大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道156

2008-12-07 19:52:32 | E,霧の狐道
 赤い円から抜け出した頭は、円の中に続くモヤモヤした煙を伴って空中に浮かんでいる。

“ ろくろ首ってこんな感じかな・・・。”

それに、お揚げ婆さんの顔はこちらを向いている。

“ 気持ち悪いな・・、あの顔・・・。”

 俺が横目で見ていると、煙は赤い円からモコモコ出て来て首の下にドンドン増えて来る。
そして、増えた煙は徐々に収斂して輪郭がハッキリして来た。

“ お、徐々に形が固まって来た感じ・・・。”

煙が固まると、お揚げ婆さんは白い着物を着てあぐらをかいて座っていることが分かった。

“ あいつ、座っているぞ・・・・・・。
 ここから見えると言うことは・・・・・・。
 あいつ、ベッドの高さに座っているのか?
 じゃ、空中に浮かんで座っているってことかな?”

俺は視線をあぐらの下に向けた。

「 げっ!」

俺はさらに驚いた。
お揚げ婆さんの下には大きなカエルが眼を剥いている。

“ 信楽焼きのでかいカエルにこんなのがあったっけ・・・・。
 でも、置物でも無さそうだし・・・・。”

お揚げ婆さんはカエルの上にあぐらをかいて座っているのだ。
俺はカエルを凝視した。

“ ギロッ!”

カエルの眼が動いた。

“ うわっ、眼が動いたぞ!!
 何だ、何だ、こいつは・・・・。”

どう考えても、この状況は理解に苦しむ。
俺は、お揚げ婆さんとカエルを横目で見ながら考えた。

“ う~ん・・・・。
 うう~ん・・・・。
 そ、そうか!!
 これは、ヤッパ、夢だな。
 お揚げ婆さんとカエルだもんな。
 こんな変なことが現実として起こる筈が無い。
 絶対、夢を見ているとしか考えられない。
 昨日の出来事が、俺の頭に悪い影響を与えてるんだ・・・。”


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