金融機関経営者の意識がデフレ志向になってしまった面は否めま
せん。デフレというのは、物の価値が下がることであり、金利が下がっていきます。金融機
関の中で、金利が下がって儲かる部署は債券部門です。金利が下がると債券価格が上がりま
すから評価益が出ます。一方、貸出部門は儲からなくなります。貸出しの回収もうまくいか
ずに利益がなかなか出せません。デフレ時代には債券部門の羽振りが良くなり、債券部門の
人が出世しました。二十年もデフレが続いたせいで、金融機関の経営者の中に債券部門出身
者が増えていきました。彼らはいわば「デフレ勝者」です。

「デフレ勝者」の経営者たちは、デフレが緩くことを望みがちです。それが無言の圧力とな
って周囲に影響を与えます。金融機関はみなシンクタンクを持っていますが、そこに所属す
るエコノミストたちは本体の経営陣がデフレを望んでいれば、その意向を無視するわけには
いきません。「デフレが続いたほうがいい」という雰囲気になり、金融緩和を望まない方向
に向かいます,こうしたことが、民間金融機関だけの問題ですめばよかったのですが、日銀
がその影響を受けてしまったような気がしてなりません。私がどうしても理解できないのは、
日銀が白川方明総裁時代(2008年4月~2013年3月)にデフレ克服のための金融緩
和をかたくなに拒んでいたことです,なぜ、そこまでかたくなに拒む必要があったのか。そ
の1つの理由として、日銀の中に金融機関の経営サイドに立って主張する人たちがいたから
ではないか、と想像しています。「こんなことをしたら金融機関が大変だ」という意見を真
に受けてしまったのではないか。実際、白川総裁は金融機関の経営に関して発言しています。

しかし、金融機関経営というのは「ミクロ」の話です。日銀の仕事はミクロではなく、「マ
クロ金融政策」です。金融機関経営のことなど考えずに、まさに「独立した金融政策」をし
なければいけません。「金融機関経営は金融庁の仕事」と割り切って、任せてしまえばいい
のです,日銀が民間金融機関の経営を心配するまでもなく、各金融機関は、金利が上がって
も下がっても、きちんと対応できるように準備をしています。金融機関には債券部門と貸出
部門かおりますから、どちらかで利益が出なくても、もう一方で利益を出せます。また、預
金金利が上がったとしても、貸出金利も上がりますから、バランスはとれるようになってい
ます。金融機関の人たちはプロですから、対応策はわかっています。日銀は金融機関経営と
いうこ旨クロのことなどに左右されないで、金融政策を決めるべきなのです。

「金利が上がると、国債の利払いが増えるから国家財政が大変になる」という意見も耳にし
ます。しかし、これも一方だけを見ているにすぎません。経済学的にいえば、金利と経済成
長率はほぼ一致します。金利が上がれば経済成長率も上がりますので、税収は自然に増えて
いきます。金利上昇で国債の利払いが増えても、また税収も増えるのですから、問題はあり
ません。それどころか、実は経済成長率が上がっていると税収の上がりのほうが大きくなり
ますので、財政は健全化します。経済を考えるときに、一部分しか見ない人がたくさんいま
すが、経済行為にはすべて反対側かあります。金利を支払う側ともらう側。物を売る側と買
う側。税金を払う側と受け取る側。両方を見ないと全体のことはわかりません。

また、経済はすべてつながっています。たとえば、「実質金利」と「為替」は別個のもので
はなく、表裏一体のものです。個々の事象だけを見るのではなく、反対側や全体を見て考え
ることが正しい判断をする際に必要になります。



第11節 リーマン・ショック後の「日本1人負け」も人災だった

リーマン・ショック(2008年)は日本と外国との政策の追いが如実に現れた出来事でし
た。リーマン・ショックが起こったときに、経財相だった与謝野馨氏は、「日本経済にはハ
チが刺した程度の影響」と述べました。これが日本の政策担当者の発想であり、日銀も何も
しなくていいと思っていたようです,以降も、日本だけが1人負けの状態になってしまいま
した。その結果、どれほど多くの日本人が苦しんだことか。リストラの憂き目に遭った人も
いるでしょう。希望の就職ができなかった学生もいるでしょう。取引先が倒産してしまったり、
自分の会社が倒産してしまった人もいたことでしょう。これは経済現象というより、むしろ
「人災」といったほうがいいかもしれません,実際、歴史を振り返ると、様々な悲劇が「経
済失政」によって起きていることがわかります。間違った経済常識に固執すること、データ
に基づいて検証しないこと、大外れの予測や読みの尻馬に乗ってしまうこと――政策担当者
がそんな過ちを犯した場合、その罪はあまりにも重いのです。「知らなかった」ではすみま
せん。そんな「人災」に巻き込まれぬよう、そんな「悲劇」を引き起こさせぬよう、心ある
人は、きちんとした理論とデータ検証に基づいた「物事を正しく見る眼」を養い、高めてお
かなくてはならないのです,

ここまで、少し違和感をもつとこともあったそれはここでは触れず次章(終章 TPPも雇
用法も、世間でいわれていることはウソだらけ」)に移る                   

                                   この項つづく

 ● 今夜の一枚

エアバス、電動航空機の研究開発に数百億円投資


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エネルギー革命元年 Ⅳ

2018年04月18日 | デジタル革命渦論

      
                                     

10 地  形

まず「地形」から説きおこしてはいるか、この篇名に、さしたる意味はない。後半は、敗北
の原因、将の責任と役割にふれている。

敗北への道
敗北に至る道は六つある。「走」「弛」「陥」「崩」「乱」「北」がそれである。およそ、
この六つは情
勢や環境による不可抗力のものではなく、あきらかに将たる者の責任である。

「走」――敵味方の兵力は同程度なのに、味方の一の力で敵の十の力と戦闘しなければなら
なくなった場合。
「弛」――部下が強くて幹部が弱い場合。
「陥」――幹部が強くて部下が弱い場合。
「崩」――将たる者が副将の能力を認めないため、副将が不平をいだいて兪今に従わず、自
分勝手に戦うような状態。
「乱」――将が気が弱くて厳しさを欠き、指導方針も不明確で部下は動揺し、戦闘配置もで
たらめな場合。 
「北」――将が敵の力を正当に評価できないため、少数の味方で多数の敵とぶつかり、弱い
兵力で強力な敵と戦い、しかも自軍には中心となるべき精鋭もいない場合。

およそ、以上の六つは敗北の道であって、こういうことにならぬように努力するのが将たる
者の重要な任務である。おろそかにしてはならない。



【十二首束歌 Ⅰ】

若き日の水面にありし水の影のゆらゆらとあはれいまにゆらめく

鴨じもの波の随(まにまに虫)に遊びつつ北に飛ぶ日を数みてゐるらし

おろかなるもののあやふさ仄々と梅に花咲き鳥は遊べども

春をよぶ雨とはいへど降りみ降らずみ海に霹靂の音を響かす

茶の花に来る虫の名は知らねども営々たりその金色の蜾蠃腰

山口の梅の花白く咲きにけり杏の花もはや遠からず

雨ののち流れに朱の見ゆるあり山の椿の花咲きをれば

岩陰にちぢまりて翁(をち)はみづからの白骨を火にくべてゐるらし

「マチョーテモバサーコンデ」と婆さんが上の畠から叫(おら)んでくれる

怖ぢ怯れ啼くやこの大身をよぢり宸たばしる街路にむきて

明け暗れの外の面に人の声をきき再びねむり夢にてもきく

戦争は静かに思へ死者生者山野に放りかへりみざるを


『春寒一日また一日』  小見山 輝(龍)(「歌壇」2018年5月号)


※鴨じも:浮寝をすれば蜷(みな)の腸(わた)か黒き髪に露そ置きにける」〈万・三六四九〉
※仄々:ほのぼの
※霹靂:へきれき➲霹靂すること閃電光の如くなるを/太平記
※蜾蠃腰:すがるごし➲じがばちの古名。腹部がくびれていることから女性の細腰に喩える。

昭和5年岡山県笠岡市生まれ。昭和26年「篭」入会。服部忠志に師事。昭和28年、加藤
克巳の「近代」に参加。平成7年「篭」代表。現代歌人協会会員。日本歌人クラブ参与。岡
山県歌人会会長。平成24年岡山県文化賞受賞(『小見山輝歌集 現代短歌文庫』より )

 No.194

【ソーラータイル事業篇:ZEH3階建 4.4kWの太陽光パネル搭載 

4月13日、ミサワホームは、ZEH(ネット・ゼロ・エミッション住宅)対応可能な都市型
階建て住宅を、4月28日から北海道・沖縄を除く全国で販売することを公表。南面と北
面で異なる傾斜の屋根を組み合わせた「異種勾配屋根」を採用することで太陽光パネルの設
置面積を大きく確保した(商品名は、「CENTURY Primore 3(センチュリープリモアスリー)
」。これは、同社独自の木質パネル接着工法において、厚さ120mmの木質パネルを用いて接
合部を強化した「センチュリーモノコック」構法を採用した。最大5.4m幅の大開口や高天井
を確保しながらも、住宅の断熱性能を示すUA値は4地域以南のZEH耐熱基準を上回る 0.5以下
を達成。
異種勾配屋根は、主に北面での傾斜制限や日影規制に対応しながらも、南面は緩や
かな傾斜とすることでNearlyZEH基準の3.2kWを上回る3.9kWの太陽光パネルを設置可能にした
(プロトモデル43坪の場合)。なお、ZEH基準の4.4キロワットは棟移動で達成可能。
この他、4地域以南で同社初の発泡系床断熱材、従来品と比べて断熱性能を高めた玄関ドア、
基礎断熱と防蟻対策で床下部を点検しやすくしたフリーアクセスフロアによる1階床のスキッ
プダウン設計などを採用した。参考価格は6243万円(税込み)。販売目標はセンチュリーモ
ノコック全体で2019年度1000棟。


【特徴】

● 新しい「MISAWA Interior Style」と新造作システム


多様化するニーズに対応するため、6カテゴリー 14 スタイルの多彩なインテリアスタイ
ルを「MISAWA Interior Style」として展開、造作システムも一新。「CENTURY primore3
では、富裕層を意識した「ALL LUXURY」と「With Elegance」スタイルとして、上品さ
や優雅さをイメージ、なめらかな曲線の廻縁やケーシングを採用し、その他のスタイルにお
いても内部建具やドア金物のバリエーションも充実させ、顧客のこだわりインテリアを実現。



● 規アイテムの採用で統一感と重厚感のある美しいファサード

都市型住宅のファサードは、サイズや素材の異なる窓やバルコニー、玄関ドアなど雑然とな
りがち。新規開発した目板は、サッシやバルコニーに沿って配置することで、統一感が出て、
それらがまとまったひとつの要素として感じられるため、外観に落ち着きがうまれる。また、
従来品に比べ厚みを増した庇や、上質感あふれる外装材などのオリジナルアイテムを採用で、
間口の狭い都市型住宅においても重厚感のある美しいファサードを形成できる。



● 新構法採用で耐震性が1.3倍に!!「センチュリープリモア」

UA値0.50以下 耐震等級3を確保

新構法の「センチュリーモノコック」の特徴は、大開口などの開放的な設計を実現しながら、ZEH基準
を大きく上回る断熱性能を達成。従来の90mm厚の壁パネルが120mmへと増厚。さらに木質パネ
ル同士の接合部を強化し、構造体と基礎の接合部を独自形状のアンカーボルトで増強した高
耐力仕様を標準採用。耐震性能は通常仕様の約1.3倍に向上。耐震等級は最高等級「3」。
新構法の「センチュリーモノコック」の採用で、大幅に耐震性や耐力性が向上した仕様。ま
た、高耐力の LVL 材の梁を組み合わせることで、躯体構造の強度アップとスリム化を図り、
より開放的な間取りを採用できる。約3メートルの天井や約5.4メートル幅の大開口が可能。

加えて、オリジナルの高断熱なアルミ樹脂複合サッシ「AZサッシ」(アルゴンガス入りLow‐E
複層ガラス)または樹脂サッシ(トリプルガラス)を標準採用。どちらもU値1・90W/㎡・K以下
の優れた断熱性能を発揮。



● 異種勾配屋根


1棟の建物で急勾配と緩勾配の異なる傾斜の屋根を組み合わせる「異種勾配屋根」を開発し
ました。これにより、主に北面で斜線制限や日影規制に対応しながら、南面は緩やかな傾斜
とすることができるため、太陽光発電パネルの搭載に効果的な屋根面積を大きく確保でき、
ZEHに対応しやすい。また、強固なモノコック構造のため、急勾配屋根の直下の空間も小屋組
や陸梁を入れることなく、広々とした居住空間として確保できます。吹き抜けや小屋「蔵」
など、多彩な空間活用が可能な点が魅力。
 



● 1 階床スキップダウン設計

基礎断熱と防蟻対策を施し、床下部の点検がしやすくなるフリーアクセスフロアを採用する
ことで、新たに1 階床のスキップダウン設計が可能になりました。これにより、天井高が約
300
mm アップします(イメージ①)。また、1 階をスキップダウンした分、各階の階高を
調整でき
、建物全体の空間構成にさらにバリエーションがうむ(イメージ②)。都心部では
採光を確保するため2 階以上にリビングなど家族が集まる空間を設けることが多
くなるが、
スキップダウンを活用することで、さらに使い勝手がよく、変化のある豊かな
空間が確保で
きる。



● 断熱性能がさらに向上! ZEH対応能力も大幅アップ

従来の「センチュリー」シリーズよりも断熱性能が27%も向上。新採用の「センチュリーモ
ノコック」と、玄関土間断熱「サーモ DOMA フロア」や、ミサワホーム独自の高断熱サッシ
AZ サッシ」を組み合わせることで、断熱性能を表す熱損失係数UA値を0.50以下とを実現。
標準的なZEH 断熱基準であるUA値0.60を大きく上回ります。また、ZEH仕様を強化すること 、
最も ZEH 断熱基準が厳しい北海道地域(1、2 地域)のUA値0.40もクリア可能となっていま
す。さらにトップライト・シーリングファン・エアコンを自動制御する「涼風制御システム
」や、室外に設置したルーバーに水を流して涼風を取り込む「クールルーバー」や、換気塔
による屋根裏の排熱など、ミサワホームで独自の技術でZEH能力を向上させている。



● ヒートショック対策や健康面に配慮した機能も充実!

「センチュリー・プリモア」では新たに「蓄熱床」も採用。潜熱蓄熱材を組み込んだ床材で
昼間の日射や暖房時の熱を蓄え、夜間にゆっくりと放熱する。冬期、20℃以上でエアコンを
使用し、就寝時にエアコンを切った場合、通常の床材を使用した住宅であれば朝には16℃
程度に室温が下がっている。断熱性能に優れる「センチュリー・プリモア」ではLDKに「
」を採用することで、朝でも18℃程度を維持。

さらに、室内空気質の改善にも取り組んだ。壁や天井にホルムアルデヒドやアセトアルデヒ
ドなどを吸着・分解する機能を持つ高機能石膏ボードを採用。その上に通気性のクロスを貼
ることで、化学物質の室内濃度が厚生労働省指針値の3分の1以下になることを実証。

さらに、今年4月に発売したIoTを活用したライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」も
提供る。住宅内の情報家電・電子機器類をネットワークでつなぎインターネット回線を使い
データをやりとりできるホームゲートウェイと、温湿度センサーやコントローラーを組み合
わせたもの。生活データを蓄積・分析し、省エネ・安全・安心・快適な生活をワンストップ
で提供。エネルギーの見える化や最適制御だけでなく、室内温度・湿度を測定し、熱中症の
危険を知らせる熱中症アラートや、外出先からエアコンや電動シャッターなどを遠隔操作す
ることも可能。日々の健康な暮らしを支援。


   
高橋洋一 著 『戦後経済史は嘘ばかり』   
第6章 不純な「日銀法改正」と痛恨の「失われた20年」

第7節 「小泉・竹中路線」は、最初は完敗の連続だった
竹中氏は、政府に入ったものの惨敗続きでした。日銀にはまったく相手にしてもらえません
でしたし、やろうとしたことはすべて潰されていきました。竹中経財相が経済財政諮問会議

で最初にやろうとしたのは法人税減税です。これには財務省(中央省庁再編で2001年1
月に大蔵省から財務省に名称変更)が激怒して猛
反対し、この案はすぐに潰されました。
竹中氏は一橋大卒で日本開発銀行出身です。東大卒ばかりの財務省キャリアは学歴で人を見
る悪い斟がありますので、あたかも櫓下の人間がいきなり大臣になったかのよう
な反感を持
っていました。竹中氏はかつて大蔵省に出向していたことかあり、そのときも彼のことを小
馬鹿にしていたキャリア官僚がいました。

実は、私が竹中氏と最初に知り合ったのは、そのころでした。竹中氏が大蔵省の財政金融研
究室(当時)に開発銀行から課長補佐として出向してきて、私はその下の係長職でした。竹
中氏はハーバード大学に留学して学んできたことをたくさん聞かせてくれて、面白い話が多
かったので、そのころから親しくなりました。経財相になった竹中氏は財務省から嫌われて
いましたので、省内に味方が必要だと考えたのかもしれません。私に声をかけてくれました。
そのころ私は左遷されて暇にしていました。プリンストン大学への留学期間を延長したため
飛ばされたのです。

1998年に留学して一年で帰る予定でしたが、当時、プリンストン大学には、のちにFR
B議長になったベン・バーナンキ教授や、2008年のノーベル経済学貧受貧者のポール・
クルーグマン教授もいたので、向こうでの勉強が面白くて期間を延ばしてもらうように頼み
ました。すると国際電話がかかってきて、「お前のポストはもう用意してある」といわれま
す。私はどうしても勉強したかったので、それを断ったら、「何でこんないいポストを断る
んだ。飛ばすぞ」と怒られました。私は結局、三年間留学しましたが、帰国してみると予定
通り飛ばされたわけです。

左遷されて国土交通省に出向して、仕事もないので暇にしていました。そんなときに経財相
の竹中氏に声をかけてもらって密かに手伝っていたのですが、すぐにバレてしまいました。
すると竹中氏は「塩じい」の愛称で親しまれていた財務相の塩川正十郎氏に掛け合って、政
府の各種検討会委員に私を加えました。現役の役人が入る場ではないのですが、強引に竹中
氏に入れられました。
最初は小泉純一郎首相肝煎りの政策金融改革の検討会委員を務めました。財務省は 「我々
の味方として高橋が入った」と思ったかもしれませんが、私は財務省の意向とは遣うことを
しました。小泉首相は郵政改革とともに政策金融改革を進めたかったのですが、橋本龍太郎
元首相が出てきて「指一本触れさせない」といわれて、結局、政策金融改革は完全に潰され
ました,
このときの小泉首相の怒りは非常に大きく、のちに郵政改革が片付いたときに、再度、政策
金融改革をする際にはものすごい剣幕でした。そのときに政策金融はいくつも廃止されまし
た。「常勝小泉・竹中」のイメージかおるかもしれませんが、最初は敗戦続きでした。法人
税減税で完敗、政策金融でも完敗でした。



第8節 いかにして竹中氏は無敵状態になったのか

しかし、ここからが竹中氏のすごいところでした。コテンパンに負けた理由を分析して、ど
うやったらうまくいくかを考えて、やり方を変えたのです。試行錯誤の末、諮問会議に待合
室というものをつくり、竹中氏の意向を理解している。人だけを集めました,私も加わって
いましたが、待合室でペーパーを書いて諮問会議の議員に根回しをしていきました。諮問会
議の議員は11人で、そのうち4人が民間議員でした,この4人の民間議員を先に説得する
ようにしました。

竹中氏が小泉首相を味方につけると、合計6人になり過半数を押さえられます。民間議員4
人には私かペーパーを書いて先にレクチャーして合意を得ました。こうして諮問会議で賛同
してもらえるようにしたのです。竹中氏は、土日で時問がとれたときには閣僚の主要メンバ
ーを集めて会合を問いていました。私はそこに参加したことは数回しかありませんが、官房
長官はよく出席していたようです。そのほか自民党幹事長もときどき出席していました。こ
の会合をコンピュータのCPU(中央演算装置)をもじってというか、もともとあった名称
でCPU (コミュニケーション・アンド・ポリシー・ユニット)と呼んでいました,そこ
には当時、官房副長官だった安倍音三氏や、経度相などを務めた中川昭一氏も出ていて、よ
く意見交換と情報共有をしていました。

こうして頻繁に情報共有しているので、竹中氏が諮問会議をりIドするスタイルができてい
きました,ここまでできる人は政治家の中でもなかなかいないと思います。
そのスタイルができあがると、ものすごく政策実現の確率が高くなっていきました。諮問会
議のペーパーは潰されなくなり、ほとんど通るようになりました。やりたいことが通る打率
が高くなると、竹中氏の下にみんな集まってきます。 マスコミヘのブリーフィング(事情
説明)も上手でした。諮問会議が終わると、マスコミはすぐに内容を聞きたいのでブリーフ
ィングを求めます。竹中氏は、会議を運営しながら要点を書き留めて、きちんと説明してい
ました。会議後にすぐ公表するにはかなりの事務処理能力が求められます。竹中氏にはそれ
ができましたが、以降の経財相はそこまでのブリーフィングはできませんでした。

こうして、諮問会議をとりまとめ、マスコミにもきちんと公表しましたので、状況は大きく
変わっていきました。最初は全敗でしたが、途中からは何でも運る状況になりました。徐々
に、スーパーマリオブラザーズというゲームで、マリオが無敵になれるスターをとって、ど
んどんと敵をなぎ倒していくような状態になりました。

小泉政権の政策としては郵政民営化と道路公回改革を進めましたが、道路公回のほうは、道
路関係四公団民営化推進委員会の委員を務めた作家の猪瀬直樹氏のキャラクターで乗り切っ
たようなものです,一度は橋本元首相に潰された政策金融改革にも取り組みました。政策金
融は公務員が天下り先を確保するために必要としているのであって、産業界には必要のない
ものでした。本来、政府のすべきことは、弱い企業への融資です。民間は儲からない相手先
や拒保のとれない相手先には融資しませんので、政府が融資するしかおりません。政策金融
の役割は民間が貸さない弱者に対する貸出しです。そういう意味では、国民金融公庫と日本
輸出大銀行以外は不要ですから、政府系金融機関は統合・廃止されました。

第9節 日銀総裁人事以外に、政府が金融政策に関与する方法はなかった 

竹中氏が諮問会議を取り仕切るようになって以降、最も重要だったことの1つは、2003
年3月の日銀総裁交代時に誰を選任するかということでした。前述したように、日銀は「独
立性」を楯にとってデフレ克服のための金融緩和をしませんでした。総裁交代の機会を逃す
と政府が金融政策に影響を及ぼすチャンスはなくなりますので、人選はとても重要でした。
日銀出身の福井俊彦氏が候補者でしたが、デフレ脱却をする意志かおるかどうかが焦点でし
た。

この時点で、金融政策の重要性がわかっていたのは、悲しいかな、竹中氏と自民党の中川秀
直氏らのごく一部だけでした。そのほかの自民党議員には、説明してもまったく理解しても
らえませんでした。小泉首相の意向を受けて、中川氏が福井氏に「デフレ脱却をやりますか
」と尋ねて約束をしてもらいました。福井氏は小泉首相のいる前でデフレ脱却を約束したと
間いています,それを確認したうえで、小泉首相は福井氏を日銀総裁にしています。
世間では福井氏は前任者の路線を踏襲すると見られていたようですが、福井氏は日銀総故に
就任すると、約束を守ってすぐに量的緩和をしました。量的緩和を続けたため、小泉政権時
代には一時デフレを脱却できそうになりました。量的緩和によって、為替レートは平均で1
ドル=120円くらいの円安を保っていました。

量的緩和をやった価値はあったのですが、徹底的にやらなかったのが残念な点です。
福井氏は、徐々に日銀内部の論理に取り込まれていったのか、2006年3月に量的緩和を
解除してしまいます。その年の九月には小泉首相が退任予定でしたから、日銀側は小泉首相
にはもう力がないと考えたのかもしれません。
このときに量的緩和解除に反対したのは、閣内では総務相だった竹中氏だけでした。閣僚を
含めて多くの人が解除しても大丈夫だといっていました。
私はもちろん量的緩和解除に反対でした。まだデフレを脱却していませんでしたので、時期
尚早と考えていました。「もし解除をすると半年後には経済状態はこのようになる」と予測
を出しました。

竹中氏も「今、量的緩和解除をすると半年から一年先には景気は落ちます」と主張しました,
ですが、こうした意見は相手にされませんでした,日銀は量的緩和解除に踏み切り、結果は、
デフレを再び深刻化させるものとなりました,経済は予想通り低迷し始めました。
このときのいきさつを1人だけ冷静に見ていた人がいます。それが現首相の安倍音三氏です。
安倍氏は当時、官房長官でしたが、竹中氏や私のいうことを聞いていました。
ただし、「本当にそうなのかなあ」としか思わなかったそうです。
しかし、9ヵ月ほど経つとデフレに逆戻りし始めました。安倍氏は第一次安倍政権(200
6年9月~2007年8月)を退陣してから、量的緩和解除の失敗に気づいたとおっしやっ
ていましたが、その後、リフレのことを勉強されたようです。「暇だったから」と国会でも
発言されていました。退陣後とはいえ、きちんと勉強された姿勢は立派だと思います。 安
倍氏は20回1年の自民党総裁選に再び出馬しました。事前の報道では、安倍氏は、石破茂
氏、石原仲晃氏に次いで3位につけていました,偶然が重なって安倍氏が総故に選出されま
したが、この総裁選で、デフレ対策としての金融政策と消費増税への懸念を明確に主張して
いたのは安倍氏だけです。
もし安倍氏が当選せず、日銀総故に黒田東彦氏が選ばれていなかったら、いまだに金融緩和
が行われていなかったかもしれません。

                                   この項つづく

    

【今夜のクエスチョン:銀ナノインクの不思議を解き明かす】 



4月17日、 東京大学らの研究グループは、超微細回路を簡便・高速・大面積に印刷できる
スーパー
ナップ法について、技術の鍵となる、銀ナノ粒子の吸着性とインクの安定性が両立
する不思議なメカ
ニズムを解明しとことを公表。この成果は、❶銀ナノ粒子の吸着性とイン
クの安定性が両立するメカニズムと、❷銀ナノ粒子表面を保護するため、わずかに含まれる
脂肪酸が巧みに機能していたことを新たに発見。❸新たな高機能ナノインク開発と高度印刷
技術への展開を拓けた。

塗布や印刷によりフレキシブルな電子機器を製造するプリンテッドエレクトロニクス技術は
大規模・複雑化した従来のデバイス製造技術を格段に簡易化できる革新技術として期待さ
れている。スーパーナップ法は、線幅1マイクロメートル以下の銀配線を簡易に印刷できる
画期的な印刷技術として、現在、これにもとづく透明で曲げられるタッチパネルセンサの量
産化が進められている。スーパーナップ法では、インク中に含まれた特殊な銀ナノ粒子が、
基材表面に選択的に吸着する新たな仕組みが技術の鍵となっているが、高活性な銀ナノ粒子
を大量に含んだインクが、印刷に至る過程で安定なままたもたれる理由がわからなかった。
今回、インク中で銀ナノ粒子が凝集するメカニズムを詳しく検討した結果、銀ナノ粒子表面
を保護するため、わずかに含まれている脂肪酸(注2)の分子鎖の挙動が、銀ナノ粒子の吸
着性とインクの安定性を両立させるため、巧みに機能していることを解明する。


Title:Unique coexistence of dispersion stability and nanoparticle chemisorption in alkyl
amine/alkylacid encapsulated silver nanocolloids

 

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一期一会 日々新々

2018年04月11日 | デジタル革命渦論

      
                                     

 九 変

表があれば浦がある。陽があれば陰がある。その変化と発展の法則を見きわめることが勝利
への第一歩であろ。

将にとって5つの危険
将がおちこみやすい5つの危険がある。 
その一は、必死になりすぎることである。いたずらにはやりたつだけで、退くべきときを心
得ないならば、無駄に殺されてしまう。
その二は、逆に、何か何でも肋かろうとすることである。これでは命は肋かっても、捕虜に
なるのがおちである。
その三は、短気である。侮られると、前後の見さかいなく腹をたて、みすみす敵の術中にお
ちいってしまう。
その四は、潔獅である。これは名誉を傷つけられると、がまんできずに忠心に分別を忘れ、
みすみす敵の術中におちいってしまう。
その五は、人民への思いやりである。たしかに人民を愛することは必要だが、これにこだわ
ってはいけない。
つまり、この五つが将たる者がおちいりやすい危険であり、戦争遂行のさまたげである。古
来、軍が滅び、将が殺されるのは、必ずこの五つの危険が原因になっているといってもよい。
よくよく考えなければなるまい。

反面の作用 ゆとりを失い、あるいは秋谷するなど、一面にとらわれることの危険性が強調
されている。すべて物事には反面の作用がある。これもまた『老子』の思想と同じ基盤にた
つ。「天下みな美の美たるを知る。これ悪なり」(人はだれしも、「美」はつねに美である
と考える。美は同時に「醜」でもあることを知らない。『老子』二十章)

