日々の恐怖 1月23日 小屋(5)
もしかしたら今いる道はかつて、村へ続く旧道として使われていて、小屋は休憩所のようなものだったのかもしれません。
まぁ、あんな崖を登ってたと考えるのはちょっと難しいですが、土砂崩れとかで地形が変わったのかもです。
とりあえず、その小屋を見た瞬間、わたしと友人の二人とも同時に、山に入ってから今まで感じていなかった恐怖や絶望感とかが一気に湧き上がってきました。
まずここまでその恐怖とか感じてなかったのがおかしな話ですが、この小屋を見た瞬間に感じた絶望や恐怖は、ほんと今までの人生の中でも一番だと言い切れます。
なにがそんなに怖かったのか説明ができないのですが、とにかく怖くて、多分もう自分たち助からないんじゃないかとかネガティブな感情が次々と湧き上がってきて、その場で動けなくなりました。
でも、しばらくして友人が、
「 行こう・・・。」
と言って小屋とは反対方向に進み始めたので、それに必死についていきました。
その間も、どうしても小屋の方を振り向けなくて、恐怖や絶望がずっとついてきていました。
進んで行くと、それまで一本道に見えていた道がなくなって、かき分けても通れない道ばかりになってました。
多分、脳から希望的観測が消えたから、一本道の幻覚も見えなくなったのでしょう。
そして気づけば前にも進めない、両側も崖になっていて、あの小屋に続く道しかない、電波も通じなくて、
“ ほんとにヤバい・・・・。”
ってなったところで、友人が、
「 崖を降りよう。」
と言ったのです。
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