ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

ハックル

2009年01月02日 | 映画レビュー
 まったく台詞のない、ストーリーもない物語。ハックル(しゃっくり)をしているお爺さんが主人公(?)だけど、いったい何を言いたいのかさっぱりわからない。といいつつ、映像へのこだわりには思わずうなってしまう、すごい作品。体調の悪いときに見たら10分以内に爆睡しますが、ちゃんと見ていたらなかなかの作り込みに驚いてしまう。空撮から接写まで、カメラは自由自在に動き、のどかな田園をドキュメンタリータッチのカメラが舐めたかと思えばいきなりCGで作り込んだシーンがが沸いて出てくる(沸いて出てくる、という唐突さです)。ほとんどの観客が寝そうになった瞬間に「どきっ」とさせるショットを挟んで覚醒させる。

 舞台となった農村ののどかさといい、豚のお尻といい、養蜂家と蜂の戦いというか共生というか、いろんな場面が超拡大されて映し出される様はまるでNHKスペシャル「ハンガリーの田園、その接写一日」。ドキュメンタリーなのかなぁと思うが、実はストーリーがあって(いや、ない)、溺死体が出てきたり猫が変死したり、妙なことは陸続と起きる。

 変な映画を見たい人にはお奨め。しかしこんな映画を劇場公開していたんですねぇ。全然儲からなかっただろうなぁ。観客の半数以上が寝たと思います。でも寝ずに全部見た人はきっと大きな感動(感嘆)を得たと思える、それほど不思議な魅力とこだわりに満ちた映画。(レンタルDVD)

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ハックル
HUKKLE
ハンガリー、2002年、上映時間 76分
監督・脚本: パールフィ・ジョル、撮影: ポハールノク・ゲルゲイ
出演: バンディ・フェレンツ、ラーツ・ヨージェフネー、ファルカシュ・ヨーゼフ、ナジ・フェレンツ