【下の句×樹木トレッキング 28:キンキマメザクララ】


日のもとに楼さきけり今ぞしるわたくしならぬ神の心を   正岡子規


※いまこの瞬間を生きている、生かされているこの奇跡に感謝せずにいられようか。

近畿豆桜(Prunus incisa var. kinkiensis)は、散策路を歩いているとときどきある、落葉小高木
で、葉は互生。フォッサマグナ植物の一つであるマメザクラの変種で、主に北陸、長野、愛
知、近畿
、中国地方に分布。県内では早月川以西に分布し、東ではオクチョウジザクラにな
る。境目には雑種もある。
このあたりの丘陵地に多いサクラで、いち早く花が咲く。普通は
葉が出てくる前、又は同時に花が咲く。
花は下向きなのに、実はしたの写真のようにだんだ
んと上に向いている(
種子散布のため)。この下向きに花が咲くサクラの仲間としては、オ
クチョウジザクラがある。

   
高橋洋一 著 『戦後経済史は嘘ばかり』   
 

第4章 プラザ合意は、日本を貶める罠だったのか? 
第7節 「前川レポート」はただ状況の変化をなぞっただけのもの

前年の1985年にプラザ合意があり、為替が完全に自由化され、政府の介入はほぼなくな
りました。言い方を変えると、輸出企業が履いていた高いゲタがなくなったということです。
もともと日本は内需の大きい国であり、それほど外需の比率は高くありませんでしたが、有
利な為替相場を使って外需によって猛烈に儲けることができていました。しかし、プラザ合
意でゲタを脱ぐことになったので、もう外需で大儲けをすることはできなくなりました。

それに合わせて内需で儲ける経済構造に変えざるをえなくなります。それで、前川レポート
で「外需で儲けられなくなったから、内需を頑張りましょう。為替を自由化したから、他の
分野もそれに合わせた対応をしていきましょう」という提言が出されたのです。
意味合いとしてはそれだけのことですから、実際には前川レポートは大した役割を果たして
いません。それでも、時の中曽根首相はこの内容をレーガンに伝え、レーガンもこの報告を
評価したといわれます。
しかし、考えてみれば、この提言もある意味では、「どこか恣意的で無理のある歪んだ経済
運営」だといえます。レポートをまとめて「内需拡大をする」と国際的に訴えるのはいいと
して、では日本政府として、どうやってそれを実現するというのでしょう。結局、日本は「
口ばかりる気がない」などと、さらに批判されることになりました。

第8節 「貿易の自由化」のために「金融の自由化」が必要になった

ところで、前川レポートには「金融の自由化・国際化」もうたわれています(前述の4)。
稀に、「金融自由化や規制緩和、市場開放政策によって、ハゲタカのような外国資本が日本
市場に進出しやすくなり、日本経済が食い荒らされた」などという陰謀詰めいた
ことをいう
人がいますので、一応、ここで金融自由化の背景と実際を説明しておきましょう。

「金融自由化」は、「貿易の自由化」と切っても切れないものです。日本では貿易の自由化
はかなり早い時期に進みました。1964年の東京オリンピッ
クのころには貿易自由化率は
90%を超えています。
実物経済の裏側には金融がありますので、金融の自由化も進めていかないと、貿易はうまく
回らなくなります。
多くの場合、金融経済は実物経済に遅れてあとからついていく形になり
ます。金融経
済の改革のほうが政策としては実行しにくいので遅れがちになるのです。アメ
リカやイギリスが金融自由化を進めたのも、貿易自由化からかなり経ってからのことです。

「国際金融のトリレンマ」のところでも述べましたが、資本主義国にとっては「資本移動の
自由」は必
須の命題です。

資本移動の自由とは、資本を各国で融通するという話です。資本がどこかの国に偏在してし
まうと、
実物経済の貿易の自由化を担保できなくなります。貿易の自由化を進めるには、資
本移動の自由
が不可欠です。
資本移動の自由を推進していくうえでは、各国の金融市場の自由化が必要になります。各国
の国内
金融市場が自由化されていないのに、他国と自由な資本の融通をできるはずかおりま
せん,
つまり、経済の流れとしては、貿易の自由化が進み、それを支えるための資本移動の
自由化をいっ
そう進めなければいけなくなり、各国が金融市場を自由化する必要に追られる
ということです。
それゆえ各国とも1980年代、1990年代に金融自由化を進めていき
ました。

第9節 「金融ビッグバどは小さなことを役人が大げさにいっていただけ

日本では1996年から2001年にかけて金融制度改革が行われました。世にいう 「金
融ビッグバン」
です。このとき、金融自由化と称して、銀行と証券の「壁」をなくして相互
参入できるようにしていきま
したが、実際には、日本には「壁」などというものは存在して
いませんでした。

なぜなら、「銀行は銀行、証券は証券」という建前はありましたが、昔から銀行は銀行系証
券を持っ
ていたからです。私は、1990年代に大蔵省証券局にいて、銀行系証券も担当し
ていましたので、そ
の実態を知っていました。

当時の旧社名になりますが、新日本証券と和光証券は日本興業銀行の系列、日本勧業角丸証
券は第一勧業銀行の系列、菱光証券は三菱銀行の系列でした。
銀行の持ち株規制がありまし
たので、実態は銀行の子会社ですが、表面的には子会社
に見えないようになっていました。
銀行は証券子会社の株式を直接保有してはいません
が、迂回して保有していました。
また、銀行から銀行系証券に天下っている人がたくさんいました。出向という形にするとよく
ないので、退職した形にしてから入るなど、かなり気を追っていました。

しかし、名前を見れば想像はつくはずです。日本勧業角丸証券には「勧業」の文字が入って
いますし、菱光証券には三菱の「菱」の文字が入っています。薄々わかっている
のですが、
お互い、その点には触れないようにしていました。
私は担当者でしたので、各銀行系証券の
役員の経歴もわかっていました。表の経歴に
は出ていませんでしたが、過去に親銀行で勤め
ていた人がたくさんいました。

それでも、銀行の人は証券参入を認めてほしいと思っていたようです。銀行の人が 「証券
業務をやりたいんです」といってきたときに、「もう、やってるじやないです
か」というと
「いや、あれを正々堂々とやりたいんです」といっていました。

大蔵省証券局の幹部の中には、銀行の証券参入という「金融自由化」を本気で心配している
人もいました。そこで、私は実態調査をして証券局の幹部に伝えました。そうすると、「あ
あ、そうだったのか。もう参入しているのか」と懸念が払拭されたようでした。銀行系証券
の実態について行政内部で共通認識を持ちました。

銀行の証券参入は単なる看板の掛け替えにすぎないことがわかっていましたので、私が証券
局を龍れたあとのことですが、銀行の証券参入が認められることになりました。もちろん、
外向けには行政がものすごいことをやったかのように宣伝し、マスコミは 「金融ビッグバン
」とか「銀行・証券の相互参入」と大々的に書き立てました。しかし、実際にはずっと前か
らやっていることなので、大した話ではなかったのです。迂回して持っていた株をダイレク
トに持てるようになったというだけです。あとは看板の書き換えです。たとえば、「菱光証券
」は「東京三菱パーソナル証券」と看板を書き換えて、堂々と銀行系列を名乗れるようにな
りました。

業界内部ではビジネスのやり方が多少変わるということはあったでしょう。銀行が傘下の証
券会社を堂々と紹介できるようになった面はあると思います。しかし、「金融ビッグバン」と
称するほどのことは何もなく、マクロ経済にはまったく影響のないものでした。
大した変更ではないとわかっているのに、一応、大手証券の人は反対しました。「銀行の証
券参入が認められたら、我々にとって死活問題だ」と人げさにいってくれたので、マスコミ
が錯覚して大々的に取り上げてくれました。役所が「改革」という言葉を使うときは、ほと
んどの場合は実質的には何も変えていません。大げさに宣伝して、やったふりをしているだ
けです。

そもそも、本当にドラスティックな改革をするのであれば、抵抗が強くて大騒ぎになります。
仮にやるにしても、実現までには相当な時間がかかります。無理にやろうとすれば、不測の
事態が起こったり、思わぬトラブルが生じたりしかねません。そうなると困るので、あまり
変化が起こらないようにやることがよくあります。何年か経つと「何も変わっていないじや
ないか」と批判を受けますが、それはそうでしょう。初めから何も大きく変わらないように
やっているのですから。

役所のいう「改革」とは、10%くらい変えて、90%は変えないものと思っておいて、ちょう
どいいくらいでしょう。役所はマスコミには、50%以上変えるかのように大げさに伝えます
ので、すごいことが起こるように思えるかもしれませんが、ダマされてはいけません。

                                   この項つづく
 

 No.188

【蓄電池事業篇:最新全固体型蓄電池製造技術

❑ 特開 2018-055898 全固体電池  

【概説】 

電池自動車等に用いられる二次電池の形状として、捲回円筒型、捲回角型、積層型等があげ
られ
る。例えば、集電体、並びに上記集電体の一方の表面に形成され正極活物質を含有する
正極活物質層、および集電体の他方の表面に形成され負極活物質を含有する負極活物質層か
らなる電極活物質層を有すバイポーラ電極と、固体電解質を含有する固体電解質層とで構成
し、この層を介し複数のバイポーラ電極を積層するバイポーラ全固体電池は、電極活物質層
が集電体の端部の内側に形成、電極活物質層の端部と集電体表面との間には集電体表面上に
形成した補強層が配置の特徴をもつバイポーラ全固体電池が開示されている。また、別の例
特許事例には、正極及び負極、並びに、正極及び負極の間に配置構成の固体電解質層の電極
体と、隣接する電極体を電気的に直列に接続する直列集電体と、隣接する電極体を電気的に
並列に接続する並列集電体と、を備える積層体を具備し、少なくとも正極、負極、及び固体
電解質層の端面に、絶縁材が配置されているが、この前者の
全固体電池事例では、強層
は、集電板の端部でコの字に形成されているため、固体電解質層中に導電性の液体が含まれ
ている場合、その液体が積層体の端部に染み出す際の短絡を防止が難しい。また、後者の
縁材層
では、並列集電体3が正極端子用集電体6や負極端子用集電体7に接続される箇所を
除く、積層体4の側面配置のため、固体電解質層中に導電性の液体が含まれている場合、同
様に、その液体が積層体の端部に染み出す際の短絡を防止することが難しい。つまり、下図
3のように、常温溶融塩を含む電解質および電極を有する電極体で積層構成、電気的な並列
接続が形成する電池ユニットを複数有し、  積層方向において、ユニットの端部には集
電体を形成、積層方向で、電池ユニットが直列に接続され、積層方向で、電池ユニットの間
に隔離集電箔が配置され、  面内方向で、隔離集電箔の端部に絶縁枠体を配置し、面内方向
で絶縁枠体が集電板の外周を覆う構造で全固体電池の短絡が防止を実現する

  特開2018-055898

❑ 特開2018-055952 非水電解質二次電池、および負極ユニット  

【概説】 

環境への負荷が少ない非水電解質二次電池携帯機器だけでなくハイブリッド自動車、電気
自動車などにも利用される
自動車用二次電池にはリチウムイオン電池が多く用いられている。
リチウムイオン電池は、充放電サイクルやコスト面の観点から黒鉛等の炭素材料を使用する
ことがよく行なわれている。しかしながら、黒鉛などの炭素材料を用いた負極活物質ではリ
チウムイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電がなされるため、最大リチウム導入
化合物であるLiCから得られる理論容量以上の充放電容量が得られない。これに対し
極活物質にLiと合金化する材料を用いた電池は、従来の黒鉛などの炭素材料を用いた電池
と比較してエネルギー密度が向上するため、車両用途における負極活物質の材料として期待
されている。例えば、従来から存在する負極は、SiなどのLiイオンを吸蔵・放出する粒
子と黒鉛材料を含有する炭素粒子とで構成される。

このように、Si系負極活物質と炭素材料との混合物を負極活物質として用いた非水電解質
二次電池用負極について研究を進めると、場合によっては非水電解質二次電池のサイクル耐
久性が低下してしまうことを突き止める。耐久性を向上させうる手段として、負極活物質層
の最大圧縮歪みを大きくするような黒鉛系負極活物質を用いて負極を構成することで、非水
電解質二次電池のサイクル耐久性を飛躍的に向上させることが可能となることを見出したも
のの。黒鉛系負極活物質を用いて負極を構成すると、優れたサイクル耐久性が得られる一方
で、レート特性が大幅に低下することを発見。このように、Si系負極活物質と炭素材料と
の混合物を負極活物質として用いた非水電解質二次電池用負極において、レート特性の低下
を抑制しつつ、サイクル耐久性を向上させうる手段――下図3のように、非水電解質二次
100は第1の黒鉛系負極活物質を含む負極30aと、第2の黒鉛系負極活物質を含む負
極30bと、を有する。第1の黒鉛系負極活物質は、負極30aの負極活物質と同じ組成を
有する厚み66μmの活物質層が厚み10μmの銅箔で挟持されてなる積層体に両側から
1.0MPaのまでの圧縮力を印加した際の最大圧縮歪みが15%よりも大きくなる黒鉛系
負極活物質である。第2の黒鉛系負極活物質は、ラマンスペクトルにおける第1周波数バン
ドDと第2周波数バンドGのピーク強度の比であるD/G比が0.2より大きい。

【特許請求の範囲】

  1. 正極集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極および負極集電体の表面に負
    極活物質層が形成されてなる負極を、電解質層を介して積層した単電池層を積層して
    なる発電要素を有し、

      前記負極活物質層は、下記式(1):
        α(Si系材料)+β(炭素材料)    (1)
    (式中、炭素材料は、黒鉛系活物質を含み、αおよびβは前記負極活物質層における
    各成分の質量%を表し、80≦α+β≦98、0.1≦α≦40、58≦β≦97.9
    である。)で表される負極活物質を含有し、
    前記発電要素に含まれる複数の前記負極
    は、第1の黒鉛系負極活物質を含む第1負極と、第2の黒鉛系負極活物質を含む第2
    負極と、を有し、
    前記第1の黒鉛系負極活物質は、前記第1負極の負極活物質と同じ
    組成を有する厚み66μmの活物質層が厚み10μmの銅箔で挟持されてなる積層体
    に両側から1.0MPaまでの圧縮力を印加した際の最大圧縮歪みが15%よりも大
    きくなる黒鉛系負極活物質であり、
    前記第2の黒鉛系負極活物質は、ラマンスペクト
    ルにおける第1周波数バンドDと第2周波数バンドGとのピーク強度の比であるD/
    G比が0.2よりも大きい、非水電解質二次電池。
  2. 前記第1の黒鉛系負極活物質が人造黒鉛であり、前記第2の黒鉛系負極活物質が天然
    黒鉛である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記第1負極は前記第1の黒鉛系負極活物質を含み前記第2の黒鉛系負極活物質を含
    まず、かつ、前記第2負極は前記第2の黒鉛系負極活物質を含み前記第1の黒鉛系負
    極活物質を含まない、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記第1負極は、前記単電池層の積層方向において中央部に配置される、請求項3に
    記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記第1負極および前記第2負極は、複数の前記単電池層において交互に配置される
    請求項3に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記第1負極は、前記単電池層の積層方向において少なくとも一方の端部に配置され
    る、請求項3に記載の非水電解質二次電池。
  7. 少なくとも一つの前記負極は、前記第1の黒鉛系負極活物質と前記第2の黒鉛系負極
    活物質とを混合状態で含む、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  8.  少なくとも一つの前記負極は、前記第1の黒鉛系負極活物質と前記第2の黒鉛系負極
    活物質とを積層状態で含む、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  9. 定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの
    積)の比の値が10cm3/Ah以下であり、定格容量が3Ah以上である請求項1
    ~8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池に用いられる複数の前記負
    極からなる負極ユニットであって、前記第1負極および前記第2負極を含む、負極ユ
    ニット。  

全固体型二次電池の技術革新もすさまじい勢いで進んできているようにみえる。今夜記載考
察できなかったこともあり残件扱いとする。
   
                                この項つづく

 

【風力発電事業篇:スコトランド海洋で世界最強風力タービン設置】

4月10日、欧州海洋風力発電センタ(EOWDC)のバッテンフォールは、8.8メガワット
級世界最強の風力タービン1基をスコットランドのアバディーン海洋風力発電所へ設置完了
(計画11基)したことを公表。バタンフォール社によると、8基の8.4MWモデルを9基
搭載と並行して2基のアップグレードタービンを加えEOWDCの発電能力は93.2MWとなり、
アバディーンの需要の70%超を達成、年間134,128トンの二酸化炭素を削減できるだ
けでなく、2030年までに
英国、スコットランド両国の数千人の雇用を創出し、スコット
ランドの製エネ需要の50%の供給を実現する。


 European Offshore Wind Deployment Centre - Vattenfall

【バイオ燃料事業:キノコ廃棄物からバイオ燃料】



食油や菜の花からバイオ燃料、あるいは特殊な藻からも燃料化できることも周知のこと。さ
らに遺伝
子を改変してバイオ燃料できることも。もっとも後者は環境紊乱リスクをともなう。
この間亡くなった宇宙物理学者ホーキンス博士も懸念していた。さて今日届いた新聞では、、
シンガポール国立大学の研究グループがキノコの廃棄物
から単離されたThermoanaerobacterium thermosaccharolyticum (TG57)という自然発生細菌が、セルロース(植物由来物質)をバイオ
ブタノールに直接変換できることを突き止めている。この発見は、現在
まで、バイオブタノ
ールの商業生産は、セルロース系バイオマスをバイオ燃料に変換する能力のある微生物の欠
如によって妨げられてきたが、
その重要性に加えて、TG57株の発酵プロセスは単純であり、
微生物の複雑な前処理または遺伝子改変は必要とされないというもの。これは注目に値する。



 Science Advances  23 Mar 2018:Vol. 4, no. 3, e1701475 DOI: 10.1126/sciadv.1701475

 

 

  ● 今夜の一曲

『豆桜』 (2016.12.14)作詞:喜多條忠/作曲:岡千秋/編曲:蔦将

城之内 早苗(じょうのうち さなえ、1968年5月17日 - ):歌手、タレント、女優。
本名、木村 早苗(きむら さなえ)旧姓、城之内。おニャン子クラブ時代の愛称は、
お城(おじょう)。

富士のふもとに咲<花は
うす紅化粧の豆桜
富士がきれいに見られるように
背丈かがめた富士桜

わたしあなたの腕の中
あなたの夢をじゃませぬように
ちょっとかがんでついてゆ<

白い湯煙見上げてる
箱根桜も豆桜
谷の深さも苦労の山も
覚悟承知の恋だから
わたしあなたの腕の中

二人の夢を叶えるまでは
耐えて咲きます豆桜
わたしあなたの腕の中
あなたの夢をじゃませぬように
ちょっとかがんでついてゆ<

  

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花ぞ昔の香に匂ひける

2018年03月29日 | デジタル革命渦論

 

     
                                       

5 兵 勢

十の力を持つ者をただ十人集めただけでは百の力にしかならないが、これに「いきおいをつ
ければ、二百にも三百にもなるであろう。静を勣に、「形」を「勢」に転化させるに
はどう
すればよいか?

正攻法と奇策の組合せ

たくさんの兵士を、小人数のようによく管理するには、いくつかの部隊に分けることだ。
くさんの兵士を、小人数のように一体となって戦わせるには、指揮系統を確立することだ。
さらに、全軍が敵の出方に対応して絶対不敗の優位を保つのは、変幻自在の戦術あればこそ
である。
石で卵を砕くように、戦えばかならず勝つという戦闘の要諦は、「実」すなわち充
実した戦力をもっ
て「血」すなわち手薄な敵を撃つことに尽きる。

実をもって庖に勝つのが、戦争の常道(正)である。そしてこの常道は、個々の場面に応じ
た縦横の
戦術(奇)となってあらわれなければならぬ。このような変幻自在の戦術は、天地
のように終わりがなく、大河の流れのようにつきることがない。日月のように況してはまた
あらわれ、四季のように去ってはまた訪れる。

音階の基本は、宮・商・角・徴・羽の五つにすぎないが、これをいろいろに組み合わせれば
、数えきれぬ変化が生ずるではないか。色彩の基本は、青・赤・黄・白・黒の五つにすぎな
いが、これをさまざまに組み合わせれば、数えきれぬ変化が生ずるではないか。味の基本は、
辛・酸・(かん)・甘・苦の五つにすぎないが、これをとりどりに組み合わせれば、数え
きれぬ変化が生ずるではないか。同様に、勝敗の帰趨を決定する要囚は「正と「奇」の両者
があるだけだが、その変化は無限である。「正」は「奇」を生み、「奇」はまた「正」とな
り、円環さながらに巡なってつきないのが、奇正の変化なのである。

奇正の変 基本の応用による無限の変化という考え方は、創造の本質をついているといっ
     よかろう。
 


【下の句トレッキング:花ぞ昔の香に匂ひける】

人はいさ 心も知らずふるさとは花ぞ昔の 香(か)ににほひける   紀貫之

あなたは、さあ、心変わりしておられるかどうか分かりませんが、昔なじみのこの里では梅の花が昔
と変わらずによい香りを漂わせて咲いていることだ。

You may have changed your mind for all I know, but the plum blossoms of this village are
blooming with that same heavenly scent of long ago.



       
 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか  No.26   
     

 ● 対談6 新しい現実をつくる   

『地域の再生エネルギー資源を活かし、地に足のついた経済力を育む』   

  加藤憲一小田原市長 

1964年神奈川県小田原市生まれ。京都大学法学部卒業。経営戦略コンサルティング会社
民間教育団体、農業、漁業、商業ビル企画管理、地域シンクタンク代表などを経て、200
8年5月より小田原市長。小田原の「恵まれた資源を活かし、地に足のついた経済力を育み
たい」とし、市民と事業者と
の意見交換会を行ない、お互いの理解を深めながら、さまざま
な再生可能エネルギーの導入促進事業の立ち上げを目的とし、取り組み全体を小田原市がバ
ックアップする官民協働の組織団体である「小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会」
を立ち上げた。

もっと節電できる

加藤 普通に考えたら明らかですけれどね。ですから、たとえば、ここの空調にしても、電
力を使って劾かすいろんなメカニズムにしても、少なくとも20年ぐらい前まではなかったも
のです。それを思えば、節電の効率とかは格段に上がってますよね。原始時代に戻るとかと
んでもないことがいわれてますけど、2割、3割くらい電力を使わない状況であっても十分
にやっていける。ちょっと我慢すればよいだけです。その代わり生活の工夫をしていく、そ
れも楽しみながらやっていくというなかでクリアできると私は思っています

鈴木 この間、目本の電気の需給の数字を時系列的に見ていたんですね。そうすると、いま
から20年ほど前、1991年か、92年くらいの、バブルがはじけるころですね、あのときか
ら比べると’日本の電気の需要量は3割増えているんです。じゃ、その時代に電気がなくて
困っていたかというと、皆さん、ジュリアナ東京で踊ったり、バブルで浮かれていたわけで
すから、けっして電気が足りなかったということはないわけで、それではなんで電気の使用
量が増えたのかということをもう一度考えてみる必要があ
ると思います。

そういうふうにしていくと市長さんがおっしゃるように、まだまだ電気を含めたエネルギー
の賢い使い方があると思いますし、私どもの工場も去年の夏に15パーセントの節電をしな
さいという義務を負わされたんですが、15パーセントなんていっていないで20パーセン
トとか、25パーセントをやってみようというのでやってみました。そうしたら、ピークの
電力使用量と総電力使用量と両方の目標が見えてきて何とかできたんですね。そこで実感し
たのは、企業ですから電気はコストで、それまでにも「節電、節電」といってきたのに、ま
だまだ甘かった。もっと節電できるなということを感じました。

といっても、中小企業の私たちのような会社はなかなかやりづらい。大企業の場合は社員に
そういう専門のスタッフがいたり、専門の部署とかがあって節電や省エネが進んでいるので
すが、中小企業だとそういうスタッフを置いたり部署を設けたりはできないからやりづらい。
半面、やってこなかったから節電・省エネの余地は大きいわけで、家庭を含めると、皆さん
が知恵を出してやったらI割、2割の節電は割合たやすくできてしまうと思います。

加藤 今度、事業化していく再生可能子年ルギー協議会は3つの柱を掲げていて、メインの
桂が再生可能エネルギーを限りなく自給できるようにする。つまりエネルギーをつくること
ですね。2つ目がエネルギーを賢く使っていく、節電ですね。これは発電とセットでやって
いかなければ意味がない。セットでやっていかないとエネルギーのほんとうの意味での重要
さというのは、なかなか私たちにはわからない。あとで反省して節電するくらいなら最初の
段階でやったほうがほんとうの意味での節電じゃないかという発想で、2割、3割の節電は
可能だと私は思っています。

3つ目が発電と節電の双方を市民が主役になって進めていく。小田原電力に投資するもよし、
参画するもよし、ただ、それで終わててしまうのではなく、暮らしの中で節電していく。飯
田哲也さんは「子不ルギーについての自治力」といっていますが、まったく同感です。食べ
物を自分たちでつくるようにエネルギーも自分たちでつくっていく。食べ物を地産地消する
ように子不ルギーも地産地消する。いのちを支える自分に必要なものは自分の手の届く範囲
で私たちがコントロールできる手段で置いておくというのが、一番よいやり方だと考えてい
ます。

鈴木 いま、市長のいわれたことは、原発事故があって電気が足りなくなったから、地元で
つくるんだという、そういう単純な話ではなくて、地域を構成する要素がいろいろあるなか
で、エネルギーもその1つという考え方で一貫していると理解しました。そうしますと、あ
るべき地域の姿というのが描き出せると思います。

加藤 おっしゃるように、そこは構想がはっきりしていまして、もともと、このあたりは江
戸時代は小田原藩、小田原を含めた神奈川県西部ということで、丹沢、箱根、富士山の地下
水、そして酒匂川という水でつながった水系の地域圈として、ある意味独立していたわけで
すね。結論からいうと、私はこの地域をエネルギーを含めていのちを支えるのに必要なもの
を自給できる地域圈にしていきたいわけです。そういった自給地域圈で日本を構成していく
かたちが一番安全だと私は考えます。

鈴木 たくさんの小さな地域圈がつながっていく、そういうイメージですね。
加藤 そうです。いま、日本の自治体は平成の大合併などのために1700~1800くら
いに数が減っていますが、自治体の境目でとらえるという意味ではなくて、人が生きていく
ために必要な素材をまとめて持っている地域をつくっていく。小田原の場合は酒匂川、箱根
山、丹沢山塊、その周辺に展開する農地とか、なりわい、そういった、人が生きていくうえ
で必要なものをすべてこの地域で持っている。厳密にいうと地域の田圃で人口40万人を養
えるかという問題があるわけですが、気持ちとしてはそういうつもりで、このなかで、いの
ちを支えるのに必要なものは地域のなかで自分たちでしっかりつくっていく。これが持続可
能な社会の一番の根本だと考えます。

小田原の取り組みを「日本再生のさきがけ」にしたい

鈴木 お話をうかがっていますと、そういう食べ物とか、エネルギーとか、いわゆる物質的
なものだけではなくて、自分のふるさとというか、自分のふるさとへの思いとか、そういう
ものを言葉の端々から感じるんですが、そのへんをもう少しくわしくお聞かせ願えますか。

加藤 私は市長になる前から「自主独立、自給自足の経済文化圏」というフレーズを使って
いました。食べ物とか、エネルギーとか、暮らしを支えるものだけではなくて、私たちは自
分たちのマインドであったり、アイデンティティであったり、地域への思い、こういうもの
があって生きてきたわけでして、こういった精神的基盤は自分たちが必要とするだけでなく、
次の世代を育てるうえでなくてはならないものだと思っています。ですから、教育において
も、福祉についても、自給的に自分たちでやっていくんだという思いで私は取り組んでいま
す,

鈴木 ということは、そういったことがよくいわれる持続可能な社会、いのちをつないでい
くふるさと、それらを次の世代につなげていく使命を担った日本人でありたい、そういうこ
とになるのでしょうかね。
加藤 結局、こういう時代になって、国の財政は言うに及ばず地方の財政も逼迫して、硬直
化しています。いわゆる「公」がすべてを単独でやれるという時代は完全に終わっているわ
けです。いろんな課題を前向きに乗り越えていくには、どうしても一人ひとりの国民や市民
が動いていかないといけない。やむにやまれずやるというよりも、もっとプラスの思考で自
分がやって当然のことというマインドがなければ、これまで万人ひとりのなかで眠っていた
力を引き出すことはできないだろうと思いますね。そういう意味でもエネルギーの自給はけ
っしてハードルは低くないので、それを前向きに受けとめて、これまで一人ひとりのなかに
眠っていた力を引き出すのにとても適したテーマだと思います。ハードルが高ければ高いほ
ど乗り越えたときに備わる力は傑出したものになるはずですから。

