大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

日々の恐怖 5月3日 人形

2014-05-03 19:06:11 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 5月3日 人形




 俺は小学1年から小学校を卒業するまで、アパートに家族で住んでいました。
そこの大家さんの子供Yが俺と同い年やったんです。
それで、俺の住んでるアパートの真ん前に大家さんの家があります。
古い昔ながらの平屋なんですが、でかいです。
 当然、そのYと遊びまくりました。 
学校一緒で、家がバリ近、同い年で男同士です。
てか、幼馴染です。
 俺らはファミコンにハマってて、そのYの家ですることが多かったんです。
俺の家は両親が共働きで、Yの家の方が広いし、おかんもずっと家にいます。
ほんと絵に描いたような専業主婦でした。
バンバン家事やってました。
 それで、そのおかんのすごいとこは、合間に俺らの相手をしてくれます。
色んな話してくれるんですが、結構面白いんです、怖い話とかしてくれたりで。
 ある日、Yのおかんが人形の興味深い話をしてくれました。
Yの家には髪の伸びた日本人形があります。
その日本人形の髪は、普通の長さより5センチぐらい伸びています。
俺は最初見たとき、これがテレビでやっていた呪いの日本人形なのかと、ホントにゾクッとしました。
 でも、YもYのおかんも、何故かまったくスルーです。

「 変じゃない?」

と俺が質問すると、Yのおかんは、

「 これね、もともとは長い髪の束を人形の中に入れ込んで、そのナンボかを見えるように頭から出してるんよ。
余ったのは中に入ったまんま。」

“ 感じ、わかりましたか?”

Yのおかんは、

「 それで、10年も20年も経ったら、頭の接着剤が弱くなってきて、中の髪の毛がズルズル外に落ちてきてん。
呪いの人形も一緒ちゃう?」

俺は理論的な解説に、なるほどと感心しました。
 それで俺は、人形の髪がどんだけ中に入ってるか強烈に知りたくなりました。
チャンスを狙っていた俺は、数日後YとYのおかんがいないのを見計らって、やめときゃいいのに人形の髪の毛を力任せに引っ張りました。

「 ブチッ!」

その人形の髪の毛はカツラ状態に剥がれ、なんと人形の頭はツルツルでした。

「 わっ!」

俺は急いで台所のご飯粒を取って来て、カツラの裏に擦り付け人形の頭に被せて逃げました。
 数日間、人形を壊したことを怒られないか、はたまた、人形の祟りがないか、ビクビクしていましたが特に何も起こらず、その後、小学校卒業と同時に無事引っ越しました。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« しづめばこ 5月3日 P291 | トップ | 日々の恐怖 5月4日 予言 »
最新の画像もっと見る

B,日々の恐怖」カテゴリの最新記事