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日々の恐怖 10月29日 人形(2)

2019-10-29 17:22:54 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 10月29日 人形(2)




 そしたら親父が来て人形を抱き上げ、人形に向かって、

「 もう寝なさい。」

と言い、今度は木箱を持ってきて、中に入れ蓋を閉めた。
 その後、親父に、

「 何をしてたんだ!」

と酷く怒られて、

「 箱の中から猫の鳴き声がした。」

と説明すると、溜め息をついて、

「 今度から何かあったら、まず自分に言いなさい。」

と言われた。
その人形は、その日の夕方に近所のおばさんが持ってきて、まだ親父も中の人形を見ていなかったそうだ。
 そして次の日に、その人形は燃やす事になった。
寺に持ってきた人形でも、無害な物は人形部屋で供養しているのだけど、動いたり声を出したりするのは危険だから、燃やす事にしていたらしい。
 木箱に入っている人形に、お経を唱えながら親父が火をつけた途端に、中から昨日のミャーミャー言う声が激しく聞こえてきた。
 それに構わず親父お経を唱えた。
燃やした人形を出すと、原型を止めていない黒いプラスチックの塊になっていた。
その塊は箱に入れて、無縁仏の墓に埋葬した。
 その後何も無く、今では都内で独り暮らしをしているが、夜中に猫の声が聞こえると、

“ ビクッ!”

としてしまう自分がいる。










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