鈴木 みんなが成長する絶好のきっかけになりますよね。そのなかで地方というか、地域の
問題としてはお金がない、だから何かやるときには国とか、県とかから補助金、交付金をも
らわないとできないという、そういうことがよく見受けられます。たとえば原発の仕組みを
みても、電気料金とか、税金から吸い上げられて何かよくわからないところに使われていく。
地域はお金が欲しいからやりたくないことも引き受けていく。そういうことがあったような
気がするんですよ。

原発が一つの典型かもしれないし、それ以外の関係でも国が上にいて、地方が下にいてとい
うパターンを崩していかないと、市長がおっしやるようにほんとうに地域が自立して元気に
なるときはなかなかこないような気がします。だからといって、国と喧嘩をする必要はあり
ませんが、これからどうしていくかという観点からみて、国と地域の関係はどうあるべきな
んでしょうか。

加藤 ここ最近の政治の局面がまさにそのあたりの問題を露呈しているわけですけれども、
かつて、お上が強かった時代、すなわち封建時代には自治を各藩のお殿様、幕府でいうと将
軍がやって、領民は年貢を納めていたわけですけれども、日本の場合はそういう関係がずう
っと続いてきて、結局、国も地方に対しては上位意識が非常に強く、地方のなかでも役所は
市民に対して上位意識を持つ、そういう構造だったような気がします。 

経済が成長に向かっている時代は号令で動いていけばよいわけですが、いまは完全に遂って
きているので、一昔前の条例や制度や仕組みは破綻していますし、福祉にしてもそうですし、
環境保護でも、課題を解決できるのは地方の現場でしかないんですね。答えを見つけるのも
現場でしかない。と、なると、現場が自分たちで解決するという意識を持って立ちまわって
、そこで得られた解決策を遂に国が統合して共有するシステムを構築して、ボトムアップで
この国の問題を解決する局面をつくり上げていかないといけない。民主党が掲げた地域主権
はまさにそれをやらなければいけなかったと思うんですが、不発でした。

私としてはそういった状況を安閑として見ているわけにはいかないので、自分たちでやれる
課題に果敢に取り組んでいるわけです。ただ、残念ながら自分たちの財源には限りがあるも
のですから、自分たちで積極的に解決策を実践して、「こういうことについてお金を使って
ちょうだいよ」ということを遂に国へ提案して制度をつくっていく。こういう手順で進めな
いと、特に再生可能エネルギーのようなテーマは経済界がこぞって疑問を呈しているだけに、
国も、ともすればまた遠ざかっていくのではと思ってしまいます…….。



鈴木 そうでない経済界もありますよ(笑)。
加藤 確かにそうですが、いっとき脱原発依存といってくれた国が、またぐらつきだしまし
た。それじゃいけないという認識なり現実をわれわれの民意として示さないといけない。国
と地方の関係をすべからく地方から国へという逆の流れにしていく。地域の現場の取り組み
が先にあって政府がつくる制度があとがらついてくるというようにしないと必ず方法を間違
えると思う。借越ながら、そういう思いで小田原の取り組みを「日本再生のさきがけ」にし
たいと思っています。

鈴木 たぶん、市長と同じような思いというか、同じような考えを持っている首長さんが全
国にいらっしゃるわけですね。そういう方たちとうまいところでうまい具合に連携を取って
いくということも必要なのではないでしょうか。それがめぐりめぐって国を動かしていく力
になるように思います。この間も脱原発の首長さんが集まった会議がありましたが、そうい
う連携をきっかけに脱原発以外のテーマにまで幅を広げるという方向も考えられると思いま
す。

加藤 もともと、いろんな取り組・みの切り口に応じて関係する首長が連携するというのは
大事なことだと思うんですが、最近、そういう面では先鋭化しています。たとえばエネルギ
ー問題でいえば、先はどの脱原発を唱える首長会議は、もともと、この分野で活動してきた
湖西市の三上市長とか、国立市の元市長だった上原公子さんとか、何人かの人が中心になっ
てつくりましたけれども、このように同じような思いを持っていらっしゃる首長さんはかな
りいると思います。

私どもは福島第一原発の直接のお膝もとの福島県内の首長さんたちとは比べるべくもありま
せんけれども、同じような痛みをもって参加させていただいています。そして、解決の手段
を市民の方々が考えて動いてくださっておりますので、そういうなかで「脱原発、脱原発」
というだけではなくて、「であるならば、どうすればよいか」という対案をつくる。このこ
とにおいて、われわれは連携しないといけませんし、いい意味で競っていかないといけない。
そういう関係をつくっていきたいと思っています。他の分野、たとえばまちづくりという面
では、最近、よい意味で40代の首長が当たり前になってきましたね。

鈴木 そうですね。神奈川県は多いですね。30代の市長さんも生まれましたしね。
加藤 完全に競い合ってます。いい意味で競い合って、先ほど申し上げた地域の現場からこ
の国の解決策を提示し合っていく。だれかがこうしたらいいんじやないかと言ったら、即、
いただく。組めそうだと思ったら、すぐ組む。そういうことが距離に関係なく頻繁に行なわ
れているんですね。

鈴木 いま、市長の言われた首長さん同士の切磋琢磨、あるいは協力のネットワークという
のは、まさに経済界でエネ経会議が担いたいと思っていることなんですが、そうした観点か
らエネ経会議にアドバイスをお願いします。
加藤 最近、私が懸念しているのは、あれだけ多くの割合で国民アンケートで民意がはっき
り示されているのに、それを認めようとしない人たちがかなりの割合でいるということです。
民意はいのちと親和性のある、将来まったく危険のないエネルギー源を求めているんですよ
。ただ、それにブレーキをかけているのが残念ながら経済界の方々なわけです。エネ経会議
の鈴木さんを目の前にしてもうしわけないのですが、そういわざるを得ないのです。もちろ
ん、エネ経会議の経営者の皆さんは、その方たちと同じ立場でやっておられるし、ちゃんと
民意に沿った主張をしていただいているわけですが、そうでない経済人のほうが圧倒的に多
い。

いのちが危険にさらされているなかでは、経済もなにもないということを私たちは理屈ぬき
に実体験しましたし、多くの市民もまた実際にそう思っているんですね。ところが、この国
の仕組みを変えていくには、どうしても経済が伴っていかないと実現しないわけですから、
まだまだ難しい構造のなかでご苦労があると思いますけど、エネ経会議の皆さんが「脱原発」
の声を上げた意義は大きいと思います。

それだけに粘り強く押していただきたいですね。ほとんどの国民は脱原発を願っているんで
すが、ほんとうにそうなるのかなという思いもあるわけです。そうした思いを乗り越えてい
くためには于不ルギー自給のための方策、なかんずくそれをベースにした経済活動の確立が
求められる。そこがエネ経会議の皆さんのご協力に期待するところです。

鈴木 小さいからというよりも、小さいがゆえにできる利点があると思うんです。市長がお
っしゃるように、たくさんの地域が連なるのと同じように、小さな実践を無数に積み重ねて
いけば、いつしか大きな力になっていくと思います。そういう小さな循環を無数に生み出し
たいですね。
                                  この項つづく                            
                                                 
 

 No.179

 【ソーラータイル篇  :シャープ 単結晶6インチサイズで 20.09 %達成

3月27日、久しく話題から遠ざかっていった同社だが、シャープは、6インチサイズの単
結晶シリコン太陽電池セルにおいて、世界最高の変換効率25.09% を達成したことを公表。
同社
の高効率な太陽電池モジュール「BLACKSOLAR(ブラックソーラー)」のバックコンタク
ト構造(下図)と、単結晶シリコン基板の表面にアモルファスシリコン膜を形成するヘテロ
接合の技術を融合した「ヘテロ接合バックコンタクト構造」により、単結晶シリコン太陽電
池セルの高効率化を実現。この
太陽電池セルは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NE
DO
)が実施するプロジェクト「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」の
一環として当社が開発し、電気安全環境研究所(JET)が変換効率を測定。そして、太陽電池
のさらなる高効率化と発電コストの低減に取り組み、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献
して行くとの決意を掲載している。

   Mar. 28, 2018

【原発200基分!ソフトバンクとサウジが21兆円の太陽光発電計画】

3月28日、総額21兆円、世界最大級の太陽光発電事業が明らかになる。日本のソフトバン
クグループが、石油依存からの脱却を目指すサウジアラビアが進める計画に全面的に協力。

ソフトバンクグループの孫正義社長は27日、サウジアラビアのムハンマド皇太子とアメリ
カで会い、世界最大規模の太陽光発電計画を共同で進めることで合意。
ソフトバンクによる
と計画では2030年までに総額2000億ドル、日本円にして21兆円を投じてサウジア
ラビアの各地に太陽光発電所を建設する。
発電能力は合わせて2億キロワット、原子力発電
所およそ200基分に相当する規模になるということです。中東のサウジアラビアは石油に
依存した経済からの脱却を目指して、王位継承者のムハンマド皇太子が構造改革を進めてい
て、今回の太陽光発電の計画もその一環。
ソフトバンクグループとしては、サウジアラビア
の政府系ファンドから出資を受けて設立した10兆円規模のファンドから1000億円余り
を拠出する予定で、国家的なプロジェクトをともに進めることで関係をさらに強固なものに
したい考え。このニュースは世界的にも反響を呼び起こしている。

 Mar. 29, 2018

サウジ皇太子「大胆かつリスクも」

ソフトバンクグループとの間で合意した世界最大級の太陽光発電計画について、サウジアラ
ビアのムハンマド皇太子は、27日、「とても大きな一歩だ。大胆かつリスクもあるが成功
に至ることを期待したい」と述べている。同国々
営通信は、今回の計画を通じて10万人の
雇用を国内に生み出せる伝えており、ムハンマド皇太子が経済改革を加速させる成果とし
て、その意義を強調したいものと見られている。

【温泉の未利用熱で100kW級のバイナリー発電、静岡県】


3月19日、IHIプラント建設は、JXTGグループのJX金属が静岡県下田市に建設した下田温
泉バイナリー発電所向けに、同社として商用第1号機となる100キロワット級バイナリー発電
装置「HEAT INNOVATOR」の引渡しを完了したことを公表(上写真)。
同発電所は、源泉か
ら湧出する110℃の温泉水を熱源として利用し、発電装置で使用される冷却水には井戸水を
用いるなど未利用エネルギーで発電を行う。最大出力は110kW(発電端)で、発電した電力
はJX金属が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で全量を売電する。同装置は、
温泉水や地熱の有効利用だけでなく、各種エンジン排熱・排ガス、工業炉・焼却炉・化学プ
ラントなどの産業排熱、バイオマス燃料などの再生可能エネルギー熱源など多様な熱源に対
応する。

また、同装置の作動媒体は電気事業法の小型バイナリー発電の規制緩和対象となる不活性ガ
ス(HFC-245fa)を採用していることや、120~200℃の熱源を対象とした高温機と80~120
の熱源を対象とした低温機の2機種のラインアップをそろえ、熱源に適した機種選定が可能
なことが特長となる。
さらに、発電機本体は摺動部がないオイルフリー磁気軸受を採用し省
メンテナンス性を向上した他、発電装置モジュール内にタービン発電機、作動媒体循環ポン
プ、蒸発器、インバータ、制御盤がコンパクトに配置され省スペース化を図ったとする。同
社では、今後も同製品の温泉水や地熱の有効利用向けとしての採用を中心とした受注拡大に
向けて営業活動に取り組み、再生可能エネルギーの活用による地球環境負荷低減への貢献を
目指す。

 

【ソーラータイル事業篇:テスラ社の最新ルーフトップ型太陽電池導入】

 ステラ社のテクスチャー付ルーフトップ型太陽電池(約2200円/平方フィート×9.8
5キロワット×30年保証)が設置されたことを公表(上写真)。これで、ソーラータイル
の世界普及が始まるか?勿論!

 
【桐から家をつくり森から電気をつくる】

慌ただしさが加速している。そこに、バイオマス燃料化に関する問い合わせの電話が届き、
どのようなものか調べたうえで相談に応じたいとの旨を伝える(非キルン型で二重流動層型
であることがわかる)。明日、バイオマスボイラーの仲間の相談する。そんな中「FFE&KIR
I
総研株式会社」(上図)の存在をネットで知る。長野の業者で桐製品(住宅)販売会社だが
バイオマス発電も行っているが、親戚で檜専門の製材店営んでいることを思いだしちょっと
触手が動いた。それにしても流動層は活性炭の容態吸着除去装置と関わった経験程度しかな
いのだが。

 

 

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ひとり戦略のトランペット

2018年03月27日 | デジタル革命渦論

 

     
                                        

2 軍 形

形式というものは、何らかの作用をもたらすためにあるのであり、固定してしまっては用を
なさない。水のように相手に応じて変化し、大きなカを発揮する-無形の形、それが軍形の
理想なのである。

軍 事 力

戦略には五つの要素がある。第一に国土の面積、第二に資源、第三に人口、第四に軍事力、
第五に
勝敗である。地勢に基づいて実質的な土地の広狭が決定される。土地に基づいて資源
の多寡が決まる。
資源は人口の多少を決定する。人口は軍事力の基礎である。そして軍事力
の強弱によって勝敗が決定
されるのだ。彼我の力役の差が、鎰(重さの単位)をもって錬(
沿の約五百分の一)に対するようであれば、必ず勝つ。
逆に鋒をもって温に対するようであ
れば必ず員ける。
戦上手は、満々とたたえた水を深い谷底に切って落とすように、蓄積され
た力足を最大限に発揮す
る。熊侍をととのえるというのは、まさにこのためなのである。

     
 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか  No.25   
    

 ● 対談6 新しい現実をつくる   

『地域の再生エネルギー資源を活かし、地に足のついた経済力を育む』  



加藤憲一小田原市長

1964年神奈川県小田原市生まれ。京都大学法学部卒業。経営戦略コンサルティング会社
民間教育団体、農業、漁業、商業ビル企画管理、地域シンクタンク代表などを経て、200
8年5月より小田原市長。小田原の「恵まれた資源を活かし、地に足のついた経済力を育み
たい」とし、市民と事業者と
の意見交換会を行ない、お互いの理解を深めながら、さまざま
な再生可能エネルギーの導入促進事業の立ち上げを目的とし、取り組み全体を小田原市がバ
ックアップする官民協働の組織団体である「小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会」
を立ち上げた。

小田原でもエネルギーの会社が具体化

鈴木 今日は神奈川県小田原市の市長加藤憲一さんにアドバイスをお願いしました。ほんと
うにお忙しいところ、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

加藤 とんでもないです、こちらこそ。
鈴木 もちろん、私は小田原市民ですので、関わらせていただいているのですが、いよいよ
小田原でもエネルギーの会社が具体化します。もともと市長は子不ルギーのことを
以前から
唱えてこられたわけですが、昨年、2011年の19一月に行政と民間が共同で再
生可能エ
ネルギーの事業化を検討する協議会をつくれという号令をかけてくださって、
それで協議会
が立ち上がって、いま、半年を経て動き出してきたわけですけれども、ま
ず、そのへんのと
ころから。

加藤 はい。まず、エネ経会議の世話役代表として、鈴木さんが全国を股にして駆けまわっ
ていることに心から敬意を表したいと思います。


鈴木 ありがとうございます。
加藤 会社を立ち上げるに至った思いというか、経緯ですが、振り返れば「3・11」のあと、
原発から300キロ離れている小田原が直接被害を受けた事実が何点かあります。1つが計
画停電に伴う地域の、特に観光産業、製造業にまつわる経済的大打撃。小田原かまぼこの会
社がその最たるものですが、地域を代表する産業の操業が事実上停止に追い込まれる。また
、観光業、宿泊施設をも含めて、売り上げが8割減、9割減ということで、箱根・小田原に
は人がこないという状況でした。いまの電力需給網に不備なり致命的な欠陥があった場合に
は、経済がとまるということをまともに実感させられてしまったわけです。もう一つは何と
いっても地元の代表的ブランド足柄茶から放射性セシウムが検出されてしまったということ
。日々、口から入るお茶から検出されたことはたいへんにショックでありまして、当時、生
産者は安全を保証する目的で自主的に検査を行なっただけに、余計、ショックが大きかった
わけです。

 飯田哲也メッセージ

鈴木 念のためにと受けた検査でしたね。
加藤 そうなんですよ。いずれにしても、私たちが享受してきたエネルギー体制から被害を
受けたということが、いろんな意味で見直しの出発点になりました。いまは再生可能エネル
ギーといわれますが、前はクリーンエネルギーと呼ばれていて、市長になる前から私は飯田
哲也(環境学者、環境エネルギー政策研究所所長)さんの言動に注目して、実際にヨーロッ
パの脱原発事情を視察してまいりましたし、震災前からクリーンエネルギー導入の可能性を
探っていたんですね。

今回、こういった事態を受けて、もう、これはいよいよ自給をしていかなければいけないん
だと決意して、飯田哲也さんに小田原市長の私のアドバイザーになっていただいて、3月こ
ろから練り始めたんですが、彼もなかなか忙しくて、直接会えだのが5月で、7月に小田原
で市民に公開した報告会を開きました。
そこで、環境エネルギー政策研究所の飯田さんから「小田原電力というのを立ち上げたらど
うですか」というお言葉をいただいたので、「それだ」ということで、私もそうですし、そ
れまで一緒に勉強してきた市民の有志の皆さんもわが意を得たりということで、そこからパ
ワーアップしたわけです。まちづくり学校という昨年度(2011年度)から小田原市が始
めた事葉なんですけれども、新しい公共の担い手をつくる必要があるということで、市民の
皆さんと一緒に学習しながらやっております。その公開講座の第1講のテーマに再生可能エ
ネルギーの自給を掲げて勉強したあとですね、12月に、これもたまたまですけど、東日本大
震災がくることを予想して呼んだわけではないんですが、環境省から職員を招聘してました
(2011年中)ので、彼から国の情報を得ながら再生可能エネルギーの地域自給の事業化
の支度ができました。そういったことを大きなテコにして12月に協議会が立ち上がったわけ
です。ちょっと長くなりましたが……。

鈴木 加藤市長にとっては、「3・11」が非常に大きなきっかけにはなったわけですが、
それ以前から当時の言葉でクリーンエネルギーを地域で自給していくことに強い関心をお待
ちでした。加えて、「3・11でいろんな事実が露呈して、一気に計画が進んだ、こういう
ことだと思います。クリーンエネルギー、再生可能エネルギーというのは、水力を除くと全
体のIパーセントもないじやないか、こんなものはオモチャみたいで未来永劫に頼りになら
ないという議論があるわけですが、地域で再生可能エネルギーをつくっていくというなかで
、そのへんのチャレンジというか、可能性についてどのようにお考えですか。

加藤 北欧の再生可能エネルギー先進国を見れば明らかですが、再生可能エネルギーが全体
の1パーセントにすぎない原因は、保存している自然エネルギーを活かす手立てが本格的に
導入されていなかったというだけのことにすぎません。コストが高いという議論もあります
が、導入が進むにつれてコストは低くなりますし、小田原周辺には海があり山があり、山か
ら入ってくるさまざまな流れがあり、また豊かな農業用水があります。豊富な地熱もありま
す。日照もふんだんにあります。
こんなにめぐまれたところはないだろうと私どもは勝手に思ってますけれども、要はこれを
本気になって利用する気があるかどうかということだけだと思います。いま、鈴木さんがい
われた議論は導入しないための理由づけに言われているにすぎないと思います。前向きにや
っていけば再生可能エネルギー先進国のレベルに追いつくのは間違いないと信じています。

鈴木 いろんな議論のなかで、とにかく、日本は資源がないんだ、だから、どうしても化石
燃料に頼らざるを得ない、化石燃料に頼ると温暖化になるから代わりに原子力が必要なんだ
そんなことがいわれてきたわけですが、いま、市長が言われたことからすると、「資源がな
い」ということは「資源として見てなかった」ということになるわけですが、海も山も川も
ある、小田原の場合には箱根という温泉地もある、それらをエネルギーの資源として見て活
用していこうという努力も姿勢もなかった。それが改まれば十分に可能性があるということ
ですね。

加藤 ただ、活用するにしましても、太陽光発電は以前より下がったといいましても、まだ
かかる費用は割高ですし、小水力発電にしてもある程度の落差が必要ですし、風力について
もいろんなデータが出ておりますけれども、いずれにしましても、短期での事業性というこ
とにこだわったら導入できないので、先を見据えつつも果敢に足を踏み入れていく、投資を
していくという姿勢が必要だと思います。これまでは短期ペースの採算性を理由にして予算
化の段階ではじかれてできなかったんですけれども、この局面で国は前向きに転じましたし
、ここは5年後、10年後を見据えて先行投資をしながら、確実に再生可能エネルギーの供給
量を増やす方向へ具体的に踏み込むときだと思います

鈴木 私ども経営者としまして、会社のコストは常に頭にあることですが、発電にかかるコ
ストだけはクエスチョンマークが多くて、確かに太陽光発電にしても、他の再生可能エネル
ギーにしても高いといういわれ方をしているわけですが、それでは、それに代わるものだと
いわれている原子力発電は安いのかと考えたときに、確かにいまの請求書だけみれば安いの
かもしれないけれど、使用済み核燃料の問題とか、バックエンド(核燃料サイクルの終末過
程)の問題まで含めて考えると、ほんとうに安いのか、このへんはちゃんと数字を出して議
論をして、経済的な観点でもう一回検討する必要があるのではないでしょうか。

加藤 ここは浜岡原発から近い場所ですから、ひとたび何かあれば、たいへんな影響が及び
ます。シミュレーションなどによると、首都圏に直結する場所ですから、われわれが暮らす
富士箱根経済圏にはとても人がこられる状態ではなくなってしまう。そういう逸失利益を考
えていくと計り知れない代償ですから、安全性の確保というか、保証のための手立てはコス
トという枠に到底収まらないと思います。

鈴木 会社の経営でいうリスクマネジメントで考えると、この夏、大飯原発が動いた(20
12年8月15日)わけですが、「動かさないで頑張ってみる」というリスクと、「動かして
万が一のことがあった」ときのリスクがあるわけです。市長がおっしゃったように、万が一
福島第一原発のようなことが起きてしまったら、たぶん、この国は駄目になるし、世界的に
信用を失墜するだろうし、このリスクと夏の間だけエネルギーの使い方を工夫してちょっと
努力を強いられるリスクと、どっちを取るかということになると思います

                                   この項つづく



【エネルギーの肝:
エネルギー理論限界効率】

 

  No.178

【エネルギータイル無人機検査篇:インテル社がドローンでソーラーパネルを検査】

Intel社は、ドローンサービスの提供を間もなく日本でも開始する。同社の日本法人インテル
は2018年3月22日に東京都内で記者説明会を開催し、Intel社のドローン事業について戦略な
どを含めて説明した。同社
のドローン事業部でマーケティング責任者を務めるCindy Ng(シ
ンディー・ウン)は、提供を開始する時期こそ明確にはしなかったものの、日本で認証を取
得の最終調整を行っているさなかだと説明し、うまくいけば今後1カ月以内には取得できる
見込みがあるとした。
価格などの詳細は未公開。



日本でドローン事業を展開する際は、パートナーの選択が重要になると強調し、どのような
サービスプロバイダーと組むのが適切なのかを検討していく。同社は、日本のドローン市場
について、2018年には8億4000万ドル、2022年は20億ドルを超える規模になるという予測を
紹介。太陽光発電パネル検査農作物検査などの分野に注力する。具体的には、ドローン事
業で注力するのは、建設、公共事業、農業、石油/ガスの4つの分野である。Ng氏は、建設
分野でIntelのドローンが使われている事例として、ドイツにある15世紀に建設された大聖
堂の保全プロジェクトを紹介した。ドローンによって大聖堂の天井や屋根を点検することで、
足場を組む時間やコストを削減できる。



【蓄電池事業篇:電動車用の中古電池で照らす街】

日産が初代リーフを発売したのは2010年12月。その後、2017年10月に全面改良を果たしたこ
とで、中古車市場には初代モデルが潤沢に出回っている。今回は、使い込んだ初代モデルの
電池を活用する見通し。同モデルが搭載するリチウムイオン電池の容量は24kWhで、192個
のセルで48個のモジュールを構成している。街灯11基あたりにこのモジュールを2個使う
とみられる。その場合、電池容量は1kWhほどになる。


日産は、近い将来、バッテリーの多量生産、多量廃棄という問題に直面することが予想され
るとし、電池の再利用に力を入れてきた。その中核となるのが、今回の街灯の製造を担う関
連会社、フォーアールエナジー(4R ENERGY)である。同社は日産と住友商事の合弁会社
で、資本金は約7億7千万円。出資比率は日産が51%、住友商事が49%である。2014年
11月には、同じくリーフの中古電池を複数組み合わせた容量400kWhの蓄電池システム構
築し、日産の研究開発施設にて試験的に稼働させている。


【量子ドット工学講座 No.52:高効率太陽エネルギーデバイス技術】

 事例研究:
US 9373734 B1  High-efficiency solar energy device

【概要】

太陽エネルギーの広大で無尽蔵の資源をを捕捉利用は、主要焦点である。化石燃料費の上昇
化石燃料埋蔵量の枯渇、代替エネルギー源の刺激策によってさらに優先さている。高効率の
太陽エネルギー半導体デバイスの創出は、この天然資源を最大限活用できる再生可能エネル
ギー移行プラットフォームを提供する。

さて 半導体ベースの太陽電池デバイスの実現には、いくつかの技術的課題が存在する。例
えば、動作バンドギャップエネルギー範囲を拡張があり、バンドギャップエネルギーと組み
合わせるソーラーデバイス設計は、光子変化速度を配慮し、半導体材料の最適選択し、可能
な限り広いバンドギャップ範囲に集中させる、最大の範囲のフォトニックエネルギーを収集
し、さらに粒界特性の改良が要求される。またこれらのデバイスは熱応力を受け材料粒の歪
み抑制が不可欠となる。2つの粒子間の粒界は、結晶サイズの改善や材料強度の最適で、光
子収集能力であるエネルギー効率の最大化を実現するシステムおよび方法――下図のような
多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)材料とインジウム、ガリウム、アルミニウム
および窒素(InGaN、またはInAlN、またはInGaAlNを含む組合せの合金)を含む高効率太陽
電池であって、カーボンナノチューブ、量子ドット、および波状または不均一な表面形状の
うちの1つ以上を含む材料から構成された強化層が提案がなされている。

Mar. 20, 2018 (Jun. 21, 2016)

図4 本件の一実施形態による例示的な単一接合太陽電池の概念断面図
図5 同上の一実施形態による典型的な二重接合太陽電池の概念的な分解断面図

本件の一態様によれば、基板と、窒化インジウムガリウム(InGaN)からなる活性層、また
は窒化インジウムアルミニウム(InAlN)からなる少なくとも一つの活性層、またはインジウ
ムガリウムアルミニウム窒化物(InGaAlN)からなる少なくとも一つと活性層のと、多面体オ
リゴマーシルセスキオキサン(POSS)材料;少なくとも1つの活性層への光子伝播増加の
収増強層とを含む。
基板は、非限定的な例として、炭化ケイ素(SiC)、サファイア、窒化ガリウム(GaN)また
は窒化アルミニウム(AlN)などの材料を含むことができる。 InGaNまたはInAlNまたはInGa
AlN
活性半導体層は、特定の重複エネルギーバンド内の光子エネルギーを吸収して、UV範囲
内の光子エネルギー吸収を増加させる。
POSS材料は、InGaNまたはInAlNまたはInGaAlN合金に導入され、光電流エネルギーフローを
改善し、合金転位を減少させ、結晶粒界を整列させ、合金強度を増加させる。
InGaNまたは
InAlNまたはInGaAlN活性層は、より均一で対称な活性層を形成するためにPOSS材料を含め
ることによって有利に再構成することができる。

吸収促進層は、活性層の上面に配置され、その上に構成されたカーボンナノチューブ(CNT
および/または量子ドットを含むことができる。


1Aおよび図1B、太陽スペクトルに対する測定されたInGaN合金バンドギャップグラフ

 
図2、シリコン半導体の縦軸に沿った粒界拡大図
図3Aおよび図3Bは、カーボンナノチューブ「フォレスト」を形成する単層カーボンナノチ
ューブおよび複数のカーボンナノチューブの拡大図


 

図6、本件の一実施形態の突起状ノジュールの形成例示的半導体ベース層の拡大概念図
図7 本件一実施形態の太陽電池の製造方法の一例を示す概念的な工程フロー図



図8 潜在的トンネル接合が識別されるInGaNまたはInAlNまたはInGaAlN多接合セルのシミ
ュレートバンドプロファイル
図9 実施形態のInGaN、またはInAlNまたはInGaAlN多重接合セル効率に結びついた、期待さ
れる少数キャリアの寿命グラフ
図10、InGaNまたはInAlNまたはInGaAlN多重接合セル利用の可能のある格子不整合の図示チャ
ート

