ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

2006年マイベスト:読書篇

2007年01月07日 | 読書
 ほとんど本を読んでいないのにベストを選ぶというのもおこがましいが、まあ自分のメモのために記しておこう。去年読んだ本のリストを作ってみても既に「この本なに?」というのがあるから驚きだ。一年前に読んだはずの瀬名秀明『デカルトの密室』なんて、いったいなんの本なのか見当もつかない有様。小説だったっけ? あ、bk1の解説と書評を読んでやっと思い出した。というか、全然覚えていないことが確認された(^^;)。こんな状態だから、読んだ本のことは次から次へと忘れていく。大丈夫かい、わたしの脳みそ。ほとんど腐っているのではなかろうか。

 さて、2006年に出版されたものの中から選ぶのではなく、読んだ本の中からなので、発行年はさまざま。それにすぐ忘れるから、年初に読んだ本ほど内容を忘れている。特に2006年に出版されたものの中でこれはぜひ、というのを挙げれば『松岡正剛千夜千冊』だろう。すごい本です、これは。よく出版したなぁと感動する。全8巻分売不可、税込み10万円弱。誰が買うんでしょうねぇ~。わたしは地元の図書館にリクエストしたけど、地元は買ってくれず、府立中央図書館からの相互貸借で届けられた。図書館から持って帰るのも一苦労という大部な本だ。何しろ一冊1000頁前後ですからね。電車の中で立ち読みもできない。別巻だけが貸出不可で館内閲覧のみだったのでやむなく館内でざざざっと読み、残る7冊を持って帰ったけれど、自転車の前籠と後ろ籠に積んでふらふらとこぐのもしんどかった(^^;)。



 Webで連載中は千夜のうちわずか数夜しか読んだ覚えがないが、こうやって一冊の本になり、分野ごとに編集されてみると、その偏りのなさに驚いてしまう。一人の著者につき一冊だけ取り上げるという原則だから、その一冊をどのように松岡氏が選んだかも興味深い。ふつうの書評や読書案内ではなく、個人的な読書回想記の形をとっているので、そこが面白くもあり冗漫になる場合もある。

 こういう大部な本は隅から隅まで読むものではなく、折に触れて取りだしては興味のある部分だけ読むようなものである。当然わたしも全部読んだはずがない。読了本でないけどベストに入れてしまうのは、こういう本を出版してしまったことに対する敬意を表したいという思いもあるからだ。

 で、これはわたしの興味からいうと別巻が最も面白い。連載中の苦労話裏話、出版にまつわる四方山話が書かれていて、そそられる。また、松岡正剛の伝記がたっぷり読めてこれまた面白い。別に彼のファンというわけでもないからまあこういうのはどうでもいいようなものだが、でも読み始めたら面白いのだ。この人、こんなに波瀾万丈なんだなぁとか、いったいどこでどうやって時間を作って読書しているんだろうとか、疑問が湧いてきて、またいっそうそそられる。もう図書館に返却してしまったけれど、そのうちまた借りて読みたい。地元の図書館が買ってくれたらなぁ。残念だ。

 その他の本についてはまた時間があればコメントします。あ、そうそう、永井均さんの『ルサンチマンの哲学』は電車の中で読み始めたらあまりの面白さに夢中になり、デパートで買った高級サンドイッチを網棚に忘れてきてしまったというこぼれ話もついてます(悔)。サンドイッチはなんとか取り戻しました。わざわざ車に乗って隣市の駅まで取りにいったもんね。ふー


「苦海浄土」石牟礼道子著
「歴史と瞬間」和田康著
「東京タワー : オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著
「私家版・ユダヤ文化論」内田樹著
「戦争で死ぬ、ということ」島本慈子著 岩波新書
「自己・あいだ・時間 : 現象学的精神病理学」木村敏著 (ちくま学芸文庫)
「かの子撩乱」瀬戸内晴美著
「映画の政治学」長谷正人, 中村秀之編著
「記憶/物語」 岡真理著 岩波書店
「バックラッシュ」上野千鶴子, 宮台真司, 斎藤環 [ほか著] 双風舎
「ルサンチマンの哲学」永井均著
「松岡正剛千夜千冊」

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