ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

「魂萌え!」

2007年11月18日 | 読書
 これは面白かった。

 63歳の夫が急死、葬儀の後に愛人の存在が発覚。遺された平凡な妻敏子59歳はどうする? 葬儀のために8年ぶりにアメリカから帰国した長男は、一度も会ったことのない妻子を連れていた。しかもいきなり「お母さん、同居したいんだけど」と言い出す。突然の喪失、騙されていたことの衝撃、息子の我がまま、娘の気まま。翻弄される敏子が変身していく。

 わたしとは全然違うタイプ、全然違う立場の敏子なのに彼女の気持ちがよく分かる。桐野の筆が細部のリアリズムに凝っているからだ。「あるある」感の多さに納得。他人事とは思えない出来事の連続に一気に読んでしまった。お奨め。

---------------------------

魂萌え! / 桐野夏生著. 毎日新聞社, 2005


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひさえ)
2008-11-30 21:38:35
桐野さんの作品には珍しく(?)読後感がさわやかでした。女性に憎しみを覚えているのではないだろうかと錯覚する程、厳しい描き方をされている事が多い気がするのですが・・・。

関係ありませんが、ずーっと前にお勧め頂いた
「戦争で死ぬということ」を読みはじめております。
返信する
お久しぶりです (ピピ)
2008-11-30 22:58:03
ひさえさん、お久しぶりです。
お元気ですか? 相変わらずたくさん聞こし召しているのでしょうか(^.^)

「戦争で死ぬこと」、よく覚えていてくださいました。ありがとうございます。最近読書のスピードがひどく落ちているのでなかなか読書日記がアップできません…
返信する