【特許請求の範囲】

  1. 太陽電池を形成するために有用な半導体構造であって、基板と、POSS材料を気化させ
    た後に少なくとも1つの活性層の粒界を整列させるために、InGaAlN粉末と、InGaAlN
    粉末に霧化された多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)材料との均質な化合
    物から形成された少なくとも1つの活性層と、少なくとも1つの活性層への光子伝播を
    増加させるための吸収増強層とを含む
  2. 前記少なくとも1つの活性層は、前記InGaAlN粉末1重量%~10重量%のPOSSを添加
    することによって形成される、請求項1に記載の半導体構造
  3. 前記吸収増強層は、前記少なくとも1つの活性層の表面上に配置されたカーボンナノチ
    ューブ(CNT)および量子ドットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半
    導体構造
  4. 前記基板は、その上に形成されたノジュールを含み、前記少なくとも1つの活性層は
    前記基板上に均一に配置されて波状層を画定する、請求項1に記載の半導体構造
  5. 前記吸収増強層は、前記少なくとも1つの活性層上に形成され、第2の起伏層を画定す
    る、請求項4に記載の半導体構造
  6. 前記少なくとも1つの活性層が、約0.7電子ボルト(eV)から3.4eVまでのバンドギャッ
    プにわたって光子吸収を可能にするようにドープされる、請求項1に記載の半導体構造
  7. 前記吸収増強層は、前記少なくとも1つの活性層の表面上に配置されたカーボンナノチ
    ューブ(CNT)を含む、請求項1に記載の半導体構造
  8. 前記CNTが単層CNTを含む、請求項7に記載の半導体構造
  9. 前記CNTが、前記少なくとも1つの活性層の表面に対してほぼ垂直に配向されている、
    請求項7に記載の半導体構造
  10. 前記吸収増強層は、前記少なくとも1つの活性層の表面上に配置されたカーボンナノチ
    ューブ(CNT)および量子ドットを含む、請求項1に記載の半導体構造
  11. 前記吸収増強層は、前記少なくとも1つの活性層の表面上に配置された量子ドットを含
    む、請求項1に記載の半導体構造
  12. 前記少なくとも1つの活性層は、正にドープされたベース層と、負にドーピングされた
    エミッタ層とを含む

 

 ● 今宵の一曲

『トランペット協奏曲』(Concerto per il Clarino変ホ長調

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1796年に作曲した楽曲。
ハイドンが一連の交響曲、弦楽四
重奏曲などの大作をほとんど書き終え、オラトリオやミサなどに取り組んでいた晩年の作品
の一つであり、最後に作曲された協奏曲でもある。
1800年3月28日にウィーンのブルク劇場
で初演されたが当時は不評に終わった。1929年にようやく出版された。それ以降、今日では
トランペット奏者の主要レパートリーとなっている。

アリソン・ルイーズ・バルサム(Alison Louise Balsom, OBE, 1978年10月7日 - )は英国のト
ランペット奏者。8歳でトランペットを始め、10歳の時ホーカン・ハーデンベルガーの音色
に魅了されてソロ演奏家を目指す。ヨットの名手でもあることがプロムス司会者のクライヴ・
アンダソンによって紹介。
1998年BBC主催の「ヤング・ミュージシャン・コンペティション」
のファイナリストとして注目を集め、2000年モーリス・アンドレ国際コンクール「最も美し
いサウンド」部門でプルミエ・プリ受賞。2006年にクラシック・ブリット賞(最優秀若手演
奏者)、グラモフォン賞(クラシックFMリスナー賞)を受賞。2009年にはクラシック・ブリ
ット賞(女性アーティストオブザイヤー)を受賞し、BBCプロムス最終夜コンサートのソリ
ストを務めている。現在ロンドン・チェンバー・オーケストラで首席トランペット奏者、ギ
ルドホール音楽学校のトランペットの客員教授に就任している。
2005年NHK交響楽団サマーコ
ンサートに出演。2006年に収録されたアッパークでのサロンリサイタル、2009年のプロムス・
ラストナイトが放映された。



● 今夜の寸評

あの名門のロイヤル・ダッチ・シェルは2070年までに脱化石燃料計画(スカイシナリオ)
を公表し、国内では森友学園問題-公文書改竄で揺れている。この2つの新聞は時代の転換
を象徴している。 共生と民主制の新たな局面にどう行動するが問われているわけで、アリソ
ン・バルサムを聴きながら、今夜もまた「ひとり戦略のトランペット」を
吹き続ける意味を
確認することとなった。

  

コメント
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今夜もテクてんこ盛り

2018年03月24日 | デジタル革命渦論

 

     
                                        

2 軍 形

形式というものは、何らかの作用をもたらすためにあるのであり、固定してしまっては用を
なさない。
水のように相手に応じて変化し、大きなカを発揮する-無形の形、それが軍形の
理想なのである。


攻撃と防禦

敵に乗ずる隙を与えないで、逆に敵が隙をみせるのを待ちうける、これが戦上手の戦法であ
る。こ
ちらの態勢が万全であれば、敵は攻めようとしても攻められないし、逆に敵が態勢を
崩せば、こちら
は攻勢に転じることができるからである。したがって戦上手は、敵の態勢が
万全で、乗ずる隙がない
ときは、自軍の態勢を万全にするだけにとどめて、むりに攻勢に出
ることはしない。自軍の態勢が有
利であっても、それが直ちに勝利に結びつくわけではない
のだ。

いったい防禦と攻勢とは一連の動作であって、敵に乗ずる隙を与えない段階が防禦段階であ
り、敵
が隙をみせた段階が攻撃段階である。つまり、防禦態勢をとるのは、こちらが劣勢で
ある場合であり、攻勢に出るのは、こちらが優勢である場合である。したがって戦上手は、
自軍が劣勢である場合には、兵力を巧みに隠蔽して敵につけこむ余地を与えないし、こちら
が優勢である場合には、すかさず攻勢に出て敵をうちのめす。こうして、自軍は無傷のまま
完全な勝利を収めるのである。

※まずは、戦端展開論が説かれていく。
 

     
 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか  No.24   
    

● 対談5 新しい現実をつくる   

『ネイチャー・テクノロジーで未来を拓くパラダイムシフトを』  

  石田秀輝 東北大学教授工学博士

1953年岡山県生まれ。2004年㈱-NAX(現LIXIL)取締役CTOを経て現職。
ものづくりのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。2004年から
は、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものづくり「ネイチャー・テクノロジー」を提唱。
また、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の人材育成や、子どもたちの環境教育に
も積極的に取り組んでいる。ネイチャーテック研究会代表、NPO法人サステナブル・ゾリ
ューションズ理事長、ものづくり生命文明機構理事、アースウォッチ・ジャパン理事ほか。
著書に『ヤモリの指から不思議なテープ』(アリス館/2011)『未来の働き方をデザイ
ンしよう』(日刊工業新聞社/2011)『自然に学ぶ!ネイチャー・テクノロジー』(
akkenMook/2009)『地球が教える奇跡の技術』(祥伝社/2010)など多数。

自然をベースにしたテクノロジーを持つ日本人

石田 2つ目の切り口ですが、考えるに、いま、ネガティブな話をしているのは、第二次産
業、第三次産業だけだということです。第▽次産業の方々というのは年収200万、300
万でも、いつもニコニコしている。幸せとはこういうことじゃないですかね。私たちはいつ
も第二次産業、第三次産業と比較して何かをいうのに、どうして第T次産業と比べないのだ
ろう? と不思議に感じます。

鈴木 鋭いご指摘です。いわれてみれば、おっしゃる通りです。
石田 第一次産業の人は年収2、300万なのに、何であんなに幸せそうなのか? それを
私たちはもう一度考え直さないといけない。一つは定年という概念です。第二次産業と第三
次産業は定年を勝手に決めてしまっていますが、第▽次産業は一生働ける。現役として働け
なくなっても、程度に応じてそれなりにやれる仕事があるわけですね。足りないところはだ
れかが助けて穴埋めする。ところが、第二次産業、第三次産業には定年という仕切りがあっ
て、期限を過ぎると「あなたは仕事をする価値がない」と決めつけられてしまう。いろんな
ことをたくさん知って蓄積があるはずなのに価値がないとされてしまう。どうして、そんな
システムをつくったんだろう。そのシステムはもともと終身雇用を前提としたものでした。
いまは終身雇用が崩れたのに定年だけがあるわけです。これでは楽しくないですね

鈴木 実に鋭いご指摘です。
石田 定年を迎えて「これでやっと楽しく人生を送れます」なんて言われると、われわれと
しては学生に教えたのは何のためだったんだという話になります。二次産業と二次産業のも
っとも違う点は、二次産業はワークとライフが重なっているのに対して、二次産業は別々に
なってしまフていることです。欧米から輸入した言葉で、仕事と生活の調和することをめざ
す「ワーーク・ライフ・バランス」という言葉がありますけれど、日本はもともと二次産業
でワーク・ライフ・バランスがきれいにできていたんです。それなのに欧米型の企業経営を
取り入れて、どんどん離れてきて、ワークはワーク、ライフはライフに分離してしまい、定
年になるとライフだけに偏ってしまう。これではどっちもストレスがたまります。

鈴木 私なんかは同族会社の経営者ですから、どこまでがライフで、どこまでがワークかわ
からないところがあります。
石田 だから、それが大事だと思うんです。

鈴木 そういうふうな暮らし方をしたほうが、見方によっては「幸せかな」と思います。
石田 私が「中小企業の人が何とかしなければ」といっているのは、まさにそこで、仕事を
しているオヤジの姿を家族がいつも見ているとか、それだけでライフのなかのワークの価値
観が変わってきます。ライフのなかのオヤジの姿とワークのなかのオヤジの姿が、「あ、仕
事でも同じようなことをやっている」みたいな感じでオーバラップしていく。

鈴木 社会全体がそうなったら世の中は劇的に変わるでしょうね。私は江戸時代からつづく
かまぼこ職人の家庭に育ちました。先代や先々代の働く姿を思い返すと、けっして仕事は楽
ではなかったわけですが、それを苦痛とするどころか、イキイキとして、取り組んでいたよ
うな気がします。 
昔の日本人は仕事をつらいと感じるより夢中になるくらい愛していて、働くこと自体に意味
があって、生きていくうえで欠かせないものでした。ただ、経営者の一人としての反省は、
世の中の経営者の大部分が高度成長のときには働かせるだけ働かせて従業員にケアをしなか
ったこと。そこに労使間に溝が生じた原因の1
つがあるのではないでしょうか。本来、労働
は日本人にとっては美徳だったわけですから、それを取り戻す必要があると思います。

石田 まさにその通りです。歴史上からみて、日本と欧米ではワークーライフ・バランスは
生い立ちからして違うわけです。産業革命が最たるもので、イギリスの産業革命は資本を集
約していかに働かないで結果を出すかという考えで、それが大量生産に結びついたわけです。

それに対して日本は、1633年に家光が第一次鎖国令を出して、それからずっと内需だけ
で食っていくためにたいへんな努力をつづけてきて、1800年ころ、ようやく内需だけで
暮らせるようになりました。内需だけで暮らしたときの稲作の収穫量というのは1970年
代の東南アジアと同じなんです。とてつもない収穫量です。そのために何をやったかという
と、もちろん、耕せるところは耕して、最後は棚田までつくって、それでも不足したために、
最後の最後は馬や牛の代わりを人間がやるわけです(労働集約型産業革命勤勉革命)。日本
人になぜそれができたかといったら、結局、欧米では神様は天にいて物は地上にいるけれど
も、日本は物も神様も地上にいる。

鈴木 だから、それがありかたい、と思うわけですね。
石田 馬や牛の代わりをして泥にまみれて朝早くから日が暮れるまで、休まず働くことをあ
りかたいと思う、そういう概念をつくり上げてきたわけです。それがあるからこそ、次に「
もったいない」という概念が生まれてきて、働くことは美徳という道徳ができあがるわけで
すね。それをわれわれはずうっと引きずってきているわけです。それは悪いことかといった
ら、そうではなくて、結局、一生懸命ものをつくる、必死でつくる、精魂込めてものをつく
る、つくったものは長く大事に使う、長く大事に使うためには「見えないところほど魂を込
めろ」といわれたように本物の仕事をして、けっして手抜きをしない。壊れたら修理をする、
すなわち、つくるだけでなく修繕、メンテナンスまで一貫したシステムができあがっていて、
それが柳宗悦のいう「用の美」につながってくるわけですから、部分だけ見ないで全体とし
て見れば素晴らしいわけです。柳宗悦のいう「用の美」の概念こそがいまの日本の産業を支
えているわけです。

ひところ、欧米のアナリストが全国紙のコラム欄に日本の品質管理のレベルの高さについて
「どうしたら、あれはどの品質管理がやれるのか」と嘆息まじりに賞賛する一文を寄稿した
ことがありましたが、伶人されたテクノロジーを使っても根底に「口本の美」「江戸の意気」
があるから、欧米の産業が束になっても日本の品質管理には歯が立たなかったのだと思いま
す。


鈴木 日本の歴史にはそれだけのものが埋もれているわけですね。それを知らないでいるこ
とは、それ自体が和幸ですね。
石田 実は心豊かに暮らしながら、自然観を失わず、産業革命に成功した民族がいます。日
本人です。世界で唯一、日本人だけが自然をペースにしたテクノロジーを持つことに、
成功
しているのです。自然と決別することによって成功した英国の産業革命から生まれたテクノ
ロジーと比べると違いがはっきりします。自然観を失わなかった日本のテクノロジーは大量
生産大量消費に向かいませんでした。

どこに向かったかというとすべてエンターテイメント、「遊び」という心、すなわち「意気」
を極めるためのテクノロジーを目指したのです。たとえば「旬」も同じです。初鰹のように
初物に値を張る気っ風のよさは食べ物から季節の便りを感じ取る感性の賜物で、すなわち「
江戸っ子の意気」です。秋ナスとか、寒ブリとか、味や噛みごたえ、香りのほかに季節感を
味わいたしなむ。器の美、盛り付けの美、すべて遊び心、意気からくるものです。味につい
ても醤油の味付け、味噌の味付け、塩味など、そして煮たり、焼いたり、さまざまなバリエ
ーションを自然の恵みだけで割出し、体系化した。

こうした意気をペースにしたライフスタイルというものは、自然を活かした命をつなぐテク
ノロジーになっていきます。産業革命以降の地下資源型テクノロジーが世界を席巻するまで
は、あらゆるテクノロジーは自然の循環の恵みをいかにうまく活用するかということがすべ
てでした。命の連鎖の一つの仕組みのなかにあったわけです。ところ、地球には本来存在し
ない地下資源型テクノロジーがその連鎖を切断する道具となって世界を席巻し、地球環境を
劣化させることとなってしまったわけです。もちろん、地下資源型テクノロジーのすべてを
否定するものではないとしても、原子力は地中から地上に出してはいけないものの最たるも
のかもしれません。

鈴木 産業革命を歴史の分水嶺、区切りとする見方は実に斬新です。地下資源と地上の然資
源という分け方も新しい哲学を感じさせます。
石田 これまで申し上げてきた通り、本来、人間らしく生きるためには豊かさが必要で、そ
れに必要なテクノロジーやシステムを考えねばならないはずなのに、豊かでなければ人間ら
しく生きられないとする人間優位から生産優位の概念をつくり上げてしまって、これが分断・
対立・競争の原理を生み、これを基盤として社会構造やシステムができあがってしまいまし
た。人間らしく生きるための原理は連帯・参画・共同を原点とする、すなわち、つながりの
原理なのです。いのちのつながりをあおるテクノロジーが生まれなければならない時代にわ
れわれがいることを、そして、あらゆるものがつながりを持つことの重さを、それこそが地
球環境の劣化を停止させることができることをいま一度考えなければならないと思います。

                                   この項つづく

  No.176

【ソーラータイル事業篇:太陽光と蓄電池で自立するソーラースタンド導入】

3月15日、
ソーラーフロンティアは、自社のCIS薄膜太陽電池を活用した「ソーラースタンド
」が、このほど、東京都府中市と国立市に採用されたと公表。
このソーラースタンドはCIS
薄膜太陽電池とLED照明機器、携帯充電機器に加え、蓄電池ボックスを組み込んだ完全な独
立電源タイプの街路灯。太陽光発電の災害対応利用を検討していた両市に、ソーラーフロン
ティアが提案したという。府中市では西武多摩川線多磨駅のロータリー内と府中市郷土の「
森博物館」内の2カ所に、国立市では、北第一公園、谷保第三公園、矢川上公園、第三中学
校に各1本の合計4本を設置。設置場所は、公園や学校、駅ロータリーなど、災害時における
近隣住民の避難場所や避難経路となる地点であり、災害時には特に非常電源としての機能が
期待される。ソーラーフロンティアは、今後も全国の自治体や企業を含む事業者に対し、CIS
薄膜太陽電池の活用ソリューションを提案する方針。

 
 【水力発電篇:スマートハイドロ――水深10センチの水路でも発電】

3月15日、 鉄建建設は新型タービンを利用した小水力発電装置を開発したと発表。小さ
な農業
用水路やトンネルの湧水を排出する中央排水溝など、水量の少ない場所でも発電でき
現在、茨城県石岡市の農業用水路で実証を行っている。全国で既設の農業用水路などに小水
力発電を導入する事例が増えている。売電目的だけでなく、電力を確保しにくい山間部など
で、農作物を守る電気柵や、雨量などの計測装置の電源として利用したいというニーズもあ
る。だが、小規模な農業用水路や中央排出溝の場合、十分な水量・流速が得られず、導入を
断念するケースもある。

 Mar. 20, 2018

そこで鉄建建設では、NewAct、あき電器、久力製作所の技術協力を得て、こうした水量の少ない場
所でも効率よく発電できる小水力発電装置の開発に取り組む。 開発した小水力発電装置の核とな
るのが、新開発のタービンだ。回転体の周囲に水流によって開閉する16枚の可動翼が付いている。
この可動翼は、上流側では水流を受けて開き、水のエネルギーを受け止めるようにしてター
ビンを回
転させる。反対に、下流側に移動すると水流を受け流すようにして閉じる。石岡市
の農業用水路で行っている試運転では、集水加導水路による流速2.0m/sの条件の下で、最回
転度60rpm(1分当たり60回転)で、発電出力9.6ワットを確認。発電した電力は、イノ
シシによる田んぼへの鳥獣被害対策として設置した全長2.2キロメートルの電気柵用の電力
に利用。この他、河川の水位計測データや、リアルタイム動画の送信といった防災用途にも
向く。
鉄建建設では現在この小水力発電装置について特許出願中、実用販売の可能性も検討忠。

Mar. 23, 2018

❦ 関連特許:特開2015-072009 羽根構造体及び発電システム

【概要】

この知財はもともと風力発電用として降参されことのほかメカニック。従来より、風力発電
用の風車として、回転軸が垂直方向に延びる垂直軸風車や、回転軸が水平方向に延びる水平
軸風車が知られている。また、垂直軸風車には、羽根に発生する抗力が風車の回転力となる
抗力型(例えば、特開平2001-211569参照) 羽根に発生する揚力が風車の回転力となる揚力
型が含まれる。サポニウス型風車や自転羽根式風車などの抗力型の風車は、構造が簡単で、
発電装置部分などの機械部分が低位置にあるため点検や修理がしやすく、低風速から始動可
能であるなどの特性を持つ。
このように抗力型の風車や水車よりも、さらに回転力を増大させるため、下図のように羽根
構造体2は、流体の力である流力を受ける複数の羽根22と、羽根22を支持すると共に、
流力に対して垂直方向に延びる回転軸周りに回転可能な支持部材と、回転軸周りに所定の回
転角度TZだけ、羽根22を自由回転させる羽根回転機構とを有するようにした。これによ
り流力を使って羽根を流力の方向へ傾斜させ、羽根の対称性を崩すことができ、羽根に発生
する抗力を大きくできるようにしている。

 

【符号の説明】

1  発電システム  2  羽根構造体  3 中心回転軸  4 発電装置  21 中心孔 2、122、
190、290、390、490、590、690:羽根  23、123 羽根回転軸  24、124:角度調整部
25 中心支持体  26  上下面  27 上下面  102、102X、102Y、202、202X、202Y、
202Z  羽根構造体 103  中心回転軸  123 羽根回転軸  126、127 上下面  130 調
整リング  150  エアタンク  193 反力受面  194 流力受面 295、295a、295b 突出
部  TZ   :回転角度

地産木材のみを使うバイオマス発電所、国内初のペレット工場も併設
くしま木質バイオマスは、串間市で建設を進めている「大生(おおばえ)黒潮発電所」の竣
工式を3月24日に開催する。国内初(洸陽電機調べ)のペレット工場を併設した小規模木質
バイオマス発電所となる。

【ネオコンバーテック篇:単層CNT薄膜の特異な光吸収特性を発見】

3月16日、首都大学東京の柳和宏教授らは、一方向に配向した単層カーボンナノチューブ
CNT)薄膜を作製
し、高密度にキャリアを注入制御したところ、単層CNT軸の垂直方向に
新たな光吸収が生じることを発見、
新型の半導体レーザーやフレキシブル熱電変換素子の開
発につながる可能性が高い。下図のように、
半導体量子井戸におけるサブバンド間のプラズ
モン吸収と同様なものとみている。ただ、一般的な半導体量子井戸におけるサブバンド間の
プラズモン吸収は、1~10meVの遠赤外光/中赤外光領域で生じる。
これに対し今回は、1eV
の近赤外光領域で生じた。従来の千倍に相当するエネルギー領域。このことは、1ナノメー
トル程度のCNTサイズにおいて、量子閉じ込めの極限状態にあるプラズモン吸収を見出した
ことになる。将来は、CNTを用いた量子カスケードレーザーへの応用も可能とみている。さ
らに、配向CNT薄膜の熱電特性を解明することによって、フレキシブル熱電変換素子の実現を
目指す考えである。

 
 Mar. 18, 2018

 

● 今夜の寸評:IBM 10セントチップスの衝撃

1つの塩粒よりも小さいコンピュータ。IBMは1ミリメートルのサイズ世界最小のコンピ
ュータ――僅か10セント以下のコストで製造可能人間の目で確認できないフットプリント
に数十万個のトランジスタをパック、百万個ものトランジスタ――を開発したことを公表。

 

上の64個のマザーボードのセットの写真は、LED通信ユニットと光検出器、スタティック
ランダムアクセスメモリ(SRAM)、統合型光電池が含まれる世界界最小の2台のコンピュ
ータを搭載する。さらには、「改ざん防止デジタル指紋」と定義されている暗号のアンカー
または暗号アンカーを、真正性を保証し偽造品を検出するために製品に組み込み5年後の市
場を睨んでいる。1個10円30銭ですか。40年間『デジタル革命渦論』を唱えてきた者
として感慨ひとしおな宵のひとときを味わっている。

※SourceThe ‘World’s smallest computer’ could be manufactured for under 10 cents | Inhabitat -
Green Design,
Innovation, Architecture, Green Building

  

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湖底に大量核廃棄物

2018年03月08日 | デジタル革命渦論

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

         ※ 悪口:貉稽(はくけい)がこう言って訴えた。「わたしは何かにつけ
       人から中傷されて困ります」

       孟子は言った。
「そんなことを気に病むことはない。俗物どもに悪口
       のひとつも言われぬようでは、むしろ士ではな
いのだ。。悩みはたえ
       ず 小人どもの悪口にかかるゆえと詩経にうたわれている。孔子のば
       あいが
これだった。また、俗衆の非難はたえず されど誉れはとこし
       えにともうたわれている。文王ののばあいがこれだったのだ。

      ※ 少ないほどよいもの:徴税には、織物税、年貢、労役の三種がある。
       君子はそのうち一つだけを徴収し、あとの二つはごく軽くする。二つ
       を徴収すれば餓死者がでる。三つともとりたてれば一家離散だ。

     ※ 三つの宝:諸侯には宝が三つある。土地と人民と政務とである。宝石
       だけを宝と思ってい災難がぶりかかる。

      ※ 来たる者は拒まず:孟子が滕の国へ出向き、迎賓館に泊まったときの
       ことである。館の人が作りかけのわらじを窓ぎわに置きっぱなしにし
       ておいた。それが不意になくなり、探してもみつからなかった。「お
       見事です。あなたのお伴の方もやりますな」
       ある男がこう言うと、孟子は、「連中がわらじを盗むために、わたし
       について来たと思っているのですか。あるいはそうかも知れません。
       わたしは弟子をとるとき、去る者は追わず、来たる者は拒まず、とい
       うことにしています。学ぶ意志さえあれば、だれでも弟子にしていま
       す」
 

 

 

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.14   
 

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』   

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活
動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランスト
ン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・
シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996
年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子
力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導
で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに
住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』
(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネ
ルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  使用済み核燃料問題から考える

 鈴木 今日はお忙しいなか、お時間をいただきましてありがとうございます。
 河野 とんでもない、こちらこそ、よろしくお願いします。

 鈴木 河野さんは「3・11]」以前から原発の危険性、いろいろな問題点について指摘を
 されてきたわけですが、恐れていたことが「3・11」に続く福島第コ原発事故というか
 たちで実際に起きてしまいました。いま、どのようにお感じになっておられますか。

 河野 もともと日本の原子力は石油を補完するということでスタートしました。ウランは全
 量輸入ですし、石油と同じで年数にかぎりがありますから、ウランを燃やした使用済み核燃
 料を再処理してプルトニウムを取り出して、高速増殖炉をつくって、プルトニウムを増やし
 ながら発電するのだから、電力は2000年は大丈夫という絵を描きました。
 ところが、50年の歳月と2兆円以上の全をつぎ込んだ高速増殖炉は政府の一番楽観的な見通
 しでも2050年まではできません。最初から高速増殖炉でプルトニウムを増やすんだとい
 っておりましたから、使用済み核燃料はイギリスとフランスヘ持っていって再処理をして、
 プルトニウムをどんどん取り出していて、日本が持っているプルトニウムはトータルで45ト
 ン、アメリカの核弾頭に積んであるプルトニウムが38トンですから、それより多いプルトニ
 ウムを持っています。でも、「もんじゅ」はとまっていて、高速増殖炉は早くても2050
 年まではできません。じやあ、45トンものプルトニウムはどうするのか。それから、プルト
 ニウムを取った残りのゴミは最終処分地が決まりません。

 これは何万年という長い期間にわたって人類から隔絶しないといけないというくらい放射能
 が強いものです。さらに原発から出てくる使用済み核燃料もプールに入れて冷やしているわ
 けですが、プールがいっぱいになりつつあります。3月10日の時点で「あと10年くらいしか
  持たない」「あと10年で原子炉はとまるよ」という状態でした。つまり、全部のステージで
 問題です。だからコ院、立ちどまって考え直さないと行き詰まりますよ。
 そういうことをずっと申し上げてきたところに「3・11」が起きました。安全だといわれ
 た原子炉が事故を起こして、爆発までして、それで、みんな目が覚めたというか、お金を握
 らされて黙っていたマスコミも、もはや、黙っていられなくなって報道するようになって、
 世の中にこの問題がインプットされるようになりました。特に核のゴミは使い始めたときか
 ら何万年も「この放射能どうするの」という問題があるけれど、技術が進歩したら何とかな
 るさと思っていて、いまだにこれがどうにもならない。何とかなるではなくて、何とかなら
 ないかもしれないから、いま、打てる最善の手は何だろうということをきちっと考えなけれ
 ばならなくなりました。

 鈴木 何とかしないといけないと思いますが、いまだにどうにもならないことを認めていま
 せんね。「もんじゅ」にしても、高速増殖炉にしても、勤きますということを前提にしてい
  ます。
 河野 そうですね。核のゴミも処分地は何年に決めますという目標はありますけれども、も
 はや、それには問に合わないというタイミングになっていますし、余っているプルトニウム
 もどうしていいかわからない、高速増殖炉は目標では2050年までにと言ってますが、そ
 れまでにできるとはだれも思っていない。ぎりぎりまで「できます、できます」と言ってお
 いて、いざ、ぎりぎりになったら「ごめんなさい」という「できない体質」みたいなものが
 ある。

 鈴木 世の中の常識としてできないことを「できるかもしれない」と言って放っておいて、
 将来の世代に先送りしてしまう。責任ある大人のやることではありません。
 河野 そうですね。特に核のゴミの処理には何万年もかかるものですが、10万年前といった
 ら人類もいなかったわけですし、10万年後も日本列島が今のかたちをしていることは、たぶ
 ん、ない。それなのに、何万年という気の遠くなるような長さの話を普通にしているという
 こと自体、ちょっと大丈夫かなと思ってしまう。

 鈴木 フィンランドのオンカロという原子力廃棄物処理施設を取り上げたドキュメンタリー
 映画『100、000年後の安全』では廃棄物が埋められていることを10万年先の人類にど
 うやって伝えていくか、科学者が一生懸命説明しようとしている、笑えないブラックユーモ
 アというか、観ていて背筋が寒くなりましたね。
 河野 フィンランドはそこへ哲学者や宗教家、いろんな人を入れて、「ほんとにどうする?」
 という議論をかなりオープンにやっています。ところが、日本の場合は専門家といわれる、
 いわゆる「原子カムラ」と鄭楡される住民ばかり集めて「なんとかなります」という結論だ
 けを外に出してやってきました。




