大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

日々の恐怖 7月10日 記憶

2014-07-10 19:54:19 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 7月10日 記憶


 私は普通に社会人で、結婚もしてますし子供も二人、今年30歳になります。
そして、正気です、いたって健康で脳の病気などもありません。
 1月24日。
この時期非常に忙しく、私は疲れ果てて家路につきました。
 午後8時30分頃、駐車場に車を止めて、玄関のドアを見ながら歩を進めます。
頭の中は、早くメシ食って風呂入って寝たい、これだけ。
家族には疲れていることを見せたくない私は、玄関のドアを開け、テンション高めに、

「 ただいま!」

と言います。
 その瞬間、ガキン!ともバチン!とも言えないような衝撃が両耳の鼓膜を襲い、あまりの痛さに目をつぶり、立っていられなくなりました。
天と地が入れ替わったような、世界が反転したような感覚があって、頭がガンガンして、

「 ぐあぁぁっ!!痛ってえぇ!」

と、久しぶりに腹のそこから声を出しました。
 しばらく目をつぶってしゃがみ込んで、脂汗かきながら耐えてたんですが、嫁も子供の声もしないので、変だな、ちょっとは心配してくれよ、とか思ってたら、フッと痛みも眩暈もなくなったので目を開けると、布団の上に立ってました。
 だけど、私の家じゃない、いや、私の実家?
混乱しました、ものすごく。

「 やっとおきたの~?早くご飯食べちゃって!」

となんだか懐かしい声。
母ちゃん?
身長デカイ、というかすごく若い、声もなんだか違う気がする。

「 えっ?母ちゃん!?なんで?!っていうか・・・!!」

“ 目が見えづらい!
床が近い!体がうまく動かない感じがする、縮んでる?
手がムチっとしてるし、というか子供!?
昔か!!
そんな馬鹿な、夢か!?
いやどっちが!?どうしよう!
そんで、心臓バクバク。
なんだか勝手に涙が溢れてきて、いい年こいて、イヤこいてないのか?”

とにかく大声で泣きました。
ものすごく怖かった、理解出来なくて。

「 どうしたのよ~、急に泣かないでよ~。」

と近づいてくる母ちゃん。
 涙でいっぱいの目を手でこすって、前を向くと嫁がいました。
家族で普通に飯食ってました。

「 うええええええ~!?」

と、突然奇声を上げる私。
びびる嫁。

「 なに?どうしたの?」
「 えっ!?今、何月何日?」
「 2月・・・6日。日曜日でしょ、なんなの?」

固まる私。

「 今年って何年だっけ?」
「 20○○年。」

よかった、マジで良かった。
 でも、その間の約13日間の記憶がまったく無いんです。
私の記憶では、ガキン!と衝撃を受けてから体感で恐らく10分程度。
でも、実際には13日間も経過している。
 嫁の話だと、私の様子はいつもと変わらず。
普通に会話もしてたし、飯も食べてたし、寝てたし、子供と遊んでいた。
会社の仲間に聞いても、いつもと変わらずに仕事してたし、飲みにも行ったじゃん、と言われました。
 一応病院に行って、(変な経験したとは言ってないが)頭痛くなってからの記憶が無い旨を伝え検査もしましたが、異常はありませんでした。

「 恐らく、ストレス性の一時的な記憶障害でしょう。
日常生活にも支障は無いようですし、そのうち治りますよ。」

って言われました。
その後は何も起こらず、今に至っています。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日々の恐怖 7月9日 コンビニ | トップ | 日々の恐怖 7月11日 ポ... »
最新の画像もっと見る

B,日々の恐怖」カテゴリの最新記事