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日々の恐怖 6月20日 彼の妹(1)

2019-06-20 10:08:24 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月20日 彼の妹(1)




 彼には八歳離れた妹がいるのだが、その妹について、彼は子供の頃から不思議な感覚を持っているという。
彼に言わせると、

“ 時折、妹が妹でない時がある。”

というものだ。
 どこがどう違うのか、それを説明することはできない。
ただ、朝起きておはようと言った時、食事中、歩いている後ろ姿、何気なくこちらを向く仕草、あくびの後、眠っている最中でさえ、

“ 今は、違う。”

という違和感を感じるのだという。
 両親にそれを告げても、意味がわからないと相手にされなかった。
彼自身、意味がわからなかったのだから、仕方のないことだった。
 妹が妹でないと感じる時間は、一瞬の時もあれば、長くても三十分程度だった。
なので、そのうち彼も気にしなくなった。


 






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