  なぜ原発を続けていく必要があるのか

 鈴木 どうして、それまでして原発を続けていかなければならないのでしょうか。
 河野 スタートは石油ショックなんです。石油一本足では不安だというので原子力をスター
 トさせたんです。そこは問違っていなかったと思います。
 あのころ、太陽光とか、風力といってもサイエンス・フィクションみたいなものでしたから。
 ただ、高速増殖炉が20年後にできるはずだったのが、いつまでたってもできない。計画がど
 んどん後ろへ押していく。その一方、原子力の発電所をつくらなければいけなくて、そこに
 どんどんお金が流れ込んで、利権化してしまいました。つまり、スタートはよかったんだけ
 れども、だんだん状況が変わってきて、状況の変化に合わせて政策を変えるべきなのに、ま
 ったく変えられなかった。
 今度はその利権を守るために、「原子カムラ」と呼ばれる構造体ができて、外の人間にはわ
 からないようないろんな文書をつくって、自分たちの既得権を強引に守ろうとしたのが現実
 で、そこに手を入れるはずの専門家もムラの一員、経産省も天下りでムラの一員、マスコミ
 も広告宣伝費でムラの一員になりました。こういう構造になってしまったんです。

 鈴木 本来なら、そういう原子カムラがあったとしたなら、いろんな利害関係が存在するわ
 けですから、政治がそこにきちっとしたメスを入れて判断をしないといけないわけですね。
 河野 中曽根さんの強いりIダーシップでやろうよということで始まった。ところが、途中
 でおかしくなって「どうする」となったとき、実は政治も電力業界からお金をもらっており
 ました。当時の野党は電力の労働組合からも票をもらっていました。結局、関係の深い議員
 ぱ原子カムラのなかにいて、むしろ、政治が原子カムラを護送船団で守ってしまった。そう
 いう体制を与党としてつくってきたのは自民党ですから、自民党として真摯に反省しないと 
 いけないし、なんでそうなったかを点検しないといけないと思います。政治が見ていて「こ
 の選択はズレてきた」と思ったときにとめて点検をするという機能が働かなかったのが現実
 であり、残念です。

 鈴木 自民党時代もそうであったように政権が民主党に代わってからも、私たちからは見え
  ないことが多い。スタートで働いたりーダーシップが、「どうする」となったとき働かない
 のはなぜでしょうか。
 河野 自民党時代は利権構造というか、当時、与野党双方にお金と票がばらまかれていたわ
 けですが、実はマスコミもその構造のなかに絡め取られていたわけですね。実はいろんな方
 が声をあげていらっしゃったんです。当時の佐藤栄佐久・福島県知事ですとか、学者でいえ
 ば石橋克彦さんのように浜岡原発が地震で危ないとか、あるいは坂本龍一さんのように再処
 理工場はこれでいいのかとか、いろんな方々が警鐘を鳴らしておられたんですが、利権の構
 造が堅くて、たとえば芸能人が「反原発」を言おうものなら干されるといった状況すらあっ
 たわけです。

 鈴木 そのような経験を文化人からもよく聞きますよね。
 河野 原子カムラから「批判をしろ」みたいな指示が出て、コ介に攻撃されてしまう。

 鈴木 いま、国民の間には、いろんな認識レベルがあると思いますが、河野さんが言われた
 ようなことを知るにつけて、原発を使うのか使わないのかの問題を含めて、国民的議論がな
 された形跡がないように思います。国民的議論は可能なんでしょうか。

                                   この項つづく

 

【湖底に大量核廃棄物の時限爆弾】

毎年、ユタ州とアリゾナ州の国境をまたぐ巨大な人工水域であるパウエル湖には、300万人も
の人々が訪れる。輝く赤い岩崖の下では、貯水池はジェットスキー、モーターボート、ウイニバ
ーゴ族のボートハウスがひしめく観光の湖だが、これは
表面上話、夢のような南西部の4千万人
の人々に飲料水を提供するパウエル湖だが、暗い湖の下には不吉な遺産――推定2万6千トンも
の放射性廃棄物
――が潜んでいる。

 Lake Powell

 Mar. 6, 2018

  Lake Powell

  White Mesa Uranium Mill

1940年代から1950年代にかけて西部からのウラン流入時には、コロラド川のほとりに巨大な鉱床
が隆起している。例えば、1949年、米国のバナジウム社が建設したホワイト・キャニオン選鉱所
は、米国情報の自由法( Freedom of Information Act request)に準拠し、1日あたり20トンの鉱
石を粉砕し、硫酸、リン酸トリブチルなどで処理。失われた魂の川の著者であるジョナサン・ト
ンプソンによれば、1トンの鉱石で約2.3~2.7キログラムのウランを生産すると、河川周辺
日に1万7,690キログラムの尾鉱が堆積する。 1953年の工場閉鎖にともない、バナジウム
社が廃業したにもかかわらず残鉱は置き去りにされていた。約10年後にグレンキャニオンダム
に貯水し始め残鉱が浸水する。

● 2000年~2005年の干ばつで平均水深の約5分の1のほぼ30メートルまで低下

パウエル湖を楽しむ観光客を汚染しなかったとユタ州環境省ウラン工場及び放射性物質部門の管
理責任者は話す。
ウランの掘削は、放射性物質の重金属とラジウム226/228を含む土砂の老廃物
を堆積するが、これらの尾鉱は1950年頃から湖底堆積する。1~2メートルの
堆積し、水は減速
材あるいは遮蔽材として機能すると説明されている。環境
保護庁はパウエル湖から直接水を汲み
取る2つの公共水道――ナバホー発電所とアリゾナ州ページ市――があると付け加える。第9
EPA
地区の広報官は、すべての地域の水道システムは、総アルファ線、複合ラジウム226/228、ウラ
ンの放射性核種群の飲料水基準の監視し求められており、
ページ市の水道水、放射性核種の飲料
水基準を満たすことが定められており、ウランやラジウムなどの放射性元素が人の肺の内面に入
り込むと、貧血、歯牙破折、白内障、がんなどのリスクを喚起するが、湖底の放射性廃棄物がた
だちに
憂鬱されるレベルにないと関係者は説明する。 

それは影響を受ける可能性のある発電所と小さなアリゾナ都市だけでなく、パウエルは「貯蓄口
座」のようなもので、4つの上流域州(コロラド、
ワイオミング、ユタ、ニューメキシコ)は、
1922年のコロラド川コンパクト(Colorado River Compact)のもと、下流域の州とメキシコに年間
給水義務を果たせる。
パウエルに到着する前にた上流域水の使用制限し、下流域の要求に合わせ
水を貯め供給することで、4千万人全員へのサービスを提供すると、コロラド川地域管理責任者
がこう説明する。
 

しかしながら、状況は現在制御されているが、現状を揺るがすシナリオがある。パウエル湖が非
常に低い水位になったり、湖が流出したりすると当然、尾鉱が問題となり、尾鉱
が露出する。
の場合、誰かが掘り起こしたり、強風による外乱、オフロード車で荒らしたりすると健康被害が
生じるとの考えは専門家らにより否定されているが、
湖の排水や土砂を盛り上げる浚渫作業など
でそれは変わる可能性があるとされる。
湖の排水は馬鹿げたように思えるかもしれないが、貯水
量は1990年代後半から減水し、2000年から2005年にかけての過度の荒廃と干ばつは、水深は30
メートル近く下がり平均水深の約5分の1までになる。研究者たちの中には、気候変動が西部干
ばつのサイクルを激化させ、長期に渡るものと予測する(下図参照)。もしそれが起こり、パウ
エル湖がもう一度赤岩峡谷になれば、汚染堆積層を取り除かなければしれない。

※ Source:Does a Ticking Time Bomb Lurk Beneath Lake Powell? | Acumen | OZY, Mar. 6, 2018

 Feb. 12, 2015




※ Report Titol:Unprecedented 21st century drought risk in the American Southwest and Central Plains

※  米国は米国はウランの3/4を輸入しており、ロシアは最大のサプライヤーの1つ。2016年の
  生産は725,747キログラムで、1979年のスリーマイル島事故以来、米国では原子力プロ
  ジェクトが完了しておらず、ウランの製造コストが海外生産品よりも高くなっている。昨年、
  韓国の文新大統領は、原子力発電量世界5位にランクされた国で原子力発電やめることを誓
  い、エネルギーの4分の3をまかなうフランスは、2025年までに原子力エネルギーを半減さ
  せる計画を策定している。
 

     No.165

【蓄電池篇:最新リチウムイオン電池技術】 



● 
金属シリコン電極開発によるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
3月6日、株式会社 GSユアサは、大型電池での実用化に課題の多い金属シリコンを主体とする
負極の高エネルギー密度化長寿命化の両立を実現しました。これにより、電気自動車に実際に
搭載されるサイズの電池において、従来のリチウムイオン電池に対して約3倍となる高エネルギ
ー密度化技術の改良の成功を公表。

それによると、極材に用いる金属シリコンは、理論容量が非常に高く(4200 mAh/g)、また、資
源量が豊富であることから、リチウムイオン電池の新規材料として多くの研究が行なわれてきた
が。金属シリコンは充放電にともなう体積変化が約400%と非常に大きく、充放電を繰り返す
過程において微粉化および孤立化といった劣化が生じる。その結果、充放電効率およびサイクル
寿命特性が乏しく、特に長期での使用が前提となる電動化車両用の大型電池では、金属シリコン
電極の実用化は困難とされてきた。これに対して同社は金属シリコンを用いた電極の好適な粒子
径および電極組成などを見出し、それらの特性を改善、従来の約3倍となる高エネルギー密度化
技術の改良に成功。
なお、この金属シリコン電極は今後の技術革新と普及が見込まれる全固体電池へも適用可能な技
術である。
また、今後の展開として、金属シリコン電極のサイクル寿命特性をさらに改良し、2025年頃の電
動化車両への適用を目指す。
 



 どこが違うのか

金属シリコンの好適な粒子径の選択による初期充電効率の向上およびサイクル寿命特性の改善

➲粒子径が小さい場合は初期充電効率が低く、また、大きい場合には微粉化が顕著となるためサ
イクル寿命特性が低いという問題があり、最適な粒子径の金属シリコンを適用することにより、
これらの2つの特性が改善する。

種々の導電助剤を組み合わせることによる放電特性の向上

➲通常、電極には1種類の導電助剤を用いますが、金属シリコン電極においては、導電助剤を複数
用いることにより、電極成型性が向上。さらには、電極の導電率改善による放電特性の向上。

③水溶性結着剤の適用による量産性の向上

➲金属シリコン電極を作製するためには、不活性雰囲気下で高温の熱処理を加えるなど量産に
は不向きな工程が生じる場合があるが、水溶性結着剤を適用することで、その工程の簡略化が可
能になり、その結果、高い結着力を維持しつつも量産性に優れる電極組成化に成功。

 

 

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エネルギーと屋内農園

2018年03月07日 | デジタル革命渦論

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

         ※ コツは教えられない:大工や車大工が弟子を敦えるとき、指し金の使
              い方を
教えることはできる。だが微妙なコツは、教えることができない。

         ※ 不仁にして国を得る者:なるほど不仁な人間が一国の君主になること
              はある。
だが、不仁な人間が天下を治めることはあり得ない

          ※ 民を貴しとなし、君を軽しとなす:人民がいちばん貴い。次が社稜(
       国家の守護神)、君主はその下である。人民の信頼を受ければ天子にな
       れるが、天子の信頼を受けても諸侯にしかなれない。諸侯の信頼を受け
       てもせいぜい大臣だ。社稜をないがしろにする諸侯はとりかえてもよい。
       肥えた犠牲(いけにえ)や清浄な五穀を供え、時節をたがえず祭っても、
       干ばつや洪水を起こすような社稜なら、社稜もとりかえてかまわない。
 
      【解説】 孟子の王道論には、民本思想が多分にあるが、「民を貴しとな
       し、君を軽しとなす」のことばは、それを端的に表わしたものとして有
       名である。君主専制時代には、湯武放伐の章とともに、とかく非難の的

       になった。

従来から、光半導体の一種である酸化チタンは様々な化粧料――基礎化粧品、洗浄料、頭髪用化
粧品、育毛剤、デオドラント化粧品、制汗剤、ファンデーション、白粉、化粧下地、ほほ紅、ア
イシャドー、アイブロウ、口紅、さらには固形石鹸、日焼け止め等に用いることができる化粧料
および医薬部外品
――の添加剤に用いられている。例えば、
雲母や合成マイカに酸化チタンを被
覆した雲母チタン(いわゆるパール顔料)は干渉光をも
つが、化粧料に適当な発色と光沢とを付
与したい場合に好適に用いられている。一方で、酸化チ
タンは、光が照射される等の所定の条件
が整うことにより有機物の分解性や超親水性を発揮する「
光触媒」としても近年脚光を浴びて、
光触媒作用を利用れている。しかし、化粧料の添加剤として用いられている酸化チタンは、その
光触媒作用は必ずしも充分なものではなく、優れた有機物分解能、特に細菌やウィルスを分解す
る作用を有した化粧料の開発が期待されていた。

この背景には、アトピー性皮膚疾患やハウスダストに代表される粉塵に起因する皮膚疾患に悩ま
される患者が多くなっていることが背景としてある。上図のDR.C医薬株式会社の「花粉を水に変
えるマスク」はこの期待に応えるようにして登場しテレビでCMビデオが頻繁に流れるている。
このブログでも掲載していきたが対象物の補足・飛散防止機能に注目し、光触媒による殺菌・分
岐機能には断念ながら注目せず、マスクによる眼鏡の曇り防止に注目してきた。このように「化
粧品」に特化した機能性ファウンデーションから衛生マスクの商品開発に応用展開するパターン
DR.C医薬株式会社ではならずのものである。どの程度効果あるのか、自己検証はこれからであ
るが今夜は、同社の保有特許/知財の理解に努めた。
 



❑ 特開2007-137808  化粧料 岡崎 成実

【概説】

この化粧料によれば、少なくとも光半導体粒子と金属粒子とを構成要素とする光触媒機能体を含
有すること、により解決される。また、この化粧料にあっては、前記光触媒機能体が、前記光半
導体粒子と前記金属粒子のみならず、物質を吸着する性質をもつ吸着剤も構成要素とできる。ま
た、この化粧料は、光触媒機能体を構成する光触媒粒子が、アナターゼ型の酸化チタンとルチル
型の酸化チタンで、金属粒子がで、この化粧料にあって、光触媒機能体の添加量が、化粧料全
体に対し、0.01~50質量%であるり、レハロース――キノコ類、海藻類等広く自然界に存
在する非還元性の二糖類であり、高い保湿効果を有することが知られている。医療用としては、
臓器の保存や角膜の乾燥防止等に使用されており、高い細胞保護効果をもつ――を含有し、その
ため、この化粧料に含有させた場合には、光触媒機能体の有する酸化作用から肌を保護すること
ができ、また、脂肪酸の酸化やアミノ酸の分解を抑制する作用もと、光触媒機能体の酸化作用
ら化粧料中の成分を保護して品質の劣化を防ぎ、化粧料の
香気を安定に保つ。肌に適用した際に
は、人の皮脂の酸化を抑制して2-ノネナール等の悪臭成分の発生を防止するため、光触媒機能
体による悪臭成分の分解作用に加えてさらに高い消臭効果を発揮でき、トレハロースの保水機能
により、化粧料を肌等に適用し光触媒機能体が肌に付着した細菌や粉塵中の有機物成分を酸化分
解によって生じた水分を保持し、外部から水分を補給することなく、肌をしっとりと保もてる。

なお、トレハロースの含有量は特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましい、
他の化粧料成分との比率やトレハロースによる粘度の上昇を考慮して、化粧料全体に対し20質
量%以下であることが好ましい。従来の化粧料と異なり、単に酸化チタンの発色や光沢を利用す
るのではなく、酸化チタンに体表される光半導体粒子と、当該光半導体の機能を向上させる金属
粒子で、優れた光触媒作用を発揮、また、アトピー性皮膚疾患や様々な細菌に起因する皮膚疾患、
粉塵に起因する肌荒れ、汗による悪臭等を効果的に防止できる。


【符号の説明】


 1 光触媒機能体  1a  光半導体粒子  1b  金属粒子  2   吸着剤

     No.164

【省エネ篇:閉鎖生態系工学】 

● ニンニクの屋内農園でわかったこと

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
工場」の応用展開の現況を僅か1日で知ることができた。結論から言ってしまえば、❶省エネで、
❷ゼロ廃棄物で、❸気候変動に左右されず、❹自然エネルギーを使って(=エネルギーフリー社
会の実現)、❺ハーブ、緑青野菜、根菜類などの栽培が、❻手軽に、新鮮に、安く手収穫できる
時代に突入していると。まず、ニンニクの栽培には、太陽光が要10時間/日で、猛暑・多湿回
避での環境下であれば、屋内水耕及び土壌の両栽培は誰でも行える(上図参照)。

    

今夜の調査で注目したことは2つある。その1つが、併載系生態工学――宇宙開発、とくに有人
宇宙活動におけるさまざまな生態工学的な取り組み、地球環境問題の解決のための陸域環境や水
圏環境での取り組み、農業やエネルギー問題についての生態工学的なアプローチ、センシングや
光と生物の問題など、生態工学の基礎となる学問分野――の研究がこの日本で30年間なされて
きたことを体系的に知ることができたということである。もう1つは、スプラウト養育を別にし
露地栽培、必要太陽光(=日照)時間についてである。発光ダイオード照明を前提して、ニンニ
クの場合、❶有用波長領域(例えば光合成吸収)の確定と、❷生育エネルギー源としての波長領
域の確定であり、❸例えば、波長変換フィルムとの併用(多層化)で無駄なエネルギーの有効利
用に転換する技術とはなにかという命題である。そのほか、❸との絡み意匠性を校了した、育成
ボックスの透視部あるいは内壁部位の光反射機能化及びマジックミラー化などである。このいず
れも特許地代との直結する。以上、これで実践のみをサスペンドする段階に到達した考えている。
いや、面白い「エネルギーフリー社会と屋内農園」の融合だ。

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.13   

    ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』  

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問 

 

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。
 

 
   原発再稼働を唱える声の背後にあるもの

 鈴木 原発の仕組みをつくっている巨大企業、そういう会社は日本だけでなく世界的に影響
 力を持つ仕事をしているわけですが、そういう会社のトップから「うちは日本でこ
ういうエ
 ネルギーをやりたいと思います」「自分の会社はこういう方針でいきます」と、
そういうコ
 メントがなぜ聞けないのかと疑問を感じます。

 藻谷 オーナー企業ならばいえると思いますが、サラリーマン経営者は、先輩だの現場だの
 いろんなところにおもんぱかって、既定路線をなかなか崩せません。既存のシステ
ムのなか
 で勝ち上がってきた人ですから、そもそもシステムを変える必要性を感じてい
ない場合も多
 いでしょう。

 鈴木 残念ですね。原発そのものをつくっている会吐も同じですか。
 
藻谷 日立、東芝、三菱重工ですね。この3社はいずれも素靖らしい省エネ技術を持つ会社
 でもあるんですね。
鈴木 そうですよね。再生可能子不ルギー関連の技術も持ってますよね。
 藻谷 原発は彼らの社内では一部門でしかないわけです。とはいえ、手がけてきた以上はも
 っと儲けたいでしょうから、当然再稼働に賛成でしょう。ですが、原発が再稼働し
くても、
 廃炉にしても、すでにある使用済み核燃料の処理にしても、これから莫大な
お金のかかる世
 界があるのですから、本当はそっちに絞ればいい。他方で、新子エネルギー
関連の部門を伸
 ばすチャンスが増えるわけですし、万が一の事故の場合の訴訟リスクも
減りますし、もっと
 も、今回はGE製の古い炉が原因だったので、彼らは責めを負わず
に済んでいるわけですが。

 鈴木 あの人たちがコ介に日本の将来を考えて、再生可能エネルギーに舵を切ることを考え
 るべきだと思います。

 藻谷 少々心配なのは、先はどから述べている第4の考え方、日本は核武装能力を持ってお
 くべきであると考える勢力の影響ですね。特に三菱垂工は白身が兵器メーカーでも
あります
 から、なおのこと再稼働反対などとは言いにくいでしょう。ですが、言う、言
わないに関係
 なく、社内では省エネルギー技術、再生可能エネルギー技術にシフトしていって
ほしいです
 ね。アジアマーケットで考えても、アジアに原発を売って儲けるよりも省エ
ネ技術を輸出す
 るほうがはるかに市場は大きい。わかりきったことなのに、なんとなく
何やかやにおもんぱ
 かって踏み切れない。

 鈴木 そういういろんなことがあって、なおかつ、今度の原発事故で電気料金が上がったり
 すると、もっときびしい。だから、とりあえず電気だけは安定してこのままでいき
たい、原
  発を動かしてくれ、そういう経営者が多いわけです。

  藻谷 電気料金の値上がりは化石燃料価格の上昇が原因で、これは少々原発が稼働したくら
 いでは解消に向かいません。再稼働で使用済み核燃料が増えれば、さらに将来の負
担が増え
 ることになります。それから関東地方の場合、そもそもどこの原発が稼働して
電気を送って
 くるのでしょうか。東北電力エリアである福島や新潟の原発が、東京のた
めといって、そう
 そう簡単に動くとは思えません。つまり省エネをすすめ、地域独自のエネルギー
を生む努力
 をしていくしか、具体的な対処策はないのです。
電気料金が高いと、海外への工場移転が加
 速するという懸念の声も聞きます。ですが
中国でも韓国でも子不ルギーを化石燃料輸入に頼
 っているという事情は同じです。そも
そも、コストが安いというだけで移転すれば、その後
 は年々コストアップに悩まされる
ことになってしまいます

   本当の国際競争力、本当の豊かさとは

 鈴木 日本企業がかつて多数中国に進出したのは人件費が安いからだということですが、逆
 に中国の労働者の立場で考えたら「なんであなたたちがきたか知ってるよ。私た
ちの給料が
 安いからでしょ」ということですから、やることは決まってますよね。賃上
げ交渉が始まり、
 労働 争議が頻発し、結果的に人件費が上がります。

 藻谷 中国も少子化で労働力も足りなくなってきていますからです。

 鈴木 そうですね。結果的に商売ができないから、またよその国に行く。どこまで繰り返す
 のでしょうか。

 藻谷 そもそも最近の工場海外進出は、低コストを求めていくのではなく将来の市場にあ
 らかじめくさびを打ちにいくのです。インドネシアが典型で、6億人の東南アジア
市場開拓
 のために行くわけです。ところが中国では、13億人対応の分か飽和してしまっ
たので、工
 場の新規進出はぐっと少なくなりました。6他人しかいない東南アジアも、
このままではも
 っと早く飽和します。

 その次は周辺合わせて16植人いるインドですが、インドはインフラの整備状況一つとっても、
 中国よりもずっと難しいところですね。それはともかく、中国というメイン
ディッシュをい
 ただいてしまった後は、デザートやつまみしか残っていないのです。
このように資源が枯渇
 していき、市場が飽和していくなかで、生き残るのはだれかと
いうと、欧州の一部企業のよ
 うにブランドを確立して商品を高く売っているころなん
です。安いものを安く売っていると
 ころは業界全体がおかしくなってしまう。その典型
が、汎用半導体とかカラー液晶パネルと
 か、「全社赤字ですよ」という分野です。
そういう事実を知らずに、「日本はサムスンに負
 けた」と騒いでいる人が大量にいる
わけです。

 鈴木 サムスンの話が出ましたが、サムスンは韓国の会社だから「韓国に負けているんだ」
 という論調があります。ところが、国際収支統計では日本が黒字です。なおかつ、
サムスン
 の中身を見ていくと、サムスンをだれが持っているのかというと、株主はほと
んどが世界資
 本であるわけです。サムスンは韓国の会社じゃないと思うわけですが、そ
のへんはどうです
 か。
 藻谷 サムスンは韓国内にはあまりお金を落としていません。ごく一部の人を雇っているだ
 けで、工場は海外にありますし、韓国の実際の豊かさの向上には貢献していないわけです。
 業界構造として利益が出にくく、そういうやり方をしないと生きていけない会杜なんです。
 日本の電機メーカーにも同じことがいえます。結局、国際競争力というのは、どれだけ輸出 
 できるかではなくて、どれだけ人件費を払えるかということなんだと思います。

 鈴木 なるほど、人件費が払える国こそ競争力の高い国ということですね。
 藻谷 スイスのビジネススクールTIMDが作成している国際競争力指数で、日本がトップ
 クラスだったバブルのころは人件費が高かったのですが、いまは人件費を削り倒して輸出を
 増やす国になってしまいました
 バブルのころは42兆円だった輸出が、2011年は63兆円と、1・5倍に増えたわけです。
 輸出がI・5倍になったから指数が上がったかというと、1位から23位に落ちてしまった。

 鈴木 実感としての豊かさがないですしね。今日は意義深いお話をたくさんありがとうござ
 いました1た。おうかがいしたいことがまだたくさんあります。今後ともよろしくお
願いし
 ます。


                       2012年6月29日
 鈴廣蒲鉾本店にて

結局のところ、テーマの「エネルギーは集中型か分敢型かでぱなく、ミックスでいく」の詳細な
ことは触れずに、「脱原発/自然エネルギー転換」の基調背景が主として経済的側面から語られ
るにとどまる。次回は、河野太郎衆議院議員との『3・11以後は、この国のありようを変える
チャンス』に移る。



● 今夜の一枚

  

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ドライカレーにはレーズン

2018年02月28日 | デジタル革命渦論

 

                 尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

       ※ 殺されても怨まない:人民を安楽にするためなら、人民は、どんな労
       役を課せられても怨まない。人民の生命を守るためなら、人民は、た
       とい殺されても怨まない。

       【解説】どんな政治でも人民の犠牲によってなりたつ。善政か悪政か
       は人民の犠牲が人民の生活に還元されるか否かできまる。

     ※ 「良能」と「良知」:学ばなくても善を行なう力が「良能」である。
       考えなくても善を理解する力が「良知」である。がんぜない幼児でも、
       親を見することを知っている。成長すれば、兄を敬うことを知るよう
       になる。親を座することがにだ。目上を敬うことが潤だ。仁義とはほ
       かでもない。このこころを社会全休にまで拡大したものである。

     ※ 君子の楽しみ:君子には楽しみが三つある。天下の王者となることな
       どは、選に入らない。父母が健在で兄弟が息災であることがその一つ。
       上は天に恥じず、下は人に恥じぬ生き方がその二つ。天下の英才をみ
       いだして教育することがその三つだ。君子が楽しみとするのはこの三
       つである。王者になることなどは、選に入らない。

 Wikipedia

浄土宗祇園山安養院田代寺

     この家と共に古りつつ高野槙二百とせのふかみどりかも 窪田空穂

【樹木トレッキング 21:コウヤマキ】  

コウヤマキ(高野槙、高野槇、学名:Sciadopitys verticillata)は、マツ目コウヤマキ科の日本および韓国
済州島の固有種。常緑針葉樹で高木となる。別名ホンマキ。コウヤマキ科は1属1種であり、コ
ウヤマキのみを含むかつては世界中に広く分布していたが、新第三紀では北アメリカで、更新世
にはヨーロッパでも滅びて、日本と韓国済州島にだけ残存。マキ科の常緑高木で主に犬槙(イヌ
マキ)と高野槙(コウヤマキ)があります。犬槙は関東以南の山地に自生し、高さは25メート
ルにもなる。高野槙は日本特産のコクヤマキ科の常緑高木。その名のとおり高野山に多く自生。
犬槙の葉は扁平な線形や披針形、高野槙は厚く長い針状。

 Japanese Umbrella-pine

庭園に植栽し、材木としても利用される。世界三大造園木の1つで、木曽五木の1つ。古代には、
棺材とし
て最上級とされた。弥生時代や古墳時代には木棺として用いられている。水に強くて朽
ちにくいことから、
現在でも湯船材や橋梁材として重宝されている。和名は、高野山真言宗の総
本山である高野山に多く生
えていることに由来する。また、高野山では霊木とされる。特に手入
れをしなくても狭円錐形の非常に整
った樹冠を形成するため、造園木として重宝される。樹皮は
若枝では赤褐色であるが、後に灰褐色に変
わる。枝は一見して先端に葉が輪生しているように見
えるが、実際には長枝の先端部に多数の短枝が輪
生し、その先に長さ6~14 cmの針葉が付いてい
る。

葉には針葉の他に小型の鱗片葉があり、長枝の基部から先端部にかけて螺旋状に付く。針葉は柔
らかくしなやかで、2枚の葉が合着するという極めて特異な形態が見られる。合着葉は先端がや
やへこみ手に刺さるようなことはなく、表面に鈍い光沢がある。葉の裏面には帯白色の気孔帯が
見られる。花は雌雄異花で早春に開花する。コウヤマキ属はコウヤマキの1種のみからなり、かつ
てはスギ科に含めたが、現在は1種のみでコウヤマキ科とする。日本固有の科であるが、かつて
北半球全体に広く分布し第三紀には、欧州に多く分布し、現代で利用されている褐炭の起源とな
っている。学名のうち、属名 Sciadopitys は、skias(日傘)とpitys(もみの木)の合成語で、輪
生する葉が傘の骨に似ていることによる、マツ科のモミとはそれほど近縁ではない。また、種名
 verticillata は、「輪生する」の意味である。
 



高野山を中心に仏に供える花の代用として用いられており、名前もこれに由来する。高野山には、
植林されたコウヤマキの人工林がある。また、高野六木にも選ばれている。和歌山県では山での
コウヤマキの採取が激しい。横枝はお供えに向かないので、特に上向きの先端が狙われる。その
ため、入りやすい山のコウヤマキは全て上が詰まった姿になっている。福島県から九州までの山
地に野生する。岩尾根によく生育し、幅が狭く、真っ直ぐに突き出たような樹形を見せる。徳島
県と山口県でレッドリストの危急種、愛知県と宮崎県で準絶滅危惧の種の指定。愛知県新城市に
ある「甘泉寺のコウヤマキ」と宮城県大崎市にある「祇劫寺のコウヤマキ」はそれぞれ国の天然
記念物に指定。外国でもコニファーの一種として知られ、ホンマキとも呼び、イヌマキに対比さ
せる。材木としては丈夫で朽ちにくく、水に強いなどの特性から、古代から高級な棺や水桶、橋
杭などの材料として多く使われる。

 Feb. 27, 2018

 

     No.160

【RE100米国篇:風力と太陽光の能力 総電力量の80%】

2月27日、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループは、米国は太陽光発電と風力発
電の電力需要の約80%を確実に満たすことができたことを公表。
しかし、太陽エネルギーや風
力エネルギーだけで百%の電力需要を満たすには、これらの2つの自然エネルギー変動性を補う
ために、数週間分の電力を蓄える必要があると付け加えている。論文の
共同著者は、太陽が沈ん
で風が吹くとは限らない指摘、これらの資源に基づく信頼性の高い電力システムが必要な場合、
日々の季節変化にどのように対処する方策を36
年間の米国の気象データ(1980~2015年)を分
析。
時間と空間の両方で太陽光と風力エネルギーの変動性を見て、これを米国の電力需要と比較。
大陸規模の送電網を構築するか、12時間分の電力需要を蓄える施設建設――
例えば、新しい送
電線のコストは数千億ドルになると積算し、これと比較して、今日の最も安価なバッテリで電力
を蓄える場合でも1兆ドル以上かかるが、揚水ポンプで水力発電として蓄えることも可能である。

 
DOI: 10.1039/C7EE03029K

論文表題:米国における太陽光・風力発電の信頼性に関する地球物理的制約

【要約】

時間と場所の関数として、太陽と風の資源の共変量を数十年の時間スケールおよび大陸の長さの
スケールに定量化するために、36年間の世界的な時間別気象データ(1980〜2015年)を分析。

過発電、無損失送電、および他の発電源がないと仮定すると、風力発電または太陽光発電の米国
規模の発電ポートフォリオは、原則として、米国の最近の年間総電力需要の約80
%を提供する
可能性があるが、
年間総電力需要の百%を確実にするには、季節的なサイクルや予測不可能な気
象事項は、ピーク需要を満たすために日常量よりも、数週間のエネルギー貯蔵および/または太
陽光および風力発電容量を必要とする。
約80%の信頼のために、日照時間の克服に十分なエネ
ルギー貯蔵を前提とする。このため、大規模風力および/または太陽光発電は風力の地理的制約
克服の大陸規模伝送を必要とする。結論として
、信頼性のある電力供給の政策と計画は、大陸ス
ケールであっても太陽光や風力資源の地球物理的変動に関連する制約を厳格に考慮する必要があ
る(詳細は上写真クリック参照)。

 

 Feb. 26, 2018

【ゼロエネルギービル篇:大和ハウスが佐賀で実証実験


2月26日、大和ハウス工業は、佐賀県佐賀市の自社ビルで、再生可能エネルギーで電力を100%
自給自足する実証実験を開始。太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力自立システムを導入して
おり、電力会社からの買電に依存しない、「日本初」のオフィスビルとなる。実証実験を行うの
は2018年2月26日に完成した
「大和ハウス佐賀ビル」。鉄骨2階建、延床面積約2444平方メートル
のビルで、住宅や集合住宅、リフォーム事業などの営業所拠点として約100人の社員が利用。同ビル
は、経済産業省が実施した2017年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択されて
おり、年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビ
ル)」の基準を満たしている。同規模の一般建築と比較して電力料金を年間約600万円削減できる
という。なお、「住宅性能評価・表示協会が定める建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Bui-
lding-Housing Energy-efficiency Labeling System
)」においても、最高ランクの5つ星を取得している。


ZEBを達成するにあたり、発電および蓄電システムについては、出力83.2kW(キロワット)の太陽
光発電設備と容量75kWh(キロワット時)のリチウムイオン電池を組み合わせた電力自立システム
を導入。エネルギーを効率良く生かせるよう、太陽光発電の電力を太陽光発電や蓄電池から出力さ
れる直流電力をそのまま活用できるようにし、電力変換損失を約8%改善。

 

ビルの電力需要を削減するために、省エネに関するシステムも導入している。電力消費の多くを
占める空調の省エネを図るため、地下からくみ上げた井戸の水と屋上の太陽熱集熱器活用する自
然空調システム「井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システム」を導入した。同規模の一般建築
と比較して空調による消費電力を約7割削減できるという。このシステムの他、BEMS(Building
Energy Management System
)や、LED照明と人感センサーを組み合わせたシステムなどを導入し、
全体の省エネを図る。

 

こうしたビルの高い省エネ性能によって、大和ハウス佐賀ビルは太陽光発電による創エネのみで
全体の電力需要を賄うことができるという。さらに、太陽光発電の発電量が消費電力を下回る際
には、蓄電池に貯蔵した余剰電力を自動的に電力供給できるシステムを構築している。実証では
このシステムの運用を検証し、“電力会社からの買電に依存しないオフィスビル”を目指す。
なお、万が一太陽光発電システムと蓄電池で電力供給ができなくなった場合は、九州電力から電
力の供給を受ける。
 大和ハウスでは同社の環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」をもとづ
き、自社ビルを中心に環境負荷の低いZEBの実現を推進している。今後は、今回実証を行う大和ハ
ウス佐賀ビルモデルケースとして、電力会社に依存しない自給自足型の新たな電力自立システム
の普及を加速させていく方針(出典:大和ハウス工業/スマートジャパン 2018.02.27)。

  ● 今夜のアラカルト

Chicken Curry with Raisins, Almonds and Coconut
美味しければ食にこだわりないがのだが、1つだけ、ドライカレーはレーズンを入れることにこだ
わりがある。普通のカレーにドライフルーツの1つとして干しぶどうを入っていても気にはならな
いが、スパイシーなドライカレーには干しぶどうの甘みはアクセントとして欠かせない。その意味
で、福神漬の砂糖・みりんのたぐいに相当し代用可能なはずなのだが、いまもって拘っている。こ
れは不思議な謎なのだ。
 

 

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小さな巨人Ⅺ

2018年02月28日 | デジタル革命渦論

 

                 尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

       ※ 恥を知ることが第一歩:孟子曰く、「万物みなわれに備わる。身に反
       みて誠ならば、楽しみこれより大なるはなし。強恕して行なう。仁を
       求むるにこれより近きはなし」。恥を知ることは、人間にとって大切
       なことである。手練手管を弄する人は、それを恥と思っていないのだ。
       人より劣っていることを恥と思わないで、どうして人並みになれよう
       か。

     ※ 認められても、認められなくても:孟子が宋句践(そうこうせん)に
       言った。「あなたは遊説がお好きなようだから 遊説の心得をお教えし

       よう。それはつまり、自分の説が他人に認められても恬淡であれ、認
       められなくともまた、恬(てん)淡であれ、ということです」
         「恬淡であるにはどうすればよろしいのですか」
       「自分の徳を大切にし、義であることに喜びを感じていれば、恬淡に
       なれる。士は貧乏しても義を忘れず、栄達しても道からはずれない。
       貧乏しても義を忘れなければ、自尊心が保たれる。栄達しても道から
       はずれなければ、人民の信望があつまる。むかしの人は朝に立てば、
       恩沢を人民に施し、野にあるときは、修養に励んで世に知られた。つ
       まり貧乏なときには一身に旅費を積み、栄達してからは天下に善政を
       行なったのだ」 

     No.159

【サーマルタイル篇:最新熱共振式発電技術】

2月15日、マサチューセッツ工科大学の研究グループは、熱電変換素子を用いたシステム―
―昼夜間の周囲温度の周期的変動を使用――で電力収穫するという全く斬新的なもの。サーマ
ル・レゾネーター(thermal resonator:熱共振器)あるいは熱共振式発電装置(thermal resonator-
type generates electricity)を発明したことを公表。

 何が違うのか

「熱共振器」と呼ばれる装置は、温度差を電力に変換することて動作する従来の熱電発電器を
改良、2つの異なる温度入力を必要とせず、代わりに、熱のゆっくりとした放射を担保する特
別な材料(下記参照)を使用するため、デバイスの片側の温度は常に他の温度より遅延。



図1 超高温浸透材料の作製と特性評価  (Ni / OD)、Ni / G / OD(左から右)を含浸したニッ
ケル発泡体用の電子顕微鏡像。 スケールバー:上段(100μm)、下段(1μm)。  (Cu / OD)、および
Cu / G / OD
(左から右)を含浸させた銅発泡体の写真である。 スケールバー:上段(100μm)、
下段(1μm)。  c複合材の熱伝導率の関数としての標準PCM(OD)およびその金属フォーム複
合材と比較した超高熱浸透材の有効熱浸透率の向上を示す散布図。エラーバーは95%の信頼区
間を表す。

【概要】

材料科学は材料の熱伝導率を最大化/最小化の技術進歩はめざましいが、熱伝導率と容量積に
する熱エネルギーと環境との結合についての研究は十分でなかった。ここでは、グラフェン
と銅-ニッケル合金化学蒸着処理し2層を組み合わせ導電率を高めた後、相変化材料(蓄熱材)
のオルトデカンを含浸注入することで膨大な熱量蓄え放出できるように
熱浸透率を最大にする
材料設計行う。次に、日間周囲温度サイクル(24時間サイクル)――これらの材料は、広範
囲の周波数の熱変動から永続的に発電可能な熱共振器で周囲エネルギーを理想的に収穫できる
――
を利用し初期試験を実施。
理論と実験からこれらのデバイスシステムの収穫量が熱量の熱
伝導率に比例する確認。
日間周波数の持続的なエネルギー収穫を測定し、約10℃の日中の温
度差から350ミリボルト、1.3ミリワットいう高い出力――シンプルで小型の環境センサや
通信システムに電力を供給に十分な電力――が得られた。

以降、説明図のみを掲載しておく。

※ Titol: Ultra-high thermal effusivity materials for resonant ambient thermal energy harvesting , 
        
Nature communicationsvolume 9, Article number: 664 (2018) ,doi:10.1038/s41467-018-03029-x,:
         https://www.nature.com/articles/s41467-018-03029-x



図2.効果的な熱浸透性のためのマスタープロット。 文献およびこの研究で測定された相変化
材料の有効熱浸透率のマスタープロット(括弧内の参照番号は6,34,35,36,37)。 結果は、体
積固有の潜熱および熱伝導率が直接的または間接的に報告される等方性および周囲相変化材料
(転移温度T *が 20〜40℃の間に生じる)に限定される。 楕円に囲まれた4つのデータ点は、
グラフェン修飾、元のニッケル/銅にODを注入。

  Feb. 14, 2018

 図3.超高熱浸透材料の熱共振器への応用。 熱共振器の一般的な回路図。 ヒートエンジンは、熱(赤;
TH = T0 + TA)と冷(青;T)の間の時間(t)で振動する入力温度の変動を変換する2つの熱質
量(1と2) C = T0 -TA )- 空間的な温度差、
ΔTt)熱機関によって電力(P)に変換される。
bサーマル・レゾネータの動作とモデリングの詳細を示すサーマル・サーキット。入力、温度変
動、
T amb (t) システムの熱抵抗を調整することによって適用され、空間温度差に変換され
(k1、k2、L1 、L2 )容量 (ρ1   C  p1  ρ2   C p2)。c、d このワークで構成されテ
ストされたデバイスに似たサーマル・レゾネータの一般的な回路図で、サーマル・マス1として
高い熱伝導率PCMと、2として無視できるサーマル・マスが組み込まれています。熱電(TE
で置き換えられ、デバイス全体の予想される温度分布が示されている。 熱質量2は、環境温度
(高温、低温または低温)に迅速に反応します。熱質量1は、振動の中央温度付近の相転移温
( T*)を有し、主としてこの温度で存在する。 e熱質量1としてODを組み込んだ熱共振器の
パワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)。 時間平均電力出力(
P avg)および温度振動振幅( TA)もまた提供される。 f熱質量1としてCu / G / ODを組み込ん
だ熱共振器のパワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)(補足7 )。
時間平均電力出力( P avg )および温度振動振幅(TA)もまた提供される。 熱質量1の熱浸透
率の関数としての熱共振器の時間平均出力(Pavg)(方法、補足6 )。原点を通り抜けた切片
によるデータの線形近似も示され、近似の傾きは111であり、単位は軸によって決定される。6
つのラベルされていないデータポイントは、発火性の高い順に、発泡スチロール、ネオプレン
フォーム、木材、PVC、テフロン(登録商標)、およびネオプレンゴムに対応する。  PCM(OD、
Ni / G / OD、Cu / G / OD
)については、熱浸透率は補足式(16)



図4.周囲温度および過渡温度浴の例。 温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)を昼間の
温度サイクルに使用。  bウェアラブル温度センサー(Sensirion製のBluetooth TMインターフ
ェース付きSHTC1スマートガジェット)の温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)。 c Dell L
atitude E6330
ラップトップの排気口から得られた温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)



図5.個人温度変動に対する共振器の理論的および実験的設計 熱共振装置の設計と性能(Q)
を導くヒートマップ。無次元発振周波数 
(v)周囲温度浴の熱質量拡散時間スケール(R)の比
とに基づいて決定される。b実験(赤色)および理論(黒色)からの優勢熱質量の長さ(L1)の
2乗の関数としての熱共鳴装置の時間平均パワー出力(Pavg)(Methods、補足10)。 入力され
た角度温度発振周波数(ωf)は、個人の温度振動の頻度に対応しており(図4b)、すべての
システムに適用され、補足図13

図66.電力に最適化され調整された日中の熱共振器の実践への削減。 サーマルマス1の熱抵抗
と熱容量に関連する量の関数としての昼間の温度変動から収穫可能な電力密度(pavg)のヒート
マップ。ヒートマップは、昼間の温度振動周波数 
ω=7×10^-5s-^1、R«、温度振動量TA = 10℃であ
る。灰色の三角形 (∇、灰色の三角形(△)灰色の四角形、および黄色の星は、理想的に調整
された乾燥土壌、湿潤土壌、OD、およびNi / G / OD熱共振器にそれぞれ対応する。 b中空のテ
フロン(登録商標)シリンダー(高さ= 7.6cm、直径= 12.7cm)および4cm×14cm×2.5cmのアル
ミニウムヒートフィンから構成された日周熱共鳴装置(略図、左;写真、右) cm^ 2 Bi 3 Te 3
熱電対として直列に配線された熱電対。 中空のテフロン(登録商標)シリンダーは、相変化材
料としてNi / G / ODを積み重ねた(直径26cm、直径8cm)。純粋なODを含む制御装置も同じ寸
法で構築された(方法、補足11 )。スケールバー:2.5cm。  c 2016年5月17日から6月2日の間
、米国マサチューセッツ州ケンブリッジで16日間にわたり日周熱共鳴装置が配置された過渡的
な周囲環境の温度プロファイル。d日周熱共鳴装置の閉回路電圧プロファイルcに示す周囲境界
条件に曝される。  e cで示される周囲境界条件にさらされた場合の日周熱共鳴装置の電力プロ
ファイル。

以上、蓄熱材と熱電変換素子のコラボデバイスシステムのような「熱共振式発電装置」の発明
報告を俯瞰し、いまいち納得仕切れていない感が残りつつも、先日の「赤外線アンテナ式熱電
熱電変換素子」といい、前回より化学的領域に近い熱電素子も、次々と既存の発想を飛び越え
光、熱、温度サイクルをエネルギー変換させる技術に驚き、エネルギータイリング事業が本格
化することをまた確認する。

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.10  

   ● 対談1 新しい現実をつくる

  『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長

 
Aug. 3, 2012

  新しい電力の仕組みは地域をハッピーにする

 吉原 ありがとうございます。スマートグリッドやさまざまな技術が発達して、電力の独
 占はもう時代に合わなくなっているということですね。独占はむしろ地域の弊害になっい
 く。自由化して、一人ひとりが小水力とか、太陽光とか、風力とか、さまざまなエネルギ
 ーをスマートグリッドを使ってネットワーク化することによって、安くて安全な電力にし
 ていく。国民の手に電力を取旦尻す。そのほうが経済が活性化すると思います。小水力、
 風力、太陽光、MO発電、バイオガス、そういったものをやりますと、中小企業のものづ
 くりが活性化するわけです。地元に新しい産業がどんどん生まれる。民主党政権のときの
 技野経産相が言っていました。脱原発にしたほうが経済は活性化する、そして雇用も増え
 るんだと
 
 鈴木 新しい電力の仕組みをつくっていくということは、単に子不ルギーだけのことで
 はなくて、地域にいかにお金をまわすかだと思うんですね。
 吉原 そうなんです。地域を活性化するんです。
 鈴木 中央集権的な集中型から分散型へ、そういう流れをつくっていく、今回はいいチヤ
 ンスだと思います。

 吉原 独占しなければいけないのは、たとえば国防などがありますが、いま、いろんなか
 たちで規模の経済が関係ないようないろんな子不ルギーが発達していますから、そういう
 意欲も技術も封じて、古い原子力にしがみつくのは子孫にまでツケを回すだけで感心しま
 せん。原子力なんかに頼る必要はまったくないわけですね。今回の福島の事故でアメリカ
 のNRC(原子力規制委員会)では「アメリカでは新規の原発計画は一切認めな」と明
 快に方針を打ち出しているわけです。現在稼働中のものについても更新を認めないといっ
 ています。

 その理由は使用済み核燃料が各原発の建屋の中のプールにいっぱいあって、これがいかに
 危険かということが今回の事故でわかっだからたというんです。日本でもまったく同じで
 各原発の建屋の中のプールにあふれ返っています。その一部を青森県の六ケ所行に移して
 、そこで再処理するという計画です。再処理してプルトニウムを取り出してつまり核燃料
 サイクルによって核燃料が増えていくという説明をしてきたわけですが、経産省の幹部も
 NHKの番組で「国民を欺くことはもう無理だ」とそこまで認めているわけです。ところ
 が、これをやめてしまうと六ケ所行がだめになる。そうすると原燃をはじめ債務保証して
 いるところをも含めてみんな資金が止まって倒産してしまう。そこに天下っている人たち
 が困ってしまう。こういうふうに原発はお会まみれなんです。

 

 鈴木 そこにお金を出している銀行さんも困るわけですね。
 古原 よい例がJALなんてすが、、倒産しましたが、会社更生法で復活してちゃんと飛
 行機を飛ばしてやっています。だから、電力会社もつぶして、もう一回新しいかたちにし
 て再生させれば、電気が止まるというようなことはないんです。それを阻むのはいままで
 やってきた人たちの既得権益だけなんです。お金は人の幸せにつながる大切なものなのに
 人のこころを惑わせる麻薬でもあるというのは、まさにそこなんてすね。たとえ間違って
 いることでも、お金が給むとやめられなくなり、人のこころを奪って暴走させてしまうわ
 けです。自分だけのことにとらわれてしまう。

 昔から二宮尊徳の報徳思想、道徳がなければ経済は成り立たないんだということです。
 そういうことが経営者のこころに根付かないと、地域とお金が自分だけのためにあると錯
 覚してしまう。だから、みんながハッピーになるようにこころかけて仕事をしないと。そ
 のためにも、だれもが正しいと考えるような正しい情報に基づいて仕事しないといけない
 と思います。まず、やるべきことは、竹中さんじゃないですけど、電力を自由化してだれ
 でも発電をして、発電したのを供給できる、そういうルートをつくっておく。それによっ
 て みんなそれぞれの工場の廃熱、牛や馬を飼ったときのバイオガス、そういったものが
 エネルギルギーとして再生できるようになる。ところが、いま、そういうルートがないか
 ら、そういう資源がみんな無駄になってしまうわけですね。

 鈴木 地産地消のご当地電力ということでいいますと、昨年、小田原に「ほうとくエネル
 ギー株式会社」が誕生して、つい先日、えねるぎー会議と共同で「小田原電力、はじまり
 ます。」と題してローカルエネルギー・ミーティングを開きました。映画『第4の革命』
 のカール・フェヒナー監督を招いて、ほうとく手不ルギー株式会社、多摩電力合同会社し
 ずおか未来えねるぎー株式会社、それから地元で個人が始めた片浦電力の事例紹介などを
 含めて、吉原さんが言われるように「電力を自分たちの手に取り戻す」試みが動き出しま
 した。

 

 吉原 それは楽しみですね。いま、雇用を生み出し、みんながハッピーになる世の中にす
 るには新しい産業を起こさなければ駄目だというので、ベンチャー支援が叫ばれて、ベン
 チャー・キャピタルが注目されているようですが、信用全市の存在を忘れては困ると言い
 たいですね。どちらも必要なんです。特にお金儲けより仕事を通じて「みんなハッピー」
 に貢献したいというベンチャーが増えましたから、信用金庫の存在が高まってくると思っ
 ています。2012年を国運が「国際協同組合年」に定めたのは、1928年の世界金融
 恐慌、87年10月19日のブラックマンデー、08年のリーマンショックと3度もお金の暴走に
 揉闘された苦い反省から、ようやく「金融や株式市場といった資本主義社会はとても危う
 いものだ」と気づいたからだと思います。ご承知のように株式会社は利潤の追求を目的と
 しています。株主総会では一部の投資家の意見で決議されます。大多数が反対しても株式
 を多く持つ少数の投資家が「イエス」といえばそれが通ってしまいます。そうした金と力
 に任せた株式会社のやり方はおかしいだろう、というところから、お互いに助け合う協同
 組合が生まれました。信用金庫は協同組合主義による金融機関です。最後にこれからの社
 会にふさわしい経済の骨組みを考えていただく材料の1つとして、アダム・スミスが『国
 富論』の中でいった言葉を紹介させていただきます。「株式会社は株主の利益のみを追求
 する傾向があるため、国家にとっては株式会社が増えることは、道徳的な問題も含めて望
 ましくない」。本来あるべき会社というのは、トップが責任を持って従業員のことを考え
 、長期的に維持していくべきで、会社とは自分の幸せと同時にみんなの幸せのためにある
 のだと、アダムースミスはいっているわけです。

 鈴木 まったく同感です。本日は有意義なご意見をたくさんありがとうございました。
 吉原 こちらこそよい機会を与えていただいて感謝しています。

                    2012年3月12日 城市信用金庫本店にて

                                  この項つづく



 

 

  

 

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新エジプト時代のはじまり

2018年02月23日 | デジタル革命渦論

 

                 尽心(じんしん)    /    孟子    

                                  

        ※ 烈々たる闘志をもって戦国の渦中に飛びこみ、諸侯を遊説して歩い
         た歳月――いまその緊張と熱気から脱け出し、静かに老境を送る孟子。
         「君子に三楽あり。而して天下に王たるはあずかり

                 存せず」。悠々と天命を楽しむ孟子のことばには、そこはかとなく枯
         淡の感さえ漂っている。

         こ と ぱ        

        「令を知る肴は、巖牆(がんしょう)の下に立たず」
        「仰いで天に 愧(は)じず、俯して人に怍(は)じず」
        「食(やしな)いて愛せざるは、これを豕(ぶた)として交わるなり。
        愛して敬せざるは、これを獣として畜(やしな)うなり」

        「大匠は加工のために縄墨(じょうぼく)をを改廃せず。羿(げい)は
        拙射のためにその殼率(こうりつ)を変えず」

        「春秋に義戦なし」
        「ことごとく書を信ぜば、書なきにしかず」
        「往く者は迫わず、来たる者は拒まず」 

    
     No.157



【ソーラータイリング篇:新ナイル時代を迎えるエジプト】 

紀元前4千年に古代エジプト文明は、砂漠地帯にナイル川が定期的に惹き起こす氾濫――ナ
イル川上流のエチオピア高原に降る雨を源流とする――により、農業・畜産を振興させ誕生
する。この
エジプト古王朝は長期間にわたり安定・統治を続けていたが突然崩壊する。原因
はナイル川の異変――ギザ近くの湖の地層分析結果、細砂(風成砂)層が見つかり、数十年に
もわたる旱魃――
古代エジプトで、紀元前2,686年頃~紀元前2,185年前後のジプト第3王朝
から第6王朝に該当――がつづいていたとみられ、
これだけの規模の旱魃であったら、古代
エジプトの王朝が混乱で崩壊したとされるが、その後の200年ぐらいはエジプト第一中間期と
呼ばれて混乱時代に入る。このように「エジプトはナイルの賜物」という古代ギリシアの歴
史家ヘロドトスの言葉で有名なように、エジプトは豊かなナイル川のデルタに支えられ古代
エジプト文明を発展させてきた。エジプト人は紀元前3000年頃には早くも中央集権国家を形
成し、ピラミッドや王家の谷、ヒエログリフなどを通じ高度な文明を発達させている。

Source:Wikipedia

そのような歴史をもつエジプトにも、紀元前1346年ごろにアクエンアテンと名乗ったアメン
ホテプ4世が伝統的なアメン神を中心にした多神崇拝を廃止、アメン信仰の中心地である首
都テーベからアマルナへと遷都し、太陽神アテンの一神崇拝に改める、いわゆるアマルナ宗
教改革――アテン信仰は世界最初の一神教――アマルナ美術と呼ばれる美術が花開させてい
る。

さて、古代エジプト文化史はここまで。
2月22日、エジプトのベンバン(Benban)ソーラ
ーパークは、来年半ばまでに太陽光発電の1.6~2.0ギガワットの間に達することを目指
している。プロジェクトには動機づけされていないが、電力を国有エジプト電力会社(EET
C
)に8.3円/ kWhで売却する25年契約を締結し固定。現在、 29件のプロジェクトが
資金調達を受けており 少なくとも18億ドルの公的資金を調達。これらプロジェクトは、ほ
ぼ1.5ギガワットの太陽光発電規模相当。まず最初は、土地は0.34~1.01平方キロメ
ートルの41件が配置、総面積は。37.3平方キロメートル。サハラ砂漠東部は、地上での
太陽光発電の――米国/メキシコ西部砂漠よりも優れ、トップのチリ高原砂漠に次ぐ好適地
である。電力網(送電線/変電所)の集中により電力コスト逓減を実現する(「Benban 1.8G
W PV Solar Park
」戦略的環境社会的評価最終報告書
, 2016年2月)。
 
これらの計画では、政府が部分支援する複雑な財務モデルで、投資グループの適切価格、大
規模太陽光発電プロジェクト開発――例えば、世界銀行グループ機関の多国間投資保証機関
MIGA) が、銀行家のリスク懸念を和らげ、民間金融機関の民間金融機関や投資家に210
百万ドルの「政治的リスク」保険の提供――に役立て、さらに、
 IFCと9つの国際銀行のコ
ンソーシアム(合同体)は、太陽光発電設備の最大の民間包括金融先のベンバン・ソーラー
の19のプラント建設に参加する13のソーラー発電所建設に融資に、中東および北アフリ
カで、 IFCはこの計画は合計823百万ドルの投資規模にのぼる。

尚、設備の少なくとも325メガワットはNEXTracker社のの単軸追尾型を投入、LinkedIN
介し、同社は単軸追尾と組み合わせたドイツ製の二重式太陽電池パネル(Mounting Systems
GmbH:
64メガワット)を導入予定であることが明らかにされている。



このニュースに触発され、思い描いたイメージは、太陽光エネルギーに食糧生産とエネルギ
ーゼロ
ホーム/エネルギーゼロビル、水供給を組み込んだ、再生可能エネルギーをコアとした分
散型包括的生活環境供給コンビナートの供給である。その基礎となるのがこの環境工学研究所
WEEFののHPに掲載した{SUN ROAD」のページに掲載した「贈与経済」への考察の一文であり、そ
して、古代エジプト文明史→アマルナ美術→エジプトの再興プランへの思考展開と続くもので
ある。


 「われわれの富の源泉と本質は日光のなかで与えられるが、太陽のほうは返報なしにエ
 ネルギーを-富を-配分する。太陽は与えるだけでけっして受け取らない」(ジョルジ
 ュ・バタイユ『呪われた部分』)と、このようにバタイユは「普遍経済」をイメージし
 ていました。これを『贈与経済』と言い換えることもできますが、常にエネルギーが過
 剰であることは何を意味するのか。生産のためのエネルギーが、成長のためのエネルギ
 ーが過剰に与えられているとことは、太陽エネルギーが無限に与えられていることは、
 「もしもその組織(たとえば一個の有機体)がそれ以上成長しえないか、あるいは剰余
 が成長のうちに悉く摂取されえないなら、当然それを利潤ぬきで損耗せねばならない。
 好むと好まざるとにかかわらず、華々しいかたちで、さもなくば破滅的な方法でそれを
 消費せねばならない」ことを意味していると。そうです、エネルギーが過剰に与えられ
 ているから、惜しみなく消費せざるをえないということが、人間の諸々の経済活動、あ
 るいはもっと広く言えば、諸エネルギーの関係の推移を位置づけていくことが、バタイ
 ユの謂う「普遍経済」の意味です。

   もうお分かりだと思いますが、地下化石燃料や原子力燃料に依存せずとも、人類は無
 償のエネルギーを手にできる段階になったといえます。そのことは、消費活動に伴い排
 出される温暖化ガスが原因となり、引き起こされる世界規模の気象変動の問題が解決さ
 れ、持続可能な社会を希求するわたしたちの努力により、光熱費は限りなく、社会的費
 用として漸近し、個人的な費用としての意味を失っていくのだと思っています。

            『絶え間なく降り注ぐ太陽エネルギーが『贈与経済』の源』

ここでイメージする食糧生産は「植物工場」「内陸魚貝類畜養工場」であり、生活排水や廃
棄物を再
資源化をベースにした「完全水循環システム」から製造した飲料水の供給であり、
この実現に日本の技術を『贈与経済』にベースに率先垂範し、「エジプト再興」の一助を果
たすというものである。


 すべての道は太陽に通ずる!

    

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.8

   ● 対談1 新しい現実をつくる

  『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長

 1955年東京都生まれ。慶臆義塾大学経済学部卒業。1977年城南信用金庫入庫。企
画部勤務などを経て、2010年から現職。「お金は時に人の心を狂わせ暴走させる≒金融
機関の使命はお金を健全にコントロールすること」「健全なコミュニティのなかでこそ健全
なマネーが流れる」などを持論とする。2012年8月にテレビ番組で、経団連や経済同友
会、日本商工会議所が原発推進を提言したことを批判して「大企業は原発を買い取って運営
できるのか」「原発は採算が合わないので即時ゼロ」と経済人の立場から主張した。信用金
庫は、地域を守り、地域の人びとと共に発展していくことが使命だから、安全で平和な暮ら
しがあってこその存在であると主張し、城南信用金庫では、「原発に頼らない安心できる社
会へ」というメッセージを発表している。著書に『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレ
ヨンハウスノ2012)『信用金庫の力』(岩波書店ノ2012)

 Aug. 3, 2012

  お金は「麻薬」

 鈴木 今日は城南信用金庫の五反田の本店にお邪魔させていただいております。よろし
 くお願いします。
 吉原 どうぞよろしくお願いします。
 鈴木 震災から2年がたちました。吉原理事長は、その間、非常に激しく動かれまし
 た。城南信用金庫の脱原発宣言に始まり、「電気が足りないから原発をとめられないと
 い
うならば、電気消費量に占める原発の比率は25パーセントだから、その分の電気を節
 電
しよう」と呼びかけられました。みずからもソーラーパネルの設置、LED照明への
 切
り替え、自家発電機の導入を積極的に行ない、来電との契約を破棄してPPS(特定
 規
模電気事業者・新電力)と契約するなど、つぎつぎと既存の枠組みを壊して脱原発へ
 向
けて実行可能な取り組みのバリエーションを提示され、そして、いま、脱原発に加え
 て
「脱拝金主義」を唱えられていますが、これまでを振り返ってみて、いかがでしょう
 か。

 吉原 手っ取り早い話が、原発には巨額なお金が絡んでいて、拝金主義の象徴の一つで
  あったということです。原発を!基稼働させるだけで1年間に1000億円というお金
 を生み出します。企業、政治家、官僚だけでなく、原発が立地する地元にも、公共投資
 などに使われるたくさんのお金が流れ込みます。こうした利権構造になっていることが、
 原発問題の複雑さ、手ごわさの大きな原因になっているとするなら、いま、日本や世界
 の先進国をおかしくしている拝金主義から脱する試みを同時進行させなければ、いつま
 で待っても解決にはたどりつけないと気づきました。

 ですから、急がばまわれ式に言わせていただきますと、お金は「麻薬」だということ
 から説明させていただくほうが全体像がよくおわかり願えると思います。麻薬も医学的
 に用いればなくてはならないものですが、個人が誘惑に負けて誤用してしまいますと、
 人の心を狂わせ、体を蝕み、人間社会にまで害を与えるようになってしまいます。ただ
 し、お金が暴走したときの被害の大きさは麻薬などの比ではありません。

 鈴木 なかなか興味深いお話です。
 吉原 そこで、お金の弊害について考えてみたいと思います。いま、鈴木さんがいみじ
 くも興味深いとおっしゃいましたが、実際にお金の弊害をわかりやすく教えてくれる実
 に興味深い考古学的発見がありました。
  場所は紀元前4世紀にかけてアラビア半島のチグリス、ユーフラテス川の間の沖積平
 野に開けた古代メソポタミア文明遺跡です。NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間
 になれたのか』の中で紹介されたのですが、ケンブリッジ大学の教授かメソポタミア文
 明遺跡で発掘に当たっていたところ、土中から多数のどんぶり状の土器が現れたのです。
 番組の中で「これは貨幣です。土器に小麦をいっぱいに入れたものが、通貨単位に
 なっていたのです」と教授は説明しました。どんぶり一杯の小麦が通貨になってニワト
 リや油などさまざまな生活物資と交換されていたわけです。貨幣が生まれた結果、商品
 の概念が生じ、ウルクという都市に分業が発達、史上初の職業が生まれ、技術革新につ
 ながって生産性が向上して人口が急増しました。そこまではよかったのですが、ウルク
 の遺跡からそれとは別に祈り垂なって倒れた大量の遺体が出土したことで、驚くべきこ
 とがわかりました。

 鈴木 戦争の犠牲者ですね。
 吉原 そうです。原始社会では村の人びとが狩りをして獲物を得たら、みんなで平等に
 分けるのが決まりでした。漁をして魚を獲っても同じように分け合いました。魚や肉な
 どは独り占めしようとしても保存がききませんから、そういう発想にならなかったので
 すね。ところが、お金が生まれ、商品という概念が生じると、お金に換えておけばいく
 らでもためられるし、商品が必要なときはお金を使っていくらでも手に入るのですから、
 村人たちはタダで分けることがバカらしくなり、自分が獲ってきた魚や肉を貨幣に換え
 て富を築く欲望に目覚めました。こうした行動が当たり前のように繰り返されるうちに
 仲間意識が次第に希薄になって、自分と他人は利害関係で別という考えになり、どこま
 でも自分が主体で他は客体として利用するようになり、ついに共同体そのものの形骸化
 が進みます。これがお金の麻薬性というか弊害なのです。

 鈴木 現代はまさに金融全盛の時代ですが、基本となるパターンは何も変わりませんね。
 貨幣がない時代は自分だけ食いっぱぐれるという心配がありませんから、意識はおのず
 と身のまわりの自然や生き物に向けられます。そして、それらを大事にします。
 富を増やすという意識がないのですから、自分たちが生きるのに必要な分だけつかまえ
 て食べればよく、「いただきます」という感謝の気持ちが自然に芽生えてきます。自然
 も生き物も人間と同じようにいのちを宿しているわけですから、人間と同じようにかけ
 がえがないというような精神性がおのずと培われるわけです。ところが、貨幣が生まれ、
 貨幣を基準に考えて行動するようになると、すべてが貨幣で交換可能な物としか見なく
 なり、物の奪い合い、富を競うという、これまでなかった現象が生じていくのです。行
 き着く先が競争社会、格差社会です。そして、2011年のニューヨーク市ウォールス
 トリートで、「オキュパイ・ウォールストリート(巨額の富を独占するウォールストリ
 ートの金融街を占拠しよう)」という抗議行動が起きて世界中の注目を集めました。

 鈴木 よく、覚えています。
 吉原 いまやアメリカの上位Iパーセントの人間が全米の資産の40パーセントを所有
 し、上位5パーセントが全米の資産の81パーセントを所有しているといわれます。これ
 を裏返すと、全米の95パーセントの国民が全資産のわずか19パーセントで暮らしている
 極端な現実が浮き彫りになります。1960年代のアメリカは中産階級が豊かで、家族
 は大きな家に住み、大型の車を乗りまわし、電気冷蔵庫などの家電製品に囲まれて、各
 人が幸せに暮らしているというイメージでした。世界中の人びとがアメリカ映画を見て
 「自由と資本主義の国」アメリカに憧れてきただけに、そこに至るまでの間に何かあっ
 たのだろうと驚いているのだと思います。

 鈴木 暴走する金融をコントロールできないで、どのような手を打ったらよいのか、い
 まや悩めるアメリカというイメージで世界中が注目していますね。アメリカは確か過去
 に2度、世界金融恐慌とブラックマンデーで痛い目に遭ったはずなのに、最近になって
 リーマンショックでお金の暴走の恐ろしさをまたしても思い知らされました。どうして
 同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
 吉原 アメリカは自由主義と資本主義を国是としています。そのために1928年の世
 界金融恐慌、1987年10月19日のブラックマンデー、2008年のりIマンショック
 と3度もお金の暴走に翻弄されてしまいました。戦前の世界金融恐慌はニューヨーク証
 券取引所ダウ30種平均の終値が12・8ポイント下落しだのがきっかけでした。198
 7年のブラックマンデーではニューヨーク証券取引所ダウ30種平均の終値が22・6ポ
 イント下落しました。前者のときはルーズベルト大統領が銀行を国有化するなど社会主
 義的政策を断行して、貨幣の暴走に歯止めをかけました。後者のときは米金融当局が適
 切に対処したため、実体経済への影響は最小限に食い止められました。そして、3度目
 がリーマンショックです。そもそもリーマンショックとは何だったのでしょうか。

 鈴木 私は金融詐欺の必然の結末と理解していますが……。

  金融覇権国家をめざすアメリ力

 吉原 脱原発ではなく脱拝金主義の説明になってしまっていますが、必ず脱原発の説明
 につながりますから、もう少し我慢して聞いていただきたいと思います。リーマンショ
 ックはおっしやるように、「サブプライムローン」という不良債権を金融商品化して、
 世界中に流通させた詐欺まがいの商法がきっかけで起きました。どうしてそのような詐
 欺まがいの金融商品が通用してしまったかというと、日本との貿易摩擦が遠因になって
 いるのです。

 鈴木 日本がバブル景気に沸くなか、アメリカのプラザホテルで政府間交渉が行なわれ
 て「プラザ合意」が行なわれたころですね。
 吉原 そうです。生産力においても世界一だったアメリカは、自国の優位をさらに強化
 するために「GATT(関税および貿易に関する二股協定)」や「IMF(国際通貨基
 金)」などをツールに用いて自由貿易体制を確立していました。よい品物をつくれば世
 界中に販売して豊かになれる仕組みでした。もちろん、アメリカが世界一であることを
 前梶にしたうえでの世界自由貿易体制ですから、繊維に始まり、鉄鋼、家電、自動車、
 半導体と、日本の企業がアメリカ企業を圧倒するようになってくると話は違ってきます。
 当時のアメリカはものづくりで口本に負け、それでいながら旧ソ運との冷戦構造のなか
 で軍拡を余儀なくされるといった具合で、きびしい国家運営を強いられていました。

  1985年にはG5蔵相会議をニューヨークで間催して、為替レート安定化の名のも
 とに日本に円高をのませる「プラザ合意」に漕ぎつけ、1989年には日米構造協議で
 さらなる円高政策を迫り、やっきになって貿易黒字でため込んだ外貨を吐き出させよう
 としました。その中間の1987年にそうした努力をあざ笑うかのようにブラックマン
 デーが起きたのです。

  以後、アメリカはものづくりなどを日本や外国に任せる一方、繊維に始まり、鉄鋼、
 家電、自動車、半導体と、アメリカ企業を圧倒して生産で世界一に躍り出た日本が巨額
 にため込んだ外貨を金融システムで吸い上げる方向に政策を転換していきました。
  アメリカはこれまでの自由貿易戦略を見直して、新たな国家戦略すなわち世界最強の
 金融と情報、軍事力を背景にしてアーキテクチャー戦略に踏み切ったのです。特に金融
 においてそれが顕著でした。金融市場の自由化、BIS規制(国際決済銀行による銀行
 の自己資本比率の国際続コ、国際会計基準の制定が進められ、ニューョークの金融街
 ウォールストリートに本社を構える巨大な投資銀行や商業銀行が世界の市場で巨額の資
 金を移動し、活発な投資が行なえるようにしました。国債や企業の発行する債券を評価
 して、国家や企業を評価付けする「格付け会社」などは、その別働隊ともいえます。企
 業や国家の格付けを発表して、巨大金融資本の世界的な投機活動を支えているのです。

 鈴木 気がつかない間にとんでもないことになっていたわけですね。
 吉原 ところが、多くの人には、それがわかりません。金融の専門家にも実は判断がつ
 かなかったのです。
 鈴木 どういうことでしょうか。

               『なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか』

経済・金融分野でのプロとの対談、平易でわかりやすいという印象。面白い展開が期待でき
そうである。

                                   この項つづく




滋賀県で生まれた、針葉樹の薪も燃やせる
薪ストーブ「Ritsh
リッシュ)」

家を新築する際にぜひ取り入れたいという人が増えているそうです。設置している人による
と、「家の中で燃える火を見ていると心が落ち着く」「じんわりと体を包み込むような暖か
さで部屋全体が温まる」と評価します。ところが、広葉樹は火持ちが長く使い勝手が良いも
のの、マツやスギなどの針葉樹は伐採もされず倒れたり伸び放題になっていることからぜひ
活用したいのに、燃焼時間が短く、燃やすと1000℃を超える高温になりストーブを傷めるの
で燃やさないでくださいというストーブが多いのが現状。そのような中、東近江市にある鍛
鉄工房・室の「Ritsh(リッシュ)」(里守)は針葉樹が燃やせる国産薪ストーブとして注目
を集めています。
              
 

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厚かましい手抜き

2018年02月20日 | デジタル革命渦論

 

                     告子(こくし)    /    孟子    

                                   

        ※  仁義と利益:宋牼(そうこう)が楚に急行する途中、石丘で孟子に
                  孟子は宋牼にたずねた。「先生、目的の珀はどちらですか」宋牼は言
                  った。「楚に行くところだ。泰と禁が戦端を開いたというから、わし
                  は楚王を説得して戦争をやめさせようと思う。禁王が承知しなかった
                  ら、泰王を説得して戦争をやめさせる。どちらか一方は、わしの進言
         をきき入れるにちがいない」「さようでしたか。ひとつ、詳しいこと
         はともかく、どのように説得されるのか、要旨を対きかせ下さい」「
         わしぱ戦争の不刈谷なことを力説するつもりだ」「先生の対応は広大
         ですが、それでは説得の主眼点が間違っております。先生が利を説い
         て成功したとしましょう。このばあい、奈楚両王は利益の貴重さを知
         って軍事行動を停止するのであり、将兵が停戦を歓迎するのも、利益
         本位の立場からです。もし、臣下であり、人の子であり、弟である者
         が、利益本位に君主や父兄と結びついているのだとしたらどうでしょ
         う。人間が仁義の絆によってではなく、利益によって結ばれる、こう
         いう国が持続したためしはありません

         逆に、先生が仁義を説いて成功したとしましょう。このばあい泰楚両
         王は仁義の貴重を知って軍出会った。事行動を停止するのであり、将
         兵が停戦を歓迎するのも、仁義の立場からでありましょう。臣下であ
         り、人の子であり、弟である者が、仁義の絆によって主君や父兄と結
         びついているこのように、人間がみな利益によってではなく、仁義の
         絆によって結ばれる、これが実現できながら王者になれなかったため
         しはありません。どうして利益などとおっしゃるのです」

Cleo - The drone of the future  

 AUG. 12, 2014 

【シチリアスタイルの魚のカルパッチョの異変レシピの話】


西洋刺身料理といえばカルパッチョというわけで、ネット検索していると、ニューヨークタ
イムスがとんでもない料理を紹介していた。『鮭/鮪のわさびソースカルパッチョ』という
もの。プラスティクラップフィルムにオリーブを塗布し、薄切りのカルパッチョを1枚乗せ、
魚の表面をオリーブオイルで軽くブラシング(磨き)、その上にラップフイルムを乗せ、肉
テンダライザ(軟化器)やピンローラーで3~6ミリの厚みになるまで優しくたたき、ラッ
プフィルムを剥がし冷蔵庫で30分放置するというもの、刺身といえば、包丁の切れ味が美
味さ(食感)を決定ずけるものとばかりと考えていたものだからこれは手抜き料理ではない
か訝る。しばらく、あれこれ考えていたが、うまければ手抜きも問題ないか?!と思い定め
る。
     

     
No.154

【蓄電池篇:最新土壌還元可能電池技術】 

● ツチニカエル電池Soil reduction batteryとは何か

 May 17, 2013

2月19日、 日本電信電話(NTT)は、土壌や生物へ悪影響を与えないレアメタルフリーの
新しい電池を開発、動作を確認したことを公表。名称は「土に還る電池(ツチニカエルでん
ち)」。電池部材は肥料成分や生物由来材料から構成、使用後も環境に悪影響を与えない。
ツチニカエル電池は、セパレーター、筺体、正極に生物由来材料を、負極と電解液には肥料
成分を利用。一般に電池の電極は、酸素が拡散できる3次元の導電性多孔体構造が求められ
従来の電極は、結着剤により粉末状カーボンを固形化し構造を形成するが、結着剤にはフッ
素系樹脂などが使われ、燃焼時には有害ガスが発生する。また、土壌などには含まれていな
い物質であり、低環境負荷の材料ではない。そこで、は生物由来材料の前処理後、多孔体構
造のカーボン化に成功。結着剤自体が無いカーボン電極を開発した。

開発した電池の動作確認では、測定電流1.9mA/cm2において電池電圧1.1Vを記録。また数個
を直列につなぎ、市販のBluetooth Low Energyの温度センサーモジュールに接続→モジュール
からの信号を受信して電池が動作することも確認できた。
なお、電池が植物に与える影響を
確認するために、肥料検定法に基づく植害試験も実施。これは、使用済み電池を粉砕して土
壌に混合し、そこに植えた小松菜の発芽状態によって土壌への影響を評価するもの。その結
果、ツチニカエルでんちは従来の電池と異なり、植物の成長に悪影響を与えないことが確認
する。NTTでは今後、電池の性能のさらなる向上に取り組む他、ツチニカエルでんちを活用
したセンサーサービスの提供を検討していく。なお、この成果は20180222~23日に開催
る「NTT R&Dフォーラム2018」で展示される。

生物由来カーボンなどが本当にリスクフリーなのかはわからないため段件扱い。

※ 関連特許事例: 特開2016-166817 電池容量推定システム、電池容量推定方法および電池
    容量推定プログラム 株式会社NTTファシリティーズ(下図参照)。



【暗号通貨のASICに関する激しい「戦争」が勃発している話】

ビットコインに代表される仮想通貨では多くの場合、ブロックチェーンの信頼性を高めるた
めに「プルーフ・オブ・ワーク」(PoW)という作業が行う
。その際には膨大な量のコンピュー
ター処理能力が求められ、その用途に特化した「ASIC」(Application Specific Integrated Circuit
特定用途向け集積回路)と呼ばれるチップを搭載したマシンが用いるが、加熱する仮想通貨の
世界の傍らでは、このASICに関する激しい「戦争」が勃発しているという。

 Feb. 13, 2018

暗号通貨の一つであるMoneroは、エスペラント語で硬貨やコインを意味する言葉から名付け
られた仮想通貨。プライバシーの高さを特徴とするMoneroは2014年に運用が開始、開発者は
2018年2月11付けのブログで「ASIC耐性を高めること」についての方策を発表
、通常は1年に
2度が予定されているハードフォークを実施するたびにPoWアルゴリズムを変更する。Mon-
ero
の一般ユーザーにとは影響のないこのアルゴリズム改変だが、ASICを使ってマイニングを
行っている「ASICマイナー」には、ハードフォークのたびにそれまでの手法が時代遅れにさ
れてしまう影響が及ぶ。また、もしこの対策が不十分であることが判明した際には、開発者
は「緊急ハードフォーク」を実施することで、ASICマイナーによる「掘りすぎ」を防止する
ことが条件となる。また、いま仮想通貨の世界では、ASICを使ったマイニングの「不公平感」
が問題とされる。この開発チームが不公平さをなくすことでより広く平等なシステムとし、
本来は分散型である仮想通貨が一部のマイナーによって「独り占め」されることを防止する
狙いがあり、ASICの生産メーカーの寡占化も問題視されている。

 Wikipedia;Telegram

中国にあるASICメーカーのBitmainASIC生産に膨大なシリコン母材「シリコンウエハー」
を発注しており、その規模はGPUメーカー大手のNVIDIAをしのぐ。つまり、一部のメーカー
によるマイニング技術の独占状態リスかが危惧――今後もしMoneroのマイニングがBitmain
製のASICにより完全に独占され、そこでBitmainが拠点を置く中国政府が何らかの規制をかけ
ASICマイニングをストッ
プさせる「キルスイッチ」の搭載を強制されれば
中国政府の中
央集権的な仮想通貨となってしまう恐れがある。そこでMoneroでは、メーカーが分散化して
いるGPUを使ったマイニングが行われるようにしておくことで、特定勢力による恣意的なコ
ントロールを防止する環境作り目的に掲げる。Moneroの次のハードフォークは、2018年3月
の予定。



● 今夜の寸評:彼はタフだが厚かましい

英会話の宅ラーニングがスムーズでない。理由は時間である。それでも宅トレでデーコード
し、ヒアリングするなりして遅れを取り戻そうと努力はしている(言い訳か)。『ニュース
で英会話』で「NEW DETERRENCE STRATEGY(新・抑止力」の中で面白いと思った箇所ががあ
った。内容はドナルド・トランプ政権は中長期の新たな核戦略を発表し、核なき世界を目指
すとしたバラク・オバマ前政権からの方針転換を打ち出したニュース。



 The U.S. government has announced a new nuclear strategy to enhance its deterrence
   capabilities.
This marks a policy shift from former President Barack Obama, who often
   advocated for a world 
without nuclear weapons.
The administration of President Donald
   Trump released on Friday the Nuclear Posture Review. 
The new policy sees global
    threats rapidly growing as Russia and China expand their nuclear arsenals, and North
    Korea continues its nuclear development. The document states that enhancing the U.S.
    nuclear deterrence is needed to counter such threats.

    It calls for modernizing U.S. nuclear arsenals and deploying submarine-launched
    ballistic missiles armed with low-yield nuclear warheads.

    Under the new policy, the U.S. would only consider the use of nuclear weapons in
     "extreme circumstances." But the government isn't ruling out the possibility of using 
    nuclear weapons in response to a conventional attack.

 アメリカ政府は、抑止力を強めるための新たな核戦略を発表しました。これは、折に
 れて核なき世界を提唱したバラク・オバマ前大統領からの方針転換を示すものです。
 ドナルド・トランプ政権は金曜日(2月2日)、「核態勢の見直し」を発表しました。
 新戦略は、ロシアと中国が核戦力を増強し北朝鮮が核開発を続けていることによって、
 世界的な脅威が急激に増しているとしたうえで、こうした脅威に対抗するにはアメリカ
 の核抑止力を強めることが必要だと指摘しています。メリカの核抑止力を強めることが
 必要だと指摘しています。そして新戦略では、アメリカの核戦力を近代化し、低出力核
 (と呼ばれる威力を抑えた核弾頭)を搭載した潜水艦発射弾道ミサイルを展開するよう
 求めています。新しい方針のもとでアメリカは、核兵器の使用は「極限の状況」でのみ
 検討するとしていますが、通常兵器による攻撃に対しても核兵器で反撃する可能性を排
 除していません。




そこで記憶に残ったのが”He is tough and pushy.”(彼は強引で厚かましい)というフレーズ。


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小さな巨人Ⅹ

2018年02月19日 | デジタル革命渦論

 

                     告子(こくし)    /    孟子    

                                   

        ※ くらべ方が問題:任(じん)の国のある男が屋廬子(孟子の弟子)
         にたずねた。「礼とメシとでは、どちらが重要かね」「それは礼で
         す」「性欲と礼とでは?」「もちろん礼ですよ」「では、礼を守っ
         ていれば餓死するが、守らなければメシが食べられる、という場合
         でも、やっぱり礼は守らなければならないのかね。結納をかわすの
         であれば妻が娶れない。しかしやらなくてすむならば娶れるという
         場合でも、やっぱり儀礼どおりにしなければならないのかね」

         屋廬子(おくろし)は返答につまって、翌日郡に行き、孟子にたず
         ねた。孟子は、「そんなことに答えられないのか。根もとを見ない
         で先端だけくらべるなら、一寸の木切れでも高楼より高いというこ
         とができる。金は羽毛より重いという場合、帯止めの金と車一杯の
         羽毛とをくらべてそういうのではない。この場合、食事のほうは、
         人の生死にかかわっている。ところが礼のほうは、とるにたらぬ例
         だ。この二つを比べて、食事が礼より大切だということができるだ
         ろうか。また、性欲と礼とをくらべる陽合には子孫を残すという重
         要な問題と、とるにたらぬ儀式とをくらべている。これで、性欲が
         礼より大切だということができるだろうか。

         任の男にこういってやれ、『兄の腕をねじあげて食物を強奪すれば
         よし、さもなければ食物にありつけないという場合、あなたは兄の
         腕をねじあげるのか。隣の押板を踏みこえて娘をひきずりこめばよ
         し、さもなければ妻を持てないという場合、あなたはひきずりこむ
         のか』とな」

        〈結納〉 駄文は説述。絹紬の当日、「新郎」が新婦を迎えに行く代
         代である。妻を娶る場合、納采、同名、納言、細微、告則などを経
         て、最後に親迎の礼に至る。もちろんその都度、礼物を持参しなけ
         ればならない。

        【解説】 原則を固執して特別の場合を認めないのは教条主我である。
         特別の場合だけを見て原則を否定するのは経験士族である。仁政礼
         智を高唱する孟子は、とかく原則一点ばりと受けとられがちである
         が、実は柔軟な思考を持つ実際家でもあるのだ。
 



 谷口三平さんの米寿を祝う@水幸亭



● 日本の加工食品技術は世界一?

先日は、味の素の冷凍食品の美味さに驚き、今日は日清のどん兵衛の鴨だしそばの美味さに感嘆。湯を注
ぎ入れ、そこに自家製のアラビアーターオーレーアリーを加え、iPhoneで3分間のカウントダウン。スー
プは勿論、生麺ではないが細めのそばはのど越しの程良さに感心。食感の改良添加剤に燐酸エスタなど加
えるのが一般的だが、そこは注意深くカルシウムを補強(ホットミルクなど)するのだが、加工食品は現
地の嗜好性やローカリティを細かくアレンジしていけば、自ずと世界を席捲する。いや、感心する。

      

     
No.153

【ピエゾタイル事業篇:圧電素子を超える振動発電機能をもつクラッド鋼板】 

● 出力がこれまでの20倍の磁歪複合材料



今月13日、東北大学らの研究グループは、冷間圧延鋼板(SPCC相当)とFeCo系磁歪材料の冷間圧延板
とを熱拡散接合させ。このクラッド構造――性質の異なる異種の金属を圧着した鋼板――で、FeCo 磁歪
材料単独の場合よりも数倍から20倍以上
振動発電出力が得て、電磁力学場の数値シミュレーションに
より増幅機構解明にも成功したことを公表。
この成果は、身のまわりの生活振動や工場設備などの微小振
動を利用するIoT センサー用電源から、強靱で衝撃に強い材質を活かして、鉄道車両・自動車などの走行
振動や風力・水力などを利用する大型のエネルギーハーベスティングへの応用が可能となり、省電力が課
題のEV(電気自動車)での応用展開が期待されている。

尚、新開発のクラッド鋼板は、従来から振動発電素子として知られている圧電素子と比較すると、微小な
振動(加速度0.1G、振幅20µm、周波数50Hz)では25倍以上の出力が確認されており、IoTなどの無線センサ
ー用電源としては十分な電力が得られ、破損しにくいという点も特徴となっている。また、冷間圧延鋼板
をニッケル板におきかえたクラッド構造にすると、より大きな出力(圧電素子の50倍以上)が得られ、通
常の磁歪材料に比べ、磁場による形状の変化量が100倍程度大きな材料の超磁歪材料(Galfenol)に匹敵す
る発電性能をもつ可能性があり調査研究されている。

Feb. 12, 2018

東北特殊鋼は2016年から自社の鋼材工場設備の振動を利用したFeCo系磁歪材料による振動発電器を電源と
するIoTセンサーシステム(モーター監視)を試験的に運用。今回開発したクラッド鋼板による振動発

器を利用することにより、これまで振動が非常に微小なためにセンサーノードが機能しなかった箇所
にも
システムを拡大できる。将来の大型化を想定した試験として、クラッド鋼板の小片による振動発電器を、
自動車を模した台車に取り付けて走行させる実験では、数mW(ミリワット)以上の出力を確認しており、
実際の自動車ではW(ワット)級あるいは路面状態によっては、それ以上の発電量が期待できる。

 

Titol:Magnetostrictive clad steel plates for high-performance vibration energy harvesting Appl. Phys.
         Lett. 112, 073902 (2018); https://doi.org/10.1063/1.5016197

 どこが違うのか 特開2017-163119  複合強化型の磁歪複合材料及びその製造方法

【概要】

この複合強化型の磁歪複合材料及びその製造方法に係り、より詳細には磁歪合金フィラーを埋め込んだ、
ロバスト(強靱)かつ軽量性を具えた自己発電型スマート複合強化型の磁歪複合材料及びその製造方法に
関し、その原理は、磁歪合金が外力(応力)を受けると、ひずみエネルギーが材料内部に及び、その結晶内
のミクロ的な磁気モーメント領域(以下、磁区または磁気ドメイン(Magnetic Domainと表示)の発生や移
動挙動に影響を及ぼし、ついには、試料表面から応力に対応した形で漏れ磁束が発生する、いわゆる“逆
磁歪現象”を利用する。  そのような機能を有す磁歪合金を薄板や細線に加工して、ポリマー、金属、セ
ラミックスからなる母材(マトリックス)に適切に埋め込み、複合強化と同時に逆磁歪効果(漏れ磁束現
象)を増強して、外力センサや振動発電機能を高めた、複合機能型でスマートな複合材料を提供―― その
ような機能を有す磁歪合金を薄板や細線に加工して、ポリマー、金属、セラミックスからなる母材(マト
リックス)に適切に埋め込み、複合強化と同時に逆磁歪効果(漏れ磁束現象)を増強して、外力センサや
振動発電機能を高めた、複合機能型でスマートな複合材料を提供するものである。

磁歪材料は,エネルギー回収を可能とするため,高い磁歪特性を有し,大量生産可能で,低コストな材料
が要求される。テルビウム,ジスプロシウムおよび鉄から成るTerfenol-Dは,巨大な磁歪(800-1600ppm
と低い磁気異方性のため,重要な磁歪材料として認められている。様々な応力と磁場下でTerfenol-Dロッド
の磁歪・磁気特性を検討し,最大の磁気弾性定数が比較的低い圧縮プレストレスとバイアス磁場で達成で
きることを示す。また,交通からエネルギーを回収するTerfenol-D電力発生子の設計手法も提案されている。
さらに,森ら[非特許文献6]は,Terfenol-D板を利用した共振調整機能を有するカンチレバーの動的曲げと
環境発電特性に関する研究を理論・実験両面から行っている。Terfenol-Dはエネルギーハーベスティング材
料として有望であるが、脆性や,有効な周波数領域を制限する高い渦電流の発生など,いくつかの問題に
より,圧電材料の代替材料としての使用が制限されている。これらの問題がきっかけとなり,複合材料を
利用して上記問題を解決する検討が行われてきている。最近,Terfenol-D粒子をポリマー母材に分散させた
磁歪複合材料が,高い引張強度と小さな渦電流損失のために注目され、Terfenol-D粒子分散エポキシ樹脂
の応力誘起磁束密度に及ぼすTerfenol-D粒子の分散量とサイズの影響が解明されている。また、Terfenol-D
子分散エポキシ複合材料の外力誘起磁場の新しいモデルも提案されている。さらに、Galfenolとして知ら
れているFe-Ga合金は,400ppmの磁歪を示し,一部の研究者はGalfenol振動電力発生器のエネルギーハー
ベスティング特性を研究されているが、しかしながら、それらも生産・加工が難しい、高価などなどの欠
点をもち、本格的な環境発電材料とては不完全で適期事例も少なく、製品化には至っていない。

以上から、従来技術の米国製(特許)の磁歪合金素材2種の問題点と利用限界は以下の通りとなる。

1)鋳造材料は脆く、難加工性で2次加工(線材、板材強加工(圧延、線引き)は“不可能”であった。
2)この2種類の磁歪合金の剛性は鉄系よりも半分以下であり柔らかく、2次加工(強加工)に伴い、内部
 に(結晶配向性変化、内部欠陥(われ、転位密度の不均質性、内部応力不均質性)が発生して、磁気/磁
 歪特性が大幅に低下してしまう。それゆえに、2次加工材から得られる圧延薄板や絞り込み細線の入手
 は不可能であり、それを用いた工業製品は皆無であった。

一方、2011年になって,Fe1-xCo磁歪(x=50-90 at%)合金が鍛造・冷間加工によって開発され
様々な合金組成と熱処理の影響が検討されている。また、高いCo含有量のFe-Co合金に対する熱処
理の影響も研究されている。Fe-Co合金は,高強度,延性,優れた加工性を示し,Fe-Co合金繊
維も容易に作製可能である。
高アスペクト比による磁歪連続Fe-Co合金繊維は,様々な特色(低反磁
界係数,強い磁気結晶異方性など)を示すため,Fe-Co繊維をポリマー中に分散させることで,高い
磁歪特性を有する複合材料の開発が期待される。さらに,ポリマー複合材料は,軽量で,作製時にプレス
トレス効果が付与されるなど、Fe-Co繊維の特徴を生かした高品質の複合材料設計が可能となる。

以上をふまえ、ロバスト高強度、大発電力、応力負荷に耐える“自立発電型”スマート材料として多方面
に展開することが可能な複合強化型の磁歪複合材料及びその製造方法を提供するにあたり下図のように、
こと母材と硬化剤をある比率で混合して、FeCoファイバを型の中で一方向に配列し,重りにより応力を負
荷した状態で,母材を型に流し込む。その後,室温にて,24時間硬化させ、さらに,硬化したFeCoファイ
バ強化複合材料を恒温炉内に入れ,80℃に加熱後3時間保持して後硬化させることにより、引張残留応力の
入った高発電力の磁歪繊維強化型複合材料を製造する。FeCoファイバを熱処理することにより、さらに高
性能な磁歪繊維強化型複合材料を製造することもできる。さらに、理論解析を併用し、複合材料を最適化
することもできる。

【図5】複合材料の製造手順

このような複合強化型磁歪複合材高出力圧電素子の研究開発に対し、No.151の「フィルム型ピエゾタイル
事業篇:微風あるところなら自由に設置可能」で紹介したように、低出力ながらフィルム圧電素子(国内
特許事例として紹介した下図の「特開2015-002607|振動発電体(株式会社ビスキャス)もあるが)の2種
類を建造物の表面に配置し、それぞれに好適な表面形状に加工した風圧振動体と一体形成させたモジュー
ルでソーラー/サーモタイルと同様にタイリングが可能だと考えているが、新しい風力発電モジュール
生まれ、可住面積を損なうことなく発電機能を付加できる。
 



【日本初発のペロブスカイト年内にも実用化】

2月11日、産経ニュースは日本発の次世代太陽電池が注目を集めている。フィルム状で柔軟に曲げるこ
とができ、低コストで透明化も可能だ。光エネルギーの変換効率は現在主流のシリコン系に迫る水準に向
上し、年内にも実用化が始まる見通しで、太陽電池の用途を大きく広げそうだと報じている。「太陽光か
ら電気を作り出す太陽電池は現在、半導体の基板材料にシリコン(ケイ素)を使うタイプが主流だ。これ
に対して次世代型の本命といわれるのが「ペロブスカイト」と呼ばれる特殊な結晶構造の材料を使うタイ
プだ。鉛を中心に有機化合物、ヨウ素、臭素などが規則的に並ぶ構造で、光を吸収しやすい。太陽光を浴
びると電気的にマイナスの電子とプラスの「正孔」が生じ、光エネルギーが電気エネルギーに変換される
。この原理を桐蔭横浜大の宮坂力(つとむ)特任教授が2005年に発見し、太陽電池に利用する可能性
に道を開いた」と。

 どこが違うのか

ここから再確認ということで同社の報道内容を引用する。「宮坂氏は翌年、ペロブスカイト構造を持つフ

ィルム状の物質を2種類の材料でサンドイッチ状に挟み、電子と正孔を逆方向に分離して動かすことで電
流が生じる太陽電池を世界で初めて学会で報告し、09年に論文を発表した。太陽電池の基本性能である
光エネルギーの変換効率は当初、わずか2・2%で、シリコン系の26%台に遠く及ばなかった。だが、
元素構成の改良などで急速に向上し、昨年12月には韓国の研究チームがシリコン系に肉薄する22・7
%を達成した。ありふれた元素を使うため原料費は安い。製造が簡単なのも利点で、ペロブスカイト物質
を含む溶液をガラスやプラスチックの基板にペンキのように塗って乾かすだけで「中学校の理科室でも作
れる」(宮坂氏)。真空ポンプなどの大規模な製造装置が必要なシリコン系に比べ、製造コストは半分以
下という」。



 歩きながら発電

「最大の特徴は薄く柔軟なことだ。シリコン系は固く割れやすいため、最低でも0・1ミリ程度の厚さを持たせる必要
がある。ペロブスカイト物質は重い鉛を含むため比重は2倍だが、100分の1以下の厚さで軽く作れる。太陽電池
の軽量化は設置場所や用途を大きく広げそうだ。シリコン系は重さに耐える平らな場所にしか設置できないが、フ
ィルムのように薄く軽ければ、それほど強度のない壁面や、曲面に取り付けることもできる。ペロブスカイト物質は
赤褐色だが、薄くすれば透明化も可能だ。東京大の研究チームは昨年、半透明の太陽電池を開発。住宅やビル
の窓ガラス、自動車のスモークガラスや天井から光を取り込むサンルーフなどへの応用を想定している。
理化学研究所は衣類に張り付けることができ、洗濯しても変換効率が大幅に低下しない超薄型の太陽電池
の開発
を検討している。れらが実用化すれば、自動車のバッテリーや家庭用電力の補助に役立つ。衣類や
かばんに張っ
て外出しながら発電し、携帯電話などのモバイル機器の充電もできそうだ。ペロブスカイト
太陽電池は当初、ほとんど注目されなかった。変換効率があまりに低かったからだ。だが12年に10

9%を達成してからは開発競争が一気に激化。宮坂氏の09年の論文は、これまでに世界で5千回以上も
引用さ
れている。開発初期は耐久性も数カ月にとどまり、20年以上に及ぶシリコン系と比べ大幅に短い
ことが大きな欠点
だった。しかし、有機化合物の変更などの改良が続いた結果、最近は10年以上に向上
したことが実験で確認され
ている」と。

 課題は安全性

「残る大きな課題は、劣化した際に有害な鉛が漏れ出し、環境を汚染する懸念だ。このため無害な代替物
質の研究が活発化している。理研は昨年、世界最高水準のスーパーコンピューター「京(けい)」による
シミュレーションで、有害物質を含まないペロブスカイト構造の候補物質を一挙に51個も発見した。
宮坂
氏は「量産ラインの整備を急いでいる企業もあり、年内にも実用化が始まるだろう。今後はシリコン系を駆逐するの
ではなく、用途や環境に応じた使い分けや組み合わせで共存していくだろう」と話している」と。

※ 『ソーラータイル事業篇:ペロブスカイト型ソーラーの躍進』(2018.02.13.「エネルギーフリー 社会を
   語ろう! No.150
)も願参照。

【省エネ篇:世界初SiCパワー半導体で洋上風力の高圧直流送電を高効率化】

2月14日、三菱電機は、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体モジュールを適用することで、洋上風力のHV
DC
(高圧直流)送電を効率化する新技術にめどを付けたと発導体モジュールを適用することで、洋上風力
HVDC(高圧直流)送電を効率化する新技術にめどを付けたことを公表。それによると、SiCパワー半導
体を適用したMMCHVDC変換器セルの技術検証を実施した。MMCとは、変換器セルを多段に直列接続
した構成の変換器で、洋上風力発電などの長距離・大容量送電に使われる。この変換器の大幅な電力損失
低減
と小型軽量化を実現、また、長距離・大容量送電の高効率化や設置面積の制約が大きい洋上プラット
フォームの省スペース化に貢献。



3.3kV SiCパワー半導体モジュールをMMCHVDC変換器セルに適用し、さらにモジュールを並列化するこ
とで変換器セル内部の抵抗を抑えた。電磁界解析を用いて変換器セル内部の電流分布を可視化し、並列化
したSiCパワー半導体モジュールに電流が均等に流れるように部品を配置することで、電力損失を従来比、
50%に抑えた。
SiCパワー半導体モジュールを適用することで、スイッチング周波数を上げられ、周辺部
品であるコンデンサ容量を低減。また、電力の低損失化によって冷却装置の小型化を実現し、変換器セル
の体積を21%、重量を14%低減した。スイッチング周波数は、従来の約150Hzから約350Hzに高めた。

洋上風力発電で得られる電力は、長距離・大容量送電に適したHVDC送電により電力使用地域に送電される
が、そこで既存の交流系統に接続するため、交流と直流の変換器が必要になる。同変換器セルを用いるこ
とで、長距離・大容量送電の大幅な効率化が期待される。また、変換器設置場所の省スペース化による設
置コスト削減にも貢献する。
NEDOが管理法人を務める内閣府プロジェクト「戦略的イノベーション創造
プログラム(SIP)/次世代パワーエレクトロニクス」の一環。同プロジェクトでは、シリコン(Si)に代
わるSiCなどの新材料パワー半導体デバイスを製品へ適用するための技術開発を推進し、電力機器の大幅な
高効率化と小型化を目指す。ここでも小さな巨人は働き者だ。

 

 

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小さな巨人Ⅷ

2018年02月15日 | デジタル革命渦論

 

                     告子(こくし)    /    孟子    

                                   

        ※ 人並でなくても平気なもの:ここに、まがったままでまっすぐにな
                    らない薬指があるとする。痛むわけでもないし、仕事にさしつかえ
                    るわけでもない。それでも、これを治してくれる特があるときけば、
                    たとい遠い秦や楚にでも出かけてゆくだろう。指が人並でないから
          だ。指一本が人並でない場合は恥ずかしいと思うのに、心が人並で
          ない場合は恥ずかしいとも思わない。これこそ、物事の俗言を知ら
          ぬというものだ。

        ※ 大人と小人との区別:弟子の公都子が孟子にたずねた。「同じ人間
          でいて、大人と小人との区別が生ずるのはなぜですか」「大なるも
          のに従えば大人になり、小なるものに従えば小人になるのだ」「で
          も、同じ人間でいて、大なるものに従う人と、小なるものに従う人
          とが出るのはなぜですか」「耳とか目とかには、分別する働きがな
          いので、物の本当の姿を見ることが出来ない。対象に接すると、そ
          ちらにひきつけられるばかりだ。心には分別する働きがある。それ
          があるから、物の真の姿をつかめるのであって、それがなければ、
          真の姿はつかめない。心も耳目もともに天から与えられたものであ
          るが、この二つのうち、大なるもの、つまり心で物をみるようにす
          れば、小なるもの、つまり 耳目の迷いに引きずられることはない。
          それが出来る人、それが大人となるのだ」

     【解説】 感覚自体には判断する力がない。現象にまどわされず本質を見ぬけ

 

【樹木トレッキング 19:チョウセンゴヨウ】  

チョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)は、マツ科マツ属の樹木である。マツ科マツ属、いわゆるマツの
一種である。学名 Pinus koraiensisの種小名 koraiensisは「高麗の」という意味。和名はチョウセンゴヨ
ウ (朝鮮五葉)が一般的。他にチョウセンマツ(朝鮮松)など。中国名は紅松や果松北東アジア地域
原産。朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東部と日本に天然分布する。日本では本州中部の福島県南部か
ら岐阜県にかけてと四国の東赤石岳にもわずかな群落が隔離分布しているが、比較的稀な種で山で見か
けることは少ない。
成木は樹高30メートル以上、直径1.5メートルに達する。樹皮は灰褐色で幼齢
時は平滑、成長するにつれて薄く鱗状にはがれる。
針葉は名前の示すように五葉であり、短枝に5本が
束生する。葉は濃い緑色で白い気孔がよく目立ち、遠目には青緑色に見える。長さは6-10センチには
鋸歯があり、ざらざらした触り心地である。葉の断面の樹脂道は同じく日本産五葉松のゴヨウマツ(
Pinus parviflora)の2本に対して本種は3本ある。
球果(松かさ)は8-16センチと日本産のマツ類では
最も大形で、枝の先に3、4個がまとまって出来ることが多い。他のマツ同様多数の鱗片から構成さ
る。色は若い時は緑色だが熟すと黄褐色に変わる。球果の鱗片は熟すにつれて外側に反り返る。マ
ツ属
の球果は一般に成熟後しばらく樹上に留まり、空気中の湿度に反応して開閉を繰り返し中の種子
を散布
する。しかし、本種及び近縁種は成熟後も決して開かないままに落果する。熟した球果は比較
的分解し
やすい他の五葉松類のものと比べても非常に脆く、素手で分解することも簡単である。球果
の1つの鱗
片には2つの種子が入っている。種子は2cm弱ある大型のもので、他のマツと違い翼を持た
ない。


このように、
日本では比較的稀な種であり、純林を構成することはなく広葉樹林に混生する形をとるこ
とが多い。一方、シベリアではトウヒ属(Picea)やカラマツ属(Larix)などの針葉樹と共に森林の主要
な構成種の一つである。
本種はマツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)に感受性が高く、寄
生されるとマツ材線虫病を発症して枯死に至ることが多い。ただし、本種は線虫接種試験に対する感受
性自体は強いものの、実際の森林ではあまり被害を受けていない(推測)。

材は建築、パルプなどに用いる。庭園木、盆栽にする。種子は可食でいわゆる「松の実」として利用さ
れる。種子は海松子と呼ばれ漢方薬に利用される。韓国では葉も利用する。
材は本種の主要産地の一つ
である中国での名を採って紅松 (ホンソン)などと呼ばれる。気乾比重は在来の二葉松類よりやや軽い
0.45~0.50。
シベリアでも伐採が盛んである。シベリアでは絶滅の恐れのあるアムールトラやアムール
ヒョウといった大型肉食哺乳類を保護すること、経済価値の高い本種の違法伐採が後を絶たないことな
どから本種の保護が叫ばれていた。2010年10月付でマツ属としては初めてロシア産の本種をワシントン
条約に登録する措置が採られる。

 

      
     
No.151

【ピエゾタイル篇:最新鶏卵由来リゾチーム結晶触媒技術】 

● 卵由来タンパク質と光エネルギーで高効率水素製造に成功

今月9日、大阪市立大学らの研究グループは、ナノサイズの細孔をもつタンパク質(多孔性タンパク質
結晶)の
内部に、太陽光エネルギーを吸収する光増感剤分子と水素発生反応に対し触媒活性をもつ金属
微粒子を近接
させ集積化することで、光エネルギーを利用して水素製造に成功したことを公表している。
現在、世界中で利用されている水素の大部分は、化石燃料から製造されており、製造段階で二酸化炭素
が発生していること、また外部から多くのエネルギーを供給しなければならない。太陽光などの自然エ
ネルギーを用いて水から水素を製造する方法では、太陽光エネルギーを吸収する化合物(光増感剤)と、
得られたエネルギーから水素を合成する触媒を組み合わせることで得られる。

 どこが違うのか

生物の体の大部分は有機物であるタンパク質によって構成されおり、このタンパク質にはさまざまな化
合物と選択的に相互作用できる複数種類の官能基が含まれている。この選択的な相互作用を利用すれば、
機物を担体とする場合よりもより精密に、異なる機能を持つ機能性分子や粒子を反応に適した形で配置
ができる。今回、鶏卵から安価かつ大量に得られるリゾチームと呼ばれるタンパク質の結晶を利用し、
光エネルギーを蓄えることができる分子(光増感剤)と、水素イオンに電子を与えて水素を作り出す触
媒を組み合わせて水素製造光触媒システムを構築。

リゾチームの結晶は、その内部に無数のナノメートルレベルの大きさの細孔を有する多孔性タンパク質
結晶に、隣り合うタンパク質同士をつなぎ架橋し、多孔性結晶としての安定性を向上できる。この架橋
処理をしたリゾチーム結晶内部に、光増感剤である“ローズベンガル”と水素発生触媒である“白金ナ
ノ粒子
”を固定し光触媒システムを構築。この触媒システムの原子レベルでの構造を単結晶X線構造解
析で調べたところ、ローズベンガルと白金ナノ粒子が近接して固定化されていることを示す結果が得ら
れ(下図参照)、さらに、電子源を含む水中で、この光触媒システムに可視光を照射し、水素発生する
ことを確認。電子源として“NADH”と呼ばれる天然補酵素を用いた場合、水素の収率は85%になり、
同研究グループが無機物を用いて報告した値(76%)と比較して高効率で水素製造できる。また、触
媒の性能を示す触媒回転頻度TOF)も、従来の約3倍に向上する。



【フィルム型ピエゾタイル事業篇:微風あるところなら自由に設置可能】
 

Moya Power社は、動きからエネルギーを得るピエゾフィルム(繊維)の開発を行うベンチャー企業。 
少量の風力エネルギーを収穫する新しいダイナミックな建築材料を開発を行っている。このピエゾ素子
をプリントした半透明のシートは、軽量、低コスト、汎用性、自在性に富み、例えば、
ビルの風力エネ
ルギー解析に基づいてピエゾタイル(フィラメント)の密度を最適化する。また、動的な外観としての
設計も可能である。
建物、窓、橋梁、トンネル、地下鉄などに、高価なインフラや土地を必要とせずに
エネルギーを補足/収穫し、支持材は
可撓性のポリフッ化ビニリデン薄膜シートで空気を通すだけで摂
動する。このタイル(フィラメント)は、圧力に応答し電荷を生成する圧電効果を介してエネルギーを
生成する。補足エネルギーは、コンデンサへと送られ、その後蓄電される仕組みで、
大規模な領域では、
少量のエネルギーを集め大量のエネルギーとなる。尚、
ソーラーパネルと比較し、1平方メートルあた
りのエネルギーの10%程度しか生成できないが、電気発生させる唯一の要件は微風なのでどこにでも
設置できという優れもの。



尚、詳細は上写真をクリック参照。


【ネオコンバーテック篇:最新有機EL技術事例】

特開2018-026278  有機EL表示パネル、及び有機EL表示パネルの製造方法

【概要】

8K放送技術が医療現場に浸透しはじめ再生医療、癌予防/治療、難病治療などの進歩貢献に併行し、
ディスプ産業にも次世代の液晶、有機EL、量子ドット発光ダイオード表示技術の競合進展が顕著にな
りつつある。特に有機ELは表示の鮮やかさ、黒の沈みやコントラストの優位性が受け入れられ、さら
に、液晶に比べて薄くて軽いことで生産拡大の勢いを増している。この特許事例は、デジタルテレビ等
の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子をマトリックス状に複数配列した有
機EL表示パネルが実用化され、各有機EL素子が自発光を行うので視認性が高い特徴をもつ。各有機
EL素子は、陽極と陰極の一対の電極の間に有機発光材料を含む発光層が配設された基本構造を有し、
駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、陽極から発光層に注入されるホールと、陰極から発光層
に注入される電子との再結合に伴って発光することを原理、構成/構造をもつ。一般に各有機EL素子
の発光層と、隣接する有機EL素子とは、絶縁材料からなる絶縁層で仕切られ、カラー表示用の有機E
L表示パネルでは、RGB各色の画素を形成し、隣り合うRGBの画素が合わさってカラー表示における
単位画素が形成する。

また、各画素に設けられた反射電極の外縁による外光の照り返しによる表示のコントラストが低下を防
止のため、絶縁層上方の隣接する画素間の境界に格子状の遮光層が設けられていた。ところが、表示素
子に対向するカラーフィルタ基板に遮光層を担持した有機EL表示パネルの場合、カラーフィルタ基板
と表示素子側の基板との封止アライメント時に位置ずれ生じ、反射電極層の外縁が遮光層からはみ出
し、はみ出した外縁による外光の照り返しにより表示のコントラストが低下する。これに対し、はみ出
し防止の遮光層幅を広げた場合、表示素子からの光が遮光層に干渉/吸収され、光取出し効率の低下や
視野角により輝度・色度の不均一性増加が生じる。表示パネルの高解像度化に伴い単位画素当りの素子
面積は減少するが、隣接画素への光漏れ防止に必要な遮光層の幅は維持され、高解像度化に伴い単位画
素の遮光層の開口率が低下し、光取り出し効率と輝度・色度が均一性の維持がより一層困難となること
が懸念される。反射画素電極層の外縁での外光反射を抑制してコントラストの良好な上面発光型の有機
EL表示パネル、及びこの有機EL表示パネルの製造に適した製造方法を提供することを目的とする。


【符号の説明】

1  有機EL表示装置   10  有機EL表示パネル   100  有機EL素子 100e  単位画素

100se  サブ画素    100a、100Aa、100Ba  自己発光領域   100b、100Ab、
100Bb  非自己発光領域  100c、100Ac、100Bc  画素電極間領域      100d、
100Ad、
100Bd  画素電極間領域  100x  基板(TFT基板)  119  画素電極層 
119a1、a2、a3、a4  外縁  119b  コンタクト領域(コンタクトウインドウ)

119c  接続凹部  120  ホール注入層  121  ホール輸送層  122  絶縁層 
122X、122AX、122BX  行絶縁層  522Y、122AY、522BY    列絶縁層
122Az  開口  522AY  列バンク  522z、522Az、522Bz  間隙  123  発光層 
124  電子輸送層
  125  対向電極層  126  封止層  127  接合層  128  カラーフィルタ層
130 上部基板  131 CF基板    EL.EL素子部   Tr1.駆動トランジスタ   Tr2.スイッ
チングトランジスタ
 C.容量

【図面の簡単な説明】

【図1】実施の形態に係る有機EL表示装置1の回路構成を示す模式ブロック図。
【図2】有機EL表示装置1に用いる有機EL表示パネル10の各サブ画素100seにおける回路構
    成模式回路図
【図3】有機EL表示パネル10の一部を示す模式平面図
【図4】図3におけるX0部の拡大平面図

この複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルは、基板と基板上に行列状に配され光反射材料
の複数の素電極層と、少なくとも画素電極層の行及び列方向の外縁上方と、外縁間に位置する基板上の
画素電極間領域上方とに配置し絶縁層と、複数画素電極層のそれぞれの上方に配置したた有機機能層と
有機機能層上方に配された透光性の対向発する電極層を備え、有機機能層は、それぞれの画素電極層上
方の絶縁層のない領域で有機電界発光をはする複数の発光層を含み、絶縁層の基板平面視方向の光学濃
度は0.5以上1.5以下を特徴とすることで
、反射画素電極層の外縁の外光照り返しによる表示のコ
ントラストが低下を抑制する構成/構造を特徴とする。


【図5】有機EL表示素子100のサブ画素100seに相当する絶縁層122の部分を斜め上方から
    視した斜視図
【図6】図3におけるにおけるA-Aで切断した模式断面図


【図7】図3におけるにおけるB-Bで切断した模式断面図
【図8】(a)~(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけ
    るにおけるA-Aと同じ位置で切断した模式断面図


【図9】(a)~(d)は、有機EL表示パネル10の製造におけるCF基板131製造の各工程での
    状態を示す模式断面図
【図10】(a)~(b)は、有機EL表示パネル10の製造におけるCF基板131と背面パネルと
     の貼り合わせ工程での状態を示す図3におけるにおけるA-Aと同じ位置で切断した模式断
     面図


【図11】有機EL表示装置1の機能を説明する図。
【図12】(a)~(c)は、表示パネル10を透表示パネルとして利用したときの有機EL表示装置1
     の機能を説明する模式図


【図13】有機EL表示パネル10Aの一部を示す模式平面図
【図14】(a)は、図11におけるX1部の拡大平面図であり、(b)は、絶縁層122の上方から
     視したX1部の拡大平面図


【図15】有機EL表示素子100Aのサブ画素100Aseに相当する絶縁層122の部分を斜め上
     方から視した斜視図
【図16】図12(b)におけるA1-A1で切断した模式断面図


【図17】図12(b)におけるB1-B1で切断した模式断面図
【図18】有機EL表示パネル10Bの一部を示す模式平面図


【図19】図18におけるX2部の拡大平面図
【図20】有機EL表示素子100Bのサブ画素100seに相当する絶縁層122の部分を斜め上方
     から視した斜視図


【図21】(a)~(f)は、有機EL表示装置1Bの製造工程を示す側断面図
【図22】有機EL表示装置1Bの利用例を示す模式図である。



● 大容量バッテリーとパワフルなモータで航続行距離400キロメートル達成

 

 

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